頼みもしないのに、またしても私たちにまとわりつく腹黒い網が一斉に投げ掛けられた。政府に言わせるとこの投網は「マイナンバー」と呼ばれるらしい。

税金、年金から預金や保険に至るまでを包括してひとくくりに掌握し「セーフティーネット」の強化を図って下さる由。結構、結構御同慶の至りである。

◆受給資格者が順次「死んでくれるのを待っている」日本年金機構

「消えた年金記録は最後の一件まで解決する」と当時の舛添要一厚労大臣は大見栄を切ったけども、看板だけかけ変えた旧社会保険庁(現日本年金機構)はとうの昔に照合作業に見切りをつけ、あとは受給資格者が順次「死んでくれるのを待っているようだ」と、派遣で照合作業を請け負っている知人は語っている。ところが当の知人も契約満了で間もなく職を失うという。

「消えた年金記録」のあと今年に入り120万件の個人記録が外部に流出した。

ボロボロである。

年金記録だけでも、ろくに適正運用出来ない行政が税金や、貯金の情報まで一元管理するのだ。

この制度は必ず破綻する。否、破綻してもらうべきである。

◆欠陥だらけの「マイナンバー」行政よりも庶民の方がしっかりしている

「住基ネット」でハコモノではない巨額の公共事業のモデルケースを確立した官僚と企業にとって「マイナンバー」は格好の錦の御旗、あちこち穴だらけの欠陥システムはすぐにボロが噴出するであろうと予言しておこう。

そして何よりも「マイナンバー」が正常に機能し出せば、悪夢のような管理社会の完成だ。

「セーフティーネット」の強化などという、子供騙しを信じている人はさすがに少ないようだ。「戦争推進法案」なみに庶民には何がなんだかサッパリ意味がわからず、自宅近所の金融機関に聞いたところ、9月末個人口座からの引き出しが相次ぎ、一時窓口での待ち時間が二時間を超えたそうだ。

案外庶民はしっかりしている。

この町では一度も「マイナンバー反対」の署名活動やチラシを見たことはないが、庶民は物言わずにそれなりの自衛(抵抗)をしているのかもしれない。

こと、この腹黒投網、国民総背番号制度を私たちは一度も要請したことはないのだから、せめて名称を”Their Number”(奴等が勝手に割り振る番組)と改称させようではないか。

どこをどう読んでも国民、特に社会的弱者への視点が皆無であるのに、「セーフティーネット」に役立つ道理は1%もない。

言わずもがな、連中の真意は徹底した徴税と福祉の切り捨て、そして際限なき管理社会の実現だ。

敵による、敵の為の制度を「マイナンバー」などと私は承認しない。

「奴等による強制的国民総背番号制度」、本質はあくまで“Their Number”だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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