以来、ぱったりと電話は来なくなった。イーダ社員は、社長が夜逃げしたとわかった日から早々に出社しなくなった者、淡々と後始末を続ける者、電話だけしてきて、弁護士の連絡先だけ聞いて後は個人でやりますという者など、様々だ。
会社に来る顔ぶれももう少ない。来る人も週に2、3日だけで、身の回り品の整理ぐらいだ。社内に居るのはセントラル社の人ばかり。ビルのオーナーをどう言いくるめたのか、来月までは居座れるよう交渉したらしい。
「社長も社長やけどあの弁護士も弁護士やで。まったく、ボケ、カス。しばいたろか」
関西弁での悪口は強烈に聞こえるが、向こうの人は軽く口にするらしい。聞きなれていないせいか、こっちはどうも気分が悪くなってくる。その怒りの原因がウチの社長だから、口に出すことは出来ないが。
冤罪を疑う声が急激に増えている和歌山カレー事件。そんな今、当の林眞須美さん(51)の近況が気になる人におすすめしたいのが、関西で林さんの支援を続ける人たちが発行している「あおぞら通信」という支援誌だ。