美人だと幸福になれるか? 周りを見渡すと、否だ。
もちろん幸福になっている人も、少しはいる。それは「美人」を武器にしなかった女性だ。
自分で努力して、生きていく術を身につけた女性だ。

人間は弱いから、たいていの美人は、それを武器にする。男性と付き合えば、デート代をすべて持たせ、何かといえばプレゼントをねだる。「あなたと話すためだから」と、携帯の料金まで払わせる。部屋に遊びに行くようになると、家賃の一部まで負担させる。
美人は決まって性格が悪い、というのはバルザックも言っている。その時代からそうなのだ。

当然、武器が最大限に発揮されるのは、結婚である。
だが、能力もあってルックスもいい、という男性が選ぶのは、努力した美女だ。
美人であるというだけが武器の女性が選べるのは、せいぜい高学歴高収入というだけの男性。
ルックスや心根については、検討材料から外す。そもそも、ルックスのいい男性だと、自分のルックスが武器にならなくなる。心根など、自分の性格が悪いのだから、測りようがない。

結婚はすぐに冷める。男のほうだって、「こいつが好きなのは、オレの金だ」と気づく。
夫はただの財布になり、妻は他に男を作る。そんな例は、周りを見渡せば、いくらでもある。

だから、金をかけてまで美人になろう、という神経が分からない。
井上静著『華麗なる美容外科の恐怖』(鹿砦社)を読んで、その思いを強くした。

美容整形で失敗した女性たちの声が紹介されている。
「私は手術をしてから不細工になってしまい、たくさん修正もしました。結局元の顔には戻れず、元からは考えられないような醜い顔を、鏡で見るたびに絶望しています」
「手術したら顔が一気に弛んでしまい、10歳くらい老けて見えるようになりました。死にたい。誰にも言えなくて。そしたら、私と同じような経験される方が他にもいらっしゃるとは……」
「手術して人生がすべて狂いました。手術前はよく美人と言われていましたが、今は面影もありません。あの医師は、このようになり得るというリスクは一切教えず、また不要な手術を平気でするような男です」

手術に失敗した患者に、医師が浴びせる言葉も紹介されている。
「自己責任でしょ? ギャンブルみたいなもんですから。術前誓約書にサインした以上は自己責任。自殺を考えてる人のことは知りません。誓約書というものはですね、そういったいわば想定外の結果、もちろん死亡も含めて、サインするものなんですよ」
「人間きれいごと言いますが、腹のなかではみんな金に群がるハイエナなんですよ。綺麗になって金持ちのイケメンをゲットしたい不細工も、美容外科医も同じ。騙し騙され、それで勝ち組は、負け組の頭を踏み台にする。人間なんてみんなそんなもん」

本書では、美容整形の様々な事例が、あらゆる角度から紹介されている。
人間の哀しさも、そこからは浮かび上がってくる。

(FY)