衆院選では、自民党が政権奪回する、という予測がもっぱらだ。
脱原発=「命」よりも景気=「金」のほうが、大事だとでもいうのだろうか。
沈黙していた「棄権党」が、今こそ立ち上がって、状況を変えてほしい。
脱原発したら、より景気が冷え込むなどというのも、推進派のウソだ。
原発に関わる雇用が失われ、立地地域の景気には影響が出るだろうが、本当の意味での地域復興を考えるべきなのだ。

本当のことが言えない状態でも、原発に関する論議は進んできた。
今や、さすがに「原発はCO2 を出さないクリーンなエネルギー」だという主張は影を潜めた。どう考えても、CO2より放射能のほうが危険だ。
原発推進派は、本音を口に出すようになった。野田政権も「安全保障」という言葉を使った。日本維新の会の代表の石原慎太郎は、原子力技術を保有することは、核武装のオプションをもつ上で不可欠だ、と語った。

これは原子力を手にしたいと願ったときからの、国の本音だったのだろう。それを「クリーンなエネルギー」などというウソで、リスクを地方に押しつけてきた。事故を起こして子どもたちに放射能を浴びせておいて、よくも今さら、そんな本音が言えるものだ。

この夏、日本で動いていた原発は、大飯原発の2基のみ。国全体から見れば、0.5%ほどだ。「原発を停めれば、電力が足りなくなる」というウソもばれた。
そこで露わになってきたのが、電力会社の金の問題だ。
すでに、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』でのインタビューで、広瀬隆氏は語っている。
「廃炉にすると決めた瞬間、これまで資産だった原発は資産としての価値がなくなるからです。関西電力の純資産は1兆6417億。そのうち、原発の資産価値は、8753億です。半分が吹っ飛んでしまう。だから必死になって、原発を動かそうとしてるんです」

これを認める形の試算を、経済産業省が出している。全国50基の原発を2012年度中に「廃炉」にすると決めた場合、電力会社10社であわせて約4兆4000億円の損失が生じる、という。東京電力と東北電力、北海道電力、日本原子力発電の4社は資産で借金を返せず、経営が行き詰まる「債務超過」に転落する、としている。

思っていたほど、たいした状況ではないな、というのが正直な感想だ。廃炉しても、経営が行き詰まらない会社もあるとは、さすが高い電力料金を取ってきただけあって、日本の電力会社は安泰だ。
原子力部門だけ国家管理して廃炉するという案もあるが、自力で廃炉できる電力会社には、そうしてもらうといいのではないか。
電力会社がいきなり倒産しても困るので、公的資金の投入が必要になるかもしれないが、4兆4000億円の一部なら、国民が痛みを分け合えばどうにかなる額だろう。
日本が滅亡するよりは、よほどましだ。
それで、電力自由化に転換していけばいい。

廃炉にした場合、使用済み核燃料をどうするか、という問題が残る。
地震国の日本で、安全に保管できる場所を探すのは難しい。
世界に放射能をまき散らしたことを謝罪し、原発を止めることを明らかにし、有償で引き取ってくれる国を探すしかないのではないか。
それには、今しかない。今後10年も20年も原発を動かし続けて、溜まりに溜まった使用済み核燃料を引き取ってくれなどと頼んでも、聞く耳を持つ国などあるはずがない。

今でも遅いくらいなのだ。
大飯原発を再稼働し、日本は「反省していない」というメッセージを、世界に送ってしまった。

まだ間に合う。
だが、原発の新設もありうる、と言っている、安倍晋三総裁の自民党などに政権を渡したら、日本はひたすら、滅亡の道を歩むことになる。

(FY)