「金を振り込んでくれ」と親父から電話があって、「なんだよ。死んだんだからもういらないんじゃないの」と言ったら、「いやあ、天国でも、いろいろ金がかかるんだよ」と答える。マヌケでだらしなくふざけた親父だったが、悪人というわけではない。天国に行けたのか、と安心し「天国は円でいいのか、今は安くなっちゃってるけど」と訊いたところで目が覚めた。

命を授けてもらったんだから、親孝行はしなくてはいけない、とは思うが、いったいどこまでやったらいいんだろう? とは、よく考えたことだった。
父親は小さな建設会社を経営していたが、資金が足りなくなると用立てたり、どこからか金を借りる時の連帯保証人までならなくちゃいけなかったんだろうか?

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