「あきれたね。活断層の上には、原発はもとより、国の施設の建設は、法律上できない。それなのによりによって敦賀原発の下に活断層があったとは」(地学研究者)
福井県にある敦賀原子力発電所(現在、2炉が検査停止)の地下を走る亀裂が活断層の可能性があると専門家が指摘したことを受けて、日本原子力発電は改めて現地調査を行うなどして対応を検討することにした。

敦賀原発では、4月24日、活断層の専門家や原子力安全・保安院の担当者らが敷地内の地層が露出している地点を調査し、地中にある「破砕帯」と呼ばれる亀裂の状態を調査した。
「専門家がち密に調査してみると、2号機から西に150メートルほど離れた地中を走る亀裂について『活断層の可能性があり、敷地内を走る浦底断層という活断層と連動して、地震の揺れが想定より大きくなる可能性がある』と判明したのです」(新聞記者)
「今まで、活断層の存在を甘く見つもってくれる、衣笠善博という東工大名誉教授に、安全だと太鼓判を押してもらってたんですが、福島第一原発の事故以来、世間の目が厳しくなってあの先生の評価は地に墜ちましたからね。それで調べ直すことになったんじゃないかな」(科学ジャーナリスト)
「原子力をやりたい人ばかりの原子力ムラと違って、活断層専門家にはそんなには御用学者はいないですからね。自分は原発には反対じゃないという立場でも、活断層があるからダメだって、まともな科学者なら言いますよ」(東北大学工学部助手)

大阪府にも電力を供給している敦賀原発だが、「場合によれば廃炉も辞さない」と橋下徹大阪市長も語っている。よく考えれば決めるのはあんたではないが、橋下氏よ。

さておき、敦賀原発の近くには、2本、活断層が走っており、1つは確実に活断層が原発に影響がある。もう1つはまだ未調査で原発を脅かす不安があるということだ。日本原電は「調査の結果によっては想定している最大の地震の揺れや原発の耐震性など、さまざまなことに影響するので慎重に調べたい」とコメントしている。

「なぜ今になって、原発建設の意義を揺るがすような話が出てくるのか。設置前にする話ではないか」と住民は憤る。
「活断層を甘く短く見積もることで、衣笠善博先生は活断層カッターの異名を持つけど、今まで、ほとんどの原発の断層調査団の団長が衣笠先生だったからねえ。調べ直したら、日本の原発なんか、全部ダメじゃないかな」(前出・科学ジャーナリスト)

その通りだ。冗談ではない。敦賀原発のみならず、日本中の原発と、原発付近を走る活断層を調べていただきたい。そもそも、活断層と関係なく暮らしている人間は日本にはいない。

もうひとつ懸念していることがあると、東京電力の元社員は言う。
「政府は、もし仮に大飯原発が稼働しない場合は、夏に電力が足りなくなるとして再稼働を強引にしようとしている。その計算は何をもとにしているかさっぱりわからない」(サラリーマン)
それはそうだろう。「再稼働させなければ、電気が足りない」といわなければ、膨大な予算をかけて火力発電所や天然エネルギーに国費をつぎこまなくてはならない。
「消費税は社会保障にしか使わないと野田総理は言う。だがそのいっぽう、電力会社から天下っている電力系財団の給与や運営費など無駄な5000億円くらいの金を削減して、火力発電やら天然エネルギー発電をすべきではないのか」(識者)

敦賀については、このタイミングで活断層が見つかって、全国的に再稼働の是非に議論が及ぶなら、よかったと思う。なにしろ「原発再稼働」は、およそ第二次世界大戦時の「進め、火の玉だ」と国民がそこかしこで叫ぶ、かつての大日本帝国を思わせるような猪突猛進ぶりなのだから。

(渋谷三七十)