「おおらかな人柄とダイナミックな演技で、多くの人たちに愛された歌舞伎俳優でしたね。息子の海老蔵のことを最後まで気にしていました」(歌舞伎関係者)
江戸歌舞伎を代表する名門、市川團十郎家当主で、人気を博した歌舞伎俳優、十二代目市川團十郎が2月3日、肺炎のため死去した。
市川團十郎は昨年12月、京都・南座での「吉例顔見世興行」出演中、風邪による体調不良で休演。「肺炎の兆候がみられる」との診断を発表して療養に専念し、4月の歌舞伎座開場公演に備えていた。平成16年には急性前骨髄球性白血病が判明し、一時復帰するも17年に再発。20年には妹の市川紅梅さんから骨髄移植を受けるなどして克服し、舞台に立ち続けていた。

「とにかく歌舞伎の魅力を海外に伝えるのが喜びだったようです。平成16年のパリ・国立シャイヨー劇場での海老蔵襲名披露公演に続き、平成19年にはパリ・オペラ座で初の歌舞伎公演を成功させた実績は賞賛に値します。白血病克服後は全国骨髄バンク推進連絡協議会会長に就任し、患者を公演に招待するなど社会活動にも熱心な人でした」(全国紙文化部記者)
晩年は、息子の海老蔵の一連のスキャンダルに悩まされた。
「海老蔵が歌舞伎を嫌になって家出したことがある。朝帰りした海老蔵を温かく包みこみ、説得して海老蔵をなんとか舞台に戻した。責任ある人でしたね」(歌舞伎関係者)
歌舞伎の千両役者が、多くのファンに惜しまれつつ逝去した。冥福を祈りたい。

(鹿砦丸)