カズ・ジャンジラ、チャンピオン初戦は元ムエタイランカーと引分け! 堀田春樹

6月に引退した笹谷淳がレフェリーデビュー。
カズ・ジャンジラはムエタイテクニシャンの壁崩せず。
片島聡志は判定ながら主導権奪った完勝。
藤原あらし、ヒザ蹴りの決定打足りず引分けに終わる。

◎野獣シリーズvol.6 / 10月14日(土)後楽園ホール17:30~21:00
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定;NKB実行委員会

◆第12試合 67.0kg契約 5回戦

NKBウェルター級チャンピオン.カズ・ジャンジラ(チームジャンジラ/1987.9.2東京都出身/66.6kg)42戦20勝(4KO)16敗6分
        VS
サムランチャイ・エスジム(元・ルンピニー系スーパーバンタム級2位/1995.6.7タイ国イサーン地方出身/66.9kg)77戦48勝(13KO)24敗5分
引分け 三者三様
主審:前田仁
副審:鈴木49-50. 加賀見50-49. 高谷50-50

カズ・ジャンジラが先手を打って蹴って出ると、その都度、サムランチャイは強く蹴り返して来る。

カズ・ジャンジラが踏み込んだ右足を払い、この後転ばせたサムランチャイ

カズのローキックでバランス崩したサムランチャイがコーナーに詰まるとカズはパンチでラッシュをかけるが、その踏み込んだ右軸足を払い避けてカズを転ばせてしまう上手さを見せた。プレッシャーをかけて出るカズに対し待ち構えるサムランチャイ。カズが出れば返す余裕は続くが、カズを追い込むには至らない展開が続いた。カズは攻撃力を増すもムエタイテクニシャンを追い込むには至らなかった。

ロープ際に下がる展開も要所要所で強い蹴りを繰り出すサムランチャイ

カズ・ジャンジラは「サムランチャイはやり難かったですね。テクニックで圧されちゃいました。もっと蹴って来ると思ったんですけど、その蹴りに合わせること意識していたのと、ヒジ打ち狙っているのが分かったので警戒し過ぎました。」と語った。

攻め倦む展開も攻勢を掛けるカズ・ジャンジラ、チャンピオンの意地

◆第11試合 56.8kg契約5回戦

片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/KickLife/1990.10.19大分県出身/56.7kg)54戦29勝(5KO)20敗5分
        VS       
NKBフェザー級5位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/56.45kg)
19戦8勝(3KO)9敗2分
勝者:片島聡志 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:鈴木50-45. 加賀見50-44. 前田50-45

片島聡志の先手を打つ蹴りから、鎌田政興の前蹴り足を掴んで左ボディブローを打ち込む。徐々に多彩な技で勢い有る片島のペースが上がっていく。鎌田はパンチローキックを返し突破口を探る。

第3ラウンドに偶然のバッティングで片島が左目尻を切り、鎌田がやや手数が増えるが、片島の勢いは変わらず。

終盤に移っても片島にとって慣れた5ラウンド制でスタミナに問題無いが、やや勢いは弱まったか、それでも飛び後ろ蹴りも繰り出して余裕を見せる片島。

第4ラウンド、勢い付いた片島聡志の飛び後ろ蹴り

最終第5ラウンド、ハイキックを繰り出しながら更にフェイント掛けて右ハイキックで鎌田の顔面にヒットしてノックダウンを奪う。立ち上がる鎌田に勢い付いて最後にハイキック繰り出して終了。

片島聡志は「鎌田はボディブローで効いている感じもあったのに失速しないので、このままいくと疲れちゃいそうで、そのまま狙いを上下散らして4ラウンドから技を確かめるようにマススパーリング的に進めました。ハイキックヒットはたまたまです」と笑顔で応えた。

片島聡志がラストラウンドにノックダウン奪った右ハイキック

◆第10試合 バンタム級3回戦

藤原あらし(元・WPMF世界スーパーバンタム級Champ/1978.12.22和歌山県出身/バンゲリングベイ/53.35kg)99戦63勝(41KO)24敗12分
        VS
中島大翔(GET OVER/2004.8.28愛知県出身/53.5kg)10戦4勝(1KO)4敗2分
引分け 1-0
主審:加賀見淳
副審:鈴木30-28. 高谷30-30. 前田30-30

中島大翔は元・全日本バンタム級チャンピオン(NJKF同級C)の中島稔倫氏の御子息である。

初回、蹴り合いでの探り合いから首相撲へ、更にヒザ蹴りの応酬。ブレイクが掛かり、離れるとまたパンチやローキック、ミドルキックの距離に戻るが、またすぐ密着の首相撲に移る繰り返し。

藤原あらしのムエタイ技、首相撲からのヒザ蹴り

第3ラウンド終盤、中島の飛び回し蹴りを見せるも藤原あらしは凌いでミドルキックなど蹴りで返す。ベテラン藤原あらしに立ち向かった中島大翔は勇敢に攻めたが、有効打に差は付け難く引分けに終わった。

中島大翔も大ベテラン藤原あらしに臆さず顔面狙って右ハイキックを蹴り込む

◆第9試合 59.0kg契約3回戦

半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/58.58kg)28戦10勝(4KO)14敗4分
      VS
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/58.5kg)8戦6勝(4KO)1敗1分
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:前田30-28. 笹谷30-29. 加賀見30-27

両者、主導権奪う勢いが無く、ノックアウトには結び付き難い流れだが、鈴木ゲンの手数少ない為の半澤信也の手数が優り、内容的にも僅差ながら判定勝利を掴む。

◆第8試合 ライト級3回戦

来(=らい/テツ/1994.7.9大阪府出身/60.8kg)14戦6勝6敗2分
      VS
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/61.0kg)14戦5勝(4KO)6敗3分
勝者:来 / 判定2-1
主審:高谷秀幸
副審:笹谷30-28. 前田30-29. 加賀見29-30

両者、積極的に主導権支配に蹴って出るが、なかなか噛み合わない流れで有効打少なく、ポイント振り分け難い、採点が分かれる僅差となったが、ややパンチのヒットが目立った来が勝利を拾った。

終始圧倒した安河内秀哉がノックダウンに繋げる飛び回し蹴りヒット

◆第7試合 54.5kg契約3回戦

蒔田亮(TOKYO KICK WORKS/2002.6.23千葉県出身/54.4kg)4戦3勝1敗
      VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/54.3kg)6戦4勝(2KO)2敗
勝者:安河内秀哉 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:加賀見25-30. 前田24-30. 高谷25-30

安河内秀哉の蹴りで主導権奪い、第2ラウンドに飛び左ハイキックで蒔田亮の顔面を捕らえるとダメージ負って後退するところを左ストレートでノックダウンを奪った後、蹴りの攻防からパンチとヒザ蹴りで2度目のノックダウン。

第3ラウンドにも飛びヒザ蹴りでスリップ扱いながら蒔田を転ばせ、パンチからヒザ蹴り、ロープに詰めてのヒジ打ち連打でスタンディングダウンを奪う。更に攻勢を掛け、ストップ寸前に追い込むも倒し切れず大差判定勝利となった。

◆第6試合 56.0kg契約3回戦

シャーク・ハタ(=秦文也/テツ/1987.10.20大阪府出身/55,25kg)8戦4勝3敗1分
      VS
龍一(拳心館/1995.11.17新潟県出身/55.7kg)7戦6敗1分
勝者:シャーク・ハタ / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷30-27. 前田29-28. 鈴木30-28

レフェリーを務めた笹谷淳とシャーク・ハタのハイキック

◆第5試合 バンタム級3回戦

ベンツ飯田(TEAM Aimhigh/1997.4.17群馬県出身/53.3kg)15戦3勝(1KO)9敗3分
       VS
田嶋真虎(Realiser STUDIO/2002.6.28埼玉県出身/53.15kg)4戦2敗2分
引分け 1-0 (30-27. 30-30. 30-30)

◆第4試合 60.0kg契約3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/59.9kg)2戦1勝(1KO)1敗
      VS
利根川仁(Realiser STUDIO/2003.1.24東京都出身/59.7kg)2戦2勝
勝者:利根川仁(青コーナー) / 判定0-2 (28-30. 29-30. 29-29)

◆第3試合 女子55.0kg契約3回戦(2分制)  

KARIN(HEAT/2007.2.15静岡県出身/54.55kg)3戦1勝2敗
      VS
MEGUMI KICK SPARK(KICK SPARK/1979.12.4大阪府出身/54.8kg)5戦1勝4敗
勝者:MEGUMI(青コーナー) / 判定0-3 (27-30. 26-30. 28-30)

◆第2試合 ライト級3回戦

森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/61.2kg)1戦1勝
      VS
佐藤拓也(クロスポイント吉祥寺/1983.8.5山形県出身/61.15kg)3戦3敗
勝者:森野允鶴(赤コーナー) / 判定3-0 (28-26. 28-26. 28-26)

◆第1試合 フェザー級3回戦

KATSUHIKO(KAGAYAKI/1975.11.13新潟県出身/56.55kg)5戦2勝(2KO)2敗1分
      VS
増田康介(Realiser STUDIO/2003.6.13愛知県出身/56.75kg)2戦1勝1敗
勝者:KATSUHIKO(赤コーナー) / TKO 2R 2:50 / ノーカウントのレフェリーストップ

《取材戦記》

生まれて5ヶ月の赤ちゃんを抱く片島聡志、NKBで3連勝

2月18日にカズ・ジャンジラとのNKBウェルター級王座決定戦に敗れ引退し、4月15日に引退セレモニーでテンカウントゴングに送られた笹谷淳が、この日レフェリーデビューしました。前座から中盤までの中、第6試合でレフェリーを務められ、そつなくこなした様子。今後はローブローやバッティングの処置、止めるタイミングなど、難しい事態も起こると考えられるが、難しい任務を毅然と対処していけるよう頑張って欲しいものです。

片島聡志と藤原あらしが揃っての出場は2月18日以来。やっぱり存在感ある二人であった。

特に片島聡志は2月と4月とこの日でNKB出場3戦3勝(2KO)。お子さんも生まれた初戦を勝利してモチベーションも上がったことでしょう。今後もオファーがあれば出場の意欲は満々のようでした。

しかしこの日のメインイベントを務めたのはチャンピオンと成って初戦のカズ・ジャンジラ。その責任感はあっても、攻めて来ないムエタイテクニシャンには、てこずった様子。今後もタイテクニシャンや他団体チャンピオンやランカーとの交流戦も考えられるので、NKBの看板背負った戦いを乗り越えていかねばならないでしょう。

次回、野獣シリーズFINAL(Vol.7)は12月16日(土)後楽園ホールに於いて開催されます。メインイベントは59.0kg契約5回戦で、NKBライト級1位、棚橋賢二郎(拳心館)vs NKBフェザー級3位、勇志(テツ)が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号