特区民泊が増え続ける西成区、大丈夫か?

尾﨑美代子

大阪市内に増え続ける特区民泊、なかでも西成区は突出して多い。ほかに中央区、浪速区も多く、それぞれ1000件を超えている。確かに、ここ数年、ちょっとした道路に面して建設される多くの建物が民泊だ。全体的に日本家屋っぽい造り、入口にのれん、猫の額ほどの庭に、これまた日本っぽい樹木が植えられている。しかし、民泊の名前が微妙だ。明らかに日本人がつけた名前ではない。知らない感じも使われている。実際、6割が中国人経営だそうで、香港、台湾を含めると8割にも上るそうだ。中には移住する人も。

ひとつき程前、毎日通うスーパー近くの小路に大きめなキャリーバッグをゴロゴロ転がした白人系のインバウンド客が10人ほどで入っていくのを目撃。「おいおい、どこいくんだよ。行き止まりじゃないのか?戻って来いよ」とのんびり見てたのだが……。

先日、そのスーパーに行ったついでに小路に入ってみた。写真は出さないが、古い一般住宅の間に民泊、また民泊。空き地もあるが、ここにも民泊が出来るのだろうか?この小路を突き抜け、左に曲がると、民泊ブランド「住一」が手掛けた一棟建て民泊が10数件立ち「住一VILLA花園町」もある。

このように、民泊名に日本では使われない文字が入っているのも特徴だ

それにしても、近隣住民の皆様はなんとも思わないのか? いや、中国人、外国人が危ないというのではない。ただ、ゴミを放置、昼夜構わず、キャリーバッグごろごろ、入室方法がわからず、隣の家にピンポンで「どーやってはいるのですか?」と尋ねるとか、様々な苦情も報道されている。「民泊建設反対」の声をあげる地域もあるほどだ。さきごろ、大阪市が売り払った土地に、14階建て200室以上もの部屋を有する民泊が建設済みで、まもなく運営されようとしているとの報道が。この規模の民泊なら、実質ホテルといってもいいくらい。しかし、ホテルや旅館より縛りが緩いため、さまざまな問題が起こるのではと近隣住民からは反対の声もあがっている。

こうした背景について、安倍政権時の2015年に「経営管理ビザ」を規制緩和したことがきっかけではないかとのことだ。

※編集部:2015年4月1日施行の入管法により、それまで「投資・経営」ビザと呼ばれていたものが「経営・管理」ビザに変更された。この改正により、外国資本との結びつきに関する要件がなくなり、国内資本企業の経営・管理を行う外国人にも「経営・管理」ビザが付与されるようになった。
※[参考]外国人経営者の在留資格基準の明確化について(出入国在留管理庁)
 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html

いずれにしても、今後、何らかの規制が必要なのではないか? いや、「もう、これだけ出来てるのだから、もうおせえよ」なのか。

しかし、この小路の住民は大変やなあ。誰も文句言わないのかな?と見てたら、小路入口の店舗が維新の会のメンバーのご実家だった。関係あるのか、ないかは定かではない。

◎[参考動画]テレビ大阪ニュース【急増する民泊と中国人】大阪を飲み込むチャイナマネー…500万円で日本に住める!?「経営管理ビザ」の実態とは?

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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