誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由

大手電機メーカーの友人と雑談したが「今、とにかくテレビが売れない」のだという。「テレビが売れない」ということは「誰もテレビを見なくなった」ことを意味する。

◆4Kテレビを必要と感じている人はどれくらいいるのか?

革新的といわれた4Kテレビが発売されるようになってもダメか。確実にテクノロジーは進歩している。まず技術としては現行のハイビジョンの横方向の画素数(2Kとは2000のこと)が2倍になる4K(フルハイビジョン[約207万画素]の4倍の約829万画素もの緻密な画素数で表示できるテレビのこと)のさらに4倍になる8K、というスーパーハイビジョンの映像技術自体は、すばらしい。ただ、それを必要と感じている人は果たしてどれくらいいるのだろうか。はなはだ疑問である。

たとえばこんな報道がある。少しは希望が見えてきたか?

ジーエフケーマーケティングサービスジャパン株式会社(東京:中野区)は、家電量販店における4Kテレビの販売動向を発表した。
【概要】
・2014年11月第2週の50インチ以上薄型テレビにおける4Kテレビの金額構成比は51%
・テレビ購入意向者の92%が4Kテレビを認知し、そのうち43%が4Kテレビの購入を検討
【家電量販店 4Kテレビ販売動向】
4Kテレビは2013年以降、メーカー各社が50インチ、60インチ台を中心に本格的に製品展開を開始し、2014年に入ると40インチ製品を投入するなどモデルラインアップを拡充させた。販売モデル数も2013年の13モデルから、2014年11月時点では既に45モデルと3.5倍に増えた。家電量販店店頭をみると、AV製品売り場では高単価製品である4Kテレビを前面に押し出している店舗が多くみられる。こうしたメーカー、量販店の訴求の結果、2014年11月第2週(11月3日~9日)における4Kテレビの販売金額構成比は24%、特に50インチ以上薄型テレビ内では51%と初めて50%を突破した(図1)。また販売数量構成比は、薄型テレビ全体に対しては6%、50インチ以上製品内では34%となった。? 2014年7月に実施した消費者調査によると、過去半年以内に4Kテレビを購入した消費者のうち、事前検討をせずに購入したと回答した割合は24%であった。4Kテレビの高精細な画質に惹かれてその場で購入を決断した消費者は少なくないと想定される。(「GFK」より引用

だが家電店スタッフは「いやいや、金持ちだけが4Kに興味があるのでしょう。販売店では4K時代なんて感じていません。すぐに売れなくなりますよ」とため息をつく。

◆40代以降しか雑誌も買わないし、テレビも観ない時代

このほど、昨年の雑誌の売り上げが前年比の4~5%ダウンだということで、「もはや雑誌は40代以降しか買わない」という分析が記事で出ていた。テレビなど、10年前から「40代以降しか観ない」と指摘されてきた。

たとえば、東芝は2012年にテレビ事業からの撤退をアナウンスした。東芝にとっては、12年3月期のテレビ事業は約500億円の赤字と経営の足を引っ張っており、コストのかかる国内生産はもはや維持できないと判断。ただし、海外での生産は継続し、台湾メーカーなどへの生産委託も増やす方向性を打ち出した。

「かつての計算機やファックスがすぐに流行遅れとなったように、テレビがもはや、時代遅れとなった感は否めないですよ」(東芝関係者)

「長い歴史のある深谷事業所(埼玉県深谷市)で(テレビの)生産をやめることには忸怩(じくじ)たる思いがある。しかし経営の重しとなっては(継続は)難しく、(生産終了の)判断をしなければならなかった」

東芝の佐々木則夫社長は当時、経営方針を説明した記者会見で、苦渋の決断だったことを強調している。国内最後のテレビ生産拠点だった深谷事業所はテレビの設計・開発とアフターサービスの拠点に衣替えとなった。

こうした背景には、韓国の電機メーカーが元気に満ちていたことがあげられる。
特にサムスンに関しては、韓国の政府を挙げて資金面でも経営環境面でもバックアップしている。

また、ソフトに目を移せば、「見逃し番組」は、今や各テレビ局ごとにコンテンツを販売しているが、テレビ局をまたいでダウンロードできるシステム構築が提案されている模様だ。

テレビにコマーシャルを流しても「まったく宣伝効果がない」と企業が考え始めたのも痛い。「とにかく値段が下がっている。15秒の枠を30万円で売った時間帯もありましたよ。今年に入ってからの話ですけど」(広告代理店社員)

◆視聴者のニーズがわかっていない作り手がテレビ凋落を加速化させる

僕は、テレビの凋落は「作り手が、視聴者のニーズをわかっていない」ことにつきると考える。

ブレイクしそうな芸人が出現したら、とにかく起用して、どこかでやったようなネタを平気でやらせて視聴率を稼ぐ。カリスマ予備校講師が売れたら、番組を持たせてみる。名門の入試問題をもとにしたクイズ番組が人気が出たら、みな一様に真似をする。

「そうした創意工夫なきコンテンツが、視聴者から見放されてしまったのでしょう。逆に今、70年代のテレビ番組のアーカイブが人気で、CSなんかでは視聴率を稼いでいるようですよ」(制作会社)

矢沢永吉が30歳のときにNHKの番組に出たときの映像が「ユーチューブ」にあがっていて、爆発的にカウントを集めていた。また、昔のドラマで「とんぼ」もアップされており、上位にランクされていた。

「こうして勝手にアップされた番組を無料で見れるのも原因でしょう。今、やたらとテレビ番組には『番組を投稿しないでください』とテロップが出るが、これも必死すぎて見ていて引くね。本当におもしろい番組を作れば、みんなネットやゲームをやめてテレビに戻ってくるが、もはやそうした気力は現場にはありませんよ」(放送作家)

そもそも、テレビは「報道」という点でも取材スピードではネットには勝てない。悲しいかな、テレビを誰も見ない時代が本当に到来しそうだ。

[伊東北斗]

◎《誤報ハンター01》芸能リポーターらが外しまくる「福山雅治」の結婚報道
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◎多様性に不寛容な日本が「外国人」を無原則に受け入れるとどうなるか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

 

橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!

上は総理安倍から下は市会議員、村会議員まであらゆる階層で「毒素」がばら撒かれ蔓延する何とも嫌な時代になってしまった。先日の予算委員会では安倍が民主党の質問者発言の際に「日教組!」「日教組は!」とヤジを飛ばし、委員長から注意されていた。

確かに昔の日教組には骨のある活動実績もあったけども「連合」に加盟してこれといって際立った存在でもなくなった日教組を未だに目の敵にしている安倍の本音が露わになった。時々街で見かける大音量で改造車から軍歌を流している街宣車に乗っている右翼の方々と安倍は同意見なのだ。

◆2次関数の曲線のようにエスカレートする安倍の暴言暴走

安倍の暴走振りは2次関数の曲線のように日に日にエスカレートしているように思えてならない。安倍は「絶対に」、「全く」、「完全に」という言葉を頻繁に使うようになってきた。「絶対に」はイスラム国に向けた敵愾心の中で吐露されていた「卑怯なテロは絶対に許さない」だ。同様に「全く」は日本人人質事件で対応に問題はなかったかとの質問に対する回答だ。この質問への回答の中で「対応に全く問題はなかった」と断言している。「完全に」は政府の姿勢を正当化する答弁の際にしばしば登場する。

前回総理を勤めていた時、安倍の発言は今に比べればまだ慎重だった。やっていたことは「教育基本法」の改悪だったり、防衛庁の防衛省への格上げだったり今同様悪業の限りを尽くしていたのだけれども、言い回しはもっと迂遠(遠回し)で、今のように傲慢ではなかった。衆参両院で公明を入れれば絶対多数を維持しファシズムの下支えが盤石だからだろうか、もうこの男には日本語文法や原則的な憲法論が通用しなくなってきている。内心独裁者気取りだろう。

◆「パワハラ認定」中原徹=大阪府教育長は卑怯者「維新」の代表格

一方、厚顔無恥と屁理屈では安倍と双璧の大阪市長橋下はどうやらとうとう「弾切れ」に陥ったようだ。橋下が「改革」の名の下に行った「暴政」が次々に綻びを見せている。

橋下の手下で許せない人間の一人に大阪府教育長の中原徹がいる。奴は府知事時代の橋下によって大阪府立和泉高等学校の校長に民間出身、歴代最年少で就任した。中原は弁護士資格を持ち橋下とは大学時代からの友人だ。これだけで賢明な読者には怪しさが伝わるだろう。

和泉高校で中原が行った功績と言えば何と言っても行事の際に教員が「君が代」を歌っているかどうか「口の動き」をチェックさせたことだ。当時の大阪府教育委員長ですら「そこまでやらなくても」とコメントするなど多くの批判を浴びた中原だが、橋下はその行為に「素晴らしいマネージメントだ」と太鼓判を押した。戦前の特高警察、現在の公安警察並の行為を校長が行うことのどこが「素晴らしいマネージメント」だというのか。

また中原は「平和教育」と称して、生徒を自衛隊へ連れて行き、実質的な体験入隊に近いことまでさせていた。新聞が疑問も呈さずにあたかも新しい試みのように中原の「平和教育」を掲載していたので、電話取材を何度も試みたが中原はついに電話には出てこなかった。公立高校の校長のくせに卑怯な取材拒否だった。

橋下は調子に乗ると止まらない。手下の松井大阪知事を使って、あろうことか中原を校長から大阪府の教育長に引き上げた(2013年4月)。そして中原は当然のように事件を起こした。中原が「パワハラ」を行っていたことが2月20日認定されたのだ。立川さおり教育委員と教育委員会事務局の職員4人に対し、パワハラに当たる発言を行ったことが明らかになった。認定された「パワハラ」は3件だそうだがこれは「真っ黒」が3件と見るべきで、「グレー」な言動は数限りなくあったことだろう。中原は立川教育委員に対して「誰のおかげで教育委員でいられるのか。罷免要求出します」と発言したそうだ。天に唾吐くとはこのことではないか。「関西ファシズム」台風の目、橋下がいるからこそ、中原は民間出身校長に就任することができ、身分不相応な教育長にまで上り詰めている。橋下がいなければ中原が高校の校長や教育長に就任するような異常事態は起こりえなかった。

◆立地も建築も欠陥だらけの「咲州」府庁機能移転という「維新」幻想

カジノ設置候補地として横浜と大阪が選定されたそうだ。でもそんなことはもう橋下の追い風にはならないだろう。関西以外の読者の皆さんは現在の大阪府庁がどこに位置しているがご存知だろうか。橋下の当初の構想通り進んでいれば、そして東日本大震災が起こっていなければ、今頃、府庁機能は全て住之江区南港北にある「咲州」(さきしま)庁舎に移っていたはずだ。

現在大阪府庁の機能は大阪市中央区大手前にある旧来からの府庁舎と咲州庁舎に分かれている。旧庁舎は老朽化が進んでいるので建て替えか移転を模索していたが、橋下が知事時代に目を付けたのが旧「大阪ワールドトレードセンター」として建築され、財政破たんした大阪湾至近の咲州物件だった。地上55階、地下3階建てのこのビルはバブルの遺産ともいうべき無残な廃墟寸前だった。大阪市が一部を借り切りなんとか最終破綻を食い止めていたところに知事である橋下が「府が買い取る」と名乗りを上げた。もっとも当初は議会に反対されたり紆余曲折があったのだが、最終的に大阪府が買い取ることになった。

しかしだ、このビルがある場所は埋立地だから、海抜ゼロメートル(ひょっとすると海抜マイナス地帯かもしれない)だろう。ちょっとした高波、いわんや津波が来た際に機能しなくなる場所であることは素人にも自明だった。複数研究者の想定によれば南海、東南海地震による最大津波は内陸6キロ以上に及び大阪駅周辺も水没するとされている。なのに、海沿の孤立が確実な場所に庁舎を移転してどうするのだ。職員や知事はボートで庁舎へ行き来するのか。

更に立地だけでなくこのビルはとんでもない「欠陥建築」だということが判明した。東日本大震災時、大阪では震度3の揺れを観測している。日本で震度3と言えば驚きはするけども被害の出るような揺れではないはずだ。ところが咲洲庁舎では天井の落下や床の亀裂など360箇所が損傷、防火戸の破損、エレベーター全26基が緊急停止し、うち4基に男性5人が5時間近く閉じこめられ、エレベーターを支えるワイヤロープが絡まる、地震発生24時間後の12日夜の時点でも8基が復旧しないなどあきらかな「欠陥建築」であることが露呈したのだ。こんな被害が出た場所は関西でここだけだろう。

もう多言は要すまい。そんな場所、そんな建物に災害の時には対策の指揮を執るべき役所をおいているのが橋下を中心とする「維新」勢力だ。これでもあなたはまだ「維新」幻想を抱き続けるだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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セガサミー会長宅銃撃事件で囁かれる安倍自民「カジノ利権」日米闇社会抗争

板橋区双葉町にある、セガサミー・ホールディングス会長兼社長の里見浩宅(写真)が銃撃を受けたのが1月14日の朝8時30分頃のこと。中板橋駅を降りて、商店街を抜けて、歩いて10分。双葉町の現場に行ってみると、まるで要塞のような威風堂々とした構えの邸宅が目に入る。

里見浩=セガサミー・ホールディングス会長兼社長宅

報道によると、「夜中に『ドン』という音がした」と、警備員から警視庁板橋署に通報があったという。里見会長宅周辺からは銃弾や薬莢(やっきょう)が見つかっており、署が発砲事件として調べているようだ。けが人はいなかった。

署によると、警備員は「午前3時半ごろに発砲音のような音を聞いた」と説明している。「朝になって銃弾のようなものを見つけた」との通報を受けて駆けつけた署員が調べたところ、門の照明1個が割れ、近くに薬莢1個や未使用の銃弾3発が落ちていたという。これまでに里見会長から脅迫などの相談が寄せられたことはなかった、と署は説明している。

◆お台場カジノ建設はなぜユニバーサルからセガサミー主導に変わったのか?

それにしても里見宅はどうして銃撃されたのだろうか。まことしやかに流れている「噂」としては、多くが推測だ。

「日本のお台場にカジノ建設がされる場合、遊技事業会社の中で、自民党にも近く、終始リードしていたのは、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ)だったが、里見会長の娘・有紀恵さん(32)がこのほど、カジノ建設に前向きな安倍首相に近い男と結婚。この男は、経済産業省のキャリア官僚である鈴木隼人氏(36)で、先の衆議院選挙で比例区当選した。

披露宴には里見会長の肝いりで、安倍総理に加え総理経験者2人を含む多数の政治家が集まったのです。 こうしたことも手伝ったのか、カジノ建設は、セガサミー主導へと変わっていったのです」

その意趣返しで裏社会系の住人に銃撃されたと永田町のベテラン秘書が言う。だが、里見治会長は、どんなにおいしい利権の話が転がっていても、まったくヤクザとの交際の話は出てこない。

「里見会長は裏社会の輩をよせつけませんでした。出るパーティも慎重に選んでいて、『どんなメンバーが来るのか』と前もって秘書に調べさせていたほどです」(セガサミー関係者)

◆カジノ法案廃案の打撃からセガサミーと米サンズ社との間に亀裂が生じた?

そもそも、「機を見るに敏」な会長は、早くから日本にカジノが建設される場合、食い込むべく、早くから動いていた。昨年、韓国・仁川にカジノ建設を行ったがこれも日本でカジノ事業を行うときの試金石にすぎないとも言われている。

セガサミーは、韓国カジノ最大手パラダイスグループと合弁で建設した韓国初の統合型リゾート「パラダイスシティ」は、同国最大の外国人専用カジノや五つ星ホテル、韓流体験プラザなどが入り、2017年上半期にオープンする計画だ。

仁川国際空港に近接する約20万3千平方メートルの敷地に第1期の総事業費として1兆3千億ウォン(約1400億円)を投じている。航空便で1時間半圏内に集中する中国の大都市の旅行客を誘致するほか、国内客の来場も見込んでいる。

総額100億ドルに及ぶ「ライバルが太刀打ちできない」(里見氏)規模の投資方針を打ち出し、手つかずの巨大カジノ市場の日本でいち早く主導権を握ろうという思惑は、裏社会にも早くから浸透していた。すでに自民党議員らに積極的に売り込みを図っていた里見氏だが、昨年の秋に、いったんカジノ法案は廃案になり、棚あげになった。

「そこで、もっとも打撃を受けていたのが、セガサミーはもちろんだが、セガサミーに出資していたアメリカのサンズ社でしょう。もちろん、セガサミー本社も大打撃を受けた。当然、セガサミーの里見会長としては、安倍首相に『どういうことですか』と詰め寄ることになる。そのお詫びとして、娘の夫の鈴木隼人氏を、先の衆議院選挙でたいした実績もないのに、比例区の25番目にして、当選圏内に据えたのです」(週刊誌政治担当記者)

だから、見方としては(これは推測だが)サンズ社と手を組んだ闇の社会の「何者か」が意趣返しで銃弾をぶちこんだと見るのが正しい。

◆セガサミーの業績悪化はカジノ構想頓挫の余波?

セガサミーは、カジノ構想がすべったショックが響いたか、かなりの赤字のようだ。希望退職者を300名、募っている。

ZUUオンライン」では以下のように伝える。

——————————
2月12日、セガサミーホールディングスが2015年3月期第三四半期決算を発表した。売上高2,675億円(前年同期比12.0%減)、営業利益162億円(同65.1%減)、経常利益162億円(同67.0%減)、当期純利益△0.2億円となった。

同時に2015年3月期通期の業績予想を修正、売上高3,525億円(前年同期比6.7%減)、営業利益160億円(同58.5%減)、経常利益150億円(同63.0%減)、当期純利益△130億円とした。パッケージゲームの不振のほか、デジタルゲーム分野において、新作タイトルの投入時期を戦略的 に来期に変更したことなどが影響した。特別損失には、構造改革費用を含め、150億円程度見込まれている。

アミューズメント機器事業において、パチスロ遊技機が、型式試験方法の運用が変更されたことに伴い、市場全体で新タイトルの販売数が減少したことから、前年同期を下回って推移、一方、パチンコ遊技機の新台入替は比較的堅調に推移、329億円(同4.3%増)、営業利益は4億円(同2億円の赤字)となった。コンシューマ事業では、オンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』や、『ぷよぷよ!!クエスト』、『チェインクロニクル~絆の新大陸~』等の主力タイトルの他、『アンジュ・ヴィエルジュ~第2風紀委員ガールズバトル~』、『サカつくシュート!』等の既存タイトルが好調に推移したが、パッケージゲーム分野、玩具販売事業が低調に推移したほか、広告宣伝費等が増加し、売上高は827億円(同13.5%増)、営業利益は22億円(同17.3%減)となった。アミューズメント施設事業も営業損失5億円を計上する等足を引っ張っている。

同日発表された構造改革には不採算・低採算事業の整理・縮小、希望退職者300名の募集が盛り込まれている。募集人数通りの希望退職者を前提とすると、グループ全体の人件費は今期見込みと比較して年間 28 億円程度の削減効果となる。

さらにグループ内組織再編も発表、昨年10月に発表していた遊技機事業、エンタテインメントコンテンツ事業、 リゾート事業の3事業グループへの再編の一部が決定した。
(「ZUUオンライン」より引用)
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なるほど、カジノ利権を漁りたい一心で、与党にすり寄っていくわけだ。セガサミーよ、そうはうまくいかないぜ。さて、里見宅では、「周辺をうろつく黒い雨合羽の男」が目立ち始めたという。晴れているのに、雨合羽を脱がない不気味な男。まだまだ「カジノ利権とセガサミー」から目が離せない。

[ハイセーヤスダ]

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「チャイナスクール」出身外務官僚の不思議な価値観への違和感

もうだいぶ前の話になるけれども、仕事の関係で半年間ほど外務省と「喧嘩」をしたことがある。まだ当時の日本が余り関係を持ちたくない人物についての案件で、それまで顔を合わせた事のなかった「外務官僚」と何度も交渉する機会を得た。私の相手をしてくれた主たる人々は一人を除いて東大卒のエリート(残りの一人は京大卒)だった。皆さん私よりも幾つか年上ではあったけれども、世代が違うというほどに離れてはいなかった。

◆「チャイナスクール」は実在する

たまたまか、あるいは必然だったのかその方々は全員「チャイナスクール」系列の方々だった。「チャイナスクール」とは外務省入省後2-3年程度語学研修を主として中国に滞在した経験のある人々を意味する。彼らのほとんどは語学力だけでなく「政治的」思考の影響も受けて帰国し任務にあたる、と産経新聞あたりは決めつけている。でも、「チャイナスクール」出身者の多くはその後米国、若しくは英国で同様の期間研修兼、実務を経験する。

最初の交渉相手は外務省の某課、課長補佐だった。電話でアポを取り、関西から外務省に向かうとパーテーション区切られた打ち合わせスペースに案内された。分厚い近眼メガネをかけた課長補佐氏が出てきた。名刺を交換し、こちらの相談、依頼事項を告げると表情を変えずに「少しお待ちください」といってどっかに消えていった。近眼メガネ氏はもう一人少し下腹が出た人間と共に戻ってきた。彼がその課の課長だった。彼の年齢を今から考えれば40前後であるから、出世する中央官庁のエリートは、本当に飛び石のように階段を上がっていく。

「お話は承りました。こちらの要請に沿って進めて頂ければ、何とかならないことはないです。でもお願いしなければいけない内容がかなり多いですよ。クリアできますか?」

口調は丁寧だが、こちらを試していることは明らかで、しかも舐めきっている。私も外務省に出かけるのにアロハシャツとジーンズという姿で訪問しているので、舐められても仕方がなかったのかもしれないが、私自身というよりは私の勤務先である大学の力量を軽視した発言としか取れなかった。

「なにぶん経験もありませんし、ご指示やご指導には全て従うつもりですからよろしくお願いいたします」

としか言い返すことが出来なかった。

かくして、半年間の「喧嘩」が始まった。

◆言いがかりに近いような難題半年間の「喧嘩」

私たちが画策していたのは中国が敵視するある有名な仏教指導者を大学に招こうという計画だった。

「チャイナスクール」は実在するんだなー。と思い知らされたのは「喧嘩」の最中ではない。当初の「通告」通り課長補佐、課長氏はこれでもかこれでもか、と無理難題を投げかけてきた。こちらは意地になるから彼らの出す難問にも何とか準備をして答えた。それでもまた言いがかりに近いような難題を押し付けてくる。ある時私は我慢が限界を超えた。

「わかりました。今からお伺いして詳細を説明しますよ。いいですよね」

そう電話越しに伝えると、日常業務を同僚に頼み新幹線へ急いだ。外務省に着くと近眼メガネ氏が応対に出てきた。

「Aさん。ご要請には全て応じていますけど、今日の話は嫌がらせですよね」
「心外ですね。そんな言われ方をすると。我々はあくまで我が国の外交戦略に基づいてお願いをしているだけですよ」
「何言ってるんですか!それなら前に提出した計画書に全て網羅されているでしょ。え!だいたい貴方たちのような世間知らずの官僚は自分が国を動かしていると勘違いしてますよ。その分厚い眼鏡!鏡で見たことありますか!そういう姿と物言いを『官僚的』と言うんだ!わかりますか!」

私は怒鳴りはしなかったけど、少し大きな声で彼に食って掛かかった。話の内容はともかく自分の容姿や物言いを批判されたのはA氏にとっては驚きだったようだ。

その後「喧嘩」が終わるとA氏も、課長氏も仕事としてではなく、個人として打ち解けて付き合ってくれるようになった。

◆「日本人には国民としての自覚がない」という官僚A氏の価値観

後年、たまたま上京中に時間が空いたのでふとA氏のことを思い出し、電話をしてみると時間を割くから会いに来ないかと言ってくれた。

霞が関のあるビルでA氏に会ったのは初体面から10年近く経っていた。でもA氏どこか以前と印象が違う。

「お元気そうですね、それにお若くなられたようですけど」
「ええ、田所さんに『その眼鏡姿が官僚的』と言われたのがショックで、レーシック手術を受けたんですよ。眼鏡要らなくなりました」
「(えええ!)」

今は思い出した順番に事実を書いているので「その眼鏡!」と私が言ったと書けるが、実はその日A氏から指摘されるまで長年忘れていたことだった。手術を受けさせるほどショッキングなことを言ったのか反省とをした。

彼は外務省からの出向で官庁の中でも中枢部にいた。

「いやー日本の国民は分かりませんね」

「どういうことですか」

これ以上の内容を詳述すると現在彼の所属が分かってしまうので内容は曖昧にするが要は、「日本人には国民としての自覚がない」、「中国や米国の方が国家としては優れている。国民の意識もそうだ」、「時々日本人として恥ずかしくなる」・・・と言う愚痴だった。

A氏は勿論右翼ではないし、左翼でもない。米国が優れていると言い、中国も優れているという。うーん?米国と中国はあらゆる意味で随分違うように思えるのだけれども、A氏の頭の中では両方評価に値する国だという。

「体制は違いますよ。でもね、中国も、アメリカも国民が国に誇りを持っているんです」

そうか、それはそうなのかもしれない(私は同意しないけども)。A氏の価値観においては、国のあり様ではなく、「国民がどれほど国民であることを自覚しているか」が尺度となっていると分かった。

この不可思議な感覚は今某国で大使を務めている元課長氏にも聞いたことがあった。

「国民が国民である意識」

A氏の事も、元課長も人間としては嫌いじゃないけども、やはりこの考えに私は馴染めない。要は「国家主義」の言いかえではないだろうか。この2人に限らず外務省に勤務する人からは何度か同じニュアンスの話を聞いた。

私と彼ら。仲良くしてもらっても考え方の乖離は埋められそうにない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎なぜテレビはどこまでも追いかけてくるのか?
◎《大学異論29》小学校統廃合と「限界集落化」する大都市ニュータウン
◎《大学異論28》気障で詭弁で悪質すぎる竹内洋の「現状肯定」社会学
◎《大学異論27》「学ぶ権利」を奪われたマスプロ教育の罪──私的経験から
◎《大学異論26》「東大は軍事研究を推進する」と宣言した濱田純一総長声明文

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「人口1億人維持」の無理──「少子化」「人口減」に見合った思想へ舵をとれ

国土の広さなどの要因で全部の国には該当しないけれども、一般に経済成長を遂げた国ほど人口は増えない傾向にあり、貧困に苦しむ国ほど多産である。貧しい国では衛生状態の悪さや、栄養不足で乳児死亡率も高いが、たくさん赤ちゃんが産まれるから結果として人口は増えてゆく。

◆日本の少子化に拍車をかけた3.11以後の状況

日本は精一杯経済成長を遂げたので教育費や住居費が高騰し、それに対して若年層の収入は一向に増えないから、子供を産み育てるどころか、家庭を持つことすらに諦めを感じている20代、30代が少なくない。幸運にも結婚ができても、放射能被害に敏感な人は出産をためらうだろう。

放射能被害を心配しないで生活が出来た(2011年3月11日前)から、経済的要因以外に子供を欲しいと願ってもなかなか実現しない悩みを抱く女性の数は潜在的に多かった。現実にどれくらいの割合で女性(あるいは夫婦)が不妊に悩んでいるかと言えば、国立社会保障人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」(2010年6月)によれば6組に1組とされているので約17%となるが、私の知る産婦人科医や複数の医師の話を総合するとこの数字は実態の「半数ぐらいではないか」という。

不妊の定義は「通常の生活をしていて2年以内に妊娠しないこと」となっている。産婦人科医は妊婦さんのだけでなく、不妊に悩む女性の治療にもあたるので、受診者、治療者の数を数えれば不妊の実態がわかる。不妊治療を受けている女性の数は現在50万人と言われているが、これも実態より大幅に少ない数だと推測される。

臓器移植などで有名な関西のある病院の産婦人科医は私に「今生まれてくる子供の4人に1人くらいは不妊治療のお蔭でしょう。広義の不妊治療には人工授精なども含みます」と教えてくれた。とすると25%の子供たちが最先端医療技術が無ければ生まれてこれなかったことになる。

不妊に悩む女性やご家族には、これほど不妊の数が多いということを是非知って頂きたい。今日でも女性は「産むための装置」との考えは依然根強く、都議会で自民党議員は「なぜ産まないんだ!」との罵倒を女性議員に浴びせた。子供が出来ない女性への風当たりは身内からも陰に陽にプレッシャーとなる。でも、不妊はもう珍しい現象ではなく4人に1人という時代になっているのだ。

その原因が大いに気にかかるところだが、残念ながら明確な科学的結論は今のところ確認されていない。

◆毎年約22万人づつ減少する日本社会を受け入れる

分かっているのは、年々不妊の女性(あるいは夫婦)の割合が増加しているということのみだ。

とすれば、この国に独特な因子が原因となっているだろうことは推測できる。子供のころからの食べ物、生活のあり様(運動時間や睡眠時間)、体格の変化などが影響しているのだろうか。明言は科学者ではない私には出来ないが、一つだけ推測できる仮説がある。

個体として不妊をとらえると、その人の体の分析により回答を見出すことになるが、この島国全体の人口増減と食物の生産量を考慮してみるとどうだろうか。

日本の総人口は総務省の統計によると、1億2712万2千人(2015年8月1日)だ。毎年約21-22万人づつ減少している。減少の割合は今後加速化し、2030年頃には1億人を割り込む概算だ。でもこの計算は幾分政治的である。上記で述べたような不妊の実態や、ましてこれから多発確実な放射線被害による人口減少は当然含まれていない。

私の暴論だが、生物としてこの島国に住める数を人間は超過してしまっているのではないだろうか。それを感知した生物「ヒト」属が総体としてこれ以上個体数を増やす事を抑えるために何らかの回路で人口抑制(妊娠の難化)にスイッチがオンになったのではないだろうか。

生物は生きる上で空気と水そして食物が欠かせないが、例えば東京都の食物自給率は0%だ。食べるものがないところに生物は生きられない。例えを動物にとって恐縮だが、ウサギやネズミもある特定の地域で個体数が増えすぎると理由不明な多量死が起きることはよく知られている。

この島国で生きながらえようとするのであれば、面積に応じた人口と食物自足をバランスよく実現するのが肝要なのだろう。

それは「経済第一」や「景気回復」といったフレーズと正反対にある思想だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致
◎日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?

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「強きを助け、弱きを挫く」で一貫する曽野綾子と産経新聞の差別エネルギー

産経新聞と曽野綾子といえば「差別主義者」の代表格だが、その両者が結び付くと差別エネルギーが二乗になり事件が起きる。産経は経営状態が悪いから積極的にYahoo!やネットに記事提供を行っているのであたかも世間で相応の認知がなされた新聞のように誤解されやすいけれども、あんなものは一部偏執狂が意地で出し続けている同人誌のようなものだ。

◆産経新聞は「近視眼、気味悪い、気が小さい」=「3K」新聞

産経新聞は自民党応援団であり、昨今の「嫌韓」を牽引してきた犯人でもある。産経を正しく標記すれば「3K」で「近視眼、気味悪い、気が小さい」の頭文字に由来する。「近視眼」は韓国に対する態度で窺い知れる。今でこそ「韓国叩き」の先頭を走る「3K」だが、ノテウ(慮泰愚)大統領時代までは日本の新聞の中で最も「親韓」を露わにしていたのが「3K」だ。

軍人出身で民主主義を掲げてはいるが軍国主義の血を引く共産主義に対峙する人物だったからだろうか。世論や他の新聞が韓国政権に一定の批判を保持していたのとは対照的にもろてをあげて「ノテウ万歳」だった。

その「3K」系列のフジテレビはつい数年前まで午後ほとんどの時間に韓国ドラマを流しっぱなしだったくせに、潮目が変わると見るや転身の早いこと。これを「近視眼」と言わずに何と表現できよう。「気味悪い」は今回のように国際的にも批判を浴びることが必至な記事を平気で載せてしまう「ネトウヨ」並みの神経だ。

さらに、あまりの偏見に読者が離れてしまい夕刊を発行することすら出来なくなった青色吐息なのに、まだ「これでもか、これでもか」と差別を売り物にしようとする執着心である。「気が小さい」は弱いものや直接批判を浴びない勢力には罵倒を浴びせる癖に、真っ当な批判を正面からされると逃げるか、嘘をついて責任回避をしようとしかしない態度だ。「強きを助け、弱きを挫く」のが「3K」だ。

◆「アパルトヘイトは素晴らしかった」と言っているに等しい曽野綾子

一方、曽野綾子はこれまた堂々たる差別者にして、政府の手先で裏社会の仕事も引き受ける輩だ。愛情だの、母性だの聞こえは優しい言葉を多用しながらも結論は「女は女らしくいなさい!子供を産んだら会社を辞めなさい!」平然と発言したのは数年前だったが、今回の本音に対する批判は国内だけに収まらないだろう。

「3K」は2月11日付朝刊に曽野綾子の「労働力不足と移民」と題したコラムを掲載した。曽野は労働力不足を緩和するための移民の受け入れに言及し、「20~30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」などと書いている。

こういうことをあたかも独自の視点のように書き、公表をはばからないのが曽野綾子という人間の本性だ。これは「アパルトヘイトは素晴らしかった」と言っているに等しい。この老婆は原則的な差別主義者のくせに驚くべき二重基準を平然と実行する不思議な人物でもある。日本財団(旧日本船舶振興会)代表の椅子に長く座っていた事実がそれを物語る。

と言っても、若い世代にはピンとこないだろう。この団体はモーターボートレースを牛耳っていた笹川良一が設立した団体で、古くから陰に陽に自民党政権を資金的に支えてきた。笹川について書き出すと本が1冊出来てしまうが、40代以上の方々は高見山と一緒に拍子木を打ち鳴らしながら「戸締り用心火の用心、一日一善!」とテレビCMに出ていた老人と言えばご記憶の方も多かろう(笹川は「ファシスト」を自認していたから存命ならこの時代、さぞ生き生きしていただろう)。曽野は笹川の遺産である「日本財団」(この名前も一民間団体にしては随分とずうずうしい)の会長時代に言い逃れのできない犯罪をおかしている。もっともも共犯が日本政府だから検挙されることはなかったが。

2000年アルベルトフジモリが現職のペルー大統領のまま日本に事実上の亡命をしてきた。ペルー検察は後に「殺人罪」容疑者としてフジモリを追及することになるが、2000年フジモリが日本へ逃げてきた際に保持していたパスポートはペルー国籍のはずだ。というのはフジモリの両親が日本国籍であるので、出生届を日本の役所に出してれば「二重国籍だった」可能性は排除できないからだ。仮に「二重国籍」であればフジモリはペルーで大統領になることはなかった。ペルーでは「二重国籍」者が大統領になることを法律で禁じている。

ところがあろうことかフジモリは2007年に日本新党から参議院選挙の比例代表候補として出馬する。何たることかと呆れた記憶がある。日本政府は「二重国籍」を認めていない。この国は国籍に関してはとりわけ神経質であり、他国で大統領をまで上り詰めた人間に日本国籍を「進呈」するなどその他の差別的行政態度からは考えられないことだ。

おそらく、曽野らは日本財団による過去の「貸し」や、裏社会の装置を使って政府を裏から動かしたのだろう。フジモリは実際に当選するあてもない選挙に出馬したのだから。

◆曽野綾子×3K新聞の「誤った言説」に対して日本の中で徹底批判が必要だ

そんな「3K」と曽野の合作に国内からは大小批判が上がっていたが、当の南アフリカ政府からも強烈なパンチが飛んできた。モハウ・ペコ駐日南アフリカ大使が「『アパルトヘイトを許容し、美化した。行き過ぎた、恥ずべき提案』と指摘。アパルトヘイトの歴史をひもとき、『政策は人道に対する犯罪。21世紀において正当化されるべきではなく、世界中のどの国でも、肌の色やほかの分類基準によって他者を差別してはならない』」とする批判文を「3K」に送っていたことが明らかになった。さあどうする、「3K」よ。

アパルトヘイト(Apartheid)は1994年に撤廃されるまで、南ア以外の白人国家でも大変な非難の的になっていた。実際の人種差別が世界中にあっても法律による差別は訳が違う。だから非難されていたのだ。欧州諸国をはじめ米国までが経済制裁を行っていた。日本も名ばかり制裁に参加はしていたけれども、多数の商社や宝石関連企業が取引を続けていたので国際社会で非難を浴びていた。だいたいApartheidを「アパルトヘイト」と日本では発音・表記するが「アパタイト」と発音しないとよその国では通じない。

「3K」の小林毅・執行役員東京編集局長は「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本人の意見として掲載しました。コラムについてさまざまなご意見があるのは当然のことと考えております。産経新聞は、一貫してアパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとの考えです」と「気が小さい」を地で行くコメントを出している。嘘つけ!お前たちは連日「人種差別」を煽る記事を掲載しそれを売りにしているじゃないか!今回は相手が韓国ではない。国際社会で非難されていた「アパタイト」擁護は小さな問題で収まりはしまいだろう。

拙稿「多様性に不寛容な日本が『外国人』を無原則に受け入れるとどうなるか?」(2015年2月4日付)で指摘したのは正に曽野のような考え方の人間が闊歩している現状を憂いたためだ。国際的に明らかな差別として指弾された「アパタイト」にすらいまだに賛意を示す時代錯誤は外的圧力によってしか是正出来ないのだろうか。情けない国だと思われないために「誤った言説」には日本の中で徹底した批判が加えられなければならない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎多様性に不寛容な日本が「外国人」を無原則に受け入れるとどうなるか?
◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

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労働者にメリット・ゼロの「残業代ゼロ」法案を強行する「悪の枢軸」企業群

厚生労働省の労働政策審議会は2月13日、長時間働いても残業代などが払われない新しい働き方を創設する報告書をまとめた。安倍は12日の施政方針演説で「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度、社会の発想を、大きく改めていかなければならない」と語り、「残業代ゼロ」となる働き方をつくるのは、その岩盤規制に風穴を開ける「改革」という位置づけ、更に「時間ではなく、成果で評価する新たな労働制度を選べるようにする」として、政権の成長戦略にこの制度の創設を盛り込んだそうだ。

ここまでは、どの新聞でも読める。

◆真っ当な労組が存在していればゼネストをを打つ事態

この「残業代抹殺法」制定への動きを報道している方々は単純な疑問に気が付かないだろうか。

「フレックス制」はどこへ行ったのか?
消えてはいない。多くの企業で出勤時間の自己申告による調整は行われている。新聞社にも夜勤はあるだろう。自己申告により自分の生活と仕事の調整をはかる「フレックス制」には企業、労働者双方にメリットがある。それで「労働時間の画一的な枠」は解決済みじゃないか?

でも安倍の本音は「労働時間」うんぬんではなく「残業代」という概念を消し去ってしまいたいのだ。これを明言するから恐れ入る。安倍の暴走に私の語彙がついてゆけない。

「残業代抹殺法」による労働者のメリットは皆無である。この「蟹工船政策」とでも呼んでやりたい安倍の本心は何も隠すことなく吐露されているから、これ以上の説明は不要なのかもしれないけれども、あまりにもえげつなさすぎる。「連合」などといった腐れ組合ではなく、本当の労組が生きていればゼネストを打つだろう。

◆労働者の基本的権利を「審議会」の密議で奪う日本

安倍が「改めていかなくてはならない」としている「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度」とは世界の資本主義発展の中で膨大に生まれた労働者階級の労働条件を如何に「人間的なもの」とするかの闘争の末に勝ち取られた基本権ではなかったのか。国により労働時間の長短はあるが、当初は1日10時間労働、そして1日8時間勤務実質7時間労働(週40時間労働)という基本合意が日本では成立した。その合意を超える労働はいわば「約束違反」だから本俸よりも高い割合で「残業代」が支払われる。これ、常識じゃなかったのか?

何故その基本的権利を「労働政策審議会」などと言う一部の人間の密議で奪われなければならないのか(議事録が公開されていたって内容がインチキだからあんなものは「密議」もしくは「謀議」と呼ぶ)。安倍があたかも旧弊のように言う「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度」とは「資本により過剰な労働時間を労働者が押し付けられないように防御する権利」であり労働者と使用者間で最低限の約束ではなかったのか。

対象は年収1075万円以上(平均年収額の3倍以上)、個人と会社の合意が前提、研究開発や金融ディーラーなど専門職に限る、とあたかも一部の労働者のみを対象にしているとの印象造りに余念がない。読者の皆さんはこの約束は守られるとお考えになるだろうか。

◆PKO法と同様に「残業代抹殺法」も必ず変容する

例が違うがPKOは当初「紛争地帯」へは絶対に行かないはずだった。政府は「武器も小火器しか持たせません。日本には平和憲法があるから、あくまでも非軍事部門での国際貢献です。決して戦闘地域へ行くようなことはありません」と嘯いていたではないか。だがカンボジアを皮切りに気が付けばアフリカにまで派兵する実績を作った後に安倍が言い出したのが「解釈改憲」と「積極的平和主義」=「軍事国家化宣言」だ。さっそくその反作用として「イスラム国」から「テロ支援国家」指定をされたではないか。

「残業代抹殺法」も必ず変容する。対象者の年収が700万円に下がりやがて500万円、300万円を経て最後には「全労働者」に広げたいというのが本音だ。「個人と会社の合意」など最初から守られることはないだろう。中規模以上の企業へお勤めの方であればお分かりだろう。職場にそんな「個人の自由」など端からありはしないことを。労組だってあてにならない中で、勇気をもって「拒否」の姿勢を明らかにすることは「兵役拒否」宣言をするに等しい。出来るわけがない。

専門職とされている対象だって、舌の根も乾かぬ内に無原則に広げられるだろう。詭弁使いにかけてこの国の政治家・官僚は世界でもトップクラスだ。「朝令暮改」、「羊頭狗肉」は一切気にならない。無神経と開き直りが成功する政治家の必須条件なのだ。

◆NTT、ベネッセ、イオン、日本郵船などが名を連ねる審議会

「労働者奴隷化計画」は着々と進行する。「労働政策審議会」の中には労働側代表として10名の大規模組合関係者が入っていた。使用者側はNTT、ベネッセ、イオン、日本郵船、経団連など同様に10人だ。これに「公益代表委員」が10名、主として大学教員で構成されている。

この手の「審議会」や「諮問委員会」は最初から結論ありきで、その結論に賛成するであろう者を7割ほど、反対するだろう者を3割ほど入れて、一応「審議」をした形跡だけは残しておく。が、反対意見が多数を占めて政府の思惑通りに進まないことは絶対と言ってよいほどない。

金の亡者「経団連」、「イオン」、「ベネッセ」(社長兼会長は元日本マクドナルド社長の原田泳幸)らと安倍が織りなす「悪の枢軸」の暴走を止めなければならない。ただでさえ非正規労働者はまともな生活をおくることすらままならないのに、「残業代抹殺法」が成立すれば「働いても食えない」社会が益々進行するのは明らかだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?
◎日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道
◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致

同時多発に事件を追う!話題の『紙の爆弾』3月号発売中!

 

円安からデフォルト──税金引上げ、年金引下げ、社保切り捨ての後の総崩れ

110円台あたりにほぼ落ち着いた感のある円安。これまでの政府や経団連の説明によれば、輸出が促進され輸出企業を中心に収益が好転し経済活動が活発になるはずだった。確かに一部の輸出企業は収益を伸ばしている。でもそれは1ドルあたりの円の価値が下がった為にその差額が転がり込んできているだけの事であり、実際の商品売上数が伸びているわけではない。米国の自動車販売実績を見ても円安にもかかわらず米国勢が販売実績を伸ばしている。

◆日本も米国もすでに「破産」している国

原材料を輸入して製品化し、輸出で利益を得る「加工貿易」とも呼ばれる大枠日本の経済構造にとって「円安」は必ずしも喜ばしいことではない。日本企業や政府の原材料調達はごくまれな例を除いて未だに「ドル建て」である。過去あまたの世界的不況やドルの乱高下を経験しているのだから「円建て」決済に何故踏み切らないのか、そうすれば為替の相場の影響をこれほど受けずに済むのではないかと思うのだが、専門家に言わせると「気が小さいから」日本の企業は「円建て決済」が出来ないらしい。

だから円安は原材料調達の高騰に直結する。原油、各種金属材料、小麦、大豆など。米を除けば日常多量消費する物資を輸入に頼っているこの国を円安は痛撃し、物価がじりじりと上がってゆく。「インフレ目標」など定めなくても消費税のボッタくり的上乗せと円安誘導に引き起こされた物価上昇は生活感覚からすると2%(政府インフレ目標)どころではない。貧乏人はいつもレジで清算の時に1円玉を財布から取り出さなければならず、1円玉は薄くてつかみにくいものだからつい、落としてしまい「また!」と舌打ちさせられるはめになる。

但し円安は自国通貨の価値を下げるから、これからじりじりと投機的外資を呼び込む効果は出てくるのかもしれない。外資ファンドが郵貯や優良株乗っ取りを狙って侵入してくるだろう。他方、常に日本より金利の高かった米国が実質「ゼロ金利」に突入し、それでも尚国債の発行は止まらない。円の価値は対米ドルでは下がっているが、米ドルも対ユーロやポンドで自国通貨安を引き起こそうと必死になっている。

何故かと言えば日本も米国も実は既に「破産」している国だからだ。

◆日米「多重債務国」同盟

米国は世界最大の債務国だ。借金世界一ということだ。IMFによると米国の総国債発行残高は2014年に18.395兆ドル(1ドル=110円で計算すると約2000兆円)。2004年の8.039兆ドルからこの10年で倍以上に膨張している。米国債を最もたくさん保有しているのは中国で、日本が二番目だ。この2国が裏で交渉して一気に米国債を売りに出したら(そんなことは出来ないだろうが)、その瞬間に米ドルは暴落し、米国はデフォルトを起こす。「世界一の大国」はその気になればいつでも転がすことが出来る。

でも、それが出来ない理由の一つは、日本も同様に言わば「多重債務者」状態だからだ。国債、地方債の発行残高は1000兆円を超えている。赤ちゃんから老人まで一人当たり1000万円以上の借金を背負わされているわけだ。勤労者人口のみに限定すれば一人当たり3000~4000万円に上る「国の借金」の「連帯保証人」を知らないうちに引き受けさせられている。

来年度の政府予算は補正を含めれば100兆円を超えるだろうが、税収は40兆円前後だ。月収40万円の家庭が毎月100万円の出費をしているわけだ。こんな状態がいつまでも続くだろうか。

◆「ちゃぶ台返し」が必ずやってくる

いったい誰が返済の責任を負ってくれるのかといえば、それは政府ではない。もちろん財務省を始めとする行政機関でもない。いわんや政治家個人など知らん顔を決め込む。負債を返済させられる「連帯保証人」はあなただ。国が借金をする時にあなたに相談があっただろうか? 連帯保証人になってくれと頼まれ、あなたは借用書に印鑑をついただろうか。記憶はないはずだ。そんな方法でこの巧妙な借金は展開されてはいない。あなたに解りにくい「お伺い」があったのは敢えて言うなら「選挙」の時だ。

「皆様のお力でどうぞ国会に送ってください」と連呼するあのやかましい声のなかに本音は隠されていたのだ。「当選すれば私は歳費を年間約2300万円、その他政務調査費や諸々の利権が手に入りますんや。皆さんには『税金引き上げ』と『年金の引き下げ』その他『社会保障の切り捨て』で国の借金負担してもらいますねんけど、ここでは言えまへんわな」との本音が聞こえていたのは有権者100人に1人くらいだろうか。

何の根拠もなく世界の力関係はいつだって同じように見えるかもしれないけれども、一つ刺激があれば総崩れがいつ起きても不思議ではない。いや遅かれ早かれ常識のように見える世界秩序を根底からひっくり返す「ちゃぶ台返し」が必ずやってくる。多重債務者であるこの国の言うことを諾々と聞いていると下劣な表現だが、

「ケツの毛までむしられるで」

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎安倍「国富喪失」解散──アベノミクス失策の責任を問う選挙へ
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる
◎イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

あらゆる事件は同時多発!──『紙の爆弾』3月号発売中!

第1回前田日明ゼミ開催!──新右翼鈴木邦男さんと「真の愛国者」を問う!

2月8日鹿砦社主催の「前田日明ゼミin西宮」の第1回がお馴染みの鈴木邦男さんをゲストに迎え60余名の聴衆が集散し、これまで同様cafeインティラミで開催された。「前田日明ゼミ」への関心の高さは『紙の爆弾』誌上で発表後時間をおかずに定員に達したことからも伺われたが、この日も会場へ直接申し込みなく訪れた方々が10名を超えた。

会場スペースと消防法の規定もあり、当日会場に来られた方々は入場することが出来ずにお帰り頂いたそうだが、鹿砦社の担当者の方からは「大変申し訳ないが事情を理解していただき、次回以降申し込みをして頂き是非ご参加を」とのコメントがあった。

会場には鹿砦社のロゴやカレンダーなどを手掛ける「龍一郎」さん(前田さんの大ファンだそうだ)も駆けつけ、対談開始前に会場で書を実践披露していただいた。書かれたのは「誠」。清々しいサプライズを受けて対談が始まった。

この日のテーマは「真の愛国者とは~現代日本は社会を読み解く~」であった。新右翼でありながら今や「境界なき思想家」である鈴木さんと韓国籍から日本国籍へ帰化された前田さんの間でどんな激論が交わされるのか。「愛国」を語らせたら、これ以上ないスリリングな組み合わせに会場は静かながら緊張感に包まれた。

鈴木さんは吉田松陰や幕末に活躍した人間が専ら中国の古典から教養の基礎を学んでいたことを紹介し、日本で昨今見られる排外主義に疑問を呈すると、前田さんはすかさずそれに呼応する。いわく武士の教本は「四書五経」にあったと。

◆サンフランシスコ講和条約──問題はそこから始まってる

前田さんが恐るべき読書家で、それには鈴木さんすら一目置くほどだという事実は知る人ぞ知るところだが、その後も歴史的にあまり知られていない重要な事実を前田さんはどんどん明かしてゆく。

「吉田茂と白洲次郎は売国奴ですよ」

「サンフランシスコ講和条約は何語で書かれているか皆さんご存知ですか?英語、フランス語、スペイン語、付け足しで日本語と書かれてるけど、政府答弁ではサンフランシスコ講和条約の日本語版は存在しない!」

「サンフランシスコ講和条約の中で、日本に主権を返すという記述はある。でもそれは日本国にじゃなくて”Japanese People”と書かれてる。これ日本人でしょ。日本国じゃないですよ。でも政府は日本国と偽訳で国民を誤魔化してるんです。」

「敗戦に伴う賠償請求はしないことになったると言われてるけど嘘ですよ。よく読んだら戦費以外は『いつでも、私企業にも賠償させることが出来る』て書いてある。だから日本は国連やIMFへの出資が多い。ODAもそうですよ。日米安保以前にサンフランシスコ講和条約の問題を誰も言わないでしょ。問題はそこから始まってるんですよ」

「今まで何百人という政治家に会ってきましたけど、この人は本物だなと思える人は2、3人ですね。あとは皆だめですね。私の質問にも答えられない」

◆彼ら(在特会)のやってること自体が『在日』そのもの

そして、いよいよ「愛国者」に関係の深い昨今の差別問題へと鈴木さんが話題を向ける。前田さんは実際に「在特会」のデモやヘイトスピーチを目にしたことはないというが、

「彼らのやってること自体が『在日』そのものなんですよ。『在日』にもいろんな人間いるから変な奴もいる。正に『在日』の悪い部分そのものですね」

と在特会こそ『在日』の闇の部分だと指摘する。だが、

「もし目の前であんな事言われたら、日本刀でぶった切るかもね(笑)」

とやはり前田さんにも許し難い行為のようだ。更に新井将敬(元韓国籍から日本国籍に帰化、自民党から国会議員に当選するも自殺)、中川一郎、果ては橋本龍太郎の死に対して疑いの目が向けられる。

「謀略って日本人はあまり信用しないけどあるんですよ」

前田日明ゼミ第一回は早速ダッシュで始まった印象だ。本当はゲストである鈴木さんの「聞き出し方の旨さ」も際立っていた。鈴木さんに取調官をやらせたらきっと優秀だろう。

ゼミ終了後、同じ場所で懇親会が開催された。前田日明ファンが写真を撮ったり、握手を求めたり列をなした。中には時価1千万円の価値があるという「テレホンカード」の数々を持参して前田さんにサインをもらっている方もいた。極め付けは「技をかけて!」と願い出る女性へのコブラツイスト!

次回以降も何が起こるかわからない。期待を寄せる刺激に満ちた初回スペシャルだった。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題

あらゆる事件は同時多発で連関する──『紙の爆弾』3月号発売中!

 

制度は作るが責任は取らない厚労省「健康な食事を普及するマーク」の怪

厚生労働省が昨年10月16日、「健康な食事」に関する珍妙な報告書を発表している。

報告書の主旨はこんな感じだ。
「この度、『日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会』(座長:中村丁次神奈川県立保健福祉大学学長)の報告書を取りまとめましたので、公表します。 本検討会は、日本人の長寿を支える「健康な食事」とは何かを明らかにし、その目安を提示し、普及することで、国民や社会の「健康な食事」についての理解を深め、「健康な食事」に取り組みやすい環境の整備が図られるよう、平成25年6月より検討を行ってきました。 」とのことだが、この報告書、記述のあちこちに怪しい箇所が満載されている。

◆まったく整理されていないのに無理やり「整理」の非現実

その内容は、
【主なポイント】
1)日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方を整理
「健康な食事」とは何かについて、健康、栄養、食品、加工・調理、食文化、生産・流通、経済など多様な側面から、構成する要因を踏まえ、整理。

2)生活習慣病の予防に資する「健康な食事」を事業者が提供するための基準を策定
食事摂取基準(2015年版)における主要な栄養素の摂取基準値を満たし、かつ、現在の日本人の食習慣を踏まえた食品の量と組合せを求め、1食当たりの料理を組み合せることで「健康な食事」の食事パターンを実現するための基準を策定した。この基準は、食事を提供する事業者が使用するものである。事業者は、この基準を満たした料理を市販する場合にマークを表示することができる。

3)「健康な食事」を普及するためのマークを決定
市販された料理(調理済みの食品)の中で、消費者が「健康な食事」の基準に合致していることを一目で分かり、手軽に入手し、適切に料理を組み合わせて食べることができるよう、公募によりマークを決定。

とされている。医療・健康に関する厚生労働省の施策に長年疑念を感じているひねくれ者の私は、ご指導を頂いたからといって「はい そうですか」と有難く盲従する気はさらさらない。

でも、国が定めればその指針を信用・信頼して食生活を考えたり、何を食材として購買するかの参考とされる方も少なくないであろう。

【主なポイント】にはその記述からして、怪しい箇所がいくつか見受けられる。

1)は「健康な食事」とらえ方を整理とある。つまり「健康な食事」を定義しているのだが、その中に「健康、栄養、食品、加工・調理、食文化」とあるのは肯けるが、「生産・流通、経済など」と「経済」が入っている。ここでいう「経済」は生活者の「経済状況」ではなく、国や地域の「経済」を指すことは報告書の全文を読めばわかる。健康食と「経済」の結びつきに「経済が第一」を叫ぶ安倍政権下でなされた「報告書」の暗部を感じる。厚生労働省が示している「日本人の長寿を支える『健康な食事』を構成している要因例」では「健康な食事」を示しているはずなのに、それを構成する要素をまとめる項目は3つで、「自然」「社会・経済」「文化」とされていて、中でも中心に「社会・経済」が描かれている。表題、あるいは図表全体が示す内容と「社会・経済」には相当な乖離がある。

◆乱暴であいまいな「健康食」指定がなされる危険性

また、2)から導かれる、3)の「健康な食事」を普及するためのマークを決定 に至ってはかなり乱暴な「健康食」指定がなされることを示しており、警戒が必要だ。

「健康な食事」の普及のためのマーク(厚生労働省)

ここに示したような「健康な食事を普及するマーク」が4月から店頭に登場することになる。ところが、このマーク使用にあたっての厚生労働省の基準は以下の通りだ。

(1)マークの対象とする料理
対象とする料理は、市販される1食当たりの料理(調理済みの食品)であり、外食や給食など提供される場所、パック詰めやパウチ詰めなど提供される形態を特定するものではない。仮に基準を満たしても、1食分となってないものは対象とはならない。また、特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材は使用しないこととする。

(2)マークの表示に当たっての留意事項
事業者は、マークの適切な普及のために、主食、主菜、副菜を組み合わせて食べることなど、マークの意味することについて、消費者に適切に情報提供できる体制を確保すること。
○ 事業者は、マークとともに、おいしさや楽しみを付与するために工夫している旬の食材や地域産物の利用などの情報について積極的に提供すること。
○ 事業者は、マークの表示に際して、おいしさや楽しみのために工夫した食材の特徴があれば、あわせて、分かりやすく表示すること。
事業者は、基準に合致したレシピの作成など、「健康な食事」に関する企画や運用に当たって、管理栄養士などの関与により、適切に実施できる体制を確保すること。
国は、マークの普及状況をモニタリングする観点から、事業者のマークの使用状況について、国に報告する仕組みを構築すること。この他、基準を満たすためのそれぞれの食品の重量は、生の重量を基本とし(ただし主食においては、調理後重量を基本)、栄養素の量は、成分分析値でも食品標準成分表からの計算値でも構わないこととするなど、基準の運用に必要な事項の詳細は、今後、別途作成するガイドラインに示すこととする。

赤や青文字部分が多くて恐縮だが、要するに「売る人間の判断で、国や公的機関の検査もなく勝手に」利用できるのが「健康な食事を普及するマーク」であるということだ。「何の検査も審査もなく誰でも勝手にお使いください。国は制度は作りますが責任は取りません」という恐るべき制度である。

仮に私が弁当屋を開業して、自家商品を売る際に「勝手」に張り付けたり、印刷しても構わない、それが「健康な食事を普及するマーク」である。マクドナルドだって利用するかもしれない。

◆「国民の生命・健康」という最低限の責任すら取らない官民ビジネス

よくまあこんな無責任をお役所が許すものだと呆れるばかりだ。「国は、マークの普及状況をモニタリングする観点から、事業者のマークの使用状況について、国に報告する仕組みを構築すること」などと呑気に言い訳のように付け足しているけれども、この「健康な食事を普及するマーク」は使用開始前から「何の保証も安全も担保されない、無責任な制度」であることを認識しておく必要がある。

コンビニエンスストアやスパーマーケットの店頭にはやがてこのマークが並ぶことだろう。本当に食材の内容や新鮮さ栄養バランスに自信のある生産者は、こんないい加減な制度は、むしろ無視するのではないだろうか。私が自信を持った商品の提供者ならこんないい加減なマークを付けるのは「恥」だから絶対に利用しない。いい加減な商品としっかり作った商品を混同されてはかなわない。

「官から民へ」の実態をここで垣間見ることが出来る。行政は「国民の生命・健康」という最低限の責任すら取ろうとしなくなっている。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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