自民党の石破茂幹事長が、11月29日の自身のブログで、議員会館の外での「特定機密保護法絶対阻止!」のデモンストレーションに対して、「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と記して批判を受け、テロの部分を撤回した。
「お詫びと訂正」を12月2日に出しているのだが、これもまたおかしい。
以下の内容だ。
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整然と行われるデモや集会は、いかなる主張であっても民主主義にとって望ましいものです。
一方で、一般の人々に畏怖の念を与え、市民の平穏を妨げるような大音量で自己の主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相容れないものであるように思います。
「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」に民主主義とは相容れないテロとの共通性を感じて、「テロと本質的に変わらない」と記しましたが、この部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めます。
自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます。
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駅頭などで行われる政治家の街頭演説も、かなりの大音量で行われている。
確かに、スローガンをただ繰り返すだけのデモンストレーションはあまり効果がないのでは? と思いもする。だがそれを言うなら、選挙運動の際の宣伝カーのスピーカーからの名前の連呼は、ただ迷惑なだけだ。

なぜ、特定機密保護法に反対する声だけを取り上げて、民主主義の手法とは異なると批判するのか?
テロの言葉も含めて、うっかり本音が出た、といったところだろう。

特定機密保護法の第12条では、テロリズムを以下のように規定している。
「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」
人を殺傷するのは殺人や傷害であり、施設などを破壊するのは建造物等損壊であり、すでに取り締まる法律がある。従ってこの条文は、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」することを、取り締まるためのものだろう。
他人を説得することも、見方によっては強要と取られかねない。

スローガンを叫ぶデモを、石破は、民主主義とは相容れない、と断じた。
かつて、整然なデモにも機動隊が襲いかかるという時代があった。
特定機密保護法は、そんな時代に逆行させる法律だという本音を、石破は漏らしたのだろう。

(深笛義也)