KICK Insistは波乱の展開、睦雅は圧勝、馬渡亮太は幻の勝利!?

堀田春樹

好ファイトが続出した全14試合だったが、メインイベント終了後に波乱は起きた。馬渡亮太が勝者コールされたが、リングを下りてから雲行きが怪しくなったリングサイド周りとその後の舞台裏。採点の在り方にギリス陣営が抗議。マイクで発表した運営側に不備や責任は無く、今後WMOが対処する模様。

最終メインイベント以下、睦雅はコンビネーションブローで圧倒の勝利。
瀧澤博人はリズム掴めず苦戦しながらも、攻めの姿勢で僅差の判定勝利。
HIROYUKIが倒す気満々の攻勢でノックアウト勝利。
吏亜夢がムエタイテクニシャンのキヨソンセンを技と勢いで優って大差判定勝利。
細田昇吾が前回の敗戦から立ち直り、圧倒のノックアウト勝利。

◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~21:30
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、WMO

前日計量は12日14時、水道橋内海ビルにて行われ、オーウェン・ギリスは15時55分、計量失格。ゴリムは泣きながら何とかクリアー。花澤一成は軽く走って問題無くクリアー。

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

前・選手権者.オーウェン・ギリス(イギリス/19歳/ 59.6→59.3→59.3kg/+330g/計量失格)
        VS
挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.96kg)

正式に最終決定が下されば再度、触れたいと思います。

◆第12試合 63.0kg契約3回戦

WMO・INスーパーライト級チャンピオン.睦雅(=瀬戸睦雅/ビクトリー/ 1996.6.26東京都出身/ 62.8kg)29戦22勝(14KO)5敗2分
VS
タイ・ジットムアンノンStadiumライト級4位.ペットムアンデット・コルウッティチャイ(タイ出身20歳/ 62.6kg)61戦40勝18敗3分
勝者:睦雅 / TKO 2ラウンド 32秒
主審:少白竜

ペットムアンデットの多彩に出て来る勢いに負けず、ローキックからパンチ、組み合っても圧力掛けて出る睦雅。ペットムアンデットの出方を見極め、より前進。ロープに詰め、パンチ連打から飛びヒザ蹴りと勢いに乗る。

睦雅の三日月蹴りヒット、効果的にノックダウンに繋げた
睦雅の右ストレートヒット、蹴りとのコンビネーションブローでノックアウトに繋げた

第2ラウンドには右ストレートから右ローキックでノックダウンを奪う。更に右ローキックで脚を弱らせ、左フックでほぼ勝負を決め、連打とヒザ蹴りフォローでノックダウンを奪い、ノーカウントのレフェリーストップ。睦雅の余裕の完封TKO勝利となった。

5月30日にタイ・ルンピニースタジアムでのONE Friday Fightsに於いて、ヤイ・チャン(ミャンマー)に判定勝利した睦雅は、ジャパンキックボクシング協会の顔という自覚も持ってONE でベルト(王座)獲ることが目標と言う。今後も日本とタイで存在感を示す勢いは続きそうである。

◆第11試合 57.5kg契約3回戦

WMO・INフェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身/ 57.4kg)
44戦28勝(15KO)12敗4分
VS
ヌンプーシン・コルウッティチャイ(元・BBTVバンタム級5位/タイ出身22歳/ 57.5kg)
81戦61勝19敗1分
勝者:瀧澤博人 / 判定2-1
主審:椎名利一
副審:西村30-29. 少白竜29-30. 中山30-29

瀧澤博人は左ジャブでリズムを掴みたいが、ヌンプーシンの蹴りの圧力が瀧澤の勢いを止め、瀧澤の脇腹が赤く染まる。瀧澤は距離を詰めパンチを打ち込むが簡単にはヒットしない。

瀧澤博人の長い左ジャブ、試合のコントロールはここから始まる

最後まで主導権は奪えなかったが、要所要所でジャブやヒジを出し、ヌンプーシンの頬を腫れ上がらせたり、自分の距離に導こうとする前進でヌンプーシンの蹴りを凌いで終了。際どい判定となったが僅差で勝利を掴み、次の11月へのステップへ駒を進めた。

これがヌンプーシンの頬を腫らす一発か、瀧澤博人のヒジ打ちヒット

リング上の瀧澤博人は、倒し切れなかったことは残念と言い、「この悔しさでもっと強くなって次、11月興行で、もし世界戦が決まったら応援に来てください!」とアピールした。

◆第10試合 54.5kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本バンタム級Champ/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身/54.5kg)61戦41勝(21KO)16敗4分
      VS
アカラデット・クェイバンコーレーム(元・ジットムアンノン・フライ級3位/タイ出身24歳/ 54.0kg)78戦49勝26敗3分
勝者:HIROYUKI / KO 1ラウンド 2分5秒
主審:勝本剛司

両者の様子見の蹴りパンチの攻防は、余裕あるHIROYUKIが前蹴りでアカラデットを突き飛ばすとボディーを狙って距離を詰め、パンチからボディーへヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、効いてしまったアカラデットは苦しそうにテンカウントを聞かされた。

HIROYUKIが前蹴りでアカラデットと突き飛ばした。狙いは定まったか
ヒザ蹴りでボディーを効かせたHIROYUKI、ノックアウトへ繋げた

◆第9試合 60.5kg契約3回戦

キヨソンセン・ビクトリージム(元・WMO・ICスーパーフェザー級Champ/タイ出身35歳/ 60.5kg)188戦110勝(15KO)70敗8分
         VS
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(ZERO/2004.12.栃木県出身/ 60.2kg)
25戦18勝(8KO)5敗2分
勝者:吏亜夢 / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名 27-30. 少白竜27-30. 勝本27-30

吏亜夢は2024年6月9日、亀本勇翔と王座決定戦に初回カウント中のレフェリーストップ勝利で獲得。

キヨソンセンに蹴りでプレッシャーを掛け前進する吏亜夢。ローキックからストレートでボディブロー、首相撲もヒザ蹴りも吏亜夢が優った。キヨソンセンもやや劣勢な態勢も距離感を計り、要所要所で隙を突いて蹴って来るタイミングはベテランの上手さがあった。

吏亜夢は圧倒も倒し切れないもどかしさを残したが、圧倒の判定勝利。

吏亜夢のアグレッシブなヒットとキヨソンセンの巧みな技が交錯
優っていったのは吏亜夢のしなやかさ、ハイキックでキヨソンセンを襲う

◆第8試合 52.5kg契約3回戦

ジャパンキック協会フライ級1位細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身/ 52.4kg)
24戦15勝(4KO)7敗2分
        VS
ゴリム・クェイバンコーレーム(元・True4Uフライ級9位/タイ出身21歳/ 52.7→52.65→52.6→52.55→52.5kg)49戦30勝16敗3分
勝者:細田昇吾 / KO 2ラウンド 2分6秒
主審:中山宏美

初回から細田昇吾が先手を打つアグレッシブな展開。ゴリムのいきなりのハイキックはしっかり見て躱した。細田はパンチとローキックで弱点を探ると、第2ラウンドには右ストレートボディーブローでノックダウンを奪い、続けてボディブローによる3度のノックダウンを奪って圧倒のノックアウト勝利。

細田昇吾の狙ったボディブローヒット、上下多彩に攻め、ゴルムの弱点を掴んだ
細田昇吾のボディブローが効いたゴリムは蹲ってしまう

◆第7試合 ウェルター級3回戦

ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真/神奈川県出身22歳/ 66.3kg)
12戦7勝(3KO)5敗
         VS
同級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身33歳/ 66.678kg)17戦5勝(2KO)10敗2分
勝者:我謝真人 / KO 1ラウンド 2分51秒
主審:少白竜

初回の正哉のパンチで前に出る圧力からボディブローとハイキックはいい流れだったが、我謝真人が凌いで徐々にローキックで出た後、コーナーに詰め、ヒザ蹴りボディブロー一発であっさりノックダウンを奪うと正哉は立ち上がれずテンカウントを数えられた。

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級3位.石川智崇(KICKBOX/神奈川県出身33歳/ 58.7kg)
9戦5勝3敗1分
        VS
青木大好き(OZ/千葉県出身29歳/ 58.6kg)14戦7勝7敗
勝者:石川智崇 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:西村29-28. 中山29-28. 少白竜29-27

初回、石川智崇のタイミングいい右フックでノックダウンを奪うが、青木も諦めずに攻めて来る中、蹴りとパンチで試合運びの上手さで攻勢を維持した石川智崇が内容的には圧勝の判定勝利。

◆第5試合 58.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級4位.眞斗(KIX/千葉県出身35歳/ 58.0kg)14戦5勝(2KO)7敗2分
        VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身23歳/ 57.8kg)4戦3勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:椎名29-29. 中山28-30. 少白竜29-30

◆第4試合 73.0kg契約3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身/23歳/ 72.75kg)6戦2勝(1KO)2敗2分
        VS
タイン・ノーナクシン(タイ出身23歳/ 72.9kg)40戦28勝10敗2分
勝者:タイン・ノーナクシン / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名28-30. 勝本29-30. 少白竜28-30

◆第3試合 スーパーフライ級3回戦

花澤一成(市原/2004.4.9千葉県市原市出身/ 52.25→52.0kg)12戦3勝(3KO)6敗3分
    VS
磯貝雅則(STRUGGLE/東京都出身38歳/ 52.0kg)7戦2勝5敗
勝者:花澤一成 / TKO 3ラウンド 2分9秒
主審:中山宏美

初回から花澤一成が先手を打った多彩な蹴りで主導権を奪った流れでプレッシャーを掛け飛びヒザ蹴りも見せた。第3ラウンドに入るとやや手数減ったが、首相撲でも優って崩れ行く中、磯貝雅則が後頭部を打ってダメージを負うとノックダウン扱いとなって立ち上がれずカウント中のレフェリーストップ。5月25日の市原興行に続いて2連続KO勝利の花澤一成。これからが勝負。

◆第2試合 53.0kg契約3回戦

西澤将太(ラジャサクレック/埼玉県出身20歳/ 53.0kg)1戦1勝(1KO)
        VS
謙斗(バトルフィールドteamJSA/静岡県出身31歳/ 52.9kg)1戦1敗
勝者:西澤将太 / TKO 3ラウンド 39秒

多彩に蹴り合った両者は第3ラウンドに入って西澤将太がパンチ連打でノックダウンを奪うと続けて連打でノックダウン奪ってレフェリーストップに追い込んだ。

◆プロ第1試合 フェザー級3回戦

BANKI(治政館/埼玉県出身17歳/ 56.3kg)1戦1勝(1KO)
        VS
デートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ出身19歳/ 56.8kg)7戦5勝2敗
勝者:BANKI / KO 1ラウンド 1分5秒

両者の鋭い蹴りの様子見の中、BANKIが右ハイキックをキレイにヒット。カウントアウトされ、短い時間だったが、密度の濃い攻防だった。

◆アマチュアキック 75kg級2回戦(90秒制)

西村寿一(SOGA/ 71.75kg)vsリブタック・ヒデ坊(K-BRIGHT/ 74.7kg)
勝者:リブタック・ヒデ坊 / TKO 1ラウンド 1分10秒

《取材戦記》

馬渡亮太が会場盛り上げる激戦を戦いながら勿体無いジャッジ側の不手際。試合後のオーウェン・ギリス陣営の猛抗議。収拾がつかず、正式な結果を載せることも出来ないので、この試合結果は7月17日夜時点で保留に致します。最新の情報はWMOのホームページ等で観られますが、最新の進展が発表されつつ、すぐ削除という展開もあるようです。ジャパンキックボクシング協会側も収集着くまで安易には発表できない事情もあるでしょう。

セミファイナル、睦雅までのアンダーカードは激しい展開が見られました。睦雅は圧倒の倒して勝つTKO勝利。瀧澤博人は際どくも勝利を掴んで次に繋げ、HIROYUKIはインパクトあるノックアウト勝利で存在感を示した。細田昇吾も前回のKO負けから払拭。再起を飾った勢い有るKO勝利でした。

次回のジャパンキックボクシング協会興行は9月15日(月・祝)に新宿フェースにてKICKInsist.24が開催予定。11月23日(日)には後楽園ホールに於いてKICK Insist.25が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」