教科書選定賄賂事件と「新しい歴史教科書をつくる会」

新しい歴史教科書をつくる会が3月7日、文部科学大臣に提出した要望書

実は、昨年の末から小中学校の教科書検定中の教科書を教員に見せて、教科書を作る出版社が謝礼を渡していた贈収賄事件で、これを追及する「新しい歴史教科書をつくる会」が永田町で立ち上がっている。

いつもは衆議院議員会館の、狭い地下の会議室で行われるのだが、年配ばかりで悲しい。作曲家のすぎやまこういちや国際文化人のデヴィ・スカルノらも名前を連ねる同会だが、有名どころはあまり顔を出さない。文部科学省が発表したところによると、受領した人数は、すでに4,000人を超えており、その謝礼総額は5,000万円を超えている。この事態を受けて、「新しい歴史教科書をつくる会」の事務局としては、3月7日に東京地検特捜部に、教科書発行各社の代表者を贈賄の罪で刑事告発した。

だが東京地検は、結論からいえば「公正取引委員会」に丸投げ。さらにこの「公正取引委員会」の連中もやる気がないときている。

「教科書贈収賄事件」を糺す会(代表=加瀬英明)が6月17日、公正取引委員会に提出した要望書

文部科学省が教科書出版社に5,147人に見せて、うち3,996人に謝礼を渡していることがはっきりしている。

とりわけ埼玉県では圧倒的にこの賄賂受諾の動きは多数。もっとも謝礼を渡していた書籍は東京書籍で、謝礼を受け取った167人中、116名が東京書籍から「よしなに」と金品を受け取った。

「はっきりいって教員が教科書採択に影響を与えてもいいものかどうか」(藤岡信勝・拓殖大学客員教授で「つくる会」副会長)

小学校で配られる教科書は、ある意味「世の中」への入口だ。
その教科書の採択で、賄賂まみれのチョイスが行われている。
なるほど、こうした教育システムで〝きちんとした軌道〟を歩んで学歴を重ねていき、例えば最高学府を卒業すると「えー、その件につきましても政治資金報告書に記載の事項でございますので第三者の厳しい精査に結果を委ねたい」と回答する都知事が生まれるのだろうな、たぶん。 

(伊東北斗)

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関西大で鹿砦社松岡利康社長が「出版と人権─出版社が守るもの」を語る

関西大学で共通教養科目の中のチャレンジ科目として開講されている『人間の尊厳のために』の講師として20日に続き、27日松岡社長が教壇に立った。「出版と人権─出版社が守るもの─」の演題で、150人の学生に向かって松岡節が再び披露された。

◆「被逮捕者、勾留経験者」がその実態を学生に語る講義

 

この日は2005年7月12日、神戸地検特別刑事部に松岡社長自身が名誉棄損容疑で逮捕された事件を中心に、「被逮捕者、勾留経験者」がその実態を学生に語るという、大学の講義には珍しく、かつ刺激的な内容となった。

逮捕当日の新聞記事をはじめ、事件の推移を伝える参考資料など、2部、計13枚の資料が学生に配布され、「逮捕されたら全裸にされ尻の穴や性器まで調べられる」こと、「手錠、腰縄でつながれて公の裁判の場に出される」こと、被疑事実を認めない限り保釈されず、接見禁止も長期にわたる「人質司法」が日本では現存していること、などの問題点がレジュメに沿って紹介された。

 

松岡氏はその出版活動歴や、この日話題とされた「事件」の印象から、大柄で押し出しが強く、がらっぱち口調で話をする人物、とのイメージを抱いている方が多い(私も実際に会うまではそのように想像していた)が、小柄で常に背広にネクタイを締め、語り口は普段の会話でも時に聞き取りにくいことがあるほど、どちらかと言えば小さな声で話しをする(激高して熊本弁交じりの怒声を上げた姿を一度だけ目撃したことはあるが)。この人が学生時代に大学の学舎屋上に籠城し、強烈なアジテーションを飛ばしていた姿を想起することは容易ではない(一度は聞いてみたいものである)。

教壇上から学生に語り掛ける口調も、普段のそれと変わりなく、極めて熾烈な内容と体験談を、声を荒げることもなく淡々と語っていた。だからであろうか、テーマの深刻さの割に学生たちの反応に特に強い緊張は感じなかった。

だが事件を紹介した「サンテレビ」のニュース番組のビデオが流されると、教室の雰囲気は一変した。やはり「テレビ」の持つ訴求力は強力だ。今、目前で講義をしている人が11年前には「犯人」とされていた事実が、初めてどのような意味を持つか学生たちに伝わったようだった。

そこから演繹的に松岡社長がその日語った内容、及び20日に語った内容への理解へと繋がっていったのではないだろうか。

◆次週からのグループ討論用資料のためにと「松岡流」のサプライズ

さらにこの日松岡社長による思いがけない計らいがあった。20日の講義で紹介したプリズンコンサートで有名な「Paix2」(ぺぺ)の『逢えたらいいな』、『島唄よ、風になれ!「琉球の風」と東濱弘憲』、さらにこの日の講義のテーマでもあり、名誉棄損逮捕につながった『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』各50冊を「学生の皆さんにプレゼントします!」と言い放ったのだ。

『逢えたらいいな プリズン・コンサート三〇〇回達成への道のり』
『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』
『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』
 

大学での講義でまさか書籍をプレゼントされるとは、不意打ちもいいところだ。少々眠そうにしていた学生も、全員が一瞬「え!」という驚きで教壇上の松岡社長に強い注意が向かった。

太っ腹故の大盤振る舞いと言ってしまえばそうだが、このプレゼントには松岡社長なりの配慮もあったようだ。次週にはグループ討論が行われる。その時にあらかじめグループの全員がプレゼントされた書籍を読み終えておき、討論の内容をより深いものとして欲しい。その為ならば1500円(偶然だが3冊とも定価は同じだった)の自社出版物くらいタダで提供しましょうと。これまた「松岡流」の規格外サプライズだ。

30あるグループが相談の上、どの書籍を受け取りたいかを決めて、その意向が集約された。最初は「Paix2」(ぺぺ)の『逢えたらいいな』が準備した部数以上の人気を集めたため、再調整の結果ほぼ均等に配分され、受講学生はこの日いずれかの書籍を手に教室をあとにすることになった。

次週はグループ討論、再来週は全体討論と続くこの講義、まだまだ「松岡流」のサプライズ、隠し玉があるのかもしれない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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小保方手記本で再び高まる早大理工学部への「風評被害」

「STAP細胞はありま~す」と世間を騒がせた小保方晴子氏(元理化学研究所・ユニットリーダー)が出した暴露本「あの日」(講談社)が話題を呼んでいる。

この本で怒りが収まらないのは、早稲田大学の理工学部の職員や学生たち。
「STAP細胞の騒動を『すべて填められた』として逃げている。こんな恥ずかしい本が出たら、学生の就職にも影響する。いっそのこと、他人の論文をパクった博士論文の取り消しだけでなく、修士論文も、審査すべきだと思うな」(早稲田大学関係者)

また、別な研究者は憤る。
「この際、小保方さんの修士論文を審査して、不備があったら、学位をすべて取り消して卒論を再提出させろ、という話は講師たちの間で確かにあったようですが、教授会にあがるような話でもありませんし、すぐに話は立ち消えました」(早稲田大学理工学部関係者)

◆小保方さんの出身学部であるという理由で嫌がらせのような面接を受けた早大生

「小保方さんの本は発売から2日たった時点では、35冊のうち、17冊売れました」(都内中堅書店)というからまずまずの売れ行きだ。

ところが世間でもぶちあげた「STAP細胞の再現」ができなかった原因を、完全に他人のせいにしている部分が批判を浴びている。とりわけ、第十五章「閉ざされた研究者への道」では、博士論文の内容に疑義があるとして再提出を求められた経緯を展開しつつ大学が、訂正論部は提出されたが、訂正作業が終わらなかったとして、博士号の取り消しを決めた事実について『早稲田大学は強く否定したが、私には大学の教育方針よりも社会風潮を重視した判定を下したとしか思えなかった。結局、約束されていたはずの論文指導を受ける機会は与えられず、審査に対する反論すら受付けられないまま、私の博士号はいとも簡単に剥奪された。』(第十五章 「閉ざされた研究者への道」より)。

早稲田大学の理工学部4年のある学生は
「私たちは、けっこう小保方さんの出身学部であるという理由で、いやがらせのような面接、たとえば『卒論は偽造していないよね』などと言われました。この上、古巣を罵倒するなど、研究者としてやってはいけない行為だと思いますよ」と語る。

早稲田大学の広報に「小保方さんの書籍で早稲田大学の博士号書き直しのプロセスが批判されているが」と聞くと「内容を見ていないのでなんとも言えませんが、もちろん事実誤認があれば訴訟も視野にいれます」とのこと。「修士論文の審査はあるのか」と聞くと「今のところそのような動きはありません」とした。この騒動はまだまだ尾をひきそうだ。

(伊東北斗)

◎誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由
◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる
◎ストーカーメールの正体を暴く

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《大学異論44》同志社大学幹部職員逮捕は学内政治と無関係な事件なのか?

1月19日、同志社大学の幹部職員をはじめとする6名が逮捕されたと報じられた。容疑は廃棄物の処理方法に関することだと言われているが、この程度で大学の職員が令状逮捕されるのは極めて異例だ。テレビでは被逮捕者も含め実名報道がなされている。思い起こしてほしい。直近に起こったカレーチェーン店の処理物廃棄問題との際立ちを。

この逮捕劇には必ず裏がある。この程度の事で令状逮捕を強行する裏にあるのは「政治的」理由に他ならない。昨年「戦争推進法法制」に賛意を国会で表明した村田現学長を同志社が落選させたこととの関連はもちろん不明だ。

かなりの注意深さを持って推移は見守られるべきだ。理事長水谷氏が「今後このようなことが無いように注意する」とコメントを発しているが、被逮捕者は依然、起訴すらされいない。

学内政治と無関係な「事件」と断じる方が無理があろう。
同志社よ「腹をくくれ」。

◎[参考動画]2015年7月13日衆議院平和安全特別委員会中央公聴会(村田晃嗣は動画13:35から)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎「一期限り」を公言しながら再選狙った村田前学長が同志社大学長選で落選!
◎奨学金地獄と高すぎる学費──揺るぎなき教育貧困国・日本
◎沈黙する大学の大罪──なぜこんな時代に声を上げないのか?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

2015年再考(4)戦争と大学──「学」の堤防は決壊し、日常を濁流が飲み込んだ

東京大学総長の濱田純一(当時)が「デュアル・ユース(軍民両用技術)」の研究解禁の声明を発表したのは今年の1月16日だった。

濱田純一はその声明の中で「軍事研究の意味合いは曖昧」だが「東京大学での研究成果について、デュアル・ユースの可能性は高まっている」と表明した。

その上で、「このような状況を考慮すれば、東京大学における軍事研究の禁止の原則について一般的に論じるだけでなく、世界の知との自由闊達な交流こそがもっとも国民の安心と安全に寄与しうるという基本認識を前提とし、そのために研究成果の公開性が大学の学術の根幹をなすことを踏まえつつ、具体的な個々の場面での適切なデュアル・ユースのあり方を丁寧に議論し対応していくことが必要であると考える」と結び、「軍民両用技術」研究解禁を容認する声明を東京大学の総長として発したわけだ。

2015年1月16日付け濱田純一東京大学総長(当時)の声明

◆迂遠な表現で「軍事研究」全面解禁を表明した東大総長声明は歴史的な事件である

迂遠でありながら意図するところが「軍事研究」の全面解禁に他ならないこの「宣言」は2015年が、まつりごと(政治)の世界だけではなく学問、教育機関も「戦争」へ向かうことを明言した「事件」として記憶されなければならない。

さらに最近になり、この「軍事研究解禁宣言」以前から、こともあろうに米軍の資金提供を受けた研究が全国の大学で多数行われていたことが判明した。
「研究機関に米軍資金 名城大など計2億円超」(2015年12月7日付中日新聞)

教育・研究の現場では「戦争準備」体制が誰はばかることなく猛烈な勢いで立ち上がっている。

◆「戦争推進法案」賛成の意見を国会で述べたピエロ村田晃嗣=同志社大学長

「良心」も「節操」も入り込む隙間すらない「高等教育機関」の際限なき国家への追従、堕落の惨憺極まりない無聊な絵画の仕上げを担ったのは同志社大学長村田晃嗣(当時)だった。

ピエロを演じる自覚があったのかどうか知らないけれども、私の感覚からすれば「道化者」のような衣装をまとい国会特別委員会中央公聴会に公明党推薦の参考人として「戦争推進法案」賛成の意見を述べた村田は「道化」が過ぎて同志社大学長選挙で落選の憂き目を見た。だが、それをもって「同志社」の良心復活などと喜んでいる方々がいるとすれば目出度たさが過ぎるというものだ。

最後の堤防はつとに決壊し、濁流が日常を飲み込んでいるこの人為災害を感じることができなければ、高等教育機関で教鞭を取っている方々は職を辞したほうが良い。


◎[参考動画]戦争法案【賛成】公述人=公明党推薦・村田晃嗣=同志社大学学長(2015年7月13日)

◆「卑怯な非政治性」をまとった鵺(ぬえ)たちの学府

「戦争」加担に自然科学も社会科学も人文科学もありはしない。2015年12月、大学で教職にあり、戦争に「反対しない」ことは(戦争に)「加担する」ことと同義である。もう、中間領域などない。「YES」か「NO」。どちらにつくか、自身の立場を明確にしない研究者、教育者はすべて戦争に加担する「卑怯な非政治性」をまとった鵺(ぬえ)だ。

否、さらに悪質なのは「戦争推進法案」反対運動が全国で沸き上がり、その中心として国会前で行われた抗議行動に登場した現職・引退した大学教員達だ。政治の「イロハ」も知らぬ学生たちが(おそらく)本能的に「戦争は嫌だ」と起こした行動を自身の「良識派」振り発揮の好機だと姑息にも抜け目のなかった連中は、本質的な「戦争への反対・国家への抵抗」を極力「排除」すべく「坊や」や「お嬢ちゃん」たちに賛辞を投げかけ、「ようやく若者が目覚めた」、「この日を待っていた」などと聞いて居る者が恥を感じるような甘っちょろくも薄っぺらな軽口を叩き続けた。

◆「若者に共感した」と言いつつ、ストも打たず職も辞さない大学の教職員たち

自民党の勉強会で何度も講師を勤めたあの改憲論者さえもがそこにはいた。あんた達は国会の前で学生を持ち上げているけども日頃は大学で何をしているんだ。教授会で「戦争推進法案反対」の決議を提案したのか。まさか学内に公安警察を常駐させていて黙ってはいまいな。学内外でビラを配布しようとしている学生を監視し、弾圧をしてなどいまいな。絶対に。

60年安保や70年安保よりあたかも「優秀」な抗議行動のようにあちこちで吹聴していた東大名誉教授、あんたはいつの時代でも結局時代と寄り添っているだけじゃないのか。そもそもコンサートか何かと見違えるような、あの光景を見てあれが「反政府抗議行動」だと本気で感じていたのか。だとすればあんたの得意な打算は完全に的外れだ。あんたは完全に勘違いしている。救いがたく。だから本音をちょっと発語しただけで総叩きにあったじゃないか。

「戦争推進法案」に反対して教職員組合がストライキを打った大学があるか。職を辞した教員がいるか。自分の仕事や体の一部でも「賭けて」闘った教員がいたら教えてくれ。

年末の流行語大賞の候補に戦争推進法案反対に関係する「○○○○」や「××××」が選ばれたといって喜んでいる愚民たち。そこにニコニコしながら加わる澤地久恵。広告代理店と資本によって回収されていく情報商品に選定された「戦争反対」は滑稽ではなく恐ろしさを強いてくる。怖いのは権力や資本じゃない。誰にも指示されずに、アルバイト代ももらわずに権力代行業に余念のない(しかも本人には悪意が全くない)スタイリッシュでカッコよく「普通」な人。「普通の人」が織りなす「パレード」や「フライヤー」だ(「デモ」や「ビラ」はダサいから排除される)。

東大総長の「軍事研究解禁」と同志社大学長の村田の国会における希代の「戦争賛成」発言。そして戦争に「反対」しているはずで9条改憲は賛成で、リベラルで「自民党感じ悪いよね」なのに安倍政権打倒と言ったら「過激」だと怒る人達。
ビルの横でニンマリウインクしているジョージ・オーウェルと目が合った。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎今こそ同志社を<反戦の砦>に! 教職員有志「安保法制を考える緊急集会」開催
◎同志社の「良心」は「安保法案」賛成の村田晃嗣学長を許すのか?
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
◎2015年再考(1)「シャルリー・エブド」襲撃事件と表現の自由、力学の軋み
◎2015年再考(2)橋下ファシズム台頭の起源──TV×維新×虚言の愚劣な結託
◎2015年再考(3)湯川さん、後藤さん人質事件の惨事からこの国は何を学んだか?

自由に多様な論争を!「脱原発」×「反戦」の共同戦線誌『NO NUKES voice』!
『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

 

「一期限り」を公言しながら再選狙った村田学長が同志社大学長選で落選!

11月6日、任期満了にともなう学長選挙が同志社大学で行われ、第33代学長に理工学部の松岡敬(まつおかたかし)教授が選ばれた。この学長選挙には4年前に「大学長になっても一期しか学長は勤めない」と公言していたはずの村田晃嗣(むらた こうじ)も立候補していた。

7月の衆議院平和安全法制中央公聴会で「戦争推進法案賛成」を明言し、私立大学学長としては実質的に日本の歴史上初の「戦争推進発言」を行ったファシスト村田は、同志社大学が築いてきた「リベラル」、「良心教育」の歴史を完膚なきまでに踏みにじり、同志社の名を地に落とした。

◆落選したからといって国会で大学長として行った発言の罪が消えるわけではない!

もう学長とは呼ばれなくなる村田。しかし戦争推進発言の罪は消えない

その村田が学内外の良心的な人々から強い指弾を受けながら、恥知らずにも「公約」であった「一期限り」をかなぐり捨て、厚顔無恥にも再び学長選挙に出馬した。学長選挙の候補者になるためには推薦人が必要だが、恥ずかしくも「戦争推進」を公言した村田を支持する人間が同志社大学には一定数存在していたわけだ。

しかし、声を挙げない、行動しないように見えた教職員の中にも「最後の良心」は残っていた。橋下徹同様「公約破り」を平然と行い、同志社に限らず全国の若者を戦場に送り込む最悪法に賛成の意を示した村田。大学人としては万死に値する倫理的大罪を犯しながら、その後も平然と「良心学」の講義の教壇に立っていた村田。本来は任期満了を待たずに、国会での発言直後に「打倒・追放」されるのが村田には当然の報いであったが、よくも再度学長選挙に立候補などできたものだ。奴には「戦争推進法案賛成」の引き換えに、自民党から「ご褒美」が用意されていると、私は見立てていたが、自民党から約束を反故にされたか。それとも大好きな米国(とりわけCIA)から離縁されたのか。

落選したからといって学長として国会で行った発言の罪が消えるわけでは決してない。同志社大学関係者はこの選挙結果に安堵することなく、「村田発言」への責任追及は断乎継続しなければならない。


◎[参考動画]戦争法案【賛成】公述人=公明党推薦・村田晃嗣=同志社大学学長(2015年7月13日)

◆同志社の村田打倒から大阪のファシスト橋下打倒を!

スクラップ・アンド・スクラップで間もなく崖から落ちる橋下徹(2015年10月31日おおさか維新の会 結党大会後の記者会見にて)

そして、関西ファシズムの元凶橋下とその断末魔「政治団体大阪維新の会」(政党ではない)候補の出馬する、大阪市長、大阪府知事陵選挙で、何としてもファシスト橋下=「政治団体大阪維新の会」を最終的に完全撃沈させよう。

私たちはいったいどれほど多くの貴重なものを奴に奪われたことだろうか。村田打倒から橋下打倒へ! 大阪府民、市民の皆さんの決起を強く呼びかける!

 

 

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◎奨学金地獄と高すぎる学費──揺るぎなき教育貧困国・日本
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《大学異論43》奨学金地獄と高すぎる学費──揺るぎなき教育貧困国・日本

旧日本育英会ほか数団体が統合され発足した日本学生支援機構が貸与する奨学金がようやく世間でも問題化しはじめた。現在同機構が貸与する奨学金には2種類あり、1種は無利子で、2種は有利子だ。1種を申請すると成績や保護者の収入で借りられない場合があるが2種はほぼ無条件で貸与を受けることができる。

但し、貸与開始の際には連帯保証人を立てなければならないし、学費支弁者(多くの場合は親)以外にももう一人の保証人に印鑑を突いてもらわなければならない。債務者は学校を卒業した後の学生本人だが「とりっぱぐれ」の無いように「簡単に貸すが回収(取り立て)も厳しくいく」という体制が出来上がっている。サラ金のようなありさまだ。

◆「日本学生支援機構の奨学金(2種)≒ローン」という本音を吐いた中谷防衛大臣

「奨学金」は本来、その語句が示す通り「学びを奨めるための資金」であったはずだけれども、そこに「利息」を付加したことにより性格が大きく変容した。先の国会参議院特別委員会で中谷防衛大臣は「徴兵制」への懸念についての質問を受けた際に、「学資ローンを受けている学生」という言葉で答弁している。舌が滑ったのだ。本当は絶対に口にしてはならない本音が防衛大臣の口から出た。日本学生支援機構の奨学金(2種)は実質的に「ローン」だということを中谷大臣は告白してしまった。

同機構に問い合わせてこの発言についての見解を聞いたが「奨学金はあくまで奨学金で、ローンとは考えていません」との回答が返ってきた。そりゃそうだろう。実質国の機関なんだから、実態が「ローン」でも「奨学金」と言い張らないと体面が維持できない。

この失言を私は複数の野党議員に伝えたが、その後「中谷教育ローン」発言を追及する質問はなかったようだ。

◆平均給与所得世帯でさえなんらかの借金をしなければ子供を大学にやれない劣化社会

そもそも、学校に通うのに「教育ローン」を借りなければならない社会とはどんな世の中なんだ。高等教育に限れば今日私立大学理系の学費は150万円をゆうに超えるし、国立大学だって50万円以上かかる。国税庁によると2013年全給与所得者の平均給与は約414万円らしいが、一人の子どもを私立理科系大学にやれば、年間収入の3分の1以上を割かなければならない。

仮にその大学が自宅から遠隔地で一人暮らしをすることになれば、さらに生活費が少なくとも月に8万から10万はかかるだろう(多くの場合それ以上だろうが)。とすれば平均給与を得ている世帯では、他の原資(奨学金や親戚知人からの援助もしくは借金)に頼らなければ子供を大学にやることすら無理だという計算になる。

わかりやすい例を挙げよう。学生が学費を納める「大学」に勤務している人、すなはち大学教員や大学職員の給与は大学によって異なるものの、概して一般企業よりも高い。戦争推進法案に道を開いた畏くも偉大なる村田晃嗣氏が学長を勤める同志社大学教員60歳時の給与は額面で約1600万円だ。税金や社会保険の天引きがあるから手取りはおそらく1200-1300万円といったところか。

しかしこれだけの収入があっても、年の近い子供を下宿させている教員の中には「生活していくのに精一杯ですよ。3人の学費と仕送りで我々の生活費は年間300万は残りません」と語ってくれた人がいる。

おかしくはないか、この構造は。

額面1600万円といえば、給与所得者としては結構な高給取りだと思うが、そんな人ですら子供が3人同時に大学へ通うと、生活に余裕がない社会。こんなザマのどこが「先進国」なんだ。何が世界有数の経済大国だ。

◆高等教育無償のドイツとは雲泥の差──政府が執拗に進める日本の教育貧困国化

この島国と同じような狂信的な過ちを犯した歴史を持つドイツという国がある。ドイツでは食べ物など日用品の物価は日本より安い。そして大学の学費は無料だ。付け加えれば医療費も無料である。その一方最低時給は全国一律8.5ユーロ(約1129円)だ(日本の最低時給は都道府県別に決定されるが、2015年は最高でも東京都の907円で、鳥取、宮崎、沖縄は693円)。ドイツに限らず欧州の多くの国では高等教育を含めすべての教育機関の学費が無料である。その対極をなすのが英国・米国や日本、韓国などのアジアの国だ。

教育を「国が提供する当たり前の行政サービス」と考えるか、「市場原理で競争させる収益事業」と考えるかの違いが如実に現れる。この時代の日本では、大学に子供を通わせるのは所帯にとって一大事業だけれども、そんな心配や苦労を一切しなくてもよい国が世界には多数あることはもっと知られるべきだろう。それを多くの人が切実に認識すれば、「おい、この社会構造基本がおかしいんじゃないか」と疑問が湧くだろう。

「フロンティアスピリッツ」だの「自由と民主主義の国」といった虚飾にまみれた修辞を冠されることがさすがに近年少なくなったが、矛盾の集約形は米国において明らかだ。「99%の我々」というスローガンが米国で誕生したのには理由がある。世界一の経済大国であっても、庶民の生活が決して「世界一豊か」では全くなく、むしろ「貧困大国」と称されるのが実態であるということだ。だから米国の若い軍人の中には「大学入学するための資格と資金を得るために」入隊する者が多いし、一度軍人として籍を置いた人々には様々な社会的優遇措置がある。

かような「国のありよう」により近づこうとして、敢えて奨学金地獄を放置し、来るべき「徴兵制」の地ならしを政権は着々と進めているのだ。

ろくに内実にも詳しくもないのになんでもかんでも「外国はいい」という「外国かぶれ」の方がいるが、世界はそんなに一様ではない。でもこの島国で大学に行くことはこれほどの経済的負担を保護者にかけ続けている、そして負担が益々増加している様はもっと深刻な反発を招いてもおかしくはないのではないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
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◎沈黙する大学の大罪──なぜこんな時代に声を上げないのか?
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◎福岡教育大学「粛清」事件──安倍の弾圧に過剰適応する大学の罪
◎同志社大学・大麻所持者再逮捕報道の不可解

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恩師への手紙──80年代愛知の高校時代、退学を思い止まらせてくれたO先生へ

O先生

ご無沙汰しております。ひどい暑さが続いていますが先生はいかがお過ごしでしょうか。

何年前になるのか、もう記憶は曖昧ですが名古屋駅近くの「銀座ライオン」で昼間から痛飲しましたね。半分アル中の私が先生に「土曜日なら昼からでも飲めるでしょ」とゴリ押しして散々ビールを煽った挙句、夕刻には駅の裏手の安居酒屋に移動してそこでも相当飲んだはずです。

あれは寒い季節でしたね。私は昔の職場の先輩で亡くなった方の「形見」に頂いた重たい皮のジャンパーを着ていましたから。でも酩酊してなにがどうなったのやら……。日帰りで帰宅するつもりが、もうこうなったらとことん飲もう!となりビジネスホテルに宿 を取り、その部屋で改めて先生と飲みなおそうとしたところ、フロントの人間が「宿泊者以外は部屋に入ったら困る」と言い出しましたね。

私はどこにもそんな断り書きが書いていないし、数時間部屋で大人しく歓談するだけなのにおかしいじゃないかと抗議すると、フロントの男が大声を上げて脅迫じみた言葉を投げかけてきたので、携帯電話から110番をかけて警察を呼びましたね。先生は私が警察やホテルの男とかなり荒い物腰でやりあっている間、何も言わずに横にいてくださりました。記憶はおぼろげですが、警察が来てから「しばらく部屋で歓談するだけだから認めろ」を飲ませたように思います。買っておいたウイスキーをチビチビやりながらとりとめのない話をしたのではなかっ たでしょうか。

先生はホテルに着く前か、その後か不確かですが私が先輩の「形見」である皮のジャンパーを失ったことを心配して「大事な人の形見だったんじゃないの」と何度も聞いて下さいました。私にとって先輩の「形見」は大切でしたが、他にも複数「形見」を貰っていたこともあり(それよりも気持ちよく先生と一緒に飲んでいたので)「形見の心配はいりませんよ」と言った記憶があります。

思い返せばそれ以前にも高校卒業後、先生とは何度もご一緒させて頂きましたね。卒業式の直後にはS君(音信不通です)と一緒に先生の車で奈良へ1泊旅行に連れて行って頂きました。

大曽根の安居酒屋で飲んだ時はご自宅から自転車で来られましたね。以前よりずっと若々しく健康そうな先生の姿に驚きました。先生は私より15年上のはずですが、もうその頃私の頭髪は生え際の後退と頭頂部の薄毛が進行していましたから、「外見では年齢が逆転している」と私は羨ましがり、非情(!)な先生は「これは可哀想だね」と何の遠慮なく本音を仰いました。

今だから言えることですが、思い起こせば高校時代からO先生は「先生」でありながら、私の側からは「友達」のような思いもありました。博学で私の知りたいことには何でも即答して下さる先生。読むべき本をいつもアドバイスして下さる先生。早稲田の政経から明治の大学院で藤田省三に師事した先生は愛知県の高校教師の中では間違いなく屈指の知識人でした。そして先生には品格がありました。私が何年たっても追いつけない知的品格です。覚えていらっしゃるでしょう。あの監獄のような高校で共にそのありようを批判しながら時に私は「先生は職員会議に参加できるのだからもっと闘ってください」と難問を押し付けたことを。私ははっきり記憶しています。そんなとき先生は視線を横に反らして、眼鏡を右手の中指で触りながら「…疲れた……」とよく仰っていましたね。私はそんな先生に内心少し不満もありました。「もっと闘ってくれよな」と。それは教師である先生に対しての感情ではなく、誠に身勝手乍ら「同志的」立場からの不満のようなものでした。それすらを私は平気で先生に語っていましたね。たちの悪い生徒でした。

でも、誰に伝える訳ではなく、今日はっきりと私は再確認しておきます。あの地獄の3年間、O先生の存在がなかったら私はどうなっていたことか。先生よりかなり性格の激しい私は、本気で退学を決意した時期がありました。母親は理解してくれましたが、父親は反対でした。父親の反対があろうとも先生があの地獄にいらっしゃらなければ、私は退学していたと思います。退学では済まずもっと別の行動に走っていたかもしれません。

私は3カ月前に50になりました。50ですよ!50!。先生は65ですか!最初にお会いしたのは私が15で先生が30くらいではなかったでしょうか。時間の経過は残酷ですね。でも15だった私は50になっても、何も変わっていませんよ(体のあちこち年齢以上のガタが来ていますが)。

ところで少し気がかりなことがあります。

最近また考えが行き詰まり、今年に入って何回か先生にお電話差し上げたのですが、毎回留守録に繋がるか、直ぐに切られてしまいました。私の電話番号はご存知ですよね。

今日もかなり煮詰まってしまい、ご教示を頂きたいと思い、先生の最近のご活躍を確認すべくネットで「OKJM」と検索しました。春日井建さん門下で、既に歌人の世界では名をはせている先生。特に春日井さんの活動を追った文章は多くの人から高い評価を得ていましたが、その中に不可思議な言葉がありました。

「今年(2014年)の2月27日に交通事故で急逝したOKJM」

嘘でしょ。嘘でしょ。嘘でしょ。

嘘に決まっています。私は先生に何度かお伝えしましたよね「自転車で16キロも走るのは健康にはいいでしょうが、年齢と車の危険を考えてくださいよね」と。

だからこのメールには「あれはちょっとした間違いでした。心配かけて申し訳ありませんでした」とご返信頂けますよね。

今、こんな時代になってしまって私は先生にしか相談・議論できないことをたくさん抱えています。先生に一方的に頼るつもりは勿論ありません。先生のご意見を伺いたいのです。最近少しですが文章を書いて生活をしています。その辺りのアドバイスもいただければと思います。私には恩師と呼べる先生は一人しかいません。

ほら、先生が「社会科準備室」で現代短歌を教えてくださったから、私はSK大学に就 職した翌年に岡井隆さんをホストに塚本邦夫、道浦母道子などそうそうたる顔ぶれの「連続対談」を企画できたのですよ。先生はわざわざ京都まで何回も聞きに来てくださいましたよね。岡井さんが歌会始の選者に就任したことについて「天皇制は権威主義以外の何物でもない!」と私もびっくりするような鋭い質問を投げかけてくださいましたよね。岡井さんはたじたじでしたが「O君と話すのは久しぶりですが」と先生のことをご存知でしたね。

新設高校という地獄の職場からM商業、Z高校、A高校と「人間並み」の職場に移られてから先生の表情も穏やかさが際立つようになった記憶があります。そういえば中国や外国へもあの当時夏季休暇には旅行されていましたね。先生は愛妻家で実は見かけによらず子煩悩だということは、高校時代一度ご自宅に伺った際、お子さんに向けた日頃見たこともない笑顔から気が付いていましたよ。

一見家庭や子供より文学や詩歌に傾倒しそうな振る舞いをしていている先生、実は家庭を一番大事にする「お父さん」だったんだ、と高校生ながらに安心した記憶があります(この辺りの感想自体が失礼ですね 。先生を「友達」と感じている証拠です)。

2000年4月にSK大学にお越し頂き、その後も折に触れお会い頂き、いつも飲んでいましたね。先生は禁煙なさって暫く経っていたけれども、私が飲みながら煙草を吸うと、無言で私の口元を眺めているので「吸いたいんじゃないですか?」と切り出すと「1本だけいいかな?普段は全く吸いたいとは感じないんだけど」と遠慮がちにセブンスターを美味そうに吸っていらっしゃいました。

こんな思い出話をしたくてメールをしたのではないのです。教えて頂きたいことが山積です。そこにさきほどの気にかかる「不思議な言葉」を目にしたので、本音を言えば少し心配しております。

もう、お仕事は定年退職なさったでしょうが、酷暑が続きますのでお返事はご無理の無い時で結構です。一番最近電話でお話ししたのは2年くらい前でした。先生と原発問題でひとしきり盛り上がって「フェースブックを始めようと思っているんだ」と仰っていましたね。飯田哲也の評価について議論しましたね。私はこんな人間だから実名でインターネットに登場することはできませんが、先生への情報提供位であれば少しは出来るかもしれません。

くれぐれもご自愛くださいますように。ご返信いつまでもお待ちしております。

2015年9月
田所敏夫

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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《大学異論42》同志社大学・大麻所持者再逮捕報道の不可解

私は同志社の関係者ではないが、同志社が事件を起こし続けるので取り上げざるを得ない。過日こんなニュースを目にした。

「大学なら警察こないと…」同志社大図書館に大麻持ち込み容疑、卒業生を逮捕 (産経新聞2015年8月31日付)

同志社大学(京都市上京区)今出川キャンパスの図書館で大麻を所持していたとして、京都府警上京署は31日、大麻取締法違反の疑いで、奈良県橿原市内に住む無職の男(25)=窃盗未遂罪で起訴=を再逮捕した。同署によると「吸う目的で持っていた」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、8月6日午後6時10分ごろ、同キャンパスの図書館で大麻草1袋を所持していたとしている。
同署によると、男が他人のかばんを物色するなど不審な行動をしているのを持ち主の男子学生が見つけ、報告を受けた大学関係者が同署に通報。駆けつけた署員が、男のズボンから大麻を見つけたという。
男は同志社大の卒業生。「大学なら警察官が入ってこないと思った」と供述しているという。

◆「何も盗っていない」被疑者を大学職員はなぜ警察に通報したのか?

この記事は不可思議だ。8月6日に同志社大学図書館で「他人のかばんを物色するなど不審な行動をしている」男を学生が職員に通報し、「何も盗っていないのに」職員が警察に通報をしている。この程度の事で大学職員が警察に通報するものだろうか。この記事通りだとすれば同志社大学職員の感覚はもはや「警察国家」の構成員と言わねばならない。

さらに理解しがたいのは「不審な行動」で通報された男性は「窃盗未遂」で起訴されているが、「8月6日午後6時10分ごろ大麻草1袋」を所持していたことが確認されていることだ。8月6日逮捕時に男性は上京警察で詳細な身体検査を受けて「大麻草1袋所持」が確認されているのであれば、即「大麻取締法」違反でなぜ警察は送検しなかったのか。8月31日になっての再逮捕はいかにも不自然だ。「窃盗未遂」と「大麻取締法違反」では後者の方が明らかに量刑も重いにもかかわらず、逮捕直後には「大麻取締法」違反では起訴されていない。

◆あまりに不可解なので同志社大学広報課に問い合わせてみたら……

不明な点があまりにも多いので、9月4日午前、同志社大学広報課に問い合わせた。

「この事件は産経新聞のみで報じられており(上述の通り)不可思議な点が多いが承知しているか」と聞くと、広報課のハタブ氏は「事件があったことは承知しているが詳細は把握していないので内部で情報を収集する」と約束してくれた。後刻再度問い合わせると広報課の高阪氏が電話に出たので、私は再度「当該被疑者は他人の持ち物を『物色』している(つまり何も取っていない)だけで大学が警察に通報したということか」と質問すると「詳細が分からないので学生支援課に確認します」としばらく電話を保留にされた後、最終的に庶務係長秋田氏に電話が回された。秋田氏によると「自分の鞄から何かを抜き取ろうとした男を発見したので、学生がその男を捕まえて図書館のカウンターに連れてきた」そうだ。「そこで学生と連れてこられた男性に職員が聞き取りを行ったあとに、上京署(110番)へ通報した模様だ」ということだ。

つまり、被疑者はこの時点で「物色する」行為は認定されているものの「何も盗んではいない」のだ。それにもかかわらず図書館の職員は警察に通報をしている。

この取材の中で複数の同志社大学職員に尋ねた。「大学の中では意図的、あるいはそうでなくとも、置き引きや窃盗に該当する事案は多数起こる。図書館から本を無断で持ち帰る人間もいれば、大学の施設・設備に故意で損傷を負わす学生もいる。でも、そのような時に大学が『警察』に解決を求めるだろうか。しかも、今回のケースでは『被疑者』とされる人物は何も盗んでいない。大麻を所持していたのは、たまたま逮捕されたから発覚した付帯的な事実だ。こんな軽いトラブルで『警察』に通報するのは大学として妥当な行為だろうか、『大学の自治』を自ら放棄してはいまいか」

この問に関して名前は挙げないが、ある職員の方は「詳細はわからないが、新聞報道の通りだとすると大学が警察に軽々しく通報するのは『大学の自治』の放棄にあたると言われても仕方ない」と回答された。

◆「大学自治」の大原則が崩壊しつつある

「大学内で起きた問題は大学内で解決する」

これは私の苗字と同じ故人、同志社大学で学友会委員長と京都府学連委員長だった田所伴樹氏が同志社大学学内で、共産党系の学生たちから瀕死のリンチを受け生死の境をさまよった時、入院先の病院で口にした言葉だ。どれほど酷い仕打ちを受けても「大学内の問題は大学内で解決する」この極めて高い哲学を、被害者である田所氏は弱冠22歳にして「学生」として提起した。

かえりみて、今回の同志社大学当局の判断はどうであろうか。複数の職員の方々に取材したが皆さん「現場で何があったか詳細はわかりませんが」と口を濁す。

私は「分からなければ調べて教えて下さい」とお願いするけれども、彼らはその状況を外部に伝えることが禁じられているのか、あるいは調べる熱意がないのか、あいまいで実態が分からない。

◆被疑者以上におかしいのは同志社大学側ではないか?

いいか。こうやって破局への行進は、またしても歩を進めるのだ。誰も悪くない、誰も解らない、誰も責任を取らない。「疑わしい行動をした人間が悪いんじゃないか。それに彼は大麻も持っていたし・・・」との心中の言い訳が聞こえてきそうだ。

違う。断じて違う。学内で暴力事件が起り危機的な状況になっても、学生を守り通すのが大学職員の仕事だ。極端に言えば「学生を支援し守ること」以外に本質的な大学職員の仕事などない。経理も総務も学部事務室も全て学生を支援するために準備された部署だ。

「時代錯誤だ」という批判が既に頭の中で聞こえる。でも私は自分の考え方が間違っているとは全く思わない。

勘違いしているのはこの時代、そして「戦争推進法案」に賛成する学長を引きずりおろす気さえないこの大学のありさまだ。

いささか飛躍が過ぎると思われるかもしれないが、産経新聞の報道が正しければ、被疑者が語った「大学なら警察官が入ってこないと思った」との感覚が被疑者の行為・目的を度外視しても、よほど真っ当な原則に立脚しているように思える。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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同志社「良心」の凋落──育鵬社採択を「適切」と開き直る同志社香里中学滝教頭

 

転落は減速を知らない。本コラムで既に取り上げてきた育鵬社の教科書を同志社大学の付属校である同志社香里中学が採択することを決めた。以下やや長いが内容が重要であるのでこのニュースを報じた『CHRISTIAN TODAY』(2015年9月3日)の全文を引用する。

同志社香里中学(大阪府寝屋川市)は、2016年度以降に使用する歴史と公民の教科書として、それぞれ育鵬社発行の教科書を採択した。大阪府が8月28日発表した。「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の元幹部らが執筆に加わっている育鵬社の教科書は、歴史に関する記述について議論もあり、一部の地域では採択やり直しを求める要請なども出ている。育鵬社によると、私立学校の16年度教科書採択状況はまだ全て出そろっていないが、キリスト教系の学校で同社の教科書採択が決まったのは、同志社香里中が初めてだという。

同志社香里中はこれまで、歴史と公民の教科書は帝国書院のものを使用してきた。16年度に、新たに育鵬社の教科書を使用する生徒は240人。滝英次教頭は、「教科書採択の年(である今年)に、教科、また学校として、文科省の検定教科書の中から、いろんな議論を踏まえた上で慎重に選定した」と話している。

育鵬社の教科書『新しい日本の歴史』と『新しいみんなの公民』は、元つくる会
のメンバーらによる日本教育再生機構が組織した「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会)の関係者らが執筆・監修している。育鵬社は、フジサンケイグループの出版社である扶桑社の教科書出版部門を独立させた出版社で、扶桑社時代を含め、中学校の歴史、公民の教科書が検定に合格し発行されるのは今回で4回目。一方、つくる会は自由社から独自に教科書を出している。

育鵬社の教科書については、日本国憲法が連合軍総司令部(GHQ)に強要されたものだとする、いわゆる「押し付け憲法論」に沿った内容になっていることや、太平洋戦争の沖縄戦における住民の集団自決について、日本軍の強制性についての記述を避けているなど、さまざまな指摘がある。

一方、育鵬社の教科書の編集会議座長である伊藤隆・東京大学名誉教授(歴史)、川上和久・明治学院大学教授(公民)は、広報誌『育鵬社通信 虹』(2015年4月号)での共同メッセージで、「戦後70年の間には、教育の世界にも不毛なイデオロギーが持ち込まれた時期がありました。こうした一面的な物の見方を排し、生徒が真に学ぶ意欲を高め、多面的・多角的思考ができる人材となり、自らの郷土に貢献し、ひいては世界で活躍できるようになることを願い編集しました」などと述べている。『CHRISTIAN TODAY』(2015年9月3日) (※文字強調は引用者)

学校法人同志社には系列の中学校として「同志社中学校」、「同志社女子中学校」、「同志社国際中学校」があるが、その中で今のところ「同志社香里中学」だけが育鵬社の教科書採択を決めたようだ。

◆「教科書が変わったら教育内容が変わると思っていらっしゃるんですか?」と開き直る滝教頭

そこで上記記事に登場する同志社香里中学の滝教頭に電話で実情を聞いてみた。私が育鵬社の教科書には多くの問題や史実の誤りがあり、キリスト教系の学校の教科書と皇国史観は相いれないのではないか」と問うと「教科書選定は学校内で適切に行われた。文科省の検定を通った教科書の内容を精査し決定した」という。

「この教科書採択にあたり校内の社会の先生などから反対はなかったのか」の質問には「それは学校内のことなのでお答えできません」とかなり強気で答える。

「昨年までは帝国出版の教科書を利用されていたが、育鵬社の教科書とは内容に大きな差がある。育鵬社の教科書がキリスト教系、しかも新島襄が開いた学校で採択されることを問題と思わないか」と聞くと、[太字→]「不適当とは思わない。教科書が変わったら教育内容が変わると思っていらっしゃるんですか?」[←太字]と逆に開き直られてしまった。滝教頭にはとりつくしまもない。問い合わせや講義の電話対応に手慣れている。この学校に民主的なプロセスなど無いだろうと想像させるに十分な「失礼」な応対だった。

◆幸福の科学学園と並んだ同志社香里──育鵬社教科書を採択した私立中の顔ぶれ

今年は4年に1度の次年以降使用する教科書を中学校が選定する年にあたる。大阪市をはじめ都立の中高一貫校など公立校でも育鵬社教科書の採択が進行している。じわじわと歴史修正主義の水位は上がってくるばかりだ。

それにしても、「あの」同志社系列中学での採択は驚嘆に値する。ちなみに前回(2011年)の採択時、私立中学で育鵬社の教科書を採択したのは以下の学校である。

《歴史》(12校)
国学院大学栃木、幸福の科学学園、樹徳、麗澤、福井工業大学附属福井、麗澤瑞浪、津田学園、皇學館、浪速、開星、岡山学芸館清秀、岡山理科大附属

《公民》 (11校)
国学院大学栃木、幸福の科学学園、麗澤、福井工業大学附属福井、麗澤瑞浪、津田学園、皇學館、浪速、清風、開星、岡山学芸館清秀

私立学校は各々の建学の精神に基づいて教育方針を決めればよい。だから「幸福の科学学園」が育鵬社の教科書を使うのは別に驚くに値しないし、独自の教育理念を持つ麗澤や、神道を建学の精神にしている皇学館といった学校が採択の中心であったのはむしろ自然である。しかし他の学校は(こういっては失礼だが)清風を除いてそれほど際立った存在の学校ではない。

このラインナップの中には、有名総合大学の付属中学の名前はない。国学院は多くの系列校を持っているが、採択したのは栃木だけだ。その中に今回「同志社香里」の名称が名誉にも加わるのだ。

◆同志社が「リベラリズム」を捨て「翼賛学校法人」へ独走する時代

学長村田晃嗣が衆議院特別委員会公聴会で「戦争推進法案」賛成を表明した大学を中心とするこの学校法人は、先人が築いてきた「リベラリズム」の歴史を完全に捨て去り、大手有名私学の中では「翼賛学校法人」として独走している。

系列中学の「同志社中学校」では村田の国会発言後、いち早く辞任を求める声明を出すなど良心的な教職員の方々が頑張っている。今日の電話取材に応じてくれた同志社中学の先生は「正直びっくりしました。同志社中学ではそのような動きはありませんし、考えられません。全く酷い時代ですね」とため息を漏らしていた。

「同志社香里中学校」の蛮行は、キリスト教系学校として「全国初」の最悪選択を行った恥ずべき学校として歴史に名を残すだろう。教育機関が「確信的」に犯した罪は金輪際消えることがない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる
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