ディズニーランドとVサイン 消えた不良と80年代の虚無

玲子さん(仮名)はわたしの友人の連れ合いで、同じ年だ。友人もわたしと同学年なので3人とも「同じ年」うまれである。玲子さんは大学卒業後から専門的な職業にフルタイムで勤務し、結婚、出産を経た現在も勤め続けている。友人も悪くない収入を得ているので、お二人をあわせた年収は2000万円近くにはなるだろう。

わたしの友人と玲子さんは、学生時代に知り合い結婚した。その後お子さんが3人生まれた。わたしは友人とは気楽に話ができるが、同学年である玲子さんとは、どうも波長が合いにくい(めったに顔を合わせることもないからかもしれない)。

◆ディズニーランドとVサイン

玲子さんは忙しい中、実に活動的に生活をしている。彼女はディズニーランドの年間パスポートを持っている。いつからかは知らないが、毎年年間パスポートは購入している。いったいいくらするのか調べたら(おせっかいだが)ディズニーランドだけ入場可能な年間パスポートが、大人61,000円で、ディズニシーにも入場可能な「2パーク年間パスポート」は、大人89,000円だ。玲子さんの家からディズニーランドまで、日帰りできなくはないが、新幹線を利用しても片道3時間近くはかかるから、ディズニーランドに行くときは、だいたい近くのホテルに宿泊することになる。アトラクションが変わると、必ず出かけるそうだ。そのたびに両手いっぱいのディズニーランドで購入したお土産を買って帰ってくる。

玲子さんに限ったことではないが、わたしたちの世代には、写真や、映像に写るとき手のひらで「Vサイン(ピースサイン)」のポーズをする人が珍しくない。玲子さんは友人によると、確認できる限り慶弔時などを除けば「すべて」の写真で「Vサイン」のポーズをとっているという。それは80年代から今日まで変わらない。夫婦ともにフルタイムで働き3人の子どもを育て上げるのは、さぞかし手もかかり忙しいことだろうと想像するが、友人によれば「それほど大したことではない」という。立派なものだ。


◎[参考動画]東京ディズニーランド 周年 CM(1983-2018)

◆お子さんの不登校と友人たちとのランチ

だけれどもお子さんのうちの一人は数年前から不登校気味である。理由はわからないが親子間の問題が原因ではなさそうだ。だからであろうか。玲子さんは不登校のお子さんのことはあまり気にせず、休日には友人たちと「ランチ」(「ランチ」は「ひるごはん」の意味だと思っていたが、女性が寄る「ランチ」は「ひるごはん」を食べながら、延々何時間もおしゃべりをすることを指す場合もあると近年知った。結果解散は夕刻になる)に出かけたり、海外旅行に行くこともある。

近年出かけた海外旅行は、玲子さんの友人たちとの旅行、2泊3日だったそうだが、そこで玲子さんが納まった写真でも、やはりかならず「Vサイン」がみられる。玲子さんのほかにも結構な頻度で「Vサイン」をしている人の姿もある。何が理由だか記憶にはないが、たしかに中学時代の修学旅行や、大学時代にわたしのまわりでも、男女を問わず写真機を向けられると「Vサイン」をする姿はめずらしくなかった。いまの若者はどうか知らないけれども、わたしたちの世代にとって「写真に映るときは『Vサイン』」は結構浸透していて、染みついている。

1960年代中盤生まれのわたしたちの世代に記憶が定かなのは、大阪万博あたりからであろう。多くの同世代の知人は、大阪万博について断片的であれ何らかの記憶を語ることができる(居住地が大阪に近かったこともあろうが)。途方もない人の波と何時間にもわたるパビリオンへの入場待ちの列。子供ごころに「足痛い。こんなん、もうええわ」と退屈した記憶がある。あの記憶以降、わたしには長蛇の列は、なるべくであれば避ける習性が身についている。一方玲子さんは逆だ。2-3時間待ちはディズニーランドでは常識の範囲らしい。平日は仕事をしているから、週末に出かけることが多いという。当然ディズニーランドは、平日よりも休日のほうが混むだろう。 

◆消えた「不良」

わたしたちの世代には「不良」がいた。「不良」は見た目で識別できた。今日、わたしが知る限り、容姿から「不良」が識別できるのは大阪の南部の限られた地域と沖縄だけである(ほかにも地域はあるかもしれないが直接目にしたことはない)。
「不良」が可視的であった時代には素行もだいたい予想ができた。そしてみずからは「不良」ではないが、なんとなく「不良っぽい」姿や行為に魅力を感じる若者もいた。彼・彼女らは表立っての「悪さ」はしないが、親が出かけた友人の家に集まってタバコを吹かしたり、酒を飲んだり、いまでは「クラブ」と呼ばれる「ディスコ」に高校生(ときに中学生)であっても繰り出したりしていた。


◎[参考動画]中学生暴力白書 black emperor ブラック エンペラー

まだ暴対法や、風営法のない時代。良くも悪くも今ほど「管理」が緩い時代だった。わたしには「不良」経験はないが、玲子さんは少し「不良」っぽい姿や振る舞いをすることを好んでいたそうだ。前述の通りあの時代別に珍しいことではない。その玲子さんは大学を出ると真面目に就職。結婚をして3人の子どもの母となる。仕事ぶりは真面目だろう。同世代のほとんどは、「真面目な」勤労者や、親になっている(わたしはそうなれなかった)。

他方、「ちょっと不良っぽい」ことに憧れた、若い日を過ごした玲子さんからは、いまでも、あの頃の雰囲気がどこかに感じられる。「虚無だった80年代」といえば言い過ぎかもしれないが、表層で「不良」が暴れまわり、「普通」の生徒もちょっと憧れる。「不良」は早々に「体制化」されてゆくことは「暴走族」が訳も分からず、特攻服や日の丸を掲げていたことに象徴的だ。おなじく「ちょっと不良っぽい」に憧れた層は、より安定的に「体制化」されてゆく。「Vサイン」と「ディズニーランドの年間パスポート」は、80年代を中高生で過ごした世代、ある部分の「エキス」ともいえるかもしれない。


◎[参考動画]The Two Beats (Takeshi & Kiyoshi) 1981

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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遺伝子から万能細胞の世界へ ── 誰にでもわかる「ゲノム」の世界〈5〉先発薬とジェネリック薬とでは、肝臓に与える影響が違う?

ジェネリック薬は、主剤が先発薬と生物学的同等性(血中濃度推移に統計学的な差がないこと)認められれば、認可されます。こうした、行政的な手続きより、本当に大切なのは、身体に対する作用が、同等なのか、そうでないかではないでしょうか?

前々回に書きましたが、薬とは、「体の中で起きたこれらの遺伝情報の発現に作用して、症状を抑えようというものです。高血圧を下げたり、前立腺癌の増殖を抑えたり、病気の状態に合わせて様々な働き」をするものです。遺伝情報の発現は、DNA→RNA→タンパク質という一方向の順に進みます。このRNAは、情報を伝えるという意味で、「伝令RNA」或いは「メッセンジャーRNA」(mRNA)と呼ばれています。この間に行われるのが「転写」と「翻訳」というプロセスで、最終的には、たんぱく質として体内で機能を発揮します。遺伝子情報の「転写」、「翻訳」が有効に進行すると、「薬が効く」ことになります。

ですから、薬の働きを調べるためには、遺伝情報の発現の過程を調べれば良いことになります。先ず、思いつくのが、翻訳されて作られたタンパク質を解析することだと思います。タンパク質について、ネットで検索してみますと、「20種類のアミノ酸から構成されており、その性質、例えば、水溶性であるとかないとかなど多様であるため、一つ一つのタンパク質の量とかを調べるのは極めて難しい」という、手間のかかることだと判りました。

次のターゲットとしては、mRNAです。これはDNAからの遺伝情報をタンパク質にするために、写し取られたものです。その情報は、ウラシル(U), アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)と呼ばれる4つの化学物質(塩基と呼ばれています)の並び方に中にあります。従って、その並び方(配列)を調べれば、遺伝情報としてどんな情報が伝えられているかが判ります。

こうしたU、A、C、Gの並び方解析は「RNAシークエンシング(配列解析)」と呼ばれています。ネット情報によりますと、RNA配列解析は、この10年で格段の進歩を遂げ、40億塩基の並び方を決めるのに、3-5万円できるようになったそうです。RNAは棒状なので、1本、2本と数えるのですが、約2,000万本のRNAの塩基配列を3-5万円で調べることができます。また、コンピューターの進歩により、40億本の塩基配列の解析でも、どのような遺伝子からどれだけ遺伝情報が発現しているかの解析は、数日でできるとのことです。

こうしたRNA配列解析は、細胞のがん化に関わる遺伝子の解析などに、最近、よく使われていることが判りました。そこで、私は、ジェネリック薬、遺伝子発現など、関係しそうな言葉で、色々検索したところYoutubeで、下記の動画を見つけることが出来ました。


◎[参考動画]遺伝子発現にみる先発薬と後発薬(安江博 2019/8/16公開)

この動画では、高脂血症治療薬である「シンバスタチン」と呼ばれる薬の先発薬とジェネリック薬を投与したとき、肝臓での遺伝子発現について調べています。私は、医学の難しい話はわかりませんが。でも、この実験によると「先発薬とジェネリック薬とでは、肝臓に与える影響が違う」ということが判明しています。肝臓に与える影響が、どのようなものなのか、また、どの程度なのか。本当は製薬会社がしっかり検証して、薬の副作用欄に記入するのが責任だと思うのですが……。

ジェネリック薬については、生物学同等性(血中濃度推移に統計学的な差がないこと)しか検査されていないわけですから、薬を飲んでいる側としては、不安になりますよね。ジェネリック薬のお陰で、また、別の病気になったのでは、薬の量が増えて、健康には決して良いとは言えないのでと思います。お金を節約して、命を削ることはやっぱりしたくないと思ってしまいました。

 

◎連載過去記事(カテゴリー・リンク)
赤木夏 遺伝子から万能細胞の世界へ ── 誰にでもわかる「ゲノム」の世界 
http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=73

▼赤木 夏(あかぎ・なつ)[文とイラスト]
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。

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初秋のチャンピオンカーニバル! 好ファイト続出のTITANS NEOS!

重森の前蹴りを掴んで凌ぐシラー
重森の右ミドルキックをキャッチし、パンチを打ち込むシラー

好ファイトが続出したTITANS NEOS、新メインイベンター重森陽太は苦戦を導く引分け。続くHIROYUKI、髙橋亨汰、喜多村誠、泰史も上位に繋がる結果となる勝利。いずれラジャダムナン王座を狙うリカルド・ブラボは他団体チャンピオンに痛い判定負け。

◎TITANS NEOS 26 / 9月1日(日)後楽園ホール17:00~20:35
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第11試合 61.5kg契約 5回戦

WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/61.2kg)
VS
シラー・ワイズディー(元・ラジャダムナン系バンタム級C/タイ/61.45kg)
引分け1-0 / 主審:椎名利一
副審:桜井48-48. 宮沢49-48. 少白竜48-48

いつもの前蹴り、ハイキックの鋭さを見せる重森は初回、すでに主導権を導く勢いがあった。しかし、シラーは怯まずローキックを中心にパンチを振って前進してくる。

時折、ボディーブローを炸裂させたシラー、重森は動じなかったが、やや効いたか
重森のしなやかなミドルキックは勝利を導く技、前半は調子良かったが・・・
時折、派手な技を繰り出す御茶目なHIROYUKI、回転後ろ蹴りを見せる

第2ラウンドには、長身の重森も更に出てくるシラーにヒジ打ちを合わせ、額(右眉上)をカットさせた。ここから逆転に勢いを増してきたシラーは重森の前蹴りやミドルキックを掴んでかわし、徐々に距離を詰めパンチを打ち込む流れに変わっていく。

度々ボディーブローも貰ってしまう重森。第4ラウンド以降、前進止まないシラーを調子付かせてしまい、結果は引分け。48-48の二者は2・3ラウンドが重森、4・5ラウンドがシラーの前蹴り対策がそのまま採点に表れていた。

◆第10試合 55.5kg契約3回戦

日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(=茂木宏幸/藤本/55.2kg)
VS
KING強介(元・レベルスムエタイ・スーパーバンタム級C/fighting bull/55.4kg)
勝者:HIROYUKI / TKO 3R 1:11 / 主審:仲俊光

パンチとローキックが軸の攻防で、KING強介の出方を伺いながら、自分の技を試すHIROYUKI。

第2ラウンドには接近したところでヒジ打ちがヒットし、強介は左目尻を小さくカット。

次のラウンドに繋ぐとパンチで出てきた強介に右ヒジ打ちを同じ箇所に当てると強介の傷が深くなり、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。

正攻法の左ミドルキックでもKING強介を圧倒したHIROYUKI

◆第9試合 67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/66.75kg)
VS
J-NETWORKウェルター級チャンピオン.峯山竜哉(WSR・F西川口/66.85kg)
勝者:峯山竜哉 / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:椎名28-29. 宮沢28-29. 仲28-29

このクラスになると蹴りの重さが際立つ交錯。リカルドのミドルキックに対し、峯山の返す蹴りも重く、互いの攻防の中にも峯山の左ミドルキックが引き立つ勢いがあった。

第2ラウンドには接近したところで峯山の左ストレートがヒットしてリカルドがノックダウンを喫する。巻き返しに出てくるリカルドに応戦する峯山。リカルドは必死の形相でパンチや組み付いてヒザ蹴りを連打。猛攻を掛けたリカルドだったが巻き返しならず、判定負けを喫した。

リカルド・ブラボからダウンを奪い勝利した峯山竜哉

◆第8試合 61.5kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/61.45kg)
VS
ラックチャイ・ジャルンクルンムエタイ(タイ/61.25kg)
勝者:髙橋亨汰 / 判定3-0 / 主審:少白竜         
副審:椎名29-28. 桜井29-28. 仲30-28

ラックチャイは前回、重森陽太に敗れるも前進衰えないタフさが印象付いた。高橋は前蹴りやハイキック中心に先手を打って攻める。

接近するとヒジを振って来るラックチャイには油断ならないが、ヒザ蹴りやハイキック、ヒジ打ちの応酬となっても高橋は怯まず応戦し、ラックチャイのバランスを崩し競り勝つ。

高橋の攻める手数は重森陽太に負けない勢いを見せた。

重森戦では敗れたが、タフなラックチャイを追い詰めた髙橋亨汰
ラックチャイの前進を止めた前蹴りが顔面を捉える
喜多村のヒジ打ちが連打されていく

◆第7試合 70.0kg契約3回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級C/伊原新潟/69.8kg)
VS
LBSJウェルター級チャンピオン.喜入衆(NEXT LEVEL渋谷/69.7kg)
勝者:喜多村誠 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:桜井30-28. 少白竜29-28. 仲30-28

第1ラウンドの蹴り中心の攻防から喜多村が徐々に前進を強める。第2ラウンドにパンチの応酬で喜入は右目下を小さくカット。喜入も前進し、ヒジ打ちで圧力を掛けるも、冷静な喜多村はヒジ打ちを返していくと喜入の額の辺りも大きくカット。

第3ラウンドには喜入がラッシュを掛けてくるが、喜多村は接近すれば叩きつけるヒジ打ちで何度も喜入の前頭部を攻め込むと、喜入の額の負傷は3箇所ほどに増え、かなりの流血。

更にパンチや蹴りで圧倒する喜多村だが、諦めない喜入はスピード、パワーが鈍っても攻め返してくるが、喜多村の圧倒した展開は変わらず判定勝利した。

叩きつける喜多村のヒジ打ちの嵐
顔面の数箇所から出血した喜入衆
喜入が流血しながらバックハンドブローを打つ

◆第6試合 スーパーフライ級3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/52.1kg)
VS
老沼隆斗(レベルスムエタイ・スーパーフライ級C/STRUGGLE/52.0kg)
勝者:泰史 / KO 2R 2:57 / 主審:椎名利一

両者好戦的な蹴り合いから、老沼が先手を打って出る流れ。しかし泰史が徐々にパンチで追いはじめ、第2ラウンドにボディーブローからヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、更にヒジ打ちを折り混ぜながら右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。

諦めない老沼はリズムを変えたいが泰史が更に接近してパンチ連打を打ち込むと老沼は力尽きたように崩れ落ちたところで3ノックダウン。泰史のKO勝利。

老沼を追い込んだ泰史のパンチ

◆第5試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級2位.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.75kg)
VS
NJKFフェザー級7位.小田武司(拳乃会/57.0kg)
勝者:瀬戸口勝也 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-26. 少白竜29-26. 宮沢30-26

第1ラウンドに小田がローキックで出るも、瀬戸口が得意の重いパンチ連打が圧倒し、2度のノックダウンを奪うが、ノックアウトには至らず。第2ラウンド以降も小田は打たれながら打ち返す踏ん張りも目立ったが逆転には至らず、瀬戸口の大差判定勝利となった。

◆第4試合 ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
VS
ポーンパノム・ペットプームムエタイ(タイ/70.45kg)
(プーケット県パトンスタジアム・ウェルター級C)
勝者:ポーンパノム / TKO 3R 0:39 / 主審:桜井一秀

◆第3試合 フライ級3回戦

日本フライ級2位.空龍(伊原新潟/50.6kg)vs阿部秀虎(鷹虎/49.85kg)
勝者:空龍 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-27. 仲30-28. 桜井30-27

◆第2試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級6位.平塚一郎(トーエル/56.9kg)
VS
JKIフェザー級8位.千羽裕樹(スクランブル渋谷/56.95kg)
勝者:千羽裕樹 / TKO 3R 1:21 / 主審:宮沢誠

◆第1試合 70.0kg契約3回戦

大久和輝(伊原/69.75kg)vs NJKFウェルター級3位.JUN Da雷音(E.S.G/68.25kg)
勝者:大久和輝 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜29-27. 29-28. 30-26

《取材戦記》

「初秋のチャンピオンカーニバル」というサブタイトル。日本のキックボクシング界、どこに行ってもチャンピオンだらけのカーニバルという印象があるが、この日のマッチメイクに於いても激しい戦いが続きました。

重森陽太にとっては後半追われての引分けは悔しい結果。「どんな強い選手でも必ずKO勝ちをして興行を締めなければならないという使命感はありました。このような結果になってしまったのはまだまだ不甲斐ないと思っています。次は必ず結果を残したいと思います」とマイクで語った重森陽太。結果を残す次なる強豪相手は誰になるか、プロモーター次第だが、できればWKBA王座を、防衛期限を待たずにこなしていって欲しいと願うところ。これは全ての現・チャンピオンに言えることで、これが老舗王座の価値を高めることでしょう。

次回新日本キックボクシング協会興行は、10月20日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.51が開催。勝次(=高橋勝治)が一階級上げて、WKBA世界スーパーライト級王座決定戦に出場。対戦相手はリカルド・ブラボと同じアルゼンチン出身のアニバル・シアンシアルー選手に決定した模様。

3月3日のWKBA世界ライト級王座決定戦でノラシン・シットムアンシーに敗れ、4月20日のREBELS興行での宮越慶二郎にも敗れて2連敗中の中、次戦で結果を残せるか。そしてその先を視野に期待したいものです。

メインイベントは当初の予定どおり、江幡睦がタイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座に4年ぶり4度目の挑戦。チャンピオンのサオトー・シット・シェフブンタムは1月23日に当時のチャンピオン、ゴーンサック・ソーサタラーから判定で王座奪取し、6月27日にはゴーンサックを3ラウンドTKO勝利で返り討ちにし、現在6連勝中で、江幡睦戦は2度目の防衛戦となります。

江幡睦にとって過去最強の難敵襲来のかなり厳しい予想となるも、“どんな技でも倒せる”という勢いで、“今度こそ奪取”の期待も高まる江幡睦です。

今回のサオトーは双子の弟で、兄は現在スーパーバンタム級のサオエークで、元・ラジャダムナン系スーパーフライ級チャンピオンの実力者。この先、江幡ツインズとサオエーク・サオトーツインズのタイトル絡みの対決も期待されます。

塁が戴冠の「KNOCK OUT」ベルトとWKBAのベルトを持つ江幡ツインズ、ラジャダムナン王座へ向けた二人の挑戦が続く

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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話題の「全裸監督」は原作もいいが、著者の「その前の2作」も名著過ぎる!

AV監督・村西とおる氏の半生を描いたNetflixのオリジナルドラマ「全裸監督」があちらこちらで大絶賛されている。筆者も観てみたが、「地上波では放送できない」とのフレコミ通り、性描写は過激だし、有名俳優が多数出演しているし、素人目にもセットやロケ地に手間や金がかかっていることはわかる。ストーリーも中毒性があり、たしかに楽しめる作品だ。


◎[参考動画]『全裸監督』予告編 2 (Netflix Japan 2019/07/24公開)

そんな話題作は、文筆家・本橋信宏氏の著作「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が原作。712ページから成る分厚い本で、村西とおるという「絶対教科書に載らない偉人」の半生を克明に記録し、後世に残そうという著者の執念や使命感が感じられる一冊だ。ドラマのヒットでこの本にも注目が集まっているようなのは、喜ばしいことである。

もっとも、ほとんど予備知識がない人がこの本をいきなり手にとると、ボリュームがあり過ぎて、最後まで読み切るのがしんどいのではないかと思われる。そこで、筆者が「初学者」にお勧めしたいのが、著者の本橋氏が「全裸監督」以前に村西氏のことを書いた2作、1996年12月発行の「裏本時代」と1998年3月発行の「アダルトビデオ 村西とおるとその時代」(いずれも単行本の版元は飛鳥新社)だ。

本橋信宏「裏本時代」(1996年)

◆「裏本の帝王」だった村西氏

この2作は、「全裸監督 村西とおる伝」に比べると、ボリュームが少なく、一人称の小説のような文体で書かれているので、たいへん読みやすい。それでいながら、1つ1つのエピソードも詳細に綴られており、時代の空気もよく伝わってきて、端的に言えば名著である。

まず、「裏本時代」。これは、村西とおる氏がアダルトビデオに進出する前、草野博美という本名で「裏本の帝王」として君臨していた頃の生きざまを活写したノンフィクションだ。本橋氏が当時の村西氏を取材して知り合い、関係を深め、やがて、村西氏が営む新英出版が創刊した写真週刊誌「スクランブル」の編集長となって奮闘する日々が描かれている。

インターネットは影も形もなく、ビデオデッキを所持する一般家庭もまだ少数だった80年代初頭、世の人々がビニ本や裏本に熱を上げ、FOCUSの成功に端を発する写真週刊誌ブームが過熱したりした時代の空気も行間からあふれ出ている作品だ。

ちなみに同書によると、書店を全国展開し、多数の営業マンを雇ってビニ本、裏本を売りさばいた当時の村西氏は、「流通を制する者が資本主義を制する」と言い、ビニ本、裏本の販売ルートを使って「スクランブル」を日本一の写真週刊誌にしようとしていたという。

結局、新英出版が資金繰りに窮して倒産し、スクランブルも廃刊となってしまった。とはいえ、30年余り経った現在、インターネット企業やコンビニが「流通」を制し、隆盛を極めているのを見ると、当時から流通を重視していた村西氏はやはり慧眼の持ち主だったのだと改めて感心させられる。話題の「全裸監督」にしても、地上波のテレビ局では「流通」させられないドラマをNetflixというインターネットメディアが「流通」させているのだというとらえ方もできる。

本橋信宏「アダルトビデオ 村西とおるとその時代」(1998年)

◆ジャニーズ事務所との攻防

一方、「アダルトビデオ 村西とおるとその時代」は、裏本が摘発され、服役した草野博美氏が出所後、AV監督の村西とおるとなり、今度は表社会でのし上がっていく様を描いたノンフィクションだ。この時代も本橋氏は村西氏と行動を共にし、村西氏の成功と挫折のすべてを間近で観察し続けている。それだけに描写は細部に至るまで迫真性に富んでおり、実にエキサイティングなのである。

そしてその中では、地上波のみならず、Netflixでも描くのは難しかったのではないかと思えるエピソードも頻出する。中でも最大の見せ場は、ジャニーズ事務所とのガチンコバトルだ。

その発端は、村西氏の作品に出演したAV女優が、当時人気絶頂だった田原俊彦氏との情事を週刊誌で告白したことだった。ジャニーズ事務所側からそのことについて抗議され、村西氏は逆に激怒する。そしてジャニーズ事務所のスキャンダルを集めようと躍起になる中、かつてジャニーズ事務所に所属した元フォーリーブスの北公次氏と出会い、北氏に告白本を書かせたり、マジックをやらせたりするのである。

当時も今も全マスコミが及び腰になるジャニーズ事務所相手に、このように村西氏が何ら臆することなく、真っ向から喧嘩をふっかけていく様は実に痛快だ。

本橋氏は同書において、「この男のやることはいつも退屈な現実を『少年ジャンプ』のような世界に変えてしまう」と評しているが、村西氏はまさにその通りの人なのだろう。だからこそ、本橋氏はずっと村西氏のそばにいたし、村西氏の記録を残そうと、この2作を書き残し、さらにあの大部な本「全裸監督 村西とおる伝」まで上梓したのだと思う。

そう書いて気づいたのだが、ドラマ「全裸監督」もどこか『少年ジャンプ』のようである。それが中毒性の秘密かもしれない。


◎[参考動画]The Naked Director(全裸監督)- Kaoru Kuroki(黒木香) Real Life Character(Coconut Omega 2019/8/11公開)

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。著書『平成監獄面会記』が漫画化された『マンガ「獄中面会物語」』(著・塚原洋一/笠倉出版社)が発売中。

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「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

福島民報、福島民友が紹介しない飛田晋秀さんの写真集「福島の記憶 3.11で止まった町」に写る福島復興の真実 『NO NUKES voice』ルポ〈7〉

1947年、福島県三春町に生まれた写真家の飛田晋秀さんは、2009年全国の職人さんを撮って欲しいと依頼され、翌年から北海道を皮切りに全国の職人を撮って回り、最後に長崎から九州を一回りしたのち、いよいよ編集作業に入ろうとしていた矢先、東日本大震災と原発事故にあった。当初「報道カメラマンでもないから」と、被災地の写真を撮ることを躊躇していた。しかし4月中旬、小名浜に訪ねた知人から、津波で7名の仲間を亡くした話を聞き、こうした記憶を風化させてはならないと、写真を撮ろうと決めた。

帰還困難区域に初めて足を踏み入れたのは2012年の1月。しかし、変わり果てた町並みを目の当たりにした飛田さんはシャッターが押すことが出来なかった。そんな飛田さんが、今では既に100回以上、帰還困難区域などに入り、写真を撮り続けている。

富岡町。車も人もいない街路、信号だけが機能している(2012.1.31)
富岡町。国道6号電光掲示板2.409マイクロソフトシーベルト(2018.4.11)

そのように変わったのは、2012年8月、避難所で会った小学2年生の女の子に「大きくなったら、お嫁にいける?」と聞かれたからだ。心臓が止まりそうになったという飛田さん。しばらく何も言えず、ようやく口にできたのは「ごめんね」のひとことだった。

号泣しながら車で帰りながら「自分には何ができるのだろうか?」と悩み続け、飛田さんは決意した。「命がある限り、被災地に入り、人がいなくなった街を撮り続けていこう。あの女の子のような若い人たち、それから後世に生きていく人たちに、福島の真実を伝えていくために…」と。

国道6号線、放射線量は、電光掲示板でも0.92マイクロシーベルト~2.409マイクロシーベルトの場所があり、福島第一原発に近くなる程高くなる。国道脇の民家に人が侵入しないよう、バリケードが設けられているが、警備する警察官は防護服もマスクも着けていない。富岡から浪江までの14.1キロは、歩行もバイクも禁じられている。車で走行中も車外に長く留まってはいけない。

除染で出た汚染物を入れたフレコンバックを、中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)に搬入する作業が急ピッチで進む。昨年1200台から、今年は倍近い2400台に増えたトラックが、粉塵を撒き散らしながら走っている。国道6号線と同じく、一部が帰還困難区域を走行する国道228号線で、3月27日、大きな交通事故が起きた。写真では、車が脱輪しているのがはっきりわかるが、環境省は東京新聞の記者の取材に、「脱輪はしていない」と頑なに否定した。高線量のため、長時間車外にいてはいけないことになっているが、警察官らは、レッカー車が到着するまで4時間も道路に立ち続けていた。全員マスクもなしに。

大熊町。事故を起こして脱輪してしまった大型ダンプ(2019.3.27)

4月に町の一部が避難指示解除された大熊町役場の新役場の建設現場(施工は鹿島建設)。1月3日、役場前で0.35マイクロシーベルトを計測した。7月12日に完成した新役場の総工費用は約31億円。町には事故前、11000人いたが、戻るのはわずか約25名程度だと町会議員の人がいう。(ただし、役場近くの大河原地区の東電社員寮の社員と、住民票を町に移している建設現場の作業員を含めて『帰還者数』は700人プラスしてカウントされるという)

役場職員は会津若松市を朝5時半に出て車で通う。他の職員も郡山、いわき、南相馬などから通っているという。住民には「帰れ!帰れ!」と言うくせに…。今後31億円かけた新役場をどう維持していくのか?

1月3日撮影。大熊町大川原地区、役場から1.5キロ、福島第一原発から9キロの場所に、2018年に完成した給食センター。地元の人を中心に100人雇用すると言われた。福島第一原発の作業員に、1日3000食の給食を提供している。空調設備の整った調理場は、0.07マイクロシーベルト程度だろうが、工場の外は1.1マイクロシーベルト。給食を福島第一原発に運ぶ作業員の被ばくはどうなるのか?あるいは運搬する途中、給食への影響はないのだろうか?影響があるとしたら、被ばくを強いられながら作業をする労働者を一層被ばくさせることにはならないか?

大熊町役場建設中(2019.1.3)
大熊町に建設された給食センター。1日3000食の給食を作っている(2017.1.3)
雨どいの線量27.4マイクロソフトシーベルト(2014.3.27)

帰れない、入ってはいけない帰還困難区域を、防護服もマスクもつけずに除染する作業員。飛田さんの線量計は、車中で0.5マイクロシーベルト。「入れないところをなぜ除染するの?そこで何を作るの?」。飛田さんは現場の監督に聞いた。「(上から)やれと言われたことをやっているだけです」という返事が返ってきた。

帰還困難区域の飛田さんの知人の家。2014年から2018年の4年間で、玄関に入るのが困難なほど木が大きくなった。2014年撮影時、玄関先で2.24マイクロシーベルト、線量が高くなりやすい雨どい付近は、27.4マイクロシーベルトだった。同じ雨どい付近で昨年は測ったら、なんと43マイクロシーベルトと倍近くあった。国は徐々に下がってくると言うが、逆に上がる場所もある。

大熊町。帰還困難区域の田んぼを除染してどうするのか(2018.7.27)
大熊町。4年前に撮影。木が背丈よりも伸びている(2018.7.26)
飯舘村。除染作業員が昼寝被爆が心配(2015.8.4)
一時帰宅してくると斑点ができ物凄く痛痒い。原因は解らない。避難先に戻ると4.5日位から消えていく(2017.1.6)

飛田さんの車中で0.96マイクロシーベルトもある場所で、休憩中の除染作業員が道路で昼寝している。被ばく防護の安全教育はきちんと受けているのだろうか? 今後、被ばくが原因の健康被害は増えるだろうが、そもそも「放射能は危険」の教育も受けていなければ、体調を崩しても、除染(被ばく労働)が原因とは思いつかないのではないだろうか? 

50代男性の知人は、帰還困難区域の自宅に戻ると、必ず腕にぶつぶつが出る。かゆくて痛い。60代女性の知人も、このように赤くなる。線量の低い自宅に戻ると何日かで、すーと治る。病院でも原因はわからないという。こういうことはマスコミには一切でない。すべて隠されてしまう。

飛田さんの写真展は、地元紙(福島民報、福島民友)では掲載されないし、取材もされない。地元紙に掲載されるのは「復興した」という記事ばかり。2020東京五輪に向け、「復興した」と演出される被災地には、しかし、多くの戻れない、戻ってはいけない場所がある。飛田さんの新しい写真集「福島の記憶 3.11で止まった町」が訴えるのは、多くのメディアがもう伝えなくなった、そうした福島の「真実」だ。

飯舘村(2014.11.21)
 
飛田晋秀写真集『福島の記憶 3.11で止まった町』(2019年旬報社)

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。最新刊の『NO NUKES voice』21号では「住民や労働者に被ばくを強いる『復興五輪』被害の実態」を寄稿

※本記事掲載の写真はすべて福島県三春町在住のカメラマン、飛田晋秀さんによるもので、飛田さんはこの2月に写真集『福島の記憶 3.11で止まった町』(旬報社)を出版している。

9月11日発売!「風化」に楔を打ちこむ『NO NUKES voice』21号 創刊5周年記念特集 死者たちの福島第一原発事故訴訟


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NO NUKES voice 21号
創刊5周年記念特集 死者たちの福島第一原発事故訴訟
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[グラビア]
福島で山本太郎が訴えたこと(鈴木博喜さん
原発事故によって自殺に追い込まれた三人の「心象風景」を求めて(大宮浩平さん

[報告]野田正彰さん(精神科医)
原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって 死ぬ前に見た景観

[インタビュー]伊藤さん(大手ゼネコン下請け会社従業員、仮名)
福島第一原発事故後の現場で私が体験したこと

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈5〉
事故発生直後の中通り・会津地方の住民の受け止め方と、浜通りから福島県内に避難した人々の避難生活

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
「希望の牧場」吉沢正巳さんが語る廃炉・復興のウソ

[報告]尾崎美代子さん(「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主)
住民や労働者に被ばくを強いる「復興五輪」被害の実態

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈16〉
酷暑下の東京五輪開催に警鐘を鳴らさないメディアの大罪

[報告]佐藤幸子さん(「子どもたちのいのちを守る会・ふくしま」代表)
福島の教育現場の実態 文科省放射線副読本の問題

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
東海第二に経済性なし 原電の電気を買った会社も共倒れ

[報告]平宮康広さん(元技術者、富山在住)
僕たちが放射性廃棄物の地層処分に反対する理由

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
選挙が終わって急に暑い日がやってきたのだけれど

[インタビュー]本誌編集部
志の人・納谷正基さんの生きざま〈3〉最終回

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈5〉記憶と忘却の功罪(前編)

[報告]板坂剛さん(作家・舞踊家)
悪書追放キャンペーン 第四弾!
ケント・ギルバート『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
原発“法匪”の傾向と対策~東電・国側弁護士たちの愚劣を嗤う~

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
原発は危険!「特重ない原発」はさらにもっと危険! 安全施設(特重)ができていない
原発を動かしていいのか? 安全施設ができるまでは動いている原発はすぐ止めよ!
《首都圏》柳田 真さん(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)
「特定重大事故等対処施設」のない各地の原発の即時停止を!
《北海道》佐藤英行さん(後志・原発とエネルギーを考える会)
泊原発3号機 再稼働目指せる体制か
《新潟》佐々木 寛さん(市民連合@にいがた共同代表、新潟国際情報大学教授)
参議院選挙 新潟選挙区について
《福島》宗形修一さん(シネマブロス)
「福島原発事故から遠く離れて」2019年参議院選挙福島選挙区からの報告
《東京》久保清隆さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
11・27ヒューマンチェーンで日本原電を追いつめよう 首都圏の反原発運動の現状と課題
《関西》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
来年4月から、原発稼働は電力会社の意のまま?
《福島》けしば誠一さん(杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟)
オリンピック前に終息も廃炉もできない福島第一原発
《香川》名出真一さん(伊方から原発をなくす会)
原発のない社会のために 蓮池透さん四国リレー講演会報告と今後の課題
《鹿児島》江田忠雄さん(脱原発川内テント)
いま、川内原発で何が起きているか
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
東海第二の審査請求から逃げ、原子力緊急事態宣言を隠す原子力規制委員会
《書評》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
安藤丈将の『脱原発の運動史 ── チェルノブイリ、福島、そしてこれから』(岩波書店)

私たちは『NO NUKES voice』を応援しています!

『NO NUKES voice』Vol.21 https://www.amazon.co.jp/dp/B07X3QHYV6/

「風化」に楔を打ちこむ『NO NUKES voice』21号、本日9月11日発売!

◆9.11〈戦争の世紀〉と3.11〈原発の世紀〉

 
9月11日発売!「風化」に楔を打ちこむ『NO NUKES voice』21号!

「戦争の世紀」と呼ばれた20世紀が終わり、21世紀は少しはましな時代になってほしい。口には出さずとも、世界で多くのひとびとが、内心そう祈念するなか、2001年9月11日、米国への同時多発ゲリラ攻撃が、何者かにより敢行された。米国政府や、主たる国際メディアは「アルカイダ」の犯行説を吐き続けたが、事件以前、以後の様々な検証から、この同時多発ゲリラ攻撃は、米国による、自作自演ではないかとの疑義が今日でも根強い。

米国が、アフガニスタン、イラクへと一方的に戦争を仕掛けていったのは、この同時多発ゲリラ事件の反撃が名目だった。しかしの反撃はイスラム社会のひとびとにたいして、そもそも全くいわれのない侵略戦争であり、弁明の機会すら充分には与えられなかった。そして日本=小泉政権は、どさくさ紛れで自衛隊を派兵し、実質的な「参戦」に足を踏み入れた。イラク、サマーワ「参戦」で現地の指揮を執った人間が、現在の外務副大臣であることを、読者は御存知であろうか。

かくして、世界も日本も暗雲の中で21世紀の幕開けを迎えたのだ。今日に至るも中東では、相変わらず戦火が絶えない。軍産共同体は当面の武器消費地を、20世紀に引き続き、中東と定めたかのようだ。

あの日から18年経ったきょう、『NO NUKES voice』21号が発売される。冒頭米国への同時多発ゲリラ攻撃を取り上げたのは、昨日の本通信でも私見を述べた通り、「原発問題」の背景には目前の経済利益だけではなく、中長期的な国家や武装国家群、あるいは白衣を着た科学者然とした軍事研究者たちの思惑などの目論見が複雑に絡み合い、背景も非常に厄介な問題っであると認識するからだ。

◆蜃気楼の向こうに実在する希望を目指す

 
『NO NUKES voice』21号 グラビアより

20世紀終盤から米国の2大原発メーカーであるGE(ゼネラル・エレクトリック)とWEC(ウエスティングハウス・エレクトリック)は新規受注を得るのに、非常な困難に直面していた。もう原発の新設で利益は出ない、と考えた米国はこの2つの会社を日本に売り払った。GEは日立に、ウエスティンハウスは東芝に化けることにより、減益必至部門の切り捨てに成功する。

製造業のトップに君臨する日立、東芝がこのような愚か、かつ無益な選択をしていたからかどうかはわからないが、1995年の阪神大震災以来、地震の活動期に入っていた日本で、ついに賢人たち懸念していた「震災原発事故」が起こった。想定外でも、2万年に一度でもない。放置していれば必ず起こることが、やはり起こってしまった。

だが、福島原発第一原発事故が発生した2011年には、前述の自衛隊のイラクへの派兵、1995年阪神大震災発生から2か月で起こったオウム真理教によるサリン事件などを経て、マスメディアの神経中枢はすでに脳死しており、若手の記者は正確な情報の掌握方法すらわからない。わかったとしても伝えない。そしてどこにも法案化されてはいないが、独裁国家でもないのに、世界で一番ではないかと思えるほどに「従順化」した国民は、抗議の声すらあげはしない。

だから『NO NUKES voice』は砂漠を独歩で進むような、殺風景な時代にあっても、必ず蜃気楼の向こうに実在する希望を実現するために、歩みを進める責任がある。

◆熾烈を極める現場の状態

 
『NO NUKES voice』21号 グラビアより

今号の特集は《死者たちの福島第一原発事故訴訟》だ。

巻頭の野田正彰さんによる長編レポート「原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって 死ぬ前に見た景観」については、昨日、本通信でご紹介した。伊藤さん(仮名)の「福島第一原発事故後の現場で私が体験したこと」は、是非、注意深くお読みいただきたい。インタビューでお伺いした内容の相当部分は、伊藤さんの個人特定につながるので掲載していないが、それでもお答えの端々から、熾烈を極める現場の状態が伝わる。

伊達信夫さんの「《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈5〉 事故発生直後の中通り・会津地方の住民の受け止め方と、浜通りから福島県内に避難した人々の避難生活」は事故直後に地元の人々の受け止め方、と行動についての貴重な記録の第5弾である。今回は中通りと会津で起きていた、混乱と戸惑いなどについて詳細に報告がなされている。こういった具体的な記録を、定期的に掲載し、いわゆる「風化」に楔を打ちこむのも『NO NUKES voice』の役割だと認識する。

「『希望の牧場』吉沢正巳さんが語る 廃炉・復興のウソ」で行動の人、吉沢さんに話を聞いていただいたのは、鈴木博喜さんだ。吉沢さんは次々に現実を説明し、解説を加える。事故現地生活者であるだけではなく、分析者でもあり、運動家でもあるが、なによりも酪農家であることが、吉沢さんの地面から足が生えているような、肉声を造り出しているのかもしれない。

◆2020年復興五輪の欺瞞

 
『NO NUKES voice』21号 グラビアより

「住民や労働者に被ばくを強いる『復興五輪』被害の実態」は、大阪釜ヶ崎で安価な、おいしい食堂を切り盛りする尾崎美代子さんのレポートだ。内容は詳しく紹介しないが、日雇労働者の被爆問題に寄り添い、東京五輪の欺瞞を徹底糾弾する尾崎さんは、どのような社会問題を論じても、決して立脚点がずれることがない。こういうひとが町内に一人でもいれば、日本も少しは変わるであろう、と常々エネルギッシュな行動には、敬服させられる。本論考も鋭敏さに一寸のブレもなしだ。

本間龍さんの「原発プロパガンダとは何か? 酷暑下の東京五輪開催に警鐘を鳴らさないメディアの大罪」。やはり「反(脱)原発」を語るひとびとにとって「東京五輪」は避けて通れない、大難物であることが再度実感される。編集部が「東京五輪についてお願いします」と依頼したわけではないが、本号では多くのかたがたが「東京五輪」を指弾している。本間さんは冒頭「私が何度も五輪を取り上げる理由は、原発とマスコミの関係と、五輪とマスコミの関係は同じだからだ(注:著者要約)」と、実に明快に批判する理由を述べている。余計な言葉は不要だろう。

◆原発に無駄金を捨てている社会

佐藤幸子さんの「福島の教育現場の実態―文科省放射線副読本の問題」では、本誌に度々ご登場いただいている佐藤さんが、今回は文科省が副読本として配布している「放射能安全洗脳」の問題点を指摘する。この副読本は、福島県内だけではなく、全国の小中学校で配布されている。佐藤さんが指摘する問題点は明確だ。

山崎久隆さんは「東海第二に経済性なし 原電の電気を買った会社も共倒れ」で、日本一危険と言われる東海第二原発の問題を経済的な観点から指摘する。要するに無駄金を捨てている、に等しい論拠は読者の皆さんがお読みいただいて、ご確認いただきたい。

元技術者、平宮康広さんの「僕たちが放射性廃棄物の地層処分に反対する理由」は、独自の視点からの懺悔からはじまり、高レベル廃棄物の地層処分問題への提言で結ばれる。果して平宮さんが問いかけている問題はなんなのであろうか。そして回答はあるのか。

◆もう、それほど時間はない

常連執筆陣、三上治さんは「選挙が終わって急に暑い日がやってきたのだけれど」で、東京五輪問題、韓国との関係悪化、淵上太郎さんのご逝去など、この短かった夏(また再び暑さが戻っているが)の出来事を振り返る。

「志の人・納谷正基さんの生きざま」〈3〉は本誌に連載を寄稿して下さっていた納谷正基さんへ編集部が行ったインタビューの最終回だ。納谷さんのご逝去は本誌にとって大きなダメージ。それをあらためて印象付けさせられるお話だ。読者にも納谷さん「志」の真骨頂が必ず伝わることだろう。

山田悦子さんには「記憶と忘却の功罪」をテーマに原稿をお願いした。甲山事件の冤罪被害者にして、世界で最も長い21年の刑事裁判の被害者にとっての「記憶と忘却の功罪」とは。大きなテーマであるため、本号では「前編だけ掲載したい」との山田さんからのリクエストに沿う掲載となった。

板坂剛さんの「悪書追放キャンペーン 第四弾 ケント・ギルバート著『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』」。いつのまにか、ケント・ギルバードに狙いを集中したのか? 板坂流は「ルパン三世」に登場する石川五右衛門が持つ「斬鉄剣」。なんでも切れるのであるから、連続攻撃も読み応えがあるが、一原稿での「10人斬り」など、離れ業も見たくなってきた(贅沢か?)。

なんでも知っている人を「博覧強記」と表現する。佐藤雅彦さんのことである。「原発〝法匪〟の傾向と対策 ~東電・国側弁護士たちの愚劣を嗤う~」では、板坂流と違い、持論の展開を最小に抑え、事実を重ねながらそれで諧謔も同時に演じる。これがわたしの佐藤雅彦評である。板坂論考は爆笑できる。佐藤論考は含み笑いを狙っているとみた。的外れか。

その他、全国各地からの現状報告やお知らせも、欠かしていない。数日前には高浜原発が煙を出した。伊方でも事故があった。おそらくわれわれにはもう、それほど時間はない。渾身の胆力と全国で頑張る皆さんへのエール、そしてスパイス代わりのユーモア精神で走ってきた。これからも走り続ける。是非、書店へ!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。


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NO NUKES voice 21号
創刊5周年記念特集 死者たちの福島第一原発事故訴訟
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[グラビア]
福島で山本太郎が訴えたこと(鈴木博喜さん
原発事故によって自殺に追い込まれた三人の「心象風景」を求めて(大宮浩平さん

[報告]野田正彰さん(精神科医)
原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって 死ぬ前に見た景観

[インタビュー]伊藤さん(大手ゼネコン下請け会社従業員、仮名)
福島第一原発事故後の現場で私が体験したこと

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈5〉
事故発生直後の中通り・会津地方の住民の受け止め方と、浜通りから福島県内に避難した人々の避難生活

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
「希望の牧場」吉沢正巳さんが語る廃炉・復興のウソ

[報告]尾崎美代子さん(「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主)
住民や労働者に被ばくを強いる「復興五輪」被害の実態

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈16〉
酷暑下の東京五輪開催に警鐘を鳴らさないメディアの大罪

[報告]佐藤幸子さん(「子どもたちのいのちを守る会・ふくしま」代表)
福島の教育現場の実態 文科省放射線副読本の問題

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
東海第二に経済性なし 原電の電気を買った会社も共倒れ

[報告]平宮康広さん(元技術者、富山在住)
僕たちが放射性廃棄物の地層処分に反対する理由

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
選挙が終わって急に暑い日がやってきたのだけれど

[インタビュー]本誌編集部
志の人・納谷正基さんの生きざま〈3〉最終回

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈5〉記憶と忘却の功罪(前編)

[報告]板坂剛さん(作家・舞踊家)
悪書追放キャンペーン 第四弾!
ケント・ギルバート『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
原発“法匪”の傾向と対策~東電・国側弁護士たちの愚劣を嗤う~

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
原発は危険!「特重ない原発」はさらにもっと危険! 安全施設(特重)ができていない
原発を動かしていいのか? 安全施設ができるまでは動いている原発はすぐ止めよ!
《首都圏》柳田 真さん(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)
「特定重大事故等対処施設」のない各地の原発の即時停止を!
《北海道》佐藤英行さん(後志・原発とエネルギーを考える会)
泊原発3号機 再稼働目指せる体制か
《新潟》佐々木 寛さん(市民連合@にいがた共同代表、新潟国際情報大学教授)
参議院選挙 新潟選挙区について
《福島》宗形修一さん(シネマブロス)
「福島原発事故から遠く離れて」2019年参議院選挙福島選挙区からの報告
《東京》久保清隆さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
11・27ヒューマンチェーンで日本原電を追いつめよう 首都圏の反原発運動の現状と課題
《関西》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
来年4月から、原発稼働は電力会社の意のまま?
《福島》けしば誠一さん(杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟)
オリンピック前に終息も廃炉もできない福島第一原発
《香川》名出真一さん(伊方から原発をなくす会)
原発のない社会のために 蓮池透さん四国リレー講演会報告と今後の課題
《鹿児島》江田忠雄さん(脱原発川内テント)
いま、川内原発で何が起きているか
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
東海第二の審査請求から逃げ、原子力緊急事態宣言を隠す原子力規制委員会
《書評》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
安藤丈将の『脱原発の運動史 ── チェルノブイリ、福島、そしてこれから』(岩波書店)

私たちは『NO NUKES voice』を応援しています!

『NO NUKES voice』Vol.21 https://www.amazon.co.jp/dp/B07X3QHYV6/

〈原発なき社会〉を求めて創刊5周年『NO NUKES voice』21号が明日発売!

本文に入る前に、台風15号により、9月8-9日関東地方を中心に、各所で大きな被害が出た。被災された皆様へお見舞いを申し上げます。

 
9月11日発売〈原発なき社会〉を求めて創刊5周年『NO NUKES voice』

あす、『NO NUKES voice』21号が発売される。2014年8月、それまでも福島第一原発事故に関する書籍を多数出版していた鹿砦社は、「反(脱)原発」を目的に据えた季刊誌の発刊に踏み出した。商業的な勝算があったわけではないし、お恥ずかしながら現在も本誌は「赤字」である。

だが、ほとんどのひとびとが、その危険性すら知らずに、暮らしてきた「確実な危険が収められた、パンドラの箱」の蓋は、あいてしまったのだ。原発に関する書籍が本屋の書架に、並ぶ中、鹿砦社も独自の書籍を何冊も発刊してきた。当時は、がむしゃらに警鐘を鳴らし続けた。一定の意味はあったのであろうと思う。だが、なにか物足らない。問題の巨大さと危険の大きさ、生物・生命への危険性を考えると、「単行本で追いかけきれる問題だろうか」との思いが募った。

そこで、継続的に「反(脱)原発」を問い続ける季刊誌の発行に思いが至ったのだ。

と、あたかもわたしが「主語」であるかのように書いているが、これはこれまで『NO NUKES voice』誕生にかんして、わたしが鹿砦社代表・松岡利康から、断片的に聞いた話を繋ぎ合わせたに過ぎない。しかし松岡が『NO NUKES voice』発刊にかけた思いは理解できる。創刊号から6号までは松岡自身が編集長をつとめた。

7号からは原発問題への造詣・人脈が豊富な小島卓が編集長に就任した。1号から6号までを「黎明期」とするならば、7号以降は、今号までは「成長期」と位置付けられるであろうか。贅肉は削ぎ落とし、より問題に直接的に肉薄することができる方向性が模索され続けている、と感じる。不思議なことに原発問題は、核心に迫れば、迫るほど、沖縄の基地問題、差別、司法そして思想哲学などとの関連が、切りようがないことをわたしは実感してきた。

そのことを踏まえれば、あす発売の『NO NUKES voice』21号は、これまで培ってきたわれわれの力を、いったんすべて出し切り、その価値を世に問う内容と言っても過言ではないだろう。通常発売前に書籍の内容をそのままご紹介することはないのだが、今回は特別に21号の「巻頭言」をご紹介する。

《2014年8月創刊の本誌は、今号で五周年を迎えました。本誌の役割は、脱原発に向けての各種情報を、読者の皆様にお届けすることと、本誌発刊の契機となった福島第一原発事故について、福島現地の方々に寄り添いながら、「事実」を掘り起こし、「被害の現実」をお伝えすることであると考えます。
 創刊5周年記念の特集では、福島第一原発事故による被害者の方、なかでも、もうご自身で語ることが能わない「自死」された方々へ視線を向けました。精神科医であり多くのノンフィクション作品を手掛けられている野田正彰先生に「自死」された方々が、亡くなる前におられた場所で、なにを考え、感じておられたのか、を考察頂きました。非常にデリケートで抜き差しならない重大なテーマです。本誌をおいてこの問題に、事故後八年経過して踏み込む媒体はないでしょう。「福島第一原発事故で死者は出ていない」などと、とんでもないことを平然と口にする人々がいます。被害者を冒涜するデマです。
 第二次世界大戦で侵略を行った日本が、あたかも被害国であったかのように、責任が隠蔽され忘却される犯罪的行為が進むなか、同様の現象に異を唱える意味でも、渾身の思いでこの企画には取り組みました。
 また事故現場での収束作業にかかわっておられた方のお話を伺うこともできました。選挙公約で気軽に「脱原発」とは口にしますが、その実、どこまで本気なのか怪しい政治家が大半を占める中、原発立地現地で、または避難先で地道に闘っておられる方々と、本誌はますます連帯を深めたいと考えます。
「復興五輪」という欺瞞の冠詞をいただく来年の東京五輪は、福島第一原発事故とその被害を隠蔽するために、準備されている「虚構の祭典」です。本誌は、これまで何度も批判をぶつけてきましたが、ますます過熱する「虚構」の喧伝に対しても反撃を続ける所存です。
「命にかかわる」暑さの続いた夏でした。人間の力で自然の温度は調整できませんが、人工物は取り除くことができます。そのために必要なのは「知恵」と「理性」だけではないでしょうか。原発の罪(その意味は深淵ですが)の表層に触れていただく。決して楽しく、愉快な内容ではありませんが少しでも多くの方々に、本誌が、お届けしようとする現実が伝わることを期待いたします。季節の変わり目です、読者の皆様におかれましてはご自愛くださいますように。》

野田正彰さんの《原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって 死ぬ前に見た景観》は、野田さんにしかなしえない論考だ。刑事事件の被告を含め、精神鑑定を多数行ってきた豊富な経験と知識。それらと無縁に「死者の目から見えた世界の再現」が、知識や経験のないひとが行えば、軽率で、場合によっては亡くなった方に対する侮辱にもなりかねない。そのようなギリギリの鑑定に、野田さんはどうして踏み出そうと考えたのか。

自死者の家族援助や、東京空襲による孤児の問題に長年取り組んできた、野田さんだからこそなしえた「原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって」は、超重量級のレポートだ。

断言する。今後どのような媒体でも、「原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって」に肩を並べるレポートを読むことはできないであろう。

『NO NUKES voice』21号、5年間の、中間総括として本特集は是非お読みいただきたい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。


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NO NUKES voice 21号
創刊5周年記念特集 死者たちの福島第一原発事故訴訟
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[グラビア]
福島で山本太郎が訴えたこと(鈴木博喜さん
原発事故によって自殺に追い込まれた三人の「心象風景」を求めて(大宮浩平さん

[報告]野田正彰さん(精神科医)
原発事故で亡くなった人々の精神鑑定に当たって 死ぬ前に見た景観

[インタビュー]伊藤さん(大手ゼネコン下請け会社従業員、仮名)
福島第一原発事故後の現場で私が体験したこと

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈5〉
事故発生直後の中通り・会津地方の住民の受け止め方と、浜通りから福島県内に避難した人々の避難生活

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
「希望の牧場」吉沢正巳さんが語る廃炉・復興のウソ

[報告]尾崎美代子さん(「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主)
住民や労働者に被ばくを強いる「復興五輪」被害の実態

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈16〉
酷暑下の東京五輪開催に警鐘を鳴らさないメディアの大罪

[報告]佐藤幸子さん(「子どもたちのいのちを守る会・ふくしま」代表)
福島の教育現場の実態 文科省放射線副読本の問題

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
東海第二に経済性なし 原電の電気を買った会社も共倒れ

[報告]平宮康広さん(元技術者、富山在住)
僕たちが放射性廃棄物の地層処分に反対する理由

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
選挙が終わって急に暑い日がやってきたのだけれど

[インタビュー]本誌編集部
志の人・納谷正基さんの生きざま〈3〉最終回

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈5〉記憶と忘却の功罪(前編)

[報告]板坂剛さん(作家・舞踊家)
悪書追放キャンペーン 第四弾!
ケント・ギルバート『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
原発“法匪”の傾向と対策~東電・国側弁護士たちの愚劣を嗤う~

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
原発は危険!「特重ない原発」はさらにもっと危険! 安全施設(特重)ができていない
原発を動かしていいのか? 安全施設ができるまでは動いている原発はすぐ止めよ!
《首都圏》柳田 真さん(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)
「特定重大事故等対処施設」のない各地の原発の即時停止を!
《北海道》佐藤英行さん(後志・原発とエネルギーを考える会)
泊原発3号機 再稼働目指せる体制か
《新潟》佐々木 寛さん(市民連合@にいがた共同代表、新潟国際情報大学教授)
参議院選挙 新潟選挙区について
《福島》宗形修一さん(シネマブロス)
「福島原発事故から遠く離れて」2019年参議院選挙福島選挙区からの報告
《東京》久保清隆さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
11・27ヒューマンチェーンで日本原電を追いつめよう 首都圏の反原発運動の現状と課題
《関西》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
来年4月から、原発稼働は電力会社の意のまま?
《福島》けしば誠一さん(杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟)
オリンピック前に終息も廃炉もできない福島第一原発
《香川》名出真一さん(伊方から原発をなくす会)
原発のない社会のために 蓮池透さん四国リレー講演会報告と今後の課題
《鹿児島》江田忠雄さん(脱原発川内テント)
いま、川内原発で何が起きているか
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
東海第二の審査請求から逃げ、原子力緊急事態宣言を隠す原子力規制委員会
《書評》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
安藤丈将の『脱原発の運動史 ── チェルノブイリ、福島、そしてこれから』(岩波書店)

私たちは『NO NUKES voice』を応援しています!

『NO NUKES voice』Vol.21 https://www.amazon.co.jp/dp/B07X3QHYV6/

遺伝子から万能細胞の世界へ ── 誰にでもわかる「ゲノム」の世界〈4〉ジェネリック医薬品はどうしてこんなに安いのか?

先発薬の製造特許が切れると、後発薬が売り出されるそうです。特許の期限がお薬の販売には大きな影響を持っているようです。薬局のかたでも、正直なかた(親切なかた)は、「ジェネリックはたしかに薬価が安いですね。そして我々は『効果は同じ』と製薬会社からは説明を受けています。先発薬に比べて、ジェネリックは薬の値段が薬は、1/4ぐらいのもあります。どうして、こんなに安いのか。同じ効果がある薬で、本当に特許が切れただけの理由で安いのであればいいのですが。どうもそれだけではないようですね」とおしゃいます。ジェネリック医薬品に疑問を持ちながら、はっきり言うことができずジレンマを感じている薬剤師さんがいらっしゃるように思います。

たしかに、消費者(患者)にとって、薬の値段が安いことは、ありがたいことです。とくに、病院に通う機会の多い年金生活者にとっては、負担軽減になりますから。でも、昔から「安かろう悪かろう」という言葉があります。つまり、安いものは、それなりの材料で作られているから注意しなさい、という教えでしょう。

もし、ジェネリック薬が「安かろう悪かろう」であってはたまりません。私自身は飲み続けている薬はありませんが、身内には高齢の人も多く、血中のコレステロールが高いとか、血圧が高い、血液をサラサラにする薬を何年も飲んでいるひとたちがいます。でも、高齢の方はあまり、先発薬とかジェネリック薬とかに関心なく、薬袋の中の成分説明書を見てみると、「ジェネリック薬」と書いてあることがなんどもありました。薬効(品質)が同じであれば、それにこしたことはありません。でも安い薬を飲んで、効果が低いだけでなく副作用などが出てしまっては、薬を飲む意味がありません。

どうしてこんなに安いのか。ネットで調べると、意外なことがわかりました。ジェネリック薬品の大部分は、海外から輸入して販売されているようです。日本の製薬会社の名前で販売していても、製造元は海外が多いのです。

※後発医薬品の原薬調達状況に関する調査結果
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/h24-02_3.pdf

これは厚生労働省の発表です。資料が長くて読むのが面倒ですが、ジェネリック薬品は、半分程度が輸入品であり、その輸入元は、購入金額ベースで「インド」が全体の 30.0%を占め、次いで「韓国」(26.0%)、 「中国」(24.1%)、「ドイツ」(9.6%)という順であることがわかります。

厚生労働省「後発医薬品の原薬調達状況に関する調査結果」より

次に、そのジェネリック薬がどのように認可されるのか調べてみました。「先発医薬品の承認申請には、発見の経緯や外国での使用状況、物理的化学的性質や規格・試験方法、安全性、毒性・催奇性、薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄、臨床試験など数多くの試験を行い、20を超える資料を提出する必要がある」

これに対して後発医薬品では、有効性・安全性については既に先発医薬品で確認されていることから、「安定性試験・生物学的同等性試験等を実施して基準をクリアすれば製造承認がおりる。」つまり、生物学的同等性だけ確保されればよいのです。では、生物学的同等性試験とはどんなものでしょうか? ウィキペディアでは以下のように説明されています。

「ヒト(健常人)に先発品・後発品を投与し、両者の血中濃度推移に統計学的な差がないことを確認する。より具体的には、先発品・後発品を各10~20名程度の健常人に投与し、一定時間ごとに採血を行い、薬物血中濃度の推移を比較し、両群の間に統計学的な差がないことを証明する手法がとられる。ただし、倫理的な面や、製剤特性等の理由から、ヒト以外の動物での試験が認められることもある。」

「人間が実際に服用して、副作用を確かめる」試験を行わず、「動物実験」だけでも認可される。そういう意味のようです。人間が飲んだこととがないかもしれない薬である可能性もあるのでしょうか。であればとても不安になりませんか?

また、海外から輸入されているわけですから、先発薬と全く同じものと言うわけにはいかかないと考えられます。製造する工場や手順が違うわけですから、含まれる副産物も多少違ってくると思われます。でも、その辺は厳密に調べていない様です。

本当に、ジェネリック薬は、先発薬と同じなのかという疑問が湧いてきます。ジェネリック薬の副作用で、また、新たな薬を飲まなければならなくことはゴメンです。この疑問を解くのに「遺伝子ゲノム」の解析が役に立つようですので、次回は「ゲノム」について調べてみたいと思います。

 

◎連載過去記事(カテゴリー・リンク)
赤木夏 遺伝子から万能細胞の世界へ ── 誰にでもわかる「ゲノム」の世界 
http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=73

▼赤木 夏(あかぎ・なつ)[文とイラスト]
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。

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WBCムエタイジュニアリーグ開催、優勝者決定! MVPはU15の山口瑠選手!

小学校低学年31kg未満 宮崎遼二vs稲田滉大
MVP 山口瑠

8月24日(土)豊島区立雑司が谷体育館にて開催されました、『WBCムエタイジュニアリーグ第5回全U15、第4回U18全国大会』の全19階級の王者が決定。

熱戦を繰り広げた選手の中から、最優秀選手(MVP)にはU15中学生50kg未満で優勝した山口瑠選手が獲得し、タイ国政府観光庁より3泊4日バンコク観光・ムエタイ観戦ツアーが贈呈。他に敢闘賞、各クラス1名計4名、フェアプレー賞各クラス1名計4名が受賞。

◎WBCムエタイジュニアリーグ第5回全国大会 / 8月24日(土)12:00~
会場:豊島区立雑司が谷体育館
主催:WBCムエタイジュニアリーグ実行委員会

◆WBCムエタイジュニアリーグ、第5回U15、第4回U18全国大会決勝

◆U15 小学校低学年(3年生、4年生)

25kg未満決勝   ×中森琉海vs駒木根稔和○

28kg未満準決勝  ○小野琥大vs大出琥太郎×
     決勝  ○中山幸亮vs小野琥大×

31kg未満準決勝  ×戸部汐汰vs稲田滉大○
     決勝  ○宮崎遼二vs稲田滉大×

34kg未満決勝   ×高山翔星vs大矢凉夏○

小学校高学年31kg未満 竹中悠獅vs大久保世璃

◆U15 小学校高学年(5年生、6年生)

28kg未満決勝   ×松本来人vs島田晋作○

31kg未満準決勝  ○大久保世璃vs上窪聖 ×
     決勝  ×竹中悠獅vs大久保世璃○

34kg未満準決勝  ×細美樹斗vs曽我昴史○
         ○小林栄絢vs沖井朔斗×

     決勝  ○曽我昴史vs小林栄絢×

37kg未満     ×鈴木咲耶vs竹内征汰○
     決勝  ×岩本慎vs竹内征汰○

40kg未満準決勝  ×成尾歩斗vs高橋ルキヤ○
         ×志賀野真人vs宮里阿連○
      決勝  ○高橋ルキヤvs宮里阿連×

45㎏未満優勝   生田瑠玖

小学校低学年28kg未満 中山幸亮vs小野琥大
中学生37kg未満 比嘉暖人vs藤井昴
中学生50kg未満 山口瑠vs坂本嵐

◆U15 中学生

34kg未満準決勝  ○小佐野航vs辻畑元気×
         ○桜井嵐vs清水龍月×
     決勝 ○小佐野航vs桜井嵐×

37kg未満準決勝  ○比嘉暖人vs岡林昊×
         ×杉浦輝vs藤井昴○
決勝 ×比嘉暖人vs藤井昴○ 

40kg未満準決勝  ×井上大和vs酒寄珠玲葵○
決勝 ×長洲優人vs酒寄珠玲葵○

45kg未満準々決勝 ○大久保琉唯vs前田大尊×
          ×安野竜信vs林裕人○

      準決勝 ○大久保琉唯vs林裕人×
          ○下地絃斗vs佐藤勇波×
       決勝 ×下地絃人vs大久保琉唯○

50㎏未満準々決勝  ×浦田拓真vs山口瑠○
      準決勝 ×齋藤龍之介vs山口瑠○
          ○坂本嵐vs下地奏人×
      決勝  ○山口瑠vs坂本嵐×

中学生55kg未満 小林亜維二vs上田咲也
高校生57kg以下 田中大翔vs山内歩希

55kg未満準決勝  ○小林亜維二vs片原樹×
         ×桜井竜馬vs上田咲也○
     決勝  ○小林亜維二vs上田咲也×

60kg未満決勝   ○川崎海宗vs左近颯大×

◆U18 高校生

52kg以下準々決勝 ×谷川瑠太vs阿部温羽○
     準決勝 ○若原聖vs阿部温羽×
         ×酒寄珠璃vs加藤真○
      決勝  ×若原聖vs加藤真○

57kg以下準決勝  ○田中大翔vs松岡優太×
         ×横山太一郎vs山内歩希○
     決勝   ○田中大翔vs山内歩希×

高校生52kg以下 若原聖vs加藤真

《各表彰者》

MVP
山口瑠(拳心會館)中学生50kg未満

敢闘賞
宮崎遼二(日本空手道 拳竜会)小学校低学年31kg
高橋ルキヤ(日本空手道 拳竜会)小学校高学年40kg未満
藤井昴(治政館 江戸川道場)中学生37kg未満
加藤真(魁塾)高校生52kg以下

敢闘賞=左から高橋ルキヤ、宮崎遼二、加藤真、藤井昴

フェアプレー賞
中山幸亮(team AKATSUKI)小学校低学年28kg未満
大久保世璃(K-1GYM WOLF)小学校高学年31kg未満
小林亜維二(新興ムエタイ)中学校55kg未満
田中大翔(不死鳥)高校生57kg以下

フェアプレイ賞=小林亜維二、中山幸亮、大久保世璃、田中大翔

《取材戦記》

幼少期から始まる戦いと、35歳から始まるオヤジファイトやキックなど、幅広い選択肢のある時代です。

今回のイベントは、プロのリングに立つ前の、ジュニアキックの全国大会。他のアマチュアジュニア大会で、10年前から始まったWINDY SuperFightでは、那須川天心や吉成名高が活躍し、プロ入り後、十代のうちからメインイベンターとなり、ムエタイ殿堂王座や世界のトップクラスの王座を獲得するなどの活躍の裏には、幼少期からキック・ムエタイに馴染む戦いの場があったことに由来します。

WBCムエタイ日本傘下に於いては2015年から始まったU15大会、翌年はU18も開催、ここから近い将来のプロでのメインイベンターの出現が期待されます。

判定結果が下される前、とりあえず勝ちをアピールする者。勝者コールの瞬間、歓喜の雄叫びを上げる者。接戦の末、勝者となって驚く者。負けて泣いてリングを降りる者。プロでも見られる喜怒哀楽が、このジュニアたちにも表れる人間模様でした。しかしこのジュニアたちはまだ十代でのアマチュア段階。ここで挫けることなく、負けることも重要な糧として、また鍛え直されることでしょう。

表彰選手と役員集合

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩 編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

安倍「国益毀損」外交から進次郎・滝クリ結婚異常報道、ジャニーズ、N国、吉本まで、同時多発で権力を撃ち続ける月刊『紙の爆弾』10月号、本日発売!

 
創業50周年 タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』10月号本日発売!

巻頭は「安倍外交の『国益毀損』」(横田一)である。国益というと、国の利害あるいは国家としての損益と解釈しがちだが、国民経済という観点から発されるのが正しい。たとい一時的な他国への譲歩や妥協で、見た目には「国益」を損していると見えても、他国との国際協調によって自国の国民経済が安定・発展すれば、それは「国益」に反しているとはいえない。

これとまったく逆の意味で、安倍政権の対韓外交は、おおきく国益を損なうものと言うしかないのだ。今回、山本太郎の試算では6兆円の経済的な損失(輸出総額)が生じたという。とりわけその目的が、参院選時の政治的パフォーマンスとして、あるいは感情的に行われたものならば、まさに政治の私物化がもたらす、最悪の「国益毀損」である。

安倍外交による損失は経済だけではない。「日本の暴走が韓国GSOMIA破棄を招いた」(高嶋信欣)は、外交的な損失にもかかわらず、ひたすら反韓キャンペーンに走る安倍政権の姿を喝破する。その姿は「感情的民主主義」であると。

◆やはり小泉進次郎がキーマン

今号も政界再編の分析が誌面をうめる。
「与野党それぞれの『地殻変動』進次郎“ポスト安倍”へ、立憲・国民合流の“その先は”」(朝霞唯夫)。
「首相『アンダーコントロール』デマに加担 進次郎・滝クリ結婚マスコミ報道の異常」(浅野健一)。

このうち、浅野氏は滝川クリステルの所属事務所フォニックスに対して、質問状を送っている。小泉進次郎にも取材を申し入れたという。こういう行動力こそ、浅野氏ならではのものだ。その内容は、私的な結婚を官邸に出向いて報告した件である。事前に菅氏をつうじて連絡が行っていたのか? 安倍総理が原発事故を「アンダーコントロール」状態で東京に影響がないと公言したことについて。この件での沈黙には連帯責任が生じる。フランス警察が竹田恆和JOC会長が捜査し辞任した件、である。8月25日現在、両氏からの返答はない。

「『N国』とは何なのか『ワン・イッシュー政党』の素顔」(藤倉善郎)は、同党のネトウヨ的な素顔を暴いている。同党の「私人逮捕」の実態がすさまじい。

インタビューでは、渡辺てる子(れいわ新撰組新人立候補者・シングルマザーで元派遣労働者)を小林蓮実がレポート。このシリーズで、れいわの素顔も明らかになる。つづきが楽しみだ。

◆ジャニーズ圧力問題と吉本“反社”問題

「ジャニーズ『圧力問題』で滝沢秀明に“追い風”」は芸能取材班によるもの。ジャニーズ事務所の子会社の社長である滝沢氏に、相対的にいい環境が生まれているとのこと。吉本騒動も元の鞘に収まりそうな昨今、滝沢氏のうごきに注目だ。
その吉本騒動だが「吉本興業“反社”問題で得をしたのは誰か」(片岡亮)は、問題の本質を「反社」との付き合いとしつつも、吉本興業の6000人いるというタレントの無契約問題に誌面を割いている。フリーランスの弱い立場とともに、スポットライトを当てるべき問題だろう。

◆「元『S』(スパイ)が語る警察『偽造調書作成』の手口」の圧巻!

「元『S』(スパイ)が語る警察『偽造調書作成』の手口」(林克明)が圧巻だ。公安警察が左翼組織にS(情報協力者)工作をするのは、よく知られている。ここで紹介されているのは、生活安全課(覚せい剤や風俗産業などを管轄)の刑事によるS工作だ。おどろくべきことに、覚せい剤の取り締まりで囮捜査を行うことだ。ようするに、犯罪を教唆しているのと同じなのだ。

◆東海第二原発『いばらぎ原発県民投票』で暴かれる原発の玉砕主義

「東海第二原発を問う『いばらぎ原発県民投票』」(島村玄)では、原発の玉砕主義が暴かれている。危険性を無視した稼働延長、採算無視の再稼働である。3月に「県民投票の会」が発足し、14万筆の署名を目標に活動をつづけているという。

◆「遺骨がカネになる? 『残骨灰』をめぐる論点」

「遺骨がカネになる? 『残骨灰』をめぐる論点」(杉田研人)は、ちょっショッキングだ。違背に混ざっている金や銀、パラジウムなどを採取するのが目的で、業者が争奪しているというのだ。死んでもカネの対象にされるとは、人間の業には深いものがある。

◆「公判廷の『手錠・腰縄』は違法である」

司法では朗報だ。「日本司法の人権無視に画期的判決 公判廷の『手錠・腰縄』は違法である」(足立昌勝)。ご存知ない方のために言っておくと、裁判の時は手錠も腰縄も解かれるが、入退廷時に傍聴席から手錠・腰縄を隠してくれないことが争点だったのだ。判決が出るまで、被告といえども推定無罪である。

◆“国旗・国歌”で洗脳する文科省・新たなる臣民教育

「文科省により雁字搦め“国旗・国歌”の洗脳教育」(永野厚男)は、日の丸・君が代教育の現場強要を批判する。前号につづいて、各教科書会社の教科書を悲観検討する。駆け足になったが、議論を呼ぶ内容の記事満載の「紙の爆弾」ぜひお読みください。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

創業50周年 タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』10月号本日発売!