ビクトリージム設立25周年記念興行、前日計量は全員一回でパス。

吉成名高、ジャパンキック協会KICK Insistに初登場

殿堂チャンピオン、吉成名高初出場に、永澤サムエル聖光とモトヤスックも存在感を見せたKICK Insist.14。

◎KICK Insist.14 ~VICTORY GYM 25th Anniversary Event~
11月20日(日)後楽園ホール 17:30~21:20
主催:(株)VICTORY SPIRITS / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第11試合 52.0kg契約 5回戦

名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツ/ 52.0kg)
      vs
チャイチャナ・ウォー・ヴィセットジム(タイ/ 50.35kg)
勝者:名高・エイワスポーツジム / TKO 2ラウンド46秒 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:椎名利一

名高は2019年4月にムエタイ二大殿堂ミニフライ級同時制覇達成。チャイチャナは元・タイ国ムエサヤーム・イサーン地区ミニマム級、ライトフライ級チャンピオン。

試合開始から名高はスピーディーなローキックやミドルキックでチャイチャナに探りを入れていく。チャイチャナは蹴り返して様子見の中、名高の右ハイキックで会場がどよめく衝撃音を出した。

鋭い左ローキックでチャイチャナをノックダウンに繋げた吉成名高

上下蹴り分け、チャイチャナにチャンスを与えなかった吉成名高のハイキック

第2ラウンド開始後、名高はやや様子を窺った後、素早く左右のパンチからの左ローキックで最初のノックダウンを奪う。

立ち上がったチャイチャナにパンチのラッシュから左ボディーへの右ストレートで打ち込み、最後は右フックを顔面に入れ、2度目のノックダウンを奪うと、ボディーへのダメージが大きく、ほぼノーカウントのレフェリーストップで名高がTKO勝利。

試合前、名高は、

「今日は初出場でメインイベントを任されるのは有難いことです。その自覚をもって会場を盛り上げます。KO勝利します。」

とコメント。

名高陣営も「3ラウンドでKOすると思います。」と予測。普段から一緒に練習をして選手とセコンドの連係はしっかりしている様子があった。

試合後の名高は「予告通りKOできました。2度目のダウン前のボディーへのパンチに手応えを感じ、顔面へのパンチで決めることができスッキリしました。」と笑顔で応えた。

◆第10試合 62.5kg契約 5回戦

永澤サムエル聖光(ビクトリー/ 62.5kg)
      vs
コムキョウ・シット・ポーチョーウォー(タイ/ 62.0kg)
勝者:永澤サムエル聖光 / TKO 3ラウンド1分52秒 / カウント中のレフェリーストップ
主審:松田利彦

永澤サムエル聖光はWMOインターナショナル・ライト級チャンピオン。コムキョウは「タイ国ムエサヤーム・パーカン・スーパーフェザー級チャンピオン」の肩書きが発表されている。

開始から永澤サムエル聖光はパンチを加えながらローキック中心の様子見。左フックがコムキョウにヒットするがノックダウンには至らず。コムキョウの右足が永澤のローキックでダメージが増えていた。
第2ラウンド、コムキョウは身長差を活かして間合いを潰そうとするが、永澤がローキックで切り崩し、ラウンド後半、永澤は左フックでコムキョウの顔面にヒットしノックダウンを奪い、右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。ラッシュを掛けるがこのラウンドは終了。

第3ラウンド、永澤は左右のローキックで揺さぶり、コムキョウはミドルキックで打開を試みるが、永澤の左フックがコムキョウのボディーに入り、動きが止まったところに左右のストレートが決まるとレフェリーがストップし、永澤がTKO勝利となった。

試合前、永澤サムエル聖光は「何度もタイ選手とやっていますし対策は大丈夫です。KO勝利を狙います。」とノックアウトを予告。
この日のMVPに選ばれリング上で表彰された後に、「予告通りノックアウトしましたね。」と問うと「予告通りしました。次の2月もKO狙います。」と笑顔で応えていた。

勝機を見出し、勢い付いて雄叫びを上げながらコムキョウに蹴り込む永澤サムエル聖光

コムキョウを倒しに行く永澤サムエル聖光、第2ラウンドは時間切れ

◆第9試合 70.0kg契約3回戦

モトヤスック(治政館 / 69.0kg)
      vs
シュートン・ヨーユットムエタイジム(タイ/ 67.7kg)
勝者:モトヤスック / 判定3-0
主審:少白竜
副審:椎名29-27. 仲30-27. 松田30-27

モトヤスックはWMOインターナショナル・スーパーウェルター級チャンピオン。シュートンはWMOインターナショナル・ミドル級チャンピオン。

初回、シュートンの重そうなパンチでモトヤスックはやや面喰った感じも、パンチで返していく展開。

第2ラウンド、モトヤスックは長身を活かす攻撃に切り替えペースを作っていく。シュートンはパンチ主体で攻めるが、ラウンド終盤、モトヤスックの左ストレートが入り、シュートンの動きが止まる。

第3ラウンド、モトスヤックはパンチ主体で出て、右ストレートヒット、更に左右のストレートが決まって攻勢。終了間際残り5秒でモトヤスックは右ストレートでノックダウンを奪う。シュートン選手は立ち上がるも試合終了。

試合前にモトスヤックは「自分のペースで戦う」とコメントし、「ファンの子供達も応援しています」と伝えると照れながら「頑張ります。」とコメント。試合後はノックアウト勝ち出来なかったことを悔しがっていたが、すでに気持ちは次の段階へ向いていた様子。

頑丈な体格のシュートンへ右ミドルキックを蹴り込むモトヤスック

重いパンチ連打でシュートンをノックダウンに追い込むモトヤスックのラッシュ

◆第8試合 72.5kg契約3回戦

光成(ROCK ON/ 72.0kg)
      vs
匡志・YAMATO(大和/ 72.5kg)
勝者:光成 / 判定2-0
主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 少白竜30-29. 松田30-28

光成はジャパンキック協会ミドル級チャンピオン。匡志・YAMATOはWBCムエタイ日本スーパーウェルター級チャンピオン。

初回、光成はパンチで仕掛け、匡志も応戦する展開での探り合い。第2ラウンド、匡志の右ストレートがヒットするも後が続かず、光成はペースを掴み、パンチのラッシュを仕掛ける。

第3ラウンド、光成は体格差を活かして前進、匡志は光成の距離にならないように打開を図る。中盤以降に匡志は光成のミドルキックを受けながら首相撲に持ち込もうとするがペースが掴めず終了し、光成の判定勝利。
試合前の光成は「試合を盛り上げる為に判定は考えず、KO勝ちを狙います。倒します。」と心強いコメント。

試合後は勝利をした安堵感はあったようだが「KO勝ちしたかった。次頑張ります。」と少し悔しさがあった様子だった。

光成が連打で匡志YAMATOをロープ際へ追い込む

◆第7試合 女子46.0kg契約3回戦

藤原乃愛(ROCK ON/ 45.7kg)
      vs
チョンプー・コーラットスポーツスクール(タイ/ 44.5kg)
勝者:藤原乃愛 / 判定3-0
主審:仲俊光
副審:桜井30-28. 少白竜30-28. 松田30-27

藤原乃愛は女子キック(ミネルヴァ)ピン級チャンピオン。チョンプーはアマチュアムエタイ48kg級世界選手権覇者

初回、藤原乃愛はミドルキック、ハイキックで自分の間合いを作りながら主導権を奪いに行き、チョンプーは首相撲からのヒザ蹴りで主導権を握ろうとする展開。

第2ラウンド、藤原乃愛のミドルとハイキックのコンビネーションの数が増え、チョンプーは首相撲に持ち込んでヒザ蹴りで打開を狙うが、藤原乃愛は首相撲から離れ、キック攻撃を繰り返す。チョンプーも蹴り返すが、藤原乃愛が攻勢を維持した流れ。

第3ラウンド、チョンプーは首相撲から切り崩そうとするが、動きが鈍り始める。藤原乃愛は蹴り中心で攻めて行く中、コーナーに追い詰め、左右のストレートも的確にヒットする。チョンプーはパンチのラッシュをかけるが巻き返せず試合終了し、藤原乃愛が判定勝利。

藤原乃愛は試合前、「今回は3連続KO勝ちを狙っていきます。」とコメント。
試合終了後のゴングが鳴った瞬間について聞くと、「やり切ったという気持ちになりますね。」と言い、更に「1ラウンド2分は物足りない。3分は戦いたいですね。」とコメント。そして、「女子選手の試合数がまだまだ少ないので、もっと増やして欲しいと思います。」と前向きな姿勢を見せた。
試合後は「試合には勝ちましたが、KOできず悔しかったです。次はKOできるように頑張ります。」とコメント。更に「キック主体のスタイルを作っていきたい。」と改めて今後の課題もコメントし、明るく元気で笑顔を見せながらファンと記念撮影をしていた。

毎度の藤原乃愛の切れ味抜群のハイキックは曲者チョンプーを苦しめた

◆ジュニアキック(小学生)・エキシビジョンマッチ(各1ラウンド)

東蒼馬(ビクトリー)EX島野一颯(治政館)
小幡優来(ビクトリー)EX藤原駈(ROCK ON)
丹野優志(ビクトリー)EX後藤結心(拳伸)

接近戦で睦雅の左ヒジ打ちがヒット、勝利を大きく引き寄せた

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

JKAライト級1位.睦雅(ビクトリー/ 62.0kg)
      vs
チャナペット・GTジム(元・ルンピニー系フライ級5位/タイ/ 61.65kg)
勝者:睦雅 / TKO 3ラウンド 1分29秒 / レフェリーストップ
主審:椎名利一

初回、睦雅は重めのパンチで攻め、チャナペットは体格差に動じずミドルキックで主導権争い。

第2ラウンド、チャナペットのミドルキックが的確に決まっていくが、睦雅選手は焦ることなく、体格差を活かしたパンチ主体の攻撃で自分のペースに持ち込んでいく。

第3ラウンド、睦雅のパンチとチャナペットのミドルキックからの首相撲の応酬から睦雅の左ヒジ打ちがチャナペット選手の顔面を捉えノックダウンを奪う。チャナペットはフラフラになりながら立ち上がるも、睦雅の左右のストレートのラッシュを浴び、レフェリーストップで睦雅がTKO勝利。
睦雅は試合前、「自分のペースでKO勝ちを狙っていきます。」と笑顔でコメント。タイトルについては、同じジムの永澤選手がいるので難しいかも」と遠慮がちにコメントしていたが、機会があればいつでも狙うという気持ちは伝わるコメントだった。

試合後は「左のヒジ打ちは感触があり、その後に繋がってKOできたよかったです。」と試合内容には満足していた様子。「次回もKO勝ちを狙っていきます。」と笑みを浮かべて応えた。

◆第5試合 51.5kg契約3回戦

JKAフライ級1位.細田昇吾(ビクトリー/ 51.5kg)
      vs
NJKFフライ級5位.TOMO(K-CRONY/ 51.4kg)
勝者:細田昇吾 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-28)

◆第4試合 フライ級3回戦

西原茉生(治政館/ 50.8kg)vs 明夢(新興ムエタイ/ 50.55kg)
勝者:西原茉生 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

◆第3試合 フェザー級3回戦

勇成E.D.O(E.D.O/ 56.8kg)vs 石川智崇(KICK BOX/ 56.75kg)
勝者:石川智崇 / 判定0-3 (28-29. 28-29. 28-29)

◆第2試合 52.5kg契約3回戦

甲斐喜羅(ビクトリー/ 51.3kg)vs カズキ・シッソー(トースームエタイ/ 52.5kg)
勝者:甲斐喜羅 / 判定2-1 (29-30. 29-28. 29-28)

◆第1試合 ライト級3回戦

隼也JSK(治政館/ 60.3kg)vs 岡田彬宏(ラジャサックムエタイ/ 60.7kg)
勝者:岡田彬宏 / 判定0-3 (27-30. 27-30. 28-29)

《取材戦記》

いつものKICK Insistは永澤サムエル聖光や瀧澤博人がメインイベントを務めるが、今回は初出場の、ミニフライ級でムエタイ二大殿堂同時制覇を果たした吉成名高が起用となった。永澤サムエル聖光とのダブルメインイベントと銘打たれているが、大トリは吉成名高である。その実力は実績が物語るとおりのスピードとテクニックで圧倒したTKO勝利でした。

◎今回の試合レポート、インタビューは前回同様、同行の記者によるものです。その感想は下記の通りです。

今回は判定決着が多かったですが、永澤選手と名高選手が王者らしいKO勝ちをしてくれたことで興行が締まり、ジャパンキックボクシング協会年内最終の興行として良い締め括りでした。ジュニアエキビションに出場した子供達数名に話を聞きましたが、王者顔負けの受け答えで、エキビション後、反省までしていたのは驚きました。その子の親、会長の指導が行き届いているようで、こういう底辺から将来を背負う選手が現れるのでしょう。

藤原乃愛選手は、自分のスタイルを確立するという目標をもっていたり、会長の信頼を受けて結果を残した細田昇吾選手や、光成選手、モトスヤック選手のように“王者は団体の顔”と自覚してKO勝ちできなかったことに悔しさを滲ませていた姿を見て、この団体も選手層が厚くなれば、いずれ大手のイベント化した興行を上回るのではないかと期待が持てました。

また、藤原乃愛選手の攻め方に、昭和時代に活躍した竹山晴友さんを思い出し、竹山さんは極真空手仕込みのパンチのラッシュで相手を倒していきましたが、藤原乃愛選手はキックのラッシュで相手をノックアウト、戦意喪失に追い込めるスタイルの確立が期待出来そうです。

来年のジャパンキックボクシング協会最初の興行は1月29日(日)、後楽園ホールで武田幸三さんのYashioジム主催興行が予定されています。

(編集上の都合で割愛した部分はありますが、今後も掲載は上手く工夫して参ります。堀田)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年12月号