東電、関西電力など10社を集めて成り立つ電気事業連合会(通称・電事連)は、だれがなんのために作ったのか。
ちなみにホームページにはこう事業概要が書いてある。
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* ●電気事業に関する知識の普及、啓発および広報
* ●電気事業に関する資料、情報等の収集および頒布
* ●電気事業に関する調査研究および統計の作成
* ●電気事業に関する意見の表明
* ●その他、本会の目的を達成するために必要な事項
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文字数が限られているので、今回は「●電気事業に関する知識の普及、啓発および広報」というお題目を斬る。
こと「広報」に関しては使った金が1年で(!)2000億円を超えるという電自連。
「電事連への出向は、東電や関西電力などで将来的に役員になる、エグゼクティブになるための登竜門です。ここで総会屋や官僚や政治家をうまく転がしていく人が出世していくのです。まあ清水社長は例外でしたが、歴代の東電の社長を見ても、それは顕著です」(電力業界新聞記者)

さあ、この批判はあたっているのだろうか。電事連のホームページ、「原子力について」のコンテンツにはいまだにこう書いてある。
<エネルギー安定供給、経済性、環境保全の観点から、化石燃料に過度に依存しない電源のベストミックスを進めることが大切です。そのためにも、再生可能エネルギーや省エネルギーとともに、原子力発電は重要な電源であると考えています。>
数字を並べて、いまだに原子力の必要性を訴える古色蒼然とした論調。

「そうです。電事連は東電や関西電力などが言えない本音をシレっとして言えてしまえるところが特徴です。本音と建前をうまく使いわけているのでしょう。また、電事連が年間2000億円も広告費をばらまいているのには、からくりがあります。大手マスコミの人たちが電力中央研究所や海外電力調査会など、電力会社が運営している独立行政法人や財団、社団法人に天下りするための情報交差点、緩衝地帯になっているのです」(大手新聞政治部記者)

確かに、経済産業省の電気事業文科会や原子力安全・保安部会や総合資源エネルギー調査会などには、大手マスコミのOBが名を連ねる。井川陽次郎(読売新聞東京本社論説委員)や新井光雄(元東京新聞編集委員)、や、テレビ関連では木場弘子アナ(元TBS)も団体の名簿に記載されていた時期がある。よほど東電をはじめとして電力会社の接待に慣れたのだろうか。東電や関西電力は広告出稿を通じてマスコミを操ってきた。一方で電事連は「研究」という名目でやたらと政治家やマスコミ人にシンポジウムやイベントなどを頼むのである。ここで電事連の御用タレントや御用文化人と堕した人間は、じっくりとあとでレポートしよう、

「ある新聞社の幹部などは『もう赤坂の料亭などは飽きた。海外に出てグルメツアーをしよう』と電事連の人にねだっていました。こういう連中が原発の事故のたびに『安全です』と御意見番の役割をしていたのです」(経済雑誌記者)
「私は、電事連の幹部と朝日新聞社の幹部が銀座のクラブで飲んでいる席にたまたまいたが、『どうせ金は余っている』と、たまたま同席した私にもおごってくれました。確か、会計は180万円ほどでした」(商社の幹部)
福島の原発避難者が聞いたら卒倒するような話である。
電事連は07年6月、発電所の事故でデータ改ざんを機に「行動指針」を発表した。以下のようなものである。

●電気事業連合会行動指針
電気事業連合会では、電気事業の事業活動の原点は社会との信頼関係にあることを強く自覚し、法令遵守はもとより、誠実かつ公正で透明性のある事業を着実に展開すべく、「電気事業連合会行動指針」を策定している。
1997年(平成9年)10月の策定以来、2002年(平成14年)12月、2007年(平成19年)6月、2011年(平成23年)11月に改定し、社会との揺るぎない信頼関係を構築して電気事業の健全な発展に取り組んでいる。

「法令順守」「社会との揺るぎない信頼関係を構築」と、きれいごとばかり書いてある。恐るべき伏魔殿、汝の名は「電事連」。しかし、その実態は、「マスコミ幹部を籠絡して、原発を擁護させて電力系法人に天下りさせるための団体」であり「政治家を接待して、原発を推進させる論陣を貼り、電力系法人に天下りさせるための団体」ではなかったか。
そうでなければ、なぜ年間2000億円もの広報費用が、「ほぼ独占企業」であるはずの東電や関西電力など、全国10の電力会社の「総元締め」たる電事連に必要なのか。電事連関係者よ! 反論できるか。

鹿砦社・松岡社長は語る。
「もう何も語れないよ(苦笑)。こんなにカネが余っていてマスコミや政治家などにバラ撒くのなら、電事連にしろ東電にしろ、また他の電力会社にしろ、いったん資産を凍結し、それを売却するなり有効利用して、家を失くし職を失くしたりして苦しんでおられるフクシマの方々にバラ撒けよ、と言いたいですね」

電事連よ、まず「法令順守」というなら、ホームページ上で「原発推進はまちがっていました」と謝罪せよ。一文も謝罪がないどころか、いまだに原発推進のロジックを展開している神経がよくわからない。原発再稼働への布石としか、考えようがない。まず原発について謝罪せよ。エネルギーの再構築議論は、それからにしていただきたいものである。

(渋谷三七十)