《4月のことば》花 あなたらしく咲けばいい……(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

4月、新年度に入りました。

花咲き誇る季節です。

あらゆる分野で多様性の時代です。

咲き誇る花も多様です。

何事も一つではありません。

「多様性」と言いながらそうではないことも多々あります。

あなたはあなたらしく、私は私らしく咲こう!

それを認め合うところから真の多様性があるのではないでしょうか。

本年は唯一の反(脱)原発『季節』が、前身の『NO NUKES voice』を含め創刊10周年を迎えます。

次号を夏・秋合併号として創刊10周年記念号として準備を開始いたしました(詳細は後日公表。定期購読、会員の皆様には直接郵送にてお知らせいたします)。

そうして、来年はいよいよ『紙の爆弾』が創刊20周年を迎えます。

この4月7日発売号で創刊19年です。

光陰矢のごとしで、月日の経つのは本当に速いものです。

創刊直後の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧で逮捕、半年余りも勾留され辛酸を舐めたこと、凍り付くような拘置所で大晦日、正月を過ごしたこと……走馬灯のように過ります。

さほど他人に自慢できる人生ではありませんでしたが、私らしく醜く咲いた人生でした。

『紙の爆弾』創刊号では「ペンのテロリスト」などと嘯いていました。

それでも、もうひと花咲かせて出版人生を終えたいと思う昨今です。

(松岡利康)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年春号 能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年4月号

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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『サイゾー』2024年5月号(3月24日発売)で、ジャニーズ問題について作家の本橋信宏さんと対談を行いました。発売したばかりですので、ここでは一部を掲載しました。あとは購読され、ご覧ください。

また、本号の興味深い記事としては、大阪万博をめぐり、大﨑洋吉本興業前会長と作家の本間龍さんが、賛成・反対双方の立場から対談されています。賛成、あるいは反対だけの記事は万とありますが、直接両論戦わす対談記事は、ほとんど見たことがありません。貴重です。定価980円(税込み) 

(松岡利康)

[対談]元祖・ジャニーズに喧嘩を売った男たち ―― 本橋信宏×松岡利康

3月24日発売 サイゾー2024年5月号

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

先にお知らせしましたように、「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)の主たる暴行実行犯、エルネスト金(略称・エル金)こと金(本田)良平が鹿砦社と作家・森奈津子さんを「プライバシー権の侵害」で民事訴訟を提訴してきました。

 

リンチ直前の加害者ら。中央が金良平、左・李信恵、右・伊藤大介

これに対し私たちは断固として立ち向かう決意を固めています。同時に、本年12月で事件発生10年を迎える、くだんのリンチ事件についても、あらためて検証し直す、いい契機にすることにしました。

このかん、提訴しておきながら、金良平にしろ代理人の神原元弁護士にしろ本件についてはダンマリを決め込んでいます。また、以前のように「エル金は友達」運動もないようです。いったんは送った「謝罪文」を反故にした後に行われた「エル金は友達」運動こそ、まさにМ君を村八分にし精神的に追い詰めるもので、首謀した者、関わった者らを断じて許せません。村八分が差別だということは言うまでもありません。

これまで私たちは、この大学院生リンチ事件について、必死に調査・取材し6冊のムック本にして世に送り出しました。そのうち1冊には主に金良平が行ったリンチ(私刑)の一部始終を録音したCD(音声データ)を付けています。被害者の大学院生(当時)М君が必死で録音した音声データをCD化するに際しては、さすがに一般の民間業者に発注するわけにはいかず、不良在日コリアンの犯行に怒った、ある在日の方が「私に任せてください」と、こっそり海外でプレスしてくれました。水面下で、こういう心ある在日の方々にご協力、ご支援いただき、私たちは「しばき隊/カウンター」と闘ってきたのです。

とはいえ、その後、未公開の資料や、語っていないこともあり、おいおい述べていきたいと思います。

被害者М君を精神的に追い詰めた村八分=「エル金は友達」運動

同上

同上

今回は、対李信恵第2訴訟控訴審において提出した、著名な精神科医・野田正彰先生の「М(実物では本名)精神鑑定書」を紹介いたします。これまで未公開ですが、これが裁判官の心を打ったものと思われます。それは判決文にも反映され、一部ながら重要部分で逆転勝訴し賠償金も減額になりました。

それでも理不尽なリンチを批判した私たち鹿砦社が100万円余りの賠償金を課せられる不当な判決を到底理解できません。主たる暴力実行者・金良平と、一発殴った李普鉉に賠償金が課せられましたが、リンチに連座し止めようもしなかった李信恵、伊藤大介、松本英一らにはなんらの咎もないというのは常人の感情から到底理解できるものではありません。裁判所の良識を疑うと共に弾劾せざるをえません。そもそも司法に良識など求めるのが間違いなのでしょうか?

さて、この「精神鑑定書」は次のような構成になっています。

1.生活史

2.事件にいたる経過

3.受傷被害時の精神状態についての診断

4.受傷被害後における精神状態

以下、引用しながら、私のコメントを申し述べていきたいと思います。

「精神鑑定書」は次のような文言で始まります。

〈М(原文では本名)は2014(平成26)年12月17日に暴行を受け、事後精神的に不安定であり診断を求めてきた。さらに弁護士大川伸郎から暴行受傷当時のМの意識・精神状態についての鑑定を依頼された。そのため、事件時の精神状態と現在の精神状態を診断するため2021(令和3)年3月3日長時間にわたってМと面接し、さらも3月22日2時間にわたって電話(コロナ感染防止のため)で聞き取りを行い、診断を行った。〉

次いで、М君の経歴を「生活史」として、М君が反差別運動に関わっていく素地を記しています。

◆1.生活史

(プライバシーにかかる部分などが多々あるので、この項、引用略)

この項では、М君が良心的に反差別運動に関わっていく過程の概略がわかります。また、高校からラクビーを始め、これによって培われた頑強な体が幸いし激しいリンチにも死ななかったといえるでしょう。もし私だったら死んでいたでしょう。万が一М君が亡くなっていたら、金良平らリンチに連座した者はどうしたでしょうか。”不幸中の幸い”と言わねばなりません。

私が大学に入った年の年末、早朝、金良平や神原弁護士が支持する日本共産党の学生・青年組織「民青」の集団に先輩らが武装襲撃され激しいリンチを受け重傷を負い、一時は医者も見放したほどでしたが、これも“不幸中の幸い”で生き延びました。被害者は、のちにノーベル賞を受賞する人の甥っ子でした。当時日共・民青は飛ぶ鳥を落とす勢いで京都府知事を擁していましたが、被害者が亡くなっていたら京都の、いや共産党そのものが瓦解していたでしょう。

◆2.事件にいたる経過

2014(平成26)年12月4日、Мはインターネット上に出された「反差別運動内部に、ヘイトスピーチを行う団体の代表者竹井信一と金銭授受のある者がいる」とのブログ記事を見て、これが金良平ではないかとの疑義を持った。その理由は、2013(平成25)年4月に金良平と竹井との名刺交換の現場をМが目撃していたこと、それ以降金良平は「交渉」と称し度々竹井と面会していたこと、竹井・金良平間の交渉内容がまったく不明であったこと、周囲の反差別運動関係者が竹井との接触をやめるようにたびたび金良平に忠告してもまったく聞き入れなかったこと、金良平は自分以外の関係者が竹井と接触すると激昂していたこと、金良平は「竹井が暴力団の名前をちらつかせて脅迫してきている」とたびたびМやその他反差別運動関係者に吹聴しながら警察や弁護士に一度も相談していなかった等、金良平の行動に不可解な点が多々見られたからである。Мは、この疑義を当時関西の反差別運動の中心人物の一人であった李普鉉に相談したところ、「Мが金良平について悪質なデマを吹聴している」と歪曲した情報を反差別運動の関係者間に拡散された。そのため2014(平成26)年12月10日頃からМは反差別運動の関係者から仲間外れにされたり、多数の関係者から金良平への謝罪を強く要求されるようになった。

Мは2014(平成26)年12月17日夜、既に5軒ほどの店で飲食を重ねていた5名(李信恵、李普鉉、金良平、伊藤大介、松本英一)のひとりである李普鉉から電話があり、「今、伊藤さんとエル金(金良平)さんと新地で飲んでるんやけど、来る根性あるか」と言われ、事件現場近くに向かった。李普鉉の言い方は非常に攻撃的であった。Мにとっては行きたくない呼び出しであったが、行かなかった場合に後からさらに苛烈な誹謗中傷や吊し上げ、嫌がらせに晒されることが予想された。既に反差別運動関係者の間に悪評を広められ、まったく孤立無援の状況に置かれていた。それまでにも「お前は在特会と変わらない差別主義者だ」との電話による糾弾を複数回受けていた。そのためМは正常な判断力を失いつつあり、不安を抱えながらも事件現場に赴いた。深夜である上に不穏なものを察知したМは録音機を密かに用意した。李普鉉による呼び出しの電話は深夜0時40分頃であり、呼び出された場所も大阪・北新地の飲み屋街であることからも、落ち着いた話し合いができるとは到底考えられなかった。しかし、行くしかないと思った。

李普鉉がМを近くで迎え、大阪市北区のワインバー「P」に連れて行った。李普鉉と待ち合わせ場所から「P」に向って歩く途中、Мと李普鉉の間にはこれといった会話はなかった。「P」はカウンターのみの狭いワインバーであり、そこに5人がМを待ち構えていた。Мが店のドアを開けると、李信恵がいきなり『何やねんおまえ』と言いながらМの胸ぐらを掴み、顔面を殴打した。

続いて店内で金良平がМの顔面を何度か殴打した。その後伊藤大介が「殴るんだったら外でやれ」と言い、金良平が恐怖に怯えるМを背後から小突きながら店外へ連れ出した。外に出るや否やいきなり金良平はМの顔面に殴打を浴びせつけた。最初の一撃で右目が腫れ、右目の視界がなくなった。そのために逃げるにも逃げられなかった。また事件現場は雑居ビルの廊下の奥であり人通りのある場所まで距離があったため、逃げようにも逃げられなかった。地面に転ばされてはさらに無理やり胸倉を掴んで立たされ、1時間にわたって殴る蹴るの暴行を受け続けた。録音された音声で確認できる範囲で、主として頭部に60回は殴打を繰り返している。その間も、金良平は「お前何人や? 俺何人や?」と叫んで民族性に言及し自身の差別意識を発露し、あるいは「訴えてみいや」「出た後一生お前の身狙って生きていったんぞ」(録音により確認)と脅した。さらにはМの交際相手の女性の名前も出し「〇〇ちゃんのこともやったるぞ」と脅迫を繰り返した。Мは、この発言により当時の交際相手の女性が襲撃され、性的に暴行されるのではないかと恐怖した。Мは、相手が5人いたこと、その中に格闘技経験者の松本英一がいたこと、防御や反撃をすればさらに暴行が激化したり場合によっては殺されるかもしれないという恐怖により、何もすることができず、ただ思考停止に陥った。長時間におよぶ激しい暴行により、Мは自分が何をされているかわからなくなっていた。

暴行が止んだ後、Мは道路をよろめきながら歩き、タクシーを止めて乗った。タクシー運転手はМの傷に驚き、30分ほどで家についたが料金を取ろうとしなかったという。払った記憶もない。

激しいリンチの様に言葉もありません。これは音声データ(CD。『カウンターと暴力の病理』に付録として収録)として残っていますので、関心のある方は、ショックで動転することを恐れずお聴きください。おそらくこの音声データがなければ、「デマだ」の一言で事件は葬り去られていたでしょう。

金良平ら加害者の一団5人は、前日日中、対在特会関係の裁判があり、その後の総括会が済み十三(じゅうそう)の「あらい商店」に移動、リンチの現場になるワインバー「P」に至るまで5軒を飲み歩き、「日本酒に換算して一升」(李信恵のツイート)を飲んだといいます。常識的に考えれば「日本酒に換算して一升」飲んだということは、もはや泥酔の域です。

このワインバー「P」は、実は私たちがかつてよく集っていた、同郷人が経営するラウンジの入るビルの隣の雑居ビルでした。偶然と言えば偶然です。そしてタクシー乗り場も近くにありますが、М君が瀕死の重傷で倒れているにもかかわらず、それを放置し立ち去っていったのです。タクシーに乗せようと思えば乗せれたわけですが、それもせず無慈悲に立ち去ったのです。М君に人権はないのか!? ふだん「人権」だなんだと言いながら、こんな無慈悲なことができるのか!? 

その後М君は必死でタクシーを拾い帰宅したのですが、「Мは道路をよろめきながら歩き、タクシーを止めて乗った。タクシー運転手はМの傷に驚き、30分ほどで家についたが料金を取ろうとしなかったという。払った記憶もない。」ということです。まさに地獄、まさに修羅場です。

М君が加害者5人を訴えた訴訟の判決後の「祝勝会」と称する飲み会。判決は不当にも請求金額を下回ったがМ君の勝訴、加害者らの敗訴だ。金額が少なかったり、賠償を免れた者はいたが、М君の勝訴は勝訴だ。敗訴しても「祝勝会」とは……

 

街頭で右派活動家を恫喝する金良平。「謝罪文」を出し一度は活動自粛を約束したが、それを反故、以降も先頭に立って威嚇活動を続行

これが、原告・金良平言う「街角の小さな喧嘩にすぎない事象」(訴状)ですか? 被害者М君は、精神的に錯乱しいまだにPTSDに苦しみ、本来ならどこかの大学などで静かな研究者生活を送っているべきところ、まったく意に反し個人経営の事務所で給与所得者として働いています。人ひとり、若い研究者の卵の人生を狂わせておいて、なにが「街角の小さな喧嘩にすぎない事象」だよ!? いい加減なことを言わないでいただきたい。みなさん、そう思いませんか? 

私は生来愚直な田舎者で執念深い男です。この大学院生リンチ事件の本質と意味を自分が納得の行くまで問い続けます。だってそうでしょう、ふだんいくら立派なことを言っていても、こういう残虐なことが起きたら、真正面から向き合い、真摯に思慮し自己に正直に対応すべきではないでしょうか? 

偶然とはいえ、出版者人生末期に起きた事件で、孤立無援に近い状態にあったリンチ被害者М君を支援したことは絶対に間違っていなかったと今でも考えています。会社にも迷惑かけましたし(これに懸けた労力を他に注ぎ込んだら売上・利益はもっと上がったでしょう)、老境にある身としては体力的にも精神的にも正直きつかったです。それでも私はМ君を見放すわけにはいきませんでした。一人の若い研究者の卵の人生を狂わせておいて、まことしやかな綺麗ごとをほざく徒輩を私は許しません。老出版人にもこれぐらいの矜持はあります。 (つづく)

【引用にあたっては、一部イニシャルにしたり省略した箇所があります。また、一部を除き敬称を略した。】

※本件訴訟について、次の方法にてご支援ください。

①大学院生リンチ事件関係書などの購読によるご支援

郵便振替(01100-9-48334 口座名:株式会社鹿砦社)にて書名明記のうえご注文ください。送料はサービスです。

②書籍などの見返りを求めず純然たるカンパによるご支援

以前はМ君関係訴訟の資金を集めることを優先したので鹿砦社としては身銭を切る形でしたが、今回は皆様方に資金面でのご支援を仰ぐことにしました。

カンパ専用口座を設けましたのでこちらにお振り込みください。本件訴訟のみに使用します。

 三井住友銀行 甲子園支店 普通口座 0966462
 口座名:別口株式会社鹿砦社

(松岡利康)

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

《3月のことば》望郷 あの津波から十三年……(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

3月になりました ── 。

「1月は去(い)ぬ、2月は逃げる、3月は去る」と言いますが、1月、2月はあっというまに過ぎてしまいました。

年度末3月、慌しい日々が予期されますが、一日一日を精一杯過ごしたいものです。

今年も3・11がやって来ようとしています。

意に反し故郷を離れざるをえなくなった方々、きょうも故郷に想いを馳せておられるのでしょうか。胸が痛みます。

東日本大震災以降も本年正月の能登半島地震まで幾度か大きな地震がありました。

たとえば熊本地震。しかし熊本は今、時々メディアでも報じられているように未曾有の好景気に沸いています。

先日帰郷しましたが、街は活気に満ちています。

一方フクシマはどうでしょうか ── 残念ながら帰郷できない方も多く、故郷は(一部を除き)総じて廃れているようです。

やはり原発事故による放射能汚染があるのとないのとでは復旧・復興の度合いが決定的に違うのでしょうか。

あまり知られていませんが、ここ兵庫県西宮市は、29年前の阪神大震災で1126人の方が亡くなるほどの打撃を受けました(被害は神戸ばかりではありません。西宮、芦屋を忘れないで!)。それでも、「そんなことがあったのか」と思うほどの復旧・復興いたしました。原発事故があれば、そうはいかなかったのではないでしょうか。

能登半島は幸いに原発事故はありませんでした。おそらく復旧・復興は順当に進むのではないかと思っています。

豊かな自然と資源、海産物にも恵まれています。原発が爆発し放射能汚染が発生したならば、それも台無しです。フクシマも豊かな自然に恵まれていましたが、それも原発事故が台無しにしました。

一日も早いフクシマの復旧・復興を願わずにおれませんが、未曾有の原発事故故に困難な道のりの13年でした。被災された皆様、意に反し故郷を離れておられる方々の、この13年のご苦労を想起すると涙が出てきます。

3・11に発行される反(脱)原発雑誌『季節』も、私たちがフクシマの惨状に想いをいたし、私たちなりに決意を込めて創刊して、やがて10年が経とうとしています。1号も黒字にはなっていませんが、発行停止は考えていません。

今や老境に入った私が生きている間にどれほど復旧・復興するのか、同じ国に住む者としてあたたかい眼差しで見続けていきたいと思っています。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

「記憶の中の事件は忘却の途についている」(注)── 私たちが実に7年にもわたって被害者М君に寄り添い関わって来た「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」「北新地大学院生リンチ事件」。以下「大学院生リンチ事件」と記します)、果たしてこれでお終いにしていいのか? と思っていたところ、つい最近、「忘却」から「記憶」を蘇らせる出来事がありました。

[注](「デジタル鹿砦社通信」2022年12月10日号、黒薮哲哉寄稿「М君リンチ事件から8年、輪郭を現わしてきた司法制度の闇とヒューマニズムの劣化」より)

◆大学院生リンチ事件の主たる暴行実行犯・金良平が民事訴訟を起こしてきました!

かの「大学院生リンチ事件」の主たる暴行実行犯「エルネスト金」(略称エル金)こと「金(本田)良平」(以下、通称で記すのも失礼でしょうから本名の金良平と記載します)が、何を血迷ったのか、株式会社鹿砦社と森奈津子さんを「プライバシー侵害」で民事訴訟を提訴したのです(東京地裁立川支部)。

「請求の趣旨」は、

「1 被告森奈津子は、訴状添付別紙1投稿記事目録記載の記事(注:被告森奈津子の2023年10月2日のX)を削除せよ。」

 2 被告ら(注:森奈津子、鹿砦社)は、原告(注:金良平)に対し、連帯して、各110万円及びこれに対する2023年10月2日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。(3、4略)」

というものです。

被告とされた森さんが鹿砦社の「指令」で、金良平が大学院生М君に激しいリンチを加えたことにより課せられた罰金40万円が記された「略式命令」書をX(旧Twitter)に晒したことが「プライバシーの侵害」だというのです。

金良平が、この「略式命令」を明かした森さんへの粘着した経緯、また「略式命令」を食らうに至る、大学院生リンチ事件の経緯と情況を何ら記述することなく、その「前科情報」を公開したことが「プライバシーの侵害」だということのようですが、大学院生リンチ事件においてエル金がリンチの主たる実行犯であり刑事で罰金40万円、民事で賠償金113万円余(+利息)を課せられたことは〈公知の事実〉であり、すでに鹿砦社の8冊(田中宏和著『しばき隊の真実』『SEALDsの真実』含む)の出版物、あるいは裁判の経過をリアルタイムに報じてきた「デジタル鹿砦社通信」、さらにはSNSにて多くの人たちが発信し、さんざん広く語られ議論されてきたとおりです。

むしろ、リンチ被害者М君、及び私たちは、金良平、李信恵ら加害者5人に真摯な反省があるのか、またその後の生き方にどう教訓化してきたのかを問いたい。さらには、加害者の周辺にいた者ら、特に私たちの追及に沈黙したり逃げたりした、「知識人」とか「ジャーナリスト」といわれる者たち、政治家、弁護士らがこの10年近く、どう考えてきたのか、を問い質したい、と思います。

そうして、いやしくも「人権」だ「反差別」だと口にするのならば、リンチ事件の社会的、思想的問題を総括すべきでしょう。リンチ事件は絶対に「デマ」ではなく、わが国の反差別運動において最大級の汚点です。これはしっかりと主体的に反省し総括すべき問題です。この反省なくしては、いかなる綺麗な言論も虚妄でしかありません。こうしたことは、私たちが一貫して主張してきたことですが、私たちの言っていることは間違っているでしょうか?

◆私たちはなぜ「大学院生リンチ事件」に関わって来たのか?

くだんの「大学院生リンチ事件」について、私たちはゼロの状態から地を這うような取材・調査を元に6冊の本にまとめ、その都度、その都度に出版物として世に問いました。そうは言っても私たちは捜査機関や大手新聞、大手出版社ではないのでカネやヒトで限界があったことは否めませんが、私たちなりに精一杯頑張ったつもりです。

そうした中で、この「大学院生リンチ事件」をどう捉えるかで、その人自身の人間性や人となりが問われると考えてきました。その最終報告がまだ出来ておらず、本年12月に10年を迎えるにあたり、それをやり切りたいと、つとに考えてきたところです。

リンチ事件の内容は、発生後意図的に1年余(発生の2014年12月~私たちが知った2016年1月)も報じられることなく隠蔽されてき、「十三ベース事件」なる呼称で、いわば都市伝説化し歴史の闇に消えようとしていたところ、事件から1年余り後に、かねてから私たちが主催して市民向けに行ってきた、いわゆる「西宮ゼミ」にちょくちょく参加していた人から、私たちの元に持ち込まれました。

被害者やこの周辺の人たちが提示した資料や証言、特にリンチ直後の写真(別掲)などから、私たちは素朴に、「これは非道い」と感じ、被害者に寄り添い、支援と真相究明を行うことにしました。血の通った一人の人間として当然であり、ここで目の前にいる被害者に「われわれでは君を助けることはできない」などと言えるでしょうか? 

[左写真]リンチ直後の被害者М君。数十発殴られ、そのほとんどが金良平によるもの。М君は無抵抗。これを見たあなたはどう思いますか? [右写真]金良平(右)とリンチに連座した李信恵(左)

また、リンチ事件を知りながら、安田浩一や池田香代子ら鹿砦社主催のゼミナールに招いた者も含め、私たちの取材から逃げたり沈黙したり開き直ったりした者らの人間性を、今あらためて問い質したいと思います。

池田香代子は名著『夜と霧』の新版を訳したことで有名ですが、かの名著を翻訳した者なら、『夜と霧』に通底する思想をわがものとし、このリンチ事件に真正面から向き合うべきではないでしょうか? ちなみに池田の新版では、旧版で掲載されていた残酷な画像はカットされていますが、このことは、池田が歴史を改竄するような人であることを物語っているといえるでしょう。

◆リンチによって台無しにされたリンチ被害者М君の人生 ── 金良平は今からでもМ君に真摯に謝罪せよ!

本年12月に10年を迎えるにあたり、原告・金良平は、みずからが行ったリンチを「街角の小さな喧嘩にすぎない事象」(訴状)とまで矮小化しています。被告とされている森奈津子さんとのやり取りのXでも「卑劣なデマで人を貶めた」とリンチ被害者М君や彼に寄り添い最後まで支援してきた私たちを誹謗中傷しています。私たちがどんな「卑劣なデマで人を貶めた」というのか、М君や私たちの前で言っください。

リンチ被害者М君は、当時、関西でもトップクラスの某国立大学の大学院博士課程に在学していました。将来は研究者としての人生を送るつもりでした。しかし、今でもリンチによるPTSDに苦しみ(これには著名な精神科医・野田正彰先生の精神鑑定書を裁判所に提出。未公開)、博士課程は何とか修了したものの博士論文は遂に書けず、研究者人生を断念、今は意に反し普通の会社勤めをしています。一人の研究者の卵の人生を台無しにして、何が「プライバシーの侵害」だ!?  まずは今からでも被害者М君に真摯に謝罪すべきでしょう。これが先決です。

また、原告・金良平らは、事件後いったんは認(したた)めた謝罪文(金良平のもののみを別掲)を、しばらくして反故にし開き直りました。今も何の反省もなく開き直っているようです。約束した活動自粛も再開しました。まずはその謝罪文に立ち返り、あらためて金良平が数十発殴ったМ君に謝罪すべきです。ここでも、私の言っていることは間違っているでしょうか?

リンチ後、金良平がМ君に渡した謝罪文。のちに反故。このことが被害者М君を苦しめる一因となった

 

金良平が知人に送った恫喝ツイート

リンチの主たる実行犯・金良平は、みずから「私自身のこれからの人生にとっても教訓としていかねばならないと考えています」(謝罪文)と言っていますが、その後、いかなる人生を送って来たのでしょうか? 今回の森奈津子さんに対してもそうですが、相変わらずXなどで、みずからが気に食わない人たちに激しい粘着、攻撃をしています。このかん、ざっと彼のXを閲覧しましたが、リンチ事件に対して真摯に向き合ってきたとは到底思えません。

また、リンチの場に連座した伊藤大介は、その後も、私たちと李信恵との訴訟を傍聴した後に酒に酔い、深夜右翼活動家を呼び出し仲間と共に暴行を加え有罪判決を受けています。反省がない証です(この件は、森さんも寄稿している『暴力・暴言型社会運動の終焉』に記述されていますので参照してください)。

◆私たちは本件訴訟を契機として「大学院生リンチ事件」の徹底的な検証と総括に努めます!

私たちは、今回の提訴によって、いわば「寝た子を起こされた」わけですが、むしろこれをいい契機として、リンチ事件を主体的に捉え返し、あらためて徹底した検証と総括作業を行い、後世に残るような〈最終報告書〉にまとめていきたいと考えています。

昨年、英公共放送BBCによるドキュメントを突破口に、半世紀以上わが国芸能界を支配し栄華を誇ったジャニーズ帝国が崩壊しました。28年前の1995年から追及してきた私たちは、その28年間の〈集大成〉として『ジャニーズ帝国60年の興亡』(A5判、320ページ)という大部の本にまとめ上梓しました。

大学院生リンチ事件関係本はこれまで8冊(田中宏和著書も含む)、1000ページを越します。虚偽があってはいけないと、一つ一つの本は、地を這うような調査・取材を元にまとめました。「デマ」を絶対に排することは当初からの禁止事項でした。私たちになんで「デマ」本を出す必要があるでしょうか? 

一連のリンチ事件関連本。第4弾の『カウンターと暴力の病理』にはリンチの一部始終を録音したCDが付いている

長年(鹿砦社は1969年創業。松岡が代表に就いて約40年)出版界に在って、それなりの存在感を示し歴史と矜持を持ち、「デマ」本を出すことは恥だと思ってきています。何度も言ってきましたが、」「デマ」だなんだかんだ言うのであれば、反論本を出すべきでしょうが、これはありませんでした。

今回の訴訟に対して私たちは真正面から対峙しますが、戦術的に手の内を見せることはしたくないので具体的に述べるのは最小限にしておきます。とはいえ、漸次報告は行っていきますので、どうかご注目をお願いいたします。

皆様方の圧倒的なご支援を要請する次第です。

最後にもうひとこと言わせてください。鹿砦社と共に被告とされた森奈津子さんですが、正月から重度障がい者のお連れ合いが危篤状態だということをみずからのXで公開しています。幸い今は小康状態だということですが、そうした中で、別件と併せ2件、神原弁護士を代理人として容赦なく提訴してきています。原告の金良平も代理人の神原弁護士も森さんのXを日々監視していると思われますが、それでの提訴です。

彼女も乳がんで片乳を取りながらサバイバルし、再発を恐れながら日々暮らしています。がんは半分精神的な要素で発症(再発)するともいわれ。お連れ合いの看護と複数の訴訟で精神的に追い詰めようとでもしているのか、と勘繰らざるをえません。

「人権」や「反差別」などと嘯(うそぶ)きながら、「武士の情け」などないようです。人情も地に堕ちたものです。 (文中、一部を除いて敬称略)

※本件訴訟について、次の方法にてご支援ください。

①大学院生リンチ事件関係書などの購読によるご支援

郵便振替(01100-9-48334 口座名:株式会社鹿砦社)にて書名明記のうえご注文ください。送料はサービスです。

②書籍などの見返りを求めず純然たるカンパによるご支援

以前はМ君関係訴訟の資金を集めることを優先したので鹿砦社としては身銭を切る形でしたが、今回は皆様方に資金面でのご支援を仰ぐことにしました。

カンパ専用口座を設けましたのでこちらにお振り込みください。本件訴訟のみに使用します。

 三井住友銀行 甲子園支店 普通口座 0966462
 口座名: 別口株式会社鹿砦社

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

2月24日、国賠ネットワーク交流集会が東京・水道橋のたんぽぽ舎で開かれます。詳細は下記の案内をご参照ください。

この日は昨年、本社から『日本の冤罪』を出版された尾﨑美代子さんと、本通信にも執筆している鹿野健一(ペンネーム田所敏夫)さんが招かれ『日本の冤罪』について対談が行われます。ご興味のあるかたは是非お出かけくださいますようご案内いたします。ただし、会場の都合上残席はわずかで、先着順とのことです。

『日本の冤罪』出版に当たっては、昨年12月24日に大阪でも集会が行われ、同書に推薦文を寄せていただきた井戸謙一弁護士をはじめ、冤罪事件被害者のみなさんも集まり、大いに盛り上がりました。当日も尾崎さんと鹿野さんの対談が行われましたが時間の関係で10分ほどでした。今回は約1時間にわたる対談が予定されています。

第33回 国賠ネットワーク 交流集会
『日本の冤罪』を語る : 尾﨑美代子さん & 鹿野健一さん
2024年2月24日(土)13:30~17:00 ■スペースたんぽぽ(たんぽぽ舎)

◎国賠ネットワーク https://kokubai.net/

国賠ネットワーク さまざまな国賠裁判を結ぶネットワークは1989年に立ち上げられました。国賠裁判とは、国や自治体の公務員から不当な被害を蒙った人々が、その責任を追及し、謝罪や賠償を求める訴訟です。無実の罪で逮捕・勾留・起訴された冤罪被害者を中心に、国賠を闘う原告や支援グループの、穏やかな連携と支援交流を目指すネットワークです。

◆交流集会 年に一度、それぞれの国賠の当事者・支援者が集まって、互いに報告し、語り合い、情報や知恵を共有する全国的な交流集会です。①東住吉冤罪国賠、②星野獄中死国賠、③大垣警察市民監視国賠、④湖東病院事件・西山国賠、⑤よど号旅券発給拒否国賠&産経新聞損賠、など当事者から現状についての報告を予定しています。

◆特別対論 最新刊『日本の冤罪』の著者・尾﨑美代子さんに、フリーライター・鹿野健一さんがお話を伺います。尾﨑さんは足を使い、渦中の人に会って話を聞き現場に出向き、更には住み込んでその複雑さの中に身を置き考える。このように肌の感覚をとことん味わい、言葉で伝えようとする人は意外に少ない。集会に多くの諸兄姉が参加し、彼女の話に耳を傾けていただきたい。

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

昨年10月に出版した、梓加依・著『広島の追憶 ── 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』の書評が、地元・広島の『中國新聞』(2024年2月4日付け)に掲載されました。ご一読ください。

書評 郷土の本 子ども時代に体験 被爆後の広島描く(評者=森田裕美)

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315258/

伝説のジャニーズ暴露本『光GENJIへ』のゴーストライター本橋信宏さんと鹿砦社松岡利康代表の対談が2月1日の「サイゾーウーマン」で公開されました。前編と後編の2本立て。ぜひご一読ください。(編集部)

◎[前編]ジャニーズ暴露本『光GENJIへ』から35年、ゴーストライター・本橋信宏と鹿砦社が見つめるジャニーズ問題
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463030_1.html

◎[後編]ジャニーが生きている間に、歯止めを利かせられていたら ── 暴露本の当事者が明かす胸中
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463040_1.html

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

ジャニーズ帝国60年の興亡
鹿砦社編集部=編 A5判、320ページ、カバー装  定価1980円(税込み)
少年愛の館、遂に崩壊! ジャニーズ問題追及28年の執念、遂に実る!

本年(2023年)3月7日、英公共放送BBCが、わが国だけでなく全世界に放映した故ジャニー喜多川による未成年性虐待のドキュメント映像が話題を呼び、これをきっかけに、ジャニーズ問題が報じられない日はない。

本書は28年に及ぶ対ジャニーズ問題取材と出版活動の〈集大成〉としてジャニーズ60年の詳細な歴史をあますところなく記述し、これ一冊でジャニーズの歴史がすべて解るようにした。今では貴重な資料も復刻・掲載、ジャニーズの60年の出来事を直近まで詳細に記載し、鹿砦社にしかできない、類書なき渾身の書!

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

《2月のことば》覚悟 信念を貫く(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

今年も2月1日がやって来ました。

人には誰も覚悟を決める時があります。

私にとって2月1日は、まさにその時でした(以下2・1)。

また、7月12日もそうです(以下7・12)。

2・1と7・12については、この通信をご覧になってきた方にはお分かりでしょう。

52年前の1972年2月1日、私(たち)は、ある大学のキャンパスの中心にある建物の屋上に拙い砦をこしらえ学費値上げに反対する意志表示として立て籠もり徹底抗戦しました。

強い覚悟を持って──。

これ以降の私の人生に於いて辛いことは幾度となくありましたが、その時には52年前の2・1の覚悟、あるいは19年近く前の7・12の逮捕のことを想起して乗り切ってきました。

もっと穏やかに平々凡々の人生を送る選択肢もあったのに、生来鈍愚な私は、逃げることなく常に愚直に突き進みました。何事も私なりに一所懸命に格闘してきました。編集者としては二流、出版社としても零細出版社にとどまりました。

そうして齢70を越え、気づいたら満身創痍── もっと過酷な人生を送った方々もおられるでしょうから、取り立てて威張れるものではありませんが、もうしばらく「覚悟」を持って、やり残している仕事を完遂させたいと考えています。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

昨年3月7日の”黒船”襲来(つまり英公共放送BBCによるドキュメント放映)以来、わが国の芸能界のみならず社会全体が震撼させられている。言うまでもなく、これまでわが国芸能界を支配してきたジャニーズ帝国の崩壊である。これはその後、宝塚歌劇団の若き劇団員の自死、さらにダウンタウン松本による「性上納」問題へと拡がった。どれもまだ現在進行形で終わりが見えない。

 

『ジャニーズ帝国 60年の興亡』鹿砦社編集部=編

1995年、ジャニーズ事務所による理不尽な出版差し止めによって惹起されたスキャンダル暴露攻勢を始めた際には、まさかここまで来るとは想像だにしなかった。かつてベルリンの壁崩壊が東欧の民主化、そうして巨大なソ連崩壊へと繋がったことを想起する。何度も繰り返して言ってきたが、蟻が象を倒すこともありえ、また針の一穴がダムを崩壊させることもありえるということだ。

四半世紀余りも前からジャニー喜多川による未成年性虐待(当時の言葉で言えば「ホモ・セクハラ」)やジャニーズ事務所による理不尽な芸能界支配を批判、告発してきたわれわれとしては、やはりその〈集大成〉、あるいは〈総決算〉を行う必要がある。

しばらくは事態の推移を眺め、マスメディアからの取材協力要請に協力しつつも、途中からそれに違和感を覚え、『文春』よりも以前から立て続けにスキャンダル暴露に務めてきた立場は、これだけでも自負できることで、今夏から急遽集大成的な書籍をまとめる作業に集中した。

私は長年の不摂生が祟り目の疾患で編集実務が十分にできなくなり編集者としては役立たずになっているが、そうも言ってはおれず執念でことに当たった。

そうして世に送ったのが『ジャニーズ帝国60年の興亡』だ。A5判、2段組み、320ページの大部の本になった。東京新聞紙上で斉藤美奈子さんが「労作」と正当に評価してくれた。他にも幾つか正当に評価してくれた記事を見た。

『東京新聞』2023年11月22日付け

ところで、鹿砦社に対して斉藤美奈子さんにしても栗原裕一郎氏にしても「イエロージャーナリズム」といったイメージで見てきたようだ。2人ともみずからそう言っている。「イエロージャーナリズム」の対極に立派な本来の「ジャーナリズム」なるものがあるのかわからないが、立派な本来の「ジャーナリズム」がこれまでジャニー喜多川による未成年性虐待を放置し隠蔽してきたことに比べればマシだと思う。

また、栗原氏は「小出版社の孤独な奮闘が見直されることにもなった」と評価する一方で、「夥しく出版されたジャニーズ関連本にも怪しげなものが多い」とも詰る。これらジャニーズ関連本、とりわけスキャンダル系、告発系のものには直接私がすべてにわたり精魂込めて編集に関わったので、一冊たりとも「怪しげなもの」はないと自認する。

『週刊読書人』2024年1月5日号

思い返せば、ジャニーズ関連本にも、パチスロ界の雄・アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)に対する本(4点)でも、さらに大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)に対する本(6点)でも、力を抜いたものはなく、生来鈍愚な田舎者である私は精魂込めて「奮闘」した。

その〈返り血〉は、決して小さくはなかった。逮捕・勾留(192日)もされ有罪判決も受けた(このことにより新規の銀行口座も作れなくなった。複数の金融機関を提訴し争ったがすべて敗訴)し巨額な賠償金も支払った。賠償金含め訴訟費用は1億円を越す。安全圏から、あれこれ講釈を垂れるのではなく、みずからが当事者となり身銭を切って「奮闘」してからものを言って欲しいものだ。

鹿砦社のアルゼ告発書籍

いわゆる「イエロージャーナリズム」には「イエロージャーナリズム」の意地がある。元々「芸能人にはプライバシーはない」とする私(たち)にとって、芸能人のプライバシーを時に侵害するのもやむをえない。芸能人たる者、みずからそういう職業を選んだのだから──。

最近、同世代の死が相次いでいる。齢72、もうわれわれの時代ではない。『ジャニーズ帝国60年の興亡』は、私の拙い出版人生の〈集大成〉の一つである。

今、まことしやかで、きれいな言論が増え、「怪しげな」「イエロージャーナリズム」はほとんど見当たらなくなった。そうした中で「孤独な奮闘」をするのもおつなものだ。われながら特異な出版人生だったな(苦笑)。

(松岡利康)

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

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