若さとベテラン入り混じり、王座争うM-ONE興行!

2016年11月23日にデビューしたMASATOと柊斗が6戦目でWPMF日本王座狙うも、スーパーバンタム級の柊斗は計量失格の波乱。医科大学生MASATOがウェルター級で王座獲得。「KNOCK OUTイベント」の主軸のRIKIXジムからベテランの長谷川健がライト級で王座獲得。

◎M-ONE 2018 2nd 6月3日(日)新宿フェイス 16:30~19:26

主導権支配して、どの距離からでも攻めに出たMASATO
MASATOの前蹴りが喜入衆の距離感を狂わす

◆第9試合 第5代WPMF日本ウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.MASATO BRAVERY(BRAVERY/25歳/66.35kg)
VS
3位.喜入衆(フォルティス渋谷/39歳/66.68kg)
勝者:MASATO BRAVERY / TKO 3R 1:19
主審:チャンデー・ソー・パランタレー

MASATOの前蹴り中心のけん制が目立つ第1ラウンド、時折ハイキックも繰り出す。喜入はいつもながらのパンチとローキックが力強い。第2ラウンド、続く攻防が激しくなり、組み合うとヒジ振るうMASATOはインパクト強い攻め。喜入は続けてパンチ・ローキック中心の展開。第3ラウンドには、MASATOのヒジがヒットし喜入の額をカット、喜入の決死の猛攻が始まるが、レフェリーが出血具合を見てドクターを要請。ストップ勧告を受入れレフェリーストップとなりました。

MASATOの左ヒジ打ちが喜入衆の顔面にヒット
MASATOが王座獲得、右はウィラサクレックWPMF日本支局長
渡辺優太の左ローキックが柊斗の左太腿を潰しに掛かる

◆第8試合 第8代WPMF日本スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.渡辺優太(PKムエタイ/28歳/55.34kg)
VS
バンタム級4位柊斗(WSR・F西川口/18歳/56.35kg)
勝者:渡辺優太 / TKO 2R 2:02 / 主審:ソンマーイ・ケーオセーン

柊斗が前日計量で900gオーバー。当日再計量は16:00に行なわれ57.7kg
この試合は、渡辺が勝利した時のみ王座を認定となります。

初回は両者ローキックからミドルキックへ繋ぐけん制で様子見のラウンド。第2ラウンド、渡辺のローキックが決まりだす。蹴り応えあったか、左内腿を蹴ると呆気なくダウンする柊斗。続けて狙い定めた左太腿にローキックを続けると再びダウンした柊斗。そのままレフェリーがノーカウントのストップとなりました

足が麻痺してしまい、ヒザをついてしまう柊斗
渡辺優太が王座獲得、次は他団体チャンピオンと勝負か
2度右ストレートを喰らったDAIJUはダメージ深くレフェリーに支えられる

◆第7試合 第7代WPMF日本ライト級王座決定戦 5回戦

DAIJU(尚武会/36歳/61.23kg)VS 長谷川健(RIKIX/34歳/61.23kg)
勝者:長谷川健 / TKO 2R 1:27 / 主審:北尻俊介

初回、DAIJUのパンチとローキックの手数が長谷川を上回るが、長谷川の右ストレートでスリップ裁定ながらDAIJUが尻餅をつく。これで勢いに乗りかけた感じの長谷川だったが、第1ラウンド終了。次も長谷川がパンチで攻勢を掛け、接近すると膝蹴りも繰り出す。懸命に打って出るDAIJUだが、長谷川の優位の距離となって右ストレートをヒットするとDAIJUは一気に後退。すかさず組み合って更に右ストレートを打ち込むとDAIJUは倒れ込み、ダメージ深くレフェリーが試合をストップしました。

DAIJUの突進を防ぐ長谷川健の右ローキック
長谷川健が王座獲得、セレモニーでチャンピオンベルトを巻かれる

◆第6試合 スーパーバンタム級3回戦

島んちゅ泰(Y’ZD 沖縄/55.05kg)
VS
MITSURU(WSR・F三ノ輪/55.25kg)
勝者:MITSURU / 判定0-3 / 主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:ナルンチョン28-29. ソンマイ28-29. チャンデー28-29

MITSURUの左ミドルキックが島んちゅ泰にヒット

◆第5試合 58.0kg契約3回戦

疋田拓巳(T’s KICKBOXING/57.65kg)VS 酒井洋一(WSR・F西川口/57.55kg)
勝者;酒井洋一 / 判定0-3 / 主審:北尻俊介
副審:ナルンチョン28-30. ノッパデーソン28-29. チャンデー29-30

◆第4試合 スーパーライト級3回戦

嵐士(AKT/63.0kg)VS 池上貴将(WSR・F西川口/63.0kg)
勝者:嵐士 / TKO 3R 0:34 / 主審:ソンマーイ・ケーオセーン

パンチと上下の変化をつけた蹴り合いから池上貴将の左ローキックを返した嵐士の左ハイキックが池上の側頭部にクリーンヒット、バッタリ倒れた池上は担架で運ばれました。

嵐士の左ハイキックが池上貴将にクリーンヒット
この日も輝いていた2名のラウンドガール

◆第3試合 53.0kg契約3回戦

大崎草志(Struggle/52.75kg)VS 福間光佑(WSR・F三ノ輪/52.6kg)
勝者:大崎草志 / TKO 3R 1:45 / 主審:チャンデー・ソー・パランタレー

◆第2試合 57.0kg契約3回戦

JACK(WSR・F三ノ輪/55.95kg)VS 鮫島博人(WSR・F荒川/56.7kg)
勝者:鮫島博人 / 判定0-3 / 主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:チャンデー26-30. ソンマイ27-30. 北尻26-30

◆第1試合 67.0kg契約3回戦

TAMAJIRO(尚武会/67.0kg)VS 関川翔平(WSR・F三ノ輪/66.4kg)
勝者:関川翔平 / 判定0-3 / 主審:ナルンチョン・ギャットニワット
副審:チャンデー28-30. ソンマイ28-30. 北尻27-30

《取材戦記》

柊斗の計量失格でこの王座決定戦は、グローブハンディと減点1が課せられる条件となっていましたが、「ハンディは付けないことになりました」と審判団より連絡がありました。これは渡辺優太陣営からの「ハンディは不要」という要望だったようですが、これはプロボクシングルールと同様で、タイトルマッチに於いてはハンディは付きません。更に公式計量後での両者の体重差制限があり、「どうせ失格なら思いっきり増量してやろう」という思惑は許されません。また更に、グローブハンディは数年前から廃止されている様子で、失格側にグローブを重くすること自体に異論があるようです。

キックボクシング系での、タイトルマッチに於いても失格者に付けられること多いグローブハンディや減点は、タイトルマッチ制度のあらゆる見直しも必要かと思うこの競技です。

柊斗は2000年4月生まれで、2009年に誕生したM-1ジュニア(後にWPMFジュニア)格闘技で、25kg級から55kg級まで制覇し、2016年11月23日プロデビュー。計量失格と敗北で王座は遠のき、今後も試練は続くでしょうが、幼児期から鍛えられた力を今後見せて欲しい新世代組の選手です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなき最新刊『紙の爆弾』2018年7月号!
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

石原將伍、初のメインイベントは大差で敗れる!!

ケンスワンの強い右ハイキックが石原を苦しめた
組み合えばヒザ蹴りの餌食に、組まれると最も苦しいヒザ蹴り
ケンスワンの何十発もの右ハイキックは石原の右腕脇腹が赤く染まる

昨年10月にチャンピオンとなってから一段と自信と発言力が増した石原將伍が「強い選手とやりたい。強い選手とやらなければ面白い試合にならない」と臨む。

それは強い蹴り、巧みなテクニック、アグレッシブな展開を見せる選手が望ましい。そうして選ばれ呼んで来られたのが、ケンスワン・サシプラパー。アグレッシブな展開を見せると言われるテレビマッチ、昨年までBBTV(タイ7ch)スーパーバンタム級4位だったという、こういった選手にどう立ち向かうかを石原將伍に与えたメインイベントの役割。

◎WINNERS 2018.2nd
5月13日(日)後楽園ホール17:00~
主催:治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

◆メインイベント 59.0kg契約 5回戦

日本フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー/58.6kg)
VS
ケンスワン・サシプラパー(タイ/58.8kg)
勝者:ケンスワン・サシプラパー / 判定0-3 / 主審:椎名利一
副審:少白竜46-50. 宮沢46-49. 仲46-50

想定どおり、ケンスワンは重く速いハイキックを繰り出し、石原を襲う。石原はパンチを狙うがその距離に入るには危険な賭けとなる。ケンスワンは首相撲に持ち込めばヒザ蹴りの脅威もあり、ボディ攻めや捻じ伏せての顔面ヒザ蹴りにピンチの石原。何とか致命的被弾は逃れるがケンスワンの右ミドルキックを再三受けた石原の左腕は赤く染まる。

第5ラウンドにはブロックした上からでも蹴ってくる威力に疲労困憊した石原はよろけるが、パンチの距離に持ち込むと最後の力を振り絞り一気に連打。ケンスワンにダメージを与えるには至らず、大差が付く判定負けとなったが、石原も持ち味を出し切った試合。

石原も得意のパンチを振るうが、なかなか難しい攻略
政斗の粘り強い蹴りもリカルドを苦しめた
打ち合う二人、リカルドも気を抜けない展開が続く

◆日本ウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.政斗(治政館/66.3kg)
VS
3位.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/66.68kg)
勝者:リカルド・ブラボ / TKO4R 1:41 / ヒジによる顔面カット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:桜井一秀

リカルド・ブラボはアルゼンチンでアマチュアキックを経験し、昨年4月に日本でプロデビュー。6戦全勝(4KO)の戦績を残している。日本に来て修行したキックボクシングとタイ人トレーナーから学んだムエタイ技とはまた違う、中南米のパワフルなリズム感と攻撃力が光った攻め。わずか1年でチャンピオンに達する実力が身に付いていたリカルド・ブラボ。

政斗も2度目の王座挑戦となり、ここまで勝ち上がって来た中には粘り強い攻撃力があったが、政斗を上回るリカルド・ブラボの重いパンチがヒットする数がラウンド毎に増していき、第3ラウンドにはヒジ打ちで政斗の顔面カットに成功。これが運命を決定付け、第4ラウンドに入ると、攻撃力が増すリカルド・ブラボで政斗の負傷箇所が悪化し、TKOで下す王座獲得となった。

今後の目標はWKBA世界王座と、ラジャダムナンスタジアム王座奪取を目指すことという。いちばん難しいムエタイ殿堂にアルゼンチンのチャンピオンが誕生する日が来るか、今後の関心はここに集まるでしょう。

リカルド・ブラボのパンチの重さと当て勘が政斗を上回ってヒットが増えていった
内田雅之はロング右ストレートで主導権を奪った

◆ライト級3回戦

日本ライト級1位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/61.1kg)
VS
日本ライト級2位.内田雅之(元・日本Fe級C/藤本/61.0kg)
勝者:内田雅之 / TKO 3R 2:40 / ヒジによる顔面カット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:少白竜

パワーで前進する永澤の蹴りがやや優勢に見える中、やや離れた距離からの内田の右ストレートが何度かヒット。更に前蹴りが永澤のアゴにヒットさせとリズム掴んだ内田。しかし、永澤もジワジワと出てくる圧力があるが、第3ラウンドに内田が放ったヒジ打ちで顔面カットさせ、更に右バックヒジ打ちを強烈にヒットさせると永澤の負傷箇所が広がり、続行不可能となり、ライト級で2階級制覇狙う内田雅之のTKO勝利。

内田はパンチに続いて前蹴りを永澤のアゴにヒット
皆川裕哉vs新人(あらと)。前半は皆川のハイペースでハイキックがヒット

◆59.0kg契約3回戦

WBC・M日本フェザー級チャンピオン.新人(=あらと/ESG/58.7kg)
VS
日本フェザー級4位.皆川裕哉(藤本/58.8kg)
勝者:皆川裕哉 / 判定0-3 / 主審:仲俊光
副審:椎名28-29. 少白竜28-29. 桜井28-29

新人と皆川裕哉の交流戦での新旧対決は、皆川の若さあるアグレッシブな攻めが新人を上回る攻勢。第2ラウンドには皆川が軽い右ストレートながらヒットしダウンを奪う。

しかし、ダメージが無いことをアピールする新人は、ここから盛り返し、ジワジワ力を発揮する新人、長身を利した蹴りを多用したり、組んだら崩したり、本来の持ち味を出し始めた新人の、経験値の差が出てきた展開になるが、3回戦ではダウンの劣勢は取り戻せず、皆川は逃げ切った形の判定勝利。

皆川裕哉vs新人(あらと)。新人も反撃に出るカウンターがヒット

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.3kg)vs齋藤智宏(Ys.k/72.57kg)
勝者:今野顕彰 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:少白竜30-28. 桜井30-28. 仲30-28

過去、斗吾に敗れている両者。そして2年前には今野が齋藤智宏にヒジによるTKO勝利している。今回は初回に今野の軽い右ストレートで齋藤智宏がダウン。接近戦になると齋藤の長身からくるムエタイ技を発揮するが、今野を掴まえるに至らず、今野も更なるダメージを与えるに至らないまま判定勝利となる。

◆フライ級3回戦

日本フライ級2位.幸太(ビクトリー/50.7 kg)vs同級5位.空龍(伊原新潟/50.6kg)
勝者:空龍 / 判定0-3 / 主審:椎名利一
副審:少白竜29-30. 宮沢誠28-30. 仲29-30

◆バンタム級3回戦

日本バンタム級2位.馬渡亮太(治政館/55.0kg)vsチェ・ジェヨン(韓国/54.3kg)
勝者:.馬渡亮太 / TKO 1R 1:10 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

◆バンタム級3回戦

日本バンタム級3位.阿部泰彦(JMN/54.6kg)vs同級6位.田中亮平(市原/54.6kg)
引分け 三者三様 / 主審:少白竜
副審:椎名28-29. 宮沢30-29. 桜井29-29

◆フライ級3回戦

日本フライ級3位.細田昇吾(ビクトリー/50.6kg)vs山野英慶(市原/50.6kg)
勝者:細田昇吾 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-28. 少白竜30-28. 桜井30-27

新人戦4試合まで割愛します。

ライト級3回戦勝者の内田雅之。プレゼンターとラウンドガールと我が子とともに

《取材戦記》

この日メインイベントとセミファイナルに出場した、ケンスワン・サシプラパーとリカルド・ブラボは生まれ育った国と環境は全く違うものの、戦う基本となる土壌がしっかりしている環境で育った二人でした。とにかくパワフルでリズム感がある。リカルド・ブラボはムエタイとしてはまだ新人の域でも、アルゼンチンで育った格闘技の基礎は、アジア系とは違う強さがある印象。

過去12名が出現した外国人ムエタイ二大殿堂チャンピオンの中、かつてブラジルから誕生した、ジョイシー・イングラムジムは2度防衛に成功。他、石井宏樹とダミアン・アラモス(フランス)も2度防衛。本場タイ選手でも連続防衛はなかなか難しいムエタイ殿堂王座であります。

6月27日には元・日本ウェルター級チャンピオン.緑川創(藤本)が現地、ラジャダムナンスタジアムで王座決定戦出場が決定しました。

相手は2016年10月23日に後楽園ホールで対戦、三者三様で引分けた相手で、前チャンピオンのシップムーン・シット・シェフブーンタム。現地プロモーターからお声が掛かったようで、念願のラジャダムナンスタジアム王座初挑戦となります。

「応援に来て頂ける方は早めにパスポートの準備をお願いします。何言われようが向こうで強い相手に勝てば文句言われないと思うので、今迄のキック人生、応援して頂いている皆様や仲間に応えられる様、命懸けてやります。」というフェイスブックでアピールの緑川選手。

王座奪取は難しいが、仮に獲っても過去12名が残した実績を上回らなければ“伝説のチャンピオン”とは言われない現在の厳しさがある殿堂王座です。

次回の新日本キックボクシング協会興行「MAGNUM.47」は7月8日(日)後楽園ホールで17時より開催予定です。

かなり上手くなった日本語で周囲の仲間へ感謝を述べたリカルド・ブラボ

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

日本大学の闇 日大フェニックスと日大危機管理学部に宿る開学の精神

これほど大規模に報道されているので、今さら口を挟むのが憚られるが、やはり一言言っておかねばならない。関西学院大学と日本大学アメリカンフットボール部の定期戦(5月6日)に発生した、日本大学ディフェンスによる極めて危険なタックルについての問題である。


◎[参考動画]関学大日大戦アメフット反則シーンその1(日刊スポーツ2018/05/14公開)

◆「人殺し」タックルと内田正人監督

この問題につては、大手メディアもかなりの時間や紙面を割き、解説している。識者により多少の違いはあろうが「あのタックルは許されるものではない」との点で見解の一致をみているようだ。その結論に私も異論はない。そして当該危険プレーを行った選手が、個人の判断ではなく、監督、コーチ公認の戦術のもと、「人を殺してしまうかもしれない」タックルがおこなわれていたであろうことにもほぼ間違いないだろう。

日本大学アメリカフットボール部の内田正人監督はくだんの試合以降、姿を見せることなく、どこかに消えてしまった。この行為ひとつを見ても、大学スポーツ部の監督としては失格である。選手のミスではなく、監督が示した規格外のルール違反を説明する義務は内田正人監督にある。私はこの問題が発生して2日後に日大アメリカンフットボール部に、プレーの不正と事後対応の杜撰さを問う内容のメールを送ったが、5月16日現在何の返答もない。

日大フェニックス(アメリカンフットボール部の愛称)は、かつて、東の日大、西の関学といわれ、毎年のように大学日本一を決める甲子園ボールで対戦を続けてきた。篠原監督率いる日大は、伝統的にショットガン攻撃を持ち味に、相手チームの守備をかく乱した。関東での日大一強は揺るぎなかったが、関西では京大が1980年代から台頭し、立命館も続いた。近年関西リーグでは関学と立命館が例年優勝を争っているが、関東では法政、慶応などに大きな力の差がなく、甲子園ボールにも関東の同一チームが2年続けて出場することは珍しい。

◆「こんな時こそ」アドバイスを仰ぎたい危機管理学部学部

さて、問題は日大によるラフプレーだ。日大には長く強かった歴史があるものの、昨年の甲子園ボールで優勝するまでに実に27年のブランクがあった。そしてあえて指摘するが、日大の監督内田正人氏は日大で常任理事を務める人物でもある。その日大に「こんな時こそ」アドバイスを仰ぎたい学部がある。その名は「危機管理学部」である。

同学部の案内には、
〈学祖・山田顕義の理念を受け継ぐ危機管理学部
本学の前身である日本法律学校を創設した学祖・山田顕義は、1844(弘化元)年に現在の山口県萩市に生まれ、14歳で吉田松陰の松下村塾に入門。高杉晋作や伊藤博文をはじめ、維新史に名を残す門下生たちと深く交わり、大きな影響を受けました。後に岩倉使節団の一員となって欧米諸国の先進的な文化を視察した学祖は、軍備拡充よりも教育の普及や法律整備が急務であると確信し、日本を法治国家とするべく近代法の制度設計に邁進。1883(明治16)年から1891(明治24)にかけて司法卿・司法大臣として、明治法典(刑法、刑事・民事訴訟法、民法、商法、裁判所構成法など)の編纂を行い、我が国の“近代法の父”と呼ばれています。

当時、欧米諸国の法律を学ぶことが主流の法学教育に疑問を抱いた学祖は、日本の伝統・慣習・文化を踏まえた法律教育のための学校創立を構想していた宮崎道三郎ら若手法律学者を支援し、自らが所長を務めていた皇典講究所に校舎を借りて、1889(明治22)年に日本法律学校を創立。幕末の日本が外圧にいかに対処すべきかを考え、明治維新後は国際社会で通用する国家建設を進めた学祖は、日本の近代化の過程で直面した安全保障や危機管理のあり方を法学的な観点から模索したものといえるでしょう。危機管理学は新しい学問領域ですが、その意味で日本大学の起源とも関わる、非常に重要な研究分野だといえます。〉

と紹介されているが、吉田松陰、伊藤博文、高杉晋作らは、私の目から見れば民間政権であった江戸幕府に不満を抱き、神話の天皇制を持ち出し、「富国強兵」、「和魂洋才」との掛け声で、ロシアや中国に戦争を仕掛け、朝鮮半島を侵略したもの(あるいはそのイデオローグ)として記憶されている。

日本大学の「危機管理学部」はそういった連中の直系だ、と紹介文は述べている。なるほど現在の教授陣を見れば、

◎安部川元伸 教授
1976年から2013年まで、37年間にわたって公安調査庁に奉職し、その間、現場局において調査事務に携わり、1989年から本庁にて国際情勢、国際テロ情勢等についての情報収集、情報分析業務及び国際渉外業務に従事した。また、2001年の9.11米国同時多発テロ、2008年の洞爺湖サミットに際しては、庁内において、我が国の危機管理情報の収集並びに分析業務で陣頭指揮を執った。これらの経験は何物にも替えがたいものであり、自身の専門性を築き上げる上で大いにプラスになった。
2013年に公安調査庁退官後は、約2年間、日本アイシス・コンサルティング株式会社において、主に日本企業の在外での活動に資する情勢分析資料の作成、危機管理のアドバイス等を担当した。2014年末をもって同社を退職し、2015年4月から日本大学総合科学研究所に教授として所属。

◎勝股秀通 教授
元読売新聞社記者。1983年入社。新潟支局、北海道支社を経て東京社会部に所属。東京地検でリクルート事件を担当、その後警視庁などの担当を経て93年から防衛省・自衛隊を担当。民間人として初めて、防衛大学校総合安全保障研究科(97-99年)を修了、その後、防衛、安全保障問題の専門記者として編集委員、解説部長、論説委員、調査研究本部主任研究員を歴任し、2015年(平成27年)4月から日本大学総合科学研究所教授、16年4月から現職。

◎金山泰介 教授
昭和32年京都市生。昭和55年東京大学法学部卒業後警察庁入庁。内閣安全保障室参事官補、石川県警察本部警務部長、在タイ日本大使館一等書記官、内閣調査官、警視庁公安部参事官等を経て、山梨県警察本部長、中部管区警察学校長、科学警察研究所総務部長、栃木県警察本部長、警察大学校警察政策研究センター所長等を歴任し、平成26年埼玉県警察本部長を最後に退官。平成28年4月より現職。
 その間、ハーバード大学客員研究員、一橋大学公共政策大学院客員教授、東京大学公共政策大学院非常勤講師、京都大学公共政策大学院非常勤講師、慶應義塾大学大学院非常勤講師、上智大学法科大学院非常勤講師、埼玉大学大学院客員教授として社会安全政策及び刑事司法・警察行政に関する研究、教育にも従事。

◎河本志朗 教授
1954年山口県生まれ。1976年同志社大学経済学部卒業後、山口県警察官拝命。1991年から外務省出向、1994年から警察庁警備局勤務を経て、1997年から公益財団法人公共政策調査会第二研究室長として、国際テロリズム、テロ対策、危機管理などを研究。2015年4月から日本大学総合科学研究所教授。2016年4月から現職。

と、ここは「内閣調査室」か「防衛庁の諜報部隊か」と勘違いするような経歴の教員が並ぶ。大学の中に「入れてはいけない」ひとの品評会のようなメンツである。だが、常務理事内田正人が危機に瀕している、しかも内田は学内ではNO,2の実力者との評価もある人物だ。「危機管理学部」の出番ではないか。だが「危機管理学部」に限らず、日大当局からは、世間が納得のできる説明や弁明はいまだに行われていない。「危機管理学部」は身内の危機管理ができずに天下国家の危機感理を論じても、信用を得ることはできないであろう。

日本大学危機管理学部HPの教員紹介より

◆開学以来、支配層の意図が脈々と流れている日大の歴史

しかし、批判を恐れずに書くが日大とは代々このような学風を持った大学なのだ。先に紹介した「学祖・山田顕義の理念を受け継ぐ危機管理学部」で明確なように、日大には支配層の意図が開学以来、脈々と流れている。1960年代には裏口入学や、20億円(!)の使途不明金が問題化し、それまで学生運動がほとんど見られなかった日大でも、大規模な不正解明を目指した運動が起きる。それに対したのは体育会や右翼学生で、校舎の上から重たい石を投下し多数の負傷者を出した。

日大の学生たちは、日大講堂における団体交渉で古田重二良会頭(この呼称も不思議である)らの総退陣を勝ち取るが、後日総理であった佐藤栄作の後ろ盾を得て、日大当局は約束を反故にする。それ以降も日大の基本性格は変わっていない。

そんな学風の日大が「危機管理学部」を備えながら、せっかく27年ぶりに勝ち得た日本一の座を無化するどころか、アメリカンフットボール部、いや日大の存続までが論じられる危機に瀕している。繰り返すがこのような時に役に立たないようでは「危機管理学部」の存在はないだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

大学関係者必読の書!田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

絆Ⅹ── 回を重ねて10回目、絆で結ばれた興行 !

「絆」でデビューした二人が今チャンピオン、石川直樹(左・治政館)と良星(右・平井)
白井達也の右ストレートで澤田曜祐を攻める
右ストレートを決定打に澤田曜祐をKOした白井達也

「絆まだまだ突っ走ります」というフレーズが光るプログラムの見出し。

絆Ⅹ
4月30日(月・祝)埼玉県春日部市ふれあいキューブ / 16:00~
主催:PITジム / 認定:NJKF

2013年4月13日に第1回「絆」興行が行われ、ここでデビュー戦を勝利し、その後、チャンピオンに至った2名の選手がリングをリング上で紹介されました。Bigbangスーパーバンタム級チャンピオンの良星(平井)と、日本フライ級チャンピオンの石川直樹(治政館)が御挨拶。

良星は6月3日の「Bigbang」興行出場予定で、過去、祐トーン・エー(真樹・AICHI)に判定勝利していますが、今度はKO勝利して次に繋がるような試合をしたいと宣言。

石川直樹は6月8日の「KNOCK OUT」興行から始まる軽量級トーナメント戦初戦に出場し、秋以降の決勝戦で優勝することを誓い、両者ともまた「絆」のリングに戻って来ることを約束し、「強い選手を用意してください」と述べられました。

◆メインイベント 60,5kg契約3回戦

白井達也(TRY-EX/60.1kg)vs NJKFスーパーフェザー級1位.澤田曜祐(PIT/60.3kg)
勝者:白井達也 / KO 3R 1:37 / テンカウント / 主審:竹村光一

好戦的に打ち合った両者。パンチ主体で、ローキックとのコンビネーションで攻勢が続いた白井、蹴りはフォロー的にパンチが小気味良く繰り出される。応戦する澤田も劣性ながら打ち返す踏ん張りが凄かった。

第2ラウンドに白井は右ストレートで2度ダウンを奪い、勢いは増すばかり。第3ラウンドには再び右ストレートでダウンを奪い、澤田はそのままカウントアウトされて終了。

白井達也が攻勢を強めていくパンチの連打
拳士浪の連打が将泰を圧倒する

◆セミファイナル フェザー級3回戦

日本フェザー級3位.拳士浪(治政館/57.1kg)vs 将泰(PIT/56.8kg)
勝者:拳士浪 / KO 2R 2:47 / 3ノックダウン / 主審:プアナイ

キャリアで優る拳士浪が余裕ある展開。「蹴りまくる」と意気込みを語っていた将泰は、ミドルキックからハイキックへ積極的に蹴るが、ブロックされたり交わされたり、拳士浪のリズムを崩すには至らない。

第2ラウンドにはパンチでダウン奪う拳士浪。将泰はバックハンドブローを狙うが、拳士浪は冷静に交わし、更なる連打の後、右ストレートで3度目のダウンを奪って終了。

試合後、拳士浪は「15年前に治政館に入門し、選手として13年ほど現役を続けてきました。ですが、今日を持ちまして現役を引退しようと思っています。今迄有難うございました。」と語ってリングを降りました。

拳士浪の連打で将泰が仰け反る
「絆」のリングに治政館陣営が集合して拳士浪の勝利を祝う

◆NJKF女子アトム級(-46.266kg)挑戦者決定戦 3回戦(2分制)

2位.佐藤レイナ(TeamAkatsuki/46.0kg)vs 3位.美保(KFG URAWA/46.0kg)
勝者:佐藤レイナ / 判定2-0 / 主審:多賀谷敏朗
副審:竹村30-28. プアナイ30-29. 君塚29-29

セーラー服がコスチュームの佐藤レイナは高校卒業したばかり。しかし「セーラー服は卒業しないが、チャンピオンになったらこのコスチュームは卒業する」という。

接戦となった試合で、両者のパンチ打って蹴って出る積極性は、ポイント付け難い中、佐藤レイナがパンチの有効打がやや打ち勝った印象。これでチャンピオンの百花に挑戦が決定。

佐藤レイナの前蹴りで美保のボディを攻める
佐藤レイナ(左)が、チャンピオン.百花(右)に挑戦決定

◆女子ライトフライ級(-48.987kg)3回戦(2分制)

NJKF女子ライトフライ級4位.楓(LEGEND/48.8kg)
vs
同級8位.坂本優(CROSS LINE/48.8kg)
勝者:楓 / TKO 1R 0:17 / カウント中のレフェリーストップ
主審:中山宏美

女子キックでは滅多にない一撃KO、開始早々様子見から坂本優が出て行くと、楓の右前蹴りが坂本優の顎にまともにヒットすると、そのまま仰向けに倒れ、レフェリーストップ。立ち上がる様子はなく、セコンド陣営に抱えられリングを去った坂本優。

楓の右前蹴りが坂本優の顎にヒットした直後
楓が勝利を掴む
ここにも元ムエタイチャンピオン登場、武田幸三が御挨拶

◆女子バンタム級3回戦(2分制)

美優美(錬武館上尾/53.4kg)vs 七美(真樹・沖縄/53.1kg)
勝者:美優美 / 判定2-0 / 主審:君塚明
副審:多賀谷30-29. プアナイ30-29. 中山30-30

◆ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級3位.Jun Da雷音(E.S.G/65.9kg)
vs
同級5位.富士山勝敏(OGUNI/66.4kg)
勝者:Jun Da雷音 / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:君塚30-29. 中山30-29. 多賀谷30-29

他、前座4試合は割愛します。

メインイベント 60,5kg契約3回戦勝者の白井達也

《取材戦記》

休憩時のセレモニーには御挨拶にリングに上がる方が幾人か居られました。選手として御挨拶に立った良星選手と石川直樹選手の他、この興行には新日本キックボクシング協会の治政館ジムが協力されており、武田幸三さんもリングに登場。ここを走る東武線は高校時代に通った路線で、春日部は通過した地点でしたが、この地域は想い出の地でデビュー当時を思い出す様子でした。

埼玉県議会議員の権守幸男氏はPITジム松永嘉之会長と幼稚園時代からの幼馴染みで、毎度の来場で御挨拶の常連の方。10回目を迎えた絆興行の開催に勝った選手、負けた選手にも労いの言葉と、松永会長やNJKF役員各位に敬意と祝辞を述べられました。

この4月30日は興行が重なった日でした。

藤原敏男古稀祭が終わった後、一部の皆さんが向ったのは、新宿を目指す人が多い「ムエタイオープン」でしたが、私は埼玉県春日部市で行われた「絆Ⅹ」に向かっていました。決してビッグマッチがある訳ではありませんが、PITジム松永会長から、過去何度も誘われながら行けること少なかったのと、「マスコミももしかしたら一人も来ていないかも」という読みでの選択でもありました。

ふれあいキューブはなかなか綺麗な近代的施設。三分割された一つのホールを使用。「照明がもう少し明るければなあ」と撮影を考えると勝手なことを望んでしまいますが、都心から離れた“やや地方”としては立派な試合会場です。いずれここの大ホールひとつでビッグマッチも期待したい絆興行です。

次回「絆11」興行は11月25日、ふれあいキューブにて開催されます。

「絆」では常連となったラウンドガール、未来(みく)さん

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

『紙の爆弾』6月号 安倍晋三“6月解散”の目論見/ビートたけし独立騒動 すり替えられた“本筋”
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

藤原敏男氏古稀祭開催! 「キックの神様」が放ち続ける明るく強いオーラ

藤原敏男氏を囲んで祝辞を述べた勇者達。乾杯の音頭は渡嘉敷勝男氏
世界を極めた者同士の握手、渡嘉敷勝男氏と藤原敏男氏

過去のキックボクサーの中で、最も大きい功績を挙げた選手は、藤原敏男氏でしょう。改めてそう思わせるのが、4月30日に代々木上原のファイヤーキングカフェ(Fireking cafe)にて行われた藤原敏男古稀祭で、藤原氏の70才の誕生日を迎えて、更にキックボクシング目白ジム入門して50周年、タイ国ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座獲得して40周年という節目を記念しての祝賀会なのでした。

ファンや興行関係者の記憶にいちばん残る存在に対し、よほどの事情が無い限り、参加募集人員から漏れない限り、「行かねば」と集まった人ばかり。

そしてこの日、参加者は会場定員予定数を超える70名。祝辞を述べる代表に選ばれた関係者は、同じキック時代を生きた元・全日本ミドル級チャンピオンの猪狩元秀さん、元・WBA世界Jrフライ級チャンピオンの渡嘉敷勝男さん、K-1チャンピオンで第一人者となった佐竹雅昭さんらが集結。

渡嘉敷さんは「私は空手をやって来た経験から当時の藤原さんの試合もよく観ておりました。」と語り、佐竹雅昭さんは「子供の頃に映画”四角いジャングル”から藤原さんを観る機会が始まり、ニールセンと戦った頃は、放送席に”伝説の人が居る”と思って感動していました。」という、そんな世代の時代に移った選手から、藤原さんの試合をリアルタイムでは見ていない世代まで幅広い中で酒を酌み交わし、戦った者同士が過去の名勝負を熱く語り合ったり、現在の近況を語ったり、皆がそれぞれの人生を歩み、挫けることの無い身体と精神を持つ者同士は、また再会も約束する絆で結ばれた仲間でした。

藤原敏男氏の御挨拶に笑顔がこぼれるチャンピオン達
藤原敏男氏の御挨拶

先月25日には”前夜祭”が行われており、6月と8月にも主催者が替わって地方でも行われる予定という、しつこい程の節目の年の豪勢さ。

藤原敏男氏の御挨拶の言葉には、織田信長の言葉を借り、
「人間の一生は50年、あっという間に過ぎてしまう。悔いの無いように一生懸命やることが大事だ !」と語った後、御自身の人生に触れ、「3月で70才になりました。あと30年、どうやって生きて行こうかと思い(一同笑)、清く正しく美しく、そんな感じで生きて行こうかと思います ! 」

いつもの期待に応える笑いを誘うスピーチでした。

笑いを導く御挨拶は、先月に行われた古稀祭”前夜祭”で述べられたスピーチにもあり、「私の人生で、いちばん夢中になったものは何でしょう。”女”とか”ゴルフ”という声が挙がっていますが、全く当たっておりません(一同笑)。本当は”キック”が最高でした。」と笑いを誘いつつ、「今は走ることもサンドバッグを蹴ることも出来ません。」と自由に歩き回るには困難な日々でも、明るく強い精神力を持つ男のオーラがありました。

古希を祝って花束贈呈
「男の友情」を注いで周る藤原敏男氏
古希祝いTシャツにサインを入れる藤原敏男氏

足の症状は、現役時代の後遺症で、両足首周辺の疲労骨折とも言える脆くなった数ヶ所の負傷、10本ほどのボルトを打ったり抜いたりの手術を何度か受けている様子で、今は杖をついての歩行となっている毎日です。

藤原氏が獲得したムエタイ・ラジャダムナンスタジアム王座は、わずか3ヶ月足らずで現地防衛戦で奪われていますが、それまでにもランカー以上の選手と幾多の接戦の名勝負を展開し、ギャンブラー(現地観衆)から高い評価を受け、現地でも知名度あるのが藤原敏男氏であり、1997年にはタイでスポーツ記者クラブによるムエタイ殿堂入りするほどの功績。これを越える選手が現れていないことが、現在もその功績を称えられる要因でしょう。

キックボクシング界に於いて、これまでチャンピオンは沢山存在し、幾多の祝勝会は開かれていますが、10年、20年と、節目の年に多くの参加者が集う祝賀会を開くことが出来る選手はどれだけ出現するでしょうか。

今後のキックボクシング界に必要な名選手は、チャンピオンベルトの獲った数ではない、周囲に長く称えられる功績での”藤原敏男超え”なのでしょう。期待できる選手は幾らか存在する中、どうやって輝くか、今後の課題であるかもしれません。

チャンピオンを主に集まっての記念撮影

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

NKB VS MA日本キック 禁断の対決! 闘魂シリーズvol.2

蹴りにインパクトがあった井原浩之の右ミドルキックが西村清吾にヒット
西村清吾のパンチの距離での攻勢が目立った

NKB(日本キックボクシング連盟)とMA日本キック(マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟)とのチャンピオン交流戦、西村清吾vs井原浩之戦がメインイベント。

初回の探り合いから蹴り中心に前に出る井原に対し、パンチ、ヒジを合わせる西村。互いの決定打には至らないが、井原は接近すればヒザ蹴りに持ち込みたい体勢。そこから自分のペースに引き込めない井原は攻め難そうながらミドルキックは勢いがいい。西村のパンチとヒジの距離感は隙を突くように打ち攻勢が目立つ。ラストラウンドは疲れが見える両者。それでも強いヒットを狙って打ち合う両者。判定は分かれたが僅差で西村が勝利。

西村清吾の顔面を押し付けるような右ストレート

◆棚橋賢二郎vs稲葉裕哉

長身を利した蹴りと、階級も上の稲葉には棚橋のいつもの豪腕パンチが決まり難い。第2ラウンドに接近戦での打ち合いから偶然のバッティングにより稲葉が右眉下をカット。第3ラウンドには棚橋の左フックで稲葉がダウン。第4ラウンドには負傷箇所の悪化で試合を止められ、最初の負傷原因である偶然のバッティングにより負傷判定となり、ノックアウトを逃した棚橋は不完全燃焼の勝利。

棚橋賢二郎のパンチ連打で稲葉裕哉を攻める

◆野村怜央vs外川夏樹

初回からの両者のパンチと多彩な蹴りの積極的な攻防から第3ラウンド目には外川がスタミナ切れか、やや戦力が弱まり、勢いづく野村の右フックかヒジがヒットし外川がダウン。立ち上がっても劣勢から巻き返せず野村のパンチの攻勢が続き、再び右ヒジ打ちで外川は2度目のダウン。陣営よりタオル投入による棄権により、野村のノックアウト勝利となる。

外川夏樹vs野村怜央。野村怜央の右ヒジ打ちがクリーンヒットした瞬間

◆パントリー杉並vsオッカム山際

両者のパンチ中心のアグレッシブな打ち合いが続く中、若さと勝利数のキャリアで優るパントリーが打ち勝つ展開に進み、山際はダメージとスタミナ切れから下がり気味。次のラウンドがあるならばパントリーがノックアウトに繋げたと思える圧倒気味に終了。

オッカム山際vsパントリー杉並。勢いが増すパントリー杉並のラッシュ
NKBの面子を保った西村清吾

◎闘魂シリーズvol.2
4月21日(土) 後楽園ホール17:30~20:27
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第10試合 ミドル級5回戦

NKBミドル級チャンピオン.西村清吾(TEAM.KOK/72.5kg)
VS
MA日本ミドル級チャンピオン.井原浩之(Studio-K/72.05kg)
勝者:西村清吾 / 判定2-1 / 主審:前田仁
副審:川上49-48. 亀川48-50. 佐藤友章50-48

勝者 棚橋賢二郎

◆第9試合 64.5kg契約 5回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館/64.05kg)
VS
NKBウェルター級2位.稲葉裕哉(大塚/64.5kg)
勝者:棚橋賢二郎 / 負傷判定3-0 / TD 4R 1:16
主審:鈴木義和
副審:佐藤友章40-38. 亀川40-37. 前田40-37

勝者 野村怜央

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

NKBライト級4位.野村怜央(TEAM.KOK/64.0kg)
VS
JKIライト級6位.外川夏樹(MWS/64.0kg)
勝者:野村怜央 / KO 3R 1:45 / 右ヒジ打ち、カウント中のタオル投入
主審:川上伸

勝者 パントリー杉並

◆第7試合 63.0kg契約3回戦

NKBライト5位.パントリー杉並(杉並/62.5kg)
VS
オッカム山際(MKH/62.35kg)
勝者:パントリー杉並 / 判定3-0 / 主審:亀川明史
副審:鈴木30-29. 佐藤友章30-28. 川上30-28

◆第6試合 ミドル級3回戦

NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/72.45kg)
VS
同級4位.釼田昌弘(テツ/72.57kg)
勝者:田村聖 / 判定3-0 / 主審:佐藤彰彦
副審:鈴木30-27. 川上30-26. 前田30-27

◆第5試合 ウェルター級3回戦

NKBウェルター級4位.チャン・シー(SQUARE-UP/66.68kg)
VS
滝口幸成(WSR・F幕張/66.05kg)
引分け 0-1 / 主審:佐藤友章
副審:鈴木30-30. 佐藤彰彦28-30. 亀川30-30

◆第4試合 フェザー級3回戦

岩田行央(大塚/57.1kg)
VS
NKBバンタム級5位.海老原竜二(神武館/56.8kg)
勝者:海老原竜二 / KO 1R 2:24 / ハイキック、カウント中のタオル投入
主審:川上伸

◆第3試合 ライト級3回戦

小笠原裕史(TEAM.KOK/60.95kg)vs誠太(アウルスポーツ/60.95kg)
勝者:小笠原裕史 / 判定3-0 / 主審:佐藤彰彦
副審:亀川30-27. 前田30-29. 川上30-29

◆第2試合 バンタム級3回戦

ノーマーシー・カズ(テツ/52.8kg)vs北田竜汰(光/52.0kg)
勝者:ノーマーシー・カズ / KO 1R 1:47 / テンカウント
主審:鈴木義和

◆第1試合 フェザー級3回戦

山本太一(ケーアクティブ/56.95kg)vs孝則(総合格闘技TRIAL/57.15kg)
勝者:山本太一 / TKO 1R 2:38 / カウント中のレフェリーストップ
主審:亀川明史

《取材戦記》

「禁断の対決が実現!」という見出しが目立ったプログラムの文言。

90年代の、団体が細分化する前なら興味深い団体交流となるところ、現在も存在する両団体でも、33年前の分裂当時から存在する加盟ジムは非常に少ないでしょう。当時の加盟ジムは、その後、この両団体以外にまで分かれて行ったジムや辞めていった関係者が多いということです。戦った西村清吾と井原浩之にとってはチャンピオン対決として勝利を目指すも、33年前の事情など“何のことやら”でしょう。それでも他団体交流戦も増えてきた日本キック連盟は、今後も更に“禁断の対決”を実現して話題提供に力を注いで欲しいところ。時代の流れは進み、若い世代の力に期待が掛かっています。

MA日本同級チャンピオンを下した西村清吾はまた一歩前進。35歳デビューの現在39歳で、10戦7勝(1KO)2敗1分となりました。

大阪での次回興行は、4月29日(日)大阪市立旭区民センターで14:30よりNKジム主催「闘魂シリーズ ヤングファイトZ-1 Carnival」が開催されます。

6月16日(土)後楽園ホールでは17:15より「闘魂シリーズvol.3」が開催され、ここでの興味深いNKBフェザー級王座決定戦では昨年12月、高橋聖人の蹴りのペースが続く中、右フック一発で勝利した安田浩昭(SQUARE-UP)との再戦となります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

『紙の爆弾』5月号 安倍晋三はこうして退陣する

江幡塁が華麗に舞う TITANS NEOS.23!

先月のMAGNUM.46に於いては14試合中7試合が引分けだった興行に対し、今回は公式戦11試合とエキシビジョンマッチ1試合は全39ラウンド。1ラウンド決着が7試合。消化したラウンドは全22ラウンド。今までに無いかもしれない早いペースで進行した興行で、観衆としては心地良い豪快KOが観れ、疲れない長さで堪能した様子。

江幡塁も被弾しながら強烈な右ストレートを打ち込む
ユン・ドクジェの蹴りのパワーと連打で、江幡塁の左脇が赤く腫れる

◎TITANS NEOS.23
4月15日(日)後楽園ホール17:00~19:48
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.0kg契約 5回戦

WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.江幡塁(伊原/56.0kg)
   VS
ユン・ドクジェ(MAX FC 57kg級C/韓国/55.4kg)
勝者:江幡塁 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:宮沢49-48. 仲49-48. 少白竜49-48

終盤の江幡塁が優っていった左ミドルキック

江幡塁のローキックに右ストレートを合わせて来るユン・ドクジェ。組み合ってもすかさずヒザ蹴りを返し、たじろがないユン。蹴りも強く江幡塁の左脇腹が赤く染まり、被弾した顔面もやや赤みが増す。なぜかリズムに乗れない江幡塁だったが、第5ラウンド終盤には怒涛のパンチラッシュでユンを追い詰めるが的確さに欠け、ノックアウトに至らず終了。

苦戦の原因を尋ねるとセミファイナルまでの試合進行が早く、ウォーミングアップが足りなかったことを述べ、3ラウンド辺りから身体が解れ、ペースアップに動いたが、ユンを調子付かせてしまった反省点を述べていました。

江幡塁が6月8日に2度目の「KNOCK OUT」出場で、国内幾つかのタイトルを獲得している小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)と対戦します。兄の睦は、5月31日にタイ国ラジャダムナンスタジアム出場が予定されており、ランキング入りを懸けた戦いとなるか、ツインズの次なるステップへ、終わりなき挑戦が続きます。

江幡塁もペースを上げ、本来の鋭い攻めを見せた左ハイキック
緑川創のボディブローから上下打ち分けヒジに繋いでいく

 

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(藤本/70.0kg)vsアニーバル・シアンシアルーソ(アルゼンチン/69.2kg)
勝者:緑川創 / TKO 1R 2:45 / ヒジによる顔面カットでドクター勧告を受入れレフェリーストップ
主審:宮沢誠

アニーバルの蹴りにパワーは有るものの、繋ぎ技は少ない。緑川はボディーブローから上下打ち分け、パンチ連打にヒジ打ちを加え、アニーバルは右側頭部をカット、流血に見舞われ、レフェリーストップ、緑川創がTKOで圧勝。

緑川創が教授のようにキックボクシングの技を叩き込む
重森陽太のハイキックの方が鋭く重くウ・スンボムを襲う

 

◆ライト級 5回戦

重森陽太(伊原稲城/61.1kg)vsウ・スンボム(KMMAF韓国60kg級C/韓国/60.9kg)
勝者:重森陽太 / TKO 1R 2:35 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

ウ・スンボムの勢いあるハイキックを冷静に対応。重森もハイキックを軽く返していくと、これでノックアウト出来そうな雰囲気が漂う中、その強いハイキックから連打、最後は右ストレートで倒して圧勝。

重森陽太の右ハイキックから右ストレートへ繋いで倒す
エキシビジョンマッチで軽やかな動きを見せる勝次
先輩相手に遠慮無い変則ファイトのHIROYUKI

◆エキシビションマッチ

日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本)EX日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(藤本)&日本フェザー級4位.皆川裕也(藤本)

再起に動き出した勝次(=高橋勝次)が後輩2名とエキシビジョンマッチで登場。昨年出場した「KNOCK OUT」での全トーナメント戦に於いて通算何度ダウンしたことか。そのダメージを抜いて、7月興行に於いて、ランカークラスのムエタイボクサーと再起戦が予定されています。

皆川は正攻法の攻めで終わるも、HIROYUKIは開始早々から飛び蹴り、また変則的な攻勢を見せ、三者三様の鋭い動きでそれぞれが好調ぶりを発揮されていました。

◆73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg)
   VS
任朝恵(ワイルドシーサー沖縄/73.1kg)
勝者:斗吾 / KO 1R 2:16 / 3ノックダウン
主審:少白竜

実力差が現れたパンチの交錯。斗吾が圧力掛けて出て、やや空振りもあるが3度のダウンに結び付けて圧勝。

強いパンチで追い詰める斗吾

◆59.0kg契約3回戦

JKIスーパーフェザー級チャンピオン.葵拳士郎(マイウェイ/58.6kg)
   VS
日本フェザー級1位.髙橋亨汰(伊原/59.0kg)
勝者:髙橋亨汰 / TKO 1R 2:45 / 左ハイキック一発、ノーカウントのレフェリーストップ 
主審:仲俊光

静かな序盤を様子見で終わるかと見えた初回の終盤、ガードの空いた葵拳士郎の右顔面に髙橋亨汰の左ハイキックがヒット、あっけなく豪快に勝った髙橋亨汰は雄叫びと号泣で喜びを表す。

左ハイキック一発でノックアウト直後の高橋亨汰

◆ミドル級3回戦

TENKAICHIミドル級チャンピオン.Tomo(天下一・沖縄/72.3kg)
   VS
日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
引分け 1-0 / 主審:宮沢誠 / 椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-28

◆ライト級3回戦

日本ライト級5位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.1kg)vs千久(伊原/61.15kg)
勝者:ジョニー・オリベイラ / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-28. 仲29-28. 宮沢30-28

◆61.5kg契約3回戦

日本ライト級6位.渡邉涼介(伊原新潟/61.5kg)vs同級7位.大月慎也(治政館/61.3kg)
勝者:大月慎也 / TKO 2R 3:12 / カウント中のレフェリーストップ
主審:椎名利一

◆ウェルター級3回戦

J-NETWORKウェルター級10位.涼介(不死鳥/66.45kg)
   VS
ワンパンマン浦野(名護ムエタイS/66.3kg)
勝者:涼介 / KO 1R 2:37 / 3ノックダウン
主審:宮沢誠

◆ライト級2回戦

林瑞紀(治政館/61.0kg)vs松崎祐樹(トーエル/60.8kg)
勝者:林瑞紀 / TKO 1R 0:40 / カウント中のレフェリーストップ

◆58.5kg契約2回戦

瀬川琉(伊原稲城/58.3kg)vs小田切健吾(マイウェイ/58.0kg)
勝者:瀬川琉 / TKO 1R終了 / 顔面負傷による棄権

《取材戦記》

若いと言われた江幡ツインズも今年27歳。デビューから10年経ち、今や円熟期。昨年12月から“江幡祭り”と新たなキャッチフレーズが付き、今年に懸ける変化が見られてきました。宮元啓介(橋本)戦に続く日本人対決を迎える江幡塁と、2年ぶりのラジャダムナンスタジアム出場の江幡睦の勝負とその先が注目の、夏に向けたこの季節となります。

苦戦し反省はあるが表情は明るく勝者コールを受ける江幡塁、右は伊原信一協会代表、レフェリーは椎名利一氏

次回興行は5月13日(日)に後楽園ホールに於いて、治政館ジム主催興行「WINNERS 2018.2 nd」が開催。日本フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー)がメインイベントの他、日本ウェルター級王座決定戦で、1位.政斗(治政館)vs3位.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原)戦が行われます。

リカルド・ブラボが勝てば、新日本キックボクシング協会に於いては、朴龍(韓国/市原)以来の外国人チャンピオン誕生となる、伊原ジムが期待を掛ける若い外国人選手。治政館が期待を掛ける政人は王座へ2年ぶり2度目の挑戦となります。

藤本ジムの三羽烏、左からHIROYUKI、主役の勝次、皆川裕也

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

『紙の爆弾』5月号 安倍晋三はこうして退陣する

日本のムエタイファイト M-ONE!

片島聡志 vs 奥脇一哉。片島聡志の左ミドルキックがヒット、接近戦も離れても技がある片島聡志が優位に立つ
片島聡志 vs 奥脇一哉。片島聡志の左ハイキックを受け止める奥脇一哉

佐々木雄汰(尚武会)のWPMF日本スーパーフライ級王座返上による、片島聡志(クレイン) vs 奥脇一哉(はまっこムエタイ)による王座決定戦。

序盤の様子見では、奥脇の左フックと片島の前蹴り中心に進み、更に片島の組み合って崩す巧みさに奥脇は勢いに乗れない。第3ラウンドには片島が後ろ蹴りから更に調子を上げていき、両者の好戦的蹴り合いは、片島が経験値で上回って僅差の内容ながら勝利を上げました。

2014年に返上した第3代チャンピオンから、第6代チャンピオンへの王座復帰と成る。2連敗から脱出した片島聡志は、38戦21勝(2KO)13敗4分。6連敗となった奥脇一哉は23戦8勝(2KO)13敗2分。

組み合ってから崩して倒す片島聡志、心理的、攻勢的に優位に立つムエタイ技
デンサヤーム vs 祥梧。崩した勢いで打って出るデンサヤーム

セミファイナルに出場予定の小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)が角膜剥離の為、欠場となりました。代替選手として、Phoenixx 祥梧(Phoenixx Nak Muay)の出場が決定。

九州が拠点の活動から幅を広げ、REBELS興行やJ-NETWORK興行に出場して実力を付けてきたPhoenixx 祥梧がベテランのタイボクサー、デンサヤームに挑みました。20歳で46戦をこなしている祥梧は、デンサヤームのパンチと蹴りの多彩な圧力に屈せず、果敢に反撃し、パンチと蹴りのスピード感と力強さが好印象。

しかしそこはベテランの業師、デンサヤームが首相撲に持ち込んで祥梧の動きを封じ、隙をついたヒザ蹴りをミゾオチにヒットさせノックアウトしてしまう。善戦するも敗れたPhoenixx 祥梧は、47戦31勝(14KO)13敗3分。

デンサヤーム vs Phoenixx 祥梧。祥梧の右ストレートがデンサヤームのボディにヒット
デンサヤームの重いミドルキックが祥梧にヒット

17歳の柊斗の蹴りのスピードが次第に調子を上げ、ローキックも効果的に32歳のMASAHIROを圧倒する展開で勝利を掴む。柊斗は5戦3勝(1KO)2敗。MASAHIRO×AKGは11戦2勝(1KO)8敗2分。

堀口貴博はSHUN JANJIRAのパンチを貰って鼻血を流す中、更に攻められ呼吸が苦しそうな展開から第3ラウンドにバックヒジ打ちでダウンを奪って形勢逆転の判定勝利。観衆がどよめく、インパクトあるバックヒジ打ちでした。

40歳になるデンサヤーム、在日タイ人として日本人の前に立ちはだかる役割は続く
生後間もない我が子をリングに上げてツーショットの片島聡志、これが目標となる選手は多い

◎M-ONE 2018 1st 2018年4月1日(日)新宿フェイス16:00~20:35
主催:ウィラサクレック・フェアテックス / 認定:WPMF日本支局

《全9試合》

◆第9試合 第6代WPMF日本スーパーフライ級王座決定戦 5回戦

奥脇一哉(はまっこムエタイ/23歳/52.16kg)
    vs
WPMF日本バンタム級2位.片島聡志(クレイン/27歳/52.16kg)

勝者:片島聡志 / 判定0-3 / 主審:チャンデー・ソー・パランタレー
副審:ソンマイ48-50. ナルンチョン48-50. ノッパデーソン48-49

◆第8試合 58.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級4位.Phoenixx 祥梧(Phoenixx Nak Muay/20歳/57.9kg)
    vs
デンサヤーム・ルークプラバーツ(元・ルンピニー系バンタム級C/タイ/57.7kg)

勝者:デンサヤーム・ルークプラバーツ / KO 3R 1:13
主審:ソンマイ・ケーウセン

◆第7試合 スーパーバンタム級3回戦

WPMF日本バンタム級7位.柊斗(WSR・F西川口/17歳/55.1kg)
    vs
MASAHIRO×AKG(A-BLAZE/32歳/55.0kg)

勝者:柊斗 / 判定3-0 / 主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:アラビアン30-28. ソンマイ30-28. チャンデー30-28

柊斗 vs MASAHIRO。柊斗の左ミドルキックがヒット、ブロックの上からでも効果あり
柊斗の右ハイキックがヒット、スピード、当て勘、17歳が32歳を上回る
柊斗 vs MASAHIRO。柊斗のしなりある右ハイキックがヒット
柊斗 vs MASAHIRO。ラウンドガールも2名同時登場

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

SHUN JANJIRA(JANJIRA/24歳/58.97kg)
    vs
WPMF日本スーパーフェザー級7位.堀口貴博(WSR・F三ノ輪/35歳/58.97kg)

勝者:堀口貴博 / 判定0-3 / 主審:
副審:アラビアン28-29. ソンマイ28-29. ノッパデーソン28-29

◆第5試合 スーパーフェザー級3回戦

ウルフ・タツロウ(アント/28歳/58.75kg)
    vs
向井貫太(WSR・F三ノ輪/21歳/58.5kg)

勝者:ウルフ・タツロウ / 判定0-1延長戦2-1 / 主審:チャンデー
副審:アラビアン  29-29.10-9
ナルンチョン 28-29.9-10
ノッパデーソン29-29.10-9

◆第4試合 フェザー級3回戦

シャックシャックMASAYAN(T-KIX/23歳/56.9kg)
    vs
聖(フォルティス渋谷/28歳/57.1kg)

勝者:シャックシャックMASAYAN / 判定3-0 / 主審:ソンマイ
副審:アラビアン30-29. ナルンチョン30-28. チャンデー30-28

◆第3試合 55.0kg契約3回戦

MITSURU(WSR・F三ノ輪/30歳/55.0kg) vs 弘樹(Y’ZD/25歳/54.3kg)

勝者:MITSURU / 判定3-0 / 主審:ノッパデーソン
副審:アラビアン29-28. ソンマイ29-28. チャンデー30-28

◆第2試合 女子ピン級(-45.359kg)3回戦(2分制)

奥脇奈々(はまっこムエタイ/20歳/45.1kg) vs
    vs
Sae KMG(=さえ/クラミツムエタイ/55歳/44.6kg)

勝者:奥脇奈々 / 判定3-0 / 主審:ナルンチョン
副審:ノッパデーソン29-28. ソンマイ29-28. チャンデー30-29

◆第1試合 53.0kg契約3回戦

壱・センチャイジム(センチャイ/20歳/52.05kg)
    vs
村井雄誠(エイワスポーツ/15歳/52.75kg)

勝者:壱・センチャイジム / 判定3-0 / 主審:アラビアン長谷川
副審:ナルンチョン30-28. ソンマイ30-28. チャンデー30-28

《取材戦記》

過去にも日本人選手を攻略してきたデンサヤームの首相撲の罠に掛かり、ヒザ蹴りに敗れるも、首都圏で人気が上がりつつあるPhoenixx 祥梧は、勇敢な闘争心と強いパンチ、蹴りを持った選手。九州から首都圏へ、今後の日本トップレベルのタイトル絡みの試合に期待が掛かります。

第2試合の女子ピン級3回戦の青コーナーSae KMG選手、「この年齢、本当?」と思えた55歳。プログラムに「1962年4月生まれ」とあり、関係者の話でもそのとおり。この日は奥脇一哉の妹、奥脇奈々(20歳)と対戦、パンチの打ち合いに応じるも、奥脇の若さに押されて判定で敗れ、6戦2勝3敗1分。アマチュア経験は豊富な様子の主婦でした。打撃競技としての年齢問題はさておき、この年齢でも戦える姿に応援したくなる声も多い、さえ選手でした。

M-ONEの次回興行は6月3日(日)に、会場は同じく新宿フェースでの開催となります。

Sae KMG vs 奥脇奈々。年齢差35歳の戦い、若い力に押されても、闘志で優ったSae KMG

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

本日発売!衝撃の『紙の爆弾』5月号 安倍晋三はこうして退陣する/編集長・中川が一から聞く日本社会の転換点/日本会議系団体理事が支持「道徳」を〝数値評価〟していた文科省研究開発学校 他

MAGNUM.46 江幡祭りは終わらない!

江幡睦vsニンモンコン。チャンスを逃さない江幡睦、パンチのラッシュを掛ける

続く江幡ツインズのムエタイロード──。ラジャダムナンスタジアムのランキング入りを果たしたい江幡睦は無名のニンモンコンをパンチとローキックの強さを見せて圧勝。

開始早々はお互いに様子を伺うローキックが交差するが、一気に詰めたのは公約どおりのパンチで、ローキックとの連係で1ラウンド早々のノックアウト。江幡祭りはこれから本番のランキング入りを目指します。

圧勝の江幡睦、次はランキング戦で勝利するか
意識朦朧のニンモンコン
石川直樹vs泰史。泰史のパンチが石川直樹にヒット、パンチ勝負なら負けない泰史

石川直樹は2度目の防衛戦。泰史戦はこれで1勝2分。2016年3月の王座決定戦での引分けは泰史が勝者扱いで王座獲得。その王座を同年10月にTKOで奪ったのが石川直樹、昨年11月の初防衛戦は幸太を組んでのヒザ蹴りで捻じ伏せKOで下したばかり。

初回から泰史はパンチとローキックで攻勢に出る。第2ラウンドから石川も攻め返すパンチとローキックに続き、ヒザ蹴りが目立っていく中、石川のヒジ打ちで泰史の左頬が次第に腫れが大きくなる。石川の掴みに行くヒザ蹴りと泰史のパンチの攻防は、互いが思うようにペースを掴めないスタミナ消耗激しい苦しい展開で最終ラウンドに入り、泰史がパンチのヒットがやや巻き返すが、それまでの石川のヒザ蹴り主体の攻めを上回るには至らない。判定は引分けで、石川直樹が辛うじて王座を守り2度目の防衛成る。

石川直樹vs泰史。石川直樹のヒザ蹴りに右ストレートを合わせる泰史
泰史vs石川直樹。右ハイキックで腫れた泰史の顔面を襲う石川直樹

斗吾は12月に引分けた齋藤智宏と再戦。この時は斉藤が組んでのヒザ蹴りの持ち味を活かした試合でした。2014年3月に対戦した時は斗吾がヒジ打ちでTKO勝利。 今回もヒザを有効に使いたい齋藤智宏に、斗吾は掴まらないうちにパンチの距離を見極め、第2ラウンドにもダメージある齋藤をパンチ主体に攻め続け完勝。

HIROYUKIは昨年10月、地花デビッドにボディを攻められKO負けして以来の再起戦。チャンピオンとして弱点が目立ってはいけない中、欠点を克服して、国内では経験豊富な國本真義のローキックからパンチ主体の攻めに、打ち負けず飛び蹴りや後ろ蹴りの派手な技も織り交ぜ攻めるも圧倒出来ず引分け。

國本真義vsHIROYUKI。HIROYUKIの飛びヒザ蹴りが國本を攻める
江幡睦vsニンモンコン。ブロックされても想定内、右ローキックで動きを止めにいく

◎MAGNUM.46 / 2018年3月11日(日)後楽園ホール17:00~20:55
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第14試合 54.5kg契約 5回戦

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/54.2kg)
   VS
ニンモンコン・ペットプームムエタイ(タイ/53.8kg)
勝者:江幡睦 / KO 1R 1:26 / カウント中のタオル投入
主審:椎名利一

ニンモンコンvs江幡睦。いつもの様子見の江幡睦、けん制ローキック
江幡睦の左ローキック、次第にニンモンコンをロープ際へ追い詰める
齋藤智宏vs斗吾。第2ラウンド最初のダウンを奪った右ストレート
齋藤智宏vs斗吾。斗吾が一気に攻めたパンチのラッシュ
齋藤智宏vs斗吾。第1ラウンドに続き第2ラウンドに斗吾が最初のダウンを奪う
勝者コールを受ける斗吾

◆第13試合 日本フライ級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.石川直樹(治政館/50.7kg)
   VS
同級1位.泰史(伊原/50.8kg)
引分け 1-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名48-48. 宮沢48-48. 桜井49-48

◆第12試合   73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg)
   VS
齋藤智宏(Ys.k/73.5kg)
勝者:斗吾 / KO 2R 1:01 / ノーカウントのレフェリーストップと同時にタオル投入
主審:少白竜

◆第11試合 54.5kg契約3回戦

日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(藤本/54.5kg)
   VS
國本真義(MEIBUKAI/54.4kg)
引分け 三者三様 / 主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 少白竜28-29. 仲30-29

◆第10試合 70.0kg契約3回戦

喜多村誠(前・日本M級C/伊原新潟/69.7kg)
   VS
小原俊之(キングムエ/69.7kg)
引分け 1-0 / 主審:宮沢誠
副審:仲29-29. 少白竜29-29. 桜井30-28

◆第9試合 64.0kg契約3回戦

石井達也(元・日本L級C/藤本/63.8kg)
   VS
日本ライト級4位.春樹(横須賀太賀/63.8kg)
勝者:石井達也 / 判定2-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜30-29. 宮沢29-29. 桜井30-28

◆第8試合 56.0kg契約3回戦

瀧澤博人(前・日本B級C/ビクトリー/56.0kg)
   VS
ナコンルアン・スワンアハンピーマイ(タイ/55.3kg)
引分け 0-1 / 主審:仲俊光
副審:椎名29-29. 宮沢29-29. 桜井29-30

◆第7試合 バンタム級3回戦

日本バンタム級3位.阿部泰彦(JMN/53.5kg)
   VS
日本バンタム級4位.古岡大八(藤本/53.4kg)
引分け 0-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-29. 宮沢29-29. 仲29-29

◆第6試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級4位.皆川裕也(藤本/57.0kg)
   VS
日本フェザー級10位.渡辺航己(JMN/56.6kg)
勝者:皆川裕也 / 判定2-1 / 主審:桜井一秀
副審:椎名30-29. 少白竜29-30. 仲俊光30-29

◆第5試合 69.0kg契約3回戦

日本ウェルター級5位.リカルド・ブラボ(伊原/68.6kg)
   VS
輝也(TS/72.4→72.2kg) 3.2kgオーバーによる減点2
勝者:リカルド・ブラボ / KO 1R 2:04 / カウント中のタオル投入

◆第4試合 62.0kg契約3回戦

日本ライト級7位.大月慎也(治政館/61.9kg)
   VS
長谷川健(RIKIX/62.0kg)
引分け 0-1 / 29-29. 28-29. 29-29

◆第3試合 52.0kg契約3回戦

空龍(伊原新潟/51.3kg)vs林佑哉(空修会館/51.2kg)
引分け 0-0 / 29-29. 29-29. 29-29

◆第2試合 70.0kg契約2回戦

大久和輝(伊原/69.8kg)vs萩本将次(CRAZY WOLF/69.5kg)
勝者:大久和輝 / 判定3-0 / 20-19. 20-19. 20-19

◆第1試合   ウェルター級2回戦

RYOTA(トーエル/66.6kg)vs宮崎亮(RIKIX/66.4kg)
勝者:宮崎亮 / 判定0-2 / 19-19. 19-20. 19-20

《取材戦記》

「江幡祭りは終わらない」というキャッチコピーが付いた今回の興行。14試合中7試合が引分け、3回戦では大差には成り難く、2-0、2-1判定も3試合あり、迫力に欠け、盛り上がるような接戦ではない展開に「昔のような倒しに行く姿勢が足りない」という休憩時間に聞かれた厳しい関係者の声も多い中、後半の斗吾、江幡睦がノックアウト勝利。石川直樹vs泰史は引分けでも攻防激しい展開で盛り上げてくれました。

来月15日(日)はTITANS NEOS 23が開催、今度は江幡ツインズ弟の塁が出場。ラジャダムナンスタジアムのランキングには常に名を連ねていて欲しい江幡ツインズです。重森陽太、緑川創のいずれも現時点で対戦相手未定ながら海外選手と対戦が予定されています。

日本ライト級チャンピオンの勝次は同じ藤本ジムの後輩、HIROYUKIと皆川裕哉とのエキシビジョンマッチも予定されています。「KNOCK OUT」から本来の路線に戻っての再起に期待が掛かります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

それぞれに因縁あるWBCムエタイ日本タイトルマッチ開催!

タネ・ヨシホvs能登龍也。能登の右ミドルキックに右ストレートを合わせるタネ・ヨシホ(左)
能登龍也vsタネ・ヨシホ。一度対戦した経験から一歩上回った攻勢のタネ・ヨシホの右ストレート

能登龍也vsタネ・ヨシホ戦の初対決は昨年10月の「KNOCK OUT」に於いての3回戦で対戦し引分けた試合は攻防で盛り上がり、決着戦が期待されたカードとなりました。
初回から能登が圧力掛け続け、タネ・ヨシホは下がり気味も的確に返していく。次第に距離を詰め、蹴りに加えたムエタイ特有の崩し技を活かしたタネ・ヨシホが判定勝利。

白神武央vsYETI達朗戦は3度目の対戦で、2015年5月にノンタイトル戦で引分け、2016年2月に白神がKO勝利でYETI達朗からNJKF王座奪取して1勝1分。YETI達朗はその白神の後を追うように上位王座のWBCムエタイ日本タイトルを懸けての対戦。

目立ったヒットは少ない両者でしたが、白神を破る執念が垣間見れたYETI達朗のパンチと蹴り。勢いつかない両者にもっと蹴り合いがあればもっと盛り上がったと思えるところ、僅差でYETI達朗が雪辱を果たしました。

積極性で優ったYETI達朗のヒザ蹴り

小川翔vsNAOKI戦は過去の国内王座を勝ち上がってきた者同士の対戦で、先行く小川翔に挑むNAOKI。

相打ち覚悟のヒジ打ちの攻防が目立った両者。第2ラウンドにはNAOKIに2度のドクターチェックが入るが、その後、小川も少々切られる。両者に幸い出血は少なく打ち合いは続き、小川は勢い強め、NAOKIの攻撃力弱まった終盤を経て小川の判定勝利。

小川翔の右ハイキックがNAOKIを襲う
ムエタイ技であり、キックボクシングの攻防であるヒジ打ち、小川翔の右ヒジがNAOKIにヒット
激しい攻防の小川翔vsNAOKI

波賀宙也は1月10日に新日本キック興行に出場してパカイペットに判定負けしたばかり。と言っても1ヶ月半の試合間隔になるので、体調は問題ないでしょう。この日は前田浩喜に判定勝利で5連敗から脱出し、WBCムエタイ日本スーパーバンタム級挑戦権を獲得しました。

新人(=あらと)は宮城からやって来た「聖域統一」60kg級チャンピオンの岩城悠介に右ストレートが決定打となる2度のダウンを奪われてレフェリーストップによるTKO負け。東北地方で普及している聖域(サンクチュアリ)のアピールが活きたことでしょう。

タネ・ヨシホの左ミドルキックが能登龍也にヒット、ブロックの上からでもリズムを作った
タネ・ヨシホはまだ18歳、今後も上位に向かって勝ち進めるか

◎NJKF 2018.1st / 2018年2月25日(日)後楽園ホール17:00~21:20
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本実行委員会

◆第5代WBCムエタイ日本フライ級王座決定戦 5回戦

1位.能登龍也(VALLELY/50.55kg)
   VS
2位.タネ・ヨシホ(=多根喜帆/直心会/50.8kg)
勝者:タネ・ヨシホ / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:桜井47-50. 中山47-50. 神谷47-50

◆WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.小川翔(OISHI/61.2kg)
   VS
挑戦者.同級1位.NAOKI(NJKF同級C/立川KBA/61.2kg)
勝者:小川翔が初防衛 / 判定3-0 / 主審:中山宏美
副審:桜井49-46. 竹村50-47. 神谷49-47

◆WBCムエタイ日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.白神武央(拳之会/69.6kg)
   VS
挑戦者.同級1位.YETI達朗(NJKF同級C/キング/69.8kg)
勝者:YETI達朗が第4代チャンピオン / 判定0-2 / 主審:竹村光一
副審:桜井49-49. 中山48-49. 神谷48-49

◆59.0㎏契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン.新人(E.S.G/59.0kg)
   VS
岩城悠介(PCK連闘会/58.6kg)
勝者:岩城悠介 / TKO 1R 2:34 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊

小川翔が初防衛成功

◆WBCムエタイ日本スーパーバンタム級挑戦者決定戦3回戦

1位.波賀宙也(立川KBA/55.3kg)
   VS
2位前田浩喜(CORE/55.2kg)
勝者:波賀宙也 / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:竹村30-28. 中山30-27. 宮本30-27

◆55.0kg契約3回戦

同級1位.大田拓真(新興ムエタイ/55.0kg)
   VS
ダウサヤーム・ウォーワンチャイ(タイ/54.95kg)
勝者:ダウサヤーム / 判定0-3 / 主審:神谷友和
副審:竹村29-30. 桜井29-30. 宮本28-29

◆NJKFスーパーライト級挑戦者決定トーナメント3回戦

2位.真吾YAMATO(大和/63.5kg)
   VS
3位.嶋田裕介(Bombo Freely/63.5kg)
勝者:真吾YAMATO / KO 1R 2:32 / 3ノックダウン
主審:中山宏美

◆60.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本スーパーフェザー級5位.TAaaaCHAN(PCK連闘会/59.6kg)
   VS
NJKFスーパーフェザー級7位.梅沢武彦(東京町田金子/59.8kg)
勝者:梅沢武彦 / 判定0-2 / 主審:宮本和俊
副審:竹村29-30. 中山29-29. 神谷29-30

白神武央に雪辱成功、WBCムエタイ日本王座を奪取したYETI達朗

◆バンタム級3回戦

NJKFバンタム級2位.日下滉大(OGUNI/53.4kg)
   VS
同級3位.俊YAMATO(大和/53.45kg)
勝者:俊YAMATO / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:竹村28-29. 中山28-30. 宮本28-30

◆スーパーバンタム級3回戦

NJKFスーパーバンタム級3位.久保田雄太(新興ムエタイ/55.3kg)
   VS
永井健太朗(Kick Box/55.2kg)
勝者:久保田雄太 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:桜井30-28. 中山30-27. 宮本30-28

◆NJKFスーパーライト級3回戦

NJKFライト級1位.村中克至(ブリザード/63.0kg)
   VS
NJKFスーパーライト級9位.野津良太(E.S.G/63.5kg)
勝者:野津良太 / 判定1-2 / 主審:竹村光一
副審:桜井29-30. 中山29-30. 神谷30-29

《取材戦記》

WBCムエタイの日本組織が根付いて丸10年になる今年です。2009年から日本タイトル化されて来ました。此処の組織は此処なりに、低空飛行のようでもしっかり選手が育ち、世界チャンピオンも二人誕生してきました。今後更なる世界チャンピオンが誕生するか、この日勝ち上がって来た日本チャンピオン達に期待が掛かります。今後のNJKFのメインイベンターと成り得る存在でもあります。

その中でも小川翔vsNAOKI戦はヒジ打ちの攻防が盛り上がり、タイトルマッチ3試合の中ではいちばん迫力がありました。キックボクシングの醍醐味はムエタイ技を酷使してのノックアウト勝利。ヒジやヒザだけを重視という訳ではなく、打撃すべてがムエタイ技でもあります。その点は「KNOCK OUTイベント」にも思想が繋がるところでしょう。

次回NJKF興行は4月15日に山陽ハイツ体育館に於いて、拳之会主催興行の「NJKF 2018 WEST 2nd」が行なわれます。国崇、白神武央、白築杏奈がベルギーからの刺客を迎え撃つ戦いとなります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

3月7日発売『紙の爆弾』4月号!自民党総裁選に“波乱”の兆し/前川喜平前文科次官が今治市で発した「警告」/創価学会・本部人事に表れた内部対立他
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』