3150円を払って、パソコンを捨てた。1㎏で、買った時点では世界最軽量。小さいので他のゴミに混ぜて捨てても分からないが、資源有効利用促進法に従ってメーカーに送り返した。
手続きも非常に面倒だ。まず、メーカーに回収を申し込む。メーカーから回収・再資源化料金支払用振込用紙が送付される。回収・再資源化料金を振り込む。メーカーから専用ゆうパック伝票が送付される。パソコンを梱包し、郵便局に持っていく、と実に5ステップも踏まなければならない。
それでも、今まで愛用していたパソコンが、少しでも資源として再利用されればいい、と考えたのだ。

とにかく、捨てるのに金がかかる時代だ。エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機なども、家電リサイクル法によって金がかかる。メーカーによって違うが、大型の冷蔵庫なら、5000円近いリサイクル料金、それに加えて運搬の料金がかかってしまう。

メーカーに戻った製品は分解され、鉄や銅、アルミニュウムなどが取り出される。この時に、オゾン層を破壊したり、地球温暖化をもたらすフロンガスが破壊されるので、環境保護にとっては必要な作業ではある。
そのまま最終処分場に埋め立てられていた時代から考えると、ゴミの減量化にも繋がっている。

いい法律のように思えるが、やはり最大の疑問は、なぜ費用を企業ではなく消費者が負担するのかということだ。
施行から11年経つ家電リサイクル法だが、捨てるのにお金がかかる仕組みは、様々な問題を派生させている。

たとえば単身で住んでいた者同士が結婚すると、一人分の家電が不要になる。いちいちメーカーに引き取りを頼むのは面倒だからと言って、引っ越し業者に廃棄を頼むと、引っ越しそのものの料金の半分ほどが、廃棄の費用でかかってしまう。

結婚で不要になる家電は、どれもまだ十分に使えるものだ。以前なら、リサイクル業者が買い取ってくれた。だが捨てるのにお金がかかる時代になり、リサイクル業者に出しても逆にお金が取られるようになった。これは、リサイクル業者の立場からは当然だろう。引き取った物が売れなかった場合、業種がリサイクル料金を払ってメーカーに引き取ってもらわなければならないからだ。

家電リサイクル法が施行されてから、リサイクル店での売り上げも落ちているという。捨てるのにお金がかかるなら、新品を買って長く使った方が得だ、ということになるからだ。リサイクル業者は、家電リサイクル法などができるずっと以前からリユースで資源を有効活用してきたのだ。彼らを苦しめるリサイクル法など、やはりおかしいのではないか。

(FY)