これで『ヘイトスピーチ、許さない』? 法務省の呆れた人権感覚!

「秋篠宮ご夫妻の次女佳子さま(20)に危害を加える書き込みをインターネット上にして、皇宮警察に警戒を強化させたとして、警視庁捜査1課は21日、偽計業務妨害容疑で、無職池原利運容疑者(43)=東京都新宿区大久保=を逮捕した」

5月21日、時事通信のサイト「時事ドットコム」に、こんなニュースが掲載された。犯人は韓国人をよそおい『2ちゃんねる』に「佳子内親王を慰安婦にしよう」などと書いていたことから、ツイッター上には「韓国人はクズ」「大久保……バレバレ」「在日の仕業か」などの文字が躍った。しかし犯人は在日や韓国人どころか、新大久保でのヘイトスピーチデモに参加し、ツイッターで在特会幹部とメンションを振り合い、会話もしていた日本人の「ネトウヨ」だった。


◎[参考動画]佳子さま“脅迫”43歳男「悪ふざけ」の理由とは(15/05/21ANN)

◆「許さない」と啓発しながら「ネトウヨ」ヘイトクライムを野放しにする法務省人権救済局

韓国人をよそおい、憎悪を煽るようなマネを「スレッドを盛り上げるための悪ふざけ」(時事ドットコムより)のためにすることは、差別扇動、ヘイトクライム(憎悪犯罪)以外のなにものでもない。

「子供も見ているインターネット上で、在日への憎悪を煽る書き込みがされることは、本当に恐い。どうにか取り締まれないのか」

都内に住む40代の在日韓国人女性はそんな思いを抱き、22日に法務省人権救済局の『みんなの人権110番』に電話したそうだ。同省はヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動として『ヘイトスピーチ、許さない』というポスターを作成し、ヘイトスピーチ被害への相談窓口があることを広くアピールしているからだ。

法務省の啓発ポスター『ヘイトスピーチ、許さない』

※法務省の啓発ポスター『ヘイトスピーチ、許さない』
https://www.youtube.com/watch?v=FHGw5w299A8

「韓国人になりすまし、韓国や在日への憎悪を煽るために皇室を貶めるのは、重大な犯罪だしネットでの騒動が恐ろしい。そのような書き込みを取り締まることはできないのか」

彼女がそう言うと、電話に出た女性は、

「あなた自身の人権が侵害された際はその相手に連絡をするが、ネットで『在日韓国人』などと書き込んであるだけでは、対応することはできない」

と言ったそうだ。たとえば誰かのブログに自分の名前があげられ、そこで「あることないこと書かれていた」場合には、ブログ主に連絡をして削除要請をするが、相手が無視したとしてもとくに罰則はない。「それ以上のことを求めたいなら、弁護士に相談して欲しい」とも言われたそうだ。つまり差別扇動のために出自を偽ったり、SNS上で無責任な発言をして憎悪を煽ったとしても、法務省はなんら手を打つことはしないし、できないようだ。

◆『みんなの人権110番』に相談したら、思いっきり踏みにじられた!

また直接的な被害を受けた場合でも、犯人の特定は自身がやらなければならず、差別扇動者を探し出してはじめて、「相手と面談」しに行く。その際もあくまで「ヘイトスピーチはいけないと、止めるように要請する」のみ。面談自体も「応じてくれれば行くが、拒否することも可能」(担当者)。

では実際に面談して相手と話し合ったことがあるのか。そしてその後、ヘイトスピーチは止んだのか。彼女がそう質問すると「相談者から報告が来ることもあるが、事後調査はしていない」との答えが返ってきた。

「在日朝鮮人」へのネットでの差別扇動を止めることもできないどころか、直接被害に遭ったとしても、犯人を捜し出すのも慰謝を要求するのもすべて、本人か弁護士任せ。差別扇動がやんだかの、事後調査すらしない。ならば一体『みんなの人権110番』は、なんのために存在するのか。

「法務省が相談にのってくれる」と、希望を抱いた被差別者達を思いっきり踏みにじる結果になった法務省の『みんなの人権110番』。4月27日付の朝日新聞では、「(法務省はヘイトスピーチへの相談において)『精緻(せいち)に対応できる職員』を各法務局に置く方針」に触れていたが、現段階の対応は、精緻とはとても言い難い。その精緻な職員が育つまでの間、一体どれだけの人が差別扇動に苦しまなくてはならないのか。呆れるばかりの対応しかできないのが、日本の人権機関の実情のようだ。

▼柳瀬川みずほ
ニューヨーク州生まれ埼玉育ち。大学卒業後OLを経て、現在は政治から恋愛までを、ぬるま湯程度の熱さで神出鬼没に語る、女子力高め(になりたい)ライター。

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むやみやたらと強化される「ドローン」規制の余波

4月22日昼、反原発をアピールする目的で首相官邸の屋上に小型の無人機、「ドローン」1機を落下させ、逮捕された影響は大きい。 全国で、公園や公共施設でドローンでの遊技が禁止されているようになり、法規制も検討されるようだ。「まじめに遊んでいる愛好家にはいい迷惑」の声も聞かれるが、「規制前にひと儲け」を企む連中がいる。

「いわゆる盗撮フリークですよ。真上にドローンを飛ばして、海の家から着替えシーンなどを撮影する。もちろん高性能カメラを装着しなくてはなりませんが、早くも九十九里浜では、あるチームが風向きの分析に興じているそうです。今年の夏は、海の家は軒並み、天井をつけなくてはなりませんね」(警察関係者)

カメラ搭載のドローンは、今や1万円前後で購入でき、メカに詳しくなくても、ロケーションさえ把握していれば、自在の場所にドローンを飛ばすことができる。

◆盗撮マニア向けのドローン撮影講習会も

「実は、報道されていませんが、盗撮マニアの間では、野外プレイを楽しみカップル向けに、真上からそのプレイを撮影する技術の講習会がマニア向けにあったようで、どんどん技術的には盗撮マニアの連中が腕を磨いています」(同)

実際に、そうした「盗撮マニア」向けのアダルトショップに行ってみるとドローンを使って女子高のテニス部の様子や、体育館をのぞき見したような映像、または、どう撮影したのか、女子小学生がプールで泳いでいるような映像も販売されています。彼らは、縦横無尽にドローンを動かして、撮影ポイントをなんとかして見つけて、エロい映像を切り取るプロなのだ。

「実は男女混浴で露天風呂を楽しむサークルがあって、ヌーディストたちがある温泉に集まっていたこともあったのだが、その情報すらも漏れていて、ドローンが入り込んで撮られたという話を聞いた」(都内スポーツショップ店員)

さて、女の露出があらゆる機会に増えるシーズンに入り、「ドローン」を使ってエロいシーンを撮るプランがそこかしこで練られているにちがいない。まあ彼らを追跡して捕まえようにも「ドローン」してしまって尻尾すらつかませないのだからやっかいだ。

◆「まさか空中にも警備が必要な時代が来るとは」と警備会社は大わらわ

警備会社は今、大わらわだ。実は福島第一原発で作業をしている人たちに聞くと「ドローンが原発の作業区域内にやってこないとも限らない」として、空中の警備をどうするか、東京電力や作業の請負い会社などが真剣に警備計画の見直しに入った。

万が一、原発の建屋に、危険な薬品を積んだドローンが飛んでこないとは、誰も言い切れないのだ。

果たして、法律の整備が追いつくだろうか。

たとえば、5月19日の中日新聞にはこんな記事が出ていた。
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ドローン規制条例を検討 サミット前提に知事 [中日新聞]
鈴木英敬知事は18日、志摩・賢島での開催を目指す2016年の主要国首脳会議(サミット)に関連し、賢島を含めた伊勢志摩国立公園の指定区域で小型無人機(ドローン)の使用や飛行を規制する罰則付きの条例を検討するよう庁内に指示したことを明らかにした。県内開催が決まった場合に制定する。県庁で記者団に述べた。
県サミット誘致推進プロジェクトチームなどによると、伊勢志摩国立公園は自然公園法が適用されるが、同法は景観や希少な動植物の保護が主眼で、ドローンの規制は困難。そこで要人の移動や宿泊、会議の出席などが想定される場所やルートを県が独自の条例で指定し、規制する。
鈴木知事は「(ドローンの法規制を検討している)国に呼応し、要人警護では万全を期したい」と強調。条例はサミット開催前後の期間も含んで適用する時限的な制定とし、年内にも県議会へ提出する意向を示した。同チームによると、ドローンの規制をめぐっては、軽井沢へのサミット誘致を目指す長野県の阿部守一知事も時限的な規制を検討する考えを示している。(相馬敬)
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まあ、サミットでドローンによるテロなどが起きたら大問題だ。「こんなところで五輪をやっている場合か」という議論にもなりかねない。

◆松本清張の小説世界もドローンがあれば実現できる『十万分の一の偶然』

昔、松本清張の小説『十万分の一の偶然』では、スクープ写真を撮りたいがために、走るトラックにラジコンでヘリコプターをトラックすれすれに飛ばす、というカメラマンが描かれたことがあるが、それは、確かに「痕跡がないので事故と呼ばざるを得ない」という状態を作った。今、ドローンはうまく使えば殺人すらも遠隔操作でできそうなほど(煙突から毒をまくなど)だが、ミステリー小説顔負けになるほど、この玩具は進歩したのだ。

ある面では、こうしたテクノロジーが進化するのは「戦争のせい」だ。グーグルアースがここまで発展したのだって、インターネットがここまで発展したのも、戦争の副産物だ。だが、戦争によって発展してきたものが、戦争に使われてはならない。ここは1つ、人類は知恵を集めて、ドローンを、なんとか人類が役にたつ方向、たとえば事故で閉じ込められた被災者に食料を渡すなど、でつかわれることを切に望むものである。

(小林俊之)

◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる
◎見直すべきは選挙制度であって、憲法ではない──横浜「5.3憲法集会」報告
◎731部隊の「ガチンコ人体実験」跡をユネスコが「世界文化遺産」と認める日

「医薬分業」や「お薬手帳」で利を得ている者は誰なのか?

読者の皆さんもご経験があろうが、疾病や怪我でクリニックや病院にかかっても、最近では病院では「薬」をもらえないことが当たり前になってきた。会計の時に診察費などを払い薬の「処方箋」を受け取り、どこかの薬局へ行き薬を購入しなければならない。

このように医療機関で薬を出さないように医師と薬剤師の分業化を進めることを「医薬分業」と呼ぶらしい。日本薬剤師会のHPには、

「医師は医学の専門家であり、薬物療法を熟知している半面、複数の薬を服用した際の相互作用や用量を増やした際に起こる副作用等の安全性については、薬という化学物質に精通している薬剤師のようには詳しくありません。それでも、目の前の患者さんが複数の病気や症状に悩んでいれば、医師は3剤、4剤と処方する薬を増やして助けようとするのが道理です。また、明治時代の開業医が診察料よりも薬剤料で生業を立てていたことも、過剰投薬と薬害を助長する土壌となりました。医薬分業を廃止し、薬学の専門家である薬剤師が医療の場から消えれば、今日においても、明治時代と同じ状況が起こりえます。

医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守り、最小の薬剤で最大の効果を上げることで、薬剤費の適正化にも役立っているのです」

とあり、日本薬剤師会の方々は「医薬分業」の推進派であるようだ。まあ、病院やクリニックで薬を出せなくなれば、必然的に薬局の需要が高まるのだから薬剤師の方々の職場は増え、歓迎するのは当然だろう。

◆説得力に欠ける推進派による「医薬分業」のメリット

だが、日本薬剤師会に限らず、「医薬分業」を推進する方々の展開する理由は今一つ説得力に欠ける。医薬分業を推進するメリットとされている点は、以下のようである。患者にとっては、

・重複投薬の危険防止になる。
・院外薬局での薬の充分な説明や投薬指導が受けられる。
・薬局を自由に選択できる。
・待合時間が減少する。
・処方内容の開示
・副作用防止

などが改善するという。

だが複数の医療機関にかかっている場合は「医薬分業」が「重複投薬」の抑止には何ら役には立たない。そういった批判をかわすためか薬局で処方箋による薬を購入しようとすると「お薬手帳はお持ちですか」と聞かれる。自身で薬の摂取を管理できない状態の患者さんにとって「お薬手帳」は有効だろうけれども、私は過去にどんな薬をどこで処方されたかなど、いちいち薬局に知られたくはないし、大方の医師は薬を処方するにあたっては既往症や、現在他に飲んでいる薬があるかを聞いた後に処方する薬を決める。

また社会全般に対しても「過剰投与の減少につながる 」と主張する人が多いが、果たして本当だろうか。薬剤師が仮に医師の出した処方箋に「過剰投薬」を発見したところで医師に対して「この投薬はいかがなものか」との質問を投げかけることなど、薬局の経営の観点からも、医師と薬剤師の力関係からも起こりえない空想だ。

都会にはドラックストアを兼ねた処方箋薬局が林立し、それとは別に処方箋のみを扱う薬局も増加している。小さなクリニックの近くで営業する処方箋薬局の薬剤師が「お客さん」であるクリニック医師の意向に異議を申し立てられるだろか。

たしかにミスに近い小さな過誤を発見できる程度の効用はあろうが、「過剰投薬」を防止するといった観点から医師に対して処方箋上に指示された薬を「取り消すように」と進言できる薬剤師(薬局)など構造的に存在できるはずがない。仮に厳密に進言を行えば「うるさい薬局(薬剤師)」として干されてしまうことは間違いないだろう。

また、薬剤師が「薬」のプロであることは間違いないにしても、処方箋薬局に勤務する薬剤師は商いとしての「薬屋」と言う側面も持つ。患者の症状に応じた薬剤の提供は薬剤師の義務だろうが、同時に「薬局として」売り上げを上げていかなえれば経営がおぼつかない。ここに私は「医薬分業」の決定的な矛盾と欺瞞を感じる。

たしかに大病院内でしか薬が処方されないと、診察後にさらに待ち時間が長くなる。そんなケースには処方箋薬局の存在は有難い。しかし病院にかかる患者は怪我や疾病で体の具合を悪くしているのだ。手間は一度で済むにこしたことはない。私のように田舎に暮らしていれば、医院と薬局2箇所を回るのはかなり余計な手間であるし、体への負荷になる。

◆「院外処方」では病院の経費が削減され、患者の薬価負担が増える

しかも、重要なことは「院外処方」を受けると「院内処方」よりも患者の薬価負担が確実に増えることだ。私自身が過去胃の調子が悪く近所のクリニックで診断を受けた際に1種類の薬を眠前に飲むように、と「院外処方」で薬を貰ったことがある。その時薬局でも受け取った「領収書」の内訳は「調剤技術料」191点、「薬学管理料」41点、「薬剤料」240点である。合計点数が472点だから総額は4720円に相当しその内「薬代」は2400円なのだ。この金額のうち自己負担は3割だから私の支払総額は1420円だった。

しかしクリニック内で「院内処方」として薬を出してくれるのであれば、「調薬技術料」や「薬学管理料」は徴収されないから薬代は2400円×0.3となり、720円で済むはずだ。処方される薬の種類や量にもよろうが、私のケースでは「院内処方」と「院外処方」ではほぼ倍の金額を払わなければならなかった。

更に「医薬分業」には重大な落とし穴がある。クリニックや病院は薬を出さなくなるから製薬会社から薬を購入する経費が大幅に削減できるだろうけれども、「処方箋薬局」は原則全国どこの病院で出された処方箋にも4日以内であれば対応しなければならない。内科、外科、皮膚科、眼科、精神科など、基本すべての診療科が出す「処方箋」に対応する在庫を揃えておかなければならないのだ。

小規模の薬局でそれは可能だろうか。不可能だ。実際に処方箋薬局にいっては見たものの、「在庫がありませんので後日お送りします」と言われたことのある読者も少なくないだろう。

総合病院の薬局が担っていた在庫と同等の種類を揃えておかなければならないのが今進んでいる「医薬分業」だ。そんなことが全ての薬局に担える道理がない。

前出の日本薬剤師会によると、

「2012年度の1年間に全国で発行された処方箋の枚数は7億5888万枚にのぼっていますが、医薬分業率は66.1%に達し、完全分業にようやく近づきつつあります」

そうだ。しかし患者の立場ならすれば「医薬分業」の全面実施は迷惑な話であることこの上ない。完全に医療機関と薬局を分離するのではなく、患者が希望する医療機関には薬局機能も残し、「院外処方」を扱う薬局と並存させるというのが現実的かつ、無理のない運用ではないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「在日特権」は実在する!──『紙の爆弾』6月号の注目記事

「在日特権」は存在する。「在特会」が登場する30年以上前から、「在日特権」を有するこの連中を何とかできないだろうか、と問題視はしてきた。「在日特権」を持つこの集団はしかし、武器の扱いや殺人術を職業的に習得している。「在特会」が行うような、お気楽な「示威行動」で太刀打ちできる相手ではない。しかもその「特権」は日本と米国間で締結された数々の「協定」により公然と認められているからたちが悪い。

私が意味するところの「在日特権」を保持する集団とは、言わずもがな「駐留米軍」のことだ。まかり間違っても「在日韓国・朝鮮人」の方々を指すものではない。

◆緻密に史実を掘り起した「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」

今発売中の「紙の爆弾」6月号に佐藤雅彦氏による「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」が掲載されている。佐藤氏の論考は常に緻密な歴史事実の掘り起しと、事実の積み重ねにより問題点を浮かび上がらせ私たちに示唆を与えてくれる。この記事は日本と米国の歪(いびつ)な関係、その中で起こった数々の事件を紹介し戦後連綿と続いてきた「日米連盟」の本質を教えてくれる。

沖縄に限ったことではなく、全国各地で「駐留米軍」による犯罪・事件は起きていた。仮に日本人がその犯罪・事件の被疑者であれば確実に重罪に処されることが確実なのだが、「駐留米軍」にはそんな裁きが行われない。ひどい場合は犯罪を犯したものが「名誉除隊」をして、さっさと本国に帰国してしまう。
何故か?

その理由と数々の事例を「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」は紹介し問題の本質を解き明かしてくれる。

折しも安倍が「一国の最高責任者が人前で恥ずかしげもなく、よくこんな話が出来るな」と世界中から大笑いを浴びた米国への「忠誠宣言」を米国議会で行った直後だ。

「オール沖縄」の人々が反対する中、辺野古の基地建設は「粛々」と進められようとしている。どうして日本政府はそんなにやっきなのか?

これらを理解するための力強い武器を「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」与えてくれる。小学校から大学まで通っても教えてはくれない「駐留米軍」問題の本質を知るのに最も優れた論考だ。

◆「多様な視野」で差別を撃つ「渋谷区マイノリティー政策は誰のためのもの?」

また、一見、問題の性質を異にするように見えるマイノリティー差別問題を焦点にした朴順梨氏による「渋谷区マイノリティー政策は誰のためのもの?」も掲載されている。この2本の論考は意識的に同じ号に掲載された訳ではないのだろうが、実は分かちがたい、同根の問題への異なる視点からのスポットライトと言えよう。

「在日特権」と「差別」。どちらも厄介だが問題を溶解させるためには「現実を知る」ことと「多様な視野」は必須だ。

上記2本の記事は必読! まだ、未読の読者には一刻も早い購入をお勧めする。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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17日「大阪都構想」住民投票を否決し、姑息なファシスト橋下に退場の鉄槌を!

5月17日、大阪では「都構想」に対する住民投票が実施される。意地でもこれを通そうと橋下は多額の税金を使い「説明会」という名の宣伝活動に没頭している。一方これに反対する勢力は「自民党」・「共産党」の合同街頭演説を敢行するなど文字通り大阪を二分するかのような様相を呈している。

5月10日には自民党と共産党が合同で「大阪都構想」反対の街頭演説を行った

◆「泣きの芝居」を打った橋下を見て野々村竜太郎を思い出す

ここ数日、報道機関の世論調査で不利が伝えられると、とうとう橋下は市民の前で「泣く」芝居まで打ち出した。「維新」を名乗る連中、日頃は糞偉そうにふんぞり返って、「自分たちだけが正義だ!」など聞いているこちらの方が赤面する破廉恥な言葉を平然と使う癖に、状況不利と見るや、相手に対して全く見当違いの罵詈雑言を浴びせたり、質問が聞こえないふりをしたり、終いには泣き出してしまう。

まだご記憶であろう、あの「政務調査費」を不正使用した元兵庫県議の野々村竜太郎の号泣会見。日本語がわからなくても動画の面白さだけで世界中に有名になった彼は「維新」所属ではないけれども、選挙ポスターへ勝手に「維新」と書き入れ当の「維新」からも文句を付けられたそうだが、21世紀に「維新」を錦の御旗にする連中は形勢不利には「泣けば済む」と思い込んでいるらしい。

◆大阪市民は「都構想」を否決し、橋下ファシズムからの脱却を!

大阪市民に訴える。17日の「都構想」への住民投票には絶対に「反対」を投じてほしい。大阪を覆い尽くす気怠いファシズムを払しょくするために是非とも否決が必要だと私は考える。

その理由を一々開陳していると読者も退屈であろうから、分かりやすい参考例を1つだけ挙げる。このコラムで何度も取り上げてきた中原徹という男がいる。こいつは橋下に抜擢され2010年、大阪府立和泉高校に校長として就任した。民間出身で史上最年少とかなりの注目を浴びたのだが、中原が行ったことは学校行事の際に教師が「君が代」をしっかり歌っているかどうか口元を調査すること(この行為に対して当時の大阪教育長は「そこまでする必要があるのか」と疑問を呈していた)と、「平和教育」の名の下に生徒を自衛隊へ連れて行き、実質上の「体験入隊」まがいのことをしただけだ。

だが、中原のような人間は橋下が牽引する「維新」では重宝されるらしく、中原は和泉高校校長から2013年6月大阪府教育長に抜擢されている。教育現場も生徒も無視した情実人事が良い結果を招くはずはないのは簡単に予想できることだ。私が指弾し続けていた中原は「パワハラ」を行っていたと今年3月認定された。醜くも中原は抗弁するも結果辞職に追い込まれた。

中原徹

◆パワハラ騒動で府教育長を辞職した橋下の手下、中原徹はセガサミー役員に就任

これで中原が表舞台から身を引いてボランティア活動などで「罪償い」をしていれば私も追撃はしなかったのだが、あろうことか中原は5月1日付でセガサミーホールディングス社(以下「セガサミー」)の上席執行役員に就任している。

この会社の名前を聞いても業務内容が俄かに思いつく読者は少ないだろうが、「セガサミー」は主としてパチンコ・パチスロ台やゲームを造っている会社であり、先般決定された大阪でのカジノ運営の主導権争いの渦中の会社である。カジノでは桁違いの金が動くからその主導権争いは海外勢も含めて熾烈を極めている。

しかし、所詮は「ギャンブル」である。府立高校の校長や府教育長をパワハラで辞めた人間が即座に再就職する先としては余りにも不整合ではないか。校長として「皆さんギャンブルをしましょう!」と朝礼で訓示していたのだろうか。

2010年10月28日当時知事だった橋下は「カジノの合法化をめざす国会議員らを招いた『ギャンブリング*ゲーミング学会』(2013年9月よりIR*ゲーミング学会に名称を変更)の大会に出席し、『ギャンブルを遠ざける故、坊ちゃんの国になった。小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください』と議員らにカジノ合法化を求めた」(2010年10月28日付朝日新聞)ことをご記憶の読者はいるだろうか。

成人にも例外を除き禁じられているギャンブルを「小さいころからギャンブルをしっかり積み重ね」と、常軌を逸した発言をしていたのが橋下なのであるが、当時は橋下の賞賛をすれば雑誌が売れる、テレビの視聴率が上がるという時代だったためか、これを問題視した報道や声はかき消されていたように思う。狂気とはこのような状態を指す。

◆耐え難いほど姑息すぎる橋下、中原の言動・行動・身の振り方

橋下も中原も法律を熟知した弁護士である。しかし彼らは法律を「自分にとって都合のよいように」使う術に長けているだけであり、本物の法律専門家とは言い難い。しかもその人間性の醜さは中原の身の振り方が示している。民間弁護士→府立高校校長→府教育長→ギャンブル会社役員との遍歴はおかしくはないか。

橋下や中原の頭の中にあるのは、その周辺をどんな言葉で言い繕おうとも決して社会正義や長期的な視野に立脚した地方自治体の在り方などではなく、「当座、目の前にある利益の確保」だけである。それが失敗すれば自分の判断間違いではなく、状況や他人に責任を転嫁する。

姑息だ。

耐え難いほど姑息だ。

もうこんな連中に騙されてはいけない。同じ心象を持つ安倍という災いが首相の座に居座る不幸の相似形と言ってしまえばそうなのだが、ここまで剥き出しの悪意にはもう退場してもらわなければならない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
セガサミー会長宅銃撃事件で囁かれる安倍自民「カジノ利権」日米闇社会抗争
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」

自粛しない、潰されない──月刊『紙の爆弾』!

 

 

「防犯」は錦の御旗──野放図に進む「監視国家」化から自由をどう守るか?

あなたは監視されている。誰に? 警察、行政、ショッピングモール、そして携帯電話会社やパソコンのプロバイダーに。

スピード違反を取り締まる目的ではないのに幹線道路上にやたらカメラが設置されていて、それが年々増加していることにはお気づきの方も多いだろう。駅や繁華街にも様々な角度からカメラがあなたを狙っている。

「顔認証システム」というソフトも既に開発されている。多数の人々が映ったカメラ映像の中から顔の特徴をとらえてコンピューターが個体認識が出来る機能だ。

夥しい数の監視カメラに「顔認識システム」が完備されれば、ちょっと街中に出かけたあなたの行動はほぼすべて「誰か」によって追跡されることが、技術的には既に可能になっているのだ。そしてこの「顔認識システム」は日本でも既に首都圏を中心に導入が進んでいる。まだ未確認だが誰もが知っている東京に隣接した大規模なレジャー施設でもこのシステムを既に導入しているとの噂がある。

◆「防犯」の名の下で野放図に進む警察「監視システム」

このような「監視システム」導入の根拠としては、必ず「防犯」があげられる。でも根拠とされる「防犯」は一見理に適っているようだが、一方でプライバシーや一般市民の虞犯性(犯罪を犯す可能性)を根拠としたものであり、本音は「監視」であることが明らかだ。

最大の問題点は私達が知らないうちに何者かによって行動のかなりの部分を「勝手」に撮影されているということだ。これは肖像権の侵害にはあたらないのか。

更に商店で何を購入したのか、どこで誰に会ったのか、その人とどこへ行き、どのくらいの時間をそこで過ごしたのかなどまでが「誰か」によって掌握されるのはまっぴら御免だ。

◆「GPSで犯罪捜査」で国民が払うべき代償は大きすぎる

だが、その「監視」をより正確に警察が行おうとの動きがある。4月17日の朝日新聞は、

「携帯電話のGPS(全地球測位システム)情報を犯罪捜査に使いやすくするため、総務省が通信業界向けの指針(ガイドライン)を見直す方針を固めた。振り込め詐欺といった携帯電話を悪用した犯罪の摘発にいかしたい警察庁などの意向をうけた措置だ。ただ、プライバシーの侵害を心配する意見もある」

と報じている。さらに、

「捜査機関が、裁判官の令状にもとづき、GPS情報を取得できる規定がガイドラインに盛り込まれたのは2011年11月。誘拐犯や指名手配犯の居場所の把握に有効と考えられた。ただ、プライバシーへの配慮から、取得を本人に知らせる「条件」つきだった。だが、被疑者に知られると証拠を隠されたり、逃げられたりする恐れがある。誘拐犯なら被害者に危害がおよぶケースもありうる。こ のため、GPS情報は『捜査には使えなかった』(警察庁)。総務省はこの条件を削除する方針だ」

そうだ。つまり我々「誰もの居場所を携帯電話から警察がいつでも知りうることになる」ということだ。警察はここで「振り込め詐欺」等の防止を理由に挙げているが、そんなものは全くの嘘である。以前本コラム(「迷惑メール詐欺を通報しても警察はまともに対応しないことが判明」)で取り上げたが、私自身が詐欺被害に巻き込まれそうになり、警察に証拠のメールと電話会話の提供を申し出たが、警察は「詐欺かどうかは分からない」、「民事は警察の管轄外なので」(詐欺は民事ではない明確な刑事案件だ)と全く取り合う姿勢が無かった。

しかもそれは一度限りの事ではない。私はこれまで4度同様の情報提供を警察に行おうとしたが、そのうち3回は同様の「門前払い」を食らった。まともに取り扱われてことは1度きりだ。

◆グーグル、アップル、ソニー、アマゾン──「警察国家」構築で結託する要注意企業群

警察の本音は「全国民を常時監視したい」のだ。このような社会を「警察国家」と呼ぶ。そして「警察国家」完成には要注意企業が密接に関連している。

前述の「顔認証システム」を開発したのは「Google」、「Apple」、「ソニー」の3社だ。これに「Amazon」が加わったらどうなるだろうか。

Googleは驚異的なスピードで世界中の情報の集積を行っている。「Street View」などに膨大な資金を投じ、全米図書館所蔵のあらゆる書籍の電子化(著作権の放棄)まで画策したほどだこの思惑はさすがに米国出版社協会の反発を買い和解に至ったが(日本では明石昇二郎氏が孤軍奮闘した。詳細は「Googleに異議あり」2010年集英社 http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0537-b/ に詳しい)。それでも2009年時点で既に200か国で700万冊以上のデジタル化を終えているという。

「アマゾン」利用経験のある読者も少なくないだろう。自宅に早く届くし確かに便利ではある。しかしこれは「Amazon」に限らないがネットで買い物を続けるとその業者に購入者の嗜好が伝わり、これまた個人情報が蓄積されてゆく。仮に「Amazon」と「Google」が業務提携をしたらどうなるだろうか。

あなたが外出するなり「今日はAショップでB(あなたの嗜好品)が3割引き!お得ですよ! ここからの道順はナビが案内します。渋滞が無ければ現地までの凡その所要時間は10分です」という案内を始めはしないだろうか。

「始めはしないだろうか」、ではなくもう既に一部でこのようなサービスは実施されている。GPSによりあなたの行動パターンは携帯電話会社が掌握済みだから、的外れな案内ではなくその日、その時間に足を向けられるような案内がなされればあなたが「3割」お得な買い物に向かっても不思議ではない。

だが、そんな生活は余りにも気持ち悪くはないか。そしてそのような「サービス」は便利かも知れないが「必要なもの」ではない。さらに言えば「サービス」という言葉はふさわしくない。これは「誘導」だ。

◆少し前までしていた生活と同じことを復活させるだけで自由は守れる

私は「誘導」されるのは嫌だ。

そこで考えた。テクノロジーとソフトウエァの無限界な開発に翻弄されない生活を送るためにはどうすればいいのか。

出来るかどうか自信はないが答えは簡単だ。

携帯電話(特にスマートフォン)を使わなければいいのだ。「Amazon」も利用しなければいい。少々時間がかかっても欲しい書籍は近所の書店で注文すればいずれは手に入る。

全然難しいことではない。少し前まで私達がしていた生活と同じことを復活させるだけの事だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
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テレビが嘘を垂れ流す──AKB48を使って虚偽を流布しても「訂正せず」のNHK

私がテレビを見ない理由はいくつかあるが、その中のひとつは「テレビは嘘をつく」ことだ。

やや古い話になるが、2012年1月28日たまたま友人の家に遊びに行っていたら、テレビでNHKの初心者向けニュース解説番組(同番組ブログによる)「麻里子さまのおりこうさま」という番組が、「デモ」を取り上げていた。この番組は昨年すでに終了しているが、腰を抜かしそうな大誤報に直面したので経緯をご紹介する。

◆AKB48のタレントを使い虚偽を流布したNHK

同番組は、篠田麻里子(恥ずかしながら彼女がAKB48のタレントだとは友人に教えられるまで知らなかった)、が視聴者からの投稿を紹介する形で進める番組らしい。しかし初心者向けニュース解説番組とはいえ、AKB48のタレントを使うか、と半ばあきれながら画面を眺めていた。

視聴者からの投稿が取り上げられたのだがその内容は、

「デモとは、デモンストレーションの略であり、ある特定の意思・主張をもった人々が集まり、集団でそれらの意思や主張を他に示す行為です。デモは誰でも起こすことができますが、公務員の仕事をしている人はデモをしてはいけないと法律で決まっているんですよ」というものだった。

篠田は「そうなんですね、公務員以外の方ならだれでもデモができると、確かにこう主張の自由というところが認められている気がしますよね(後略)」などと言っていたが、その時画面には≪公務員の政治行為は国家公務員法102条で禁止されている≫とのスーパーが表示された。「公務員の政治行為」が禁止されているなら公務員は選挙に投票できないじゃないか。そんなあほな話あるかい!と、AKB48のタレントを使い虚偽を流布するNHKは許しがたい!やっぱりテレビはこれだわと呆れ返った。しかしこれは公務員に対する重大な人権侵害だしNHKによるデモ弾圧だ。座視はできない。

しかもタレントを使ったこの手の番組を見ているのは篠田のファンか若年層だろう。私のようなひねくれ者は少ないはずだから視聴者は「公務員はデモ禁止」と信じきったに違いない。

私は「これ大嘘やで、こんな法律解釈完全に間違ってるわ」と少し声を上げたが、その番組を見た私の周囲の人間(高校生を含む成人5名)は「へー公務員はデモに参加したらいけないのか」と一様に反応していた。テレビ恐ろしやである。

◆NHKから届いた公式見解メール

私はこの放送は完全に法律を誤解している上に公務員の権利を堂々と否定しているので、同日夕刻NHKの窓口に電話をかけ、「公務員がデモに参加してはいけないというのは間違っているのではないか」と担当者に告げた。担当者からは「ここで意見を聞いたが、更に述べたいことがあれば番組ホームページから投稿できるのでそちらを利用してほしい」と言われた。糞生意気な態度だが、取り敢えず担当者の案内に従い番組ホームページから上記の疑問を送った(文字数400字の制限あり)。

30日になってもメールの回答がなかったため、再度電話窓口に問い合わせたところ、電話に出た女性がスーパーバイザーに電話を繋いだ。氏は「番組は見ていない」としながらも「公務員がデモに参加してはいけないということはないと思う。私自身昔自治労の人たちとデモをした経験がある。そもそもデモへの参加は憲法で認められている表現の自由だ。公務員の政治活動禁止というならメーデーなどはできない」と語った。「そうだその通りだ。だが放送で真逆のことを流しているから私は間違いを指摘している」と伝えると、「今番組制作関係者の間で公式見解をまとめている。31日には判明するので再度電話してほしい」と語った。

31日、NHKよりメールが届いた。以下がその内容。

田所 敏夫 様

いつもNHKの番組やニュースをご視聴いただき、ありがとうございます。
(※田所注:うちにはテレビがないからいつもは見ていない。たまたま見ただけだ)

お問い合わせの件についてご連絡いたします。

今回のテーマ『デモ』は昨年相次いだ中東、ニューヨークでのデモや日本国内での反原発デモなど国内外で『デモ』に関する報道が多く伝えられていたことから、番組で取り上げることにしました。この為、「政治活動に該当するデモ行為」という前提で番組を構成しています。ご指摘のあった『公務員によるデモ行為』に関しては、投稿及び番組MCの発言を補足する為に、同時に表示したテロップの表記で、公務員の政治活動が禁止されると法律に基づく正しい情報を表示しています。

番組としては、全体を総合的に見れば、政治活動に該当するようなデモが国家公務員法で禁止されていることを伝えているものと考えます。その意味では放送した番組内容に誤りがあるとまでは考えておりません。ただし、ご指摘のように、内容に誤りがあるという感想を持たれた方がいることは事実であり、今後はより一層誤解の無いような番組制作を心がけていきたいと考えております。

今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。
お便りありがとうございました。

「麻里子さまのおりこうさま!」担当
NHKふれあいセンター

相変わらず完全に間違っている。これがNHKの公式見解だというから恐れ入る。「政治活動に該当するようなデモが国家公務員法で禁止されている」などと平気でのたまっているがこれは完全に国家公務員法の解釈を誤っている。が、いくら私が説明しても埒が明かない。NHKは聞く耳を持たないのだから。

◆人事院審査課に国家公務員法102条の意味の詳細を確認してみると……

仕方なく2月1日に国の解釈を確認すべく人事院審査課に電話をして、国家公務員法102条の意味の詳細を尋ねた。審査課の担当者は「102条には人事院規則14-7があり、そこで細かい政治行為と政治目的を定めている」と解説してくれた上で「公務員が参加者としてデモに参加することは全く問題ないですよ。デモの際に暴力行為を働いたりすれば別の法律で罰せられますけどね」と教えてくれた。

「つまり公務員がデモに参加すること自体を法律で禁止はしていないのですね」との確認の問いに「そうです。私も偶然あの番組を見ていたんですがNHKさんは誤解をしているなと感じました」と正しい解釈を教えてくれた。

◆人事院の見解を基にNHKに再度確認を求めてみると……

さすがに人事院の見解に異を唱えることはできないだろうと、NHKに4度目の電話をかけデスクと話した「人事院に確認したところ、先にお送り頂いた文章の法解釈は完全に間違っている。公務員の人権侵害に該当するから訂正放送をする等しっかりとした措置を取るべきだ。どのような措置を取るか決まったら連絡してほしい」と伝えた。

「麻里子さまのおりこうさま」は当時ホームページ持っていて、過去の放送内容などを掲載していたが、問題の「デモ」を掲載した画面に2月1日午前中には記載のなかったコメントが午後になって付け加えられていた。

その内容は、

☆公務員のデモ行為は法律で制限されていますが、すべてが禁止されている訳ではありません。禁止されているのは、国家公務員法102条等で規定されている「政治的行為」に該当する行為です。番組でお伝えしたのも、そのような趣旨です。

というものだ。また間違っている!

この記述では「公務員は限定的にデモへの参加が認められる」としか読めない。人事院の言う「参加は問題ない」と大きくニュアンスが異なるし、テレビを見ていた人間の誤解を解くことは出来ない。再度NHK窓口に電話をかけスーパーバイザーと話をする。

「そういうご意見があったことは上司に伝えておく、こちらからかけ直すことは制度上できない」と言うので、「そもそもこの問題点を指摘したのは私であり、公式見解として受け取ったメールに間違いがあることの指摘をしたのも私の方だ。常に電話代を負担し、NHKの間違いを正すようにアドバイスをしているのであり、自分の意見を述べているのではない。人事院に調査を行ったのも私でそれによってホームページを訂正しているではないか。今から1時間以内に携帯に電話をかけてほしい。そうでなければこの経緯を各メディアに発表する。法律解釈を誤った私へのメールも公表する」と告げた。

後刻番組担当者氏より電話があり、「HPの文章、田所さんに送った文章とも訂正はしない、番組の中その他の訂正もしない」と回答があった。NHKの最終見解である。氏は「(私に)送ったメールは出来れば公開してほしくない」と述べたが、公式見解と言っておきながら公開を望まないのというのは自信のなさの現われだろう。

かように、家にテレビがなく友人宅でたまたま目にした番組が大嘘を垂れ流しているのだ。普通の方のように毎日テレビを見ていれば一体どれほどの誤報に遭遇するだろうか。

個人の好みだから差し出がましいことは言わないが、

「テレビを信用してはいけませんよ」

とだけはお伝えしておく。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
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見直すべきは選挙制度であって、憲法ではない──横浜「5.3憲法集会」報告

5月3日、横浜の「みなとみらい公園」で3万人を集めて行われた「5・3憲法集会」に行ってきた。公園内にブースが出ており、反原発で知られる活動団体「たんぽぽ舎」の横で、僭越ながら、鹿砦社の反原発マガジン「NO NUKES voice」や月刊「紙の爆弾」などの販売のお手伝いを微力ながらさせていただいた。

したがって、耳に入ってくる大江健三郎や落合恵子、香山リカなどのスピーチは断片的にしか聞こえず、残念だったが、それでもなお、「平和」と「命の尊厳」を基本に、日本国憲法を守り、活かすということ。そして、集団的自衛権の行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対する、というスタンスは、賛同すべきものだ。

もちろん、ひとりのジャーナリストとして、改憲を含めて憲法について踏み込んだ答えを今、出すのは早計だと考えている。鹿砦社において、憲法について語る有能で知己をもつ先輩はたくさんいるし、ここで僕が叫んでも若さゆえに誰も聞く耳をもたないと思うので、声高に「憲法を守れ」と一席ぶつもりはない。ただ、僕は僕の経験の中で憲法を語ろう。

5月3日、横浜「みなとみらい公園」での「5・3憲法集会」にはおよそ3万人の人々が集まった

◆天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負ふ(憲法第99条)

まず、小学校3年生のときに、わりとリベラルな担任の教師のS氏は「日本には憲法九条があるから、戦争を絶対にしないのである」と何度も繰り返し言っていたのを強く覚えている。その説明は、もはや叫びに近かった。

もちろん、憲法は国の、政府のものであり、国民は基本的には追従する立場だ。どんな法律の入門書にも、たとえば行政書士の受験参考書にもそう書いてある。

憲法99条の条文はこうだ。

「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」

つまり99条には、大臣や国会議員や裁判官に対して「憲法を尊重せよ」という義務が定められているのだ。ここで留意すべきは、国民にはこの義務を課していないということになる。つまり99条は国民ではなく、国家権力の担い手に「憲法を尊重し、 擁護せよ」と命令しているのだ。だから憲法の基本原理である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つを遵守すべきは、一次的には国家権力だ。

だから「原発推進」は、たとえば僕に言わせれば「国民主権」に反している。大間原発ひとつとってみても、あれだけ反対者がいるのに建設が始まろうとしている。そう、誰か登壇者がいみじくも語ったが、私たちは実は「憲法」を使いこなしていない。

それなのに現政府は、改憲だと言い出しているから目も当てられない。今、憲法は戦後最大の危機にあると言ってもいいすぎではない。もはやうだるような5月の暑さの中で、たくさんの人がこの集会に集まった背景には、「私たちの憲法が危ない」という危機感が現前としてあるように思う。

多くの人は脱原発社会で、平等な社会をめざし、貧困・格差の是正を求めている。もちろん僕もそうだ。それなのに、私たちの声は、たとえば国会の議場には届かない。

◆見直すべきは「選挙制度」であり、憲法ではないと思う

4月の地方統一地方選挙で、全国規模で考えれば「無投票当選」が300人以上出たという。だれしもが政治家になりたがらないのだ。民主主義が崩壊の危機にある。

このままでは「5人も殺しましたが、悔い改めてこれから政治の世界でがんばります」「ヤクザですが、市民のために頑張ります」という御仁が出てきても、理論的にはおかしくはない。基本的には、禁治産者でない限り、年齢さえクリアしていれば選挙には誰でも出れる。もちろん日本国籍があって供託金を払えればの話だ。

「このままでは、三権が少なくとも崩壊するね。まあ日本を動かしているのは行政府でも司法府、立法府でもなく、官僚なんだけどさ」と、全国紙の記者がつぶやいた。その通りだと思う。

自民党はごらんのとおりのていたらく。野党ももう機能しない。

たとえば民主党は、東京の千代田区の選挙で区議の定数が25もありながら、ひとりしか出せないていたらくだ。 そのひとりの候補者でさえ、連日のように海江田元代表がそこかしこに応援に来ていた。過保護にもほどがあるし、民主党も地に堕ちた。

さて見直すべきは「選挙制度」であり、憲法ではないと思う。政府は完全にはきちがえている。

たとえば私が住むさいたま市北区も無投票で候補者は全員が当選だ。ところが人口は1万4000人を超えている。1万4000人の行政を、たとえば無投票の候補者に全面的にゆだねてしまっていいのだろうか。

話を「5.3憲法集会」に戻せば、実に多くの方が鹿砦社やたんぽぽ舎の書籍を買い上げてくださった。心より御礼したい。

脱原発社会の実現を目指す市民ネットワーク「たんぽぽ舎」のブース

◆安倍政権の人権感覚は「オウム真理教」以下

閑話休題。なぜ「みなとみらい公園」でこの憲法集会は行われたのだろうか。聞けば毎年、いくつかの団体がバラバラに行っていたのが、今年は「政府が憲法改正などと言い出したから」、合同で行ったのだという。

問題の根っこは、みんなつながっている。米軍基地の普天間基地から辺野古への移設に反対している人たちが船上で海保に暴力に遭っている。 これも日本政府の傲慢だ。

僕はオウム真理教が大嫌いだ。歴史から抹殺したくなるような事件をいくつも起こしてきた連中だ。だが麻原という男は、ひとつだけ的を得ることをあるセミナーで言った。

「数が多いほうが正しい。こんなバカな話はない」

そう思う。

麻原でさえ、到達した事実に、安倍某という首相は気がついていない。

現在の政権の人権感覚のなさ、盲目ぶりは、僕に言わせれば「オウム真理教」以下のしろものである。なぜ「憲法集会」は、みなとみらい公園で行われたのだろうか。横浜は世界へと通じる船の玄関口だ。戦争も原発も、貧困も、差別の問題も、もはやグローバルに論じるべきだ。だからこそ、みなとみらい公園で憲法集会が開催されたのではないか。そんな気がするのだが考えすぎであろうか。

(小林俊之)

◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる

◎731部隊の「ガチンコ人体実験」跡をユネスコが「世界文化遺産」と認める日

◎自粛しない、潰されない──『紙の爆弾』創刊10周年記念の集い報告

自粛しないスキャンダルマガジン『紙の爆弾』話題の6月号発売開始!

 

731部隊の「ガチンコ人体実験」跡をユネスコが「世界文化遺産」と認める日

「731部隊展覧会実行委員会/新宿区婦人問題を考える会」が主催する「731部隊を検証する 4.11公開学習会」に行ってきた。講師は、「731部隊」の研究では第一人者である、慶應義塾大学名誉教授の松村高夫氏だ。

たとえば文部科学省は、昨年1月、教科書検定基準を改定し、近現代史では、「政府の統一的な見解、または最高裁判所の判例が存在する場合には、それらにもとづいた記述がされていること」としたが、731部隊について記述した教科書は「政府見解と異なる」として検定意見をつけられる恐れがある。

なぜなら、731部隊は人体実験を行い、細菌兵器を開発、製造し、多くの中国人や朝鮮人、モンゴル人を殺してきた。だが、日本政府の見解は異なるからだ。2012年には、服部議員が国会で質問主意書を出したが、「731部隊は、防疫給水活動をしていたの であり、人体実験や細菌戦を行った資料はなく、事実と認めらない」と答弁した。日本政府は、ずっとこうした見解を崩していない。

だが、中国・黒竜江省で731部隊跡を世界文化遺産に登録する準備が進められているが、もしユネスコで登録の 議論が深まり、登録が実現して世界の注目を浴びるようになったら、果たして日本政府は外圧に負けずに、同じ回答を維持できるのだろうか。

◆731部隊当事者から聞き取りを行った「フェル・レポート」の存在

「731部隊」研究の第一人者、松村高夫=慶應義塾大学名誉教授

そうしたことを踏まえての松村名誉教授の講義は、当時の731部隊の関係者から聞き取りを行った「フェル・ レポート」や「ヒル・レポート」にも言及した。たとえば、「フェル・レポート」にはこう記述がある。「炭疽菌」についての記述だ。

『野外試験の完全な細部の記述と図表がある。ほとんどのばあい人間は杭に縛りつけられ、ヘルメットとよろいで保護されていた。地上で固定で爆発するもの、あるいは飛行機から投下された時限起爆装置のついたものなど、各種の爆弾が実験された。雲状の濃度や粒子のサイズについては測定がなされず、気象のデータについてもかなり雑である。日本は炭疽の野外試験に不満足だった。しかし、ある試験では15人の実験材料のうち、6人が爆発の傷が原因で死亡し、4人が爆弾の破片で感染した(4人のうち3人が死亡した)。より動力の大きい爆弾(「宇治」)を使った別の実験では、10人のうち6人の血液中に菌の存在が確認され、このうち4人は呼吸器からの感染と考えられた。この4人全員が死亡した。だが、これら4人は、 いっせいに爆発した9個の爆弾との至近距離はわずか25メートルであった。』(『<論争>731部隊』(松村高夫著)より。

これだけとってみても、日本政府は嘘つきだ。731部隊はガチンコで人体実験をしているではないか。これは、 「細菌戦に従事してきた日本の重要な医学者」に聞き取りをしたレポートなのである。

松村名誉教授は語る。

「細菌散布による犠牲者は、8地域で死者数合計1万694人が認定されています。いまだに被害者数をはじめ、731部隊と細菌戦の実態が明らかにならないのは、資料の隠匿にも起因しています。公開された関連資料には、ソ連のハバロフスク裁判 (1949年)の「公判書類」、アメリカの戦後1945~47年の4次の報告書、(特にフェルとヒルの報告書が重要)、中国の『細菌戦と毒ガス戦』(1989年)などがあるが、肝心の日本が資料を公開していないのです」

◆731部隊の石井四郎軍医にも尋問している「ヒル・レポート」

「731部隊」を率いた軍医、石井四郎にも尋問した「ヒル・レポート」にはこうある。

『倉沢の病理標本は、ハルビンから石川太刀雄によって1943年に持ってこられた。それは、約5000の人間の事例からの標本から成っている。そのうちの400だけが研究に適した標本である。ハルビンで解剖された人間の事例の総数は、岡本耕造博士によれば、1945年に1000以下であった。この数は石川博士が日本に帰ってきたときのハルビンに現存していた数より約200多い。最初に提出された標本目録の結果からして、多くの標本が提出されていないことが明らかであった。しかしながら、最初提出されたよりも著しく多い標本の追加的コレクションを入手するには、多少催促をするだけでよかった。』

「ヒル・レポート」によれば、様々な疾病毎の事例数と研究に適した標本の事例数は、850の記録事例があったが、401例が適した標本であり、317例は標本がない。これは岡本博士の説明によるものであり、彼は500を越えない事例が石川博士によりハルビンからもってこられたことに疑いをもっている、とのことだ。

「最初に提出された標本目録の結果からして、多くの標本が提出されていないことが明らかであった」の部分に はあきれる。石井四郎軍医は、「アメリカにすべての資料を提出」することで戦犯を逃れ、命ごいをしたにもかかわらず、まだ何かを隠そうとしていたのだ。

「731部隊の戦犯」たちよ! 僕はこの戦犯たちを決して許さない。もしも許したときに、国家がまた戦争に突入したような「暴発」が始まるとも限らないのだから。政府よ!「731部隊」の戦犯が何をしたか明らかにせよ。そのことが最大の「反戦」である。

(小林俊之)


[参考動画]731細菌戦部隊と現在(1)松村高夫=慶應義塾大学名誉教授(2014年3月31日公開)

◎占領期日本の闇──731部隊「殺戮軍医」石井四郎はなぜ裁かれなかったのか?
◎追跡せよ!731部隊の功罪──「731部隊最後の裁判」を傍聴して
◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる

いま必読のガチンコ対論本!内田樹×鈴木邦男『慨世(がいせい)の遠吠え 強い国になりたい症候群』

 

「KY」が気持ち悪くて堪らない──「同調圧力」は子供のようにぶっ潰せ!

「最近は」や「かつては」といった言葉で文章を書き始めるたびに、「ああ、自分も年をとったんだなぁ」と実感する。事実毎年年齢を重ねてきて無為に生きてきてしまったのだから一般的な「老化現象」の初期症状は甘受しなければいけないのだろう。被害者はそれを受け止めざる得ない人たちだ。つまり本コラムで言えば読者の皆さんが「初期老化現象」の被害者なのだが、我慢して読んでいただくとしよう。

カタカナの造語や流行言葉の意味がわからない時「そんなもんわかるかいな」と開き直ると、この態度自体が「初期老化現象」ともいえるのだろう。その恥ずかしい例をご紹介する。

「KY」(空気を読む)という言葉が2006年頃に流行した。2007年には流行語大賞の候補にもなった。元は若者が「空気が読めない、空気を読まない」意味の頭文字を短縮し使い出したところに語源があるらしい。

若者の造語はどんどん生まれてくる。中には定着して日常会話でも使われるようになるもののあるし、立ち消えるものもある。

そんな中にあって「KY」(空気が読めない、空気を読まない)は単なる略語ではなく、今日的な社会の特徴を捉えた含蓄に富む言葉ではないかと思う。「空気が読めない」の空気は「場の雰囲気」と置き換えても意味は変わらないだろう。若者の間では楽しい会話をしてる時、急に自分勝手な話題を展開する子供などがそれに該当するのだろうが、これを大人の社会に当てはめるとどうなるだろうか。

◆古賀茂明氏を「KY」呼ばわりした江川昭子の言には反吐がでる

「KY」は肯定的な意味として使われるわけではない。「空気が読めない」人は困った人だったり、面倒くさい人という無言の了解がある。たとえば3月末に「報道ステーション」の中で自らの降板についての見解を述べ、司会者の古舘伊知郎と口論になった元経産相役人古賀茂明氏の言動なども江川昭子からは「公共の電波で自分の見解を伝えるという貴重な機会を、個人的な恨みの吐露に使っている人を見ると、なんとももったいないことをするのか…と思う」と批判を受けているから大人として「空気を読まない」行動ということになるのだろう(繰り返しになるが私はテレビを見ないのでネット上でその場面を目にしただけだが)。

私は古舘氏も古賀氏も江川氏も意見や行動に同意しているわけではないのでその点から言えば、3者に対する評価は等価である。そこで江川氏の古賀氏批判なのだが、要するに「KYじゃないか」、「テレビの生中継らしい振る舞いをしろよ」という指摘ではないかと私には思える。この批判には納得しかねる。私がテレビを見ない一番の理由は「一方的な価値観を押し付けてくる」息苦しさが嫌いだからだが、同様に「どんな場合でも『予定調和』を崩してはならないとする気持ち悪いまでの気遣い」も堪らない。江川氏の指摘は正に私がもっとも嫌悪する『予定調和』の押し付けルールを古賀氏が乱したことに向けられている。

いいじゃないかそんなもの壊してしまえば。

◆理不尽に黙っているのは美徳ではない

これはテレビの画面の中に限ったことではなく、日々社会生活の中でかなり浸透している「無意識的」な「同調圧力」と関係がありそうだ。相当大雑把に言えば、井戸端会議や親しい友人との会話以外の場面で日本人は「議論」を忌避する傾向にあると思う。それは「会議」の中だってそうだ。会社に行けば「何でこんな馬鹿げた会議をやらなきゃいけないのか」と辟易する定例会議がないだろうか。

「会議」とは名ばかりで上役が勝手な方針を語り、担当者は黙ってその意向を聞かされるだけ。「こんな一方的な上意下伝なら、会議の意味ないじゃないですか。やめませんか」などとは間違っても発言できない。そんなことは「KY」だからご法度だ。

どうしようもない講師の講演会や勉強会などに無理やり出席させられたりした場合もそうだ。「そんな馬鹿なことあるか」と思っても会場からそれを発言することは「KY」だ。

私はこの「KY」が気持ち悪くて堪らない。だから静まり返った会議の席からも講師に質問を投げかけるし、納得できない話に拍手をすることなどめったにしない。

もう少しいえば「KY」は言葉のやり取りや態度だけに限られるものではないだろう。なぜか横並び。そこそこの好き嫌いはあっても所属している集団から逸脱する懸念のある態度や行為は無意識のうちに抑制が働く。理由を問うても「だって仕方ないだろう」が帰ってくるのが関の山だ。個人主義が発達したように見えて実は窮屈になってはいないだろうか、あなたの生活の中での他者への気遣い。

忙しいし、何かと気疲れする毎日の中でいちいち目くじらを立てろなどというつもりはない。だが「神は細部に宿る」との比喩があるとおり、途方もない不正義と矛盾にあふれた今日のこの社会は我々の慎ましやかな日常の積み重ねの上に成立している。理不尽に満ちた日々ならば、ほんの少しだけ行動を変えたり、一言だけ異議申し立てを口にすることは決して意味が小さくはないと思う。礼を失する行動を推奨しているわけではない。理不尽に黙っているのは美徳ではないといいたいだけだ。

本音を申し上げれば、「KY」(空気が読めない、空気を読めない)人間こそ日本に不足している個性だと思う。同調圧力を土台にした予定調和なんかどんどんぶっ潰せばいい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎労働者にメリット・ゼロの「残業代ゼロ」法案を強行する「悪の枢軸」企業群
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
◎貴様!何様!産経様!──全ておかしい産経【主張】に逐一「喝!」を入れてみた

日本を問え!内田樹×鈴木邦男『慨世(がいせい)の遠吠え─強い国になりたい症候群』