「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の前日、2018年7月26日に記録されたウェブ魚拓で、面白いものがある(https://archive.md/jPDUy)。
デモを呼びかけた平野太一氏と、「ひな」という女性とおぼしき人物の会話だ。
ひな「どうして怒ってない人は関係ないって思うわけ?ほっといて欲しいって感情も尊重されなきゃ!自分達が生産性がないって言われて腹が立つぐらいなら同じ境遇の人達にも寄り添わないと」
平野「怒ってないゲイは、杉田水脈の言うように、『LGBTは生産性がない』とされる社会でも特に問題はない、と思っているわけです。私はそれに同意しないから意思表示をしているのであって、彼らの言い分を代弁することは却って傲慢な寄り添いです」
ひな「貴方みたいな人をたまにレストランとかで見ますよ。家族連れなのに下手に出るしかないウエイト相手に大声でいちゃもんつけてる親父!周りや家族の迷惑そっちのけで自分が腹立ったからって騒ぐ。家族が他の人からどんな目で見られるかなんて配慮できないんでしょうね。家族からしたら本当に迷惑」
ひなさん、どこのどなたであるかは存じあげませんが、あまりにも的確で辛辣なたとえに、思わずニヤニヤしてしまいましたよ。
レストランでたまに見かける迷惑な親父! いやぁ、痛快、痛快!(笑)

さて。7月27日と8月5、6日の抗議デモの後も、しばき隊界隈活動家による杉田水脈氏に対する侮辱・恫喝・脅迫ツイートやリアルでの講演会妨害を呼びかける悪質な動きはあったのだが、それに関しては後に詳細を述べさせていただくとして。
9月18日には「新潮45」10月号が発売され、その特別企画として「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題し、LGBT当事者を含む保守の論客が、しばき隊に扇動された世論に対する反論を寄稿している。

各論考のタイトルと筆者は、以下のとおり。
【特別企画】そんなにおかしいか「杉田水脈」論文
◆LGBTと「生産性」の意味/藤岡信勝
◆政治は「生きづらさ」という主観を救えない/小川榮太郎
◆特権ではなく「フェアな社会」を求む/松浦大悟
◆騒動の火付け役「尾辻かな子」の欺瞞/かずと
◆杉田議員を脅威とする「偽リベラル」の反発/八幡和郎
◆寛容さを求める不寛容な人々/KAZUYA
◆「凶悪殺人犯」扱いしたNHKの「人格攻撃」/潮匡人
◎「新潮45」公式サイト https://www.shinchosha.co.jp/shincho45/
そして、特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のリード文を、以下に抜粋する。
8月号の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」の中の一本、杉田水脈氏の「『LGBT』支援の度が過ぎる」が、見当外れの大バッシングに見舞われた。主要メディアは戦時下さながらに杉田攻撃一色に染まり、そこには冷静さのカケラもなかった。あの記事をどう読むべきなのか。LGBT当事者の声も含め、真っ当な議論のきっかけとなる論考をお届けする。
すべてに目を通してみたが、特に差別的と感じられる内容ではなかった。もちろん、保守派ではない私が百パーセント賛同できたわけではないが。
各論考から一点ずつ、私が注目すべきと感じた部分を抜粋する。
◆藤岡信勝(教育研究者、新しい歴史教科書をつくる会副会長)
しかし、そもそも尾辻氏の発言は杉田論文の誤読なのである。杉田氏は、「子どもを持たない、もてない人間は『生産性』がない」などとはどこにも書いていない。(中略)もしこれが意図的な「誤読」なら、尾辻氏は優秀なデマゴーグということになる。◆小川榮太郎(文藝評論家)
「弱者 」を盾にして人を黙らせるという風潮に対して、政治家も言論人も、皆非常に臆病になっている。◆松浦大悟(元参議院議員)
(自民党本部前抗議デモに関し)ところが、多くのLGBT当事者から「なぜ、反天皇制や安倍総理退陣のプラカードを掲げるのか?」「差別発言には抗議したいが、保守の自分はこれでは参加できない」との声が上がっていたことは意外にも知られていません。◆かずと(平成探究家)
ここでようやく私は気づいたのです。なぜ、同じ国会議員でありながら尾辻さんが直接杉田さんに対話を求めなかったのか。
あなたはLGBTに税金を投入する必要がないことが分かっているからです。◆八幡和郎(評論家、徳島文理大学教授)
このような「メディア・リンチ」ともいうべきことが、パワハラ事件などではなく、純然たる言論に対して行われたことは前代未聞なのではないかと思う。◆KAZUYA(ユーチューバー)
今回の騒動で懸念するのは、当事者ではない外野が騒ぎまくって、LGBTが腫れ物扱いされることです。デモ活動なども行われましたが、LGBT当事者のためなのかと疑問なのです。◆潮匡人(評論家)
(杉田水脈氏および杉田論文を相模原障害者殺人事件の被告やヒトラーの優生思想と同一視する報道をしたNHKに対し)ここまで徹底的に叩くのは病的にさえ見える。杉田議員ではなくNHKこそ、ヒトラーや凶悪犯罪者と「根っ子は一緒」ではないのか。
ここまで拙稿を読み進めてくださった読者諸氏には、うなずいていただけるのではないだろうか。なお、 寄稿者のうち、松浦大悟氏とかずと氏はゲイとしてカミングアウトしている当事者である。
さらには、かずと氏のブログ「うちの旦那はオネエさま」(http://yopparae.sblo.jp)には、リアルタイムの記事が現在も残されている。尾辻かな子氏のツイートに疑念を感じたLGBT当事者の記録として、価値あるものだと言えよう。
元々は尾辻かな子氏のファンであったというかずと氏の怒りの記事は、まだまだ続くので、ご興味がおありの方は彼のブログ記事をさらに先にたどっていただきたい。
「新潮45」10月号に寄せられた論考には、健全な議論に発展できる要素が充分に含まれていた。ところが、世間は「杉田論文を擁護することこそが、悪!」「杉田論文を全否定しない者は差別主義者!」というムードに完全に染まっていた。なにしろ、この頃になったら、メディアが競って杉田論文を叩き、大衆の怒りを扇動していたのである。
杉田論文をきちんと読んだLGBT当事者が「それは尾辻かな子氏の誤読もしくはデマ」と反論しても、「差別主義者!」と罵られて、ネットリンチにかけられておしまい。他人事だから杉田論文も読もうともせず、扇動に乗せられた異性愛者が、LGBT当事者を「差別主義者」として叩く。まさにマジョリティの傲慢。そもそも、LGBTを差別してきたのは、あなたがたではなかったか?
知識人・文化人・言論人までが、こんな調子なのだから、痴れ者ここに極まれり。一億総軽率! 杉田論文を読んでないというのは、つまり、原典には当たってないということだ。知識人・文化人・言論人と呼ばれるにふさわしくない愚鈍な者どもが、社会からあぶり出されたということでもあるが、彼らはいまだにそれに気づいてない。
世の中、愚か者と腰抜けばかりだ!
加えて、「新潮45」10月号発売直後には、しばき隊ウォッチャー各位があきれてひっくり返るレベルの、さらなる展開があった。
なんと、新潮社出版部文芸の公式ツイッターアカウント(https://twitter.com/Shincho_Bungei)までがしばき隊に同調……一体、どういうエンタメだよっ?(苦笑)(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

▼森奈津子(もり・なつこ)
作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko
◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー
今年の主役は大田拓真か、久々のNJKF出場! 堀田春樹
今回のメインイベンター大田拓真は、2019年11月30日にS-1ジャパン55kg級トーナメント覇者となり、2021年9月19日、波賀宙也に判定勝利して以来のNJKF本興行出場。コロナ禍の影響で中止に至ったタイトル挑戦もあり、他には「KNOCK OUT」や「Krush」などへの出場もあって、NJKF出場は久しぶりという感がありました。
◎NJKF 2023 1st / 2月26日(日)後楽園ホール17:30~20:35
主催:ニュージャパンキックボクシング連盟 / 認定:NJKF
(戦績は主催者発表にこの日の結果を加えたものです。試合レポートは岩上哲明記者)

◆第10試合 フェザー級3回戦
大田拓真(新興ムエタイ/ 1999.6.21神奈川県出身/57.1kg)31戦22勝(5KO)7敗2分
VS
大翔(WSR・F荒川/1998.5.21鹿児島県出身/ 57.15kg)15戦9勝(5KO)6敗
勝者:大田拓真 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:竹村30-29. 少白竜30-28. 椎名30-28
大田拓真は前・WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン(第7代/防衛1度)
大翔は現WMC日本フェザー級チャンピオン(第5代)
初回、大田拓真のハイキックでスタート。大翔も切れ味があるミドルキックで反撃。基本に忠実な戦いをする二人だが、終盤に大田拓真のパンチが決まるもノックダウンまでは至らず。
第2ラウンド、両者とも切れがいい蹴りを繰り出すが単発で終わることが多く、大田拓真が大翔の攻撃に合わせる展開が続く。大田拓真の右ストレートが決まり、大翔はフラッシュダウンですぐに立ち上がり、ノックダウンポイントを取らせなかった。
最終第3ラウンド、大翔のヒジ打ちを大田拓真はクリンチでかわしていく。更に大田拓真はカウンターのヒザ蹴りとパンチで大翔の攻撃を防ぎ、主導権を譲らず終了。
大田拓真は試合後「あのフラッシュダウンはノックダウンかと思いましたが、勝てることが出来ましたのでよかったです」とコメント、「次回も頑張ります!」と笑顔で応えてくれました。


◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦
NJKFスーパーフェザー級5位.龍旺(Bombo Freely/2002.1.20茨城県出身/58.75kg)6戦5勝(2KO)1分
VS
同級7位.史門(東京町田金子/2000.9.1神奈川県出身/ 58.9kg)5戦4勝(2KO)1分
引分け 1-0
主審:中山宏美
副審:竹村28-28. 少白竜28-27. 多賀谷28-28
関係者の多くが注目しているカード。初回、史門は果敢に攻めていき、龍旺はガードをしながら隙を突いて攻める展開。龍旺の右ストレートで史門は一瞬グラつくも互角の展開が続く。
第2ラウンド中盤には、史門がいきなりの左ストレートカウンターがクリーンヒットし、龍旺は思わずノックダウンする。ダメージは少なく龍旺はすぐ立ち上がるが、焦りのせいかパンチが大振りがち。史門は冷静に対処し、龍旺は首相撲で切り崩し、ラスト3秒で史門に右ストレートを決めるがノックダウンを奪えず。
第3ラウンド、スタミナが切れ始めた史門に龍旺は首相撲を主体に攻撃をしていくが、史門はクリンチワークで龍旺のペースを握らせない。龍旺の攻勢が続くもノックダウンを奪えず判定は引分け。
試合後 龍旺は自身に対してだろうか悔しそうな表情。一方の史門も「悔しい」とのコメントをしていたが、上位相手だったことや次に繋がるという言葉を聞き、「次は勝ちます!」と応えました。




◆第8試合 61.0kg契約3回戦
山浦俊一(新興ムエタイ/1995.10.5神奈川県出身/60.95kg)
31戦17勝(3KO)12敗2分
VS
NJKFライト級3位.TAKUYA(K-CRONY/1993.12.31茨城県出身/60.75kg)
12戦7勝4敗1分
勝者:山浦俊一 / 判定2-0
主審:椎名利一
副審:中山29-28. 少白竜29-28. 多賀谷29-29
山浦俊一は前・WBCムエタイ日本スーパーフェザー級チャンピオン(第8代/防衛1度)
試合前にTAKUYAは「山浦選手はキャリアは上ですが、気持ちで負けず、KO勝ちを狙います!」とコメント。
試合開始早々にTAKUYAはバリエーションある蹴りで仕掛ける。一方の山浦俊一はローキックで主導権を掴もうとする。手数が多いTAKUYAに対して山浦は巧みにブロックをしていく。
第2ラウンドも同様にローキックを続ける山浦とTAKUYAはアウトスタイルで攻撃を仕掛ける。TAKUYAはアグレッシブだが、山浦は有効打を打たせない。
最終第3ラウンド、山浦のローキックでダメージが出てきたTAKUYAだが、手数を減らさずパンチを中心に攻勢を仕掛ける。山浦の首相撲で揺さぶられるが、TAKUYAは耐え切り打ち合いに持ち込む。試合終了のゴングが鳴り、山浦はガックリと頭を落とし、TAKUYAは勝ちを確信して腕を挙げるが、山浦の僅差判定勝利。
試合後 TAKUYAは「負けてしまってすみません!」とコメント。王者相手に互角近い戦いをしていたことを伝えると、笑顔になり「次回は必ず勝ちますので応援に来てください!」と応えました。


◆第7試合 バンタム級3回戦
NJKFバンタム級3位.嵐(キング/2005.4.26東京都出身/53.1kg)9戦7勝(2KO)1敗1分
VS
NKBバンタム級5位.佐藤勇士(拳心館/1991.8.12新潟県出身/53.4kg)19戦6勝12敗1分
勝者:嵐 / TKO 1R 2:51 / カウント中のレフェリーストップ
主審:竹村光一
計量時にはNJKFとNKBの交流戦として、両選手ともに「団体の代表としてKO勝ちします」と語り、二冠王者の羅向選手が今回の興行の注目カードの一つとしてコメント。
両選手ともに小刻みで切れのいい蹴りとパンチの攻防で観客の目を引き始めていく中、嵐の飛びヒザ蹴りから左右のボディブローが佐藤勇士の右脇腹に決まる。たまらずノックダウンした佐藤勇士、立ち上がるも同じ個所に嵐の左右のパンチを貰い悶絶しながらノックダウン、そのままレフェリーストップで終了。
試合後、嵐は「左右のボディーへのパンチは偶然でしたが、飛びヒザ蹴りは狙っていました!」と笑顔で語り、「次もKOで勝ちます!」と力強いコメントをくれました。

◆第6試合 80.0kg契約3回戦 (計量失格の佐野克海に減点1&グローブハンディー有)
NJKFスーパーウェルター級2位.佐野克海(拳之会/80.25kg/2001.4.11岡山県出身/80.25kg)
17戦9勝(4KO)6敗2分
VS
ジェット・ペットマニーイーグル(1996.10.4タイ国出身/80.0kg)
67戦53勝(14KO)11敗3分
勝者:ジェット・ペットマニーイーグル / TKO 3R 1:57
主審:少白竜
開始から佐野克海はパンチのラッシュでKOを狙いにいくが、ジェットは首相撲で勢いを止め、ヒザ蹴りとヒジ打ちを入れていく。
第2ラウンドには佐野はスタミナが切れ気味で、ジェットの首相撲に掴まると首相撲の対応がし切れず、ジェットのヒザ蹴りとヒジ攻撃を貰う回数が増えていく。
最終第3ラウンド、佐野は中盤にジェットの首相撲からのヒザ攻撃でノックダウンし、立ち上がるもコーナーに追い詰められ、更にヒザ蹴りを貰い、2度目のノックダウンを喫したところでレフェリーストップ。
◆第5試合 60.0kg契約3回戦
コウキ・バーテックスジム(VERTEX/1997.9.20栃木県出身/58.85kg)8戦4勝3敗1分
VS
Ryu(クローバー/1990.1.14茨城県出身/58.65kg)3戦2勝(1KO)1敗
勝者:コウキ・バーテックスジム / 判定3-0 (29-27. 29-27. 29-28)
コウキは第1ラウンドを通じて休まず攻撃をし、第2ラウンド開始早々に右ストレートでノックダウンを奪う。Ryuは3ラウンド目にようやく自分のペースを掴み、ラスト30秒にコウキの顔面にパンチをヒットさせるも巻き返しには至らず終了。
◆第4試合 スーパーバンタム級3回戦
島人租根(キング/1997.5.8沖縄県出身/55.0kg)4戦2勝2敗
VS
大岩竜世(KANALOA/2000.7.10岐阜県出身/55.0kg)3戦2勝1敗
勝者:大岩竜世 / 判定0-3 (28-29. 29-30. 28-29)
オーソドックスな島人租根に対抗して変則的な仕掛けとローキックで攻める大岩竜世。第3ラウンド、ローキックでダメージが大きくなった島人の動きが鈍り、大岩が優勢を維持して判定勝利。
◆第3試合 フライ級3回戦
愁斗(Bombo Freely/2001.11.24茨城県出身/50.75kg)4戦2勝2分
VS
甲斐喜羅(ビクトリー/2005.9.27埼玉県出身/50.45kg)3戦2勝1分
引分け 0-0 / 三者とも29-29
愁斗はパンチ、キックを多く繰り出し、甲斐喜羅は3戦目と思えないぐらい冷静な対応。アグレッシブで愁斗、技術で甲斐が優ったが、差は付き難い展開で試合終了。
◆第2試合 アマチュア ヘビー級2回戦(90秒制)
髙木明彦(湘南龍拳1969.2.18大阪府出身)vs福田久嗣(ZERO/1980.5.5栃木県出身)
勝者:福田久嗣 / 判定0-2 (19-20. 19-19. 19-20)
初回は高木明彦の攻勢が目立つも、第2ラウンドには福田久嗣が打ち合いに持ち込むと高木をノックダウン寸前まで追い込んだ。
◆第1試合 アマチュア 60.0kg契約2回戦(90秒制)
アニマルタケ王(D-BLAZE/1983.2.2大阪府出身/59.65kg)
VS
篠原まむし(矢場町BASE/1975.6.18岐阜県出身/57.5kg)
勝者:アニマルタケ王 / TKO 2R 0:47
アニマルタケ王はアマチュアらしからぬ攻勢で1ラウンド目にヒザ蹴りでノックダウンを奪い、第2ラウンド目では右ストレートでノックダウンを奪い、カウント中のレフェリーストップによるTKO勝ち。
《岩上哲明記者レポート》
二冠王者の羅向選手や元王者などから「第7試合(嵐vs佐藤勇史)や第9試合(龍旺vs史門)はKOが期待できるのでお勧めです!」という声が興行前日に挙がっていました。一番印象に残った嵐選手がダウンを奪った飛びヒザ蹴りからボディーへの左右ストレートは、往年の光本成三選手(目黒→G1)が当時の王者、越川豊選手を追い込んだ飛びヒザ蹴りからのヒザ蹴りを彷彿させるものでした。
セミファイナル龍旺vs史門戦とメインイベント大田拓真vs大翔戦は勝利への意地が感じられ、KOは無かったものの良い試合でした。今回はタイトル絡みは無かったものの、次回以降の興行で組まれると予想します。
また、リングを下りると礼儀正しく、今後応援したいと思わせる選手が増えているような印象があり、団体、各ジムで引き続きサポートをいろいろな角度で強化をしていくことが躍進への道ができるのではと思った興行でした。(岩上哲明)
《取材戦記》
年明け最初の興行として、NJKFは長らく毎年2月がスタートとなっていますが、“新春”とは言い難く、今年はタイトルマッチも無ければ年間表彰式も無い静けさがありました。
近年は地方興行やDUEL興行が充実し、13回に上る年間興行に今年のタイトルマッチ絡みの躍進に期待したいものです。(堀田春樹)
NJKF興行は3月26日(日)にGENスポーツパレスで女子中心の興行「GODDESS OF VICTORY」が16時30分より開催。
4月16日(日)は後楽園ホールで17時30分より本興行「NJKF 2023.2nd」が開催。
4月30日(日)には岡山コンベンションセンターにて13時30分より拳之会興行「NJKF 2023 west 2nd」が開催予定です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」


『季節』2023年春号 刊行にあたって 季節編集委員会
制御力を失った電車は、軌道があっても止まることを知らず線路が果てるまであるいは、停車中の車両や車止めにぶつかるまで暴走します。しかし、電車の暴走事故は軌道から離れた環境にはさして大きな損害を与えません。
他方、軌道上の走行や移動を想定していない交通手段の故障は、予想できない範囲に及びます。航空機が操縦不能に陥ると、いかなる角度に向かって飛んでゆくか想定は困難です。墜落の局面でもどこに堕ちるのか不明ですし、見方を変えればどこが「墜落被害」を被るのかも想定できません。
それでも「墜落被害」は多くの場合、一国を滅ぼすような甚大なものではなく地域に限られるでしょう。「電車の制御力不能」や「航空機の操縦不能」は操縦者や乗客さらには追突される電車や墜落地で巻き添えを食らう人々に、甚大な恐怖感と生命の危機を強いる点で共通項を見出すことができますが、わたしたちの暮らす実時間、2023年春はそれらの被害や恐怖をはるかに凌駕する、軌道も操縦も失った大暴走の時代だと言わねばなりません。
愚劣な政治家(不幸にも現時点で総理大臣)岸田文雄は、選挙や国会での審議なしに原発運転の期間を60年以上に延ばすことを勝手に決めました。この国ではいつから「閣議決定」さえあれば、従前の法律や憲法の解釈変更が可能になったのでしょうか。日本は法治国家などではなく、明らかな「無法地帯」以外のなにものでもない、この残念な現実を岸田はさらに強力に証明することに血道を上げているようです。
原発の60年超え運転だけで満足せず、原発の新増設や新型原発の開発まで、真顔で語り始めています。危険で非効率極まりなく実現可能性のない戯言を堂々の宣うことにより、岸田は狂気時代の先頭走者として「破滅が必定」な地へ向け暴走を続けています。岸田並びにそれに与する議論には、なんの科学意的根拠、論理性、倫理性そしてあえて付言すれば経済性の欠片もありません。究極的とも言える「暴論の暴走」です。
本誌は岸田が繰り広げる暴論とは真逆の地に立っています。岸田の虚言と正反対の地平に真実があることを本誌(われわれ)は知っているだけではなく経験しました。冷静な判断能力の持ち主にとって原発は「必ず事故を起こす。事故が起きれば制御できない」構造物であることは明白です。原発はいったん事故が起きれば「軌道」がなく、人間が制御できるものではないことを、この国に住むひとびとは僅か12年前に福島で経験したではないですか。78年前には兵器(原爆)として広島と長崎で凄惨極まる被害を受けたではないですか。その広島の地が生み出した政治家、岸田により原発・原爆被害の事実と歴史が見事に踏みつぶされています。
季節は移ろいますが本誌は反原発・反核兵器から絶対に、1ミリも後退しません。岸田に象徴される反理性を、思想と事実において撃滅せしめる地平を切り拓こうではありませんか。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
季節 2023年春号
NO NUKES voice改題 通巻35号 紙の爆弾 2023年4月増刊
《グラビア》福島発〈脱原発〉12年の軌跡(写真=黒田節子)
東海村の脱原発巨大看板(写真=鈴木博喜)
樋口英明(元裁判官)
《コラム》原発回帰と安保政策の転換について
小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《コラム》戦争は静かに日常生活に入って来る
《講演》放射能汚染水はなぜ流してはならないか
乾喜美子(経産省前テントひろば/汚染水海洋放出に反対する市民の会)
《アピール》放射能汚染水反対のハガキ作戦やっています
今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
《講演》懲りない原子力ムラが復活してきた
日本の原子力開発50年と福島原発事故を振り返りながら
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福島第一原発事故 12年後の想い
森松明希子(東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream[サンドリ]代表)
あなたは「原発被害」を本当に知っていますか
黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
フクシマは先が見えない
伊達信夫(原発事故広域避難者団体役員)
何を取り戻すことが「復興」になるのか
今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
呆れ果てても諦めない
佐藤八郎(飯舘村議、福島県生活と健康を守る会連合会会長、生業訴訟原告団)
私たちが何をしたというのか
佐藤みつ子(飯舘村老人クラブ副会長、生業訴訟原告団)
悔しさだけが残ります
門馬好春(30年中間貯蔵施設地権者会会長)
中間貯蔵施設をどうするか
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鈴木博喜(『民の声新聞』発行人)
区域外避難者はいま
水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裏切られた2つの判決
福島原発刑事裁判と子ども脱被ばく裁判
漆原牧久(「脱被ばく実現ネット」ボランティア)
病気になったのが、自分でよかった
311子ども甲状腺がん裁判第3回・第4回口頭弁論期日報告
山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「原発政策大転換」の本命 60年超えの運転延長は認められない
井筒和幸(映画監督)×板坂 剛(作家/舞踏家)
《対談》戦後日本の大衆心理[前編]
佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
反社はゲンパツに手を出すな!
三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
突然のごとき政治的変更を目前にして
山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈19〉
2023年に生きる私が、死について考える
再稼働阻止全国ネットワーク
原発の再稼働と再稼働の全力推進に怒る! 岸田内閣に大反撃を!
「規制をやめた」規制委員会に怒り! 山中委員長と片山長官は辞任せよ!
《全国》永野勇(再稼働阻止全国ネットワーク)
総攻撃には総力を結集して反撃を!
「福島を忘れない!原発政策の大転換を許すな!全国一斉行動」の成功を!
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
岸田政権による原発推進政策に抗し、女川原発2号機の2024年再稼働阻止を!
《福島》橋本あき(福島県郡山市在住)
「環境汚染」から「裁判汚染」まで 多岐にわたる汚染
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
東海第二原発差止訴訟・控訴審決起集会に参加して
《東海第二》柳田 真(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
東京に一番近い原発=東海第二原発 2024年9月の再稼働を止めるぞ!
《東京》平井由美子(新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会)
環境省が新宿御苑へ放射能汚染土を持ち込もうとしている!
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
原発推進に暴走する岸田政権、追従する大阪地裁 行きつく先は原発過酷事故
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
再稼働推進委員会が経産省と癒着、「規制の虜」糾弾
《反原発自治》けしば誠一(杉並区議会議員/反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
岸田政権の原発推進大転換を許すな!
5月27日反原発自治体議員・市民連盟第13回定期総会へ
《読書案内》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
『また「沖縄が戦場になる」って本当ですか?』ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 編
反原発川柳(乱鬼龍選)


福島第一原発事故から12年 ── 汚染水の実態を虚偽広告する経産省(資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室)に直撃電話インタビュー! 田所敏夫
新聞を情報入手の発信源として、毎日目を通す必要があるのかどうか。年々新聞に対するわたしの不信感と嫌悪感が増してはいるのであるが、それでも漫然と新聞購読は続けている。記事の5割以上に「なに言っているんだ!」と内心舌打ちするのは、毎朝のいわばルーティーンで、ときに堪忍袋の緒が切れる。加齢によって堪え性が減じる兆候であろうか。
花粉症でただでも鬱陶しいこの季節に、またしても度し難い文言が目に入ってきた。今次は新聞記事ではなく、経済産業省の広告である。
「みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと」と、促されたので、考えた。でも、考えても、考えても、わたしの知識からは広告全体が伝えようとしているメッセージにどうしても得心がゆかない。
広告は、
Q.ALPS処理水って何?
A.東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことです。トリチウムについても安全基準を満たすよう、処分する前に海水で大幅に薄めます。
といった体裁で、QアンドAは上記を含め4つある。ちょっとでも原発問題に関わっている人間には、アホらし過ぎて反論する気も失せる虚偽だらけだ。しかしこの広告は経済産業省つまり国がわれわれの税金を使って新聞に掲載している。少ないながらも納税者であるわたしにも、ことの真相を問いただす権利はあろうし、国が悪化な嘘を吹聴していることを問いだす責任があろう。

そこで経産省傘下資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室(電話:03-3580-3051)に「考えよう」と指示された内容を教えてもらうために電話をかけた。
以下はその内容であるが、やり取りには重複や会話特有の不明点があるのでその箇所は適宜修正している。
◆「安全だ」とは書いていないけれども、汚染水は「安全」だと理解してもよいのでしょうか?
田所 恐れ入ります。新聞に「みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと」と広告が出ていました。そのことについてお尋ねするのはこちらでよろしいですか。
対応者 内容によって変わってくるかと思うんですけれども、一応こちらでお伺いできればと思います。
田所 「みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと」と書かれた広告のことですが「海に流して大丈夫? 本当に安全?」とQ(質問)に書かれていてA(回答)に「安全確保に万全を期します」と答えで書かれています。この広告によれば汚染水が「安全」だと理解していいのでしょうか。
対応者 そうですね。ここに書かせていただいている通りのことですけれども。
田所 「安全確保に万全を期します」と書いてあるけれども「安全」とは書かれていないのですね。
対応者 はいはい。
田所 「安全確保に万全期す」とはたとえば火災の場合でも、「万全を期して」防火しても火事が起きたら「安全」ではなかったと結論づけられます。
対応者 はい。
田所 「安全だ」とは書いていないけれども汚染水は「安全」だと理解してもよいのでしょうか。
対応者 その前半部に環境や人体の影響を書かせていただいているので……
◆処理水の7割は法令以上に汚染されている。なのになぜ安全と言えるのですか?
田所 Q&A(質問・回答)が4つ掲載されています。質問は「ALPS処理水って何?」、「なぜ、ALPS処理水の処分が必要なの?」、「海に流して大丈夫?本当に安全?」、「もっと詳しい情報は何処で確認できるの?」です。ですからお尋ねしているのですが、「処理水は安全」であるのが間違いはない、ということですね。

対応者 そうですね。充分希釈して放出することは図って頂いていることですので。
田所 希釈というのは何を希釈するのですか。
対応者 放出する物質を海洋放出するものを希釈させていただくということになっておりますので。
田所 希釈、は何か物質を希釈する訳ですね。
対応者 ALPS処理水ですね。
田所 汚染水を希釈しているから、大丈夫だと。
対応者 そ、そういうことになります。
田所 「トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことです」と書かれていますけれども、トリチウムは安全基準まで下がっていないということですか。
対応者 その下に書かせていただいている通り、トリチウムについても充分に希釈して、その前に希釈して。
田所 トリチウム以外のものは全部取り除けているということですか。
対応者 安全基準を満たすまで浄化しておりますね。
田所 わたしが知る限り、トリチウム以外の汚染濃度が法令基準以下に下がっているのは、汚染数い総量の30%だけでしょ。
対応者 しかし、その30%、えっと70%、70%は再度二次処理を済ませて同じようなところに……。
田所 だから、安全基準内に落ちているのは30%だけなのではないですか。
対応者 いえいえ。放出する際には全部。
田所 現在放出ができる基準の値まで下りているのは貯めている汚染水全体の30%だけではないですか。
対応者 現在の話ですね。
田所 そうです。
対応者 そうですね。
田所 そうでしょ。ということは「ALPS処理水が安全だ」というのは事実とは違うじゃないですか。安全基準を満たさない残りの70%も一応ALPSで処理したのでしょ。
対応者 そうですね。それを再度浄化して。
田所 あなたは「ALPS処理水は安全で間違いないですか」とわたしがお尋ねしたら「安全で間違いない」と先ほどおっしゃいましたね。
対応者 はい。
田所 でも汚染水の30%だけがトリチウムを除く規準が法定以下に落ちているだけであって、70%は法定基準の汚染のまま残っているということですね。
対応者 はい。
田所 そうであれば汚染水は「安全」ではないのではないですか。
対応者 (無言)
田所 いかがですか。
対応者 どこをもって「安全」とするかについては、放出の際に関してはすべて同じく処理させて頂きますので。
田所 では当面放出するのは汚染水の30%だけですか。
対応者 はい、はい、はい。(その後長い沈黙)
田所 この広告では「ALPS処理水」と書いてありますが、今の説明を伺うと「ALPS処理水」が安全なものと勘違いしますね。
対応者 はい、はい、はい。
田所 トリチウムを除いて法令基準以下に出来ているものは30%だけなのですね。
対応者 現在のALPSでは3割になるんですけれども。
田所 現在のALPSではなく、一度使った水、汚れている水で法令基準値以下に値が下げられているものは3割以下ということですね。
対応者 はい、はい、はい。
田所 7割は法令基準値以上だから、流すことは出来ないわけでしょ。
対応者 はい、そうですね。そのままでは流せません。
田所 でもそのような汚染水も「ALPS処理水」と呼んでいるのではないですか。
対応者 そうですね、そこについてちょっと担当に……。
田所 これは専門的な内容ではなく、新聞に載っている広告です。わたしたちのように素人が見るものです。そこに「みんなで知ろう。考えよう。」と書かれているからわたしも「知ろう。考えよう。」と思って聞いているの。
対応者 はい。
田所 安全ですかとお尋ねしたら、「安全です」とおっしゃるので、法令基準値以上なのに、なぜ安全なのですか、とお尋ねしているのです。
対応者 放出する際のというところになるかと思います。
田所 この広告のどこに書いてありますか。
対応者 (長い沈黙のあと)「処分する前に海水で大幅に薄めます」というところになると思います。
田所 ん? でも「ALPS処理水のこと」と書いてあるけども、ALPS処理水には、法令基準値以上に汚染された70%以上のものを含むわけでしょ。
対応者 はい。
田所 それでは安全ではないものを含んでいるじゃないですか。
対応者 はい、はい。
田所 それどころか7割がたは安全ではないもの、じゃないですか。
対応者 (沈黙)
田所 今教えていただいた内容によれば、7割は法令以上に汚染されている。なのになぜ安全と言えるのですか。国が。
対応者 (沈黙)
◆「嘘も百回言えば本当になる」
田所 ダイオキシンの濃度は現在は規制されていますね。ダイオキシンを出す焼却炉は、今使えませんよね。でも同様に法令違反なのにALPS処理水と書かれているものが、あたかも安全かのように誤解しそうです。それでも安全とおっしゃるのですか。
対応者 そうですね。
田所 ALPS処理水はこれから海に流そうとしている汚染水だけではなく。タンクに溜まっている汚染水も含みますね。
対応者 はい、はい。
田所 その中にはトリチウム以外の核種が、いまだに法令基準をはるかに上回る濃度で入っている汚染水も含まれますね。
対応者 はい。
田所 それは安全ですか。
対応者 そのもの自体に関しては、安全じゃないと思います。
田所 でも、そのもの自体についても「ALPS処理水」と呼ぶのでしょ。
対応者 はい、はい。
田所 それでは「ALPS処理水は安全だ」という論は立たないのではないですか。
対応者 はい。そういったご意見があったことについては……。
田所 意見ではありません。客観的事実をお尋ねしている。「ALPS処理水は安全だ」と最初に教えて頂いたのですが、お尋ねしているうちに「ALPS処理水の7割は法令基準値を超える核種が含まれている」と言われた。であればそれは法令基準以上だから安全と呼ぶ対象にはならないのではないですかと。わたしは意見ではなく聞いているんです。
対応者 ちょっと確認させて頂きたいと思います。
国はあらゆる手を使って国民を騙し、不都合な事柄は「無かったことにしよう」と税金を使い宣伝する。残念なことにアドルフ・ヒトラーによる「嘘も百回言えば本当になる」との権力者発信情報の特質は、依然として有効だ。だからわたしたちは日々、少々面倒くさくても、情報の取捨選択や、偽り情報を流す者に対しての忠告を怠ってはならないのだろう。
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。著書に『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社)がある。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
季節 2023年春号
NO NUKES voice改題 通巻35号 紙の爆弾 2023年4月増刊
《グラビア》福島発〈脱原発〉12年の軌跡(写真=黒田節子)
東海村の脱原発巨大看板(写真=鈴木博喜)
樋口英明(元裁判官)
《コラム》原発回帰と安保政策の転換について
小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《コラム》戦争は静かに日常生活に入って来る
《講演》放射能汚染水はなぜ流してはならないか
乾喜美子(経産省前テントひろば/汚染水海洋放出に反対する市民の会)
《アピール》放射能汚染水反対のハガキ作戦やっています
今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
《講演》懲りない原子力ムラが復活してきた
日本の原子力開発50年と福島原発事故を振り返りながら
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福島第一原発事故 12年後の想い
森松明希子(東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream[サンドリ]代表)
あなたは「原発被害」を本当に知っていますか
黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
フクシマは先が見えない
伊達信夫(原発事故広域避難者団体役員)
何を取り戻すことが「復興」になるのか
今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
呆れ果てても諦めない
佐藤八郎(飯舘村議、福島県生活と健康を守る会連合会会長、生業訴訟原告団)
私たちが何をしたというのか
佐藤みつ子(飯舘村老人クラブ副会長、生業訴訟原告団)
悔しさだけが残ります
門馬好春(30年中間貯蔵施設地権者会会長)
中間貯蔵施設をどうするか
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鈴木博喜(『民の声新聞』発行人)
区域外避難者はいま
水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裏切られた2つの判決
福島原発刑事裁判と子ども脱被ばく裁判
漆原牧久(「脱被ばく実現ネット」ボランティア)
病気になったのが、自分でよかった
311子ども甲状腺がん裁判第3回・第4回口頭弁論期日報告
山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「原発政策大転換」の本命 60年超えの運転延長は認められない
井筒和幸(映画監督)×板坂 剛(作家/舞踏家)
《対談》戦後日本の大衆心理[前編]
佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
反社はゲンパツに手を出すな!
三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
突然のごとき政治的変更を目前にして
山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈19〉
2023年に生きる私が、死について考える
再稼働阻止全国ネットワーク
原発の再稼働と再稼働の全力推進に怒る! 岸田内閣に大反撃を!
「規制をやめた」規制委員会に怒り! 山中委員長と片山長官は辞任せよ!
《全国》永野勇(再稼働阻止全国ネットワーク)
総攻撃には総力を結集して反撃を!
「福島を忘れない!原発政策の大転換を許すな!全国一斉行動」の成功を!
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
岸田政権による原発推進政策に抗し、女川原発2号機の2024年再稼働阻止を!
《福島》橋本あき(福島県郡山市在住)
「環境汚染」から「裁判汚染」まで 多岐にわたる汚染
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
東海第二原発差止訴訟・控訴審決起集会に参加して
《東海第二》柳田 真(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
東京に一番近い原発=東海第二原発 2024年9月の再稼働を止めるぞ!
《東京》平井由美子(新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会)
環境省が新宿御苑へ放射能汚染土を持ち込もうとしている!
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
原発推進に暴走する岸田政権、追従する大阪地裁 行きつく先は原発過酷事故
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
再稼働推進委員会が経産省と癒着、「規制の虜」糾弾
《反原発自治》けしば誠一(杉並区議会議員/反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
岸田政権の原発推進大転換を許すな!
5月27日反原発自治体議員・市民連盟第13回定期総会へ
《読書案内》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
『また「沖縄が戦場になる」って本当ですか?』ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 編
反原発川柳(乱鬼龍選)


「押し紙」と表裏関係、折込広告の水増し問題、古紙回収業者の伝票が示す凄まじい実態 黒薮哲哉
事実を裏付ける資料は、報道に不可欠な要素のひとつである。新聞や雑誌などの紙媒体はスペースに制限があるので、資料を全面公開するには物理的な限界があるが、インターネット・メディアには限界がない。この当たり前の原理を最も有効に生かしたメディアは、恐らくジュリアン・アサンジが設立したウィキリークスではないか。生の資料を公開することで、記事の記述の裏付けを提示している。
先日、筆者は読売新聞販売店の元店長から、膨大な量の内部資料を入手した。その中で注目した資料のひとつに、古紙回収業者が販売店に発行した伝票がある。そこには業者が回収した残紙量と折込広告の量が明記されている。
残紙の実態は、「押し紙」裁判などを通じて、かなり明らかになってきたが、水増しされ、廃棄される折込広告の数量が伝票上で明らかになったのは、筆者の取材歴の中では今回が初めてである。抜き打ち的に伝票を写真付きで紹介しよう。
◆過剰になった折込広告を裏付ける伝票
まず伝票で使われている用語について事前に説明しておこう。「残新聞」とは残紙(広義の「押し紙」)のことである。「色上」とは、折込広告の事である。年月日の表記は、元号で表記されている。従って本稿でも例外的に元号を使用する。ただし(括弧)内に正規の年月日を示した。
元店長によると、古紙回収業者は月に2回から3回、残紙と折込広告を回収していたという。
■平成27(2015年)年8月26日
残新聞:6480kg
色上(折込広告):1210Kg
■平成28年(2016年)11月21日
残新聞:7320kg
色上:1250Kg
■平成30年(2018年)7月5日
残新聞:7010kg
色上:810Kg

◆折込広告の水増しの背景
折込広告が水増し状態になる背景には、残紙の存在がある。残紙とは、広義の「押し紙」、あるいは「積み紙」のことである。広告代理店が販売店に割り当てる折込広告の枚数(折込定数)は、新聞の搬入部数に一致させる基本原則がある。そのために搬入部数に残紙が含まれていても、残紙分の折込広告がセットになってくる。その結果、折込広告の水増しが生ずるのだ。
もっとも最近は、残紙問題を知っている広告主が多く、折込広告を発注する段階で、自主的にABC部数よりも少ない数量に折込枚数を調整することが多い。それにもかかわらず折込広告が水増し状態になるケースが少なからずある。
今回、紹介した3通の伝票を見る限り、残紙の量と過剰になった折込広告の量がアンバランスになっている。大野新聞店は新聞代金が納金できなくなり、廃業に追い込まれており、従って折込広告を過剰に受注していたとはいえ、それによる利益よりも、残紙による被害額の方が大きかった可能性が高い。
◆「押し紙」問題と折込広告の水増し問題
従来、「押し紙」問題といえば、新聞業界内部の商取引の問題として認識されてきたが、折込広告の水増し問題が絡んでくると、業界の境界を超える。しかし、「押し紙」裁判で、広告主が受ける被害について徹底した審理が行われることはあまりない。裁判の争点が、新聞社と販売店の商取引に限定されるからだ。
しかし、折込広告の水増し問題を放置し続ければ、広告主が被害を被る状況が延々と続く。公正取引委員会も、裁判所もそれを承知の上で、新聞社の「押し紙」政策を容認してきた経緯がある。新聞業界の汚点を逆手に取れば、メディアコントロールが容易になるからだ。
次に示すYouTube動画は、山陽新聞の元店主が撮影したものである。新聞販売店の店舗から搬出されてトラックに積み込まれる段ボール箱の中には、残紙と水増しされて過剰になった折込広告が入っている。
段ボールは「親会社」から提供されていたという。
動画を撮影した店主は、山陽新聞の販売会社を相手に「押し紙」裁判を起こし勝訴(2011年3月15日、岡山地裁)した経緯がある。判決の中で裁判所が折込広告の水増し行為を認定したわけではないが、この事件が折込広告の水増しについて考察する糸口を与えた。
折込広告の水増し行為は、「押し紙」問題と表裏関係にある。そのための材料を今回、大野新聞の元店長が新たに提供してくれたのである。
▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu


対米従属で暴走する岸田総理への忖度か?! 「はだしのゲン」そして「第五福竜丸」を強行削除する広島市教育委員会の腐朽 さとうしゅういち
度々ご報告している通り、広島県教育長は腐りきっていますが、広島市教育委員会も暴走が止まりません。
ひとつは、「はだしのゲン」を小学生の平和教育の教材から削除するということです。
もうひとつは、同じように中学生の平和教育の教材から「第五福竜丸」を削除するということです。

◆はだしのゲン削除強行
はだしのゲンは故・中沢啓治さんの不朽の名作です。現状では、広島市では小学校三年生の平和教材として使われています。これに対して、広島市教委は削除をすることを決定してしまいました。これに対して、被爆者団体からは相次いで削除に対して抗議の声が上がりました。
広島市教委も、結局、被爆者団体に対して、子どもたちがいつでも読めるようにするという趣旨の回答をせざるを得ない状況に追い込まれました。しかし、平和教材から削除されたのは残念です。
他人の池の鯉を盗むシーンについても、戦争というものが人々の暮らしを壊してしまうということをよく伝えていると思います。そのあたりは、きちんと先生が説明すれば、子どもたちが誤解するということはないと思います。
◆「はだしのゲン」削除は、教育委員会の暴走だった
平和教材の変更は、有識者による改訂会議を経てされた、とされています。しかし、真相は違うようです。日本共産党の近松議員は「有識者の改訂会議の議事録を読んだだけでは、はだしのゲンを削除する理由はみあたらない」と質問(13:21から)。しかし、13:50からの当局は、「教育委員会職務権限で決めた」と答弁しています。有識者の議論ではなく、当局が一方的に提案し、一方的に決めたのです。
◆第五福竜丸抜きには反核平和運動の歴史は語れぬ
1954年3月1日にアメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で多数の船舶や地元住民がヒバク。特に第五福竜丸の乗組員の久保山愛吉さんが亡くなったことで当時の日本人に衝撃を与えました。杉並区の主婦らの運動を契機に原水爆禁止運動が盛り上がり、1955年8月6日の第一回原水爆禁世界大会につながっていきます。
もちろん、ヒバクしたのは第五福竜丸だけではなく、高知県など多くの漁船がヒバクしました。そして、地元住民も多数ヒバクしました。従って、この水爆実験を第五福竜丸事件と呼んでしまうのは筆者にはためらわれますし、反核平和運動でも「ビキニデー」という言い方をします。だが、だからといって、第五福竜丸を削除してしまっては、反核平和運動の歴史の流れが意味不明になってしまいます。たとえは不適切かもしれませんが徳川家康の名前を知らないで江戸時代の歴史を学ぶのと同じような話です。
◆第五福竜丸も有識者会議とは全く相容れぬ
筆者の友人が入手した「第2回平和教育プログラム改訂会議 構成員発言内容概要」(2021年2月19日)の会議録には、次のような発言が載っています。この発言内容と、「削除」は、まったく相容れないのではないでしょうか。
▼中学校長の発言
「第五福竜丸の部分なのですが、単に被爆したということだけが載っています。さらに、指導案の方にも、被爆した、としか書かれていません。生徒にとっては、そんなことがあったのかということがピンとくるのか、こないのか、よくわからないところがあります。そこで、当時の船の記録が残っていると思うのですが、指導案の方にも、そういった資料を少しでも載せておけば、授業される先生方にとってよいのかなと思います。もちろん、本文に入ればよいのですが、難しいのであれば、補助資料として指導資料の方に載せておいてほしいと思います」▼事務局説明(中学校)
「ありがとうございます。検討します」▼(名前・肩書は黒塗り)
「第五福竜丸のことは歴史的に見ると他のいろいろなことに影響を及ばしたことなので、そういったことも入れながら、ということも検討していただきたいと思います」
このようなやりとりの結果が、なぜ「削除」という結論になるのでしょうか。さっぱりわかりません。
◆対米従属で暴走・迷走する総理への忖度か?
筆者は、市教委はどうも、地元選出の岸田総理に忖度しているのではないか?と思ってしまいます。実際に、知事の湯崎さんも市長の松井さんも地元選出の総理には忖度しまくりの雰囲気がビンビンに伝わってくるからです。
いま、地元選出の岸田総理の暴走・迷走が全国の皆様にご迷惑をおかけしています。このことを心からお詫び申し上げます。ロシアのウクライナ侵略に悪乗りした軍事費倍増・そのための大増税への暴走。そして、安全保障環境が危ないと言いながら有事に標的になりかねない原発は増やすという。低すぎる食料自給率にもほとんど無策。そんな迷走。
地元・広島でのG7サミットを目前に控えた岸田総理。アメリカの下請けをすることで、いわば「名誉白人」扱いしてもらっていい気になっているだけのようにも思えます。この点では、イランなどとの外交もそれなりに重視していた安倍晋三さんよりも酷いのです。
増やした軍事費で買った武器も実際には、アメリカに指揮権が実質的にはあるという有様。こうした中で、広島湾では、初めて、アメリカ軍の大型艦を使った大規模な米日共同軍事演習が行われました。
そのタイミングでの「はだしのゲン」「第五福竜丸」削除です。アメリカに都合が悪いことを削ろうというのではないか?
しかし、もし、筆者の危惧するような忖度だとしたら、逆に、その意図とは逆に、「はだしのゲン」や「第五福竜丸」に注目を集めてしまったのではないかとも思うのです。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

『紙の爆弾』2023年4月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大
岸田文雄首相は同性婚について、「全国民にとって、家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と否定。日本会議や旧統一教会との価値観の共有を明らかにしたのち、差別発言の秘書官を即日更迭した2日後には、“極右の女神”こと櫻井よしこ氏と3時間の会食。そのうえで「LGBT理解増進法」に向けて具体的な動きを始めました。

こうしたわかりやすさの中でも、マスコミの援護射撃もあるのでしょう。4月の統一地方選は、自民党と旧統一教会の癒着をはじめとした「政治と宗教」がメインテーマであるはずが、はぐらかされ続けているように見えます。周知の通り、“統一教会応援議員”が最も多いのは自民党・安倍派で、そのほとんどが安保3文書や原発回帰に賛成。そうした議員を落とすことが、反差別・反軍拡・反原発を実現していく一手につながります。
4月号では、「全国有志医師の会」代表の藤沢明徳医師にインタビューしました。「全国有志医師の会」は、新型コロナウイルス感染症への対策の見直し、ワクチン接種事業の中止を求め、昨年2月に立ち上げられた医師・医療従事者の団体です。藤沢医師は「新型コロナワクチンは、ワクチンではない」と指摘。その“正体”と、ワクチン後遺症の医療的な対応についても、臨床医の立場から語っていただきました。「全国有志医師の会」ホームページ(https://vmed.jp/)では、ワクチン後遺症に対応する病院のほか、受診の流れや相談窓口などについても紹介されています。ご覧になることをおすすめします。
そのコロナワクチン接種拡大を牽引、現在はデジタル大臣としてマイナンバーカードの普及にいそしむ河野太郎氏について採り上げた3月号は、おかげさまで大きな反響をいただきました。“デマ太郎”“ブロック太郎”と呼ばれる河野氏は、現在さらに「コオロギ太郎」という新たなキャッチフレーズを与えられ、Twitterでトレンド入りしているようです。突如としてブームのように扱われている「昆虫食」。その背景としての「食料危機」を含め、本誌でもレポートの準備を進めています。
警察庁が公表した2022年の犯罪情勢まとめ(暫定値)によると、刑法犯の認知件数は前年比5.9%増。20年ぶりに前年を上回りました。報道では外出自粛の緩和が影響したというものの、「ルフィ」のような闇バイトも要因と推測しています。集められるのは若者に限らないようですが、背景にあるのは貧困よりも将来への絶望。自分の将来をイメージできないことが、リスクに見合わない犯罪に手を染めることにつながるのではと思われます。その代わりに政府が投資・運用を勧めるのは、また「自助」で、政治の責任を投げ出したということなのでしょう。
さらに4月号では、三浦瑠麗氏や竹中平蔵氏、デービッド・アトキンソン氏らの主張と手法を読み解きつつ、「レントシーカー」とはいかなる存在かを分析。また統一地方選に向け、地方議会における公明党の“疑惑”に迫りました。ほか、4月号も盛りだくさんの内容をお届けします。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ご一読をよろしくお願いいたします。
『紙の爆弾』編集長 中川志大

《急報!》明日3・7、英BBCが、ジャニー喜多川の性的児童虐待問題を放映! 鹿砦社が先鞭を切って暴露したジャニーズ・スキャンダルが遂に全世界に発信! ジャニーズ特別取材班
遂にジャニー喜多川(故人)の性的児童虐待問題が世界に配信される。3月7日、英国国営放送のBBCが全世界に向け取材映像を放映、その直後からネットでも視聴可能であると同社のサイトに予告された。https://www.bbc.co.uk/programmes/m001jw7y


報道タブーとされていたジャニーズ事務所から出版差し止め(発禁)の訴訟を起こされたのは鹿砦社が初めてのことだった。1995年のことだ。書名は『SMAP大研究』、原告はジャニーズ事務所所属のSMAPのメンバー6名(当時。ジャニーズ事務所は訴外)と、これに付和雷同する学習研究社、扶桑社、マガジンハウス、主婦と生活社(のちにジャニーズと決裂、訴訟合戦を繰り広げる)らだった。日本の芸能界を代表する芸能事務所に加え日本を代表する大出版社vs一地方零細出版社の争いで、今でいうSLAP訴訟のはしりである。
訴訟は、仮処分(東京地裁)、本訴(同)、控訴審(東京高裁)と続き鹿砦社敗訴で466万円の賠償を課せられた。ただし、SMAPメンバーの請求(パブリシティ権・肖像権)は棄却、学習研究社ら出版社の請求(著作権)のみが認容された。ジャニーズ事務所の目的は、むしろパブリシティ権・肖像権だったようだが、これは認められなかった。
この提訴を契機として、鹿砦社VSジャニーズ間で死闘が開始され、次いで2件の出版差し止め訴訟を最高裁まで争うことになる。ジャニーズ事務所から3件もの出版差し止めを起こされ徹底抗戦したのは昔も今も鹿砦社だけだ。特に『ジャニーズ・ゴールド・マップ』出版差し止め事件では、本はおろかゲラも何もない中で裁判所は発行の事前差し止めの判断を下したが、判決内容には大いに疑問が残る。しかし、なぜかその2件の訴訟は、当初から賠償請求はなかった。
そうしたわれわれの闘いを継いで、次に『週刊文春』(文藝春秋)、かつては鹿砦社への提訴に名を連ね、カレンダー利権を持つほどジャニーズと親密な関係にあった『週刊女性』(主婦と生活社)が、よほど酷い仕打ちがあったのかカレンダー利権を棄て告発に走り、ジャニーズに対する報道タブーは解き放されたかと思われた。


しかし、BBCの取材班スタッフが首を傾げるように、ジャニーズに対する報道タブーは今も続いている。ジャニー喜多川による性的児童虐待は、欧米では明確な犯罪なのに、なぜ日本では問題にならないのか、これをなぜ日本のメディアは報じないのか、BBC関係者は驚く。文春がせっかくシリーズで告発し、社会的に一定の発信効果があったのに、いつのまにか忘れ去られていった。海外に発信されたこともなかった(部分的にはあったかもしれないが)。
ジャニーズ事務所創業者で「ジャニーズ帝国」といわれるほど事務所を拡大させたジャニー喜多川が死去した際には、文春訴訟で認定された性的児童虐待は語られず、逆に「日本の芸能界に大きな足跡を残した」とか「惜しい人を亡くした」など、本質から離れた報道一色だった。

実は新型コロナが襲来する前後、鹿砦社にはBBC関係者から内々に協力の打診があった。われわれがどう振る舞ったかは信義上言えないが、協力要請はジャニー喜多川による性的児童虐待を報じた文春はじめ多方面に渡った。コロナ禍が長期化し、企画はペンディングとなり、そのまま没になるのかと思っていたところ復活、遂に昨夏取材クルーが遙々イギリスより来日して多くの人たちに調査・取材したようである。その結果が、明日いよいよ報じられるドキュメント番組として結実した。興味津々である。これが、このかん報じられているジャニーズ事務所内の内紛にどう影響するのか、公正取引委員会(公取委)に警告される日本の芸能界を変えるきっかけとなるのか──。
ちなみに、芸能界の寡占状態や奴隷労働などを問題視した公取委が注目したのが星野陽平渾身の大著『芸能人はなぜ干されるのか?──芸能界独占禁止法違反』(鹿砦社刊)だった。公取委は星野を講師として招き研究会を行い、その後ジャニーズ事務所などに指導に入ったのだ。鹿砦社の本もたまには社会的に貢献することもある。
ところで、これに先立ち、パチンコ・パチスロ・ゲーム業界のガリバー企業「アルゼ」(現ユニバーサルエンターテインメント)の、フィリピンにおけるカジノ汚職疑惑を追っていたロイター通信から協力要請があり、持てる限りの資料を提供したり聴き取り取材にも応じた。この結果、創業者オーナーでパチンコ・パチスロ・ゲーム業界に君臨してきた岡田和生を逮捕(香港で)に至らしめ、なんと実の息子、前妻、子飼いの社長らによって、自らが作り育てた会社から放逐されるに至ったのだ。われわれが返り血を恐れず、4冊の本を世に送り、鹿砦社代表・松岡逮捕、半年余りの長期勾留、有罪判決と600万円余の賠償金を課され一時は会社も壊滅的打撃を受けつつも闘ったことが実ったといえよう。逆に、岡田の告訴を受け連携して鹿砦社弾圧に加担した神戸地検・大坪弘道特別刑事部長(当時)も別の汚職事件で逮捕され失職、松岡に手錠を掛けた主任検事・宮本健志検事も深夜泥酔し街中で暴れ降格の懲戒処分を受けている。
時代は確かに変わってきている──全世界に放映される、日本の芸能界の暗部を抉る今回のBBCのドキュメントが、日本の芸能界関係者やメディアがどう捉えるのか、そして改革のきっかけとなるのか、興味は尽きない。われわれの問題提起が、四半世紀を超えて世界的なニュースとして採り上げられる。是非ご注目頂きたい。(文中敬称略)
※この記事に関連して掲載されている『ジャニーズ50年史』(増補新版)などの書籍は在庫僅かです。ご関心のある方は早めにご購読されることを望みます。鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com)までお問い合わせください。
また、『芸能人はなぜ干されるのか?』は増補新版は品切れ、旧版が少し在庫有ります。
(ジャニーズ特別取材班)

LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ〈7〉森 奈津子
さて。
2018年7月18日に、いわゆる「杉田論文」を掲載の「新潮45」8月号が発売され、当時、衆議院議員であった立憲民主党の尾辻かな子氏が、ほぼデマと言える意図的な要約ツイートをした。
それに扇動された人々が騒ぎ、しばき隊界隈と東京レインボープライドが杉田水脈氏と自民党に対する抗議デモを呼びかけ、27日には「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」を実施。しかしながら、その暴力性とダサさゆえに、LGBT当事者からは大不評。
それでも、マスコミはデモがLGBTの総意であるかのように報道した。LGBT当事者の抗議の声を、マスコミは完全スルーしたのである。
世の異性愛者たちはすっかりだまされ、知識人や文化人までが、しばき隊に同調した。
8月5日には、しばき隊界隈呼びかけの「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」が実施される。実は、同日、そのデモの他にも「杉田辞職しろ大阪街宣」「杉田水脈の差別発言に抗議する福岡・天神PARCO前街宣」が、翌6日には「杉田辞職しろ伊賀街宣」といったしばき隊デモが実行に移されている。
マスコミは、またしてもそれらを好意的に報道。
だが、それが清く正しいデモであるのなら、しばき隊系活動家を一般人であるかのように偽って報道する必要はありませんよねぇ? 朝日新聞さん?
――というのが、これまで拙稿が追ってきたおおまかな流れ。

自分が呼びかけたデモがここまで話題になり、「我が世の春」だか「頭の中が春」だかの状態になった平野太一氏は、こんなツイートをしている。
「どうも~!民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた平野太一どぇ~す!フゥ~!…わしゃどんな権力者やねん笑」
反差別だのなんだのお綺麗なことをおっしゃっているが、その正体は権力志向のくだらん俗物であるということを証明するかのようなツイートであるが、内容自体は事実なのだろう。となると、このスクショは旧民主党、現立憲民主党にとっては大打撃となりかねないブツである。
「民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた」というしばき隊/ANTIFA系ゲイ活動家が、立憲民主党の尾辻かな子氏のデマを利用し、反自民デモを計画、LGBT活動家が共闘し、大手マスコミも同調したのである。
端的に申しまして、どいつこもいつも雁首そろえてバカ揃いということでございましょう。
もちろん、自民党叩きのチャンスを、共産党の機関紙「赤旗」も逃しはしなかった。
しかも、アホなことに(あるいは、大手新聞との差別化を狙い?)、デモがしばき隊系活動家の呼びかけであり、東京レインボープライドが乗ってしまったことを、バッチリ記録に残している。
「抗議を呼びかけた、平野太一さんが訴えました」
「抗議にはTRP(東京レインボープライド)も連帯を表明し、参加を呼びかけました。自民党本部前でもメンバーがスピーチ」

◎人権無視の差別やめろ 「杉田議員は辞職を」 自民に抗議 5000人(2018年7月28日付しんぶん赤旗電子版)
まあ、共産党にとっては自分たちの「使い捨ての兵隊」でしかない反差別チンピラどもが、日本最大のLGBTイベント・東京レインボープライドを操ることに成功したということで、「でかした!」というお気持ちなのでしょう。
さらに、赤旗に関しては、異性愛者諸氏にお伝えしたいことがある。
8月5日のしばき隊系デモ「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」の記事だが――。

◎「生産性のために生きていない」 渋谷で杉田暴言に抗議(2018年8月6日付しんぶん赤旗電子版)
この記事の中でコメントを寄せている、「レズビアンであることをカミングアウトしたユーチューバー(22)」だが……その後、突然メディアから姿を消し、現在は死亡説まで流れている女性の可能性がある。You Tube番組「性性堂堂」を仲間と主催していた鈴木南十星(なとせ)氏だ。
7月27日の自民党本部前抗議デモの写真でも、私は彼女の姿を確認している。

◎[参考動画]You Tube番組「性性堂堂」
彼女がメディアから姿を消した理由は、まったく表には出ていない。
しかし、「活動家が突然姿を消す」という現象は、しばき隊界隈やLGBT活動界隈ではよくある話だ。活発に活動し、積極的にネット発信もしていた者が、ある日突然いなくなる。仲間たちもそれにはまったく触れない。そして、死亡説(特に自殺説)、失踪説、入院説、発狂説、逮捕説(特に違法ドラッグがらみ)等が流れる。
そして、それこそが、不健全な運動体であることの証左であるように私には思えるのだが、どうであろう?
もし、鈴木南十星氏の現在をご存じの方がいらしたら、ぜひ、ご一報いただきたい。あるいは、彼女に、一面識もない他人も心配しているのだとお伝えいただきたい(つづく)
◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

▼森奈津子(もり・なつこ)
作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko
◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー
期待の重森陽太、本場ムエタイ王座届かず! 堀田春樹
3年4ヶ月ぶりに新日本キックボクシング協会興行で行われたラジャダムナンスタジアム王座挑戦はまたも惜敗。
◎MAGNUM.57 / 2月19日(日)後楽園ホール17:33~21:03
主催:伊原プロモーション
認定:新日本キックボクシング協会、ラジャダムナンスタジアム
(下記より公式戦の試合順。試合レポートは岩上哲明記者)
◆第10試合 タイ国ラジャダムナンスタジアム・ライト級タイトルマッチ 5回戦
勝者=チャンピオン.ジョーム・パランチャイ(タイ/19歳/ 60.8kg)
vs
敗者=同級10位.重森陽太(伊原稲城/1995.6.11東京都出身/ 60.7kg)
判定3-0
主審:ジラシン・シララッタナサクン(タイ)
副審:ポンメート・チャスラック(タイ)49-48.
チャルーン・プラヤサップ(タイ)49-48.
椎名利一(日本)49-48.
スーパーバイザー:チョークタナパット・パッタナパックディー(タイ)
第1ラウンド、ジョームは右ミドルキック、重森陽太は前蹴りでジョームの距離をとらせないと同時に、太腿を蹴ることで軸足を崩し、攻撃力を削りに来ていた。ラウンド終了後に重森の右脛から出血があったが、試合に影響は無さそうだった。
第2ラウンド、重森は左ミドルキックで攻めていくが、ジョームは合わせてパンチを繰り出し圧力を掛け始める。至近距離で互いにヒジ打ちを出していくが、重森から余裕が無くなってきた様子。
第3ラウンド、ジョームは重森のボディーにストレートパンチを的確に叩き込み、重森のスタミナを削る作戦に出てきた様子。重森はボディブローを貰いながらも、首相撲では互角に対応し、パンチやヒザ蹴りをヒットさせるが、ジョームのボディブローのヒット数が多くなる。


第4ラウンド、ジョームはこのラウンドで重森を倒しに掛かるかのような左右のパンチやミドルキック、ヒザ蹴りを混ぜながら攻めていく。重森はカウンターのヒザ蹴りで対応していくが、左右のストレートを貰い動きが止まってしまう。体勢を立て直すも、明らかにジョームの優勢のラウンドになる。
第5ラウンド、ポイントで有利と思ったか、ジョームはセーブしながらも鋭いボディブローを主体に重森に圧力を掛け続ける。重森は手数足数を増やし、時折ジョームにクリーンヒットするも単発で流れを変えれず試合終了。ジョーム・パランチャイが判定勝利で防衛。
前日計量では両選手ともに今回のタイトルマッチ実現に嬉しさを語り、日本のファンへムエタイの素晴らしさを伝えるとコメント。ファイタータイプのジョームに初挑戦である重森陽太のテクニックが通じるかどうかが試合のポイントになると思われた。
防衛したジョームはリング上で「有難うございました!」とコメント。控室に戻ってきたジョームは支援者から祝福され、リング上とは違う安堵感を見せ笑顔で会釈をしてくれました。重森陽太は出血した医務室で右脛の治療を受けていた様子。


◆第9試合 WKBA世界62kg級王座決定戦 5回戦
日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/ 61.9kg)
vs
ラット・シットムアンチャイ(元・ルンピニー系フェザー級6位/タイ/ 60.0kg)
勝者:髙橋亨汰(王座獲得) / TKO 2R 0:39
主審:少白竜
試合開始早々に右フックをヒットさせる高橋亨汰。ラットはバランスを崩すが立て直し、右飛び回し蹴りで威嚇する。高橋の猛攻にキャリアでかわすラット、しかし、高橋の左のショートパンチを貰ってノックダウンを喫する。ラットはすぐに立ち上がり逆襲し、パンチの連打で高橋をフラッシュダウンまで追い込む。
第2ラウンド、高橋の猛攻は続き、ラットも打ち合いに応じるが、高橋の右ストレートで態勢が沈んだところに高橋が左の縦ヒジ打ちでラットの頭部にヒットさせノックダウンを奪う。ラットは立ち上がるも、前頭部からおびただしい出血。ドクターの勧告を受入れレフェリーが試合ストップして終了。
前日計量の会見で高橋は会長などに感謝の言葉を述べながら「チャンスを掴みたい!」と意欲が伝わる。ラットも「勝ちたい。経験(長年の)もありベルトは巻く!」と意気込みを語っていた。
試合後、控室でチャンピオンベルトを肩に掛けた高橋選手は「キレイにヒジが決まって嬉しいです。次もヒジ打ち有りで戦いたい!」と応えていた。


◆第8試合 第2代WKBA日本バンタム級王座決定戦 5回戦
2021年10月17日に泰史(伊原)との王座決定戦に判定勝利した初代チャンピオン.佐野佑馬(創心會)は都合により欠場で王座返上。
NJKFバンタム級チャンピオン.志賀将大(エス/ 53.15kg)
vs
No-Ri-(前・TENKAICHIバンタム級Champ/ワイルドシーサーコザ/ 53.4kg)
勝者:志賀将大(王座獲得) / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:少白竜50-45. 宮沢50-46. 仲50-46
初回から志賀将大は冷静にミドルキックを中心に攻め、No-Ri-(=ノーリー)は押され気味ながら、変則的なリズムでキックやパンチを仕掛けていく。
第2ラウンド以降も志賀は首相撲に持ち込むが、No-Ri-は付き合わず後ろを向いてかわしていく。組まれたら後ろを向くことが多くレフェリーから注意を受ける。志賀は執拗に首相撲を仕掛けヒザ蹴りに入るなど自分のペースに持ち込もうとするが、No-Ri-に阻まれる。
最終ラウンドに入ると、志賀は首相撲からのヒザ蹴りでは倒せないことや、ポイントで有利な状況でアウトスタイルに切り替えた様子。No-Ri-はバックハンドや胴回し蹴りで逆転を狙うが単発で終わってしまい終了。志賀将大が大差判定勝利で王座獲得となった。
試合前にNo-Ri-選手から「身体にハンディーがある人達のために沖縄にベルトを持ち帰り勇気を与えたい!」とコメントがあり、急遽決まった試合でありながら、地元で興行が中止になった悔しさをぶつけたいという気持ちが伝わってきました。
志賀選手はリング上で感謝の言葉を述べていたが、試合には満足はしていなかった表情で、観客の「セコンド陣の指示が噛み合えばダウンは奪えたかもなあ!」という声が聞こえましたが、この試合を象徴するものでしょう。


◆第7試合 57.0kg契約3回戦
木下竜輔(伊原/ 56.7kg)vs 湯本剣二郎(Kick Life/ 56.85kg)
勝者:湯本剣二郎 / KO 2R 3:00
主審:仲俊光
第1ラウンド、木下竜輔は鋭いローキックを主体に攻め、湯本剣二郎はパンチで追い詰めようとするが、木下のローキックでなかなか距離が掴めない様子。
第2ラウンド、湯本はローキックのダメージが蓄積している様子だが小刻みに攻めていく。残り数秒で湯本の右フックが木下のテンプルにクリーンヒットし、前のめりにノックダウン。木下は立ち上がるもファイティングポーズがとれずカウントアウトされた。
◆第6試合 58.5kg契約3回戦
ジョニー・オリベイラ(トーエル/ 58.35kg)
vs
WKAムエタイ世界フェザー級チャンピオン.国崇(=藤原国崇/拳之会/ 58.25kg)
勝者:ジョニー・オリベイラ / 判定3-0
主審:宮沢誠
副審:仲29-28. 少白竜30-29. 勝本30-29
ジョニー・オリベイラのタフさと国崇のテクニックの競い合いが予想された試合。初回、ジョニーのパンチがヒットすると国崇も返し、パンチの打ち合いで盛り上がる場面が見られた。
第2ラウンドもジョニーは的確に攻めていく。国崇はやりづらそうな表情を醸し出し、第3ラウンドには、ジョニーの攻勢に国崇はヒジで打開を図ろうと試みるが、ジョニーは蹴りで国崇の間合いを取らせず終了。
◆第5試合 58.5kg3回戦
仁琉丸(富山ウルブズスクワッド/ 58.65→58.35kg)vs 小林勇人(伊原/ 58.2kg)
勝者:小林勇人 / TKO 1R 2:18
主審:椎名利一
第1ラウンド、小林勇人の鋭い蹴りが会場を沸かし、仁球丸はバックハンドブローで牽制。2分過ぎて、仁球丸のガードが下がったところを小林が強烈な右ストレートをヒット。仁球丸は身体が吹っ飛ぶように受け身が取れないノックダウン。ほぼ失神状態になり、レフェリーはノーカウントでストップをかけて終了。仁琉丸は担架で運ばれた。
◆78.0kg契約3回戦=中止
マルコEX斗吾(伊原/ 78.6kg)vs 江原陸人(GODSIDE/ 負傷欠場)は中止により、引退したマルコEX斗吾出場によるエキシビジョンマッチ2回戦(90秒制)を披露。
斗吾選手は現役さながらの動きで、現役復帰の可能性を聞いてみると、「それはないです!」と笑顔で否定していました。
◆第4試合 51.0kg契約3回戦(2分制)
オン・ドラム(伊原/ 50.85kg)vs 青木繭(SHINE沖縄/ 50.65 kg)
勝者:青木繭 / 判定0-3 (27-30. 26-30. 27-30)
◆第3試合 フェザー級2回戦
吴嘉浩(=ゴガコウ/伊原/ 56.85kg)vs 古山和樹(エス/ 56.4kg)
勝者:吴嘉浩 / 判定3-0 (19-18. 19-18. 19-18)
◆第2試合 女子アマチュア34.0kg契約2回戦(90秒制)
西田永愛(伊原/ 33.8kg)vs 菊池柚葉(笹羅/ 33.4kg)
引分け 三者三様 (19-20. 20-19. 19-19)
◆第1試合 52.0kg契約2回戦
渡邊匠成(伊原/ 51.7kg)vs 今吉勇樹(K-style/ 51.8kg)
勝者:渡邊匠成 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)

《取材戦記》
本場タイでは権威失墜が叫ばれる二大殿堂スタジアムも、この日行われたラジャダムナンスタジアム王座を懸けた戦いは、やはりまだまだ最高峰の重みが感じられるものだった。タイからスタジアム公認審判団とスーパーバイザーが招聘されれば、タイのジョーム・パランチャイも決して気を抜けない本気で倒しに来る真剣さがあった。
採点がジャッジ三者とも49-48ではあるが、プロボクシング式のような各ラウンドが独立した採点基準ではないのは、ムエタイに精通する人なら理解出来るでしょう。
2019年10月20日にラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座に挑戦し、引分けで逃した当時の江幡睦は、「倒しきれなかった、それに尽きると思います。ひとつのノックダウンでも奪わなければ、ラジャダムナンのベルトは獲れないということです!」と殿堂の壁の厚さを語っていたとおり、重森陽太ももうちょっと優勢に進めていても48-48か、或いは49-48は変わらなかったかもしれない。この1点差を乗り越えるにはもうちょっとながらも、もっと大きな壁が存在するのでしょう。
次に期待されるのは高橋亨汰になるかもしれない。そのステップとなった今回のヒジ打ちによる豪快TKOはインパクトがあるものでした。(堀田春樹)

《岩上哲明記者レポート》
今回の興行は新日本キックボクシング協会の底力を感じさせるものでした。KO決着した試合はそれぞれ内容は違いますが、どれもがインパクトが強く、キックボクシングの凄み、そして観客が求めているものを示してくれたものだったと思います。
メインイベントのラジャダムナンタイトルマッチは、前評判では「重森陽太はファイタータイプのジョーム・パランチャイにKO負けするのでは?」という声が割とありましたが、テクニックとタフさで僅差の判定に持ち込んだ重森選手は、次回の挑戦に期待が出来そうなものでした。重森選手に強いて苦言を言えば、前日計量後の記者会見で「ムエタイを見せる!」ではなく「勝って王者になる」と勝利への意気込みを語って欲しかったところです。ジョーム選手と同じことをコメントしたことで、試合前に勝利が重森選手との距離を少しとってしまったかもしれないでしょう。
高橋亨汰選手はリングに上がった時に「王者になる」雰囲気が出ていました。重森選手と同じ階級ではあっても、カラーも違い、団体のエースとした活躍しそうな予感をさせてくれました。今後も左ヒジを武器に盛り上げてくれることを期待したいものです。
デビュー戦で豪快なKOを決めた小林勇人選手やキャリア差に怯むことなくKO勝ちした湯本剣二郎選手のような有望な若手選手も出てきており、次回興行も期待出来そうです。(岩上哲明)
◎新日本キックボクシング協会の次回興行は、4月23日(日)に後楽園ホールでMAGNUM.32が開催予定です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」
