日本はこんなにも米国に見下されているのか――。外交問題に疎く、そもそもあまり関心がない筆者がしみじみそう実感させられる出来事が今から6年前にあった。2008年2月22日、あの「ロス疑惑」の三浦和義氏(当時60)がサイパンを旅行中、妻(=前妻。以下同)を殺害した容疑で米国捜査当局に逮捕された一件である。
三浦氏は雑貨の輸入会社を経営していた約30年前、米国ロサンゼルス(以下、ロス)で妻を保険金目的で殺害したなどの疑惑を連日、マスコミに大々的に報じられた。そして殺人などの容疑で逮捕、起訴されたが、一貫して無実を主張。妻を殺害した容疑では、第一審で無期懲役判決を受けたが、最終的に逆転無罪判決を勝ち取った。サイパンでの米国捜査当局による逮捕は、日本では無罪が確定したこの妻殺害の容疑を蒸し返したものだった。この時、三浦氏が受けたショックの大きさは計り知れないが、それと同時に米国の捜査当局が日本の司法など屁とも思っていないことが露呈した逮捕劇だった。
長崎県西海市でストーカー被害を訴えていた女性(事件発生当時23)の母親(同56)と祖母(同77)が刺殺される事件が起きたのは2012年の暮れのこと。捜査の結果、女性の元交際相手・筒井郷太被告(同27)が殺人や住居侵入、脅迫などの罪で起訴された。筒井被告は、長崎地裁の裁判員裁判で無実を訴えたが、2013年6月14日、犯人性も完全責任能力も認められて死刑判決を宣告され、現在は福岡高裁に控訴中である。
世間の耳目を集めているオウム真理教の元幹部・平田信被告(48)の裁判員裁判。公判は何かと波乱含みのようだが、産経新聞の報道によると、弁護側が証人出廷した元オウム信者の受刑者に対し、迷宮入りした「警察庁長官狙撃事件」と平田被告の関連性について意見を求める質問をする場面があったという。質問の背景には、平田被告がかつて、この事件の犯人候補としても警視庁に注目されていたことがあったと思われるが、「あの男」がこの報道に触れたらおそらく気になって仕方がないだろう。