先月のMAGNUM.46に於いては14試合中7試合が引分けだった興行に対し、今回は公式戦11試合とエキシビジョンマッチ1試合は全39ラウンド。1ラウンド決着が7試合。消化したラウンドは全22ラウンド。今までに無いかもしれない早いペースで進行した興行で、観衆としては心地良い豪快KOが観れ、疲れない長さで堪能した様子。

江幡塁も被弾しながら強烈な右ストレートを打ち込む

ユン・ドクジェの蹴りのパワーと連打で、江幡塁の左脇が赤く腫れる

◎TITANS NEOS.23
4月15日(日)後楽園ホール17:00~19:48
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.0kg契約 5回戦

WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.江幡塁(伊原/56.0kg)
   VS
ユン・ドクジェ(MAX FC 57kg級C/韓国/55.4kg)
勝者:江幡塁 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:宮沢49-48. 仲49-48. 少白竜49-48

終盤の江幡塁が優っていった左ミドルキック

江幡塁のローキックに右ストレートを合わせて来るユン・ドクジェ。組み合ってもすかさずヒザ蹴りを返し、たじろがないユン。蹴りも強く江幡塁の左脇腹が赤く染まり、被弾した顔面もやや赤みが増す。なぜかリズムに乗れない江幡塁だったが、第5ラウンド終盤には怒涛のパンチラッシュでユンを追い詰めるが的確さに欠け、ノックアウトに至らず終了。

苦戦の原因を尋ねるとセミファイナルまでの試合進行が早く、ウォーミングアップが足りなかったことを述べ、3ラウンド辺りから身体が解れ、ペースアップに動いたが、ユンを調子付かせてしまった反省点を述べていました。

江幡塁が6月8日に2度目の「KNOCK OUT」出場で、国内幾つかのタイトルを獲得している小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)と対戦します。兄の睦は、5月31日にタイ国ラジャダムナンスタジアム出場が予定されており、ランキング入りを懸けた戦いとなるか、ツインズの次なるステップへ、終わりなき挑戦が続きます。

江幡塁もペースを上げ、本来の鋭い攻めを見せた左ハイキック

緑川創のボディブローから上下打ち分けヒジに繋いでいく

 

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(藤本/70.0kg)vsアニーバル・シアンシアルーソ(アルゼンチン/69.2kg)
勝者:緑川創 / TKO 1R 2:45 / ヒジによる顔面カットでドクター勧告を受入れレフェリーストップ
主審:宮沢誠

アニーバルの蹴りにパワーは有るものの、繋ぎ技は少ない。緑川はボディーブローから上下打ち分け、パンチ連打にヒジ打ちを加え、アニーバルは右側頭部をカット、流血に見舞われ、レフェリーストップ、緑川創がTKOで圧勝。

緑川創が教授のようにキックボクシングの技を叩き込む

重森陽太のハイキックの方が鋭く重くウ・スンボムを襲う

 

◆ライト級 5回戦

重森陽太(伊原稲城/61.1kg)vsウ・スンボム(KMMAF韓国60kg級C/韓国/60.9kg)
勝者:重森陽太 / TKO 1R 2:35 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

ウ・スンボムの勢いあるハイキックを冷静に対応。重森もハイキックを軽く返していくと、これでノックアウト出来そうな雰囲気が漂う中、その強いハイキックから連打、最後は右ストレートで倒して圧勝。

重森陽太の右ハイキックから右ストレートへ繋いで倒す

エキシビジョンマッチで軽やかな動きを見せる勝次

先輩相手に遠慮無い変則ファイトのHIROYUKI

◆エキシビションマッチ

日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本)EX日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(藤本)&日本フェザー級4位.皆川裕也(藤本)

再起に動き出した勝次(=高橋勝次)が後輩2名とエキシビジョンマッチで登場。昨年出場した「KNOCK OUT」での全トーナメント戦に於いて通算何度ダウンしたことか。そのダメージを抜いて、7月興行に於いて、ランカークラスのムエタイボクサーと再起戦が予定されています。

皆川は正攻法の攻めで終わるも、HIROYUKIは開始早々から飛び蹴り、また変則的な攻勢を見せ、三者三様の鋭い動きでそれぞれが好調ぶりを発揮されていました。

◆73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg)
   VS
任朝恵(ワイルドシーサー沖縄/73.1kg)
勝者:斗吾 / KO 1R 2:16 / 3ノックダウン
主審:少白竜

実力差が現れたパンチの交錯。斗吾が圧力掛けて出て、やや空振りもあるが3度のダウンに結び付けて圧勝。

強いパンチで追い詰める斗吾

◆59.0kg契約3回戦

JKIスーパーフェザー級チャンピオン.葵拳士郎(マイウェイ/58.6kg)
   VS
日本フェザー級1位.髙橋亨汰(伊原/59.0kg)
勝者:髙橋亨汰 / TKO 1R 2:45 / 左ハイキック一発、ノーカウントのレフェリーストップ 
主審:仲俊光

静かな序盤を様子見で終わるかと見えた初回の終盤、ガードの空いた葵拳士郎の右顔面に髙橋亨汰の左ハイキックがヒット、あっけなく豪快に勝った髙橋亨汰は雄叫びと号泣で喜びを表す。

左ハイキック一発でノックアウト直後の高橋亨汰

◆ミドル級3回戦

TENKAICHIミドル級チャンピオン.Tomo(天下一・沖縄/72.3kg)
   VS
日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
引分け 1-0 / 主審:宮沢誠 / 椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-28

◆ライト級3回戦

日本ライト級5位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.1kg)vs千久(伊原/61.15kg)
勝者:ジョニー・オリベイラ / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-28. 仲29-28. 宮沢30-28

◆61.5kg契約3回戦

日本ライト級6位.渡邉涼介(伊原新潟/61.5kg)vs同級7位.大月慎也(治政館/61.3kg)
勝者:大月慎也 / TKO 2R 3:12 / カウント中のレフェリーストップ
主審:椎名利一

◆ウェルター級3回戦

J-NETWORKウェルター級10位.涼介(不死鳥/66.45kg)
   VS
ワンパンマン浦野(名護ムエタイS/66.3kg)
勝者:涼介 / KO 1R 2:37 / 3ノックダウン
主審:宮沢誠

◆ライト級2回戦

林瑞紀(治政館/61.0kg)vs松崎祐樹(トーエル/60.8kg)
勝者:林瑞紀 / TKO 1R 0:40 / カウント中のレフェリーストップ

◆58.5kg契約2回戦

瀬川琉(伊原稲城/58.3kg)vs小田切健吾(マイウェイ/58.0kg)
勝者:瀬川琉 / TKO 1R終了 / 顔面負傷による棄権

《取材戦記》

若いと言われた江幡ツインズも今年27歳。デビューから10年経ち、今や円熟期。昨年12月から“江幡祭り”と新たなキャッチフレーズが付き、今年に懸ける変化が見られてきました。宮元啓介(橋本)戦に続く日本人対決を迎える江幡塁と、2年ぶりのラジャダムナンスタジアム出場の江幡睦の勝負とその先が注目の、夏に向けたこの季節となります。

苦戦し反省はあるが表情は明るく勝者コールを受ける江幡塁、右は伊原信一協会代表、レフェリーは椎名利一氏

次回興行は5月13日(日)に後楽園ホールに於いて、治政館ジム主催興行「WINNERS 2018.2 nd」が開催。日本フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー)がメインイベントの他、日本ウェルター級王座決定戦で、1位.政斗(治政館)vs3位.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原)戦が行われます。

リカルド・ブラボが勝てば、新日本キックボクシング協会に於いては、朴龍(韓国/市原)以来の外国人チャンピオン誕生となる、伊原ジムが期待を掛ける若い外国人選手。治政館が期待を掛ける政人は王座へ2年ぶり2度目の挑戦となります。

藤本ジムの三羽烏、左からHIROYUKI、主役の勝次、皆川裕也

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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