中高生の間でlineを使ってのいじめが増えている、と最近よく耳にする。メディアによっては「ネットいじめ」「サイバーいじめ」なんて、流行り言葉を生み出そうと頑張っているかのように書きたてる。いじめはあってはならない、いじめは社会悪だ、こういった言葉も必ず聞く。確かにその通りだが、いくら繰り返し言ったところで無くならない。少なくとも、筆者が小学生の頃、20数年前から当たり前に存在していたし、幾度も学校で先生が問題として取り上げたが、何も変わらなかった。

筆者が小学生の頃はインターネットもなければlineもなかった。しかしクラスで会話に入ろうとすると、あからさまに攻撃的な態度を取られ、追い出される生徒はいた。いじめの標的にされた生徒に対し、上履きを隠すだの教科書を捨てるだのをして嫌がらせを楽しむ生徒は、学年が変わろうが学校が変わろうが、どのクラスにも一定数居たものだ。今は単にそれがline上で行われているだけの事で、子供に変化があるわけではない。子供が使えるツール内で、同じ事をしているだけだ。

ちなみに20数年前ではファミコンを使ったいじめというのもあった。数人が誰かの家に集まってファミコンをするだけなのだが、わざわざ呼んだのに、いじめの標的の子には順番を回さず蚊帳の外に置く。対戦ゲームなら順番は回すが、その子の番になると目を塞ぐだの身体に蹴りを入れるだのをして、まともにプレイさせないまますぐに負けされる。全くくだらないと思うが、それを楽しむ連中は結構な人数でいたし、毎回そんな目に合わされる子はたまったもんじゃない。それが今はlineに置き換わっただけで、誘っておきながら突然グループから退会させるというやり口は、何ら昔のいじめと違いはない。ちなみに筆者は話し方がおかしい、表情がおかしいなど見た目の問題でいじめの標的になることもあった。幸いにも長期に渡ることは無かったが。

このようないじめは無くすことはできないのか? 恐らくできないのだろう。Lineが廃れればlineのいじめは自然となくなるが、その頃には新しい流行のツールを使っていじめは継続される。親や先生が何を言おうが、クラス内の仲間外れは必ず存在する。なぜなら、大人になってもいじめは無くならないからだ。

恥ずかしながら、筆者は何度も転職し大企業から中小企業、ベンチャーまで勤めた事がある。会社内でいじめの無い会社の方が珍しかった。どこの職場でも大小の差はあれど、いじめはありふれているのだ。パワハラなどというものは言うまでもないし、同じ業務に携わっていても仕事ができる、できない、愛想がいい、悪い、人付き合いがいい、悪いで必ず輪から外れる人が出てくる。学校に勤める先生の職場、あるいは子を持つ親の働く職場で、今まで職場でのいじめが一切記憶に無いという人の方が少ないだろう。自分の職場でいじめが解決できないのに、子供に向っていじめはいけません、と言って解決できるだろうか。

無くならないのだから、根絶を目指すのは難しい。しかしいじめられている子は早急に対処しなければ、辛いばかりの毎日が続くことになる。子供にとって、世界の半分ぐらいは家庭が占めて半分ぐらいは学校が占める。だからクラスメイトのいじめは重い。

そもそもlineというものはクラスメイトだけで使用するものではない。大人であれば長らく会えなくなった昔の友人から、遠い国にいる友人知人、または直接会った事もないネット上だけの知り合いとも連絡を取れるツールなのだ。だからクラスメイトに仲間外れにされるなら、クラスメイト以外の知り合いを作るよう勧めたい。ネットで知り合った、というと危険だと思うのは、古い考え方だ。出会い目的で使用しなければ、直接面識が無くても長い付き合いの持てる知人が作れる。語学教室にでも通えば、外国人の友人だってできる。彼らが国に帰ったとき、lineというものが本当に役立つようになるだろう。

学校へ行くのが苦痛なら、学校へ行かなくてもいい。その代わり別の場所でコミュニティに入り、勉強も別の場所で続ければいい。それが筆者の持論だ。lineでいじめられるなら、そのグループには入らなくていい。いじめを受けないグループを探し、そこで自分を発揮できるようにすればいい。子供達には、そこに気付いてほしいとニュースを観る度に、思う。

(Tacchi)