本日発売『カウンターと暴力の病理』 なぜ「M君リンチ事件」にこだわるのか

 
12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』定価=本体1250円+税

『カウンターと暴力の病理』が本日書店に並ぶ(地域によっては既に昨日販売になった)。取材班としては詰め込むものはすべて詰め込んだ。あとは読者諸氏のご感想を待つばかりだ。

『カウンターと暴力の病理』第1項で松岡が書いているが、われわれがなぜここまで「M君リンチ事件」にこだわるのかを再度明らかにしておこう。いやむしろそうせねばならないことを最近より強く意識しだしている。その実例をあげよう。

◆マスメディアは「M君リンチ事件」を報道しない

そもそも鹿砦社を除いて「M君リンチ事件」を正面から報道するマスメディア(ミニメディアも含め)がない。このことがゆがんだ現実の中心にある。それはたとえばM君が大阪司法記者クラブに記者会見を申し込んでも4回も断られ、その一方で同日に李信恵の記者会見が大々的に開かれ報道されるという現象により確認することができる。そして、李信恵記者会見会場に取材で訪れた取材班メンバーは社名を名乗ると入室を拒否される一方、その横では身分確認もせずに李信恵の支援者たちは堂々と入室しているという事実。さらには記者室内での取材が許されないのであれば、せめて廊下でコメントを取ろうと待っていると、あらかじめ待機していた3人の男たちが李信恵と記者の間に立ちはだかり、物理的に取材を妨害する。「残念でしたね」と下卑た笑いを浮かべる男たちの存在。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆李信恵が「被害者」のヘイト裁判と李信恵が「加害者」のM君リンチ事件は分けて考える

また、鹿砦社を何度も「クソ」呼ばわりした李信恵を民事提訴したので記者会見を開きたいと社長松岡自ら大阪司法記者クラブに足を運び丁重に申し入れを行うも、わずか2時間弱で「全社一致で記者会見はお断り」が決定されるいかがわしさ。ちなみにその日の幹事社であった朝日新聞の記者は李信恵の記者会見で「おめでとうございます」と声をかけていた。

取材班は李信恵が言葉で散々差別、誹謗中傷されたのだから、その相手を訴えることに異議を持つものではない。詳細には知らぬが詳しい人に聞くと、あまりにも度を超えた誹謗中傷が李信恵には行われたそうだから、その被害に対して賠償を要求するのは筋違いではない。このことはこれまでも繰り返し述べてきた。取材班内でも「李信恵の差別者への裁判とM君への不当行為は絶対に分けて考えろ」とミーティングのたびに確認されている。

だから、われわれは言葉により傷ついた者が200万円の賠償金を得るのであれば、言葉と暴力により重傷を負った、それも通り魔的犯行ではなく、旧知の間柄で行われたこの暴力事件の被害者は正当に救済されるべきだと考える。取材班は事件後の「事件隠蔽工作」をどうしても理解できないし、許すことができない。ましてや言葉による被害者が加害者であるならば、暴力事件被害者M君の心情へ思いを巡らせることはしないものなのか。

取材班の疑問は疑問のままである。よって事実を掘り起こし、周辺の人物から情報を集め、関係者の言動を分析する中から「事件」のエキスの諸要素を見つけ出し、それを持って読者に判断を委ねようとの思いが取材班の共通した動機である。理解を進めて頂く情報として『特別付録』CDを付録としたのが『カウンターと暴力の病理』である。

鹿砦社への暴言の一部(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆「リベラル」たちの「一斉沈黙劇」が照射する〈社会の闇〉

被害者はM君だ。加害者は直接加害の三者とその場に居合わせながら暴行を容認した二者だ。しかしそれだけだろうか。二次加害に加担した野間易通をいまだに「反差別」のお偉方のように使いつづける朝日新聞、産経新聞をはじめとした大手メディア。事件を知っていて何も発言しない「知識人」、「大学教員」たち。この人たちにも罪はないのか?

鹿砦社を除いた「一斉沈黙劇」は既に社会現象であり社会問題である。「M君リンチ事件」はM君に言い知れぬ肉体的、精神的傷を負わせたが、同時にそれを可能ならしめた“社会の闇”を図らずも照射することになったのではないか。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる──。(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

(鹿砦社特別取材班)

12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

カウンターと暴力の病理
反差別、人権、そして大学院生リンチ事件
鹿砦社特別取材班=編著
A5判 総196ページ(本文192ページ+巻頭グラビア4ページ) 
[特別付録]リンチ(55分)の音声記録CD
定価:本体1250円+税 12月8日発売! 限定3000部!

渾身の取材で世に問う!
「反差別」を謳い「人権」を守るとうそぶく「カウンター」による大学院生リンチ事件の<真実>と<裏側>を抉(えぐ)る!
1時間に及ぶ、おぞましいリンチの音声データが遂に明らかにされる! 
これでも「リンチはない」と強弁するのか!? 
リンチ事件、およびこの隠蔽に関わった者たちよ! 
潔く自らの非を認め真摯に反省せよ! 
この事件は、人間としてのありようを問う重大事なのだから――。

【内容】

私はなぜ「反差別」を謳う「カウンター」による「大学院生リンチ事件」の真相
究明に関わり、被害者M君を支援するのか

しばき隊リンチ事件の告発者! M君裁判の傍聴人にしてその仕掛け人!!
在特会&しばき隊ウォッチャーの手記

カウンター運動内で発生した「M君リンチ事件」の経過
続々と明らかになる衝撃の証拠! リンチの事実は歴然!

「M君リンチ事件」を引き起こした社会背景
精神科医・野田正彰さんに聞く

前田朗論文が提起した根源的な問題
「のりこえねっと」共同代表からの真っ当な指摘

リンチ事件に日和見主義的態度をとる鈴木邦男氏と義絶

われわれを裏切った〝浪花の歌うユダ〟趙博に気をつけろ!

「M君リンチ事件」加害者・李信恵被告による「鹿砦社はクソ」発言を糾すが、
誠意ある回答なく、やむなく提訴いたしました!

「M君リンチ事件」裁判の経過報告
10
鹿砦社元社員の蠢動と犯罪性
11
大阪司法記者クラブ(と加盟社)、およびマスコミ人に問う!
報道人である前に人間であれ!
M君と鹿砦社の記者会見が五度も<排除>された!

全国書店で12月8日発売開始『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

《殺人事件秘話07》大阪パチンコ店放火殺人 死刑被告が訴えた「超能力被害」

社会の注目を集めた殺人事件の犯人が裁判中に奇異な言動をしたことが報道されると、「刑事責任能力が無い精神障害者を装うための詐病」ではないかと疑う声があちらこちらでわき上がる。また、そういう大量殺人犯が実際に刑事責任能力を否定され、無罪放免になることを心配する人も少なくない。

だが、私の取材経験上、現実はまったく逆である。私はこれまで犯人の刑事責任能力の有無や程度が問題になった様々な殺人事件を取材してきたが、精神障害者のふりをしているように思える殺人犯はただの1人もいなかった。むしろ、明らかに重篤な精神障害を患っている殺人犯たちがあっさりと完全責任能力が認められ、次々に死刑や無期懲役という厳罰を科せられているのが日本の刑事裁判の現実なのである。

その中でも印象深かった殺人犯の1人が「大坂パチンコ店放火殺人事件」の高見素直だった。

現場のパチンコ屋があったビルの1階は事件後、ドラッグストアに

◆『みひ』や『マーク』への復讐だった……

高見は41歳だった2009年7月、大阪市此花区の自宅近くにあるパチンコ店で店内にガソリンをまいて火を放ち、5人を焼死させ、他にも10人を負傷させた。そして山口県の岩国市まで逃亡し、岩国署に出頭して逮捕されたのだが、犯行に及んだ動機については当初、次のように語っていると報道されていた。

「仕事も金もなく、人生に嫌気が差した」「誰でもいいので殺したかった」(以上、朝日新聞社会面2009年7月7日朝刊)

「誰でもいいから人を殺したいと思い、人が多数いる所を狙った」「やることをやったので、罰はきちんと受けようと思い、出頭を決めた。死刑しかないと思っている」(以上、読売新聞大阪本社版2009年7月8日夕刊)

こうした報道を見て、負け組の40男が起こした身勝手な事件だと思った人は多かったはずだ。だが、2年余りの月日を経て2011年9~10月に大阪地裁であった裁判員裁判で、高見は次のような「真相」を明かした。

「自分に起こる不都合なことは、自分に取り憑いた『みひ』という超能力者や、その背後にいる『マーク』という集団の嫌がらせにより起きています。世間の人たちもそれを知りながら見て見ぬふりをするので、復讐したのです」

重篤な精神障害を患っていることを疑わざるを得ない供述だが、このように高見が「超能力者の嫌がらせ」を訴えていることはほとんど報道されていない。そのせいもあり、当初はこの事件の取材に乗り出していなかった私がこのような高見の供述を知ったのはかなり遅い。高見がすでに一、二審共に死刑判決を受け、最高裁に上告していた頃、私はようやく一審判決を目にし、高見が法廷でこのような奇想天外な供述をしていたのを知ったのだ。

高見が出頭した岩国署

◆統合失調症だったと診断されても死刑

一、二審判決によると、高見は捜査段階から3度、精神鑑定を受けていた。その中には、高見が妄想型の統合失調症だと診断し、「善悪の判断をし、それに従って行動することは著しく困難だった」との見解を示した医師もいたという。

また、他の2人の医師も高見について、統合失調症だとは認めなかったものの、覚せい剤の使用に起因する精神病だと判定し、高見が「『みひ』や『マーク』のせいで、自分の生活がうまくいかない」という妄想を抱いていたのは認めていたという。

それでいながら高見は一、二審共に完全責任能力を認められ、死刑判決を受けていた。そのことを知った私は最高裁で、高見の上告審弁論が開かれた際に傍聴に赴いた。そこで弁護人が繰り広げた弁論は独特だった。

「いま、イスラム国が人質の首を斬り落とす場面の映像をユーチューブで見て、残虐だと思わない日本人はいません。それ同じで、いま、絞首刑が執行される場面の映像をユーチューブでアップすれば、残虐だと思わない日本人はいないはずです」

つまり、弁護人は絞首刑について、公務員による残虐な刑罰を禁じた憲法第36条に反すると主張したのだが、そのためにイスラム国を例に持ち出したのはわかりやすいといえばわかりやすかった。

◆「今もそばにいます」

そして弁護人は最後にこんなことを訴えた。

「先日、高見さんに接見した際、「『みひ』や『マーク』はどこにいますか?と尋ねてみたのです。すると、高見さんはこう答えました。『今もそばにいます』」

最高裁の法廷には被告人は出廷できないので、その場に高見はいなかった。そこで高見と実際に会い、本人の病状を確かめてみたいと思ったが、収容先の大阪拘置所で何度面会を申し込んでも、高見は一度も応じてくれなかった。ただ、弁護人の弁論を聞く限り、かなり重篤な精神障害を患っているのは確かだろう。

しかし結局、最高裁は2016年2月、犯行時の高見に完全責任能力があったと認め、上告を棄却して死刑を確定させた。「動機形成の過程には妄想が介在するが、それは一因に過ぎない」。それが最高裁の山崎敏充裁判長が示した見解だった。

このように重篤な精神障害者はどんどん刑事責任能力を認められ、厳罰を科されていく。それが日本の刑事裁判の現実なのである。

高見が死刑囚として収容されている大阪拘置所

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

鹿砦社新書刊行開始!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』(総理大臣研究会編)
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

『カウンターと暴力の病理』野田正彰氏が香山リカ氏分析!ヲ茶会さんが暴露!

「ウソはったり」で商売しちゃいけませんよね。僕も常々先輩方から「裏だけは取れよ」って注意をされます。鹿砦社特別取材班に入れてもらってまだ1年にもならないけど、『カウンターと暴力の病理』取材は驚きの連続でした。僕は法律的な知識や現場経験が少ないから、内勤というか資料整理とか先輩の同行とかほとんどであとはツイッターやフェイスブックの監視でした。

◆精神科医の野田正彰氏が精神科医の香山リカ氏を分析する!

精神科医の野田正彰先生にお話しを聞きに京都に行った時は、勉強になりました。野田先生は『カウンターと暴力の病理』の中で香山リカさんについての分析をしてくださっています。京都の北の方にお住いの野田先生のお宅にお邪魔したのは、まだ夏でした。素敵なお宅で先輩と一緒に5時間近くもお話をしていただきました。野田先生の知識(僕はお話の内容がわからないこともありました)は凄いです。『カウンターと暴力の病理』の中ではお話の一部しか書いてありません。でも先輩と野田先生は「今日のお話で一冊本ができますね」と取材後に笑っていたほど有名人のお話が出ました。

鹿砦社への暴言の一部(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆30年来の友人、鈴木邦男氏との義絶

鈴木邦男先生の本は高校くらいから読み始めて、尊敬していたので鹿砦社のアルバイトをして、鈴木先生にも直接会えそうですごく楽しみだったけど、松岡社長と残念な関係になったことは『カウンターと暴力の病理』にも出てきます。鈴木先生と松岡社長は30年間の友達だったと知りませんでした。A生さんがデジタル鹿砦社通信に鈴木先生の批判を書いてから、松岡社長が鈴木先生との関係を切ることを決心しました。これも『カウンターと暴力の病理』の中に書いてあります。

◆「仕掛け人」ヲ茶会さんが暴露するリンチ事件の真実

ツイッターやフェイスブックのチェックと自分のアカウントから決められた人へ発信したりするのが普段の役割で僕と何人かは取材班の中で「サイバー班」と言われています。バイトしながら家での作業が中心になります。「サイバー班」には僕の知っている女性が2人います。顔を知らない人もいるようです(男性か女性かわかりません)。

ヲ茶会さんは有名な人ですが、会ってみたらツイッターの下ネタ好きな印象とは違ってスマートなお金持ち? みたいな感じでした。『カウンターと暴力の病理』ではヲ茶会さんが事件のことを詳しく書いています。ヲ茶会さんは有名人を誰でも(全員じゃないけど)知っていて、顔がめちゃ広いのでびっくりしました。ちょっと引くくらいカラオケでは歌いまくりますが、「ロビースト」というか「仕掛け人」をやるヲ茶会さんは凄いなと思います。それでリンチ事件の知ってることを全部自分から「書く!」って書いちゃったからびっくりしました。読んだ人もびっくりすると思います。

Nさんのツイッターはフォロワーが減りましたね。でも「サイバー班」は監視と発信するだけで、スパム報告とかは一切やってないです。ほんとはスパムで報告できる書き込みはメチャあるけど、「それは目的じゃない」からスパム報告はしないです。『カウンターと暴力の病理』の資料整理はたまげるほどのややこしさでした。内容は凄いと思います。CDのリンチの音は聞いてたら自分が怒鳴られているみたいな気分になるくらい怖いです。だから『カウンターと暴力の病理』は買うしかないです。

男組のLINEに入っていたのがウソみたいな気分になります。

(鹿砦社特別取材班)

12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

カウンターと暴力の病理
反差別、人権、そして大学院生リンチ事件
鹿砦社特別取材班=編著
A5判 総196ページ(本文192ページ+巻頭グラビア4ページ) 
[特別付録]リンチ(55分)の音声記録CD
定価:本体1250円+税 12月8日発売! 限定3000部!

渾身の取材で世に問う!
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1時間に及ぶ、おぞましいリンチの音声データが遂に明らかにされる! 
これでも「リンチはない」と強弁するのか!? 
リンチ事件、およびこの隠蔽に関わった者たちよ! 
潔く自らの非を認め真摯に反省せよ! 
この事件は、人間としてのありようを問う重大事なのだから――。

【内容】

私はなぜ「反差別」を謳う「カウンター」による「大学院生リンチ事件」の真相
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在特会&しばき隊ウォッチャーの手記

カウンター運動内で発生した「M君リンチ事件」の経過
続々と明らかになる衝撃の証拠! リンチの事実は歴然!

「M君リンチ事件」を引き起こした社会背景
精神科医・野田正彰さんに聞く

前田朗論文が提起した根源的な問題
「のりこえねっと」共同代表からの真っ当な指摘

リンチ事件に日和見主義的態度をとる鈴木邦男氏と義絶

われわれを裏切った〝浪花の歌うユダ〟趙博に気をつけろ!

「M君リンチ事件」加害者・李信恵被告による「鹿砦社はクソ」発言を糾すが、
誠意ある回答なく、やむなく提訴いたしました!

「M君リンチ事件」裁判の経過報告
10
鹿砦社元社員の蠢動と犯罪性
11
大阪司法記者クラブ(と加盟社)、およびマスコミ人に問う!
報道人である前に人間であれ!
M君と鹿砦社の記者会見が五度も<排除>された!

全国書店で12月8日発売開始『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

『カウンターと暴力の病理』 ことの次第は「反原連」の絶縁宣言から始まった

 
12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』定価=本体1250円+税

◆「反原連」─「しばき隊」─「M君リンチ事件」 病理の連鎖

8日書店に並ぶ『カウンターと暴力の病理』の内容を少しだけご紹介しよう。そもそも「M君リンチ事件」を取材班が知る前に、鹿砦社は「首都圏反原発連合」(反原連)に年間300万円にのぼる援助を行っていた。この援助は2015年12月2日一方的に「反原連」から侮辱も甚だしい内容で「絶縁」を宣言される(その「絶縁宣言」はいまだに「反原連」のHPに掲載されている)。

この時にまさか「反原連」─「しばき隊」─「M君リンチ事件」と連なってゆく展開に、鹿砦社がここまでどっぷり漬かることになろうとは、社長松岡以下誰も予想していなかった。が、「弾」は外側から飛んでくるだけでなく、実は社内にも“危険物取扱者”の資格がなければ処理できないほどの「大問題」を抱えていたことが判明する。鹿砦社は社員が10名にも満たない小さな規模の出版社だ。その西宮本社に勤務していたある社員が、「とんでもないこと」に手を染めていたことが発覚する。

◆あえて自社の恥をさらし、深い反省を表明する

ここでは元社員の氏名や当該人物が「なにをしていたのか」をご紹介することは控える。『カウンターと暴力の病理』の中では氏名はもちろんのこと、元社員が就業時間中に行っていた驚愕の事実を余すところなく味わっていただく。詳細な分析データも掲載した。勿論このようなことは鹿砦社としては本意ではない。元社員とはいえ、『カウンターと暴力の病理』の中でご紹介する行状は社会的にも責めを負っても仕方のないほど重大なものだ。しかしながら、だからこそ「M君リンチ事件」で横行する「隠蔽」を断じて容認できない鹿砦社としては、あえて(過去のこととはいえ)自社の恥をさらし、深い反省を表明するのだ。

社員の誰もがまったくあずかり知らなかったにせよ、元社員が手を染めた悪行の数々が「M君リンチ事件」隠蔽に直結していると判明したとき、われわれのショックは並大抵ではなかった。いまだに社会的には要職とされる(国会議員・大学教員・著名知識人・人権を標榜する団体)にありながら、あろうことか事件隠蔽や加害者の応援に忙しい人物や団体を批判するのであれば、鹿砦社はまずは自らの「過ちと罪」を認めることを避けては通れないと考えた。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

気の進まない作業と取材、分析であったがそこで判明した事実は、取材班にとって最大級の衝撃であった。読者諸氏も取材班同様の驚き、いやそれ以上の驚愕から逃れることはできない。元社員の行状は「M君リンチ事件」に関する部分はもちろんだが、そうでなくとも、あらゆる企業や職場においての「社員・職員不可視暴走の危険性」を示す資料ともなっている。企業経営者や人事担当者にとっても必読だ。

真実の輪郭を確かなものにするためならば、鹿砦社は自らの「恥」を開陳しそれを反省の糧にするくらいの覚悟はある。われわれの本気度は誇張せずとも読者諸氏に必ず伝わるであろう。『カウンターと暴力の病理』は多面的な性格を持つ。これだけの「事実暴露」は鹿砦社にしてもそうそうあることではない。書店発売は8日だが、売り切れ前にご予約を。

(鹿砦社特別取材班)

12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

カウンターと暴力の病理
反差別、人権、そして大学院生リンチ事件
鹿砦社特別取材班=編著
A5判 総196ページ(本文192ページ+巻頭グラビア4ページ) 
[特別付録]リンチ(55分)の音声記録CD
定価:本体1250円+税 12月8日発売! 限定3000部!

渾身の取材で世に問う!
「反差別」を謳い「人権」を守るとうそぶく「カウンター」による大学院生リンチ事件の<真実>と<裏側>を抉(えぐ)る!
1時間に及ぶ、おぞましいリンチの音声データが遂に明らかにされる! 
これでも「リンチはない」と強弁するのか!? 
リンチ事件、およびこの隠蔽に関わった者たちよ! 
潔く自らの非を認め真摯に反省せよ! 
この事件は、人間としてのありようを問う重大事なのだから――。

【内容】

私はなぜ「反差別」を謳う「カウンター」による「大学院生リンチ事件」の真相
究明に関わり、被害者M君を支援するのか

しばき隊リンチ事件の告発者! M君裁判の傍聴人にしてその仕掛け人!!
在特会&しばき隊ウォッチャーの手記

カウンター運動内で発生した「M君リンチ事件」の経過
続々と明らかになる衝撃の証拠! リンチの事実は歴然!

「M君リンチ事件」を引き起こした社会背景
精神科医・野田正彰さんに聞く

前田朗論文が提起した根源的な問題
「のりこえねっと」共同代表からの真っ当な指摘

リンチ事件に日和見主義的態度をとる鈴木邦男氏と義絶

われわれを裏切った〝浪花の歌うユダ〟趙博に気をつけろ!

「M君リンチ事件」加害者・李信恵被告による「鹿砦社はクソ」発言を糾すが、
誠意ある回答なく、やむなく提訴いたしました!

「M君リンチ事件」裁判の経過報告
10
鹿砦社元社員の蠢動と犯罪性
11
大阪司法記者クラブ(と加盟社)、およびマスコミ人に問う!
報道人である前に人間であれ!
M君と鹿砦社の記者会見が五度も<排除>された!

全国書店で12月8日発売開始『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

師走に贈る〈超ド級〉衝撃本『カウンターと暴力の病理』12月8日発売!

 
12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』定価=本体1250円+税

11月16日大阪高裁でM君が野間易通を訴えた損害賠償請求訴訟の控訴審判決が言い渡され、双方の請求が棄却され判決が確定した。地裁判決により、M君が受け取る権利を得ていた賠償金は、野間が青林堂から受け取る予定だった債権を、M君弁護団が差し押さえるという電光石火のアクションで全額獲得。さすがにこの「本気度」には野間も驚いたようで、ツイッターに負け惜しみのようなことを書き込んでいたようだが、高裁における双方棄却により、M君の勝訴が確定した。

その後も野間はあれこれとM君にツイッターで絡んできて、挑発しているようである。であるのであれば仕方ない。取材班から野間を含め「M君リンチ事件」に直接、間接に関わったものたちに、「お歳暮」をお届けしよう。本年は対野間裁判のほかにも、事件当事者エル金、凡(いずれもツイッター名)、李信恵と現場に居合わせながら暴行を黙認し止めようとしなかった、伊藤大介、松本英一の5名を訴えた裁判が着々と進行し、いよいよ11日にはM君、エル金、凡、李信恵、伊藤大介の本人尋問が大阪地裁で行われる。

尋問の期日を意識したわけではなかったが、取材班から関係者一同、さらには一般の読者諸氏へ、丹精込めて編み上げた超ド級の衝撃をお届けしよう。熨斗(のし)には『カウンターと暴力の病理』と書いておいた。全国の書店やネット書店で12月8日発売だ。

◆『カウンターと暴力の病理』では絶対的な証拠を提示する

ここではごちゃごちゃとくどい説明はしない。だが『カウンターと暴力の病理』を紐解(ひもと)かれたら、いずれのお立場であれ、読者の大半が「腰を抜かす」であろうことを確信的に予告しておく。取材班はこれまで『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』、『人権と暴力の深層』の3冊を世に送り出してきた。各書は現在進行形の事件でもあるので、これまでの3冊は事件の本質を探りながらも続々と展開する新局面も取り込むことにより「中間報告」的な側面を持ちながら問題の“闇”を明らかにしようと努めた。

もちろん『カウンターと暴力の病理』の出版意図はその延長線上に位置する。だが、同時にこれまでの3冊を「叩きつけて」もいまだに「リンチはなかった」、「喧嘩はあったけど一方的な暴力じゃない」などと寝ぼけたことを言い続けている連中が依然残存している。

『カウンターと暴力の病理』で、取材班は絶対的な証拠を提示する。その内容は何か?「ある(あった)」ことを「ない(なかった)」というのはウソだ。いくら虚言を重ねても「M君リンチ事件」は「ある(あった)」ことをあらゆる読者に直接確認していただこうと思う。

◆「お歳暮」には『特別付録』を付けた

取材班は事件直後のM君の写真を見れば、一般的な感性を持っている人であれば顔をそむけたくなるか、「なんだ!この酷い怪我は!」と感じてもらえると考えていた。しかしその期待は甘かった。人間の感性の幅(厚顔無恥さ)は予想を超えていた。あの写真を見ても、まだM君をネットで、実社会で攻撃し続ける連中が後を絶たないことに、こちらが驚かされた。しかも上は国会議員、著名な知識人、大学教員、売り出し中の著名弁護士から下は「ネット荒らし」まで。「M君リンチ事件無かった派」は各層に相変わらず居座っている。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる──。(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

取材班は事実認定の議論は早晩決着をつけたい。よって「お歳暮」には『特別付録』を付けた。CDだ。勘の鋭い読者諸氏はもうお分かりだろう! そうだ! CDには「M君リンチ事件」の一部始終が収められている! 出版史上前例があるかどうかを多忙な取材班は調べていない。読者諸氏がCDを再生すれば「M君リンチ事件」」を追体験することになる! こんな衝撃はそうそうないだろう。

一般の読者諸氏には、まず本書を最終項まで読了していただいたうえでCDをお聞きになることをお勧めする(内容が極めて衝撃的なので、神経がデリケートな方はお聞きにならない方が良いかもしれない)。『カウンターと暴力の病理』はこれまで「M君リンチ事件」をご存知なかった方にも、事件当初からの出来事を振り返りながら、全体像とその問題点が理解いただけるよう構成されている。

そして、仮に『特別付録』のCDがなくとも『カウンターと暴力の病理』は充分衝撃に満ちた内容だ。おそらく常人では予想不可能な「新型爆弾」がいくつも詰め込んである。「新型爆弾」については順次お知らせしよう。ネットでの予約はもう始まっている。いかなるお立場の方(「M君リンチ事件」に全く無関心な方)にも、読了後の衝撃を取材班はお約束する。なお、第1弾、『ヘイトと暴力の連鎖』、第2弾『反差別と暴力の正体』、第3弾『人権と暴力の深層』までは各1万2000部だったが、今回の第4弾はCDを付けたこともあり、あえて3000部の限定販売にした。なので、残念ながら小さな書店の店頭には並ばないかもしれない。そのような場合には、アマゾンなどのネット書店、最寄りの本屋さんに注文されることをお勧めする。また、鹿砦社の注文カートでご予約いただければ確実だ。部数はわずか3000部だ。急ぎご予約を!(文中敬称略)

(鹿砦社特別取材班)

全国書店で12月8日発売開始『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

カウンターと暴力の病理
反差別、人権、そして大学院生リンチ事件

鹿砦社特別取材班=編著
A5判 総196ページ(本文192ページ+巻頭グラビア4ページ) 
[特別付録]リンチ(55分)の音声記録CD
定価:本体1250円+税 12月8日発売!

渾身の取材で世に問う!
「反差別」を謳い「人権」を守るとうそぶく「カウンター」による大学院生リンチ事件の<真実>と<裏側>を抉(えぐ)る!
1時間に及ぶ、おぞましいリンチの音声データが遂に明らかにされる! 
これでも「リンチはない」と強弁するのか!? 
リンチ事件、およびこの隠蔽に関わった者たちよ! 
潔く自らの非を認め真摯に反省せよ! 
この事件は、人間としてのありようを問う重大事なのだから――。

【内容】

私はなぜ「反差別」を謳う「カウンター」による「大学院生リンチ事件」の真相
究明に関わり、被害者M君を支援するのか

しばき隊リンチ事件の告発者! M君裁判の傍聴人にしてその仕掛け人!!
在特会&しばき隊ウォッチャーの手記

カウンター運動内で発生した「M君リンチ事件」の経過
続々と明らかになる衝撃の証拠! リンチの事実は歴然!

「M君リンチ事件」を引き起こした社会背景
精神科医・野田正彰さんに聞く

前田朗論文が提起した根源的な問題
「のりこえねっと」共同代表からの真っ当な指摘

リンチ事件に日和見主義的態度をとる鈴木邦男氏と義絶

われわれを裏切った〝浪花の歌うユダ〟趙博に気をつけろ!

「M君リンチ事件」加害者・李信恵被告による「鹿砦社はクソ」発言を糾すが、
誠意ある回答なく、やむなく提訴いたしました!

「M君リンチ事件」裁判の経過報告
10
鹿砦社元社員の蠢動と犯罪性
11
大阪司法記者クラブ(と加盟社)、およびマスコミ人に問う!
報道人である前に人間であれ!
M君と鹿砦社の記者会見が五度も<排除>された!

全国書店で12月8日発売開始『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

私の内なるタイとムエタイ〈16〉タイで三日坊主Part.8 借金貧乏・出家の支度

1994年は例年にない暑い夏でした。昼間、エアコンの無いアパートに居ると、何もしなくてもジワーっと汗が出てきます。

「お前、どうせ仕事も無うて暇なんやろ !」 藤川さんが言った言葉が重く圧し掛かります。人生いちばん暇かと言えるほど、蒸し暑い部屋に居ること多い、確かに暇な時期でした。

やると言ったら後に引けない自分で言い出した出家への道。収入源が少ない中、生活は成り立っていたものの、最短でも3ヶ月留守にする資金は苦しいところ、いよいよ日時は迫り動き出さねばならない状況に切羽詰まっていきました。

◆資金調達

そんな状況の中、アパートを引き払う決断をし、これより13年前に上京した際、お世話になった近くにある母方お祖母ちゃんのアパートへ引っ越しさせて貰いました。

ここは三畳一間でトイレ共同の築40年以上の木造アパート。過去、引っ越す度に少しずつ広く綺麗になっていったのに、上京時に返ったボロアパート。木の窓枠は風が吹く度、ガラスがガタガタ震え、隙間風が入る幼いの頃の家のような古さ。三畳間には、上京後増えた荷物をギッシリ天井まで詰め、地震が来ても崩れないほどの密閉度。ここでは使わない冷蔵庫や洗濯機は暫く外に出させてもらい、何とかスペースを作って布団を敷き、手足を伸ばすことは困難ながら何とか眠れるスペース。

それはタイへ向かう1週間前に引っ越し、数日間は一緒にタイに行く友達のアパートに泊まり、タイ渡航へ備えました。まだ引っ越す前の六畳・三畳トイレ付き2Kのアパートは月43,000円。最大6ヶ月タイでの滞在可能性を考え、この家賃分を浮かせたことになります。

お祖母ちゃんにはタダで泊めて貰った上、旅費を少々借りる親の親不孝者。出家の話はせず、怪しい宗教が多い中では余計な心配は掛けられません。

藤川さんからの贈り物、『得度式次第』

更に横浜で住み込みで働いていたタイの友達2人に、これまた少々お金を借りる罪深いことを重ねてしまいました。

このタイ人たちは、私が以前、タイのルンピニースタジアムでの取材がスムーズに出来るよう手配してくれるなど、お世話になったことがあり、この内の一人は、ラオス国境の街、ノンカイから更に奥地に入った、ブンカーンという町にある実家へ連れていって貰ったことがある仲。「もし機会があったら俺がブンカーンまで行って家族に会って来るから」と約束。

と言うのも、このタイ人たちは、ビザ切れのまま不法就労し、早々に強制送還される訳にもいかない事情あっての横浜在住でした。このタイの友達にも出家の話はした上での借金。更に消費者金融アイフルにまで借りる始末。

何とだらしない旅立ちでしょう。方々に借金したことは誰にも言わず、「お金の無い奴は首の無いのと一緒や」と言っていた藤川さんにもまた煩いこと言われるのは間違いないので言っていません。後々考えれば、この頃には藤川さんは分かっていたのでしょうが……。

◆参考書

『得度式次第』の目次

藤川さんと手紙でやり取りしていた引っ越し前迄に「得度式次第」という本を送ってくれていて、「だいたいの流れだけ酌んでおけ」と言うもので、インドのパーリー語をローマ字表記され、日本語訳がありますが、これで得度式は万全といったものではなく、正に流れだけ酌んでおくだけ。

「経文は覚えなくてもいい」と言われてもある程度、言葉にするであろう経文を頭に入れる必要はあるものの、言うことは出来ても、相手の言うことが聞き取れない恐れがあり、成り行き任せで行くしかないと悟ったところでした。

これはバンコクの有名寺、ワット(寺)・パクナムで修行していたベテラン比丘の渋井修さんが藤川さんに授けた本で、それが私に回してくれたものでした。

藤川さんお勧めの本、『タイの僧院にて』

更に、藤川さんに勧められていた本が「タイの僧院にて」と言う青木保さんの著書で、早速本屋で購入して読むと、昭和40年代に、実際のタイでの出家体験記を書かれたもので、言葉ひとつひとつにその場の空気感が伝わってくる興味をそそる内容でした。

更にもうひとつ、出家に興味を導いていたもので、1989年(平成元年)4月末と5月頭に2週に渡りTBSで放映された新世界紀行の「アジア秘奥三国探検」がありました。放映当初から録画保存したものを何度も繰り返し再生して見るほど興味深い冒険で、剃髪と得度式の様子も映しだされた分りやすい内容でした。

この放送の趣旨は、この年から数えて93年前の明治29年(1896年)暮、僧侶に化けた岩本千綱、山本しん介の日本人二人が、タイのバンコクから舟でアユタヤに渡り、そこから歩いて東北部を北上、ラオスを通り、ベトナムのハノイまで約2000キロメートルを111日に及ぶ、密林大河横断の冒険旅行を、現代の若者二人が挑むという冒険の旅を追っていました。南洋諸国へ移民や経済進出を提唱する南進論が注目された明治20年代、全く事情の分かっていなかった空白地帯を、自らの目で見極めようと旅立った2人の日本人がそこで、不思議な遺跡や人々の暮らしを知ることになるのでした(名古屋章さんの番組ナレーションを引用)。

これも藤川さんのお勧め、”これ買うて読んで勉強しとけ”と言った『ブッダのことば』

「探検旅行のレポーター求む」という新聞広告を見た約2000人の応募の中から選ばれたのが、現代の若者、由井太さんと加山至さんでした。

明治の岩本千綱さんら2人は寺には行きましたが正式な得度はしておらず、ニセ坊主となって旅立ちましたが、現代では法律で罰せられます。そこで本物の比丘(僧侶)となる為、ワット・パクナムの渋井修さんを訪れ、正式に得度式を経て比丘となっています。

虎が出そうな山岳地帯を越え、ラオス国境のノンカイで還俗しましたが、その後もラオスへ渡ってゲリラが出そうな山岳地帯や地雷が残る道を越え、前例のない日本人によるラオスとベトナム間の陸地の国境越えを果たし、各地で93年前と変わらぬ昔のままの姿を見つめ、一部、車での移動や警備隊の同行はあるものの、無事ハノイに到着するドキュメンタリーでした。

これを見た私は「俺もやりたい」と思ったもので、藤川さんに「堀田さんも一度出家してみてください」と言われた直後から、この2人の冒険が頭を過って後押しとなった番組でした。出発前夜は狭い部屋で無理やりテレビとビデオデッキを繋ぎ、再度この番組を見て、仏門生活をやり遂げる決意をしていました。

◆仲間と旅立ち

日本を立ったのは10月15日、たまたまスケジュールが合ったタイで試合する友人であるキックボクサー・伊達秀騎(小国=当時)くんと京成上野駅改札で待ち合わせ、互いに目標を持って成田空港に向かいました。ここ数日間泊めてくれた仲間で、我々2人とも宿泊先は一緒で、以前からお世話になっているバンコクのゲオサムリットジムのアナン会長宅。

そこには同じ小国ジムの高津広行くんもタイでの試合を数戦出場の為、長期滞在中。彼らとはタイで何度も会っており、以前から出家の話は打ち明けられる仲でした。誰にも知られずにと言いながら自ら複数の友人には伝えている状況でしたが、俗人で7名までは止む得ないところ。

この3日後、伊達秀樹くんはノンカイで試合を控え、高津広行くんはこれより先に1試合終えており、私の得度式に参列する準備をしてくれて、更に翌月、試合を控えている身でした。

彼らも日本チャンピオン越え、ムエタイ最高峰を目指し辛い練習を続ける修行の日々。置かれた立場は違うも、修行に向かうのは緊張と不安が行き交う厳しいものと実感する頃でした。

そのノンカイの試合も我が身に気合いを入れる撮影レポートの仕事として、これを終えてから”得度式専門カメラマン”春原俊樹さんを迎え入れ、ペッブリー県の藤川さんが待つワット・タムケーウへ入門準備に掛かります。

借金貧乏旅行の私。この経験を期に今後の人生に役立てれば、”首の無い人間”にはならないだろう。借金返済と、また新たな広くて綺麗なグレード高い住宅物件目指し、本番迫る私でした。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

鹿砦社新書刊行開始!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』(総理大臣研究会編)
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

CLIMAX 2017 日タイ超人対決、実現!

宮越慶二郎はローキックでけん制、更に上下の打ち分け狙って接近したいが、危険なヒジ打ちの気配を感じ、得意の距離が掴み難そう。テーパブットは9月の健太戦で日本人のリズムを掴んだか、第2ラウンドにテーパブットのすかさず放った左ヒジ打ちで眉間をカットされた宮越。傷口がパックリ開く状態から続行はされるも、2度のドクターチェック後、レフェリーストップとなる。

いつ止められてもおかしくない負傷を抱える状況の中、パンチでKO狙ってラッシュする宮越慶二郎
反撃及ばず、傷が悪化しレフェリーが止めた瞬間
ロープに詰めても逃がさない新人のパンチのラッシュが優っていく

伊藤紗弥はパンチが苦手と言うとおり、その手数は少ないが蹴りでは負けない足数と圧力で主導権を維持。ヒザ蹴りでヨーッジンが嫌そうな顔をする瞬間もあり、起死回生のバックハンドブローを放つヨーッジンだがクリーンヒットには至らず。元々ピン級(-45.359kg)のヨーッジンは46.1kgで計量をパスし、46.8kgの伊藤より軽めで、体格差で押された様子もありました。

6月に駿太が新人(=あらと)に僅差で判定勝利していますが、今回も駿太はロープ際に下がり、ムエタイ技(ヒジ・ヒザ中心)狙いか、そのシーンが多く、追う形の新人が好戦的に手数足数多く攻め、判定勝利で王座を獲得。これで日本を越え、世界を目指す段階へ行くか

駿太へ雪辱を果たすべく、積極的に蹴り続けた新人
新人もNJKFに続くWBCムエタイ日本王座を獲得し、更に上位を目指す

第1ラウンドに琢磨の右ストレート気味の攻勢で軽いダウンを喫した浅川でしたが、その後にポイントを巻き返す勢いは足りず、琢磨が判定勝利で王座獲得。

この日、いちばん圧倒して勝った印象が強いYETI達朗はパンチで真樹親太郎を圧倒。第1ラウンドから一気にたたみ掛け、3ノックダウンを奪ってノックアウト勝利。他団体同級チャンピオンを2戦連続で破った勢いは大きい。一旦NJKF王座を白神武央(拳之会)に奪われているが現在、白神が持つWBCムエタイ日本同級王座に、来年2月に雪辱戦となる挑戦が決定しているところで一層の弾みを付けた形。

このところ5連勝、力強さが増したYETI達朗のミドルキック
TETSUROが浅瀬石真司を圧倒していく中でのヒザ蹴りで突き放す
今年、NJKF王座に続き、WBCムエタイ日本王座も獲得した琢磨、右はトロフィーを持つ町田金子ジム会長

浅瀬石は第1ラウンドはローキックでペースを掴んでパンチに繋ぎ、このまま維持できればよかったが、第2ラウンドにヒジで左瞼を切られた後、不用意に右フックを貰ってダウン。主導権はTETSUROが握り、第3ラウンドにパンチで2度、第4ラウンドに1度のダウンを奪う圧倒の中、第5ラウンドも右ストレートでダウンを奪うとレフェリーが試合を止め、TETSUROが新チャンピオンとなる。

◎NJKF 2017.4th / 2017年11月26日(日)後楽園ホール17:00~
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本実行委員会、NJKF

◆メインイベント 63.0kg契約 5回戦

WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級チャンピオン.宮越慶二郎(拳粋会/62.9kg)
   VS
テーパブット・シット・オブン(元・BBTVスーパーフェザー級C/タイ/62.3kg)
勝者:テーパブット・シット・オブン / TKO 2R 1:56 / ヒジ打ちによる眉間の裂傷によるレフェリーストップ / 主審:竹村光一

◆WBCムエタイ女子世界ミニフライ級(47.627kg)王座決定戦 5回戦(2分制)

WMC女子世界ミニフライ級チャンピオン.伊藤紗弥(尚武会/46.8kg)
   VS
WPMF女子世界同級暫定チャンピオン.ヨーッジン・シット・ナムカブアン(タイ/46.1kg)
勝者:伊藤紗弥 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:竹村49-47. 君塚50-46. 神谷50-46

◆第6代WBCムエタイ日本フェザー級王座決定戦 5回戦

1位.駿太(谷山/57.15kg)vs2位.新人(=あらと/E.S.G/56.8kg)
勝者:新人 / 判定0-3 / 主審:中山宏美
副審:竹村48-49. 君塚47-49. 神谷47-49

◆第6代WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

1位.琢磨(東京町田金子/58.7kg)vs3位.浅川大立(ダイケン/58.85kg)
勝者:琢磨 / 判定2-0 / 主審:竹村光一
副審:中山49-47. 君塚47-47. 神谷48-46

激しい攻防の中、パンチの的確さが優った琢磨
両者懸命の打ち合いの中、二つ目のタイトル目指し、積極的に攻めた琢磨
北海道からやって来たTETSUROの王座獲得を祝福する左側の佐藤友則会長も未だ現役

◆70.0kg契約3回戦

NJKFスーパーウェルター級チャンピオン.YETI達朗(キング/69.7kg)
   VS
MA日本スーパーウェルター級チャンピオン.真樹親太郎(真樹・AICHI/69.9kg)
勝者:YETI達朗 / KO 1R 2:43 / 3ノックダウン
主審:宮本和俊

◆NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.浅瀬石真司(東京町田金子/66.35kg)
   VS
4位.TETSURO(GRABS/66.2kg)
勝者:TETSURO / TKO 5R 0:23 / レフェリーストップ
主審:君塚明

諦めない浅瀬石真司の反撃、パンチが交錯する両者
尚武会・今井勝義会長も伊藤紗弥と共に歩いて来た世界への道はまだ続く

◆65.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級1位.畠山隼人(E.S.G/64.3kg)
   VS
NJKFウェルター級3位.山崎遼太(OGUNI/65.0kg)
勝者:畠山隼人 /. 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:中山30-29. 竹村30-29. 宮本29-28

◆バンタム級3回戦

NJKFバンタム級7位.淳士(OGUNI/53.1 kg)
   VS
同級10位.古村匡平(立川KBA/53.1kg)
勝者:古村匡平 / KO 2R 2:01 / カウント中のタオル投入
主審:君塚明

◆フライ級3回戦

J-NETWORKスーパーフライ級9位.松岡宏宜(闘神塾/50.4kg)
   VS
NJKFフライ級6位.一航(新興ムエタイ/50.65kg)
勝者:一航 / TKO 2R 2:49 / カウント中のレフェリーストップ
主審:中山宏美

◆スーパーライト級3回戦

野津良太(E.S.G/63.3kg)vs木村弘志(OGUNI/63.25kg)
勝者:野津良太 / TKO 2R 2:16 / カウント中のレフェリーストップ
主審:神谷友和

蹴りの威力は伊藤紗弥が完全に優っていった
ラウンド進むごとに自信を増して攻め続けた伊藤紗弥

《取材戦記》

「CLIMAX 2017 日タイ超人対決、実現!」は今興行のタイトル。超人とは言い難いところ、テーパブットのヒジ打ちの脅威は見せ付けてくれたメインイベントでした。

伊藤紗弥はミニフライ級で、8月にWMCとこの日WBCムエタイの世界2団体を制し、残りはWPMFだけになりました。アトム級と言われる102ポンド(-46.266kg)は元々主要3団体世界王座には無い階級(ローカルタイトルは地域によって在り)なので、このミニフライ級が今後の適正階級となるでしょう。

二つ目の世界獲得、まだ18歳、日本女子のトップを行く笑顔が可愛い伊藤紗弥

ヨーッジン(Yord・Ying)は、ローマ字表記をそのまま読めば“ヨーディング”と呼んでも仕方ないところ、この選手を招聘した主催者がどう読むかで発表される表記になってしまう場合が多いでしょう。なるべくなら発音を聞いて英語表記を比べて見る方が正確になると思います。特にタイ人氏名は、なるべくならタイ語が読めると完璧。発音を聞かなくてもタイ文字だけで読めます。あとは日本語では末子音が無いと不自然な言葉になってしまうので、末子音を加えると“ヨードジング”となってしまいますが、これもタイ語的には正確とは言えない発音になってしまいますので、末子音を省いて“ヨーッジン”になります。このYはJ発音になる場合があるので、“ヨードイング”ではなく“ヨードジング”になります。“日本”をタイ語で“yiipun”と言いますが、“イープン”ではなく、“ジープン”と呼びます。タイ東北部やラオスに行くと“イープン”と呼びます。

この日のリングアナウンサー、コンタキンテ(今田景一)さんが“ヨージン”と呼びましたが、発音はともかく、正確なコールをするよう、ある専門家から教示があったと思われます。

WPMF世界ピン級暫定王座獲得時は“パヤックジン・シットモエサヤーム”になっていますが、リングネームなので、時折“ヨーッジン・シットナムカブアン”で出場もあるようです。

この日、他の興行でも全く別の国内タイトルマッチがあったと思いますが、それぞれが関係者と友人集めてやっているような興行で、来年以降、どう改善していくか、それぞれの団体が考えていかねばならない時代に突入していくでしょう。「KNOCK OUTイベントに世間の注目が集まるだけではいけない」と対抗策を考える既存の団体関係者も多いようです。

NJKFの年内最後の興行は12月3日(日)、岡山で拳之会主催興行が行なわれます。
2018年初回興行は、1月14日(日)誠至会興行が大阪市旭区民センターで行なわれ、2月25日(日)にはNJKF本興行が後楽園ホールで開催となります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

しばき隊リベラルとネトウヨの相互ヘイトは〈階層〉が生んだ闘争なのか?

今まで記事の中で散々しばき隊関係者(有田芳生議員、中沢けい氏、北原みのり氏)を批判してきた。ただ、ここまでこきおろしてきた筆者も学生時代右派系のまとめサイトをかなり読んでいたので正直なところ人のことを言える立場ではない。その点自身が大幅に意見を変えているにもかかわらず、自身の「変節」に言及せずに今度は左の立場から彼らを批判し続けたことは不誠実であると感じた。深くお詫び申し上げたい。ただ、筆者自身右派系サイトを見ることはなくなったが、頭がよくなった気は全くしない。変わったことといえば、見ていたときより未来の選択肢が激減したぐらいである……

◆「ネットde真実」と揶揄された「国民が知らない反日の実態」

マックでポテトを食べながら「国民が知らない反日の実態」というサイトを通っていた大学のサークルの先輩から紹介されたことがある。民主党政権時代の頃だったミ批判、著名な保守思想家(エドマンド・バーク等)の紹介など内容は多岐に渡る。「国民が知らない反日の実態」は総計1千万を優に超えるアクセス数を誇るまとめサイトだ。今でも頻繁に更新している。安倍、麻生首相称賛から「反日」マスコ。相当膨大なコンテンツなので、全部見るのはよほど暇でない限り無理だと思われる。

筆者は暇な中流出身の学生(MARCHレベルの私大の出身)だったのでかなりの時間それを見るのに費すことができた。安倍と麻生は本当は凄かったのか(どちらも0年代に短期政権で終わっていたイメージが強かった)と興奮して見ていたのを覚えている。「ネットde真実」と揶揄されている姿そのものだ。ちなみに李信恵氏がチャンネル桜に出演しているのを見たこともある。

だから20~30代の若年層で自民党支持が多かったという調査結果を聞いても、個人的に全く違和感はない。特に大学生はアベノミクス効果で以前より大手企業への内定率が上がっているので歓迎する人が圧倒的に多いだろう。

渡瀬裕哉『トランプの黒幕』(祥伝社2017年)

◆「インテリンチ」という偏見

アメリカ共和党保守派とつながりがあり、トランプ当選を選挙前からデータに基づいて言い当てていた保守論客の渡瀬裕哉氏は「メディア関係者や学識者がクーラーの効いた執務室で民衆に対して行う言論的なハラスメント」を著書『トランプの黒幕』(祥伝社2017年)で「インテリンチ」と呼称している。渡瀬氏の持論や思想を全肯定はしないが、便利な用語だと思われる。

『トランプの黒幕』によるとトランプ支持の共和党支持者は民主党支持者よりも概してお金持ちであり、白人の大卒層に限っていえばヒラリー・クリントンよりもトランプに投票したのだという。そのことからトランプ支持者の「白人・低学歴・低所得・不満を抱えた男性ブルーカラー」という選挙前のリベラルなメディアが撒いたイメージは一面的で過剰なフレーム・アップであったと主張している。トランプに投票した人は思ったより「普通」もしくは「普通以上」の人たちだったのだ。

◆インテリ強者と愛国弱者

日本でも同様のことが言えると思う。在特会のメンバーを指して「非正規の労働者で、経済生活の不安定な人が多い」と安田浩一氏は以前指摘していた。しかし『日本型排外主義』という著書がある徳島大学の樋口直人准教授は、むしろ在特会参加者は大学卒業者が多く、雇用形態でも正社員が多いと指摘している。両者の取材対象にズレがあるという指摘もあるが、こちらも思ったより「普通」の人たちが在特会の活動に入っていたようだ。

五野井郁夫Twitterより

実際、2014年授業中に従軍慰安婦問題について扱った韓国映画「終わらない戦争」を上映した准教授にたいして、その内容を産経新聞に訴えるという事件があった。各方面に凄まじい萎縮効果を与えたが、これは広島大学という名門国立大学在学中の学生が起こした事件だった。

いわゆる「ネトウヨ」が社会的弱者であったほうが、リベラルな大手マスコミにとって彼らを自分たちとなんら関係のない異質な人たちとして切断することができて好都合だったのかもしれない。

◆遊離したリベラル・エリート

M君リンチ事件を見ても、しばき隊のメンバーやその周辺の支援者も大卒ないし社会的エリート(大学教授、ジャーナリスト、弁護士など)が相当数いる。いわゆる「ネトウヨ」に対する偏見をむき出しにしているものも少なくない。

安田浩一Twitterより

蔑視の対象はいわゆる「ネトウヨ」だけではない場合もある。ただ、しばき隊関係者ではない。個人的な体験になるが、某旧帝大の大学院を卒業し、いわゆる「アカヒ」(朝日新聞のこと)新聞に入社したインテリが入社前に「脱原発運動なんてクソ」と言っていたと同期入社の方がぼやいていた。意外に思われるかもしれないが、実際そういう人はいる。メディア自体正社員であれば給料の高いところが多いが、「アカヒ」新聞の給与やその他待遇は他のメディアを圧倒しており、自身の本来の政治的立ち位置は無視できるレベルのものだからだ。

リベラル・エリートが左右の運動家および一般市民にたいして蔑視感情を持ち続ける限り、潜在的な支持層が離れていく一方、自分たちと価値観や階層の近い成功した「リベラル保守」を求めて保守化を進めていくことになるだろう。

▼山田次郎(やまだ・じろう)
大学卒業後、甲信越地方の中規模都市に居住。ミサイルより熊を恐れる派遣労働者

12月8日発売『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチの音声記録CD(55分)

マツダ社員寮殺人事件裁判──被害者にも加害者にもならない幸運を再認識

社会の耳目を集めるような殺人事件が起こるたび、インターネット上で被疑者に対する凄絶なバッシングが巻き起こるのが恒例だ。それはひとえに、世の中の多くの人たちは、自分が殺人事件の被害者になることは想像できても、加害者になることは想像できないからだろう。普通の人は通常、テレビや新聞を通してしか殺人事件の情報に接しないので、それも無理はないことだ。

だが、私はこれまで様々な殺人事件を取材してきて、自分や家族がいつ殺人事件の被害者になってもおかしくないと思うと同時に、自分がいつ殺人事件の加害者になってもおかしくないと思うようになった。生まれてから40数年に渡り、殺人事件の被害者にも加害者にもならずに生きてこられたのは、幸運なことではないかとさえ思う。

いま、広島地裁で行われているマツダ社員寮同僚殺人事件の上川傑被告(21)の裁判員裁判を傍聴し、そのことを再認識させられた。

◆相当な悪人物であるかのように叩かれた被告

事件は昨年(2016年)9月中旬、広島市南区にある自動車メーカー・マツダの社員寮で起きた。寮内の非常階段の2階踊り場で、寮の7階で暮らす同社社員の菅野恭平さん(当時19)が頭から血を流し、倒れているのを同僚が発見。菅野さんはすでに死亡しており、広島県警は殺人の疑いで捜査を展開した。そしてほどなく検挙されたのが、同社社員の上川被告だった。

上川被告は菅野さんと同期入社で、やはり寮の7階で暮らしていた。逮捕当初の報道によると、事件当日、菅野さんを車に乗せ、寮の近くにあるコンビニや銀行、郵便局を回り、現金120万円を引き出させたうえ、寮に戻ってから消火器で殴るなどして殺害し、金を奪ったかのように伝えられていた。そして交際していた女性と事件後に宮島でデートしていたことが女性のSNSから判明したこともあり、インターネット上では相当な悪人物であるかのように叩かれていた。

そんな上川被告が強盗殺人の罪に問われた裁判員裁判は、11月14日から広島地裁で始まり、計4回の公判審理を経て同27日に結審。判決は12月6日に宣告される予定だが、検察側が主張した事件の構図はおおよそ事前に報道された通りの内容だった。一方、弁護側は、上川被告が菅野さんに暴行して死なせたことや金を盗んだことを認めつつ、殺意などを否定し、「強盗殺人罪は成立せず、傷害致死罪と窃盗罪が成立するにとどまる」と主張した。そのため、事実関係にはいくつもの争いがあった。

私はこの裁判の大半の審理を傍聴したが、判決の予想から書いておく。検察官の主張する強盗殺人罪はおそらく適用されないだろう。上川被告が強盗目的で犯行に及んだと考えるには、いくつもの疑問が存在するからだ。

事件があったマツダの社員寮

◆強盗殺人を否定するいくつかの疑問

疑問の第1は、上川被告と菅野さんは事件前、共に社員寮の7階で暮らしていたものの、ほとんど付き合いがなかったことである。事件前から2人の間に上下関係があったならともかく、菅野さんがある日突然、単なる同僚に過ぎない上川被告に現金120万円を引き出すことを命じられ、それに従うというのは不自然だ。

第2に、仮に上川被告が強盗目的で菅野さんを殺害するならば、寮に連れて帰ってから犯行に及ぶだろうか。そんなことをすれば、犯行が露呈するのが自明だ。上川被告が菅野さんを殺害して金を奪うなら、車でひと気のない場所に連れて行き、犯行に及ぶのが自然だろう。

第3に、上川被告は事件後、菅野さんから奪った多額の現金(上川被告の主張では、120万ではなく107万円)を自分の銀行口座に入金している。最初から強盗目的で菅野さんを殺害したなら、このようなアシがつくのが自明のことはしないだろう。

上川被告の主張によると、菅野さんを車に乗せ、コンビニや銀行、郵便局を回ったのは、事件当日、菅野さんから「お金をおろしたいんで、車を出してくれない?」と頼まれたからだったという。そして夜勤明けの眠い中、親しくもない菅野さんを車に乗せてコンビニや銀行、郵便局を回った。それにも関わらず、車の中に置いていた交際相手の写真を「上川くんならもっと彼女は可愛いかと思った」と言われて腹が立ち、寮に帰ってから暴行してしまったのだという。

これはあくまで上川被告の主張だが、客観的事実とよく整合していた。凶器の消火器もその場にあったものを使っており、その事実からも強盗の計画があったわけではないことが裏づけられていた。

上川被告の主張が仮にすべて事実だとしても、上川被告は消火器で暴行された菅野さんが倒れて動けなくなったあとでバッグの中の多額の現金を奪い、救急車も呼ばずに逃走しており、弁明の余地はない。上川被告の交際相手に関する菅野さんの発言が仮に事実だとしても、菅野さんに落ち度があったとは到底言えない。しかし、それでもやはり、検察官が主張するような強盗殺人罪の成立は難しいだろう。

先述したように上川被告は逮捕当初、相当な悪人物であるかのように叩かれていたが、法廷で本人を見た印象としては、坊主頭の真面目そうな若者だった。私の経験上、社会を騒がせた殺人事件の犯人と実際に会ってみると、どこにでもいそうな普通の人物であることがほとんどだが、上川被告もまたそうだったというわけだ。

実際のところ、上川被告は事件前にも同僚の車でコンビニに行った際、車内にあった5万円を盗んでおり、品行方正な人物だったとも言い難い。とはいえ、とくに暴力的な人間ではなかったという。公判中は常に苦渋の面持ちで、時折、涙を流していたが、本人も自分が人の生命を奪う事件を起こすなどとは、実際に事件を起こすまで夢にも思っていなかったろう。

私はそんな上川被告の様子を観察しながら、自分のこれまでの人生を振り返り、自分が何かの拍子に彼の立場になっていたとしても何らおかしくなかったように思えてならなかった。

上川被告の裁判が行われている広島地裁

◆殺意が否定されるかも微妙

一方、「傷害致死と窃盗」が成立するにとどまるという弁護側の主張が認められるかというと、それも難しいのではないかと私は予想している。

というのも、上川被告は消火器で菅野さんに暴行したことは認めつつ、「消火器で殴ったのではなく、消火器は手で持ったまま、床にうつ伏せで倒れた菅野さんの背中や後頭部に(重力に任せて)落としただけだった」と弁明し、弁護側はこの行為に殺意はなかったと主張している。しかし、仮に事実が上川被告の説明通りだとしても危険な行為であることに変わりはなく、裁判員たちも殺意の存在を否定しがたいだろう。

また、公判審理には菅野さんの両親が毎回、被害者参加制度を利用して出席していたが、論告求刑公判の際、両親が行った意見陳述は胸に迫るものだった。それもまた裁判官や裁判員の事実認定に影響を与える可能性は否めない。

菅野さんは子供の頃から車が好きで、とくにロータリーエンジンに強い興味を持っていたという。真面目な努力家で、高校卒業後にマツダに入社してからも上司や先輩に可愛がられていたという。母親はそんな菅野さんについて、「自慢の息子だった」「恭平の笑顔が好きだった」「恭平を返して欲しい」「恭平のいない人生は考えられない」などと泣きながら語った。

そして菅野さんの父親と母親が口をそろえたのは、上川被告に「死刑」を望むということだった。父親は「できれば被告人に消火器などで同じことをしてやりたい」と言い、母親も「同じ目に遭わせてやりたい。人の生命を奪っているのだから、生命で償ってもらいたい」と言った。我が子の生命を理不尽に奪われた両親としては、当然の感情だろう。

だが、検察官の求刑は無期懲役だった。つまり、検察官の主張通りに判決で事実関係が認定されても、死刑が宣告される可能性は無いに等しい。そして私の予想通りなら、強盗殺人罪は適用されないから、上川被告の量刑は有期刑になるだろう。

ひとくちに有期刑と言っても、殺意まで否定されて傷害致死罪と窃盗罪が適用されたら、おそらく量刑は懲役10年を上回ることはないだろう。菅野さんの両親の意見陳述を聞いた裁判官や裁判員たちがそのような選択をできるかというと私は疑問だ。

いずれにしろ、自分がいつ殺人事件の被害者や加害者になってもおかしくないし、そうならずに今日まで生きてこれたのは幸運だった。私にとって、そのことを再認識させられる事件だ。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
鹿砦社新書創刊!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』(総理大臣研究会編)

京都大学立て看規制から見える社会の終焉

11月25日付けの朝日新聞によれば、京都市は京都大学に対して同大吉田キャンパスの立て看板が「京都市の景観を守る条例」に違反する旨の行政指導を行っているという。

11月25日付け朝日新聞

◆京大もいよいよ来るところまで来た

「京都市の景観を守る条例」を使うとは、また姑息な言い訳を探し出したものだ。「自由な学風」と言われた京都大学も「大学総右傾化」に漏れず、いよいよ学生自治の最終的破壊に取り掛かり始めた。

京大では昨年半日だけの「バリケードストライキ」が行われたが、それに関わった京大生は、まず無期停学になり、次いで「退学処分」になった。京大生、学外者を含めて、京大には氏名を明示して「京都大学敷地内への立ち入りを禁止の通告」と仰々しい貼り紙がある。この手の氏名まで特定しての「立ち入り禁止」のお触れは、明治大学で目にしたことがあるが、たった半日の「バリケードストライキ」で退学プラス敷地内立ち入り禁止処分を出すとは、京大もいよいよ来るところまで来たと言えよう。

現在の京大山極壽一総長は霊長類の研究者として知られており、総長就任の直前に元京大教授だった方にうかがったら「山極は本物のゴリラですわ」と好意的に評価されていた。どちらかといえば政治とはあまり縁がなく、純粋な研究者との印象が強かったようだ。

京大だけでなく、全国の大学で大学自治の喪失、「産学共同」の名のもとに大企業の学内侵入(あるいは招聘)はもう当たり前のように進行しているので、学生に「自治」や「権利」などと話をしてみても反応するのは100人に1人いるかいないか、というのが今日の状況だ。純粋な表情で無垢そうな体の細い若者たちは、全体におとなしく、声が小さく、選挙権を得ると自民党に投票する傾向がある。

そこにもってきて「京都市の景観を守る条例」を引き合いに出すとは、京大当局と京都市の連携がなに恥じることなく愚かな方向に邁進していることのあかしだ。京大当局の本音は「学生自治を完全に破壊しつくして、学外からの研究費獲得のためのより良い環境づくりを進めたい。そこで京都市さん、一肌脱いでもらえまへんやろうか」だ。京都市は「簡単なことどす。任しておくんなはれ」と「景観を守る条例」を引き合いに「京大はん、ちょっと立て看なんとなんとかなりまへんやろか?」と京都伝統のうち最も悪い部分を丸出しに「芝居」を打つ。

見え見えだ。京都に暫く住んでみれば行政と地域や市議会と企業などの関係で、京大―京都市で繰り広げられる「芝居」のようなことがしょっちゅう起こっていることは勘の鋭い人ならすぐにわかる。

◆IT化で進行する「本来の大学のありようの放棄」

京都は狭い盆地の中に多くの大学が集中し「大学のまち」と呼ばれることがあるほど学生が多い。近年観光旅行客の増加で影が薄くはなったが、京都市内の大学生人口比率は相当高く、学生が居ることを前提に成り立っている商売(主として賃貸マンション)も少なくない。一時は大学の郊外志向時代があり同志社大学や立命館大学などの私立大学は京都市外に広いキャンパスを求めたが、東京でも都心回帰が起こっているように、同志社は文系学部をすべて元の(今出川)キャンパスに戻したり、京都学園大学(名前は京都学園だが所在地は亀岡市だった)が念願の京都市入りを果たしたり市内への流入を目論む大学も少なくない。

それにしても大学の「景観」や美しさとは、立て看板一つない、貼り紙一つない、学生活動も低調で、入学したらすぐに「キャリア」という間違った英単語で指導される「就職活動に目が向けられる様子にあるのだろうか。新しく建てられた大学の教室にはLANケーブルの端子とコンセントが標準装備された机を目にする。当然パソコンの利用を前提としてのことだ。わたしにはあの設計が、「本来の大学のありようの放棄」に思えて仕方がない。講義中にパソコンを開かせる大学教員の神経がわからない。

講義中のパソコン使用は、工学や電子工学など一部の理系講義を除けば、わからない意味をインターネットで調べる「カンニング」の推奨であり、「考えること」、「調べること」を放棄させているのではないか。もっともパソコンを使わせなくても大教室でのマスプロ講義は昔から真剣な学問の対象とはなりえなかったけれども。そして「景観条例」は企業の宣伝を規制するために作られた条例ではなかったのか。

◆大学の主人公は「学生」から「カネ」へ

大学の主人公は「学生」であるはずだ。それがいつのころからか、学生の体だけは確かに学内にあるけれども、本質は「カネ」が主人公の位置を奪いとった。京大だけでなく、若者が手なずけられやすくなった時代を歓迎し、安堵している向きも経済界や与党を中心に多かろう。しかし、彼らは必ず高いツケを払わされる運命にある。いやこの社会全体が間もなくとてつもない負債の返済を迫られる。

未来があるはずの若者ならば、どんな状況であろうが「不満」や「不条理」を感じ取るのがヒト種の動物的な生理反応だ。そんなものに国境はない。若者が現状に安堵し、肯定し始めるのは、とりもなおさず社会の後退と終焉への思考なき暴走を意味するのではないか。それを期待し喜んでいる大学当局。例によって私の「考えすぎ」悪癖にすぎないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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