2005年3月に大分県清川村(現・清川町)で一人暮らしの女性(享年61)が自宅裏庭で撲殺され、車などを盗まれた事件で、強盗殺人などの罪に問われながら2010年2月に大分地裁(宮本孝文裁判長)で無罪判決を受けた伊東順一さんという男性(61)が9月20日、福岡高裁(服部悟裁判長)の控訴審で無罪判決を破棄され、無期懲役判決を受けた。この裁判については、当欄4月20日付けの記事で理不尽な審理が延々と続いていることを紹介したが、案の定、不当な結果になったわけである(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=2453)。
この事件は元々、めぼしい有罪証拠は捜査段階の自白だけだった上、その自白も内容に不自然な点が多かった。しかも、捜査機関が伊東さんを自白に追い込むまでに別件の窃盗容疑で逮捕を繰り返すなど荒っぽいことをやっており、大分地裁は無罪判決の中で取り調べについて、「令状主義を潜脱する違法なものであった可能性を否定できない」と異例の捜査批判をしたほどだった。また、推定される犯行時間帯前後の伊東さんの行動を検証すると、アリバイが成立しているに等しい状態だった上、その他にも伊東さんを犯人と考えると辻褄の合わない事実が多く、第一審の無罪判決は至極妥当なものだったのである。
悲惨なストーカー殺人事件が起こるたび、マスコミが必ず引き合いに出すのが、1999年に埼玉県で女子大生が刺殺された桶川ストーカー殺人事件だ。先日、三鷹市で女子高生が元交際相手のストーカー男に殺害される事件が起きた際、ストーカー規制法ができるキッカケにもなったこの事件を思い出した人は多いだろう。
昨年9月に広島市で小6の女児がカバンに入れられ、連れ去られた事件で、わいせつ目的略取や監禁などの罪に問われた被告人、小玉智裕氏(21)の裁判が佳境を迎えている。10月7日の公判では、情状証人として出廷した小玉氏の母親が「被害者の方にはまだ謝罪を受け入れてもらえていませんが、受け入れてもらえたら、誠意をもって謝罪したいです」「今後は私たちがしっかり息子を監督していきます」と涙ながらに証言。これまで公判中はずっと無表情で、何を考えているのかさっぱり読み取れなかった小玉氏も母親の涙に心を動かされたのか、「(被害者の)心の傷は一生残ると思う。ぼくも一生かけて償っていきたい」と泣きながら反省の言葉を並べたのだった。