上原真奈が圧倒的に攻める

NOWAYは昨年7月22日に獲得した王座の初防衛成る。馬木愛里と、女子の上原真奈が新たに王座獲得。でもまだまだ中間点の国内下位王座である。

8月18日開催の「KNOCK OUT」興行へ、出場予定選手5名(ぱんちゃん璃奈、今村卓也、安本晴翔、与座優貴、壱センチャイジム)の紹介がありました。このイベントは国内トップ選手が集結する中、皆、「いちばん目立つ良い試合したい」と、ほぼ共通したトップ争いとともに、そこには選ばれてビッグイベントのリングに立つことへの責任感を持つ意識がありました。

各プロモーターが独自路線を行く、世間からは知られ難い小さな興行から、それぞれの兵が選抜されて、大企業がスポンサーとなり、テレビ局が取り上げるほどのビッグイベントのリングに上がり、名を売るパターンが定着した現在。その大舞台を目指す前段階のひとつ、MuayThaiOpenでも、壱(いっせい)は完勝して、このビッグイベント「KNOCK OUT」へ出場し、火出丸(クロスポイント吉祥寺)と対戦予定。

この日、本場タイの二大殿堂のひとつのルンピニースタジアム管轄下となる、ルンピニージャパンの、更に下部となるMuayThaiOpenタイトルを獲得した馬木愛里と上原真奈も、当然更なる上位とビッグイベント出場を目指すことでしょう。

◎MuayThaiOpen45 / 2019年7月28日(日)新宿フェース16:00~20:05
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニージャパン(LBSJ)

圧倒する壱だが、ミンクワンも逃げ技のひとつ

◆第12試合 54.0kg契約3回戦

LBSJバンタム級チャンピオン.壱センチャイジム(センチャイ/53.85kg)
   VS
ミンクワン・チュンクエージム(タイ/53.9kg)
勝者:壱(=いっせい)センチャイジム / 判定3-0 / 主審:河原聡一
副審:北尻30-29. 少白竜30-28. 神谷30-28

ミンクワンは下がり気味に、壱(=いっせい)の出方を窺がいながら、接近戦ではヒジをタイミングよく振って来たり組んで転ばそうとして、さすがにムエタイテクニックに長けているが、壱は積極的にパンチと蹴りで前進してミンクワンをロープに追い詰める展開が続き、攻撃力で圧倒し判定勝利を掴む。

先手を打ったり打ち終わりを狙ったり、壱の攻めは強かった

ロープ際でパンチを打ち込む壱

◆第11試合 MuayThaiOpenフェザー級タイトルマッチ 5回戦

左ストレートを打つNOWAY

チャンピオン.NOWAY(NEXTLEVEL渋谷/57.05kg)
   VS
千羽裕樹(スクランブル渋谷/57.1kg)
勝者:NOWAY / 判定3-0 / 主審:田中浩明
副審:河原49-47. 少白竜49-47. 神谷49-48

千羽がローキックを蹴ってきても、奥足へ強く蹴り返すNOWAY。更に手数多く攻める勢いが上回ると、ヒジ打ちで千羽の額を切ることにも成功。

千羽も突破口を開こうとアグレッシブに打ち合いに出るが、NOWAYは冷静にかわし、攻勢を維持したまま判定勝利し、初防衛成功。

常に前進し続けたNOWAYの左ミドルキック

◆第10試合 MuayThaiOpenウェルター級王座決定戦 5回戦

最後の前蹴りでセーンケンのボディーを突き刺す

馬木愛里(岡山/66.2kg)vsセーンケン・ポンムエタイジム(タイ/66.0kg)
勝者:馬木愛里 / TKO 2R 0:56 / 前蹴り、カウント中のレフェリーストップ
主審:北尻俊介

1ラウンドから馬木愛里がハイキック、ローキックのけん制から突き刺すような前蹴り主体で様子を探り、パンチと蹴りの交錯の中、セーンケンは馬木の威力に圧されたまま。前蹴りはかなりプレッシャーを与え、セーンケンは表情に表れずもボディーがやや効いた様子。

第2ラウンドには馬木愛里は狙いを定めたか、再び強い前蹴りをボディーに突き刺すと、セーンケンは耐え切れず倒れ込み、レフェリーがカウント中にストップした。

前蹴りでセーンケンを突き放す馬木愛里

堪らず倒れ込んで追い討ちかける馬木、割って入る北尻レフェリー

まだ通過点の馬木愛里、まだ上位を目指すのは当たり前

◆第9試合 ライト級3回戦

下東悠馬(TSKJapan/60.9kg)vs亜努(新宿スポーツ/63.4kg)
勝者:下東悠馬 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:河原29-28. 北尻30-28. 田中30-28

亜努が2.17kgオーバーにより試合中止が検討されるも、特別ルールで行なわれることになった模様。試合は手数足数多いが、強烈なヒットは無い緩やかな攻防の末、順当に下東悠馬が判定勝利。

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦

バンサパン・センチャイジム(タイ/51.55kg)vsMASAKING(岡山/51.65kg)
引分け0-1 / 主審:少白竜
副審:神谷29-30. 北尻29-29. 田中29-29

◆第7試合 スーパーフライ級3回戦

白幡裕星(橋本/51.8kg)vsペットウボン・チュンクゥエージム(タイ/51.85kg)
勝者:白幡裕星 / 判定3-0 / 主審:河原聡一
副審:神谷30-29. 北尻29-28. 少白竜30-29

◆第6試合 ウエルター級3回戦 

高木覚清(岡山/66.55kg)vs斎藤敬真(インスパイヤード・モーション/65.85kg)
勝者:高木覚清 / KO 1R 2:26 / 3ノックダウン / 主審:田中浩明

◆第5試合 スーパーバンタム級3回戦 

稔之晟(TSK・Japan/54.55kg)vs森岡悠樹(北流会君津/55.1kg)
勝者:稔之晟 / 判定2-1 / 主審:北尻俊介
副審:田中30-29. 河原29-28. 少白竜29-30

◆第4試合 MuayThaiOpen女子ピン級(100LBS)王座決定戦 5回戦(2分制)

上原真奈(NEXTLEVEL渋谷/45.3kg)vsミレー(ペルー/HIDE/45.35kg)
勝者:上原真奈 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:田中49-48. 河原49-48. 北尻49-48

上原が積極的に出て、徐々にパンチと蹴りが増していき、ミレーも諦めない打ち合いに出るが、僅差ながらも展開は上原真奈が攻勢に攻め続け王座獲得。

諦めないミレーとの攻防が続く

◆第3試合 女子フライ級3回戦(2分制)

ルイ(クラミツ/50.5kg)vsRAN(MONKEY☆MAGIC/50.55kg)
勝者:ルイ / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:田中30-28. 神谷30-28. 北尻30-28

◆第2試合 62.0kg契約3回戦 

加藤雅也(TSK・Japan/61.5kg)vs飯島直己(キック・フィットネスOZ/61.7kg)
勝者:飯島直己 / 判定0-2 / 主審:河原聡一
副審:少白竜29-29. 神谷29-30. 北尻28-29

◆第1試合 フェザー級3回戦

山下勝義(クラミツ/56.9kg)vs青木大(キック・フィットネスOZ/56.85kg)
勝者:青木大 / TKO 1R 2:24 / ハイキックでダウン後、右ストレートから連打、ノーカウントのレフェリーストップ / 主審:田中浩明

初防衛し、協力者や応援団に感謝を述べるNOWAY

《取材戦記》

NOWAYは本名の井上の頭の“イ”を後ろにもっていくと“ノウエイ”となることから、バンドマン時代のこのアーティストネームを使っているという。

昨年7月にヒジ打ちTKO勝利でチャンピオンとなり、ベルトを巻いてもらう時、センチャイプロモーターに、「ベルトに相応しいムエタイ戦士になる」と約束したという決意が今回もアグレッシブな前進とヒジ打ちを見せた38歳NOWAYの成長。

日本の統一した王座が存在しない中、この日本国の下部タイトルとしか言えない国内王座は10以上(認定組織)。ひとつの団体で2段階に分かれた上位と下位の王座や、ルール分けした王座があるのはもう異常な状態。

その中で強者を集結させた「KNOCK OUT」のようなビッグイベント興行が幾つか存在するが、段階的に目標となるものが存在して盛り上がることは、昭和の低迷期には想像できない世界が広がっている訳で、時代を経たキックボクシング界の成長なのでしょう。しかし、決して順風満帆とはいかない業界であることは確かなキックボクシング界である。

MuayThaiOpen.46は9月29日(日)新宿フェースにて開催されます。

センチャイジムの若きエース、壱はKNOCK OUT出場

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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