「こりゃいよいよアカンよ。戸次君、次の仕事探した方がええ」
仕事後にセントラル社の梅田さんを誘って、尚坂と飲みに行く。連日社内に土方さんの関西弁が響くせいか、尚坂に関西弁の影響がみえる。
「以前も同じ話してましたよね」
「いやもう、今度はどうしようもないワ。俺も社長と長い付き合いだけど、見切りつけるより他無いよ。システムは完成しない」
援助額は一年弱の間に一千万を優に超えている。そのまま借金になったら、銀行の返済もあるうちのような零細企業は、存続できるはずがない。
「社長サンは仕事できない方ナンデスカ?」
梅田さんは日本人男性と結婚して、国籍は日本だが元は中国人だ。真っ黒な長いストレートな髪が、今風ではなく少し前の日本人女性っぽい。中国の田舎育ちで、流暢に日本語を話すものの語尾のイントネーションが少しおかしい。酒に弱いけど日本酒が大好きで、その日も一杯でもう顔が真っ赤だ。
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