『紙の爆弾』2023年2月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

2022年末、安保3文書の改定が閣議決定されました。ただし、本誌がたびたび問題提起してきたように、これは降ってわいたものではありません。岸田文雄首相は今年1月にさっそく訪米し、“成果”をバイデン大統領に報告します。一方で、昨年12月にはウクライナのゼレンスキー大統領が電撃訪米。ただしゼレンスキー大統領の場合、眼前の戦争に関して軍事的協力を求める目的がはっきりしています。岸田首相はいったい何をしに行くのか。まさにアメポチとしか言いようがありません。

 
1月7日発売! 月刊『紙の爆弾』2023年2月号

「専守防衛」の政策転換という問題とともに、その背後の国民世論形成についても、本誌2月号記事は重点を置いて分析しました。たしかに防衛費倍増の財源は問題です。所得税・法人税は市民の経済活動にともない徴税されるもの。たばこはやめられても、こちらは避けられるものではなく、強制的な戦争協力と言って過言ではありません。旧統一教会の問題がかまびすしいなか、宗教法人課税をここで俎上にあげてみてはどうでしょうか。だいたいの宗教は平和を看板に掲げているもので、有意義な議論が展開されるのではと思います。

話を戻すと、マスコミでは財源が問題とされても、軍事増税の前提である“有事の危機”がつくられたものである、あるいは軍事以外の方法で解消すべきであることには、ほとんど触れられていません。安倍国葬に反対する世論が軒並み50%を超えた一方、敵基地攻撃能力の保有に賛成する世論も50%を超えているのも、マスメディアの世論形成の結果といえます。自衛隊の増強の必要性も強調されているなか、「入隊すれば三食三六五日無料で食べられます」「ひとり一個ケーキ、ステーキがひとり一枚」との自衛隊の説明会の様子が話題になっていました。ネットでは「実は給料から天引きされている」とのツッコミもありましたが、それも含めて今を反映しているように思います。

さらに現在、注目がますます高まるのが、コロナワクチンによる薬害の問題です。2月号では10月に結成会見が開かれた遺族会「繋ぐ会」の活動についてレポートしました。11月25日には同会と超党派議員連盟により、衆議院議員会館で厚生労働省を相手に勉強会を開催、ワクチン接種の中止を訴えています。そのなかでは、福島雅典・京大名誉教授が一部で「10%しかない」といわれる厚労省職員の接種率の開示を求めるシーンもありました。少し調べればわかりそうなものですが、現時点でも厚労省側は開示せず。本誌1月号では免疫低下など、このワクチンの「3つのリスク」を解説。感染防止についても、ファイザー社が実証テストをしていないことが明らかとなっています。接種回数を重ねるほど健康被害のリスクは上がるといわれており、これ以上の接種拡大は避けるべきです。1月号、2月号をあわせてお読みいただければと思います。

戦争準備と国民管理、原発と「環境問題」など、扱うテーマは増えるばかりであるとともに、その一つ一つが身に迫ったものとなっています。今月号も、『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ご一読をよろしくお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

月刊『紙の爆弾』2023年 2月号 目次

日本はもう五輪に関わるな「電通のための五輪」がもたらした惨状
逮捕の元電通専務の背後に〝司令塔〟「東京五輪グッズ」めぐり新たな汚職疑惑
自公野合「軍拡政策」とバーター 創価学会・公明党 救済新法〝骨抜き〟の重いツケ
旧統一教会被害者救済法「ザル法」に賛成した立憲民主の党内事情
東日本大震災を越える「ワクチン死」コロナワクチン遺族「繋ぐ会」の訴え
防衛増税に自民党内の反発 それでも首相に居座る岸田文雄の皮算用
メディアの政権協力を暴く 戦後軍事政策の大転換は自公野合のクーデター
戦需国家・米国への隷従を具現化する改定三文書 世論操作と情報統制で進む対米一体化の「戦争準備」
右も左もまともな分析なし 中国共産党第20回大会は何を示したか
中世の残滓 絞首刑は直ちに廃止すべきである
日本を操る政治とカルトの蜜月 旧統一教会とCIA・KCIAの関係
全体主義を求める現代社会 市場原理主義というカルト
ジャニーズ事務所と〝文春砲〟のバトル 2023年芸能界 越年スキャンダル
シリーズ 日本の冤罪34 二俣事件
弱者に寄り添い続けた ジャーナリスト・山口正紀さんを悼む

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

1月7日発売! 月刊『紙の爆弾』2023年2月号

わかりやすい!科学の最前線〈01〉生き物の根幹にある核酸 安江 博

デジタル鹿砦社通信読者の皆様、はじめまして。私は現在「つくば遺伝子研究所」で所長をしている安江博です。これからこのコラムで現在私が取り組んでいる、遺伝子をはじめ最近の科学で明らかになった事実をご紹介してゆきます。

私は大学で理学を学んだあと農林水産省/厚生労働省に技官として、また、大学の職員して、国内外の研究機関で33年、化学、生物学、医学などの分野で研究を重ねてきました。私も年齢が70歳を超え、人生の集大成の時期に入ったと自覚しています。これまで得てきた知識や、最新の科学的知見をわかりやすく読者の皆さんにご紹介することは、私だけの知識を広く社会の財産とし、皆さんのお役に立てていただきたいとの思いから今回この連載を担当させていただくこととなりました。鹿砦社からは『一流の前立腺がん患者になれ』を出版したご縁もあります。

この連載はまず「核酸」についての解説からはじめます。私は色々なことを研究しており、また様々なアイデアが浮かぶので、最初の話題に「核酸」を選んだのは、必ずしも今後の連載の順番を考慮してのことではありません。その折に触れなるべく生活に身近で、でありながら最先端の情報をわかりやすくご紹介したいと思います。

では早速「核酸」のお話をはじめましょう。

生き物が、生まれて、成長して、さらに、世代を超えて進化していくうえで、その根幹となっているものは核酸と呼ばれる化学物質です。核酸は、RNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)の二種類に分けられます。両者の違いは、核酸の構造体に酸素原子が入っているかいないかです。哺乳類をはじめとするほとんどの生物は、DNAに遺伝情報が蓄えられています。そしてDNAの遺伝情報が、環境の変化等に応じて、RNAに伝えられ、さらに、タンパク質に変えられて、遺伝情報が機能します。

一方DNAを持たず、RNAに遺伝子情報を格納している生き物もあります。RNAだけしか持たない生物の代表格は、一部のウイルスです。

今、話題になっている、コロナウイルスもRNAしか持っておらず、また、一本鎖であることから、ウイルスの複製過程で、変異が起こりやすい性質を有します。そのため現在、度重なる変異に対応するためのワクチンを作りなおしていく必要が出てきているのです。ワクチン接種を4回、5回と受けた皆さんもいらっしゃると思いますが、上記のようなウイルスの性質が、異なるワクチン接種を必要とさせているのです(ワクチン接種については別の問題がありますが、ここでは仕組みを理解していただくことに留めます)。

DNAは二本鎖で、鎖のお互いが相補性であることから、複製に間違いが生じても、修正されます。従って、遺伝情報を二本鎖のDNAの形でもつ生物は、細胞増殖による遺伝情報の複製、次世代への遺伝情報の伝達過程での複製において、RNAだけの生物に比べ、複製間違いが極めて低いわけです。しかし、複製間違いがないわけではなく、この間違いが、がん、遺伝病の原因となるわけです。また、世代間の複製の間違いは、長い目でみると、生物の進化となって表れてきます。

遺伝の概念は、1865年Mendelが初めて示し、その後、1900年になってオランダのde Vries、ドイツのCorrens、オーストリアのTschermakによって、それぞれ別の材料を使って独立にMendelが示した「遺伝」の概念を再度しめし、そのあと、遺伝学は概念の形で、発展しました。1953年になって初めて、WatsonとCrickが遺伝を担う物質はDNAの二重らせんであることを報告し(文献1-1: ノーベル賞)、以降、遺伝物質としてのDNA、RNAが注目され、その解析技術の開発が進められ、現在へと繋がっています。

DNA研究の軌跡については、後述することにしますが、核酸が遺伝物質の根幹であることが1953年に判明し、以降は、遺伝物質の情報解明に注力されてきました。遺伝情報はA, C, G, Tの塩基の並び方によって決まっていることから、どのようにしたら、効率よく、塩基の並びかたを調べることができるかという研究が続けられてきました。

DNAの塩基配列を調べる方法としては、1975年にジデオキシ法(文献1-2: 別名、サンガー法.ノーベル賞)、続いて1977年にマキサム・ギルバート法(文献1-3: ノーベル賞)が発表されました。1970年代終わりから1980年初めごろは、私も、塩基配列を解析する仕事をしていました。この頃は、放射性同位元素である32Pや35S用いた解析でした。塩基配列の解析する一連の操作に約3日かかり、一回の解析で、2400塩基の配列を決めていました。この一連の操作で掛かる費用が、5万円ぐらい掛かっていたと記憶しています。ここには、人件費は含まれていませんので、1000塩基当たり、約2万円となります。その後、放射性同元素ではなく、蛍光色素を用いることが可能になり、それに伴い、解析の自動化が進められました。それにより現在、塩基配列の解析は以前より安価で行うことができます。次回はヒトの塩基分析についてご紹介します。

【文献】

1-1 Molecular Structure of Nucleic Acids: A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid
J. D. WATSON & F. H. C. CRICK Nature volume 171, pages737-738 (1953)
https://dosequis.colorado.edu/Courses/MethodsLogic/papers/WatsonCrick1953.pdf

1-2 DNA sequencing with chain-terminating inhibitors
F. Sanger, S. Nicklen, and A. R. Coulson Proc Natl Acad Sci U S A. 1977 Dec; 74(12): 5463-5467.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC431765/pdf/pnas00043-0271.pdf

1-3 A new method for sequencing DNA
A M Maxam and W Gilbert Proc Natl Acad Sci U S A. 1977 Feb; 74(2): 560-564.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC392330/pdf/pnas00024-0174.pdf

▼安江 博(やすえ・ひろし)
1949年、大阪生まれ。大阪大学理学研究科博士課程修了(理学博士)。農林水産省・厚生労働省に技官として勤務、愛知県がんセンター主任研究員、農業生物資源研究所、成育医療センターへ出向。フランス(パリINRA)米国(ミネソタ州立大)駐在。筑波大学(農林学系)助教授、同大学(医療系一消化器外科)非常勤講師等を経て、現在(株)つくば遺伝子研究所所長。著書に『一流の前立腺がん患者になれ! 最適な治療を受けるために』(鹿砦社)等

安江博『一流の前立腺がん患者になれ! 最適な治療を受けるために』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846314359/
◎鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=ichi&bookid=000686
四六判/カバー装 本文128ページ/オールカラー/定価1,650円(税込)

2023年も原爆供養塔前からスタート 核兵器ゼロ・戦争ゼロ・原発ゼロをめざして さとうしゅういち

筆者は、広島県庁職員を辞して、大物広島県議だった河井案里さんに挑んで敗れた2011年の翌2012年以降、元旦はいつも、原爆供養塔前に集合し、はだしで黙とう、平和公園内の原爆慰霊碑を巡って献花する「元旦はだし供養」に参加しています。大学時代に政治家を志して以来の核兵器ゼロ・戦争ゼロ・原発ゼロという筆者の政治活動の原点を新年に当たって再確認する意味合いもあります。

今年2023年も、2022年と同じ毎回参加のNHK記者も含む6人という少人数ですが決行しました。この中には、筆者の家の前を通り、工事が難航してトラブル続きの高速道路二葉山トンネルに関する市民運動に取り組む方などもおられ、「少数精鋭」の活動となりました。

 
筆者の元職場である広島県庁

◆「被疑者教育長」が居座る広島県庁経由で現地へ

筆者は、岸田総理の地元の広島1区(中区、東区、南区)の東区に住んでいます。平和都市といいながら、超保守王国で、筆者自身も、昨年の参院選再選挙での得票率は自分が住んでいる東区では隣接する安佐南区(3区)と府中町(4区)と比べても大きく低迷しています。

筆者は1月1日早朝、その東区の自宅をバスで出発し、中区の筆者の元職場である県庁前にあるバスの終点で降車しました。

奥の県庁東館には広島県教育委員会も入っています。そのトップは教育長の平川理恵さんです。平川教育長が親しくしていた故郷・京都のNPOと県教委の契約が官製談合防止法違反、地方自治法違反であることが外部の調査で認定されています。

さらに、別の大阪の親しい女性社長のコンサルタント会社とも問題が発覚。そして、京都のNPOとの件については市民団体から告発されています。平川教育長はいわば「被疑者」です。

しかし、平川教育長は1月1日現在、辞任の気配もなく、知事の湯崎英彦さんも彼女を罷免しようとしません。県議会も一部の議員を除き、厳しい追及の動きはありません。いったい、何か、彼女を庇わないといけない別の後ろめたい理由があるのではないか?

故・安倍晋三さんの政権の下で、財務省の佐川宣寿局長(当時)の隠ぺい工作のために赤木俊夫さんが命を自ら断っています。最悪の場合、そのようなことが、広島県庁で起きないように、県民や県議会の監視、あるいは労働組合などによるチェックが必要ではないでしょうか?

一方、平川教育長は、県内の公立学校で1000人以上非正規の先生がおられるのに、正規化については「予算がない」と放置です。湯崎知事・平川教育長の新自由主義とも厳しく対決していかねばならない。その思いを強くしました。

◆原爆ドーム前、G7首脳見学予定も広島の「西側国家ベッタリ化」心配

 
初日の出に赤く染まった原爆ドーム

原爆ドームもまた初日の出に赤く染まっていました。今年は、G7サミットが5月に開催されます。各国首脳に原爆ドームも当然、見学していただくことになるでしょう。被爆の実相を世界の首脳に伝えるということ自体は否定しません。だが、現実問題として、ロシアvsウクライナの戦争もさることながら、それ以外でも、西側「民主主義国家」vs中国に、多くの途上国も米中の間で複雑な動きをするという状況があります。そういう中で、広島が西側「民主主義」国家とべったり、という方向へ進むことを危惧します。その兆候は、昨年の平和祈念式にロシアを招待しなかったことです。たしかに、ロシアのウクライナ侵略はけしからん。しかし、アメリカは、そもそも広島を核攻撃した加害者ですし、イスラエルのパレスチナ虐殺、サウジアラビアのイエメン空爆なども問われなければならないでしょう。国家間の対立は超えて、核の悲惨さを訴え、核兵器ゼロを訴えるというのが自治体としての広島の立ち位置であるべきでしょう。

なお、反グローバリズムの立場から「バイデンも岸田総理も広島に来るな」的な左翼のスタンスもあり、筆者個人としてはそのスタンスに近いし、そういう立場の言論も県民の間で大いに展開されるべきと思います。

それはそれとして、自治体としての広島(県・市)としてはどうあるべきかと言えば、国家同士の対立をいったん脇においたスタンスではないかと思うのです。バイデン大統領にもプーチン大統領にも習近平主席にもムハンマド皇太子にもネタニヤフ首相にも金正恩総書記にも来ていただくのが自治体としての広島県・市のスタンスであるべきでしょう。

◆6人で決行 元旦はだし供養

原爆供養塔に到着すると、市民活動家の女性が先に到着しておられました。彼女は、先般、高速道路二葉山トンネル問題でテレビに映っておられました。最終的に毎回参加されているNHK記者を含む6人に増えました。

原爆供養塔に献花。そして、8時15分、チャイムが鳴り、黙とうしました。


◎[動画]元旦はだし供養 原爆供養塔

 
韓国人原爆犠牲者の慰霊碑に参拝

続いて、韓国人原爆犠牲者の慰霊碑に参拝。新年から朝鮮(金正恩総書記)がミサイルを発射したというニュースが流れています。しかし、実際には、韓国も、30日にロケットを打ち上げて、日本でも謎の光ということで通報が相次ぐ騒ぎが起きています。こういうエスカレーションは、朝鮮戦争が正式に終結していないからこそ起きることです。

そもそも、朝鮮のミサイルの狙いは日本ではなく、アメリカを交渉に引っ張り出すのが目的です。植民地支配をしていた日本は、韓国人被爆者が発生する原因をつくり、また、南北分断に一定の責任がある。岸田総理は武器倍増ではなく、過去の歴史的な経緯を押さえたうえで、関係各国及び、国連(米軍にお墨付きを与えている)に朝鮮戦争終結を働きかけるべきだ。ましてや、武器倍増で緊張のエスカレーションに加担しつつ、原発を増やしてミサイルの標的を増やすような岸田総理の愚行は止めないといけない。そういう思いで参拝しました。

◆地域での慰霊祭は難しく

ついで、川内村の「義勇隊の碑」、ついで、広島二中=現広島観音高校=慰霊碑へ向かいました。川内村は現在、安佐南区に属しています。今は、マンションや住宅が林立する中に、広島菜やホウレンソウを栽培する農家も多少残っているという感じです。義勇隊に参加して爆心地近くに来ていた川内村の男性がほぼ全滅。戦後しばらくは人口バランス的に女性が多い村として知られ、そういう中で、広島菜が女性中心の産業として発展してきた経緯もあります。

いまや、被爆当時を知る方も少なくなり、地域で行われる慰霊祭も存続が困難になっています。他方で、広島二中の慰霊祭については、後輩の生徒たちが引き継いでいるため、体制を維持できているということです。

地域の自発的な活動はどの分野でもなかなか存続が困難な状況があります。それは平和の分野でも変わりがないということを改めて痛感しました。

[左]川内村の「義勇隊の碑」。[右]広島二中(現広島観音高校)の慰霊碑

◆安佐南区の神社で初詣後、事務所近くの駅でご挨拶

 
祇園の安神社

筆者は、その後、バスでれいわ新選組推薦で県議選に立候補を予定している安佐南区に移動。祇園の安神社に初詣しました。この神社は、わたしが、この安佐南区で河井案里さんに挑んで以来、毎年参拝しています。

ちなみに、広島市民の初詣の定番は厳島神社か、護国神社です。しかし、護国神社に筆者は参拝しません。護国神社とは、戦前、戦争を推進した靖国神社の自治体版だからです。広島が戦前、アジア侵略の拠点となった時代の遺物でもあるからです。特に、地元の岸田総理が武器倍増に突き進むいまだからこそ、護国神社は避けたいのです。

その後、筆者の事務所近くの中筋駅前で、看板を立てて、新年のご挨拶をさせていただきました。「明けましておめでとうございます」とお声がけしながら、時に紙ベースの「広島瀬戸内新聞」をお渡ししました。

筆者も12年間、活動してきただけあり、多くの地元有権者、とくに年配の方ほど、筆者のことをご存じのようです。政策、政治姿勢をよくご存じの方も多い地域では、マイクを通じて話すより、個別の双方向の対話を重視していきたいと考えています。この点は、昨年の参院選再選挙とはやや趣を異にします。

 
筆者の事務所近くの中筋駅前で新年のご挨拶

特に、地方選挙を前にした活動です。筆者の政策・政治姿勢を具体的に県政に落とし込んでいくには、県内の実情を踏まえないといけない。それには、双方向の対話が一番重要だからです。

その上で、
「新自由主義を脱却し、県民の暮らしを立て直す」
「旧統一協会・利権まみれの広島の政治を平和都市にふさわしいものにリニューアルする」
「岸田総理の暴走に地元・広島から待ったをかける」
という軸はぶれずに頑張る所存です。引き続きご協力を伏してお願い申し上げる次第です。

◎カンパ先
郵便振替口座 01330-0-49219 さとうしゅういちネット
広島銀行本店(店番001) 普通 口座番号3783741 さとうしゅういちネット

ただし、ご寄付頂けるのは日本国籍の方、そして一人年間150万円以下に制限されます。また、
・年間5万円を超えてご寄付頂いた方
・筆者への寄附による所得税の控除を受けられたい方
については、法の定めるところにより、政治資金収支報告書等で筆者からご住所・ご氏名・ご職業を広島県選挙管理委員会に報告させていただきます。何卒ご了承ください。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

1月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年2月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年冬号(NO NUKES voice改題 通巻34号)
『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

新聞業界から政界へ政治献金598万円、103人の政治家へばら撒き、21年度の政治資金収支報告書で判明 黒薮哲哉

昨年の11月に総務省が公開した2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元は、新聞販売店の同業組合である日本新聞販売協会(日販協)の政治連盟である。さすがに日本新聞協会が政治献金を支出するわけにはいかないので、パートナーの日販協が献金元になっているのである。

わたしが知る限り、献金が始まったのは1990年代の初頭である。当時は、元NHKの水野清議員や、元日経新聞の中川秀直議員らに献金していた。

2021年度の献金先は、延べ103人の政治家(政治団体)である。献金先が100件を超えたのは、同年の秋に衆院選が実施されたことが影響している。実際、献金先の政治家の大半は衆院選の候補者だった。

献金先の候補者が所属する政党の大半は自民党だった。公明党の候補と立憲民主党の候補も若干含まれていた。

次に示すのが献金の実態である。(掲載の都合上、2つの表に分割して表示した)

セミナー料金等
寄付金1

◆自民党安倍派へ64万円

献金の実態について、何点か特徴を指摘しておこう。
 
最も献金額が多いのは、清和政策研究会(現在は安倍派)に対するものである。64万円である。清和政策研究会は「保守本流」、「親米」、「タカ派」、「復古主義」などのキーワードで特徴づけられる自民党の派閥である。前会長は、改めて言うまでもなく、故安倍晋三首相だった。

高市早苗議員に対して、セミナ料―16万円と寄付5万円の総計21万円を献金している。また、中川雅治議員に22万円、柴山昌彦議員に25万円の献金を実施している。

日販協による献金の支出で最も特徴的なのは、小遣い程度の金額(5万円)を多人数の政治家にばら撒いていることである。このばら撒きスタイルは昔から一貫して変わらない。

◆政治献金と引き換えに「押し紙」政策の黙認

献金の目的は、わたしの推測になるが次の4点である。

 ①新聞に対する軽減税率の適用措置継続
 ②新聞に対する再販制度の継続
 ③NIE(教育の中に新聞を運動)の支援
 ④「押し紙」政策の放置

いずれも新聞社経営に直接かかわる問題である。消費税は、「押し紙」にも課せられるので軽減税率の適用措置の継続は、大量の「押し紙」を抱えている新聞業界にとっては不可欠である。

【参考記事】新聞に対する軽減税率によるメリット、読売が年間56億円、朝日が38億円の試算、公権力機関との癒着の温床に

また、再販制度は、新聞販売店を新聞社の下部組織としてコントロールする上で重要な制度である。再販制度が撤廃されて販売店相互が自由競争を展開すれば、販売網が崩壊するからだ。

NIEは、若年層に向けた新聞の有力なPR手段となっている。NIEが実を結び、現在の学習指導要綱(小・中・高校)には、授業での新聞の使用が明記されている。新聞を卓越した「名文」と位置づけて使用する。

さらに献金により、独禁法違反の「押し紙」の取り締まりを回避することで、新聞社が莫大な利益を得る構図がある。次の記事を参考にしてほしい。

【参考記事】「押し紙」を排除した場合、毎日新聞の販売収入は年間で259億円減、内部資料「朝刊 発証数の推移」を使った試算 

ここにあげた①から④の殺生権を政府などの公権力機関が握った場合、新聞ジャーナリズムに負の影響が生じることは言うまでもない。日本の新聞が政府広報の域をほとんど出ない最大の理由である。

新聞業界から政界への政治献金の提供は、両者の癒着関係を物語っている。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年1月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年冬号(NO NUKES voice改題 通巻34号)

藤原あらし初出場のNKBでメインイベントを飾る! 堀田春樹

◎喝采シリーズvol.7(FINAL) / 12月24日(日)後楽園ホール17:30~21:04
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

第16代NKBウェルター級王座決定4名参加のトーナメントは笹谷淳とカズ・ジャンジラが勝ち上がり、2月18日に王座決定戦で対戦となりました。

◆第12試合 バンタム級 5回戦

藤原あらし(バンゲリングベイ/53.4kg)96戦62勝(41KO)23敗11分
(藤原あらしは元・WPMF世界スーパーバンタム級チャンピオン)
      vs
NKBフライ級3位.則武知宏(テツ/53.2kg)18戦8勝(4KO)7敗3分
勝者:藤原あらし / KO 4R 2:02
主審:前田仁

グロッギー状態の則武知宏を首相撲から崩して倒にかかる藤原あらし
首相撲からアゴへヒザ蹴りをヒットさせノックアウトに繋げる藤原あらし

試合前の藤原あらしは「相手に何もさせない、藤原あらしを見せ付けます!」と笑顔でコメント。

則武知宏は「大物喰いします、藤原あらしを喰います!」という意気込み。
初回、互いの様子見から、則武知宏のわずかな迷いを読み取った藤原あらしはダッキングから組み付いてボディーへのヒザ蹴りから崩し転ばす戦法でスタミナを削りにかかった。

則武はパンチとローキック中心の手数で打開を試みるが、藤原の術中にはまり何度も崩され転ばされ、中盤には藤原は則武のスタミナ切れを確信し、第4ラウンド中盤、パンチから右ヒジ打ちで最初のノックダウンを奪う。

立ち上がった則武に首相撲を仕掛け引き倒すが、則武は力尽きてすぐには立てずノックダウン扱いとなり、最後はボディーからアゴへヒザ蹴り連打で3度目のノックダウンを奪った藤原のノックアウト勝利となった。

試合後の藤原あらしは「藤原あらしの世界を見せ付けることが出来ました!」と清々しい笑顔でコメント。

敗れた則武知宏の大阪テツジムの一生(イッセイ)会長が「5回戦の経験が少なかったことと藤原選手の術中に完全にハマりました!」とコメント。則武知宏にとっては、藤原あらしから得たものが沢山あっただろう。

勝利者となった藤原あらしを囲む陣営

◆第11試合 フェザー級 5回戦

WBCムエタイ日本フェザー級8位.TAKERU(GET OVER/56.7kg)
      vs
NKBフェザー級3位.勇志(テツ/56.9kg)
勝者:勇志 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:高谷45-50. 鈴木47-50. 前田45-50.

試合前のTAKERUは「前回のKNOCK OUTでの試合を反省し、スタイルを変えました。練習をして来たことを出して倒します!」とコメント。

勇志は「踏み台にします。試合を組んで貰えて嬉しい!」とコメント。

初回、TAKERUはローキックからパンチのコンビネーション、勇志はサウスポースタイルでパンチをヒット、時折ハイキックを出して行く展開で主導権を握る。

中盤には勇志のパンチの切れが増し、更に左ミドルキックをヒット。セコンドからも「右脇腹を狙え」という指示が何度も出るが、攻勢を強めるも攻めきれない。

額を切られたTAKERUの猛攻に打ち合う勇志

最終ラウンド、勇志はスタミナが切れつつも前進。TAKERUは的確なパンチで返していく中、勇志の右フックがTAKERUの額をカット。そして残り20秒で勇志の左フックが入ってTAKERUがノックダウンし、立ち上がるが時間切れ。勇志が判定ながら勝利を掴んだ。

試合後の勇志は、目に嬉し涙を浮かべながら、「踏み台にしました。有難うございます!」とコメント。「次は王座挑戦ですね。」と問うと、「そうですね。」と応える。イッセイ会長は「スカッと行けなかったけど勝ったから良し!」と笑顔で称えていた。

勇志の左フックが入って勝負を決定付けた勇志の雄叫び

◆第10試合 NKBウェルター級王座決定トーナメント準決勝3回戦

NKBウェルター級3位.笹谷淳(team COMRADE/66.45kg)
      vs
ゼットン(NK/66.35kg)
勝者:笹谷淳 / KO 2R 0:47
主審:高谷秀幸

試合前の笹谷淳選手は「年齢関係なくKO勝ちします!」と気合いが入ったコメント。ゼットンは「良い試合します!」と笑顔でコメントしました。

初回、笹谷淳が先に仕掛け、ゼットンが合わせていく形からラウンド半ばに笹谷の右ストレートに合わせたゼットンがカウンターの右ストレートが決まり、笹谷がノックダウン。ダメージは小さい様子で立ち上がった後、残り20秒で笹谷が右ストレートでゼットンからノックダウンを奪い返す。

逆転のノックダウンを奪った笹谷淳の左ストレート

第2ラウンド開始時、ゼットンはダメージが回復しきれず、笹谷の右ストレートが決まり、ゼットンは脆くもノックダウン。セコンド陣からタオル投入があり、笹谷がKO勝利した。

試合後、笹谷選手のセコンドに着いた釼田昌弘チャンピオンが笹谷選手に代わりコメントをし、「勝ってくれてホッとしました。良かったです!」と語った。

ノックアウトに繋げた左ストレートで確信のポーズをとる笹谷淳

◆第9試合 NKBウェルター級王座決定トーナメント準決勝3回戦

カズ・ジャンジラ(ジャンジラ/66.25kg)vs Hiromi(=田村大海/拳心館/66.3kg)
勝者:カズ・ジャンジラ / 判定3-0
主審:亀川明史
副審:前田30-27. 加賀見30-28. 高谷30-28.

試合前のカズ・ジャンジラは「圧倒的に勝つ!実力差を見せ付けてKOで勝ちます!」とコメント。一方のHiromiは「練習して来たことを出し、引退した兄(田村聖)やジム全員の気持ちを背負って頑張ります!」とコメント。

初回、Hiromiは体格差を活かして圧を掛けるが、カズ・ジャンジラは的確にパンチを当てていく展開で、終盤にはパンチとキックのコンビネーションはHiromiの動きを止めたものの、Hiromiは持ち堪えてパンチで返すが、流れを変えることが出来ず試合終了。カズ・ジャンジラが判定勝利。

試合後のカズ・ジャンジラ選手は「予告通り勝ちました。次回も同じように勝ちます!」と笑顔でコメント。

カズ・ジャンジラが飛びヒザ蹴りで圧力を掛けた終盤

◆第8試合 59.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級2位.皆川裕哉(Kick Box/58.85kg)
      vs
半澤信也(Team arco iris/58.85kg)
勝者:皆川裕哉 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:高谷30-26. 前田30-26. 加賀見30-26.

試合前の皆川裕哉は交流戦ということもあり、「ジャパンキック協会の代表として勝ちます!」とコメント。半澤信也は、「仕上がりはOKです。KOで勝ちます!」とコメント。

第1ラウンド開始早々は半澤信也の探りのパンチを皆川裕哉は鋭いパンチで返していく中、組んではヒジ打ちを入れていく。

第2ラウンドも皆川の切れのいいパンチに半澤は押され気味になり、皆川のヒザ蹴りでノックダウン。半澤は立ち上がるも劣勢は続き、第3ラウンド、半澤はクリンチから崩して皆川の勢いを削ごうとするが、皆川も応じてお互いが転ばしにいく展開。そして、後半に皆川が右ストレートでノックダウンを奪って大差判定勝利。

試合後の皆川裕哉選手は「勝ちましたが、相手は強かったです。次はジャパンキック協会のリングで派手に勝ちます!」とコメント。

皆川裕哉が打ち合いから右ストレートヒットで攻勢を強める

◆第7試合 59.0kg契約3回戦

NKBフェザー級5位.鎌田政興(ケーアクティブ/58.7kg)
      vs
田中大翔(不死鳥/57.7kg)5戦5勝(3KO)
勝者:田中大翔 / 判定0-2
主審:亀川明史
副審:高谷29-30. 加賀見30-30. 鈴木29-30.

試合前の鎌田政興は「コンディションは仕上がっているので勝ちたい。相手の田中選手はスピードがあるのでそこは警戒したいですが、自分のペースで勝ちます!」とコメント。

田中大翔は「初東京で初勝利を飾りたい、頑張ります!」とコメント。

初回、田中大翔はスピードを活かし小刻みにパンチとキックを出していく。鎌田政興は探りを入れながらヒジやパンチを的確に当てていくが、田中はクリンチで勢いを抑えにいく。

第2ラウンド半ば、鎌田の右ストレートで田中の動きが止まるが、第3ラウンドには田中が巻き返し、小刻みなパンチとストレートのコンビネーションで鎌田に対抗。田中のパンチが鎌田にダメージを与えていくが、ノックダウンは奪えず終了。田中の判定勝ち。

試合後の田中大翔選手は「勝ったのは嬉しい。これで調子に乗らず、反省するところは反省して次に活かしたい!」と真剣な表情でコメント。

◆第6試合 女子54.0kg契約3回戦(2分制)

Mickey(PIRIKA TP/53.9kg)vs アリス(チームプラスアルファ/53.05kg)
勝者:Micky / 判定3-0 (30-26. 30-26. 30-26)

試合前のMickey選手は「絶対に勝ちます!」と力強いコメント。Mickey選手の応援に来ているジム陣営の子供たちも「ミッキーお姉ちゃんが勝つんだ!」と振る舞う明るさ。

初回早々は距離をとっていたMickeyだが、アリスの出方を見極め、首相撲からヒザ攻撃で動きを止める展開。アリスはパンチを返すも状況を変えられず。

第2ラウンドには、Mickeyが執拗に首相撲からのヒザ攻撃を続け、アリスはスタンディングダウンを宣せられた。その後もMickeyの攻勢が続き、首相撲からのヒザ攻撃を主体にパンチも混ぜながら攻勢を続けていく展開で試合終了。Mickeyの大差判定勝利。

試合後のMickeyは「首相撲からのヒザ攻撃でダメージを散らしながらKOしたかったのですが、出来なかったのが悔しかったです!」とコメントをしたが、「子供たちの声援は聞こえましたか?」と問うと笑みを浮かべ「子供たちの声は聞こえました!」と応え、セコンド陣も「これからもレベルを上げていきます!」とコメント。先日の某女子チャンピオンの逮捕によって女子キックがイメージダウンした影響に触れたところ、「私が王者になり、女子キックのイメージアップをします!」と力強いコメントをしていました。

◆第5試合 ミドル級3回戦

鹿津真二(ハイスピード/72.5kg)
      vs
WPMF日本スーパーライト級8位.土屋忍(kunisnipe旭/72.35kg)
引分け 0-1 (29-29. 28-30. 29-29)

◆第4試合 65.0kg契約3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/64.8kg)vs YUYA(クロスポイント吉祥寺/64.95kg)
勝者:YUYA / 判定0-3 (27-30. 28-30. 28-30)

◆第3試合 ライト級3回戦

蘭賀大介(ケーアクティブ/61.23kg)vs 鷹也(ストライプル茨城/60.95kg)
勝者:蘭賀大介 / TKO 2R 0:43 / カウント中のレフェリーストップ

◆第2試合 女子56.0kg契約3回戦(2分制)

寺西美緒(GET OVER/55.85kg)vs 田中美宇(TESSAY/55.35kg)
勝者:寺西美緒 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

◆第1試合 バンタム級3回戦

笠見璃伊(team O.J/53.5kg)vs 雄希(テツ/52.9kg)
勝者:雄希 / TKO 2R 1:34 / カウント中のレフェリーストップ

《取材戦記》

先月の他団体の女子王者の逮捕は、女子キックボクシングの盛り上がりに水を差した感じになりましたが、今回の興行で、アリス選手に圧勝したMickeyという新たな有望な女子選手を観ることができました。首相撲は男子選手でもよく行われるものの、技術がないと観客は醒めてしまいますが、Mickey選手の首相撲は、飽きることなく観れるものでした。

そして、メインイベントの藤原あらし選手の“5回戦”の戦い方は則武知宏選手にとってとても良かったことだと思います。古くから藤原選手を知っている業界関係者は「さすがだなあ!」と感心していました。来年以降も出場して、若手の壁になって欲しいと思います。

興行前に、ツジ・ルイスさん、佑月さん、沖田やわさんの3人のラウンドガールにお話を聞くことができました。

ツジさんは「ゴングが鳴り、リングに上がり緊張はしますが、お客様を和ませ、メリハリをつける役割をしています!」

佑月さんは「初めてですが、お客様に満足して貰えるようにと意識しています!」

沖田さんは「リングに上がっている時間はアスリートとして集中しています!」と三者三様のコメントでしたが、三人からはプロ意識が伝わり、同時に選手だけではなくラウンドガールも熱い気持ちをもって興行を盛り上げる一員として戦っていると感じました。

最後は、子供たちの声援、存在は興行に欠かせないと感じたことです。Mickey選手を応援する子供達の「ガンバレー!」という声は、選手だけではなく、試合を盛り上げるものだと思いました。少子化とはいえ、キックボクシングの開拓に、“子供”というワードは重要だと改めて思った興行でした。(レポート:岩上哲明)

————————————————————————————

何気に加盟ジムが増えているNKB傘下の日本キックボクシング連盟。今年はTeam arco irisとチームジャンジラが加盟。ここ数年は他にteam COMRADE、team BRAVE FIST、T.Y.Tムエタイジム、TOKYO KICK WORKS等の加盟があった模様。“ジム”ではなく“チーム”と言うのが最近の傾向のようです。

更に藤原あらしの初出場。運営の新しい流れが一層進んでいる様子が感じられます。来年は野獣のように更に激しく進むのでしょう。

2023年の日本キックボクシング連盟初回興行は野獣シリーズとして2月18日(土)に後楽園ホールに於いて開催。NKBフライ級とウェルター級の王座決定戦が行われます。(堀田春樹)

2月18日に王座決定戦で対戦が決まった笹谷淳とカズ・ジャンジラ

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

《1月のことば》頑張れ自分 負けるな俺 鹿砦社代表 松岡利康

《1月のことば》頑張れ自分 負けるな俺(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

新しい年、2023年を迎えました。
昨年はいろいろな意味で暗い年でした。
昨年の今頃はまだウクライナ戦争は起こっていませんでした。
一国の首相が殺されるなどと誰が想像したでしょうか。
新型コロナの勢いは3年経っても衰えません。

ウクライナ戦争は、当初の予想に反し、まだ続いています。
いつこの国に飛び火するかわかりません。
かつて私たちはベトナム戦争に抗議の声を挙げました。
日本だけでなく世界中で抗議の声が挙がりました。
そうした抗議の声が続いたからこそベトナム戦争は終わり、
日本の平和も80年近く維持できていると思っています。
これからはどうでしょうか?

コロナ禍を躓きの石として私たちの出版社も、他の中小企業や書店などと同様苦しみもがいています。
もう17年余り前になりますが、『紙の爆弾』創刊直後の、「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧の時同様、皆様方のご支援でふたたび奇跡の復活に向けて苦しみもがいています。
おそらくコロナがなかったなら左団扇で社長交代もあったでしょう。
今は社長交代どころか生きるかくたばるかの瀬戸際です。

1月の言葉は別のものでしたが、急遽変更になりました。

「頑張れ自分 負けるな俺」

まさに今の私たちの心境を表わす言葉です。
みずからに更に鞭を打ち、この苦境を突破するしかありません。
本年もよろしくお願い申し上げます。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年1月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年冬号(NO NUKES voice改題 通巻34号)

ロックと革命 in 京都 1964-1970〈03〉仁奈(にな)詩手帖 ─ 「跳んでみたいな」共同行動 若林盛亮

◆“Smoke Gets In Your Eyes”の夜

ビートルズ脳天直撃に始まった17歳の無謀な決心「ならあっちに行ってやる」も「夢見る時代」は私の十代と共に終わった。でも“しあんくれ~る”で燻ってるだけの二十歳、その私の前にポッと現れた「作家志望の詩人」、フランセで「私も跳んでみたいな」ともらした彼女、「思ったより簡単じゃないよ」と応じた私に「簡単じゃないからいいんじゃないですか?」 さらり反問してきた立命文学部女子。

「思案に暮れる」二十歳の空虚の雲間に射し込む一点の陽(ひ)? 心強い「同伴者」出現? いま思えば、そんな出会いだった。

この「ニーナ・シモンの取り持つ奇妙な縁」の翌日、私はいつもの時間帯に“しあんくれ~る”のドアを開けるとすでに「詩人」が私の定番席にご座席。

「昨日はどうも」と彼女、「大丈夫やった?」と声をかける私に「昨夜はご迷惑かけてごめんなさい」ともうふだんの真面目な女子大生風に戻っていた。昨夜の泥酔気味は二日酔いの痕跡もない、この方はつくづくお酒に強い人だと再認識。

昨日の余韻のままに二人でリクエストのニーナ・シモンに聞き惚れた後、店を出るや「私のアパートに行きません?」と誘われた。昨晩、タクシーで送り届けた時に「遅いから泊まっていってもいいですよ」との好意を断った手前もあって「そやね、じゃあ」と彼女の誘いを受けた。

正直言えば、フランセで「跳んでみたいな」と言った彼女に「じゃあ跳んでみる?」とハイミナールを勧めたのが私だったから「泥酔させる目的でドラッグを飲ませた」などと変に誤解されてはと昨晩は「詩人」のせっかくの好意をあえて断った。でも結果的にはそれがよかったのだろう。

途中、夕食代わりの餃子を買ったりして30分ほど歩いたが、彼女の学生アパートは京大のすぐ近くだった。簡単な自炊のできる流しもある6畳余りの部屋には広げればベッドにもなる折り畳み式ソファーがあり、アンプとスピーカー、ターンテーブル各独立、私なぞ「高嶺の花」のトリオ社製小型オーディオセット、レコード立てにはヴォーカル系LP多数、学生下宿というより富裕家庭子女の小綺麗な「お部屋」。

夕食は餃子&彼女が冷蔵庫から取り出したジンと氷でジン・オンザロック。「ハイミナールにお酒はヤバイ、昨日みたいになるよ」と忠告しても「一杯だけならいいでしょ」、酒豪と付き合うのは大変。恵まれて育ったせいか何事にも屈託がない。

簡単な夕食を終えて「詩人」が「ちょっとこれ見ていただけません?」とノート2冊を持ってきた。どうやらこれがアパートに誘った目的らしい。文学門外漢の私はちょっとびびったが、ボブ・ディランの歌詞がいいというくらいはわかる。

ノートに雑然と、しかしきれいな字体で書かれた詩、門外漢が見ても引き込まれる彼女の詩の世界がそこにはあった。「イメージの言語化」、そう彼女の言うノートの詩は難しく考えなくても感覚が自然に反応するような感じ、自分の想いを伝える無駄のない選ばれた日本語が独特のリズムを持って躍っている。

なかでも「ほおっ」と思ったのが“3センチ-あなたとわたしの距離感覚”と題した詩。

彼女の言うには、女性が口吻を受け入れるかどうかの目安、それは「3センチ」という距離、3センチまでの接近を許すということは口吻を受け入れる意思表示。セックスは肉体的欲望のみでも可能だが口吻は違う、それは互いの魂の接近、触れあい、とても素敵な人間的行為なのだというのが彼女の持論、単なる恋情を謳ったものじゃない。「3センチ」という長さの尺度を魂の触れあう人と人との距離感のイメージに換える、そんな「詩人」の言葉の魔力に惚れた。

「なんで口吻は魂なんやろ?」の私の問いに「まあ脳に近いからじゃないんですか」という彼女の即答もカッコイイ、この方はやっぱり「詩人」! そう思った。

「これ詩集にしたらエエんとちがう? ゼッタイいいよ」と迷わず私が言った。当時、新宿などの街頭で手作り自作詩集の立ち売りをやっているのを知っていたから「貴女の詩にはやってみるだけの価値がある」と私は断言した。

「ええっ、ホントですか」……「よお~し跳んでみるかぁ」! 「詩人」の心に火がつき始めた。 

「詩集にイラストを入れよう」と言うと、「えっ、絵が描けるの? そりゃ面白そう」とますます前のめり。

こうして自作詩集の共同制作即決! 

それはなにか行動を渇望していた私には願ってもないことだった。やりたいのは私の方だったのかもしれない。

あの夜、部屋に流れていたプラッターズの歌う「煙が目にしみる」、“Smoke Gets In Your Eyes”という英語歌詞が妙に胸にしっとり沁み入ったことを覚えている。この歌詞の意味するところとは違う意味で「涙がにじみそう」、ちょっと大げさだけれどようやく「長いトンネルを抜け出せる」予感のようなもの、きっとそうだったと思う。

昨日、出会ったばかりなのにトントン拍子に進む思いがけない展開、決してドラッグやお酒の勢いばかりではなかった。「ならあっちに行ってやる」と「跳んでみたいな」の二つの想い、魂の接近!?


◎[参考動画]Platters – Smoke Gets In Your Eyes

◆その名は「仁奈(にな)詩手帖」

ほんの思いつきだったのにもう二人の既成事実になってしまった詩集制作。自主企画、自主制作、自主販売、すべてを自分たちで! 素敵なプロジェクト始動。

「企画立ち上げ」の夜以降は、彼女のアパートが編集会議室兼印刷所になった。

詩集はガリ版印刷とする、ワープロもプリンターもない当時は文字通りの手作り。イラストを入れる以上、青、黒、赤の3色インクのカラフル印刷に。学生運動のアジビラみたいなザラ紙じゃなくアート紙にすべき、A4用紙を半分に折ってきちんと製本する。「貴女の詩は高品質」、だからやるからには最高のものを!

謄写版印刷に必要な機資材は可能な限り立命友人のサークルから借り、不足分は自費購入。「お嬢さん詩人」にお金の心配はない。 

まずはどの詩を採用するか? これは作者自身の選択任せ、私は読者の立場で「いいんじゃない」「う~ん」の反応で選別。表紙のデザインと詩を飾るイラストは私に一任。

肝心要の詩集のタイトルをどうするか? これには二人とも頭をしぼった。

私は「貴女のデビュー作だから貴女の名前を冠するべき、バンドのデビュー・アルバムみたいに」と提案。ところで貴女の名前は何だっけ? その時、互いに名前を知らなかったことに気が付いた。「そういやあそうでしたよねえ」と彼女も笑った。いままで互いに名前も知らずに会話していたことがとても可笑しかった。

 
私の憧れの画家モジリアニの純愛妻、同志であるジャンヌ・エビュテルヌの肖像画

当時“しゃんくれ(しあんくれ~る)”仲間の間では実名、出身、経歴など昼間の世界を無視するポリシーから互いに「呼び名」を通称とした。私は、真ん中分け長髪、ワシ鼻という風貌からアパッチ族の酋長“ジェロニモ”になぞらえて“ジェロさん”が通称だった。貴女もなにか呼び名を考えようとなって思案のあげく「二人を取り持つ縁」のニーナ・シモンにちなんで“ニナさん”に決めた。「カタカナじゃなにか着心地が悪いですね」という「詩人」が考えたのが漢字表記“仁奈さん”。

表紙タイトルは当時、「現代詩手帖」という詩の雑誌名がカッコよかったのでこれを借用して「仁奈詩手帖」はどう? 作者も「うん、いい感じ」でタイトル決定。

表紙を飾る絵は私の憧れの画家モジリアニの純愛妻、同志であるジャンヌ・エビュテルヌさんの肖像画、裏表紙には二人の恩人ニーナ・シモンのアルバム“Nina At The Village Gate”にあるご本人のイラスト画をワンポイントで小さく入れる。

表紙に作者「仁奈」と共にイラスト担当「Jero」の名前併記は彼女の心優しい配慮。

こうして「仁奈詩手帖」編集会議は結束、新しい船出は準備完了。ああでもない、こうでもないと何日も議論に熱中したのは私には久しぶりの快感だった。

◆「新宿が京大にやってきた」作戦

印刷、製本作業をやるのに私はイラストのモデル用にモジリアニ画集とトリオの高音質オーディオセットで聴くためのロック系レコードを部屋に持ち込んだ。「詩人」は「ボブ・ディランがいいですね」と“朝日のあたる家”や“Like A Rolling Stone”、“Just Like A Woman”を好んで聴いた。モジリアニ画集から選んだジャンヌさん肖像画も「強くてきれいな人、とても素敵な女性」と気に入ってくれた。


◎[参考動画]「朝日のあたる家 The House of the Rising Sun」アニマルズ、The Animals


◎[参考動画]Bob Dylan – Like A Rolling Stone

実際の作業に入るとけっこう難しいことがわかった、でも「簡単じゃないからいいんじゃないですか」。

A4用紙一枚の裏表に4つの頁を印刷するから原紙のカッティングも印刷もとても複雑。そのうえイラストを2、3色にすると同じ絵を色分けした部分別に絵を描き、別々に印刷してもピタリ一枚の絵に合うように違う原紙にカッティング、まるで浮世絵版画制作のような作業。これには私も苦労した。文字は彼女がカッティングした。

カッティングと謄写印刷に手間取り、かれこれ1ヶ月弱ほどかけて詩集は完成した。製本の出来栄えは上々、「やったね」と二人はにっこり。

さてお値段はどうしよう? 「高品質詩集」にふさわしい価格としてEP盤レコード(4曲入り)のお値段、たしか¥450に。学生街のコーヒー6、7杯分だからけっこう高価、「高くても買いたい」という人に読んでもらう。あえてハードルを高くした。

そいで販売拠点をどこにする?

京都には新宿のような「若者の街」はないよなあ。でも学生は多い、ならどこの大学にする? あれこれ考えてここからも近い京大キャンパスにした。立命や同志社は知り合いも多いからコネでも売れる、でもそれじゃ面白くない。あくまで「詩の価値」で売るのが「仁奈詩手帖」の販売ポリシー。京大なら「知的レベル」も高い、勉強ができる=文化力が高いとは限らないけれど、「京大学生の文化レベル」に期待しようということで意見一致をみた。

販売担当は仁奈さん、自作詩集の立ち売りだから本人がやるべき。横に男がいると販売実績が落ちるというせこい打算もあったのは事実。仁奈さんの立ち売りで「新宿が京大にやって来た」というイメージにする。(実際はベンチに腰かけ、折り畳み机持ち込み)

実は最初の企画会議の夜に「詩人」のヒッピー風改造も議題になった。

私は「“跳んでみたいな”をやるんやから貴女自身も変えよう」と真面目な女子大生風改造を提案。彼女のヘアスタイルはひっつめ髪を拘束から解き放ち真ん中分けのロングヘアーに、地味ファッションも「跳んでる」風にカッコよく決めるべしと提案。躊躇するかと思った「お嬢さん詩人」、意外にも「そりゃそうですよねえ」と同意。ドラッグとお酒の勢いはあったと思うが決断が早い、それは「詩人」の決意表明でもあったと思う。

こうして「新宿が京大にやって来た」作戦に挑戦。

時期は夏休み前の頃だったと思う。彼女が主役、タバコもぱかぱかふかして「ヒッピーぽい女」を演じる。こうしたことは初めての「詩人」にはちょっと勇気が必要。私は側面サポートに徹する。

どれだけ売れるか心配だったけれど蓋を開けてみれば結果は大成功! 50冊ほどの詩集は2、3週間で完売。

ナンパ目当ての男もいたらしいけれど女子学生もけっこう買ったという。例の“3センチ…距離感覚”の詩なんかがいいと言ってきた京大文学部女子と話が弾んだというからこれはホンモノ。収入は2万円超、当時の大卒初任給が3万円ほどだからかなりの額、仁奈さんの詩の価値が世に認められた最高の証。

作戦終了後、歓喜の祝杯をあげたのは言うまでもない。「カンパ~イ」の達成感は「詩人」だけでなく私のものでもあった。共同作業が運命共同体みたいな絆になったのは確か。

ニーナ・シモンの取り持つ奇妙な縁は、私の「ならあっちに行ってやる」、彼女式には「跳んでみたいな」実践へとこんな形で大きな一歩を踏み出させてくれた。ささいな一歩だけれど、あの時は「一歩」が重要だった。

二人でやれば怖いものはない、それは大きな自信になった。(つづく)


◎[参考動画]Nina Simone – Antibes – Juan-Les-Pins – 1969

若林盛亮さん

▼若林盛亮(わかばやし・もりあき)さん
1947年2月滋賀県生れ、長髪問題契機に進学校ドロップアウト、同志社大入学後「裸のラリーズ」結成を経て東大安田講堂で逮捕、1970年によど号赤軍として渡朝、現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)
『一九七〇年 端境期の時代』
『紙の爆弾』と『季節』──今こそタブーなき鹿砦社の雑誌を定期購読で!

戦争に堕ちてゆく日本 田所敏夫

日本が本格的に堕ちてゆく。実際の戦争へ向かって堕ちてゆく。来年なのか、再来年なのかもう少し先なのかはわからない。けれども、「そんなことはあるはずがない」と反論できる論拠が、残念なことに、日ごと失われてゆく。

「人間は戦争好きで、破滅願望の強い生物」であることは、歴史が証明している。にしても、人工知能(AI)と名付けられた集積回路の集合体が、人間になり代わり「判断の代行業」にいそしむ今日にあっても、「戦争好き、破滅願望」の方向性の修正は行われない。むしろ無機的な判断の蓄積は、好戦的世界をこれまで以上に加速させているようである。

◆ロシアのウクライナ侵攻と日本の防衛費倍増

ことし、世界は極めて古典的な形の戦争を目撃した。二進法が席巻した現在、ひとびとは以前にもまして、善悪・正邪の単純な二分法を求める傾向を強めたようだ。ロシアを「絶対悪」ウクライナを「被害者」と定めてのプロパガンダが日常を席巻した。ロシア政府の侵略が犯罪的であり、ウクライナ市民が被害者であることは間違いない。けれども、12月21日ウクライナのゼレンスキー大統領による米国連邦議会での演説は、はからずも人間の「戦争好き、破滅願望」の本性を再度証明し直すだけではなく、この戦争の本質が米国(=NATO)の利益と合致することを具体的に示し尽くした。

世界で一番戦争が好きな国の議会で、ゼレンスキーが「クレムリン打倒宣言」や「イランの危険性」を語り「ウクライナへの支援は寄付ではなく投資だ!」と書かれた原稿を読み上げる節々に、スタンディングオベーションが連発する。世界中の反戦DNAを持つひとびとは、あの光景に寒気を感じたか、あるいは途中で画面を見ることを止めたかもしれない。


◎[参考動画]ゼレンスキー氏、米連邦議会で演説 支援は慈善ではなく投資だと(BBC)


◎[参考動画]ウクライナ侵攻部隊への兵器供給加速を指示 プーチン大統領「資金に制限はない」(TBS)

こんな具合に人間が「愚か」であることを、第二次大戦の敗戦で、日本は思い知った。だから「戦争放棄」を小学生でも理解できる明確さで憲法に刻み、不戦を国是とした。その「憲法を変えたい」と岸田は総理大臣就任演説で語った。さらに何がどう関係するのかわからないが、原発の再稼働も進めるといった。

あっというまに岸田は防衛費の倍増に言及しだした。「敵地攻撃能力」、「反撃力」のために、米国から大量の中古武器(巡航ミサイル「トマホーク」)の購入を予定している。

米国からの中古武器はローンで購入しているがその額は過去の残高を併せて10兆7174億円で、新規分が7兆6049億円に上る。来年度予算は総額114兆円だが社会保障費の32.3%につぎ「軍事費」(防衛費)が5.9%(6兆8千億円)で公共事業費の5.3%を超えている。この予算はどう見ても「戦争に向けた」準備としか考えられない。食品価格が上昇し庶民の生活は、確実に苦しさを増す中、大軍拡予算が準備されている。

参議院選挙で、「軍事費倍増」などの公約が自公政権の政策だと掲げられたことがあったか。岸田の暴走に対して、野党は最後まで抵抗するだろうか。議論されることもなく、おそらくは野党の抵抗も限定的で、予算はおおかたこの形のまま成立するのではあるまいか。そもそも自公と根本理念を異にする「野党」が無いじゃないか。


◎[参考動画]防衛費「5年間で43兆円」 岸田総理が指示 “1.5倍超”の大幅増(TBS 2022年12月6日)


◎[参考動画]岸田総理“防衛費増税は総選挙後”と強調(TBS 2022年12月28日)

◆要するに、この国は嘘つきだ

絶望時だからこそ、もう一度以下の文言を確認したい。

日本国憲法第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

日本で義務教育を受けたひとは、みな知っている憲法9条だ。

この文言のどの部分を、どう解釈すれば自衛隊が認められるのか。わたしは、そのことを疑問に思い、「おかしい」と感じてきた。わたしが生まれたとき、既に自衛隊は設立されていた。小・中学校で日本国憲法をおしえられたのち、「どうして自衛隊があるのか」が、不思議で仕方なかった。80年代中盤「日本列島を不沈空母にする」と発言した中曽根政権時代に高校・大学生として社会的問題に関心を持つようになり、

「要するにこの国は嘘つきだ。基本法の憲法すら守らないのが日本。法治国家の体をなしていない」

との結論に至った。やがて自衛隊はPKOに参加するは、イランに派兵されるは、はては集団的自衛権まで認める法律が強行されるといった、一連の成り行きを見れば、「いずれ日本はあれこれ理屈をつけて再び戦争に堕ちてゆくだろう」と嫌な予感を抱いていた。

憲法を守らない政府が支配する国で、最低限、公平公正な司法が機能するだろうか。わたしにはそんなことが可能だとは思えない。行政も司法も、憲法不全の国では歪(いびつ)であって当然だろうが。

「自衛隊は明確に憲法違反である」こんな簡単な、しかし重要な矛盾を軽視してきてきたから、こんにちのような暴政がまかり通るのだ。


◎[参考動画]「日本国憲法」全文《CV:古谷徹》

◆憲法が機能しない国家は近代国家ではない

人間は本来、悪気がなくとも、気ままでわがままだ。だから法律を作って許容される行為とそうでない行為を決める。人間の集合体が構成する「国家」は、さらに曖昧模糊とした、本当にあるのかないのか、すら怪しい代物だ。人間以上に暴走したり、乱暴を働くのが歴史上「国家」の本性であることから、近代国家では「国家を縛る法律」として憲法が準備された。よって憲法が機能しない国家は近代国家ではない、との換言も可能である。そういう情けない国にわたしたちは生きているのだ。そのことを徹底的に突きつけられたのが2022年の結末である。

他国との関係性が悪化すれば、話し合いで問題解決を図るのが政府の役割(外交)の役割だろう。その回路が破綻したときに戦争が立ち上がる。近年、日本の外交はどうだろうか。経済的には輸出入とも相当程度を依存しているくせに、中国との関係を意図的に悪化させてきてはいまいか(中国の国家体制や民族問題について、わたしは大きな疑問をかねてより持っている。その問題は過去少なくとも30年変わっていない。だから最近の日本政府による対中国政策が理解できない)。

朝鮮民主主義人民共和国とは、まだ国交すら開けていない。同国は「身内による独裁政治が続いている」との批判が多いが、なら日本で岸信介―安倍晋太郎―安倍晋三と三代にわたる政治家が権力者であった事実は、どうして無視されるのか(この家系だけでなく自民党政治家の3割は世襲議員であるし、岸田も世襲議員だ)。青いバッチを岸田をはじめとする多くの与野党国会議員が、気軽に身に着けている。連中は拉致被害問題同様、朝鮮民主主義人民共和国には、まだなされていない、日本の植民地化への賠償をどう考えているのだろう。

「嫌韓本」が本屋に山積みされ「日本のここが凄い」、「日本に生まれてよかった」という、勘違いも甚だしいナルシズムに浸っているあいだに、日本は韓国に賃金労働者の平均給与を追い抜かれた事実を「この国に生まれてよかった」群のひとびとは、知っているのだろうか。

日本政府が喧伝するほどに、近隣諸国が日本に対して軍事的脅威を強めていると、わたしには到底思えない。むしろ日本のメディアが過剰に近隣諸国をネガティブに報じ、政府の外交失敗の尻ぬぐいをしていることに幻惑され、多くのひとびとが騙されているのではないか。

◆安倍政権を検証する

安倍晋三とウラジミール・プーチンの関係を想起してほしい。自分の故郷、山口にまで招き友人のように遇していた両者なのに、ロシアがウクライナに侵攻すると、安倍は自分とは全く無関係なように口を極めてプーチンを攻撃したではないか。なら聞きたい。安倍政権時にロシアに対して行われた経済援助を安倍はどのように説明するのか。


◎[参考動画]山口県での日露首脳会談―2016年年12月15日

つまり、日本(だけでなくどの国でも)が武装を強めれば強めるだけ、近隣諸国だけではなく、国際的な緊張は高まるのだ。日本は憲法が定める通り、非武装(自衛隊を解消して)で米軍の基地も撤退させる。一度憲法上定められた、本来の初期値に戻したところからしか将来の姿を語ることは出来ないはずである。「自然災害時に自衛隊が必要」と主張する意見は間違いで、自然災害には専門的に対応する「災害救助隊」を創設すればよい。「災害救助隊」に武器は不要だ。

このように主張すると「非現実的だ」、「他国が攻めてきたらどうする」と突き上げを食らう。でもウクライナでわたしたちが確認したことを直視しよう。「いったん戦争がはじまってしまえば、ルールも倫理もすべてが度外視され、狂気が覆いつくす」。それ以上でも以下でもないだろう。だから、戦争を絶対に回避しないと、未来はないと日本国憲法は至極明確で、当たり前な道理を掲げたのである。

歴史的到達点として、至極当たり前な道理から、愚かにも現実を遠ざけていったのは、歴代の自民党を中心とする政権だ。また本気で抵抗しなかった野党も責任を逃れない。今日平然と「産学協同」に身を沈めて恥じないアカデミズムも徹底的に糾弾される必要がある。「産学協同」を売り物にする大学などに存在価値はない。マスメディアは権力の拡声器でしかなく、御用組合の代表格「連合」は、もはや存在自体が悪といってよい。

◆2023年に希望はない

2023年に希望はない。戦争と破滅へ入場門がいよいよ見えてきた。

あなたはどうする? それが問われている。かすかにわたしを勇気づけてくれるのは、こんな時代になる前からずっと、一貫して戦争に反対し続けてきた、優れた先達たちの思想と意思そして存在だ。はっきり言おう。若者には何の期待もない。期待するだけ気の毒な環境で彼らは育ってきたのだから。

もう見たくない、聞きたくない、関わりたくない、書きたくない……。逃避衝動は魅惑的だ。でも、わたしは来年も書き続けようと思う。心ある読者諸氏と、ともに闘う。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。著書に『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社)がある。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学 消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY007)
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年1月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年冬号(NO NUKES voice改題 通巻34号)

ピョンヤンから感じる時代の風〈14〉地域第一主義を掲げた「地方から日本を変える」闘いが問われている 魚本公博

12月23日、政府は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を閣議決定した。総合戦略は、6月に岸田政権が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」で「4つの柱」の一つとされた「デジタル田園都市国家構想」の数値目標と工程表を5ヵ年計画として定めたものである。

そこでは、実装自治体1500、「デジ活」中山間地域150地域、移動サービス100ヶ所以上、東京圏からの地方への移住者、年間1万人などを挙げ、それらを27年までの5年間で国の交付金を活用して実現するなどを中心に事細かく目標を挙げている。

総合戦略の趣旨は、日本は世界に類を見ない急速なペースで人口減少・少子高齢化が進行しており生産年齢層も減少しているが、東京圏と地方との転出均衡達成目標はいまだ達成されておらず、地方の過疎化や地域産業の衰退等が大きな課題となっているとしながら、デジタルの力によって地方創生の取り組みを加速化・深化させ、それが地方から全国へのボトムアップの成長に繋がっていくとし、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指すというものだ。

果たして、それは、どういうものなのか。それによって本当に地域問題が解決されるのか、何が問われているのか、それを考えてみたい。

◆米国への日本の統合のための「デジタル田園都市国家構想」

「デジタル田園都市国家構想」の最大の問題点は、これによって、地方の米国への統合が決定的に進むということである。

今、米国は新冷戦戦略とも言うべき覇権回復戦略を展開している。中国、ロシアを敵視し、西側陣営の力を米国の下に結集するという戦略である。その戦略の下、日本を米国に統合する政策が進んでいる。「デジタル田園都市国家構想」は、日本のすべてを米国に統合するという米国の要求の下、地方から日本を米国に統合するものとしてあるのではないか。

その手段が「デジタル」である。地方のデジタル化は米巨大IT企業であるGAFAMの下で行われる。デジタル化において、成長エンジン、生命とされるものがデータである。それ故、世界各国はデータ主権を唱え、データを守り、保護することを重視している。しかし日本は、自らデータ主権を放棄している。TPP交渉の過程で「国境をまたぐデータの自由な流通の確保、国内でのデータ保存要求の禁止という原則」を受け入れ、2020年1月には、それを「日米デジタル貿易協定」として締結している。

データを集積利用するクラウドも、アマゾンの「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)とマイクロソフトの「アジュール」を使う3社で60~70%のシェアを占め、NTT、富士通、NECなどの日本勢はシェアを落とし排除・駆逐されている。

2021年9月1日に発足したデジタル庁はプラットフォームとしてアマゾンのAWSを使用しており、それに基づき、米国ITコンサルティング会社のアクセンチュアが「全国共通のプラットフォーム」を作っている。

米国仕様で統合されたデジタル化によって、全ての地方・地域が丸ごとGAFAMの管理下に置かれる。個人情報だけでなく、自治体自体の情報、企業の情報が丸ごとGAFAMに管理される。そうなれば、自治体だけでなく地域産業、地域住民のすべてが米国に管理されるようになる。

◆地域自治体の解体と自治の否定、地域住民主権の剥奪

こうしたGAFAMによる管理によって、日本の地方・地域はどうなるのか。

先ず、基礎自治体である市町村の多くが見捨てられ切り捨てられる。

元々、自民党政権での地方政策は、「全ては救えない」として、中核都市を中心にした都市圏(圏域)を作り、そこにカネ・モノ・ヒトを集中させ、他は切り捨てるという「連携中枢都市圏構想」なるものであり、その下で、人口が1000万減少する2040年までに自治体職員を半減させ、公共サービスを民営化するという「自治体戦略2040構想」などの政策が立てられてきた。

「デジタル田園都市国家構想」は、こうした考え方に沿って、デジタル化で、それを促進するものになる。今回、閣議決定された総合戦略では、デジタル実装の自治体1500になっているが、その直前の骨子案では1000になっていた。今、基礎自治体の数は1727団体なので半数は見捨てるということだったが、反発が強くて1500にしたのだろう。しかし、弱小自治体は切り捨てるという思考は変ってはいない。交付金を減らすことで、多くの基礎自治体が切り捨てられていくだろう。まさに、それは堤未果さんなどが指摘する、自治体解体である。

そして何よりも問題なのは、自治体の民営化であり、これによって、住民自治・地域住民主権が剥奪されることである。

これまでも水道や空港、公営交通などの分野で外資に運営権を譲渡するコンセッション方式などで民営化が進められてきた。しかし、「デジタル田園都市国家構想」では、自治体そのものの民営化が目論まれている。

総合戦略では、1000のサテライトオフィスを置き、ハブとなる経営人材を100地域に展開する、などの施策を挙げている。それはGAFAMやその系列のコンサルティング会社や経営人材が地方を経営するためのものとなろう。

こうなれば、自治体活動そのものが少数のデジタル・マネージャーによって企画立案され執行されるようになる。まさに維新が「政治に会社経営の手法を持ち込む」とした政策の全国展開である。こうして議会は形骸化し、自治体職員も大幅に削減され、地域住民は只サービスを受けるだけの存在に、デジタル管理の対象者、隷属物にされてしまう。

今、解決すべきは、本当に地域を維持し振興させることである。そのためには、地域住民が主体となって自治体、地域産業をも巻き込み、地域全体の力で取り組まなければならない。多くの自治体を解体するばかりか、自治体を企業運営し、それをGAFAMやその傘下のコンサルティング会社や経営人材に任せるやり方では、米国企業の利益になる事業はやれても真に地域を振興させることなどできない。

◆問われる「地方から国を変える」闘い

岸田首相は「デジタル田園都市国家構想」について所信表明演説などで「このデジタル化は地方から起こります」と述べている。それは米国の意図が「地方から日本を変える」ものだからだ。

米国が日本を統合する上で障害となるのは、国家としての秩序、それを法的に保障する諸規制である。それを一挙に撤廃することは困難である。そこで地方から風穴を空ける。事実、安倍政権は、「岩盤規制に風穴を空ける」として、「特区」形式で、それを実現しようとした。

総合戦略では、安倍政権の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を「デジタル田園都市国家構想総合戦略」に衣替えするとしているが、それは特区だけでなく全地方で徹底した規制緩和を行うものとなろう。

総合戦略は、地方・地域全般の行政手続きの様々な規制を撤廃するとしており、水道業、建設業などの資格を緩和し、自治体ごとに存在する諸規制を「ローカルルール」として見直すとしている。

こうして地域から諸規制を撤廃し、それをもって国の諸規制をも撤廃していく。こうして日本の国としての秩序を破壊し、統合していくということである。

それを地方から行うのは、それがやり易いと見ているからである。それを岸田首相は「地方にはニーズがあります」と言う。しかし、地方の諸問題は、歴代自民党政権、とりわけ安倍政権時代の地方政策の結果なのであって。それを逆利用して「地方にはニーズがある」などと言うことは許せない妄言だ。

対米追随政治の果てに、地方を米国の管理下に置き、地方から日本を統合一体化するような現政治を何としても変えなければならない。米国とそれに追随する政権が「地方から国を変える」と言うなら、地域住民主体の「地方から国を変える」闘いが切実に問われていると思う。

◆自分の地域第一主義の台頭

市町村などの基礎自治体は、暮らしに直結する地域住民の生活の基本単位だ。その地方自治体が安倍政権の新自由主義改革で衰退市、更には岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」によって、自治体解体が進み、自治体民営化によって地方自治・地方住民主権が剥奪されようとする時、地域の主権者である地域住民が主体となって、自分たちの地域を守ろうとする動き、地域第一主義とも言うべき動きが起きるのは必然だ。

維新による大阪市廃止を巡る住民投票で大阪市民がノーを突き付けたように。6月の杉並区長選挙では、民営化に反対しコモンを追求する岸本聡子さんが当選した。12月には尼崎市長選で維新市長の誕生を阻止した、などなど、自分の地域を守る動きが各地で見られるようになった。

 
魚本公博さん

これから益々生活苦は深刻化する。それにもかかわらず、岸田政権は、軍事費増大と反撃能力強化を閣議決定した。そのために27年度までに43兆円を確保するとしており、更により多くの軍事費増大を目論んでいる。その財源には各種増税、後の世代に借金を背負わせる国債などが言われているが、軍事費以外の歳費削減も行われるだろう。社会保障、福祉だけでなく、教育、医療、文化分野の予算も削られる。そして地方交付税も。こうなれば、市町村という基礎自治体の大部分は、やっていけなくなる。

米国とそれに追随する政権によって、地域の破壊は更に進む。こうした中で、命と暮らしを守るために地域を守るための自分の地域第一主義への希求は強まる。それが全国各地に拡大し、自国第一主義に結合していけば、この国は変る。

来年は、4月の統一地方選があり、解散総選挙もありうる。こうした中で既成政党に頼らない地域住民主体の自分の地域方第一主義が大きなうねりになることを大いに期待している。

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼魚本公博(うおもと・きみひろ)さん
1948年、大分県別府市生まれ。1966年、関西大学入学。1968年にブントに属し学生運動に参加。ブント分裂後、赤軍派に属し、1970年よど号ハイジャック闘争で朝鮮に渡る。現在「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『一九七〇年 端境期の時代』
『抵抗と絶望の狭間~一九七一年から連合赤軍へ』