実は、この自分にとって鹿砦社といえば後藤民夫著ビートたけし三部作であった。
これは『ビートたけしは死ななきゃ治らない』、『顔面麻痺は死んでも治らない』、『ガス室に招かれた彰晃とたけし』、のことである。
これらは当のビートたけし著の題名をパロディにして皮肉ったものである。

まず、ビートたけしが「毒舌女性論」と称し、『女は死ななきゃ治らない―あえて大和撫子改造講座』を出版した。題名はもちろん「馬鹿は死ななきゃ治らない」をもじったものである。

ここで、「コギャル」「ブルセラ」「整形美人の言い訳」「ギャルの22歳寿命説」「ヘアヌードの正しい鑑賞法」「下半身に国境なし」などネタにして、たけしは女性に対して勝手なことを言いたい放題している。

だが、そう言いながら女に目が無いビートたけしについて、からかったのが『ビートたけしは死ななきゃ治らない』であった。
ビートたけしは風俗好きであり、西川のりおから、一緒にソープランドへ数え切れない回数を通っていたことを暴露されてもいた。

また、未成年者の女性と情交関係になり、それを週刊誌に追及されて「フライデー誌襲撃事件」を起こし、逮捕されたうえ、傷害罪で執行猶予付きではあるが有罪判決を受けた。そのうえ、心細かったので弟子たちを同行させたため、巻き添えで弟子たちまで逮捕されてしまった。私生活の揉め事に弟子を巻き込んだことが芸人として批判され、横山やすしは怒って「行くなら一人で行かんかい」と言った。
こうしたビートたけしの実態を、ユーモアタップリにこき下ろしたのだった。

そして、ビートたけしが酒気帯び運転の交通事故を起こして重症を負ってしまった恐怖の体験を綴り『顔面麻痺』を出版すると、鹿砦社は後藤氏と「ビートたけしを救う会」の共著の形で『顔面麻痺は死んでも治らない』を発行。

ビートたけしが元漫才師の妻と不仲となり家庭崩壊。売れっこ芸人となって豪邸を立てたが自宅に帰らず、妻子と一緒に食事している時間に一人でラーメンをすする。そして細川ふみえやAV女優との怪しい関係となる。

フライデー事件の原因となった「R子」のイニシャルは名ではなく珍しい姓のことで、「力徳恵」という。事件当時21歳、その5年くらい前に、芸能人の「おっかけ」を趣味としていたところビートたけしと出会い、妻と険悪になっていた当時三十代のたけしが未成年者を本気で好きになってしまった。
こうした知られざるビートたけしの裏側を、見事に暴露していた。

さらに、ビートたけしが売れ出した時期に発行してベストセラーとなった『ツービートのわっ毒ガスだ』と、オウム真理教事件をひっかけて、後藤氏と鹿砦社は『ガス室に招かれた彰晃とたけし』を刊行する。

ビートたけしの娘・北野井子が、父親の作った映画に出演したのち歌手としてデビューしたが、しばらくしたら「できちゃった結婚」をして、芸能活動を休止する。この娘「しょうこ」という名前だが、これはオウム真理教の麻原彰晃の名をもじったのではないかと推測される。
そもそも、サリン事件の騒ぎになる前には、ビートたけしは教祖とテレビや雑誌で対談し、そのさい入れ込んでいた様子。後から無関係を装っているだけであった。

こうしたビートたけしの実態が充分に知られないまま、処世術で権力にすりよる彼を、芸能人で文化人だと持ち上げるマスコミ。つまらないので客が入らない彼の映画まで、名作かのように賛美する。

また、下町育ちの庶民ぶっておきながら、成金趣味をひけらかし、消費税では政府を擁護し続け、原発では業界を擁護し、最近では原発事故後の福島を報告した『美味しんぼ』を、政府に同調して中傷してみせる。
こんなとき、ぜひ、上記のビートたけし三部作を、一冊にまとめて、ビートたけしの話題に純化した編集を加え、発行するよう熱望している。

(井上 靜)