2011年10月、洪水が襲い、タイに工場を持つ日本の車や精密機器のメーカーは大打撃を受けた。
車は部品が足りず、精密機器メーカーはフィリピンやインドの工場に製作を振り替えざるを得なくなったのだ。
これと連動して、実は、国内ではただ2社、作っていた「日本マクセル」と「ソニー」のうち、「ソニー」がカセットテープを作れず、ついに生産中止となった。「日立マクセル」は、急いで生産ライン復帰を試みている旨がホームページに記載されている。

「今、買っておかないともうカセットテープはなくなるから、すごくプレミアがつくよ」と近所の電気店のオヤジが言う。
彼いわく「カセットテープは、もうすぐどこも作らなくなる。世界的にも作っているメーカーがゼロになる」ということだ。
だからまとめ買いしろというのだが、さすがに10本しか買えなかった。そう言われると、店頭のものをすべて買いたくなるのだが。

カセットテープがなくなる。いまだに、カセットテープによる録音で取材をしているアナログ派の私としては、悲しい限りだ。
どうもICレコーダーというものは、操作ミスで一発で音源が消えてしまうような気がするのであまり使っていない。

「カセットテープは、老年に今も重宝されているよ。踊りなどの稽古ごとのサークルじゃ、ものすごく便利に使えるしね」と老年の民舞講師は言う。
その通りだと思う。秋葉原の電気街でも、もうめったにカセットテープの録音機は販売されていない。

唯一、ソニーの機械を発見できたが、その他にはお目にかかれなかった。
新橋の電気店でカセット録再生機を発見したが、韓国製だった。
レンタルレコード店(古いか)でレコードを借りて、カセットテープに落とす。好きな音楽を聴く。わずか400円で音楽を楽しめた時代が確かにあった。

カセットテープは、専門的には、「コンパクトカセット」という。
はるか昔、オープンリールテープから発展させたのはオランダの電機メーカーであるフィリップス社であり、フェライトを素に1962年に、音源を磁気テープにレコードすべく開発したのが「オーディオ用磁気記録テープ媒体」、つまりカセットテープの規格だ。

しかし、シェアとしては1999年ごろに、ミニディスク (MD) に追い抜かれて、2000年代からはデジタルオーディオプレーヤーも台頭するも、カセットテープは使うのに敷居が低いうえ、老若問わず使えるので幅広く愛用されてきた。
手元には膨大な音楽用カセットがあるが、これからカセットテープは、レコードと同じく、再生すら難しくなるのだろうか。
時代の移ろいを感じつつ、街中でカセットテープを発見しては大人買いしてしまう今日この頃である。

(鹿砦丸)