中国では、北京の天安門前に続いて、山西省の共産党ビルに対する爆破テロ事件が生じた。
実はこうしたテロ事件は氷山の一角で、ここ20年間、開放改革によって著しく拡大した貧富格差によって、貧しい農民たちによる武装叛乱事件が続発している。その数は、年間大小の叛乱は数万件にも及んでいる。
1989年6月4日の天安門では、学生、学者などの知識人を中心とした蜂起であった。
その後、中共政府は知識人の不満を緩和するために、一層開放改革の速度を速めた。
その結果、知識人たちは事業を興し、金と名誉と安定した生活を獲得した。
その一方、開放改革に取り残された農民たちは著しく貧しくなり、喰うや喰わずという情況に陥った。

すなわちそれは、開放改革路線によって著しく発展した上海や広東などの沿海地域に対して安徽省や貴州省、四川省など内陸地域は開放改革路線から取り残された地域では、極めて貧しい状態へと追い込まれて行った。
つまり中国では、個人としての貧富の格差は、地域による貧富の格差として拡大していった。
ここ数年、チベット、ウイグル、内モンゴルなどでの民族独立運動が活発化しているが、実はこうした民族独立運動の背景には、これらの地域が全て内陸にあり、沿海部の発展した地域から経済的に取り残された地域である。
そしてそれらの地域に入植している漢民族の多くが開放改革の恩恵に浴して、裕福であるのに対して、地元のチベット、ウイグル、内モンゴルの人々は、極めて貧しい生活を強いられている。

すなわち、経済問題に端を発した不満が、民族問題として一気に火を噴いたのである。
中国史を紐解けば、中国は易姓革命が繰り返されていることが分かる。
王朝が転覆する易姓革命のきっかけはそのほとんどが農民革命である。貧しい農民が一揆を起こしてそれが革命へと発展、その民主革命のリーダーが新たな皇帝として即位しているのが中国易姓革命の常である。明を建国した朱元璋がそうして即位して洪武帝として皇帝に即位したことはよく知られている。
近代史におしても清朝を倒した辛亥革命も、兵隊に対する給料の未払い問題で農民兵士が武昌で蹶起したことがきっかけになっている。
また中国共産党の革命も、毛沢東が指導した農民革命がその基本となっており、そのため中国共産党は農民の利益を代表する党として発展を遂げている。

中国共産党は、知識人たちによる不満を開放改革によって黙らせることに一見成功したかに見えたが、実はそれは貧富の格差をという大きな副作用を惹き起こし、もっとも革命の主人公となる多くの農民たちに大きな不満を与えた。
中国で億万長者と言われている新興成金の人口は約2億人で、日本の総人口よりも多い。しかし10億人もの人々が、貧しさに喘いでいるのが現状である。これらの人々はいつ叛乱を起こしても可笑しくないのが、現在の中国が置かれている現状なのである。

天安門事件の中心となった指導者たちの多くが現在、アメリカに亡命している。
中共政府は、こうした知識人たちが中国国外に亡命してくれれば、国内の不安材料は取り除かれるとして大歓迎している。中国国内では有能な民主化のイデオローグや活動家たちが、一旦中国国外に出てしまえば、単なる一華僑に過ぎなくなるためである。
「中国の春」運動として知られている海外における初めての中国民主化運動の創始者である王炳章博士は、1991年から武装革命を鑑み、香港とマカオそして日本の中国民主化の活動家をミャンマーとタイ国境地域のカレン独立同盟の解放区・コートレイに派遣し、カレン解放軍やミャンマー民主化のための学生ゲリラ組織ABSDFとの共闘を模索していた。
このため王炳章博士は後にベトナムで中共の特務によって拉致され、広州に連行された上、非公開の暗黒裁判で「国家転覆罪」によって終身刑を言い渡され、目下獄中である。

また中国民主化運動の指導者として十八年間獄中におり、アメリカとの政治取引でアメリカに亡命中の魏京生が組織する「中国民主運動海外聯席会議」も今年10月上旬にアメリカ・テネシー州のナッシュビルで開催された世界大会の席上で、『中国民主革命檄文』が作成され、この中で「中共統治グループは、漢民族をはじめチベット、ウイグル、内モンゴルなど、各民族を抑圧する人民共通の敵である」と規定し上、「抑圧、略奪された人民よ、団結して立ち上がれ!造反して武装蜂起し、全体主義暴政を転覆せよ!」と呼びかけ、「人民に有する平和を求める権利のために、武装し、暴力で抵抗し、軍事クーデターの手段によって暴政に終止符を打て」と明確に中国民主革命のための軍事クーデター路線を打ち出した。まさに中国では農民叛乱と知識人による民主化組織の連合が始まった。
今後、中国では、近い将来かなり高い確立で予測されるバブル経済の崩壊によって、不動産成金や、金融取引の停止といった事態によって、テロの続発から内戦、そして軍事クーデターによる中国共産党政権崩壊へと急速に進む可能性も否定できない情況となっている。

(筑前太郎)