『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』をお届けするにあたって

『季節』編集委員会

私たちの出版活動、特に『季節』をご支援、ご支持される皆様──

『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』がようやく完成いたしました。当初の目論見に反し編集に苦戦、発行が遅れ、ご心配をおかけしました。

印刷所から届いたばかりの『3・11の彼方から』

予想以上に難産でした。しかし、後々に残る立派な本になりました。

本書は、わが国唯一の脱(反)原発情報誌『季節』(前身の『NO NUKES voice』含む)創刊10周年記念事業として企画されました。

当初一巻本として、約400ページで出版する予定でしたが、編集の過程で、収録し後世に残したいものが数多あり、結局608ページで、それも三巻に分けて出版することになりました。史料としての価値も大いにあるものと自負しております。

『季節』は、『NO NUKES voice』の名で2014年8月に創刊いたしました。当初編集長は発案者の鹿砦社代表・松岡が務め、その後、小島卓が引き継ぎ、また誌名も『季節』に改題し現在に至っています。

創刊時、まだ3・11から年月もさほど経っておらず脱(反)原発の機運が盛り上がり国会周辺には多くの人々が結集し抗議の声を挙げていましたが、徐々に減っていき、今はほぼなくなりました。

また、創刊号から小出裕章氏ら錚々たる方々にご協力、ご寄稿賜りながら、私たちの営業力不足で実売的には苦戦し、残念ながらいまだに黒字に転じていません。当初は鹿砦社の景気も好況で、本書の赤字は会社の利益で消していましたのでよかったのですが、多くの企業のように新型コロナ以降、一転不況になり、そうもいかなくなりました。

新型コロナというパンデミックの襲来もありましたが、福島の悲劇の記憶はなしくずし的に風化しようとしています。遺憾なことです。

『季節』の今後につきまして、気分的には発行継続の方針ですが、現実問題としては資金的に困難な情況であることを隠しません。皆様方のご支援をお願いする次第です。まずは本書を一冊買ってご支援ください!

そして、どうか紐解いていただき、気に入れば周囲の知人、友人の方々にもご購読をお薦めいただければ幸いです。

本書vol.2は来年前半、vol.3は来年後半の刊行予定です。ご予約を入れておいていただければ助かります。

まずは『3・11の彼方から』完成のご挨拶にて失礼いたします。今後共『季節』、及び鹿砦社の出版活動をご支援、ご支持お願いいたします。

[A5判、本文608ページ、カバー装、限定500部、定価4950円(税込み)]

Ж お申し込みは、Amazonなどネット書店、最寄りの書店、または直接鹿砦社
本社 j-info@rokusaisha.com まで。

鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new&bookid=0

2025年9月  
『季節』編集委員会  
株式会社 鹿砦社

《書評》野田正彰著『流行精神病の時代』 評者:黒岩秩子

黒岩秩子(くろいわ・ちずこ。社会福祉法人理事長。元参議院議員)

すごい本でした。

優生保護法によって、不妊手術をさせられた人が原告になった裁判で、勝訴した。ところが、この不妊手術をされた人の85%が精神障がい者であるにもかかわらず、原告の中には、精神障がい者はいなかった。

1950年ごろに東京都立松沢病院で、「臺実験」(うてなじっけん)と呼ばれる人体実験があった。ロボトミー手術をした人の脳を生検用として、切除する。この臺はその後、東京大学の教授となっている。

内村鑑三の孫、内村祐之が北大・東大の教授となって、「精神病は遺伝する」というでたらめを定着させた。「精神病遺伝説」は医学教育を通して、医者たちに浸透し,中学・高校「保健体育」教科書・マスコミを通して社会に浸透した。

これについての反省もないままに忘れている。たくさんの精神障がい者が、この考えのもと死んでいっているにもかかわらず。

北海道は特に優生手術がたくさんされている。『優生手術1000件突破を顧みて』という優生手術を礼賛する記録誌を北海道衛生部が出している。この本の中にはもっともっとぞっとするような実話が出ている。

野田さんは中高校の教科書にかいてある「精神病遺伝」説を批判して、朝日ジャーナルに2つの論文を出した。それによって、教科書は、書き換えられた。著者を抜きに出版社が反省も謝罪もないまま、書き換えたのだ。

うつ病や、発達障害という病名を多発することで、向精神薬、精神安定剤、覚せい剤が過剰に投与されている。それらによって自殺に追いやられる子どももいる。

野田正彰氏は、1969年に北大医学部を卒業して、1970年からの15年間、滋賀県の湖西地域で、精神科病院の改革を始める。地域に出て行って、相談を受ける会を作ったり、精神疾患の患者さんが、地域の中で暮らせるようにと、あらゆる企画を実践に移している。3人の患者さんの例を事細かに紹介しているので、彼らがどんな取り組みをしたのかが具体的に良くわかる。

◆旭川の少女自殺事件と「発達障害」

亡くなった少女は小さい頃は、少し目先がきく普通の子だった。ところが、先生が謝りに来なさいといったとき、彼女はその行為をしていなかったので、行かなかった。それを発達障害といわれ、病院に行かされて、精神安定剤を飲まされる。「薬を飲むと、ボーとする」と本人が言う。そして、中学に行くといじめられる。精神病院へ行って入院させられる。自殺予防として素っ裸にさせられる。かくて雪の中での遺体発見となる。まさに「発達障がい者作り!」

事件後に調査委員会が2回開かれている。第2次調査委員会に精神科医として参加して、報告を書いたのは斎藤環。「いじめ被害のトラウマによってPTSDに罹患していた」と。何も調べることなく書いている。斎藤環は、フィンランドにおける「オープンダイアローグ」を日本に紹介した人として知っていたので、この話にはびっくりした。

この事件については、「発達障害児作り」の典型的な事案と思われる。

大阪心療内科放火殺人事件についって野田さんの意見は、下記のようなものです。

この放火されたクリニックは、患者さんが大勢で、一人の診療時間は、数分だった。ほとんど話を聞かずに薬を出すだけ。そういうクリニックに通って、全然よくならないこの「犯人」は、拡大自殺(一人でではなく、周りを殺してする自殺)にこのクリニックを選んだ。当時、この事件の報道では、このクリニックの医者はとても「いい先生」でそんな先生を殺すなんてひどいという論調だったことを記憶している。「犯人」は4年10か月で112回もクリニックを受診している。ちっとも治らなかったのに。

このクリニックでは、医者が一人で、患者は600人とか800人とか言われている。そんな数の患者を診るには、まさに3分診療である。そんなことで患者が治るわけはない。そういう診療体制に対する「抗議」だったのではないか?

「どうすればよかったのか」というタイトルの映画が大勢の人に見られている。統合失調症の姉を持った弟が作った映画で、両親が医者である。両親は、精神医療の現状を知っているので娘を病院に入院させることはしないで、自宅で見ている。それを弟が赤裸々に撮った作品だという。野田さんによれば、ご両親が選択した「家で見る」ことには成功しているのでは?と問題を提起している。

福島の原発事故で自殺した方の追跡もしています。精神鑑定書を3人分、実に丁寧に書いています。この方々は、皆、もともとは元気な方々でした。うつ病などもないし、親族で自殺した方もない、ごく普通の方でした。原発事故で、身動きが取れなくなって、自殺なさった方ばかりです。一人一人の生活史にまで入り込んでの鑑定書です。原発さえなければ防げた自殺でした。

とにかく、この本を読んでほしい。

(評者の承諾を得て掲載させていただきました。)

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

『流行精神病の時代』
野田正彰(精神科医)著

四六判 カバー装 本文248ページ 
定価1980円(税込み) 好評発売中!

「発達障害」と「精神病遺伝説」
──精神科医、製薬会社、NHK、学校の病気創りによって、無数の子どもが犠牲になっている。
日本で「精神医療」と呼ばれているものの実相とは。

目次
第一章 「優生保護法」は日本精神医学の常識
 一・一 現代に息づく優生保護法の思想
 一・二 業界による隠蔽
 一・三 優生保護法をめぐるお祭り訴訟
第二章 教科書と「精神疾患」
 二・一 精神病遺伝説を常識とした学校教育
 二・二 偏見に加担する教科書と法
 二・三 偏見改まらぬ教科書
 二・四 開かれた精神医療をめざして
 二・五 地域精神医学の現状
第三章 旭川少女殺人事件と「発達障害」
 三・一 「発達障害」という流行精神病の作り方
 三・二 旭川女子中学生いじめ凍死事件 雪の少女へのレクイエム
 三・三 雪の少女の哀しみ
 三・四 隠蔽のための「再調査」
第四章 事件と映画に思う
 四・一 自死とは世界の消去なのか 大阪放火事件に思う
 四・二 映画『どうすればよかったか?』を観た人へ
第五章 原発事故被害者の精神鑑定
 五・一 原発被害者が死ぬ前に見た景観
     [精神鑑定書1]菅野重清さん  
     [精神鑑定書2]大久保文雄さん
     [精神鑑定書3]Aさん
 五・二 原子炉との深夜の対話

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315827/

《「押し紙」の実態》中央5紙は年間で約96万部減部数、京都新聞3社分に相当、地方紙の減部数にも歯止めかからず ── 2025年7月度ABC部数

黒薮哲哉

2025年7月度のABC部数が明らかになった。それによると、読売新聞は前年同月比で約43万部減、毎日新聞は約27万部減と、大幅な減少に歯止めがかからない状況となっている。

中央紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)の合計では、前年同月比で約96万部の減少となった。これは、発行部数28万5千部の京都新聞規模の新聞社が3社ほど消えたのに等しい規模である。

[図表]中央紙の発行部数と減少数(前年同月比)

地方紙も発行部数を減らしている。地元に根付いているため中央紙ほどの急落は見られないが、減少傾向に歯止めはかかっていない。次の表は主要な地方紙の2025年7月と2013年12月の発行部数を比較したものである。

[図表]ブロック紙・地方紙の発行部数と減少数(前年同月比)

◆なぜ、「押し紙」がジャーナリズムの問題なのか?

なお、ABC部数には「押し紙」が含まれているため、減部数がそのまま購読者数の減少を示すわけではない。新聞販売店の経営悪化により「押し紙」の負担に耐えられず、販売網を維持するために新聞社側が「押し紙」を減らした結果も影響している可能性がある。実際には、購読者離れと「押し紙」削減の両方がABC部数を引き下げていると考えられる。

「押し紙」は莫大な販売収入を新聞社にもたらしてきた。たとえば、毎日新聞の場合、2002年度の内部資料に基づく試算では、年間で259億円に達していたとされる。

[参考記事]国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

公権力(政府や公正取引委員会)が、「押し紙」を黙認したり、逆にメスを入れることをほのめかせば、簡単に新聞の紙面内容に介入できる構図になっている。不正な金額が莫大だから、それが可能になるのだ。

「押し紙」問題を放置したまま新聞ジャーナリズムの再生を語っても、まったく意味をなさないゆえんにほかならない。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年9月6日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

秋のキックボクシング、地道に突き進む5つの興行概要

堀田春樹

久々の登場、政斗は初防衛戦。
佐々木勝海はチャンピオンを目指し、TAKUYAを突き放せるか。
武田幸三率いるCHALLENGER、今回の異色の存在は、再浮上懸ける勝次が初出場。
全日本キックボクシング協会が中国との交流を開始。
新日本キックボクシング協会で女子の世界戦開催。

※             ※             ※

◆KICK Insist.24
 9月15日(月・祝)新宿フェース(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

KICK-Insist24 ポスター

昨年3月24日 大地フォージャーから王座奪取した政斗は、ジャパンキックボクシング協会の顔となったことを自覚し、「これからどんどん盛り上げていこうと思っています!」と応えたが、同年9月29日のピラポン・ノーナクシン戦でヒジ打ちによる負傷TKO負け。

「全部のタイミングで相手が上でした。地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」とトーンダウンしたが、ここは完勝防衛してチャンピオンとしての存在感を示したいところ。

細見直生はジャパンキックボクシング協会において5戦5勝(1KO)でタイトル初挑戦を迎える新鋭で、一気に世代交代となるか。

政斗の王座戴冠時の姿。再び歓喜に湧くか

●第8試合 ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.政斗(治政館)vs挑戦者同級2位.細見直生(KICK BOX)

●第7試合 65.0kg契約3回戦
ペップンミー・ビクトリージム(元・タイ国イサーン地方フライ級2位/タイ)
        VS
コムキョウ・シット・ボーチョーウォー(元・タイ国中部地方スーパーフェザー級Champ/タイ)

●第6試合 ライト級3回戦
ジャパンキック協会ライト級1位.興之介(治政館)vsYUGA(エイワスポーツ)

●第5試合 女子ミネルヴァ・ピン級(-45.359kg)契約3回戦(2分制)
アトム級1位.祥子JSK(治政館)vsペーパー級1位.上真(ROAD MMA)

●第4試合 62.0kg契約3回戦
JKAライト級4位.古河拓実(KICKBOX)vsソムプラユン・ヒロキ(DANGER)

●第3試合 フェザー級3回戦
JKAフェザー級5位.海士(ビクトリー)vs鈴木ゲン(拳心館)

●第2試合 66.0kg契約3回戦
三澤悠太郎(市原)vsTYLER(エイワスポーツ)

●第1試合 フェザー級3回戦
BANKI(治政館/2008.2.15埼玉県出身)vsゲンキ・ノーナクシン(ノーナクシン)

BANKIは7月13日のデビュー戦でデートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ)にハイキックで初回1分5秒でKO勝利。期待の2戦目を迎える。

●オープニングファイト アマチュア3試合予定

※             ※             ※

◆DUEL.35
 9月21日(日)GENスポーツパレス(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:VALLELYジム / 認定:NJKF

DUEL 35 ポスター

-8月28日発表-
恒例のDUEL、新人と中堅ベテランの戦いの場から誰が次に繋がるステップを踏むか。

佐々木勝海はタイトルに一歩近づくか

●第10試合 スーパーライト級3回戦
NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)vs同級4位.TAKUYA(K-CRONY)

TAKUYA は4月20日に岩橋伸太郎に判定負けしてからの再起戦。

●第9試合 82.0kg契約 3回戦
鈴木健太郎(E.S.G)vs翁長リバウンドマン将健(真樹糸満)

●第8試合 スーパーフライ級3回戦
清水健人(白龍)vs手塚瑠唯(VERTEX)

●第7試合 スーパーフェザー級3回戦
パヤヤーム浜田(KING)vs森本直哉(無所属)

●第6試合 フェザー級3回戦
山本龍平(拳粋会宮越道場)vs高嶋隆一(PIT)

●第5試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
スーパーフライ級1位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)vs同級5位.響子JSK(治政館)

●第4試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)
ピン級4位.江口紗季(笹羅)vs同級6位.ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷)

●第3試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)
山崎希恵(クロスポイント吉祥寺)vsNAOKO WSR(WSR幕張)

●第2試合 ライト級3回戦
井岡巧(E.S.G)vs涼音(PIT)

●第1試合 63.5kg契約3回戦
遠近慎太郎(エス)vs古林けいご(龍拳會青葉台支部)

※             ※             ※

◆NJKF CHALLENGER.10(2025.4th)
 9月28日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、WBCムエタイ

CHALLENGER 10 ポスター

-8月24日発表-
WBCムエタイ日本が組織改革を行ない、日本タイトルも今まで以上に活性化の見込み。
6月8日の興行タイトルが「KING OF CHALLENGER」今回は「NJKF CHALLENGER.10」。
2023年11月12日の新体制から見れば今回のCHALLENGER.10は正しいカウント。
大田拓真は世界を獲ってもONE制覇へ、まだ終わらぬ最高峰への道。
負けも込んで来た勝次は再び巡って来たタイトル挑戦でアピールしたいところ。

●第10試合 58.0kg契約 5回戦
WBCムエタイ世界フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ)
VS
ルークニミット・シンクロンシー(タイ)

●第9試合 WBCムエタイ日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦
第6代チャンピオン初防衛戦.匡志YAMATO(大和)
VS
挑戦者同級5位.津崎善郎(LAILAPS東京北星)

●第8試合 WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦
第7代チャンピオン初防衛戦.HORO YAMATO(大和)
VS
勝次(=高橋勝治/元・日本ライト級Champ/TEAM TEPPEN)

正念場の勝次、NJKFで存在感を見せたいところ

●第7試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX)vs剣夜(SHINE沖縄)

●第6試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
JKIスーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会)
       VS
SB日本ライト級1位.ポッシブルK(K’GROWTH)

●第5試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦
認定チャンピオン.亜維二(新興ムエタイ)vs挑戦者同級1位.宗方888(KING)

●第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦
第14代チャンピオン初防衛戦.西田光汰(西田)vs挑戦者同級1位.永井雷智(VALLELY)

●第3試合 55.0kg契約3回戦
HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本フライ級・バンタム級Champ/RIKIX)
VS
後藤和範(REALMuayThaiFitness)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING)vs同級7位.細川裕人(VALLELY)

●第1試合 フェザー級3回戦
植田琥斗(E.S.G)vs竹田奏音(TAKEDA)

※             ※             ※

◆SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd
 10月5日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:全日本キックボクシング協会 /

SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd ポスター

-8月4日発表-
韓国と続いている交流戦は日韓合同という意味合いもある中、アジアエリア拡大となる中国との交流が進展。中国側代表を招聘し、今後の展望がリング上セレモニーにて発表される模様。
瀬川琉はメインイベンターとして6月に続いて韓国戦に臨む。
期待の勇生は、前回瀬川琉と接戦を戦った金炳秀と対戦。弟の野竹生太郎も韓国の同世代ライバルと対戦。

野竹兄弟、勇生(左)と生太郎。富山からやって来る期待の二人

●第13試合 スーパーフェザー級3回戦 
全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城)
      VS
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国プロムエタイ55㎏級Champ)

●第12試合 スーパーライト級3回戦
全日本スーパーライト級5位.勇生(ウルブズスクワッド)
      VS
アイドゥル(=金炳秀キム・ビョンス김병수/2025年韓国 HERO FIGHT優勝)
前回6月20日に瀬川琉に判定負け。

●第11試合 スーパーバンタム級3回戦
広翔(稲城)vs申大容(=シン・デヨン신대용/韓国)

●第10試合 ライト級3回戦
野竹生太郎(ウルブズスクワッド)vsキム・ハヌル김하늘(漢字表記不明/韓国)

●第9試合 スーパーウェルター級3回戦
義斗(FPLUS TEAM QUEST)vs康示勲(=カン・シフン강시훈/韓国)

●第8試合 ライト級3回戦
山田旬(アウルスポーツ)vs清宮拓(GODSIDE)

●第7試合 スーパーフライ級3回戦
HIROKI(AKIRA~budo school~)vs.鬼久保海斗流(健成會)

●第6試合 ライトヘビー級3回戦
星のケースケ(百足道場)vs菊池圭治(GODSIDE)

●第5試合 スーパーライト級3回戦
Katsuya Norasing Family(Norasing Family)vsNAOKI(ウィラサクレック)

●第4試合 スーパーフェザー級3回戦
KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK)vs杉浦昂志(キックスターズジャパン)

●第3試合 ウェルター級3回戦
滝口遥輝(中島道場)vs成瀬晴規(無所属)

●第2試合 ウェルター級3回戦
石塚健太(武士魂2代目闘心塾)vs田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB)

●第1試合 スーパーバンタム級3回戦
渡邊獅生(JTクラブ)vs梅原竜雅(龍成會)

※             ※             ※

◆TITANS NEOS 37
 10月26日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:伊原プロモーション / 認定:WMA、新日本キックボクシング協会

8月22日に発表された2試合のみながら、WMA(Woman Muaythai Association)女子世界戦2試合を開催。全カードはもう少し先となる模様。日本勢の出場メンバーも期待したいところで、新日本キックボクシング協会もどん底から続ける挑戦。日本7階級チャンピンを率いてラジャダムナンスタジアムに乗り込んだ勢いを少しずつでも取り戻せるか。

●WMA女子世界スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーフライ級チャンピオン.NANA(エス)
      VS
ジェンディ・モーラッソパコーラ(タイ)

ジェンディ・モーラッソパコーラvsNANA

●WMA女子世界ライトフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
アピデッ・シットヒラン杯ライトフライ級覇者.佐藤?魔王?応紀(PCK連闘会)
      VS
マフィアペット・モンコンディー(タイ)

マフィアペット・モンコンディーvs佐藤”魔王”応紀

※             ※             ※

カードは選手の負傷や病気により変更や中止の場合があります。
ノンタイトル戦出場のチャンピオンは、その階級を超えての契約ウェイトとなる可能性があります(ライト級チャンピオンなら62.0kg契約など)。
10月は日本キックボクシング連盟(NKB爆発シリーズ)興行も予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』10月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

10月号はマルクス経済学者で人口問題を研究する大西広・慶應義塾大学/京都大学名誉教授が「日本人ファースト」を分析。まず、このスローガンをもって参政党が大きく支持を集めた理由から明らかにしました。そのうえで、「日本人ファースト」はその前提に「日本人」が苦境にあるとの共通認識があり、排外主義批判だけではそれに対応していません。では、日本人の苦境とは何か。参政党支持者の中でも割合が高いのが就職氷河期世代です。格差拡大が結婚・出産を阻害し、人口減少を加速させています。「ヒトより資本」の資本主義が海外の安価な労働力を求めれば、それが国内の賃金水準の向上を妨げることにつながります。もちろん、日本に外国人が来ること自体が問題なのではなく、重要なのはそのスピードだと大西氏は指摘。「日本人ファースト」を問題として捉え、その解決を目指すのであれば、「日本人」が苦境にある根本的な原因に目を向けなければなりません。本誌記事では、その原因とともに、今の社会が正確に捉えられていない人口減少問題の深刻さを、明快に解説しています。

参政党は「参政」の名が示すとおり、とにかく政治参加させる(党員を増やす)ことを目的として掲げています。立ち上げメンバーで、後に脱退した国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は、「組織拡大のマーケティング対象として集めた党員層にウケる政策を言い続ける必要がある」と解説しています。主張のそれぞれの関係、あるいは一つの主張においても一貫性がないのはそのためなのでしょう。一方で、特に神谷宗幣代表は、なぜか天皇制だけは、マーケティングにさほど寄与しなさそうなのに、こだわっているように見えます。しかもその中身は本誌で足立昌勝氏が今回主張しているように、「いったい誰が求める天皇像なのか」というものです。この辺りにも、同党について考えるきっかけがあるように思います。

4月号に続き、鈴木宣弘・東京大学大学院特任教授に登場していただきました。まず猛暑の中で、もともと少ない備蓄米が放出されたことは、食料安全保障において危惧されるところですが、それが国内の新米で補充されない可能性があると鈴木氏は指摘。加えて、35年前の1990年の米の小売価格は1キロ4933円。今の米価高騰は急激すぎるとはいえ、まさに失われた30年で、いかに日本社会が貧しくなったかが、ここに反映されています。ほか記事では、財務省やグローバル企業の問題、ゲノム編集や添加物の問題にも踏み込んでいます。全てが繋がっていることがわかります。なお、日本の少なすぎる米備蓄については、その原因と解決策を別記事でも探っています。あわせてお読みください。

参院選で、参政党とともに議席を伸ばした国民民主党では、mRNAワクチンを問題視してきた須藤元気元参院議員の転向も話題となりました。同ワクチンについては、接種開始時点で治験が終了していなかったことがポイントのひとつで、須藤氏もそれを指摘してきましたが、須藤氏が国民民主党の公認を受けるにあたり、玉木雄一郎代表と福田徹衆院議員が須藤氏に「治験は終わっていた」と諭す動画が配信。しかし、ジャーナリストの藤江成光氏の質問に、福岡資麿厚労相が「治験終了は接種開始後」と答えており、須藤氏がウソの踏み絵を踏まされていたことがわかっています。問題は、このウソを聞かされた須藤氏の元支持者で、一番の被害者といえるでしょう。

さらに今月号では、「不正選挙」が疑われる期日前投票制度の欠陥、日本製鉄によるUSスチール買収のその後、桐島聡氏をめぐり見過ごされた本質、韓国で大統領夫人が逮捕・起訴された旧統一教会問題など、さまざまなテーマを独自の視点で取り上げています。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年10月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年9月5日発売

[インタビュー]大西広 慶応義塾大学/京都大学名誉教授
人口問題の見地から考える本物の「日本人ファースト」
国民の食と命を差し出すニッポン「亡国農政」からの脱却 鈴木宣弘
不正を生む期日前投票制度 参院選で残された犯罪の足跡 青木泰
国民民主党が広めた ワクチン安全性めぐるウソを追及する 高橋清隆
日韓「政治と宗教」問題 韓国で解明進む旧統一教会資金ルート 片岡亮
米国に支配された「日本防衛」FMSの従属構造を断て 木村三浩
日本人も外国人も関係ない AI時代の労働問題を考える 青山みつお
アメリカで特許が取得された「STAP細胞」の現在 早見慶子
日本製鉄「USスチール買収」の狙いとリスク 浜田和幸
桐島聡さんと足立映画『逃走』が問いかけるもの 野田正彰
海がもたらす解決策「少なすぎるコメ備蓄」の本当の理由 平宮康弘
芸能界”昭和のドン”の死と新興事務所の金銭トラブル 本誌芸能取材班
政界バカッターをどう始末するか 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 みどり荘事件 尾崎美代子
【ご報告】7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」松岡利康

〈連載〉
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「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
【新連載】ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FM7C16TC/

「われわれの出版の目的は、一、二年で忘れ去られることのない本を作ることである。」──

鹿砦社代表 松岡利康

本年4・5東京、7・12関西での二つの「鹿砦社反転攻勢の集い」の成功を踏まえ、ご参集された皆様方、全国各地からご支援金を送り支持された皆様方に叱咤激励され、私たちは多くのメディアが権力のポチ化する中にあって、私たちにしかできない出版をやり切るという理想を、あらためて高く堅持し、『紙の爆弾』、およびこの増刊号『季節』の発行継続、鹿砦社の出版活動の継続を決意しました! 私たちは諦めてはいません。更に圧倒的かつ継続的なご支援をお願いいたします!

本誌『紙の爆弾』ご愛読者の皆様! 本誌をはじめ鹿砦社の出版活動を支持される皆様!

9月になりました。本年も早3分の2が過ぎたことになります。会社としてはいまだ苦境を脱してはいませんが、4・5、7・12の二つの反転攻勢の集いの成功により、この苦境にあっても私たちの出版活動を支持される方がおられることに勇気づけられ、苦境にある鹿砦社の現状を突破し創刊20周年を経た『紙の爆弾』、創刊10周年を経た『季節』の発行継続、創業55年を経た鹿砦社の出版活動の継続と更なる発展を目指します。

ことあるごとに支援をお願いし忸怩たる想いですが、皆様方お一人おひとりのできる範囲で、どうかご協力お願いいたします。鹿砦社は、いやしくも本を発行する出版社ですから、本を買っていただくことを基本とし、見返りを求めないカンパには消極的でしたが、今は悠長なことは言っておれませんので、この危機を突破するために当面カンパもお願いする次第です。応じていただける方は、振込の際「カンパ」とお書き添えください。金額は問いません。皆様方のお志で千円からいくらでも結構です。

◆多くの皆様方のご厚意と叱咤激励に感謝し、一日も速く苦境脱出に努めます!

20年前、『紙の爆弾』創刊からわずか3カ月後、突如として「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧により私たち鹿砦社は壊滅的打撃を受けました。多くの出版関係者やメディア人らによっては、「鹿砦社なら仕方がない」「マツオカはやり過ぎた」等々の冷ややかな対応がなされ、いやしくも出版人が逮捕、半年余りの長期勾留、有罪判決、高額賠償金(600万円余)されたことの本当の意味がいまだに理解されているとはいえず遺憾です。例えば最近「人質司法」が批判されていますが、このことは松岡が半年余り勾留された当時から私たちは批判していたところです。しかし、私たちの主張は蔑ろにされ、昨今KADOKAWAの会長がみずからの体験から批判するようになって脚光を浴びるようになりましたが、遅いです。20年遅れで、この間にも司法の反動化は進んでしまいました。名の有る大手出版社の偉いさんが記事にし、当社のような零細出版社の無名社長が必死に言っても無視するのか!? 

それでも20年前の当時、今よりも格段に少ないながらも心ある皆様方にご支援、サポートいただき、これを力として、事件から5年後には復活を果たし甲子園に本社を再設置することができました。この時は本当に嬉しかったです。今は、例えば4・5、7・12に見られるように多くの皆様方に支えられています。20年前の比ではありません。今、『紙の爆弾』や『季節』の発行、これを中心とする出版活動をやめれば、苦境にあってもご支援、ご支持される皆様方のお志を台無しにしてしまいます。塩を舐めてでも頑張るしかありません。

もっと言わせていだければ、ジャニー喜多川による未成年性虐待問題も1995年以来弾劾してきていましたし、中居正広らジャニーズタレントによる性犯罪や社会問題化したスキャンダル、宝塚歌劇団内のいじめ問題などにも先頭に立って弾劾してきました。しかし私たちの力は微力で広く社会問題として拡がることができませんでした。「ジャニーさん、ありがとう」(ジャニー喜多川逝去直後の『週刊朝日』の表紙の宣伝文)などに体現されるのが、英国BBCが告発する一昨年までの大手メディアの総体的な態度でした。

原発問題もそうで、3・11後、国会周辺はじめ全国津々浦々で展開された脱(反)原発の声もなし崩し的に小さくなってきています。しかし、私たちはこれに対し『季節』によってささやかな抵抗の声を挙げ続けてきています。 

このことについては、この11年間、一度も黒字にならずとも発行を継続してきたにもかかわらず、なかなか拡がりません。創刊号は当時の鹿砦社の勢いもあってドン・キホーテ的に2万部! 今は4千部の発行ですが、4千部でも厳しいです。

原発問題についてはいろいろなご意見があるかと思いますが、少なくとも私たちのスタンスはシンプルで、即時稼働ストップ、永久廃炉、再稼働阻止、一部に蠢いている新設阻止です。いささかナショナリズム的な物言いにはなりますが、自然豊かな美しい日本の風景、国土を原発ごときで汚すべきではありません。3・11後の展開、特に荒廃しきった福島の現状を見ればわかるように、人を不幸にし国土を荒廃させる原発は即刻やめるべきです。『季節』夏・秋合併号に魂の書家・龍一郎が揮毫したように、〈「もう一度、原発が破裂したら、日本人は生きていけない。」と大江健三郎さんは言った。〉です。

日本で唯一の脱(反)原発情報誌『季節』夏・秋合併号(現在発売中の号)を紐解いていただければ、かの山本義隆さん、小出裕章さん、樋口英明さんら錚々たる方々が寄稿されています。これまでの『季節』のひとつの到達点ともいえるでしょう。これに鼓舞され、あらためて『季節』続刊を決意するものです。

いずれにせよ、月刊『紙の爆弾』にしても、この増刊号で子誌の『季節』にしても、どちらも類誌がありませんので、やりようによってはチャンスはあります。妙案があればお知らせください。皆様方の圧倒的なご支援を賜り、両誌の発行継続を心から望んでいます。

季節2025年夏・秋合併号 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJXW1RPD/

◆『紙の爆弾』の発行継続のために早急に皆様方にお願いしたいこと

具体的に皆様方にお願いしたいのは、次の通りで、皆様方お一人おひとりのできる範囲内で結構ですので、ご支援よろしくお願いいたします。私たちのスポンサーは読者の皆様方です。これまで幾度となく助けていただき感謝いたします。言いにくいですが、もうしばらくご支援お願いいたします!

① 最新刊の『季節』春・夏合併号、本誌発売直後に完成予定の『3・11の彼方から 「季節」(NO NUKES voice)セレクション集vol.1』、野田正彰・著『流行精神病の時代』など、最新刊の書籍のご購読をお願いいたします! 特に『3・11の彼方から』は歴史的史料として重要です。

『3・11の彼方から 「季節」(NO NUKES voice)セレクション集vol.1』
 https://www.amazon.co.jp/dp/4846315878/

野田正彰『流行精神病の時代』https://www.amazon.co.jp/dp/4846315827/

② 「セット直販」などで鹿砦社発行書籍のまとめ買いでご支援ください!
会員・定期購読者・社債引受者の方向けに行っている「セット直販」は9月1日終了予定でしたが、好評につき、あと1カ月(9月30日まで)続けますので、特に古い稀少本のお買い求めをお勧めします。リストはすでにお送りしていますが、失くされた方はお電話、ファックス、メール(matsuoka@rokusaisha.com)などで本社までご連絡いただければ送ります。申し込まれた方で気づかれた方もありますが、今ではけっこう貴重な書籍、古書価が高価になっている書籍なども少なからず混ざっています。

③ 本誌の定期購読、及び拡販をお願いいたします!
基本は本誌の定期購読・会員の拡販にあります。知人・友人に本誌の定期購読をお薦めください! また、皆様方も、できれば前倒しで複数年の定期購読をお願いし、できれば上級会員になって下さい。

④ 本誌のバックナンバーのご購読をお願いいたします!
20年余り発行してきた本誌『紙の爆弾』ですが、その号を発行した時代の情況を見るためにもバックナンバーは参考になります。こちらもまとめてご購読をよろしくお願いします。

『紙の爆弾』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FM7C16TC/

⑤ 本誌定期購読者、会員、社債承諾者の皆様方には、どれでも一度に1万円以上のまとめ買いにつきましては、新たに割引制を導入することにしました。具体的には本社まで。

⑥ 圧倒的なカンパをお願いいたします! 金額は問いません。1万円以上のカンパでご住所をお知らせいただいた方にはお礼状と粗品を差し上げますが、今回はそれぐらいでご容赦ください。

今回、反転攻勢の集い同様、一口10万円、5万円の特別カンパもお願い申し上げます! 10万円カンパの方が100人おられたら1千万円で、一気に形勢逆転します。

◎振込先は、三井住友銀行 甲子園支店 普通 4304399 か 郵便振替01100-9-48334(『紙の爆弾』「季節」に挟み込んである振替用紙を使ってくだされば振込手数料は無料)
口座名は、いずれも「株式会社鹿砦社」です。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

思い返せば、20年前の「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧で壊滅的打撃を受けつつも、諦めずに頑張ったことで奇跡ともいえる復活を遂げることができたと信じています。実際に業界では、そう言われていました。情況は今よりも格段に悪かったと思います。それでも復活できました。新型コロナを直接的躓きの石としつつ苦境に落ちましたが、諦めさえしなければ、奇跡は二度起き再度復活できると信じています。私たちは諦めません。奇跡が起きるまで、青色吐息でも頑張ります! 苦境にあっても私たちは諦めずに頑張ります!  圧倒的なご支援をお願い申し上げます! 

※冒頭の言葉は『戦争論』で有名なクラウゼヴィッツの言葉です。私が本格的に出版の世界に入る1985年に歴史家の小山弘健先生の最期の著作『戦前日本マルクス主義と軍事科学』を出版しましたが、その際小山弘健先生に教えていただきました。40年経ちましたが、果たして「一、二年で忘れ去られることのない本」を作ったのか、作ったとして何冊作ったのか、汗顔の至りです。

小山先生の『戦前日本マルクス主義と軍事科学』は、品切れと思っていたところ、先般、書類置き場としていた古家を整理した際に30冊ほど出てきました。ぜひご購読お願いいたします。

ちなみに、本書を出版した1985年前後には他に、長崎浩著『革命の問いとマルクス主義─階級、自然、国家そしてコミューン』、高橋順一対談集『現代思想の境位』(対談相手=吉本隆明、廣松渉、柄谷行人)、松岡利康編『敗北における勝利──樺美智子の死から唐牛健太郎の死へ』(寄稿者・=小山弘健、笠井潔、長崎浩、冨岡倍雄、佐藤粂吉、加藤一夫、高野澄、三上治、橋田淳)、季節編集委員会編『未完の意志──資料・六〇年安保闘争と第一次ブント』などを出版しており、いろいろな想いが過ります。

戦後80年、「戦争トラウマ」を知って下さい ── 藤岡美千代さんのお話会と『ルポ 戦争トラウマ』

尾﨑美代子

8月31日、私の店で行った藤岡美千代さんのお話会、感想は昨日購入した『ルポ 戦争トラウマ 日本兵たちの心の傷にいま向き合う』(朝日新書)を読み終えてから書きたいと思っていた。

『ルポ 戦争トラウマ 日本兵たちの心の傷にいま向き合う』(朝日新書)

以前書いたが、共通の知り合いが何人もいる美千代さんが、あるとき「9歳の時、父が亡くなって兄とバンザイ!と叫び大喜びした」という投稿を見て驚いたことがあった。その背景に、戦争から戻った父から美千代さんや兄が壮絶な暴力を受けていたこと、「いただきます」というなりひっくり返されるちゃぶ台、それと同時に始まる父の大暴れ。美千代さんと兄は急いで表に逃げ、父が酒に酔って寝るまで外で待つ。そっと帰った部屋で、畳に散らばったご飯やおかずを急いで口に詰め込む。料理が土間にまで飛んだときはみそ汁だけすする。夜中に急に起きだし、子どもに暴力をふるう父。それがいつおきるかわからず、熟睡できず、学校でボーとしていたという美千代さん。

この夜中にガバッと起きだす様を、昨年一人で見た映画「火影」(私も見た。塚本監督のこの映画や「野火」には戦争トラウマの犠牲者が描かれている)に出てきて、映画館で過呼吸、パニックに陥ったという。

美千代さんが9歳のころ、父と母の離婚が成立し、子どもと母で家を出た2ケ月後、父は自死する。当時は病死と聞いていた美千代さん、自死と知ったのは20歳の頃だった。しかし、当時は「ばんざい!ばんざい!」と喜んだ美千代さんと兄。美千代さんは、父が火葬され、本当にこの世からいなくなるのかと、火葬を最後まで見届けようとしたという。

私は父にも母にも一度も手を上げられたことがない。小学生の頃、私はなぜか、父や母が村の会合などででかけていると、帰ってくるまで気になって自分の部屋でなく、茶の間で待っていた。あの日、父が会合から遅く帰ったときも、私は茶の間の炬燵で寝ていた。戻った父はそんな私をみて「自分の部屋で寝ろや」と足でこつんと私の脇腹をつついた。痛くもないのに、父の足が私の脇腹のどこにあたり、どんな感触だったか、私は鮮明に覚えている。暴力などと言えないのに……。それに比べ、親や大人に暴力を奮われた子供たちは、どんな思いでその後を生きていくのか、ずっと気になっていた。

10年ほど前、ある番組でみた「暴力の連鎖」。ある母と娘が暴力をはたらく父から逃れて2人の生活になった。それはドキュメンタリーなのだが、中学生の娘が暴力こそ振るわないが、母親に向かって「このばばあ、何やってんんだよ」と暴言を吐いていた。母親は、それでも父の暴力から逃れ安全圏にいるからか、「はいはい、わかりましたよ」などと返していたが。やがて大学に入った娘は友達から母親へのそのような態度は改めるべきと忠告され、自身も「何故そうなるのか」と考え、その後、DV、虐待などで傷ついた子供たちをケアする仕事に就きたいと考え始める。

話を戻すと、美千代さんもそうだった。あるとき取材を受けた記者に「ご自身のお子さんに手を挙げたことがあるか?」と聞かれ、すごくドキドキしながら「あります」と答えたという。1歳半の娘が「ちゃーちゃん、ちゃーちゃん(お母さん)」とまとわりついてきたとき、仕事でイライラしていた美千代さんは、子どもをはらいのけたら1.5メートル位飛んだのだという。「父と同じことをしている」。そして「一番触れられたくない部分だけど私が一番いいたかったこと。つまり虐待は連鎖するんです」と美千代さん。美千代さんはなぜそうなったかにじっくり向き合う。

またもうひとつ、考えないようにしてきた父からの性虐待についても考えるようになった。父は美千代さんを膝にのせては身体を触ったりしていた。その後布団に入ってきては、美千代さんの太ももに性器をあてたりした。もちろん当時の美千代さんはその意味がわからない。「父が私の上で腕立て伏せをしていた」とそっけなく語る。父のそうした行為は、母が父のセックスを拒否していたこともあるようだ。

父の死後母と兄と3人で暮らすようになると、今度は兄が美千代さんに父と同じようなことをしてきたという。ふすまをあけ隣の部屋の母に助けを求めるが、母はふすまを閉め助けなかったという。母は兄(長男)を家に引き留めたいと思っていたのだろうと美千代さん。

「だめなものはだめと大人がいわなくてはならない」。どんな悲惨な話もどこかおもしろおかしく話していた美千代さんが、その話をしたとき、少し涙声になっていた気がした。「それはやってはだめ」「それには反対」と気が付いた大人が口にして言わなくてはならない。

世界各地で戦争や紛争が続く今、今後、戦争トラウマでその後何世代にも渡って傷ついてしまう人たちを生むことになるのだろうか。

そうさせないためにも、「戦争反対!」と声高に叫ぶだけではない、いじめ、差別、虐待、暴力……戦争につながる、どんなに小さなことにでも「それはだめ!」「それはやってはいけない!」「それには反対!」と、見た人、知った人が口にしていかなくてはならない。

▼藤岡美千代(ふじおか みちよ)
1959年3月生まれ。鳥取市にて18歳まで過ごす。1977年、高校卒業と同時に、大阪の保育専門学校へ。保育資格、幼稚園教諭免許、短大卒資格を取得。1979年から2009年まで大阪府箕面市効率保育所勤務。2010年、大阪市東淀川区で喫茶店「オリーブガーデン」を開業し、現在に至る。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

《9月のことば》誠一途 初志貫徹

鹿砦社代表 松岡利康

《9月のことば》誠一途 初志貫徹(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

9月になりました。1年の3分の2が過ぎ、今年は残り3カ月となりました。
この夏も、いろいろな意味で暑かったです。

今年の前半は、『紙の爆弾』創刊20周年、『季節』創刊10周年を迎え4・5東京、7・12関西と二つの「反転攻勢の集い」に多くの皆様方のご参集を得、また多大のご支援を賜り、成功裡に終了、次の10年に向け出発することができました。

私たちは、あくまでも「誠一途」「初志貫徹」の気概を堅持し突き進まなければなりません。たとえ今は苦境に晒されても、たとえ塩を舐めながらも「誠一途」「初志貫徹」の精神で、もうひと頑張りもふた頑張りもせねばなりません。頑張らなければならない時に頑張れないなら、私たちの今後はありません。言うは易し、行うは難しですが、悠長なことも言ってはおれません。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

◎すでにお知らせしていますように、8月に発刊した『季節』夏・秋合併号、野田正彰著『流行精神病の時代』が好評です。前者に掲載の山本義隆さんの、23ページわたる長大な講演録が白眉の出来です。一つの雑誌に23ページを割くという暴挙(!?)です。

また、『季節』創刊10周年事業として企画された『3・11の彼方から 「季節」(NO NUKES voice)セレクション集vol.1』が、すでに校了し9月10日前後に完成いたします。608ページの堂々たるものです。

これら3点のご購読をお願いする次第です。

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315827/

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJXW1RPD/

日本に野党はあるのか?自民党が権力を握り続けた「日本型民主主義」の真相(紙の爆弾2025年8・9月号掲載)

田中良紹

月刊「紙の爆弾」8・9月合併号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆田中角栄邸を訪れた国労書記長

 「日本政治の最大の問題は野党がないことだ」と私に言ったのは田中角栄元首相である。ロッキード事件の一審判決で有罪となり、日本中から「金権政治家」と批判され、野党から議員辞職を迫られていた1984年のことだ。
 田中は議員辞職をしない代わりに「自重自戒」と称して東京・目白台の私邸に籠り、政治活動を全面的に自粛した。私は田中派担当の政治記者だったが、派閥担当記者も本人を取材することができなかった。
 ところが秘書の早坂茂三と大喧嘩をしたことから私に機会が訪れた。早坂に気に入られたらしく「オヤジは誰とも会わずに暇を持て余している。話の聞き役をやってくれ」と言われたのである。
 1984年2月から田中が病に倒れる1985年2月までの1年間、私は田中邸に通い話の聞き役をやった。昔の思い出話から政治の現状批判まで、田中は憤懣をぶちまけるように喋りまくった。どれもこれも初めて聞く話で、メディアが報道してきた政治の実態とは大違いだ。新聞やテレビは政治の表面しか報道していないことがよくわかった。
 そんなある日、国労(国鉄労働組合)書記長の姿を田中邸で見た。国労は最左派の労働組合で、社会党の支持母体である。それがなぜ自民党最大派閥の領袖の私邸を訪れるのか。私は田中にその疑問をぶつけた。すると田中はこともなげに「みんな俺のところに相談に来る。賃上げでもなんでも俺が面倒を見ている」と言い、そしてぽつりと「日本政治の最大の問題は野党がないことだ」と言った。
 私が「社会党や共産党は野党ではないのか」と問うと、田中は「あれは野党ではない。労働組合と同じで要求するだけだ。国家を経営する気がない」と言う。私が納得できない顔をすると「選挙で勝つだけの候補者を立てていない」と付け加えた。
 その一言で目から鱗が落ちた。日本政治のカラクリが見えたような気がしたのだ。
 我々は先輩からジャーナリズムの精神を叩きこまれた。権力を監視し、弱い者の立場に立ち、日本が平和国家であるための報道を心掛けろと言われた。しかし現実は自民党が権力を握り続けて野党はいつまでも政権を獲れない。それを我々の力不足と考えてきたが、そうではないことに気がついた。

◆「過半数」と「3分の1」

 日本がGHQの占領支配から脱した3年後の1955年、左派と右派に分かれていた社会党が統一され、自由党と民主党が合流して自由民主党が誕生した。保守・革新の2大政党が対峙したが、その後の日本は自民党の長期単独政権が38年間続いた。これを「55年体制」という。
 55年体制下で最初の衆議院選挙は1958年に行なわれた。この時は社会党が政権を獲ろうと議席の半数を超える候補者を擁立した。しかし結果は3分の1を超える議席にとどまる。すると社会党は次の選挙から過半数の候補者を立てなくなる。つまり自民党から政権を奪うことをやめた。
 社会党は護憲政党であることを強調し、憲法改正をさせない3分の1の議席獲得を狙うようになった。それを私は見落としていた。なぜそうなったのか。
 背景に吉田茂の「狡猾なる外交術がある」と教えてくれたのは大蔵大臣時代の竹下登である。夏休みで河口湖の別荘にいた竹下に会いに行くと「山中湖の金丸さんの別荘に行ってカレンダーを1枚めくってみろ。丸の付いた日がある。野党が審議拒否に入る日だ」と言われた。金丸とは「国対政治のドン」と呼ばれた金丸信幹事長である。
 言われたとおりにすると本当に丸のついた日があった。秋の臨時国会で野党が審議拒否をする日が1カ月以上も前から決まっていた。それを野党と調整したのは竹下で、その結果を縁戚関係でもある金丸と事前に打ち合わせたことがわかる。
 当時の国会は必ず野党が審議拒否を行ない、それをメディアは決まって「与野党激突」と書いた。国会審議がすべて止まり、法案の成立が難しくなる。政府・与党が野党の徹底抗戦で追い込まれたように見える。しかし真相は違っていた。
 竹下によれば、自民党議員も社会党議員も知らないところで、自民党と社会党の1対1の秘密交渉が始まるという。社会党が要求する賃上げやスト処分撤回案とすべての法案が交渉のテーブルに載せられ、どの法案を成立させ、どの法案を廃案にするかが決められる。法案は社会党の要求と取り引きされるのだ。秘密交渉の中身は1対1の2人だけが腹に収めて誰にも言わない。竹下はそれを「ディス・イズ・ポリティックス」と言った。

※記事全文は↓
https://note.com/famous_ruff900/n/na0bcd6d9812d

《書評》『司法が原発を止める』、樋口英明裁判官と井戸謙一裁判官の対話、人を裁くただならぬ特権の舞台裏

黒薮哲哉

本書は、原発の操業を差し止めた二人の裁判官による対談集である。自らが執筆した原発訴訟の判決、法曹界に入った後に肌で感じた最高裁事務総局の違和感、裁判官として交友のあった人々の像など、大半の日本人には知りえないエピソードが登場する。

筆者にとって法曹界は取材対象の一分野である。と、いうのも2008年から09年にかけた次期に、読売新聞社から3件の裁判を起こされ、総計約8000万円を請求された体験があるからだ。これら3件の係争の背景には、新聞業界で尋常化している「押し紙」問題を告発した事情がある。「押し紙」による損害は年間で、少なく試算しても1000億円を超える。当然、ジャーナリズムの重要なテーマである。

巨大メディアが、日本を代表する人権擁護団体である自由人権協会の代表理事、喜田村洋一弁護士を代理人に立て、フリーランス記者をつぶしにかかった事件を、司法がどう裁くかを、自分の問題として考えた。

本書を一読して印象深かったのは、職業人として心血を注いだ判決を書いている裁判官の姿である。本書の対談者である井戸謙一氏と樋口英明氏が身に付けている高い職業倫理については、人伝いに聞いていたが、判決文を執筆する際に言葉の細部にまで神経を走らせているとまでは想像しなかった。たとえば次のくだりである。

「(樋口)福島第一原発事故が起こった後に井戸さんの判決を読み返して、本当に驚いた。言っていることはもちろん正しいですし、判決文の中に「砦」という言葉が出てくるのです。原発の運転を停止する際に必須な「止める・冷やす・閉じ込める」についてです。「最後の砦である機能も失われて」という表現。あの部分が強く印象に残っています。あそこは光って目立つ感じです。また、すごく丁寧に一つひとつの論点について説示してあるのが印象的でした。なぜこの判決が最高裁で破られたのか、それが不思議です。」

「(井戸)私は控訴審(高裁)に向けて判決文を書きましたよ。論理の中に穴があってはいけないので、とにかく穴がないように細かく細かくチェックして、あの文章を作っていました。」

井戸氏は、自らがかかわった身代金目的の誘拐事件では、「殺意が確定的か、未必的かという事実認定と量刑を死刑にするか無期懲役にするか」をめぐって、他の2人の裁判官と、「月曜日から金曜日まで、毎日、夜の11時ごろまで合議」を繰り返したという。正常な裁判官にとって、判決は丹精込めた「作品」にほかならない。

これに対して、筆者が30年近く取材してきた「押し紙」裁判の判決には、杜撰なものが多数を占める。おそらく結論が先に決まっていることがその原因だと思われる。たとえば数年前に日本経済新聞の販売店主が、「押し紙」裁判(京都地裁)で敗訴した事件がある。筆者は、原告から主要な裁判資料を入手して、内容を確認した。その結果、「押し紙」の損害を受け続けた原告が弁護士のアドバイスを受け、十数回にわたって内容証明で「押し紙」の仕入れを断っていたことなどが分かった。しかし、裁判官(合議)は、内容証明をもとに店主と日経新聞社が話し合ったから、過剰になっていた新聞は、押し売りされた部数には該当しないという奇妙な論理を組み立て、原告の請求を棄却していた。

また、「押し紙」裁判では、判決の直前になって、最高裁事務総局が不自然な裁判官の人事異動を行うことも日常茶反になっている。原発裁判と同様に、筆者は裁判そのものの公平性を疑わざるを得ない場面に繰り返し遭遇してきた。それゆえに、本書の内容が新鮮に感じられた。司法の原点をみたような気がした。

裁判官には、人を裁くただならぬ特権が付与されている。当然、司法ジャーナリズムは、裁判官を監視しなければならない。そのためには何が必要なのか。筆者は、判決という一種の「作品」を公けの場で批評することが重要な意味を持つと思う。当然、判決の著者を公表しなければならない。裁判の提訴と判決だけを報道することが、司法ジャーナリズムではない。

本書の企画は、新しい司法ジャーナリズムの試みとしても意義深い。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年7月19日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
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