間々田優、中村ピアノ、月野恵梨香《三原色パンデミック》の鮮烈個性!

2016年12月22日(木)、新宿clubSCIENCEで間々田優、中村ピアノ、月野恵梨香のトリプルヘッドライナーツアー《三原色パンデミック~アイドル14歳の才能~》のセミファイナル公演が開催された。三人の女性ミュージシャンはそれぞれバンド形態でライブに臨む。三者三様の鮮烈な個性が力強いメッセージとなり師走の新宿に煌いた。

左から月野恵梨香、中村ピアノ、間々田優
月野恵梨香

◆昇華された嘆き――月野恵梨香

トップを飾ったのは月野恵梨香。白いワンピースに身を包み登場した月野が赤いハイヒールを脱いだ。裸足の彼女が歌い始めた瞬間、会場が熱を帯び始める。
長髪を振り乱して叫ぶ一曲目“過食症”。

「確かにあたしここにいる間違いなく 
どうなってもいいなんて思ってない 
本当はあー生まれてこなけりゃあよかったなんて思う自分慰めて」

歌詞の中で月野は「嘆いて」いる。しかし彼女は悲壮感に任せてウジウジするような真似はしない。時にはリズム隊のグルーヴの力を借りながら、細身の身体からは想像できないほどの深いヴォイスで叫び続けることによって観客を「嘆き」の共有者とすることに成功している。MCで月野は言う。

「明日のことは考えず今のことだけ考えて駆け抜けようと思う」

この言葉からわかるように、月野の持つエネルギーは刹那的な衝動を原動力としている。彼女は今この瞬間の「嘆き」を強烈なメッセージへと昇華させているのだ。
ラストにはニューアルバム『再起可能』からタイトルトラック“再起可能”をチョイス。跳ねるようなドラムのリズムに乗って観客は拳を振り上げ、場内のテンションはMAXに。歌い終わった彼女は脱いだハイヒールをステージに置いたまま去っていった。ハイヒールが熱いステージの残滓として静かに存在感を放っていた。
 

◎月野恵梨香「名古屋襟 これが名古屋のオリエンタル」(2013/09/18公開)

中村ピアノ

◆自問自答の果てに――中村ピアノ

続いて中村ピアノ。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムのオーソドックスな月野のバンドとは異なり、中村は自身を含めたダブルキーボードのギターレスバンドである。現在ライブDVD『ナカムラホノグラム』が前日に発売となった勢いそのままにステージを繰り広げた。

髪型を両サイドでお団子にした中村が柔らかな表情で歌い始める。ロリっぽいアニメ声からドスの利いた低音まで実に幅広い声色を使い分けるのだ。さらには二つのキーボードが主張し合って、音数の多いカラフルな楽曲を披露していく。

彼女の流れるようなキーボードさばきはポップなアイドルなどとはとかけ離れていて、職人のような威厳さえ感じさせる。“ねぇ”のような比較的ローテンポの楽曲でもヴォーカルとキーボードが反発せずに、かといって小奇麗にまとまるのでもなく、エッジを利かせながらステージを彩っていく。

中村の歌詞は「自問自答」する。ひたすら自分の中で自分を問い続ける。しかし、堂々巡りをしているだけではない。自分の力で考え抜かれた結論へと辿り着いている点は秀逸だ。

ラストに披露した“キャンディキャンディ”には彼女の「自問自答」が結実している。

「夢の中での2人はもうとっくに恋人同士なのに
 本当はまだ声もうまくかけられない 〈恋は一方通行〉」

聞き流してしまえば淡い片想いの歌である。しかし、彼女は片想いのみには留まらない。後には以下のように続く。

「夢の中での私はあんなに強くて可愛いのに 
鏡に映るのは色気も華も無い可哀想な女の子」

自分の姿を客観的に捉え、「可哀想」だと言い切る。言い切ってしまうことに彼女のエネルギーを感じずにはいられない。彼女の「自問自答」は結論を出せずにもがいている全ての人たちの背中を押してくれるはずだ。


◎中村ピアノ「火傷」(2016/04/19公開)

間々田優

◆貫徹された反骨精神――間々田優

トリはデビュー10周年を迎えた間々田優。赤いハイネック姿でアコースティックギターを抱え、うつむいた間々田にスポットライトが当たった。彼女からほとばしる、世の中への反骨精神が会場に浸透し始めた瞬間である。ブルージーなメロディからシャウトへと転じる切れ味鋭い“八千代”で観客は彼女の攻撃的な世界観に引きずりこまれた。

「友死のうて 爪をかんで 
私には何の痛みもないよ 
刺してやろうか」

 自分を潰そうとしてくる世の中に対して、中指を立てるような強烈なメッセージが込められている。

MCで彼女は言う。
「私がニュースとして知ることができるのは遠くから運ばれてきたものです。でも今こんなに近くに皆さんがいてくれる」

デビューから10年の時を経て、なおライブ空間を共有してくれる観客への感謝の気持ちだろう。彼女は静かに話し終えると、一転“カシスオレンジ”では弦が切れる勢いでギターをかき鳴らし始めた。オンオフの利いたライブは聴く者を虜にしていく。

「弾き語りから始めて、今はバンドメンバーと一緒に音楽を生み出せることが幸せ」と言う間々田。

本編終了後観客からのアンコールを聞いて、間髪入れずに間々田は代表曲“アイドル”を歌い始めた。

「歌えぬ僕の意味など無い 
甘く優しい言葉で言うなら 
〈ほんとにおつかれさまでした〉」

と彼女は歌う。

「ほんとにおつかれさまでした」などと観客に言わせない、「歌手・間々田優」をこの世の中で用済みとは絶対に言わせない、というギラギラした反骨精神を最後まで感じることができた。

三人合わせて2時間弱とは思えない、怒涛のステージだった。三人の「原色」のような個性はぶつかり、転がりながら観客に大きなインパクトを与えたに違いない。
今年2017年の3月には新宿BLAZEで800人規模の追加公演が予定されている。三ヵ月後、さらにパワーアップした三人の姿を見ることができると思うと、今から待ち切れない。(伊東北斗)


◎間々田優「三原色パンデミックツアー」動画 (2016/11/10公開)

 

間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー
 三原色パンデミック《~アイドル14歳の才能~》―追加公演~グランドフィナーレ~
2017年3月24日(金)18時開場/19時開演 at/新宿BLAZE
チケット絶賛発売中!:前売3,800円/当日4,300円 ※1ドリンク代500円別途
イープラス 
チケットぴあ(Pコード:313-216)

 

 
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「この世界の片隅に」の時代、広島の新聞は戦争をどう報じていたか?


◎映画『この世界の片隅に』予告編

アニメ映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)の大ヒットはもはや社会現象のような趣だ。戦時下の広島県呉市を舞台に、広島市から嫁いできたヒロインの女性・すずとその周囲の人たちがけなげに生きる姿を描いたこうの史代の漫画を、片渕須直監督が6年以上費やして映画化。昨年11月、全国で約60館という公開規模でスタートしたが、あらゆる批評家、そして一般の観客たちがこぞって絶賛して評判が広まり、累計観客動員数は100万人を突破。キネマ旬報が選ぶ2016年のベスト・テンでアニメ作品としては28年ぶりの1位に輝き、現在は上映館数も200館を超えている。

私もこの作品を鑑賞したが、何より感銘を受けたのは、登場人物たちが戦時下の過酷な状況を当然のこととして受け入れ、時勢に対して何の不満も言わず、かといって戦局に一喜一憂するわけでもなく、一日一日をただひたむきに生きていたところだった。戦争は怖いとか、いけないことだというのは、今の日本なら誰でもそう思うことである。しかし戦時下はそうではなく、一般の人々の暮らしぶりとは、この映画のようなものだったのだろう。そんなことをしみじみと感じさせられたのだった。

中国新聞1945年8月2日1面。度重なる空襲で呉市民の多くが生命を奪われても日本の優勢が伝えられ続けた

そして私が改めて気になったのが、当時の戦争報道がどのようなものだったのか、ということだった。戦時下において、この映画の舞台となった広島県呉市の人たちの戦争に関する事実認識や考え方は当然、戦争報道によって形成されていたはずだからだ。そこで、広島地方の地元紙である中国新聞の当時の報道を検証してみた。

◆呉で2000人が犠牲になって以後も日本優勢を伝え続けた地元紙

軍港があった呉市は終戦が間近に迫った1945年3月から7月にかけ、計14回の空襲に見舞われ、約2000人の民間人が犠牲になったと伝えられている。しかし、8月2日の中国新聞は1面に、〈本土の戦備・着々強化〉〈機動部隊 艦上機を迎撃 約八七八機を屠る 我軍事施設の被害僅少〉と、このごに及んでもなお戦局は日本が優勢であるかのように伝えている。まさに「世界の片隅」にいて、地元の状況以外は報道で知るしかない呉市の人たちがこんな報道を見れば、呉市はどんなに悲惨でもそれ以外では日本が優勢なのだろうと誤認しても仕方ないだろう。

その後も同紙の紙面には、〈沖縄の基地艦船猛攻〉〈バリックパパン 斬込みで敵陣撹乱〉(以上、8月4日1面)、〈タンダウン、トング―の線で出血戦 ビルマ皇軍勇戦続く〉(8月5日1面)、〈笑殺せよ 爆撃予告 心理的効果が狙ひだ〉(8月5日2面)・・・と日本の優勢を伝える見出しが躍り続ける。そして1面で、〈敵殺傷四千八百余 タラカン島の総合戦果〉と報じている8月6日の午前8時15分、広島市に原爆が投下され、10万人を超す人が生命を奪われたのである。

中国新聞1945年8月9日1面。原爆投下3日後、地元紙が原爆について最初に報じた記事。今思えば見当外れだ

◆映画が再認識させてくれるもの

原爆投下の翌日と翌々日、さすがに中国新聞は発行されなかったが、3日後の8月9日には早くも発行を再開している。ただ、この日の1面では原爆について、〈新型爆弾攻撃に 強靭な掩体と厚着 音より速い物に注意〉と、今思えばかなり見当外れなことを書いている。社説も〈逞しくあれ〉などと訴えているのだが、「そんなのは無理」というしかないだろう。さらに社説の下には、海軍少将・高田利種の〈この戦争・絶対勝つ 秘策着々進む 挫けるな精神戦〉という訓話が掲載されているのだが、よくもこんな無責任なことを言えたものである。

その後も、同紙の紙面には、〈人類の敵を抹殺せよ〉(8月13日1面)、〈水上機母艦を撃沈 潜水部隊、沖縄へ出撃〉(8月14日1面)、〈空母等二艦を大破 敵機動部隊を捕捉猛攻〉(8月15日1面)・・・と、昭和天皇が玉音放送で日本の降伏を伝える8月15日まで勇ましい見出しが躍り続ける。

中国新聞1945年8月16日1面。日本の優勢を伝え続けながら終戦翌日はこんな紙面に……

そして終戦翌日の同8月16日には、1面で大々的に〈大詔渙發・大東亜戦争終結〉〈神州の不滅を確信し 萬世の為に太平を開く 米英支蘇四国共同宣言を受託〉と終戦が伝えられているのだが、今思えば、こんなデタラメな報道がまかり通っていたというのは本当に恐ろしいことである。

報道の自由や言論の自由が大事なものであるというのは言うまでもないことだが、映画「この世界の片隅に」はそのことを再認識させてくれる作品でもあるように思う。


◎[参考動画]練馬アニメカーニバル2015「『この世界の片隅に』公開まであと1年!記念トークイベント」

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
『NO NUKES voice』第10号[特集]基地・原発・震災・闘いの現場

2017年衆議院解散・総選挙に絶望する3つの根拠とひとつだけの希望

今年は衆議院の解散、総選挙があるようだ。解散は総理大臣の専権事項だから、いつ解散されるのかは、安倍のみが決めることではあるが、永田町の住人たちに聞くと、「おそらく今年中で確実だ」の声が多い。

◆英国EU離脱もトランプ大統領選勝利も二者択一の中での選択

さて、そうなれば衆議院の議会構成図を変える機会が訪れるのだから、常々「最低・最悪」と現政権をなじっている私からすれば、前のめりに、無根拠でも何らかの変化と、できうることであれば自公政権の終焉を夢想したりしてみるのだが、その可能性はあるのだろうか。「いくらなんでもそれはないだろう」と言われた。

ドナルド・トランプが大統領選に勝利し、英国がEUから離脱する決断を2016年世界は目にした。どんなことにだって可能性はあることを私たちは見たのだ。けれども、それらは二者択一の中での選択だったことを忘れてはならない。米国大統領選挙は、ヒラリー・クリントンかドナルド・トランプの選択で、英国のEU離脱は「EU残留」か「EU離脱」を選ぶ。それ以外の選択肢は「棄権」以外にはない投票行動だった。

◆一票の意思表示が妥当な価値で扱われない小選挙区制度

 

解散、総選挙となれば有権者は、支持する候補者と政党の名を書き、それが意思表示(投票)となる。しかし小選挙区制が導入されている現在の選挙制度の下では得票率が獲得議席に比例しない、という構造上のからくりがある。選挙結果がどのように表れたとしても、一票の意思表示が妥当な価値で扱われない制度であり、まずはこの大問題を正すべきではないか。

「金がかかる」といって中選挙区制から移行された小選挙区制であるが、「金がかかる」理由を質したら「自民党内の候補調整に金がかかる」というのが、本当の理由だった(田原総一朗氏談)。まず中選挙区に戻したら少しは不平等が解消されるだろうが、読者はどうお考えだろうか。

◆絶望する根拠[1]──野田佳彦が幹事長の民進党に票が集まる理由なし

そして2017年総選挙になったら、私の期待とは正反対の結果が導かれるであろうことを、残念ながら私はほぼ確信する。それ第一の理由は野党第一党の民進党には、現政権に対する明確な対抗政策がなく、党内には「隠れ自民党員」とレッテルを貼りつけても不足ではないダメダメな奴らが相当数見当たるからだ。原発事故後に「終息宣言」を口にし、再稼働の暴挙を強行した野田佳彦。素人が見たって、最悪のタイミングで「自滅解散」に打って出た大馬鹿者。こんな奴が幹事長として党の中枢でまたぞろ大きな顔をしていれば、自公政権に嫌気がさしている有権者の票が集まる理由がなかろう。

◆絶望する根拠[2]──自民と維新の二者択一に投票意欲がわくはずなし

 

そしてさらに絶望的な根拠の象徴として、大阪を中心とする関西地区での維新勢力の定着である。大阪府11の小選挙区では自民と維新が実質的に議席争いを繰り広げることになるが、現状どうやらそこに他の野党候補が食い込む余地は全くないようだ。自民と維新の選択? 地元大阪では、橋下徹に牽引された「大阪都構想」をめぐって、維新(一部公明)対他の政党という、地域限定のトピックがあったけれども、国政に送り出す候補者を自民か維新のどちらからしか選べないのであれば、そんなものに投票意欲がわくはずがない。

◆絶望する根拠[3]──東京・大阪・大都市圏票の急激な保守・反動化

 

かつて国会議員の選挙では、都市部では革新勢力(今ではこの言葉すら目にしなくなった)が強く、地方では主として農協に支えられた保守が強いという構図が長く続いたけれども、東京都知事に石原慎太郎が就任して以来、この構図は崩れた。

都市部ほど保守・反動が強くなり、野党の小選挙区で議席獲得はむしろ地方に広がりを見せている。これは21世紀に入り、確実に歩みを進め、その速度を増し、右傾化が都市部において地方を凌駕していることの表れでもある。

大した議論もなく、選挙権を18歳に引き下げた、自公政権の自信には「若者の洗脳は完成した」とのメッセージが込められていると、深刻に受け止めなければならない(事実昨年の参議院選挙で18-20歳の投票行動はその通りになった)。

◆元憂歌団の内田勘太郎さんの至言──「(時代を)作っていくのは若い人」

正直に言えば、どうにもならないだろうという結論しか私にはない。しかし、私は我が身一人でがっかりしていればよいのであって、状況が厳しくとも、なんとか打破を実現しようと、汗をかいておられる方々を冷めた目で見るわけでもないし、その逆だ。『NO NUKES voice』第10号で、元憂歌団の内田勘太郎さんが優しい物言いの中、鋭敏なメッセージを発している。

「俺は俺でずっと頑張りますけど。知ったこっちゃない。でも(時代を)作っていくのは若い人だから自分のことを年寄りだとも思ってないですけど『頑張ってね』とだけ言いたいな」

至言なり! さすが芸術の才のある人の言葉は違うと感じ入る。「(時代を)作っていくのは若い人」なのだ。私たち中年や老人がああだの、こうだの言っているあいだは「時代が死んでいる」のだ。新しい発想や行動、そして何よりも、この社会の理不尽に体を震わせるほどの「怒り」が若者から発せられたとき、ようやく時代は動き出すのだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年2月号!
『NO NUKES voice』10号【創刊10号記念特集】基地・原発・震災・闘いの現場──沖縄、福島、熊本、泊、釜ヶ崎
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

2016年フラッシュバック芸能トピックス座談会(後編)

◎司会
◎伊東北斗(芸能記者) 
◎ミスターX(中堅放送作家)

 
商業出版の限界を超えた問題作!

◆なんだったのか、石田純一の都知事出馬会見

伊東 「消された」といえば、石田純一の都知事出馬会見こそが、なんだか知らないうちに野党が話をうまくつぶして、鳥越俊太郎を担ぎ出したということがあった。

ミスターX 石田は出馬会見で「野党統一候補に私をしてくれれば、出馬してもいい」と会見。上から目線で民進党や共産党をあおって「ふざけるな、つぶせ」という話になった。片岡 あのときは、石田純一がCMやテレビ番組のペナルティを払う寸前に出馬を取りやめ。あれもなにか中途半端な決意でますます政治離れが加速していった印象です。蓋をあければ、ただたんに奥さんの東尾理子が「当選しても落選してもどちらにしても茨の道になる。覚悟はあるの?」とセリフにだまりこんだとか。

伊東 そもそも「不倫は文化」と言い放つタイプで、独特の日本語を話すから記者が彼の言葉を理解するのにすごく時間がかかった。そんなので都民に政策や情熱が伝わるわけはない。記者会見がすごく下手だ。

◆とびぬけて好印象だった「TOKIO」山口達也

 
[増補新版]ジャニーズ50年史(ジャニーズ研究会)

ミスターX 最近は「記者会見スキル」というのが定着したね。言い換えれば「記者の追求をごまかす」というスキル。

伊東 ファンキー加藤が親友のアンタッチャブルの柴田の奥さんと不倫して、「記者会見での対応が真摯」「慰謝料を一括で払った」と変にヒーロー扱いされているのが気持ち悪かった。また、その直後に三遊亭円楽も不倫して謎かけでマスコミをたのしませるなどして「大人の記者会見」が評価された。

ミスターX 不倫という不道徳が責められるべきなのに、記者への対応の良しあしでなんとなく「罪の深さ」が決まるのは本質からずれているような気がしています。「TOKIO」の山口達也も「なんでも聞いてください」とさわやかな会見をして、記者がひとりひとり帰るのを見届ける礼儀のよさ。これで悪く書けなくなったという(笑)。

伊東 山口の場合は、とっくに別居していましたが、奥さんが「ほかに女を作らないように」と近所に住んで監視していたというちょっと不気味な夫婦生活が長く続いていました。

ミスターX まあ山口は人となりもいいですし、三十路にはもてる。キャバクラでも「山口さんて優しい」ともてまくっていましたからね。銀座の高級クラブで記者というと「山口くんを連れてきて」と三十路近いホステスにいわれることも。とびぬけて好印象です、はい。

◆高畑裕太のレイプ未遂事件

伊東 正反対なのが、高畑裕太のレイプ未遂事件です。あれは被害女性が男に相談した直後、すぐに逮捕となった。「これは事件にしよう。警察とマスコミを呼べ」という段取りで母親の高畑淳子から金をむしりとろうと瞬間的に段どったのという噂が千里を走った。

ミスターX のちに高畑裕太が警察から解放された映像を見たが、「報道陣をにらんでいた」とされていたが、あれはただ茫然自失としていただけ。だが母親と会うや否や「仕事なくても貯金で暮らせるよね」と確認したというからどこまでもノー天気な体質なんだか。

伊東 高畑淳子クラスになれば、マネージャー的な仕事をやっていれば食えると思う。別に金の心配をする必要はない。

司会 都内の豪邸は完成したようです。

ミスターX あそこも近所から「高畑裕太は住むのかどうか」という問い合わせがけっこう高畑の事務所に入ったようです。なんせ自分の部屋にひとめ惚れした女を力づくで引き込むという強引さ。年頃の娘がいる親御さんなら心配でしょうがないでしょう。

 
『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』

◆成宮寛貴の報道で、「俳優を守る」という態度に徹したテレビ朝日

司会 『相棒』(テレビ朝日)などで注目されている伸び盛りの元俳優、成宮寛貴については、告発している男性が「愛憎劇をメディアで展開している」という印象ですね。

伊東 これは『FRIDAY』が第4弾までも準備していて満を持して出したスクープです。僕のところにも、成宮のコカインの話は来ていましたが、「結局、FRIDAYがネタを買ったか」という感想です。つぎからつぎへとテレビ局から成宮の態度が悪い、という話を聞きます。僕も成宮が試写会で足を投げ出して不良っぽい態度をとっている姿を観ました。

ミスターX あのコカイン吸引写真は各週刊誌に持ち込まれたが、なにせ告発者が「コカインをやっていた」という証言はあったが、過去のものであり、麻薬取締法違反は現行犯じゃないと逮捕されないというジレンマがある。

伊東 理論的には「今はやっていません」といえば罪とならない今の法律にも問題があると思うが、どうだろうな。ただ、テレビ朝日は年末に成宮が出ている『相棒』の再放送を断行した。逮捕されていない以上は「推定無罪」であり、再放送をやめる必要はない。このあたりには愛情を感じた。

ミスターX ただどうだろうな。テレビ朝日には「成宮が出ている『相棒』は出すな」というクレームが視聴者センターに殺到していたが、オペレーターは「逮捕されているわけではないですし、放送する価値はあると判断しました」とすでに想定問答を終えたマニュアル対応をしているだけ。テレビ朝日としては大麻取締法違反で逮捕された高樹沙耶の作品が再放送できないから、アドバルーン的に成宮が出ている回を放映して反応を見ているのでしょう。

伊東 テレビドラマだからこうなっているのであって、映画だったら数億で済む話ではないです。撮影してあった映画がないのが不幸中の幸いです。

司会 この時代、繰り返し同じ作品を楽しめるサイトがたくさんあり、そちらのほうの課金も少額じゃないから、重大な問題ですね。

◆ASAK逮捕に見る警察捜査のずさんさ

司会 ASKAが「盗聴されている」と警察に通報して、逆に覚せい剤取締法違反で逮捕された報道は「情報ライブ 宮根屋』(読売テレビ)で「逮捕されそうです」とASKAが話していたのが先で、逮捕があとだったので驚いたです。

伊東 この一報は海外で知りましたが、なんで報道がびしばし出てから逮捕されるのか順番が逆で、そこをメディアが誰も指摘しないのか、不思議で仕方がなかったです。ASKAが「盗聴されている」としている集団は一般的には「妄想」となっているが、万が一、実在したらマスコミは責任とれるのか、という印象です。

ミスターX ASKAの場合は、某暴力団が「余計なことを話すな」というけん制で人づてに「余計なことを言うなよ」というメッセージをさまざまな形で伝えています。その伝え方に問題があったのではないか、と僕は見ています。なにかこう、暗号めいたメールを送るとか、ひと言だけ携帯で言って切るとか。そうした行為を『なぞの盗聴集団』とかんちがいした可能性について僕は追跡しています。

ミスターX でも僕が聞くかぎり、新曲のできはいい。不起訴になって、ライブの話もにわかに聞こえてきた。まあ、「ASKAの話をふっても反応しなくなった」というCHAGEとは二度と組んでやらないと思うけど。

伊東 おもしろい話があって、これはカラオケ配信会社に聞いたんだけど、ASKAが世間をにぎわせるタイミングでは、カラオケで「CHAGE & ASKA」の曲が歌われる回数が激増。「余計な、粉などないよね~」など替え歌をサラリーマンらが楽しむらしい。

ミスターX 「YAH YAH YAH、いまから一緒に、ラリってみようか」とかね。

司会 今年はいずれにしても「不倫にドラッグ」に。芸能界にとっては大殺界でしたね。

伊東 記者にとっては、おいしい状態でしたけどね。

◆紅白スキャンダルと地上波TV「終わりの始まり」

ミスターX 最後は、「第67回紅白歌合戦」の出場歌手が来年1月に記者に確実にマークされる。

伊東 見出しが立ちやすいですから。僕もさる大物歌手をマークしています。

ミスターX 最後の最後までNHKは交渉すらまともにしていないのに「SMAPが出る出る詐欺」を押し通していた。あのまま「出るかも」と期待させて視聴率を稼ぐ作戦だったのは見え見え。そもそも「5人で歌いたくないから解散」なのに、どうして「紅白だから5人で歌おう」という話となるのか。籾井勝人会長はよほど「たつ鳥あとを濁しまくり」でNHKスタッフの評判は最悪。早く退陣してくれ、と現場社員たちは指折り数えていますよ。

伊東 元三菱商事副社長で、経営委員の上田良一氏が今度のNHK会長だが、「NHK離れが激しい」世間の信頼をどこまで取り戻せるかが注目したい。

ミスターX まあ、民放局が元気がなくて、脚本家も地上波を見切って独自に番組を作り始めたオンラインテレビ局「Netflix」や「Hulu」などに企画をもちこみはじめた。制作会社も「ネット番組のほうが予算が出るかも」という見方を始めている。

伊東 いよいよ、地上波が「終わりの始まり」かな。

司会 そんなわけで今年もさまざまなビッグニュースが飛び出すかも。みなさん、そのときは、濃い取材や情報提供をよろしくお願いします!

(伊東北斗)

冤罪処刑決裁疑惑の大野恒太郎元検事総長、大手法律事務所に弁護士で天下り

2014年7月から法務・検察の実質的な最高位である検事総長のポストに君臨し、2016年9月に勇退していた大野恒太郎氏が日本弁護士連合会に弁護士登録していたことがわかった。当欄で2016年10月28日に既報の通り、大野氏は法務官僚時代、冤罪疑惑の根強い男性死刑囚に対する死刑執行に深く関与している。今後はその過去を伏せて日本有数の大企業に天下りすることが予想され、動向に要注目だ。

◆まずは「四大法律事務所」の客員弁護士に

検事総長を勇退以来、進路が注目されていた大野氏。最初に明らかになった勇退後のポストは、日本の「四大法律事務所」の1つである森・濱田松本法律事務所(東京都千代田区丸の内)の客員弁護士だった。同事務所のホームページによると、大野氏は2016年11月16日付けで入所。その後、2016年11月吉日(原文ママ)付けでホームページには、大野氏本人による入所の挨拶文も掲載された。

それを見ると、書き出しは〈拝啓 皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます〉と初々しいが、その後は〈内閣司法制度改革推進本部事務局次長として司法制度改革を担当〉したとか、〈裁判員制度や被疑者国選弁護制度の導入、法曹養成制度改革、法テラスの創設等を実現〉したなどという手柄話が連綿と綴られている。しかし当然というべきか、「あのこと」には一切触れられていない。

大野氏の挨拶文も掲載された所属弁護士事務所のホームページ

1992年に福岡県飯塚市で小1の女児2人が殺害された事件で、無実を訴えながら死刑判決を受けた久間三千年氏(享年70)が死刑執行されたのは2008年10月のこと。大野氏は当時、法務省の刑事局長だった。死刑は法務大臣の命令により執行されるが、その前に法務省の官僚たちが死刑執行の可否を審査し、決裁している。中でも中心的な役割を担うのが刑事局であり、そのトップだった大野氏は久間氏に対する死刑執行の実質的な最高責任者と言ってもいい。

私は大野氏が検事総長だった頃、この冤罪処刑疑惑に関する取材を申し入れたが、事務官を通じて、取材を断られたことがある。手柄話ばかりを連綿と綴った上記の挨拶文を見ても、大野氏は今後もこの冤罪処刑疑惑について、公に語ることはないと予想される。

◆大野氏同様に冤罪処刑への関与が疑われる1つ前の検事総長も・・・

そこで注目すべきは大野氏の天下り先だ。歴代の検事総長は誰もが大野氏同様に弁護士登録し、日本有数の大企業に天下りしているからだ。直近5代の元検事総長たちの天下り先を別掲の表にまとめたが、文字通り、日本を代表するような大企業ばかりだ。大野氏と共に法務事務次官として久間氏の死刑執行の決裁に深く関与した1つ前の検事総長である小津氏も、何事もなかったかのようにトヨタと三井物産で監査役のポストを得ている。大野氏も小津氏と遜色のない天下り先を得る可能性は高い。

久間氏の遺族は現在も裁判のやり直し(再審)を求めており、福岡高裁で再審可否の審理が続いている。その一方で、この冤罪処刑疑惑に深く関与した官僚たちが何事もなかったかのように恵まれた天下り先を確保し、ゆうゆうと余生を送る不条理。我々はこの現実を直視しなければならない。

直近5代の検事総長の天下り先

〈追記〉
大野氏をはじめとする久間氏の死刑執行に関与した法務・検察官僚たちに直接取材した結果や、大野氏らが決裁した久間氏に対する死刑執行関連文書が私の編著「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(鹿砦社)に収録されている。一読の価値はあると思う。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年2月号!
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
『NO NUKES voice』第10号[特集]基地・原発・震災・闘いの現場

2016年フラッシュバック芸能トピックス座談会(前編)

◎司会 
◎伊東北斗(芸能記者)
◎ミスターX(中堅放送作家)

 
[増補新版]ジャニーズ50年史(ジャニーズ研究会)

司会 昨年は1月から「SMAP」解散報道にベッキーと「ゲスの極み。乙女」の川谷絵音との不倫が連発して、記者たちは大忙し。寝る時間がないほど情報集めに奔走していたと聞きます。

伊東 「SMAP」解散報道は、いち早く芸能記者の片岡亮氏がスクープしていましたよね。いまでは「SMAP解散報道を抜いた片岡」と業界内で名刺代わりに言われています。

ミスターX 「SMAP解散」騒動を抜いたのは、一般的にはスポーツ紙だとされているが、これはジャニーズ事務所の意向を受けてのもの。まるで一部のスポーツ新聞は、ジャニーズ事務所の広報と化したかのように、「SMAP」の権威を守るために、こぞってSMAP独立を画策した「飯島三智元マネージャー」を悪者にしていた。

司会 その通りです。

ミスターX 飯島マネージャーが焦ってさまざまな芸能界の大御所に相談したようです。しかし、木村拓哉は工藤静香の反対に遭うとすぐに飯島マネージャーに「ついていけない」と伝えた。あの夏から「SMAP」は狂い始めたんです。あまりにも報道はジャニーズ事務所が作った「飯島の策略」というストーリーに乗りすぎています。「SMAP」は昨年の8月に独立の話が持ち上がった時に、すでに崩壊の序曲が始まっていた。このときに中居はすでに親しい松本人志に『SMAPが飯島マネと一緒に事務所を出るかも』と相談したようです。

伊東 まあいまだに中居が独立して事務所を立ち上げるとか報道されているが、楽曲の原盤をジェイドリームに抑えられているわけで、出ても飯が食えるわけがない。

 
中居正広 MERAMERA★メラメラ★PRINCE(ジャニーズ研究会)

司会 けっこうみんな「中居が独立」と書き飛ばしていますね。

伊東 この1月から始まった「SMAP解散騒動」では、どのスポーツ新聞やテレビ局がジャニーズ事務所と仲がいいかが如実にわかってしまった。それと「ジャニーズ事務所」ほどマスコミに関して口が堅い事務所はない。記事で「ジャニーズ関係者が語る」なんていうのはすべて嘘。この前あったDeNAの医療サイトでミ「取材なしのでたらめ医療記事」を掲載するミスがあったが、あれと同じレベル。

司会 続いて、社会問題ともなったベッキーと川谷との「ゲス不倫」ですが、「センテンススプリング」「文春砲」「ゲス不倫」が流行語大賞のノミネートされるほど大騒ぎとなりました。

ミスターX ベッキーと川谷がやりとりていたLINEの画面が流出しており、それを週刊誌の誌面で公開。もはや「ネットでのやりとり」は他人が確実に覗ける時代になった証左ですね。東野講じ関西の番組で熊切あさ美とこのやりとりを「音読」して、のちに「ワイドナショー」(フジ)に出演したベッキーに謝罪していたが「連日、バラエティ系ニュース番組は放送作家は何も考えなくても『ベッキーネタ押しで』で会議はすんだので相当、楽だったね。

伊東 熊切にまで揶揄されるとはかなり悲惨だね。

ミスターX 川谷については、ベッキーと別れたあと、ほのかりんと飲酒して「未成年に飲酒させていた」とさらにたたかれていた。半同棲ということだが、ほのかが事務所に支払うべき賠償金の1千万円を肩代わりするらしい。もう結婚する準備に入るのでは?

伊東 その可能性は大だね。その情報がとれればまたスクープだけど。

 
『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』

◆逮捕から3年間、警察の行確がついていた清原

司会 記者のかたたちが2013年あたりから「覚せい剤で逮捕される」とことあるごとに行っていた元プロ野球選手の清原和博が久しぶりに「社会復帰」しましたね。

伊東 昨年2月3日に覚せい剤取締法違反(使用・所持)で逮捕されて以来、ひさびさに七・三分けでスーツと、それまでの「番長キャラ」を捨てたスタイルでスポーツニッポンのインタビューに(2016年12月24日)答えていた。「自分だけでやめることなんか不可能。いろんな人に支えてもらうことが必要だし、厳しい留置場生活も一生忘れてはいけない。何より子供たちに自分の父親が逮捕された姿を二度と見せたくない。その気持ちがないと、薬物には立ち向かえない」なんて殊勝にも話をしていましたが、格闘技系の支援者がこっそりと会員制バーに通わせているの事実はプロ野球関係者ならだれでも知っています。

ミスターX 清原和博は、ニューハーフ美女と再婚するんじゃないかとささやかれ始めました。まあ逮捕されてから沖縄の宮古島でバカンスを楽しんでいる姿が写真週刊誌『FRIDAY』にスクープされていましたが、これはその支援者が『気分転換に沖縄に行こう』という話が清原の周辺から漏れたようです。

伊東 そもそも六本木の仲がいい医者に大金を渡して「シャブ抜き」を定期的に依頼していたのは裏社会では知る人ぞ知る事実。僕が手伝っているヤクザ実話雑誌には怪しいコーディネーターから「番長の遠吠え」なんていう連載企画が舞い込んできたのですが、事務所に連絡しても誰も出ないのであきらめた。そのコーディネーターも清原逮捕で海外に高飛びしたそうです。動いたライターは「何度も銀座に連れていかれてインタビューの前金をとられるなど振り回されて時間と金を無駄にされた」と訴訟も視野に入れているそうです。

ミスターX 清原を六本木で見かけたことがあったが、逮捕前はサラリーマンでもプロ野球関係者でもない、いわゆる半グレっぽい連中と一緒で不気味に見えました。歩いているところを直撃したこともありましたが、目はうつろでしたね。

伊東 清原のせいで母校のPL学園高校野球部に部員希望者がおらず、今年休部に追い込まれたといってもいいすぎじゃない。

司会 伊東さんは清原の裁判の傍聴に並びに行きましたね。

伊東 そうなんです。抽選に外れましたが、来ている人たちに話を聞いていくうちに「PL学園高校出身なんで気になって大阪から来ました」という「PL学園高校OB」のグループが2つや3つじゃなかった。野球が好き、嫌いということではなく“PL学園のOBに愛されていたプロ野球選手”だったんだなあと感じました。

ミスターX 清原については、警察のマークが厳しかったと聞いています。

伊東 僕も警視庁担当の新聞記者に何度も「いつ逮捕されてもおかしくはない」という情報が入ってきていました。ただし、清原をたどっても覚せい剤を扱う大物のヤクザなどは出ないと思いますね。小林和之という売人が暴露本を出したように、清原に覚せい剤を売っていたルートは何人も人が入っていて複雑ですし、僕から見て入手ルートは東南アジア系ですから。

ミスターX 僕も「スポーツニッポン」の清原のインタビューは見ました。「来年、入れ墨を消す」としているけど、なんですぐに消さないのかな。そのあたりからして反省の色を感じません。

司会 相変わらず敵が多いそうですね。逮捕前にたくさんキャバクラ嬢が「清原にドラッグやろうと誘われた」とさんざんぱら証言していた。またキャバクラ通いがはじまったら記者の餌食ですな。狩野英孝の6股騒動はなんだったのでしょうか。なんだか登場人物たちの売名行為にメディアをあげてつきあったような気もします。

 
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伊東 今から思えば狩野売名行為だ指摘されていたのは加藤紗里なんですが、とにかくあとから狩野が「別に交際していない」と発言して、一気に話に信頼性が薄らいだ。有吉弘行が番組で「俺は(加藤とは)絡みたくないね」と発言して物議をかもしていた。「週刊女性」の神谷明良記者がニコニコ動画の芸能番組で「どう見ても加藤はバリバリ整形している顔」と過激な発言をしてネットではいっせいに「整形手術10回以上」なんて書かれていた。

ミスターX その有吉は、夏目三久と妊娠騒動を起こして、日刊スポーツにスクープされたが、当初は双方の事務所に確認してもはっきりとした答えは言わない。番組も降りる、降りないの話が伝わってきたが、結局は夏目の事務所に有吉が謝罪にいってこの話はジ・エンド。すっきりしないうちに日刊スポーツが「事実誤認でした」と報じた。

伊東 有吉もマスコミをかわすために、芸人仲間のマンションを転々としたようです。ところが人望がないせいか、こぞってマスコミに「有吉さんが来てます」とリークされていた。写真週刊誌に直撃されて、「なんで俺の居所がばれるんだろう」って。そりゃあんたの周辺が情報を流しているからでしょうが(笑)。

ミスターX とくに夏目は“芸能界のドン”と呼ばれる事務所社長のお気に入り。有吉は速攻で謝罪したから許されたものの、あと2、3日謝罪が遅れていたら、芸能界から“消されていた”可能性がある。(後編につづく)

(伊東北斗)

キックボクシング界全体で年間最優秀選手を決める時代を目指す!

キックボクシング界から一人だけ選ばれる昨年の最優秀選手を予想するなら、ファンやマスコミ等ではすぐ頭に浮かぶことでしょう。それを形となって現わすことの出来ない現状であります。また多くの若者がデビューする裏側には団体の壁で区切られる層の薄さがあって新人王トーナメント戦には発展しない現状があります。

◆1986年の年間最高試合表彰式──衝撃的展開の2試合

1986年MA日本キック連盟新人王。小沢一郎氏がコミッショナーとなった時期、なかなか大々的でありました。左からフライ級宮野博美(光)、バンタム級清水隆弘(AKI)、フェザー級黒山猛(AKI)、ライト級杉田健一(AKI)、ウェルター級竹山晴友(大沢)

キックボクシングの昭和の全盛期では新人王トーナメント戦が各階級で盛んに行われていましたが、テレビが離れた後の業界の衰退期は、興行が激減し選手も育たない中、新人王戦も年間表彰式も行なえるわけもなく、ここから奇跡的復興した後のMA日本キックボクシング連盟の初期、1986年から年間表彰式が行なわれていました。

この年の最高試合賞は同年5月の日本ウェルター級タイトルマッチ、チャンピオン.向山鉄也(ニシカワ)vs 同級2位.須田康徳(市原)戦のダウン奪い奪われまた逆転の壮絶な試合でした。

1986年11月24日、年間表彰選出で落ちた方の、準最優秀試合になった試合。日本ウェルター級チャンピオン向山鉄也(ニシカワ)vsタイ国ラジャダムナン系ウェルター級チャンピオン.パーヤップ・プレムチャイ(タイ)戦。大木のような左ミドルキックで向山の腕は上がらなくなり、脇腹はケロイド状に腫れ上がった。スリップ気味ながらダウンを奪い2-0の判定負け

同年11月の向山鉄也 vs パーヤップ・プレムチャイ(タイ)も壮絶な試合で、選出に意見が互角に分かれるほどでしたが、過去の歴史の中でも現在まで、トップを争うほどの衝撃的展開の2試合でした。この年から新人王トーナメント戦も復活開催されています。

しかし、その後もキックボクシングにおいての年間表彰式は団体ごとの催しで、平成の時代に入ってからはMA日本キックボクシング連盟と全日本キックボクシング連盟での2団体が主に興行の中でのリング上で年間表彰式が行なわれるようになりました。現在のところは団体分裂が複雑過ぎ、またフリーのジムも多くなる分散化が進み、一部団体でしか行なっていないようですが、ひとつの団体だけの枠内で行なう表彰式では、そのレベルもキックボクシング業界全体としては価値の計りにくい曖昧なものとなってしまいがちです。

1993年1月に行なわれた全日本キックでの年間表彰式。清水隆弘も立嶋篤史も前田健作も杉田健一も熊谷直子もいた若き時代
2013年のプロアマボクシング年間表彰。年間最優秀選手賞の山中慎介(帝拳)選手。キックとは別世界の人のよう

◆ボクシング界が羨ましい

ボクシングではJBC、日本プロボクシング協会、日本ボクシング連盟(アマチュア)、東京運動記者クラブボクシング分科会が合同主催となって毎年1月に年間優秀選手表彰式が行われています。表彰対象はプロ・アマ別ですが、この辺は羨ましい限りの業界の結束力です。表彰は最優秀選手賞の他、殊勲賞、敢闘賞、技能賞、KO賞、努力賞、新鋭賞、最高試合賞などと女子部門があります。

また、新人王トーナメント戦もプロボクシングでは毎年各階級で行われますが、キックボクシングでの大々的な新人王各階級トーナメント戦は、昭和の時代と、上記のMA日本キックボクシング連盟の初期まで、その後は限られた階級だけでの少人数での争奪戦や一人だけ選ばれる新人賞など、団体にもよりますが近年まで存在しています。

世間の注目度が圧倒的アップするプロアマボクシング表彰選手の2014年集合写真

◆1973年、巨人の王貞治氏を抑えてキックの沢村忠氏がプロスポーツ大賞を獲った時代

そんな中、昨年末12月20日に行なわれた、プロスポーツ大賞授賞式で、キックボクシングから功労賞に日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本)、新人賞に日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原)が選ばれました。新人賞は加盟各競技から15名が選ばれ、そこから最高新人賞が選ばれます。

さすがにメジャースポーツに囲まれると、なかなかキックボクシングが上位に食い込むことは難しいですが、プロスポーツ大賞が発足した1968年(昭和43年)当時からキックボクシング選手も堂々絡んでおり、キックボクシング創始者・野口修氏の努力で、1973年には沢村忠(目黒)氏が王貞治(読売巨人軍)氏を抑えて大賞を獲った時代もありました。

20年続くニュージャパンキック連盟(NJKF)の昨年の年間表彰式。過去には後楽園飯店でのパーティー形式もありました

◆一人しか選ばれない最優秀選手の希少価値

そんな時代を振り返り、12月11日の興行で伊原信一氏が「いつかはキックボクシングから大賞を獲ることを目指していきたい」と述べていましたが、今、盛り上がりつつあるキックボクシングなら将来的には決して夢ではない時代に入って来ているのも事実で、野口修氏が残した加盟権は新日本キックボクシング協会が受け継いでおり、業界の結束力があればやがて実現可能に向かうかもしれません。

そういう格式高いイベントにキックボクシングが上位に躍り出るには、幾らでも増える国内タイトルより、プロボクシングと同様の年間優秀選手表彰と、プロの底辺となる新人王トーナメント戦の存在かもしれません。アマチュアムエタイが団体の枠を越えて交流している現状があるので、しがらみの少ないプロの新人王戦も大々的にトーナメントを戦わせてみたいものです。

全階級から一人しか選ばれない最優秀選手の希少価値は、ひとつの階級の日本王座より重みがあるでしょう。タイでもマスコミと協会が選出する年間最優秀選手賞があるので、日本もその方向の、形となって現すことの出来る環境へ、陰からその可能性を応援していきたいところです。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』
『NO NUKES voice』第10号[特集]基地・原発・震災・闘いの現場

「岸政彦先生、芥川賞受賞ならず」に関する謎の記者会見

 
 

  

―― まずは今回の感想を

「そうですね。力及ばずでした。応援して頂いた皆さんにお詫び申し上げます」(パシャ、パシャ、シャッター音とフラッシュを浴びながら)

―― ノミネートされた時点で手応えはありましたか。

「いやぁ。あの時は正直びっくりしましたね。正確にはノミネートされたことを知ったのはかなりあとで、仲間から聞かされたんです」

―― ノミネート直後には知らなかった。

「ええ、こう見えて結構忙しいんですよ。貧乏暇無しってやつ。あ、この表現差別になっちゃうかな(笑)。直後に知っていたらアクションはもっと早かったでしょうし、そうすれば結果もね……」

―― 受賞決定前の数日はかなり注目が集まりました。

「はい、激励や叱咤もたくさん頂きました。でも、こういう言い方はどうかなとは思うけど、ノミネートを知ってからは僕たちなりに必死だった。全力で走りぬけた感はありますね。とにかく『受賞』の一助を担いたいと。発表を聞いた時、僕ら全員泣きましたもん」(「本当か?という無言の質問が矢のように飛んでくるが、会場は一応静まっている)。

―― 気鋭の社会学者が芥川賞受賞実現すれば、ボブディランのノーベル文学賞受賞に似ている、という話題もありました。

「あ、それ、かなり意識はしていたんです。あれ見てカッコイイなと。ボブディランは授賞式に参加しなかったじゃないですか。だから彼も『東京で控えてください』と言われていたらしいんですけど、あえて大阪に縛り付けた。詳しくは言えませんが色々考えたわけです。最後はご本人の意向もありますけど」

◆上昇志向を隠しきれない本性を取材班は見抜いていた

―― 受賞の確信はおありになった?

「うーん、確信なんて持てませんけど、なんか天啓(受賞しない)みたいなものはあって。だから僕らは動いたのかな。僕らの中で議論したんですけど、実は彼がかなりの上昇志向なんだと読み解いたんです。たぶん無意識に。 」
  

 
 

  
「『地味に』とか『片田舎でひっそりと』とか『無名』とかそういう言葉が出ちゃうってことは、脳のどこかで真逆のことを発信している神経細胞、生理というか、もうこれは生得的なモノなんでしょうけどそういうものを『持っている』。だから『紀伊國屋じんぶん大賞』受賞のコメントでも『この本の最大の特徴は、何の勉強にもならない、ということだと思います。いちおう社会学というタイトルはついていますが、これを読んでも社会学や哲学や現代思想についての知識が増えることはありません。これは何の役にも立たない本なのです』と書いているんですが、直後に『この本で書いたことは、まずひとつは、私たちは無意味な断片的な存在である、ということと、もうひとつは、そうした無意味で断片的な私たちが必死で生きようとするときに、「意味」が生まれるのだということです』ってかなり断定的な言い方してるじゃないですか。押し付けがましいほどに。僕らから見たらこれは明らかな矛盾ですよ。決定的ともいえる意味の亀裂です。けど彼は矛盾と感じてはいない。これはかなり重要なポイントで、おそらく多くの読者も気づいていないと思うな。でも僕らは、それを見逃さなかった。あ、話それちゃったごめんなさい。確信はなかったけど、受賞に向けて最大限に力を尽くした。これは言い切れます」

―― 作品自体はお読みになりましたか?

「いや、あんなもの読んでる暇ないですよ。それほど悠長な暮らしはしていませんよ(笑)。だって僕たちは毎日、毎日原稿書いて、1本いくらの生活しているわけですから。日雇労働みたいなものです。世間には『読まなきゃ批評しちゃいけない、現場にいなきゃ発言しちゃいけない』と厳しいことを言う人がいるのは知っています。でも選挙で人柄に惚れて候補者に投票するなんてことは、日常的にあるわけです。『小泉現象』なんかまさにそうだったわけじゃないですか。作品から作家に興味を持つ場合もあれば、作家の人となりから作品の受賞を応援することだって許されていいんじゃないでしょうか。まあそのきっかけが僕らの場合偶然にも『M君リンチ事件』への彼の関わりだった訳で、これは大学教員としての見解を聞くべきだ、と思いましたね。僕らはジャーナリズム論を声高に掲げるつもりは全然ないけど、他のメディアが酷過ぎるるでしょ。それは申し訳ないけど断言しますよ。鹿砦社特別取材班なんかたかが10人足らずですが、今の報道状況への疑問は共有していますね。それが取材の根源を支える力にもなっている」

―― 受賞にはいたりませんでしたが、どのくらい貢献されたと思いますか。

「それはわからない、としか言えませんが、言えないこと、書けないことを含めて皆さんが想像される以上に頑張った。まあ、このくらいで勘弁してください」

―― 次回作が気になりますが。

「うーん。ギャラ次第ですかね。冗談ですよ(笑)。だって大学からの給与もあるし、共稼ぎですから、経済的には全然困っていないわけです。テレビ出演なんか準備はそんなにいらない割にギャラはいいし。僕ら日雇いとは違うんです。それからこれは強調したいんだけど、たぶん彼は本業の手を抜く気はないんですよ。研究者としてという意味です。だから次回作は未定でしょうね。と思ったらツイッターで『このたび残念な結果になりましたが、心からほっとしております(笑)。ここまで来ただけでもすごいことだと思います。みなさまのおかげです、ありがとうございました。今後も書き続けていきたいと思います。よろしくお願いします』とか『さあ、飲みに行くで!!!!(笑)みんなほんとにありがとー! また書くから絶対読んでね!!!』とか書いている。このあたりが僕らにはひっかかる。まあ正直と言えば正直な気落ちの吐露でしょうが、こういう言行不一致から人間性が見えてくるわけです」

―― これからも書き続けるということは芥川賞受賞を狙った大学教授ということになりますね。

「それを狙っていたわけです。彼には是非階段を上がって頂いて、著名になって欲しかった。経歴はだいぶ異なるけど、同じ大阪出身の高橋和巳を目指してほしいですね(「無理だよ無理!」の声が飛ぶ)、ああ、じゃあ高橋源一郎くらいにしときましょうか(爆笑)。でも毎年ノーベル文学賞候補になって、何年たっても受賞できない村上春樹って惨めだと思いません?そりゃ本出だしゃ売れるし、海外での翻訳も多いけど、あの露骨な『ノーベル賞欲しいよー』にはこっちが恥ずかしさを感じる。彼にもそうならない保証はないし、そのあたりは今後も注視しますよ」

―― ここまで熱心に応援された理由は何でしょうか。

「たぶん次の編集長には私がなると思っていた。それもありますね」

―― ちょっと意味が解らないんですが。
  

 
 

 
「僕らも解りませんよ。業務時間中のほとんどを『ネットパトロール』に費やしていて、国会前集会の決壊の準備までしていた藤井正美さんにはかないません」

―― ますますわからないんですが。

「しばき隊にそんなこと言ったら『ボケ』、『カス』、『死ね』と言われちゃいますよ(笑)。僕らは体張って仕事してますけど、笑いを大切にしているので(ただうちわネタ過ぎて解りにくいでしょうけど)、時に数人しか笑ってもらえなくても、死ぬほど笑わしたいという変な欲求があるんです。鹿砦社には吉本も手が出せませんしね(笑)」

―― 受賞応援以外にも何か目的があるようにも思えますが。

「『なおさらノーコメント』って言わせたいんでしょ(爆笑)。もちろんありますが、それは鹿砦社の出版物を読んで頂ければわかるのであえて発言するのは控えます」

◆鹿砦社特別取材班の地道な取材は続く

―― 特別取材班の次のターゲットは。

「引き続きこの問題に取り組まざるを得ないでしょう。というよりも、すでに今手一杯なんですよ。もちろん中心は『M君リンチ事件』。問題意識に変わりはありませんが、彼を襲った『しばき隊』が、そろそろ実質的にも力を失ってきている。これはかなり確信を持って言えます。彼らの相方であった『在特会』がおとなしくなって存在意義が揺らいじゃった。そこに『M君リンチ事件』が世に広まったでしょ。一部のコアな人を除いてそりゃ離れますよ。理念なき野合、しかもヒステリックじゃなきゃはじかれる訳でしょ。それからこの取材をしていると最近痛感するんだけれど、事件や自然災害にしてもそこへ向けられる人びとの注目、関心の期間・スパンがすごく短くなっている。これは社会的には良くない傾向だと思います。たぶんマスメディアの影響が大きいのでしょうが、大事件でも、年中行事でもニュースの価値・意味付けに対する感覚が、根元の部分で歪んでしまっている。しかも、マスメディアが持ち札を切るスピードは増すばかり。だから『風化』というのは、あらゆる事象に共通する現代的な問題だと思います。それに抗う意味でもわれわれは原則的に問題を追います。これは本当に地味な作業ですが『M君リンチ事件』は最後までフォローしますよ」

―― ありがとうございました。受賞おめでとうございました。

「いやいや、受賞できなかったじゃないですか」

―― 記者クラブから「芥川賞アシスト特別賞」を鹿砦社特別取材班に授与します。

「え!本当ですか?」

―― はい、副賞は岸政彦氏へ再度の取材依頼です。

「光栄です。次回は前回のように簡単には引き下がりませんよ。岸先生にお伝えください。他のメディアがやらなくて、提灯持ち記事ばかり書けば書くほど、僕たちは燃えるんです。僕たちは権威も権力も怖れませんから。『M君リンチ事件』隠蔽に彼が果たした役割も追い続けます」

(鹿砦社特別取材班)

 
残部僅少!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)
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籾井会長1月24日退任でNHK周辺居酒屋の「退任万歳の宴」予約盛況!

1月24日に3年の任期切れで退陣を表明しているNHKの籾井勝人会長については、契約世帯ならずとも世間からさまざまな理由で嫌われていたが、NHK職員たちからも「退陣万歳」の声が出ている。

「NHK近くの居酒屋やカフェバーなどはNHK職員やスタッフの『MS会』と呼ばれる隠語で予約が満杯のようです。『MS会』とはずばり、『籾井会長、さよなら会』のことですよ。とにかく何か籾井会長が暴言や失言をやらかすたびに、友人や知人から嫌味を言われる生活から解放されると思うと安堵のひとこと」(NHK関係者)

NHK全体では「1万人近い職員が働いてるが、地方局のスタッフも渋谷の本部の職員からの誘いで上京して『MS』会に参加する連中もいるようですよ」(同)

そもそも、2014年1月25日の就任会見では「政府が右というものを左というわけにはいかない」「(従軍慰安婦は)どこの国にもあった」「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」など大放言を連発した。ネットは大炎上し、国会でも議員からさんざん追及され、NHK予算は3年連続で全会一致の承認を得られない異例の事態となった。

「例年だとこの時期には、NHK会長が最後に勤務する日は、花束で送りだそうとか、そんな話が局長クラスから持ち上がるのですが、そんな話すらも出ずに『ようやく消えてくれるのか』という声ばかりを聞く。これは極めて異様な事態です」(同)

さかのぼれば、2015年3月には私的なゴルフで乗車したハイヤー代金をNHKに請求していたことが発覚し、マスコミの餌食に。

前出のNHK関係者は「籾井さんでは、マスコミの前に出ていくたびに、受信料の徴収率が落ちるといわれていた。このまま続投されていては組織が持たないので本来、会長を支えるはずなのに胸をなでおろしている経営委員は多いです」とひそかに語る。

「とにかく籾井会長は悪代官の印象が強かったです。携帯の保有者からワンセグ携帯の受信料について裁判を起こされて負けたのに、ただちに控訴。即座に高等裁判所に控訴して『受信料の支払いを主張していく』と昨年10月に息巻いたタイミングでは相当、NHK職員たちが世間にたたかれました。そして無理とわかっているのに執拗に『SMAPの紅白出場』へとこだわり続けた。あれこそ『皆さまに愛される』どころか『皆さまに嫌われる』NHKを作っていくだけ」(同)

さらに、2025年から一部運用していくという新社屋に約3400億円もかけるというバブルな計画も『籾井離れ』を加速させた一因だ。

報道局にいる40代社員は「籾井時代は、彼の覚えがめでたい幹部は、やたらと経費が落ちやすかったようだ。そうした情報にいつもいつも現場の僕らはカリカリしていた。いまだに籾井さんの印鑑がないと経費が落ちずに精査にまわっている、『M経費』と呼ばれるグレーな製作費が数百万あると聞いているが、まあそのまま藪の中だろうな。つぎの上田新会長がまともな運営をしてくれることと祈るよ」と語る。

かくして、NHK本部近郊の居酒屋では「籾井退陣、万歳」の乾杯の声がさぞかし聞かれることだろう。

それでも、籾井会長を評価する声も確かに一部ある。籾井会長は実績として「リオパラリンピックのネットライブ配信」「国際放送の強化」「受信料支払い率80%達成」などと局内で評価して、退任を残念がる職員がいることも確か。

「8Kに加えて4K放送の実施を決断したり、ネットによる同時送信の推進も打ち出した。受信料値下げも検討するはずだったが、やりとげてほしかった」という声もあり「最後の日は式典などで声を聞きたい」という局内から出ているという。

NHK広報に「籾井会長を送り出す式典や花束贈呈はやるのですか」と聞いてみたが、5分近く保留されたうえに「籾井会長に関してそのような情報がきていません」(1月6日18:33)とのこと。

次期会長には、三菱商事の副社長で現職のNHK経営委員・監査委員の上田良一氏が就任となるが、「籾井体制」の垢を洗い流せるか。注目したい。

(伊東北斗)

 
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本日発表の芥川賞、岸政彦先生が受賞されたら大阪「祝いの宴」はこの面々で

 
 

  
芥川賞第一回は1935年、石川達三の『蒼氓』が受賞している。『蒼氓』が芥川賞第一回の受賞作とは知らなかった。筆の早い石川達三は後に押しも押されぬ文壇の大御所となり、日本ペンクラブの会長まで上り詰めた。ただ、「芥川賞」=「作家としての将来を保証される」かといえば、かならずしもそうではなく、文学の世界では新人作家の登竜門的色合いが濃いとされている。芥川賞に対して直木賞は「受賞すれば生涯食うのに困らない」と言われるだけあって、作家の中でもすでに一定の評価が定まった候補の中から受賞者が決まる。

さて、ごたくをならべるのはここまでだ。いよいよ本日17時に第135回芥川賞の受賞者が発表される。英国のブックメーカー(英国ではあらゆることが賭けの対象となる)が芥川賞受賞者予想を賭けの対象にしているか、英国在住の友人に聞いてみたが「聞いたことないよ」とのことだった。まあそうかもしれない。英国人にとっては賭けるにしても、判断材料が少なすぎるのだろう。

◆宴の場は大阪、十三の「美味しいホルモン焼いている」店にしたかった

でももし、日本で同様の賭けが合法であれば、特別取材班は迷いなく、岸政彦先生の『ビニール傘』にどーんと張る。そして受賞のあかつきには、払い戻し金を手に、受賞記念パーティーを独自に準備する。場所は大阪、十三の「美味しいホルモンを焼いている」店にしたかったが、あいにく昨年10月末で閉店してしまったので、コリアNGOセンターに場所をお借りしてまずは一次会だ。パーティー参加者には『反差別と暴力の正体』で取材対象となった方々も招待しよう。

祭りだ! 祭りだ! 岸先生が文豪への第一歩を歩みだされた記念の日、これを祝わなくて、何を祝う。岸先生の洋々とした前途を祝し、著名人もたくさん招待しよう。有田芳生参議院議員、作家の先輩中沢けい氏、なにかと話題の香山リカ先生、取材班の田所敏夫は絶縁したけれども、この際のりこえねっとの辛淑玉さんにも声をかけよう。あんまり関係ないけど合田夏樹さんも呼ぼう。司会進行は元鹿砦社社員の藤井正美氏にお願いするのがいいだろう。撮影係りは秋山理央氏をおいてほかにはいまい。特別取材班は黒子に徹する。社長松岡もこの日ばかりは裏方だ。

◆お祝いスピーチのトップは李信恵さんしかいないだろう

岸先生「受賞の喜びのご挨拶」に続くスピーチのトップは、やはり先生に一門(ひとかど)ならぬお世話になっている李信恵さんしかいないだろう。李さんも「やよりジャーナリスト賞」受賞作家だからこれで受賞作家同士、さらに友情と信頼が深まることだろう。李信恵さんの『鶴橋安寧』を出版した「編集者の罪は重い」と李さんに憎悪を抱いていた朴順梨さんも、受賞者が岸先生ならば文句はあるまい(あれ? 朴さんが李さんを嫌っていたことって内緒だったっけ?)。先輩作家の中沢けいさんからは「何か不都合な取材や質問を受けた時は『なおさらノーコメント』よ」とユニークなアドバイスが飛び会場が笑いに包まれる。岸先生の笑顔が絶えることはない。

 
 

  

◆「文学におけるヘイト」をテーマに野間さんだって語ってくれる

宴たけなわで登場は、ソウルフラワーユニオンの中川敬さんだ。プロのミュージシャンの生歌が聴けるのも、やはり岸先生の人徳がなせる技だ。中川さんは「騒乱節」を披露してくれ、会場の盛り上がりは最高潮に。参加者の酔いがほどよく回ったところで、「NO HATE TV」でおなじみの安田浩一さんと野間易通さんが「文学におけるヘイト」をテーマにトークショーを披露だ。最近ツイッターで何を書いてもリツイートが激減している野間さんだが、この日ばかりは張り切っている。「調査なくして発言権なし」と国会議員になってもジャーナリスト魂を忘れない有田先生は、控えめにも会場の隅でメモをとっている。スピーチも固辞された。なんと謙虚な方だろう。有田先生の横には寺澤有氏の姿がある。必死で何かを有田先生に語り掛けているようだが、有田先生は取材に忙しく寺澤氏に構っている暇はないらしい(無視か)。合田夏樹さんはいつも通り綺麗どころを口説きまくって、いや、楽しませている。

懐かしいあの顔が見える。シースルーじゃなくてブルーシールでもなくてなんだっけ・・・。えーっと、シズル、違う。シールズだ! 憲法9条2項改憲主義者にして「民主主義ってなんだ」と自問しながら一橋大学の大学院に進学した奥田愛基氏だ。「民主主義ってなにか」わかったのだろうか? 時代の寵児としてもてはやされたけど関西では、司会の藤井正美氏らがコントロールしていて、「極左探し」の名のもと何の関係もない学生2人を「極左認定」しパージ(追い出し)していたシースルー、じゃなかったシールズ。見通しも風通しも悪かったよな。まあいいか。

◆芥川賞受賞記念パーティーのサプライズ

さあ、これで終わると思ったら大間違い。芥川賞受賞記念パーティーにはサプライズがなくてどうする。会場の照明が消えた。ざわつく会場に音声が流れ始めた。

「どっちや!どっちやゴラァ。言うてみぃ オラ(一発大きな殴る音)。言うてみんかい!(一発)。こっち来いコラクソガキ。どヘタレ」、「訴えたらええやんけそれやったら。徹底的にこっちもやったろやないけ。それで俺がパクられても上等やんけお前。売るか売れへんか見てみろや。頭下げへんで。お前なんかに。訴えられたって。あん?お前の味方してくれる奴何人おんのやろのぅ。これで。京都朝鮮学校の弁護団? お前の味方になって もらえると思うか?」

物騒な怒鳴り声が会場にこだまする。闇の中、聞くに堪えないと会場から出ようとする人もいる。怒声はさらに続く。
  
「KさんとかMさんでも誰でもええわ。今おるあいつらも。Iさんでも、Tさんでも男組でも。お? 勝負したろやないけ、それやったら。やるか!? どっちや!? 訴えてみぃやお前!(ドスッという音)おぉ、いつ起訴する?やってみぃ。(一発)コラ。いつや? 明日か? 明後日か? どないすんねん。弁護士事務所ドコ行くねん? どの弁護士行くねん。やってみぃや!コラ (一発)。クソが。やってみぃ、やってみぃ言うとんのやぁお前(一発)。おい。腹くくったから手ぇ出しとんねん、こっちはお前。あぁ? やったらええやんげ、やんのやったらぁ。受けたるからぁ。とことん。お前その代わり出た後、お前の身狙ろて生きていったんぞコラ」

「もうやめましょうよ」岸先生の声が響いた。その時だ。会場の正面左側にスポットライトが照射された。顔を腫らした男性が立っている。「キャー」参加者から幽霊でも見たような奇声があがった。無理もない。男性の顔は腫れあがっているだけでなく、唇は切れて血が滴り、鼻血も出している。男性は無言だ。またしても会場に女性の声が響いた、少し酔ったような口調だ。

「まぁ殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」

 
 

  

スポットライトを浴びた男性は顔から血を流しながら、岸先生の方へ向かう。手に何かを持っているようだ。岸先生の顔が心なしか蒼褪めている。男性は小さな封筒から紙を取り出した。静まり返った会場で彼はその紙を読みだした。

「『李信恵さんの活動再開は、Mさんが最初期からカウンターの最前線に立ってヘイトスピーチに反対する活動をおこなってこられたお気持ちに反することはないものであると考えております。どうぞご理解いただき、ご了解いただきますようお願いいたします』これ、受け入れられませんのでお返しします」

紙を封筒に戻すと、少し血の付いた手で男性は岸先生に封筒を手渡した。岸先生の手が震えている。そして先生は消え入りそうな声で男性に語り掛けた。懇願しているようだ。

「これインターネットとかに出さんといてくださいね」。男性は黙って首を横に振った。

しまった! 寝過ごした。変な夢を見た。今日は岸先生の受賞発表の日じゃないか、記者会見抜かりなくこなすぞ。

 

(鹿砦社特別取材班)

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