ショーンK「キャスター降板」で責任をなすりつけ合うフジテレビの醜悪

経歴詐称問題で一躍時の人になったショーン・マクアドール・川上こと川上伸一郎氏。当初メインキャスターに決まっていたフジテレビ系の新報道情報番組「ユアタイム~あなたの時間~」(4月4日スタート)への出演取り止めに関して、関係者間で責任のなすりつけ合いが繰り広げられている。

ショーンKオフィシャルサイトより

◆大学に入り直すことも検討しているという川上氏だが……

「基本的にプロフィル管理は事務所がするのが当たり前です。テレビ局側はよっぽどのことがなければ身辺調査なんてしませんが、今回は報道番組のメインキャスターということもあって、問題になってしまったと悔やんでいますね。当然損害賠償の話も出ているようで、その額は億単位と言われています」(番組制作会社スタッフ)。と針のむしろの川上氏だが、周囲の勧めもあってか大学に入り直すことも考えているという。

「川上氏は詐称した経歴に少しでも近づけるために再度大学に入りたいと周囲に漏らしているそうです。かつての共演者たちも今からハーバードに入ればいいなんて言っていますしね」(番組制作会社スタッフ)。もしもハーバードでMBAを獲得すれば、後付だが経歴通りになるがその後のテレビ番組に復活することはできるのだろうか。

「川上氏はすでに48歳、もしも今から大学に入学したとしても卒業するころには50歳を優に超えてしまいます。年齢的にもきついし、テレビは一度忘れられたら基本的にはおしまいですから」(番組制作会社スタッフ)と現実的な答えが帰ってくる。ならば忘れられないように詐称を売りにテレビ出演をするのでは、なんてうわさ話もあるとか。

◆意外に多いショーンK擁護の声

「佐村河内氏とユニットを組んでみては? なんて意見もありますがさすがに悪ふざけがすぎるとテレビ局も二の足を踏んでいます。彼に残されたスキルはネイティブなみと言われている英語力だけ。もはやこれを活かして翻訳家か通訳にでもなるしかないのでは」と言われている。

また大手出版社が川上氏の自伝を出版しようとオファーしているようだが、小保方氏や酒鬼薔薇聖斗の書籍のような反響はないだろう。大手出版社の編集者はこう語る。

「やったことと言えば経歴詐称だけですから大した内容にならないことは明白。だけど話題になっている今なら結構売れるんじゃないか。実際にオファーしたという知り合いの編集者もいる」

甘いマスクにダンディな低音ボイス……。擁護の声が多いのは意外だが、彼らの想いが叶って、川上氏を再びお茶の間で見られることになるのだろうか。

(渋谷三七十)

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原元監督の開幕戦解説にクレーム殺到──まだまだ続く巨人の黒い噂

高木京介元選手がやらかした野球賭博、ベンチ前での声出し役に金を出していた件などで世間の冷たい目にさらされた読売ジャイアンツ。開幕戦で中継された日本テレビの「巨人―ヤクルト」戦では、「当時の監督であり、責任がもっともあった」としてネットで叩かれている前監督の原辰徳氏が江川卓、松井秀喜と同時に解説を担当したが、日本テレビには「原は解説する前に、野球賭博で世間を騒がせた元巨人の高木京介や笠原将生らの賭博をした責任をとって謝罪すべきだ」「原に解説をやめさせろ」というクレームが殺到したという。

「別に野球の内容とは関係なく『原、ひっこめ』などとテレビの電話回線が鳴りっぱなしになるなど前代未聞ですよ。野球場でも『賭博を謝罪せよ』とヤクルトの応援団から看板が出されましたが、日本テレビのカメラは、けしてそちらの方向にふりませんでしたね」(スポーツ新聞記者)

「20分も電話がつながらないことがありました。確かに、原元監督が解説にふさわしくないという電話は多かったと聞いています」(放送作家)

今回の野球賭博に関する調査について、NPB(日本野球機構)は、笠原や高木を誘った元飲食店経営のB氏の聞き取りがなされていないのにも関わらず「一定のメドがついた」として高木京介元選手を1年間の失格処分とする処分案を発表した。巨人には制裁金500万円。最終的な処分は熊崎勝彦コミッショナーによって判断される。

「これはもう、限りなくグレーな裁定ですよ。一年後、高木が巨人に戻ってすぐにトレードでも出されたら、今度は高木が内情を暴露するかもしれない。いずにしろ、まだ問題が山積みとなっている状態で、開幕に当時の監督責任があった原をもってくるとは日本テレビの危機管理意識がゼロといわれてもしかたがないね」(同)
かますきびしい話が出続けそうな案配だ。

「原元監督が事情を聴取しないNPBの体質にも問題がある。まあ、読売ジャイアンツからの天下り組織とも言われているのがNPBだからな」(読売関係者)
そして、きな臭い情報がある。

「賭博で関連していた暴力団関係者が球場近くに顔を出して、読売ジャイアンツの幹部らの車が入るのを監視していたというのです。この話を伝え聞いた高橋由伸は、いつもとちがう車で球場入りしたほどでした」(同)

開幕戦の救いは、松井秀喜氏が元メジャーリーガーらしく鋭い解説をくりひろげたことくらいだ。

「とくにヤクルトのトリプルスリー男、山田哲人の打席では『つぎのボールには手を出すでしょう』と的確に予測するなど、鋭い解説をして、プロデューサーやディレクターたちをうならせました」(同)

さまざまな問題を抱えつつ、「汚れた盟主」となった読売ジャイアンツは、開幕ロケットスタートをするのだろうか。

日本テレビに「原氏にどれくらいのクレームが来たのでしょうか」と聞くと、「個別の案件についてはお答えしていません」とのこと。中継チームは、今後、原元監督を解説に使うのだろうか。

「まだまだ巨人の黒い話は出ますよ。笠原が抑えているチームメイトの話もありますし」(同)

まだまだ予断を許せない球春だ。

(伊東北斗)

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年度末TVニュースの憂鬱

出張先の東京で年度変わりを迎えた。3月31日は年度最終日で多くの方が激務に追われていたことだろう。

この日をもって「報道ステーション」(テレビ朝日)、「NEWS23」(TBS)、「クローズアップ現代」(NHK)のキャスター(報道者)が同時に交替することが話題になっている。自宅にテレビを持たない生活者は外出先でしかテレビ放送を目にすることがない。稀に鑑賞したい番組がある時は、知人宅へ出かけるという前世紀的生活が身について長い私だが、久しぶりに自分から進んで報道ステーションを観た。

◆「キャスターは孤独です」

古舘伊知郎氏がニュース番組を長く続けることになろうとは、あの「新日本プロレス」中継での猛烈かつ講談にも似た卓越した話芸が印象に残る者としては、甚だ遅すぎる感想ではあるけれども意外であった。そういえば報道ステーションに先立つ「ニュースステーション」に「ピッタシカンカン」でのマシンガントーク、久米宏氏がメインキャスターとして起用された時にも同様の驚きはあった。

ニュースステーションの初回放送と最終回、そして報道ステーションの初回放送と古舘氏降板の最終日を観ていたことに気が付いた。報道への政府から露骨な圧力が顕在化していることは周知の事実だからこの日の番組には相当の注目が集まっていたようで、1日の東京新聞は社会面で古舘氏が番組最後に語ったコメントを掲載している。

報道ステーション、NEWS23、クローズアップ現代という3番組のキャスター(報道者)同時交代事件については多数議論や分析があるだろうから、私ごときが浅い感想を述べることは控える。

古舘氏担当最終日放送の中で、私が最も印象に残ったのは番組最後の古舘氏のコメントではない。古舘氏のコメントは予想していた範囲のもので特に意外性はなかった。観ていて少し驚いたのは、久米宏氏がニュースステーションの最終回で語った内容とかなり重なる内容が多かったことだ。両氏とも「視聴者から賛同、批判様々な声が寄せられ、それによって育てられた、批判者も含めて感謝している」旨の謝辞を語っている。久米宏氏は「小学校の時教師に『長続きしない』性格だといわれたがこれだけ長く続けられた自分を今日だけは褒めたい」と言い、缶ビールを飲んで番組の最後を結んだ。古舘氏は「キャスターは孤独です」と語った。テレビを視聴しない私にも彼らにのしかかる重圧は想像に難くない。

◆凍土壁「セレモニー」の異様な光景

それは横に置く。この日の番組の中で顎が外れそうになるほど呆れたのは番組冒頭に取り上げられた女子中学生誘拐監禁(軟禁?)事件でも、インドでの建設中の高架道路崩落事件でもない。驚愕は福島第一原発で汚染水漏れ対策として凍土壁工事が始まる「セレモニー」の異様な光景だ。技術的に不安視され、規制委員会の田中俊一委員長からすらその効果が疑問視されているこの愚策開始の光景は、あたかもロケット発射慶賀場面のように準備されていた。

ヘルメットを被った東電社員と思しき集団の中心人物が「3,2,1」とのカウントダウンに沿って壁のスイッチを押す。すると周りの人間たちが一斉に拍手を始めたのだ。どうなっているんだ!こいつらの神経は。

建物の竣工式や地鎮祭ではあるまいに、連中の「拍手」は何を目出度がっているのだ。汚染水対策は過酷事故を収束させる直接の対処ではなく、悪影響を抑える目的の副次的作業じゃないのか。人間に例えれば葬式が行われようとして段取りをしている一プロセス、しかも的外れに遺族に迷惑かつ無駄な出費を強いる、無配慮な参列者のはた迷惑などんちゃん騒ぎのようなことじゃないのか。

長く長く続く原発の葬式はまだ始まってはいない。遺体はそこにあるけれども葬式の段取りをどうするかは遺族の思惑が交錯して、どの坊さんに読経してもらうのか、密葬にするのか、社葬にするのか、香典は受け取るのか、お断りするのか、戒名にはいくらかけるのか意見の集約の見込みが立っていない。

亡くなった遺体が関知しないところで諍いは続くが、香典を受け取らないことだけは一応の合意をみた。その時に「拍手」する遺族がいるか。

あの「拍手」は原発の葬式、半永久的に続く拷問にも等しい葬式への参列を強要された人達にさらなる忍従を迫る「暴虐の図」だ。その場面を準備してテレビ画像から流させる東電の底抜けの無神経と犯罪性に顎が外れそうになった。

でも少し不安になる。あの場面テレビ画像を通して目にしていた人で、私と同じように怒り心頭に激怒した方々がどのくらいいるだろうか。テレビを通じた「日常」は私の感性からはるか遠い。だから気の短い私は少しでも不要なストレスから離れるためにテレビから離れた。でもあの「暴虐の図」すらテレビ的にはさしたる例外ではないのではないか。

また当分テレビ画面と向き合うことはない日々に戻る偏屈者の2016年度が始まった。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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長崎・平戸「天気見の男」山崎家の忘れられた系譜を探る旅

昨年の秋、長崎の平戸市を巡る旅に出た。
平戸湾は、こじんまりしており、湾を囲む陸地は1日でまわることのできる観光スポットが集中している。具体的には「平戸オランダ商館」(復元されている)や「平戸城」や「松浦史料博物館」や「平戸ザビエル記念協会」などだ。

まちがいなく、平戸はある時期、「FIRAND」と外国人に呼ばれ、日本全体の貿易の中心だった。その端緒は1609年、オランダから船が2隻やってきたことだ。当時の松浦藩主の松浦隆信は歓迎し、幕府にかけあいオランダ人に商館建設の許可を与えた。

1611年にオランダ商館は住まいと倉庫を新築し、1616年には倉庫と防波堤を作り、さらに1618年の大増築で、まるで要塞から敵を守る「ルパン三世カリオストロの城」ばりの塀が築かれた。

今もオランダ堀やオランダ井戸、そして民家とオランダ倉庫の境界線を表す壁やオランダ埠頭らが残っている。

今、復元されているオランダ商館は、倉庫なのだが、これはもともとは1639年にできた巨大な石造りの倉庫であり、日本で初めての洋風建築物だ。ここには、約2万個もの砂岩切石や48センチ角の大きさの柱などが使われて、外観や造りはオランダの建築物に酷似している。

まあ、観光ガイド風に紹介するとこうなるが、今、このあたりでは残念かな、地元の暴走族が激増している。僕が肉眼で見ただけでも、夜深くに爆音でかっとばす暴走族風バイクは、数台も見かけた。地元の飲食店のスタッフは言う。
「夜になると、くしゃみすらも街中で響きそうなほど静かなこの街で爆音が響いていて、眠れない人が急増しているのは残念ですね」


ここらへんの名物は平戸牛、あごだしラーメン、そして魚ならなんでもうまい。よく、長崎の人が「東京の寿司屋には行かない」と言っていたが、納得できる。


さて、僕自身は、この平戸にやってきた目的は、ここの平戸に「江戸時代、日本で初めての天気予報をしていた山崎氏がいた」ということだ。この平戸にある遠見公園という場所で、江戸時代に、「天気見」、つまり山のてっぺんから雲を見て天気予測をしていたという記録が残っているという。

特別に気象機器がない文政二年(1819)、大船頭だった山崎家では、約200年にわたる間、孫三代にわたって「天気記録」が残された。その記録とは「日の出るとき、赤きは風、黒きは雨、青白きは風雨としるべき」という具合に、今の天気予報の先駆けともいえるものだ。

この「天気見の男」の記録について、僕はいつか小説に書き記そうと思う。いつか、どこかでこの男の記録に諸兄たちはお目にかかるであろう。

ゴールデンウィークに行く場所がない諸兄はぶらりと出かけてみてはいかがだろうか。歴史上では重要ながら、忘れられた「時代の顔」がそこにある。

(小林俊之)

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「ムエタイ」を掲げる日本の代表的興行「M-ONE」の成長!

「おや、これはムエタイだ」──。会場のディファ有明が見えてくると、外に大きな興行看板とスポンサー名の横断幕、国旗などがたくさん靡いていて、いつものキックボクシングとは違った趣に、本場のムエタイスタジアムを疑似体験する幻想を感じました。

M-ONE会場前の興行看板。タイでもビッグマッチでは選手を模った大きな看板が掲げられます
会場ロビーではムエタイグッズが売られている

会場ロビーにもムエタイグッズの数々の品が鮮やかに置かれた売店が広めに営業。開場時間になると入場客でいっぱい。こんな光景は珍しいことではないですが、ディファ有明はロビーが手頃な広さで、試合以外のパフォーマンスも可能で、使い勝手がいい会場であります。広すぎるとかえってお客様との心理的距離が遠のくので限度がありますが。

◆これまで以上に「ムエタイ」を強調するM-ONE

日本においての興行は主に、キックボクシング戦歴として記録が残り、ムエタイ戦歴という枠に振り分ける必要がないほど一体化して、ひとつの競技化となっています。にもかかわらず、過去にあった興行や試合のように選手が、あるいは主催者が「これはムエタイです」と言っても、どこの認定も受けておらず“ムエタイルールのキックボクシング試合”であって“自称ムエタイ”でしかない場合が多くありました。

この日はカード的に、また試合内容も他のキックボクシングと変わらない展開はあるものの、下地となる興行の構えが備わっており、試合でもこの日のレフェリー陣は5人体制で、内4人がタイ人の元選手たち。ムエタイを熟知したレフェリーが裁くレフェリングはさすがに威圧感と貫禄があり、ここが“ムエタイ”を重視した象徴でしょう。久々にウィラサクレック興行を訪れ、元々、ムエタイを掲げる興行ではありましたが、この日はそれがより強調されている印象を受けました。WPMF傘下であることも後押しされています。

SUK WEERASAKRECK XII(この日よりM-ONEに改名)
3月21日(月)ディファ有明16:00~
主催:ウィラサクレック・フェアテックス / 認定:WPMF本部、WPMF日本支局

◆60.32kg(133LBS)契約 5回戦

タイ国ラジャダムナン系ライト級チャンピオン.ヨードレックペット・ソー・ピティサック(タイ/59.8kg)
      VS
国内レベルスムエタイ・スーパーフェザー級チャンピオン.ヤスユキ(=山本恭之/Dropout/60.32kg)

勝者:ヨードレックペット / 2-0
(主審 チャンデー・ソー・パランタレー(ネー)/ アラビアン 49-48. ウィティラム(マット) 49-48. 北尻 49-49)

昨年12月に梅野源治をヒジで破っているヨードレックペットと、いずれ梅野と対戦が予定されているヤスユキとの対戦は、僅差でヨドレックペットの勝利。ヤスユキの長い手足で蹴りは劣らず攻めるも、ミドルキックの蹴り合いは体幹もぶれないヨードレックペットが試合運びの上手さで勝利を導いた様子。

ヨードレックペットvsヤスユキ。バランス良いヨードレックペットのミドルキック

◆66.0kg契約 5回戦

WPMF世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/66.0kg) VS 健太(ESG/66.0kg)

勝者:健太 / 0-2 (主審 ナルンチョン・ギャットニワット / アラビアン 47-48. ウィティラム 48-48. 北尻 47-48)

日本人対戦10戦10勝(6KO)のゴンナパーが第1ラウンドから健太の右ハイキックに崩れ、ダメージを引きずったか、威力ある蹴りで追い上げるも完全な巻き返しに至らず。健太は自分の距離を見極めるとパンチでラッシュしたりヒザ蹴りを入れたり、主導権を譲らず。1ヶ月ペースで試合を続ける中での勢い付く勝利。

ゴンナパーvs健太。日本人として初めてゴンナパーを下した健太

◆58.0kg契約 5回戦

WPMF世界フェザー級チャンピオン.一戸総太(WSR・F三ノ輪/58.0kg) VS TAaaaCHAN(PCK連闘会/58.0kg)
勝者:一戸総太 / 3-0 (主審 アラビアン長谷川 / チャンデー 49-48. ウィティラム 49-48. ナルンチョン 50-48)

ターチャンの派手な後ろ蹴りや飛び技をかわし、WPMF世界の2階級を制した一戸総太が重いパンチと蹴りの的確差で、国内JKIフェザー級チャンピオンのターチャンに、やや押され気味な場面もありつつ勝利を掴みました。

一戸総太vsターチャン。経験豊富な一戸総太に挑むターチャンだが、一歩及ばず

◆WPMF女子世界ピン級タイトルマッチ(100LBS)5回戦(2分制)

チャンピオン.伊藤紗弥(尚武会/45.0kg) VS Little Tiger(前C/WSR・F三ノ輪/45.0kg)
勝者:伊藤紗弥 / 2-0 (主審 北尻俊介 / チャンデー 49-49. ウィティラム 49-48. ナルンチョン 49-48)

昨年9月に16歳の伊藤紗弥が32歳のリトルタイガーから判定で王座奪取。その初防衛戦となった相手は再戦となるリトルタイガーに技のコンビネーションと素早さで優り、再び判定勝利で初防衛。リトルタイガーもWPMFとWMCで世界王座2階級制覇し、数々の王座奪取している名チャンピオン。しかし現17歳の伊藤紗弥がなぜ強いのかは幼少期から始めたムエタイが大きな要因でしょう。ここにもジュニアキック経験者の成長ぶりが伺えます。

リトル・タイガーvs伊藤紗弥。若い伊藤に押されリトルタイガー奪回成らず

◆WPMF日本フライ級王座決定戦(112LBS)5回戦

第5代WPMF日本フライ級チャンピオン.矢島直弥(はまっこムエタイ)

1位.隼也ウィラサクレック(WSR・F三ノ輪/50.8kg) VS 2位.矢島直弥(はまっこムエタイ)
勝者:矢島直弥 / 0-2 (主審 ウィティラム・サマート / チャンデー 48-49. アラビアン 49-49. 北尻 48-49)

矢島直弥が第5代WPMF日本フライ級チャンピオン。昨年9月同カードで王座決定戦が行われ、引分けにより王座は日本支局預かり、本日の再戦となりました。延長は行わない、これはプロボクシングでは規定のラウンドを超える延長は行わないルールであり、ムエタイでも同様のルール。キックでも本来あるべき在り方でしょう。第3代チャンピオンだった隼也は積極的に攻め、矢島も応戦。ほぼ互角ながら、後半矢島が追い上げた感がありました。

◆54.0kg契約 5回戦

WPMF日本スーパーバンタム級チャンピオン.KOUMA(WSR・F荒川/53.5kg) VS 知花デビッド(ワイルドシーサー群馬/54.0kg)
勝者:KOUMA / TKO 3R 1:16
ヒジによるカットでドクターの勧告を受入れレフェリーストップ / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー

◆ウェルター級3回戦

梅野源治とヨードレックペット。過去に対戦し敗れた梅野源治がセコンドに着く。近い将来、再戦もある仲

WPMF日本ウェルター級チャンピオン.引藤伸哉(ONE’GOAL/66.5kg) VS ポームロップ・サコンシン(タイ/66.6kg)
負傷判定引分け / 0-0 / テクニカルデジション3R 2:00
(主審 ナルンチョン・ギャットニワット / 北尻 29-29. アラビアン 30-30. チャンデー 29-29)=場内アナウンスによる発表
両者ともに偶然のバッティングによる負傷があった模様。

◆他、5試合

WPMF女子世界フライ級チャンピオン.いつか選手の引退エキシビジョンマッチと引退式も行われました。ファンに感動与える涙の引退式でした。幾つかの団体やフリーのプロモーション興行に出場する梅野源治をはじめ、ヤスユキや健太も、またその他の出場選手も、タイ国トップクラスや日本のトップクラスとも実力が図れる戦いを続けることに、ファンの支持を集めている感があります。敗れてもまた声援が飛び評価は落ちず、ファンは「誰とどのように戦ったか」を重要視していることでしょう。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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清原「格闘技復帰」に蠢く黒い紳士たち──パチンコ業界系の山健組関係者も

覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕された元プロ野球選手の清原和博には、アントニオ猪木が格闘技での復帰プランを練ったというウワサだが、ほかにも保釈された清原容疑者にはリング出場を目論んで擦り寄る面々がいるという話だ。

週刊誌記者によると「過去に世間にスポイルされた裏社会の色濃い格闘技プランナーや、週刊ゴングで知られる日本スポーツ出版社(破産)の残党など、うさんくさい連中が清原のいる千葉県内の病院を訪れて追い返された」という。

「ほかにも、あるアパレルメーカーの社長は公判も始まっていないのに『俺なら清原をリングに立たせられる』などと言ってスポンサー集めをしてますし、かつて清原をパチンコ店の営業に連れ回した暴力団関係者も触手を伸ばしているという話」
実際、3月17日の保釈時、報道陣が追っかけた中に、その暴力団関係者の雇った車もあったという。
「なぜか報道陣を追い払うような動きをしたので、TBSなどは一度、清原の車を見失ったほどなんですよ」と記者。

わざわざ暴力団関係者がマスコミからのガードを買って出たのは、いまだ清原に利用価値があって、貸しを作るためだと見られる。
「清原が格闘技でも何でも仕事復帰するときに1枚、噛みたいのかもしれないですが、それにしても保釈後の護衛なんてのは昔の暴力団だったらまずやらない危ない手段。その程度の人間が周囲にいるようじゃ社会復帰はむしろ大変そうだと思いましたよ」

歌でも歌えれば酒井法子や清水健太郎のようにディナーショーで生きていくことも可能だが、清原容疑者にそんな芸当はない。そこで持ち上がった格闘技戦プランには、ヌード写真集で知られる出版コーディネーターが、昨年発足したイベント「RIZIN」への出場を持ちかけているという。

このコーディネーターこそ実はその清原をガードした暴力団と近い人物でもある。「もしも格闘技のイベントに黒い紳士が絡んでいるとしたら、日本スポーツ出版社(破産)のゴング編集部残党と近いヤクザだろうな。まあ最近はイースト・プレスの『GONKAKU』のライターにやたら接近してビジネスの話をしているようだがな」(キックボクシングライター)

ただ、元格闘家のジャーナリスト、片岡亮氏に言わせれば、「清原容疑者は近年、ブヨブヨのカラダでヒザも悪い。さらに薬物中毒者とくれば格闘技の試合どころではない」という。これは薬物治療の専門家も「どんなにもクスリを抜いたとしても、常習的に覚せい剤を打っていたとしたら、過度な運動は心臓がもたなくなってしまうので格闘技どころじゃない。集中治療で3年ぐらいリハビリが必要」と言っている。

現状、清原容疑者のリング登場は下心だらけの連中が本人そっちのけで描いたキャンバス上の餅でしかないようだ。

(伊東北斗)

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《速報》堅川SLAPP訴訟で東京地裁が不当判決!

3月29日15時から東京地裁429号法廷でいわゆる「堅川SLAPP」訴訟(平成27年[ワ]第4562号 損害賠償請求事件、佐久間健吉裁判官)の判決言い渡しが行われた。判決は「被告に39,614円の支払いを命じる」という内容であった。

この裁判は原告である「地方公務員災害補償基金」が被告の園良太氏に対して、江東区の職員Kが「首を絞められた」として損害賠償請求を提起した裁判だ。

園良太氏

事件の背景や経過は、「堅川SLAPP訴訟をたたかう会(https://tatekawaslapp.wordpress.com/)」に詳しいのでご参照いただきたい。

極めて簡略な要約をすれば、園氏が江東区職員K氏の「首を絞めた」との原告の主張に対する民事の損害賠償事件である。しかし争いの事実が存在しているのであれば、本来園氏は刑事事件として「暴行」なり「傷害」なりで事件直後に取り調べの対象のなっていなければおかしい。

偶発的な「喧嘩」や「もめ事」で当事者同士が損害賠償を争う(民事係争や法廷外での示談交渉)ことは珍しくはないが、「地方公務員災害補償基金」という公的機関が職員を暴力行為の被害者に仕立て上げるのであれば、まず警察なり、検察なりに園氏が暴力を振るった事実を訴え出るのが筋だ。

事実として「傷害」なり「暴行」の犯罪があれば、公務員にはそれを告発する法的な義務がある(刑事訴訟法239条2項「官吏又は公吏(筆者注:公務員のこと)は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」)。これは訓示規定ではなく、したがってK氏(あるいは「地方公務員災害補償基金」)は刑事訴訟法上の義務を無視しながら、民事訴訟で損害賠償を行うという歪んだ行為をあえて意図的に行っていると解釈せざるを得ない。

原告から証拠として提出されたビデオ映像には、園氏が手を伸ばした場面は撮影されているものの「首を絞めた」場面はなく、法廷ではスケッチによる「証拠」が原告側から示されたという。しかしその内容や主張は度々変わっている。

本当に園氏がKの首を絞めた事実があったと私には到底思えない。判決後、園氏に見解を聞いた。

「この裁判は思想弾圧裁判の典型だと思います。被害とされる事実はそもそも存在しないのに、無茶苦茶な内容を押し付けてくる。証拠とされるスケッチは捏造され内容も途中で変わっていますが、判決文の中では裁判官は『それでも良い』というような表現をしている。証拠の不確実性を全く問題にはしていません。診断書があれば証言の変節も問題なしとしている。全く思考停止の判決です。この判決が適用されれば誰しもがこのような手段で弾圧を被る道筋をつけた。いつの行為かわからない、しかも事実がなくても権力に対する損害賠償を認めるという点で、この判決は権力が市民を弾圧しようとすればこんな無茶が通ると認めた点で深刻であり、全く不当な判決です」(園良太氏)

開廷を前に14:45から傍聴券が配布された。60名近くが傍聴券を求めて列をなし、東京地裁前には30名を超える公安警察があつまり、傍聴希望者の姿をビデオ撮影していた。

判決主文が言い渡されると被告の園氏は「不当判決を弾劾する!」と声をあげ、傍聴席からも次々に抗議の声が上がった。判決言い渡しであるから要する時間は数分であることは明白であるにもかかわらず、悪名高き東京地裁429号法廷(常時警備法廷)の入り口には多数の職員や公安警察が壁を作り、法廷内にも25名以上の職員が監視を行っていた。

この裁判を報じたマスコミはないだろう。しかし弾圧の水位は日常の中でじわじわと上昇していく。事実無根を根拠にした園良太氏への思想弾圧裁判は権力へ抵抗するものへの見せしめ以外の何物でもない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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江幡ツインズ、新たな伝説への挑戦!

新日本キックボクシング協会の前身となる日本キックボクシング協会が12年の年月を経て復興したのは1996年3月でした。当時、比較的安定していた3団体あった中のひとつのMA日本キックボクシング連盟から突然の脱退。諸々の原因と経緯は省略しますが、あれから本当に早い20年でした。

そして記憶に残る多くのチャンピオンが誕生しました。そんな中で、タイ国の殿堂ラジャダムナン王座奪取した武田幸三、石井宏樹の存在は日本国内戦に於いても大きい存在感がありました。そして今、江幡ツインズが新たな伝説に残る存在に挑戦中です。

MAGNUM.40 / 3月13日(日)後楽園ホール17:00~21:10
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.5kg契約5回戦

WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン. 江幡塁(伊原/56.3kg)vs グライペット・ポー・タワッチャイ(タイ/56.3kg)
勝者:江幡塁 / 2-0 (主審 少白竜 / 桜井 49-47. 宮沢 49-49. 仲 49-48)

グライペットvs江幡塁。ラストラウンドに江幡がラッシュするが、体幹が崩れないグライペット

江幡ツインズも25歳。ラジャダムナンスタジアム王座初挑戦の年からやがて3年が経過になります。2度目の挑戦を目指す塁は、これまで6連勝(4KO)中3連続KO勝利。その塁の相手は元・ラジャダムナン系スーパーバンタム級9位という“元”であってもそう遠い昔ではない実力を持った選手。被弾しながらも戦う中で相手の弱点を見つけ、KOに結び付ける展開が多かったところ、今回の相手はいくら攻めても怯まず、鋭く重い蹴りで返され、江幡の腕や脇腹が赤く腫れていく力強さが目立ちました。塁本人に反省点はあるでしょうが、それでも的確さと手数で優り、観てる側からすれば攻防あるいい試合になって僅差ながら勝利を掴みました。

江幡の連打でも崩れないグライペット

◆日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/57.0kg)vs 2位.石原將伍(ビクトリー/56.9kg)
勝者:重森陽太 / 3-0 (主審 椎名利一 / 桜井 49-48. 宮沢 50-47. 少白竜 49-47)

昨年10月、内田雅之(藤本)から王座を奪った重森陽太は初防衛戦として、パンチの強い石原將伍を警戒しつつ、長身の有利さを利して後半から鋭い蹴りで差をつけて判定勝利。

石原將伍vs重森陽太。後半、攻めに出た重森の伸びるハイキックはいつもながら威力がある

◆日本フライ級王座決定戦 5回戦

1位.泰史(伊原/50.8kg)vs 2位.石川直樹(治政館/50.8kg)
引分け / 三者三様 / (主審 仲俊光 / 椎名 49-49.10-9 / 宮沢 48-49.9-10 / 少白竜 49-48.10-9)

麗也(治政館)が返上した王座を泰史と石川直樹が争い、三者三様の引分け。延長戦により2-1で泰史が第8代日本フライ級チャンピオン。公式記録は引分け。

石川直樹vs泰史。決定打に欠ける展開ながら諦めない攻防が続いた日本フライ級王座決定戦

◆70.0kg契約5回戦

緑川創(前・W級C/藤本/70.0kg)vs 喜多村誠(前・M級C/新潟/69.5kg)
勝者:緑川創 / 2-0 (主審 桜井一秀 / 椎名 49-49. 仲 50-49. 少白竜 49-47)

“前・日本チャンピオン”対決は緑川創が僅差の判定勝利。ムエタイ王座を目指し、日本王座を返上した状態ではあるが、“現在”の地位が無いため、一般からみれば“第一線級を退いた”かのような印象である。何らかの肩書が欲しいところ。

緑川創vs喜多村誠。ムエタイ王座挑戦者決定戦のような図式の結果は緑川の勝利

◆73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg)vs ヨードチャット・プーケットトップチーム(タイ/73.2kg)
引分け / 1-0 (29-29. 29-29. 30-28)
チャンピオンとしてもどかしい試合が続く斗吾はまたも消化不良の引分けに終わる。

◆バンタム級3回戦

日本バンタム級1位.HIROYUKI(藤本/53.5kg)vs同級5位.勝岡健(伊原稲城/53.5kg)
勝者:勝岡健 / 0-3 (28-29. 28-29. 28-29)
日本フライ級王座を麗也に奪われ、バンタム級に転向したHIROYUKIは、パワー不足か、勝岡健にダウン奪われる失点の判定負け。巻き返す底力は前チャンピオンの意地。2階級制覇は遠のいたが、20歳の若さで再浮上に期待。

◆他、6試合

4月17日(日)のTITANS NEOS.14では江幡睦がフォンペート・チューワタナ(タイ)と5度目の対戦。過去、キックで2勝。ラジャダムナン・バンタム級タイトルマッチで2敗。フォンペートも王座を手放し、タイトルは懸かりませんが、今度はノックアウトで圧倒する勝利が期待されます。弟の塁が再ランク確実視される中、睦はフォンペート越えを果たさないと再度のランクインは難しいところでしょう。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7

私の若禿げ克服法──ハゲは隠さず刈り込むことで世界が変わる!

女性が化粧をはじめとした「外観」に注意を払うのは自然な身だしなみとされる。女性だけでなく、男性も近年は「スルスル肌」が好まれるようで、体毛やヒゲの脱毛までを請け負う業界が結構繁盛しているようだ。「へー」と間抜けに感嘆するまでだが、そこまで「脱毛」っていいもんなんだろうか。

◆心理的負荷を与える「脱毛現象」01──抗がん剤投与による「脱毛」現象

人為的に「脱毛」をしなくとも、深刻な心理的負荷を与える「脱毛現象」がある。1つは男性(一部女性)の「ハゲ」であり、他方は抗がん剤投与による「脱毛」だ。

抗がん剤投与による「脱毛」現象が、実は抗がん剤投与終了後に何年も継続しており、それに悩んでいる人が多数いることが最近の調査で判明している。数年たっても抗がん剤投与以前の半分も発毛が見られず、それに悩んでいる人の数が相当数に上るという。

年齢にもよるが、若年癌が増加傾向にある中で、抗がん剤投与後の女性が頭髪の様子を気にするのは無理もないだろう。だから、がんに限らず薬剤の副作用によって脱毛を強いられた人には「かつら」や「ウイッグ」が実生活の上で有効だと思う。そのような方々はただでさえ、体の調子が思わしくないのだから、少しでも心理的負担を減らし日常生活での気がかりを軽減されるのが賢い選択だと思う(もちろん、本人がそう考えれば、だが)。

◆心理的負荷を与える「脱毛現象」02──男性の「若ハゲ」

一方同様の現象でも男性の「ハゲ」の場合は少し事情が異なる。これは自分自身が経験したことなので「その寂しさ」をしっかりと噛みしめながら回顧できる。「若ハゲ」はたしかに強い心理的ストレスをもたらす。私の場合、もとは「こんなに太くてクセのある髪の毛なんか、減ればいいのに」と思うほどの剛毛かつくせ毛で、毎朝頭髪を整えるのに相当苦労していた。

「願いは叶った」のかどうか知らないけれども、まだ20を少し超えた頃、額の生え際が少し後退し出しているのに気が付いた。髪の毛全体も以前ほどの剛毛ではなくなっていて、鏡を2枚用いて頭のてっぺんを見ていると、頂上部分に生え方の薄い部分がある。

この時は、ショックだった。まだ20を少し超えたばかりで「もうハゲかい」と、何ともいえない寂しさを感じたことを今でも記憶している。ご経験のある読者の方々にはお分かりいただけようが、「ハゲ」を発見した時のショックは、「外見がカッコ悪くなる」という理由もあろうが、私の場合「ハゲ=老い」の象徴という概念があったので、この年でもう「老化」が始まったのかというショックが大きかった。外見を気にするような細かな感性を持ち合わせていない私は「ハゲ」て毛髪が薄くなった自分の姿よりも、既に老化に向かっている自分の身体に激しく動揺したものだ。

とはいえ、これといって対策は講じなかった。自然に抜けるものは仕方ない。当時でも「脱毛予防剤」や、「育毛を促す」怪しい器具は販売されていたし、アデランスをはじめとする業者の広告は派手に展開されてはいたが、それらへの関心は一度も湧いたことはなかった。

◆自然の摂理にもかかわらず、露骨に感じた「ハゲ差別」

でも、「ハゲ差別」は露骨に感じた。人の体のありようについて、ことに女性の風貌についてコメントすれば、それが否定的な内容であれ、賞賛する内容であれ「女性差別だ」とする極端にも思えるほどの「フェミニズムコード」が存在するが、男性の「ハゲ」について、直接ではなくとも、コソコソ「あの人、最近薄くなったわね、かわいそうに」と陰口を叩かれることは、深刻に当人を傷つけるのだがいまだに「ハゲ差別」についての、真剣な議論は見当たらない。

いや、「ハゲ」程度で真剣な「対応コード」など作る必要がある!などと私は思っていないけれども、気の弱い男性たちはご経験のない方々が考えられないほど「ハゲ」を悩み、その解決に膨大な投資をしている。

厚労省認可の「育毛剤」が発売されてかなり時間がたつが、あれはどれほど効果があるのだろうか。私は試したことはないので判らない(正直に言えば興味もない)。育毛剤を家で頭に振りかけるくらいなら、職場や周りの人たちに気が付かれることはないだろうが、最大の悲劇は「分かりやすいかつら」を使用してしまったケースだ。

◆出来の悪いかつらほど残酷なものはない……

自分が若年性の「ハゲ」を経験したためか、私は男性の「かつら」利用者はいとも簡単に見出すことが出来る。「あーあ高いお金を払って……」と同情を禁じ得ないのだけれども、出来の悪いかつらほど残酷なものはない。「このひと生え際見えないわ。高い金払ってかつら買ったんだろうなー。外したらこんな感じでハゲているのかなー」と意地悪い想像が勝手に膨らむ。

また、各種「増毛法」商法もいかがわしいことこの上ない。抜け毛が多くなって薄くなった頭髪の対処として、残っている1本1本の髪の毛に、根元から3本の人口毛を結びつける増毛法がある。これは残っている髪の毛が抜けない限りは1本が4本になるのでボリューム感を維持できるが、もとの1本が抜けた時は一気に4本が抜けることになり、普通の脱毛よりも頭髪減少がさらに顕著に現れる。そうなればまた仕方なく残り少ない毛髪にまたしても3本の人口毛を結びつける施術を繰り返さなければならない。でも自然毛はどんどん抜けてゆくから、いずれはこの対処法は効果を失ってします。

ああ、気の毒な我が「ハゲ」被害者よ!気に病む人たちは何百万円も出費している。

◆私の妙案──禿げを隠さず刈り込めば世界は変わる!

私ははじめこそ、気が滅入ったが、ある時、妙案を思いついた。薄毛は伸ばしてハゲ部分を隠そうとすると、とても目立つ。逆に短く髪の毛を刈り込むと思いの外目立たない。2ミリから5ミリほどの超短髪に散髪屋で刈り込んでもらうと、周囲から見た印象もほとんど「ハゲ」ではなくなる。頭髪を洗う手間も省ける。

前述のように抗がん剤投与などにより、脱毛が余儀なくされている人を除き、「ハゲ」た男性諸君! 一度超短髪をお試しあれ。かつらや、いかがわしい増毛法に吸い上げられる際限ない経費が一瞬で止められる。さっぱりして、気分が変わること間違いない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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プロ野球賭博よりも道義に反する国や行政による合法「賭博行為」

プロ野球公式戦開幕を前に、選手が金銭のやり取りをしていたことが問題とされた。試合前のノックでエラーをした選手への「罰金」的な徴収から、「声掛け」担当した選手が当該試合に勝利すると各選手から集めたお金を手に入れる手法など様々な行為が指摘された。プロ野球選手が「わざと負け」たり、「わざと勝ったり」する行為に手を染めれば、それは明らかな背信行為だから指弾されたり、球界から追放されても仕方ないともいえる。

◆日常的に「賭け」を強いられる職業としてのプロスポーツ選手

しかし、彼らは職業運動家(プロスポーツ選手)なのだ。勝つか負けるかを常に争う世界は、年度ごとの予算を立てて、決算を締める商売の世界とは「仕事」への向き合い方がおのずから異なる。

例外もあるがルールが複雑になるほど優秀なスポーツ選手には、明晰な頭脳が要求される。生まれ持った肉体的運動能力の優位さだけでプロの世界では活躍できない。一流選手は皆、聡明である。と同時に彼らはデータや経験値、直感に基づいて、あるプレーに「賭ける」ことも日常的に行う。

野球の打者であれば投手の投げる球種を予測(山を張る)したり、打席の中で立つ位置を微調整したりする。この行為は経験値に依拠しているが、最後は「勘」に頼るものであり、その点で彼らは日常的に業務上である種の「賭け」を強いられることと直面せざるを得ない職業人だといえる。

◆「賭け」の要素が入り込んではならない職業としての行政

この性質と全く逆に位置するのが行政に携わる人たちの仕事だ。行政は法律なり条例に依拠し議会の決定を受けて行われる公的業務であるから、本来行政に「賭け」の要素が入り込む余地はないし、入り込んではならない。

つまり「賭け」を論じる際には前提としてまず、行為者が誰であるか、そして「賭け」と言われるものの実態がいかなるものであるかが冷静に分析されなければならない。その上で行為の正邪が判断されるべきだ。

◆公営による競馬、競輪、宝くじは合法だから「良い賭博」なのか?

そもそもなぜ「賭博」は良くない行為とされるのだろうか。宝くじは「賭け」ではないのか。競馬は「賭博」ではないのか、競輪は、競艇は、オートレースは?どこからどう見ても全て明らかな「賭博」だ。では雀荘で行われる「賭けマージャン」、「闇カジノ」、「ゴルフコンペ」という名の賭けゴルフはどうして悪行とされ時に摘発されるのだろうか。

回答は極めて簡単。「賭博」の胴元が実質的に「国」(もしくは国に準ずる団体)であればその行為は「合法化」され、私人が胴元になる「賭博」は「違法」とされるのだ。賢明な読者においては勘違いされることは無かろうけれども、決して「賭博」の内容により「合法」、「非合法」の区別が線引きされる訳ではなく、あくまでも基準は「国」(もしくは国に準ずる団体)が胴元であるかないかだけが法的には「合法」、「違法」の基準なのだ。

◆試合結果を予想するサッカーくじ(toto)は国が胴元の「賭博行為」である

「野球賭博」を司る国家的制度は今のところない。したがって野球に関する全ての「賭け」は「違法」と認定される。他方サッカーには、試合結果を予想する明らかな「賭博行為」であるtoto(サッカーくじ)が存在する。国が胴元となる賭博の中でも比較的新しいこのtotoは、明らかな賭博行為のイメージを隠ぺいするために「サッカーくじ」などという名前を付けたが、「くじ」と「賭博」は全く異質かつ相いれない性質を持つ行為であることをご理解いただくのに、多言は必要あるまい。

勝負を強いられる仕事には判断においても、プレーの選択においても「賭け」が必ず必要だ。だから(言い過ぎかもわからないけれども)勝負師にとっての「賭け」は日常的行為だともいえる。よって私はあまりプロ野球選手が小銭のやり取りをしていた行為に興味が湧かない。所詮その金は彼ら自身が稼いだ金であるし、それによって試合に緊張感が出ることはあっても「わざと負けてやろう」という動機が強く引き起こされることは稀だと考えるからだ。

◆最大の「賭博」犯罪は国がGPIFに委ねた「年金原資の投機的運用」である

むしろ関心と指弾は本来「賭博」と無関係であるはずの行政が実質的に「賭博」に手を染めていることに向かうべきではないのか。目下最大の道義的犯罪は「年金原資の投機的運用」であろう。年金の資産は2016年3月現在135兆円だと言われているが、その運用は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に委ねられている。しかし実際の運用はGPIF自身が行うのではなく国内外の「民間金融機関」に委ねられていることはほとんど知られていない。いわば「年金原資運用の民営化」が既に強行されているのだ。しかも委託先は国内の金融機関だけでなく「JPモルガン」、「ゴールドマン・サックス」といった海外大手の多国籍金融機関にまで及ぶ。

年金を天引きされる多くの給与所得者にとっては、青天の霹靂ともいうべき狼藉が合法的に行われているのだ。年金の運用を民間会社に任せて、損出が出たらどうするのだ?誰も責任を取りはしない。仮に運用益が出たところで「瞬間的博打に勝った」だけのことで、年金が極めて不安定な運用に委ねられている構造に変わりはない。

そして、実際に運用損は計り知れない額になるだろう。2015年7月-9月の運用損が9.4兆円との実績がある。1ドル120円前後から110円前後への円高と、今後ますます進む株安により20兆円近い運用損を予想する専門家もいる。

これが「賭博」でなくて何なのだ。

プロ野球選手の賭け事(?)はスポーツ新聞の中で報じていればいい。過剰な報道に「あら、いやだわねぇ」、「子供の夢を壊す」(本当にそんな事思っているのか?と疑問だが)と感じられる方がいるかもしれないけれども、実生活上私たちには「全く関係のない話」だからだ。

一方、年金原資を投機的に運用した結果の損益は、一部富裕層を除くほとんどの人びとにマイナスの影響を及ぼすことが間違いない。

今50歳以下の人が年金を受給できる計算が、どうしても私には出来ないのだ。私の計算が間違いであればよい。誰か安心できる「回答」を示してくれないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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