4月7日、『紙の爆弾』創刊15周年! 創刊直後の出版弾圧を怒りを込めて振り返ると共に、ご支援に感謝いたします! 鹿砦社代表 松岡利康

15年前の4月7日、『紙の爆弾』は創刊いたしました。2005年のことです。新卒で入社した中川志大(創刊以来の編集長)は、『噂の眞相』休刊(事実上の廃刊)後、約1年間、取次会社に足繁く通い、取得が困難とされる「雑誌コード」を取得し、『紙の爆弾』は創刊いたしました。

『紙の爆弾』創刊15周年記念号の表紙画像と、別冊付録「2005年に何が起きたのか?」の一部
『紙の爆弾』創刊15周年記念号別冊付録「2005年に何が起きたのか?」の一部
出版弾圧10周年の集い(於・西宮)で。大学の後輩で書家の龍一郎から贈られた書

創刊号巻頭には、悪名高い「〈ペンのテロリスト〉宣言」が掲載され、独立独歩、まさに死滅したジャーナリズムとは違った道を歩み始めました。創刊部数は2万部でした。

確かに(今でもそうですが)、『噂の眞相』の足元にも及ばず、拙いながら気持ちは意気揚々としていました。

いわく、

「われわれの“出番”がやって来た!」「たかが『暴露本出版社』と思うなよ!」
 と叫び、文中では、

「私たちの出版活動に対して、ある社会的犯罪企業から『ペンの暴力』などと非難されたことがありますが、タブーや巨悪に対して、私たちは力一杯『ペンの暴力』を行使します」

「逆説的に言えば、巨悪に対しては、時に“極悪”でもって立ち向かわなければなりませんし、“過激派”であり“武闘派”であらねばなりません」

「ペンという武器を取り、返り血を恐れず闘わん!」

「『表現の自由』も『言論の自由』も、黙っていて守れるものではなく、タブーや巨悪に立ち向かい、闘うことによってしか守ることはできません」

……などと、まさにアジテートしています。今から想起すると赤面物ですが、当時の私たちの想い、決意だけはご理解ください。

そうして創刊から3ヵ月後の7月12日早朝、忘れもしない出来事が起きます。これを知ったのが当日配達されたばかりの朝日新聞朝刊でした。1面トップに大きく出ていたので気づかないわけがありません。一斉に、まずは松岡の自宅が家宅捜索され松岡を連行、その後、神戸地検に連行され逮捕されました。同時に鹿砦社本社、東京支社にも家宅捜索が入りました。

平賀拓哉記者がスクープした2005年7月12日朝日新聞朝刊(大阪本社版)

これは、当時の神戸地検特別刑事部による朝日へのリークでなされた、いわば“官製スクープ”です。この記事を署名記事として書いたのは朝日大阪社会部の平賀拓哉記者でした。あたかも、私たちの出版活動を理解しているかのように近づき、手持ちがない書籍を持ち帰ったりし、私も「朝日が私たちの出版活動を理解してくれた」と感じ積極的に協力しました。私が提供した書籍の画像や発言が掲載されています。当日の朝刊、夕刊共に大きな扱いでした。他紙も続きました。

地検の一行が自宅のドアを開けても、「シャワーぐらいさせてほしい」と言い、その時間を待たせるほど落ち着いていました。

それから延々192日もの予想以上の長期勾留が続くわけですが、このことによって、会社は壊滅的打撃を受けました。こうした経緯は4月7日発売の『紙の爆弾』5月号の巻末別冊綴じ込み付録「本誌が創刊された2015年に何が起きたのか?」をご一読いただきたく願います。16ページにわたり画像30枚余りを駆使し、15年後の現在、私なりに総括しています。この事件について、これだけ長い文章を書くのは、これが最後だという想いで根性を入れて執筆しました。

この事件に関与したキーマンらには続々と“不幸”が訪れています。当時の主任弁護人の中道武美弁護士は先日、「まさに『鹿砦社の祟り、松岡の呪い』やな」と仰いましたが、まさにそうです。当時の神戸地検特別刑事部長・大坪弘道検事、同主任検事・宮本健志検事、岡田和生創業者社長らの行く末を見ると、この事件は決して潔癖健全な人たちが起こした事件ではなかったことがわかるでしょう。

ところで、去る4月1日朝日朝刊1面トップに湖東会記念病院の西山美香さん再審無罪の記事が出ています。それを見て驚いたことがあります。15年前の朝日記事を書いた平賀拓哉記者が「大阪社会部司法担当キャップ」の肩書きで記事を書いています。いわく、──

「捜査関係者は『今回は特異なケース』と片付けたいかもしれない。だが、ほんとうにそうだろうか。(中略)
 無辜の市民が不条理な刑に処せられた歴史を直視すれば、今回の事件が特異でないことは明らかだ。」

15年後、平賀記者による朝日新聞記事(2020年4月1日朝刊)

 よく言うわい(苦笑)。朝日大阪社会部や司法記者クラブ所属記者らは、「カウンター大学院生リンチ事件」について、私たちの取材に真摯に対応せず、ことごとく逃げを打ちました。メディアの記者として恥ずべき態度と言えるでしょう。早速、15年前に聞いた携帯に電話してみましたが、今は使われていませんでした。

しかし、私は執念深い男です。生来鈍愚で、頭脳もさほど良くない私の武器は、この悪魔のような執念深さです。

15年の年月を越えて、あらためて平賀記者へ取材を試みるつもりですが、果たしてどういう対応をするのでしょうか? 興味津々です。“落とし前”はまだついていない!

7日発売!月刊『紙の爆弾』創刊15周年記念号【特集】「新型コロナ危機」安倍失政から日本を守る 新型コロナによる経済被害は安倍首相が原因の人災である(藤井聡・京都大学大学院教授)他
※松岡代表の逮捕と鹿砦社弾圧事件をめぐっては、板坂剛氏による「松岡逮捕の衝撃と教訓 鹿砦社への出版弾圧十五年によせて」が4月15日発売の『情況』4月号にも掲載されます。

『紙の爆弾』創刊─出版弾圧15周年!! 15年前の出来事を怒りを込めて振り返れ! われわれは、いかなる困難にも弾圧にも打ち勝った! 鹿砦社代表 松岡利康

15年前の2005年は、私たちにとって“特別の年”でした。この年の4月7日、『紙の爆弾』は創刊しました。

『紙の爆弾』創刊号(2005年5月号。4月7日発売)

そして、それからわずか3カ月後、あろうことか鹿砦社代表の私松岡が逮捕され、本社、松岡自宅、東京支社、関係先などに大掛かりな家宅捜索がなされ、さらには製本所、倉庫会社、大手取次3社、関西の主要書店3社などにも捜査が入りました。製本所、倉庫会社はともかく、普段は「表現の自由」「言論・出版の自由」という言葉を声高に叫ぶ大手取次や大型書店は、あっさり捜査に協力しました。少しは抵抗してほしかったな。

私は192日の長期勾留を強いられ、このかんに鹿砦社は機能停止、事務所閉鎖、壊滅的打撃を受けました。大晦日・正月を六甲の山の上(歴史的にも名のあるひよどり台)にある神戸拘置所で過ごしました。そうして、執行猶予付きながら懲役1年2カ月の有罪判決、民事でも600万円(一審は300万円、控訴審で2倍になりました)余りの賠償金が課されました。

そうした困難な情況でも、心ある多くの方々のご支援で『紙の爆弾』は、断続的ながら発行を続け、私の保釈後、鹿砦社は、自分で言うのも僭越ですが、奇跡的に復活することができました。正直、自分でも復活できるとは思ってもいませんでした。ただ、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」と、懸命にもがき続けただけです。うまく「瀬」を摑むことができました。悪運が強いとしか言いようがありません。

松岡逮捕を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日朝刊

一方、弾圧の張本人、本件事件の責任者で当時の神戸地検特別刑事部長・大坪弘道検事は、大阪地検特捜部長に栄転、しかし厚労省郵便不正事件証拠隠滅に連座し逮捕され有罪、失脚しました。また、主任検事で松岡に手錠を掛けた宮本健志検事(地元甲子園出身!)は深夜に泥酔し暴れ拘束され、戒告・降格処分を受けました。

大坪弘道逮捕を報じる朝日新聞2010年10月2日朝刊
岡田和生逮捕を報じるロイター電子版2018年8月6日付け

さらに、松岡を刑事告訴し、賠償請求3億円もの巨額訴訟を起こした、警察癒着企業にして大手パチンコ企業アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)の創業者社長(当時)岡田和生氏も海外で逮捕、みずからが作り育てた会社からも放逐されました。

まさに因果応報、人をハメた者は、必ずやみずからもハメられるという恰好の証左です。こうしたことを想起すると、この事件が、よからぬ輩に仕組まれたものだということが判るでしょう。
 
私たちは、『紙の爆弾』創刊(4月7日)─出版弾圧(7月12日)に至る過程で絶望的に地獄に落とされましたが、そうした攻撃や弾圧に打ち勝ち、『紙の爆弾』を継続発行し、さらに強くなり出版活動を持続しています。これほどの事態を乗り越えたのですから、もう何も怖くはありません。

『紙の爆弾』は、来月4月7日発売号(5月号)で創刊15周年を迎えますが、別冊「2005年に何が起きたのか?」を付けます。お支えいただいた皆様方に感謝し、死滅したジャーナリズムの中で、存在感のある出版活動を継続してゆくことを、あらためて決意するものです。共に闘いましょう!

『紙の爆弾』創刊―出版弾圧15周年を記念して、昨年の鹿砦社創業50周年に続き、今回は東京だけですが6月6日(土)に記念集会を予定しています(午後3時から、於・スペースたんぽぽ)。今から日程を調整され、ぜひともご参加お願いいたします。この種の記念集会は、これ以後しばらくはやらないつもりですので、特に昨年の集会に参加されなかった方のご参加をお願いする次第です。

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◆月刊『紙の爆弾』(定価600円/税込)は全国の書店にて発売していますが、なるべく定期購読をお願いいたします。1年(12号)分6600円(1号分お得)を郵便振替(01100-9-48334 口座名=株式会社鹿砦社)にて、お名前、ご住所、×号からを明記しご送金ください。お申し込みの方には特製ブックカバーを贈呈いたします。また、毎年12月には魂の書家・龍一郎揮毫によるカレンダーを送ります。

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創刊─出版弾圧15周年!! いまこそタブーなき言論を!月刊『紙の爆弾』2020年4月号
『NO NUKES voice』Vol.23 総力特集〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故
鹿砦社創業50周年記念出版『一九六九年 混沌と狂騒の時代』