「進歩的文化人」とされる人たちがカッコつけて「声明」を発するだけで権力と闘わない。これは昔から言われてきたことで、特に本多勝一氏などが大江健三郎氏の態度を槍玉にあげてきたものだ。

しかし、もっと酷いのが弁護士団体である。各地の弁護士団体および日本弁護士連合会は、政治のファッショ化が批判されると、表向きは、これにあわせて「声明」を発し、いかにも人権に関心があって擁護する気があるかのように見せかけるか、実際には何もしないどころか、逆に権力の側に立って人権侵害をやりたい放題であり、明らかに弁護士法に違反しているが、弁護士自治を悪用して逃れている。弁護士自治とは本来、権力と闘うためにあるはずなのだが。

いま日弁連は「特定秘密保護法案に反対する会長声明」を発表しているが、これは明らかに嘘である。日弁連は、組織の情報を隠蔽して不正のやりたい放題したいと考え、実践している。

例えば、弁護士団体の活動が秘密主義であるため、身内の不祥事を隠蔽しているという批判は、もう何十年も前からあった。そこで情報公開制度を利用し、行政文書開示請求をした。弁護士団体は広義の行政機関なので、行政不服審査の対象にもなるという判例があるから、どう開示請求するべきかと総務省に問い合わせしたところ、以下のように返事があった。
ご照会いただきました標記の件につきまして、次のとおり回答いたします。

(回答)

ご質問の「弁護士会」は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」および「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」の適用対象外法人となっております。

このため、同会に対する情報公開請求につきましては、同会の相談窓口に直接お問い合わせください。

○ 日本弁護士連合会?? 電話:03-3580-9841 (代表)

東京行政評価事務所(情報公開・個人情報保護総合案内書)
これに基づいて、日弁連に問い合わせたところ、文書によって開示請求すればよいとのことだったので、開示請求書を送付したところ、以下のような返事だった。

「文書の閲覧謄写を許可しない」

(理由)当連合会の文書閲覧謄写規則第6条に規定する「特に閲覧または謄写の必要ある場合」に該当しないと認められる。
この返信は、請求書が届いた本年翌日10月1日の日付であった。

行政文書開示請求は「許可」するかどうかの問題ではないので、この規則を当てはめるのは誤りであるし、弁護士会長の名義で「審査第二課」から送付したとのハンコが押されていたけれど、普段は忙しいといって対応が遅い日弁連としては異例の電光石火の反応で、請求書が届いたその日のうちに審査できるはずがない。

日弁連は、外部からどんな請求や申立てがあっても、いつも同じ内容の文書を送り返してばかりいて、事実や証拠も無視するので、書面を読んですらいないと怪しまれてきたが、実際そうではないかと思われる。

このように、自らの組織ですら情報開示しないのは、もちろん怠慢を隠蔽するためだろうが、もうひとつは、情報公開すると、日弁連が権力犯罪の共同正犯であることが明るみになるからだ。これについて、次回さらに報告する。

(井上 靜)