8月18日の記事でご紹介した通り、27日14時から「安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会」によるハンガーストライキが始まった。参議院議員会館近くでハンストに突入した学生4名だが、ハンスト開始直後には全国紙をはじめ、多くのマスコミや支援の学生、労働者など80名近くが集まった。そこで早速ハンスト闘争に決起した4名の学生に、「なぜハンスト闘争に立ち上ったのか」を電話で伺った。

ハンストを決行した4人の大学生(ハンスト実行委員会ツイッターより)

◆各々がやれることをやるべきだ(井田敬さん)

井田敬(上智大学2年)さんは「7月15日衆議院特別委員会採決、16日衆議院本会議通過というスケジュールの中、限定的条件のもとのハンストです。これだけで何かが変えられるとは思わないけれども、各々がやれることをやるべきだと思いハンスト参加を決意しました」と語ってくれた。

◆戦場に連れて行かれるのは私たち若者だ(木本将太郎さん)

木本将太郎(早稲田大学1年)さんは「安保法制反対、安倍政権打倒のためにハンスト参加を決めました」と極めてシンプルに決意の理由を語る。「解釈改憲で集団的自衛権が認められてしまい、『何でもあり』の状況になっています。同時代の人々に呼びかけたい。日本で若者は大変苦しい状況におかれています。大学に進学する人の中には奨学金を借りている人が多数いますが、奨学金の返済に困っている人は凄まじい数です。また、たとえ就職できたとしても、労働条件が劣悪なブラック企業は数知れずあります。安保法案が仮に成立すれば、戦場に連れて行かれるのは私達若者です」と危機感を訴える。

◆沖縄の犠牲で成り立つ日本のありように行動で意見を示したい(元木大介さん)

元木大介(専修大学4年)さんは「僕には自衛隊員の友達がいます。彼は『安保法案』に反対しています。彼が自衛隊に入った理由は3・11で自衛隊が災害時に救援活動を行っていたことに共鳴してのことでした。『安保法案』が成立すれば私の友人は、戦場に行かなければいけないかも知れなくなる。彼は戦争をしたくて自衛隊に入ったわけではないし、私も彼に戦場へは行って欲しくない。日本のありよう、とくに世界の中での日本の立場を考えてハンスト参加を決めました。また、今の日本は沖縄の犠牲があって(辺野古基地建設問題など)成り立っていると思いますが、いい加減にやめるべきだと思います。『安保法案』を何としても阻止したいと思います。仮にこの法案が成立すれば、またしても沖縄が一番の被害にあうのは明らかでしょう。この法案を審議しているのは主として『おじいちゃん連中』ですが、彼らは一切若者の意見は聞かないですね。『安保法案』が成立しても、『おじいちゃん連中』には関係ないですからね。だから行動で意見を示します」と述べた。

◆安倍政権への反対を直接的な方法で訴えたい(嶋根健二さん)

最後に嶋根健二(専修大学4年)さんにお話しを伺った。「安倍政権の安保法制審議は、違憲である『解釈改憲』をもとにしたものです。許せません。私は沖縄辺野古の運動に関わっていますが『戦後70年理想の平和』という概念は、沖縄や朝鮮を犠牲にして日本の平和を成り立たせていた「利権をもとにした平和」だと思います。このことも安倍政権に訴えたいですね。より直接的な方法で示せないかと考え、ハンストに参加することにしました」

◆体を張った4人の問題提起に賛同と連帯の意を送る!

まだハンストを始めて数時間なので皆さん元気にあふれていた。しかし40代くらい男が「安保法制賛成じゃ!」などと大声を上げて彼らに迫ってきて、一時は制止する警察官との間で数分のもみ合いになったという。「無期限ハンスト」を掲げて決起した学生達。個々が誠に見事な行動理由を語ってくれた。酷暑からややましな季節になったとはいえ「ハンスト」による体力の消耗は著しい。だが、それを支える人々の応援があれば彼らは確実に勇気づけられ、士気も高まる。彼らの決起に再び大いなる賛同と、連帯の意を送る。このハンストは様々な意味で大きな意味を持つだろう。運動の在り方へ投じられた、体を張った問題提起でもあると思う。

学生ハンスト実行委員会

[Facebook] https://www.facebook.com/Hungst.co.jp
[ブログ] http://blogs.yahoo.co.jp/hansutojitsu

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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