沖縄に行って驚くのは、あれほどあふれていた中国人観光客が激減していることだ。
おもろ町では、いつも中国本土から「プラダ」や「シャネル」などの高級品を目当てにしたセレブが買い物にやってくる「デューティ・マーケット」でも売り上げが減っている。

「中国からの旅行客は、前年比べで4割くらい減っているのではないでしょうか。8月は台風の影響で打撃を受けたし、何より尖閣問題で中国人たちが沖縄への旅行客をキャンセルしていますから」(旅行代理店)

日本政府は7月から中国人が沖縄へ一度行けば、期間内なら何度でも日本中へ旅行できる「数次ビザ」を発行した。
「震災で旅行客が減った東北3県と同時に、沖縄へやってくる旅行客が増えれば、経済的にも潤うはずでした。年間10万人もの客を見込んでいたのに、大打撃ですよ」(ツアーコーディネーター)

そもそも、旅行プランにもよるが、中国から沖縄には往復で2万数千円で飛べる。ところが日本本土から沖縄へ行くと、(シーズンにもよるが)仮に東京から行くとしても往復で4万円くらいかかる。日本本土から旅行客が来ない。ではどうしようか。

苦肉の策として浮上したのが、「数次ビザ」である。
旅行会社のスタッフが吐露する。
「そうはいっても、一流ホテルに4、5千円で食事つきで宿泊できるプランがメインです。中国旅行客相手のビジネスは、薄利多売なのです。ツアー会社は中国からの旅行客は見切って、高校や中学向けの修学旅行などへと営業を切り替えていますよ」

そもそも、中国と沖縄の縁は深い。
14世紀末から琉球は、明朝の朝貢国となり、海上交易をさかんに行った。
中国と日本の歴史上の軋轢はここでは省くが、沖縄と中国には目には見えない親和性を感じる。

「琉球大学にも中国からの留学生は多い。反日活動が激化しているようですが、私たちは中国と文化交流したい」と琉球大学の女子大生は言う。

東シナ海でにらみ合う自衛隊と中国海軍の戦艦たち。
それらは、沖縄、なかんずく日本と、少なくとも文化面では関係ない。
私にも、中国の友人は多い。いい部分は学び、悪しきところは反面教師にする。それが国交というものの基本姿勢ではないのか。

中国国内では反日運動が激しく、日本のスーパーが焼かれている。日本語の書籍はすでに焼かれた。いったい何をしているのか。いち早く、日本と中国はくだらない領土の主張はやめて、文化交流を再開すべきである。それが沖縄、ひいては日本の国益になるのだから。

(TK)

 

(写真)

▲中国人観光客がブランド品を買い求めるおもろ町の「デューティ・マーケット」