「イラク派兵」で29人が自死した自衛隊を再び派兵させる日本のPKO責任

2004年1月、陸上自衛隊はイラクに派兵された。名目上は「PKO」を名乗っていたけれども、滞在地サマワではロケット砲が飛び交う、実質的な戦地だった。

この派兵は当時の首相小泉によって決定されたものであるが、現首相安倍は自衛隊派兵中に官房長官に就任している。

米国を中心とする「多国籍軍」によるイラク攻撃は「大量破壊兵器所持の疑い」が理由であったが、そんなものは実際にはなく、主犯格のブッシュはイラクをめちゃくちゃにした後に「あの戦争は間違っていた」と述べている。日本は同様にイラクが「大量破壊兵器所持の疑い」があるとして米国のイラク攻撃を支持するにとどまらず、実質的な戦地に自衛隊を派兵した。

◆思い込みだけで冤罪イラクを崩壊に追いやった多国籍軍・日本の責任

ブッシュが「間違っていた」と認めたイラク攻撃理由について安倍はどう考えているのだろうか。昨年5月28日衆院予算委員会での関連質問に「大量破壊兵器がないということを説明できるチャンスがあるにもかかわらず、それを証明しなかったのはイラクであったということは申し上げておきたい」と述べている。

イラクは当時何度も「大量破壊兵器など保持していない」と表明していた。それでも「いや、信用ならない。必ずイラクは持っている」という思い込みか、言いがかりかわからないけれども「多国籍軍」はとてつもない爆撃を行い、果てはフセイン大統領を殺してしまった。フセインの独裁政治に問題があったとしてもそれは内政問題であり、攻撃の理由などには到底ならない。その結果イラクはどうなった? イスラム国や米国傀儡政権、さらにはクルド民族勢力やアルカイダ系組織が戦闘を繰り返し泥沼の内戦が続いているではないか。

明らかな犯罪じゃないか。

いや犯罪などという言葉では軽すぎる。これは国家抹殺の大虐殺だ。であるのに安倍の見解は上記のとおりだ。冤罪で睨まれた容疑者と同じでいくら事実がなく「やっていません」といったところで「じゃあお前やっていないことを証明しろ」といわれてどうやって証明するのだ。犯罪が存在した事実を証明する義務を負うのは捜査当局であるし、この場合であれば米国や多国籍軍にその責任がある。

だが、主犯格の米国が「イラク容疑者は冤罪でした」とフセインを死刑にした後誤りを認めた。多国籍軍は向くのイラクに大虐殺を犯しただけのことなのだが、その責任があたかもイラクにあるかのごとき発言をいまだに安倍は行っているのだ。安倍はブッシュよりさらに悪質極まりない。

◆安倍の狂気で真っ先に犠牲になる自衛官たち

その安倍の狂気により最も生命の危機が脅かされているのは自衛官の皆さんだ。安倍が気まぐれに「シリアへ行け」、「イエメンへ行け」と言い出せば自衛隊の方々は拒否できない。もちろん現行法では戦地に自衛隊は赴けないけれども、解釈改憲を平然と行うような人間が安倍だ。憲法だって読み替えるのだから、法律などいくらでも屁理屈をこねて解釈を捻じ曲げるだろう。

こういった話を「物語」的に語れないのは不幸のきわみだけれども、真っ先に犠牲になるのは繰り返すが、自衛官の皆さんだ。そしてその対象が一般国民に広がるのにもこのまま行けばたいした時間はかからないだろう。

◆イラクから帰国後5年内に自衛官29名が自死した事実

実は、イラク現地での戦死者は出なかったけれども、実質的な戦死者は既に出ている。イラクから帰国後5年以内に確認されているだけで、陸上自衛官21名、航空自衛官8名合計29名が自ら命を絶っているのだ。

安倍は言うだろう「自殺と任務の因果関係は証明できない」と。

自衛隊は「交戦地帯」には赴かなかったはずだ。勿論実際の戦闘にも加わらなかったはずだ。にもかかわらずこれほど多くの自死者が出ているのは何故だ。報道されていたようにサマワで道路建設だけに従事していたのであれば自らを死に至らしめるような苦しみに苛まれるだろうか。派兵された自衛官の皆さんは公にされていないが心に熾烈な傷を負う経験をさせられたに違いない。そうでないというのであれば、安倍がイラクに求めたように「そんな苛烈な状態はなかった」ことを証明してみろ。

「安保法制の整備」などつまるところ「どうやって合法的に自衛隊をはじめとする国民を戦地に引きずり出すか」悪知恵の出し合いだ。

交戦なくして29名もの自衛官の戦死者が出ていることを国民は広く知るべきである。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
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基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」

「菅義偉官房長官は(4月)6日午前の記者会見で、翁長雄志沖縄県知事が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設問題をめぐって安倍首相との会談を求めたことについて「これから具体的に、どのような要望(が知事からなされる)かを詰めながら検討していきたい」と述べた。その上で、翁長氏が、名護市辺野古移設を進める政府の要人の口から「粛々」との言葉が相次いでいるのを批判したことに関し、菅長官は会見で「不快な思いを与えたということならば使うべきではないだろう」と述べ、今後は「粛々」という表現は用いない考えを示した。」(2015年4月6日時事通信

◆腹の中では「粛々」と「我が軍」を繰り返し唱え続ける狂気

この報道を目にしてから3日もたたないうちに、安倍は4月8日の参院予算委員会で米軍普天間飛行場の名護市辺野古異説に関する答弁で、「粛々と」と言い放った。「日本を元気にする会」の松田公太代表が「辺野古基地法」を国会で成立させ名護市の住民投票にかけることを提案(この提案自体名護市長選挙、名護市議選挙、沖縄県知事選挙、総選挙ですべて「辺野古基地建設反対」と絶対的な民意が示されているのに、何をいまさらとぼけた提案かと思うが)したのに対し安倍は「安全保障は政府が責任を負うのは当然だ」と切り出したうえで「既にある法令にのっとって粛々と進めているわけで、上乗せして法律を作る必要はない」と述べた。

これに先立つ3月30日に安倍は、やはりの衆院予算委員会で、先の国会答弁で自衛隊を「我が軍」と述べたことについて、「こうした答弁によって大切な予算委の時間が使われるなら、そういう言葉は私は使いません」と述べた。「大切な予算委の時間」が使われるから「我が軍」という言葉を使わないのが安倍の本心ということをまたしても吐露した形になり、こいつは防衛省自体が「自衛隊は軍隊ではない」と明言しているにもかかわらず、相変わらず腹の中では「我が軍」、「我が軍」と念じていることが明らかになった。

紹介したこの2つの発言は、首相として留まっていることを許される性質のものであろうか。官房長官が沖縄県知事と明確に約束した「粛々という表現は使わない」というごく簡単な合意でさえ数日で反故にしてしまう。無意識なのか故意なのか。どちらにしても沖縄の人だけでなく国民全体に対して馬鹿にするにもほどがある。私が心配する筋合いではないが菅官房長官はもう何があっても沖縄で信用されることはないだろう。

◆29回54カ国──2国間で直接協議すべき問題がない国ばかりを選んでの「外遊」という狂気

安倍の「粛々」発言は「暴言」や「失言」では済まされない。安倍の頭の中には自身の独りよがりの他に、沖縄(琉球)差別があるのではないか。というのは下記の国々の名前をご覧いただきたい。安倍が総理に就任(2013年1月)して以来訪問した国だ。

ベトナム、タイ、インドネシア(2)、米国(3)、モンゴル、ロシア(3)、サウジアラビア、アラブ首長国連盟、トルコ(2)、ミャンマー(2)、ポーランド、英国(2)、アイルランド、マレーシア、シンガポール(3)、フィリピン、バーレーン、クゥエート、ジプチ、カタール、アルゼンチン、カナダ、ブルネイ、カンボジア、ラオス、オマーン、コートジボアール、エチオピア、モザンビーク、スイス、インド、オランダ、ドイツ、ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギー(2)、イタリア(2)、バチカン、ニュージーランド、豪州(2)、パプアニューギニア、メキシコ、トリニダードトバコ、ブラジル、コロンビア、チリ、バングラディッシュ、スリランカ、中国、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区。

外遊回数は合計29回で、54カ国を訪問している。書き上げた国の名前はおおよそ訪問した順番でありカッコ内はその国に複数回訪問しているときの回数を示す。

いや、実に多くの国にお出かけで、と感心しているのではない。たとえば米国は3回訪問しているが、そのうち2回は国連総会出席のための訪問で、米国でオバマ大統領と個別に会談したのは1回きりである。

また中国訪問も1度あるが、これもAPEC首脳会議出席が主目的で空き時間にかろうじて25分だけ習近平国家主席と形ばかりの会談をしたに過ぎない。尖閣問題などについてワーワー騒いでいる割にはこの会談でまったくといってよいほど何も成果は得られていない。そして上記の国の中に韓国の名前は出てこない。

要するに2国間で本来直接協議すべき国問題がある国には出かけていけないのが「安倍外交」なのだ。それは国内でも同様で、一番問題のある「沖縄」へは「怖くて」行くことができないのだ。中国にだってAPEC首脳会議がなければ訪問していないだろう。

◆ごく簡単な約束すら「守れなくなっている」安倍は自身の体調もすでに「末期」

最初の訪問国ベトナムで安倍は何をしてきたか? 「5億ドル(466億円)の円借款を供与を行う意向を伝え」原発をセールスしてきたじゃないか。サウジアラビアでも、アブ首長国連邦といった産油国にも「原発どないでっしゃろ?」売り込みに余念がなかったじゃないか。そんな話する暇があったらOPEC加入国以外に比べて不当に高い原油価格の値切り交渉でもしたらどうなのだ。

今年の2月を除いて安倍は就任以来1月に1度も外遊に出ていない月がない。外務省のHPに詳細が掲載されているが訪問名目的や概要を読むとTPPに関連したものがやたら多いことが目に付くのと、この外遊がいったいなぜ必要なのかと首を傾げてしまうものがあまりにも多い。ちなみに安倍は前回首相に就任した2006年も10月から12月まで毎月外遊に出ていた。2007年に入り1月の欧州アジア訪問から4月末の米国中東歴訪まで間が空く。さらに、5月と7月も外遊がなく9月の豪州訪問で体調を壊し、辞任へと追い込まれた。

つまり、安倍は毎月のように「どうでもよい」外遊に出ないと体が持たないことをこの事実は示している。訪問先は「どうでもよい」場所でなければならない。間違っても単独で韓国や中国へは行けない。そして沖縄にも。

ごく簡単な官房長官と知事の約束すら「守れなくなっている」のが安倍の体調とみていいだろう。この男は3月末幸いにもシンガポールのリー・クアンユー元首相の国葬へ「出国」出来たがその前の外遊は、例の「人質見殺し」宣言をした中東歴訪だった。外遊だけが体調維持の支えになっているこの男、安保法制を審議する6月24日までは国会があるから余程のことがなければ長期外遊はないだろう(体調回復のためにゴールデンウィークに余分な外遊を入れる可能性はあるが)。沖縄の人々の怨嗟にむせび泣く直面できない安倍の体から悲鳴が聞こえる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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◎自民党の報道弾圧は10日施行の秘密保護法を後ろ盾にした恫喝の始まり

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「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?

4月2日、ケニアではアルカイダ系とされる「アルシャバーブ」の襲撃を受け大学で148人もの犠牲者が出る凄惨な事件が起きた。

国連安保理事会では4日イエメン情勢を巡り、非公開の緊急会合が開かれた。首都サヌアなどを占拠するイスラム教シーア派の武装組織「フーシ派」への、サウジアラビアなどによる空爆の停止などについて討議が行われた。イエメンでは、フーシ派の武力攻勢でハディ暫定大統領が出国する事態に陥り、サウジアラビアなど周辺10カ国の有志連合軍が先月下旬からフーシ派への空爆を開始する一方、フーシ派を支援してきたイランが攻撃の即時中止を求めるなど混乱が続いている。

◆チュニジア、シリア、パレスチナ──実態以上に混乱している理解力

3月18日には、チュニジアの首都チュニスで国立博物館が襲撃され、日本人3人を含む外国人観光客など21人が殺害される事件が起こった。

日本人の負傷者の中には自衛官がいたことが後に明らかになり問題視されたこの事件、現場で射殺された2人の実行犯はチュニジア人、26歳と20歳の若者で2人はアルカイダ系のイスラム過激派組織「チュニジアのアンサール・シャリーア」の中でも、最も過激なグループに属していたとみられている。チュニジア政府は事件後複数の外国人を含む23人を事件の容疑者として逮捕している。

チュニジアは「アラブの春の数少ない成功例」とも言われ、政変が起こった国の中では治安も安定しており、2月には世俗派政党からイスラム系政党も加わった挙国連立内閣が成立し、政権の形態としても安定を迎えているはずだった。

一方シリアでは4月5日現在、ダマス近郊のヤルム―ク・キャンプで、イスラム国(IS)対パレスチナ勢力と反政府軍の攻防が続いているが、シリアからの消息筋によるとイスラム国(IS)がキャンプの90%を占拠していると報じられている。同じく消息筋はシリア空軍機がヤルムークキャンプに複数回の空爆を行い、住民に死傷者が多数出ていると報じている。

他方、パレスチナ大統領府は同キャンプでの戦闘停止のために、国際社会、アラブ社会、国際機関と接触して、働きかけていると表明した。大統領府は、「パレスチナの立場はシリア内戦に不介入と言うことで一貫しており、パレスチナ人を紛争に引きづり込んではならないと語った」ということだ。

◆ISの後ろ盾はイスラエル?──俯瞰できない「イスラム国」をめぐる各地の政情

私はこれらの国々の混乱を前にして、「大義」や「正義」とは何かが改めて解らなくなっている。おそらく報道している方々もそうではないだろうか。正直なところ俯瞰が出来ないのだ。ことにシリア情勢は混乱の極みだ。イスラム国は文字通りイスラム信仰のはずなのにパレスチナ勢力と交戦してる。パレスチナはイスラエルから散々いじめられ続けている「悲劇」の国ではなかっいたのか。

「過激過ぎる」と避難される「イスラム国」の後ろ盾にはイスラエルがいるとの情報にはあちこちで接する。イスラム教徒にとって許すことのできないはずのイスラエルがこともあろうに「イスラム国」を援助しているのが事実だとすればその真意は何だろう。

シリア政府は国連から散々非難を浴び、米国から空爆を受けその残虐振りが伝えられているけれども、反政府勢力とパレスチナ勢力は必ずしも友好的ではないらしい。

有志連合各国はその名の通り「有志」に過ぎず正式な軍事同盟ではないから、この混乱ぶりを前に抜け出す国も出てくるのではないだろうか。

◆「知ること」を怠り、ただ「忘れていく」だけの日本社会

日本人人質がイラクで殺害された事件がもう遠い昔のように、次々と局面が転換してゆく。「イスラム国」は絶対悪だと声を揃えて非難をしていた報道も、このような混乱を前に声のトーンが落ちて来た。

中東やアフリカで起こっている数々の襲撃事件や交戦は確かに悲惨極まりない。そのすべてが「テロ」である。

だから我々はもう一度考え直す必要はないだろうか「テロとの戦い」、「テロは絶対に許さない」という言葉がぜんたいどれほどの意味をもつというのか。2者の対立ではない。伝えられない細かな分派闘争も現地ではあるだあろう。そんな状況に向かって「テロは許さない」という言葉を投げかけることに意味があるのだろうか。シーア派とスンニン派の違い、同じイスラム教を信仰していても民族文化の違いなど私達は事態を正しく理解する知識を持っているだろうか。

◆紛争地帯へ「武装して行く」と言えるほど私たちは世界が分かってはいない

私に言えることは「私たちはこれらの紛争地帯へ武装して行くなどと言えるほど世界が分かってはいない。仮に出しゃばれば混乱を悪化させるか、不要にまきこまれるだけではないか」ということのみだ。

その態度を「弱気だ、国際社会に対して無責任だ」と言われても構わない。責任を取って自体を収束させる処方箋を持つ !と自負する国が腹を据えて首を突っ込めばいい。そういう国は「有志連合」に既に参加している。勇ましさよりも、慎ましやかさが賢明な選択肢であることが、国際紛争ではしばしばある。と言ったら日和見主義と誹られるかもしれないけれども、いいじゃないか。「テロ合戦」延長の戦争に加わるよりも──。

▼田所敏夫(たどころ としお)
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貴様!何様!産経様!──全ておかしい産経【主張】に逐一「喝!」を入れてみた

産経新聞は3月24日の【主張】で「道徳教科化『愛国心』を堂々と育もう」を掲載した。この表題自体、記事の見出しとはいえ、日本語として語感がおかしいが、内容は更に凄まじい。抽象的で論理が一貫していないだけではなく、誰に向けて書いているのかも不案内だ。自分で吠えて満足をしているのか、読者に訴えたいのか、あるいは特定の対象がいるのか。新聞の社説としては内容以前に文章の体裁から問題からしてレベルに問題がある。

◆産経新聞は「政府の広報紙」以下の宣伝ビラ

私は産経新聞をまともな新聞であるとは考えていない。出来の悪い歴史改竄主義者と差別者の宣伝ビラのようなものだととらえている。しかし少ない実売部数の割にはネットニュースなどで幅を利かせているので無視はできない。

この際いかにも産経新聞らしいエッセンス満載の【主張】が掲載されたので全文を逐語的に叩かせていただく。産経新聞内にも良心的な記者がいるのかもしれないが、少なくとも下記のような主張を乗せる新聞は「政府の広報紙」以下だ。尚、こんな徒労は出来れば今回限りにしておきたいのが本音である。
(※以下、文頭の「産経」は産経記事引用文、「喝!」が私の見解である)

◆「愛国心」を強制する道徳教育から「多角的」な視点などは生まれはしない

産経 道徳の教科化に対し、相変わらず「価値観の押しつけ」などと反対意見がある。

喝! 当然である。「道徳」の概念は単一ではないのだから国家が義務教育で強制するような性質のものではない。

産経 しかし、道徳は、立場による価値判断の違いを知るなど物事を多角的にみる力を養う。

喝! 物事を多角的にみる力は「価値の強制」によって育成されるものではない。また「愛国心」を強制するような教育から「多角的」な視点などは生まれない。

産経 公共心、愛国心などを否定する偏向教育こそ改め、子供たちの心を捉える指導を工夫したい。

喝! ほら、もう本音が出た。「公共心、愛国心などを否定する偏向教育」の逆は「公共心、愛国心を強制する偏向教育」だ。「公共の理念」ならばいざ知らず、「愛国心」など何故強制されなければならないのか。そもそも「愛」は強制の上に成り立つものなのか。強制しなければ成立しない「愛」などは本来の「愛情」と相いれないじゃないか。さすがに昔のように軍歌を教えて教育勅語を暗記させるわけにはいかないから「子供たちの心を捉える指導を工夫したい」のか。今度はいったいどうやって騙そうとしているのだ?

産経 道徳は、小学校で平成30年度、中学で31年度から教科書を使い、記述式で成績評価が行われる「特別の教科」に格上げされる予定だ。

喝! 勝手に決めるな。迷惑千万だから御免こうむる。

産経 この指導指針となる学習指導要領改定案について文部科学省が意見公募(パブリックコメント)したところ、6千件の意見が寄せられる関心の高さをみせた。賛否の割合は集計されていないが、賛成では「正直、誠実」など徳目を例示した改定案について「分かりやすくてよい」など評価する意見があった。

喝! 組織動員以外は反対意見が多かったのだろう。だから賛否の割合を公開しないのだ。中には賛成意見もあろうが、「分かりやすくてよい」とされた「正直、誠実」など徳目を評価の基準にすれば「嘘つき」で「不誠実」な自公をはじめとする多くの政治家は不合格になるが、それでもいいのか。

産経 一方、反対意見では「偏狭なナショナリズムにつながる」「国の考え方を子供に植え付ける危険性が極めて高い」などの批判があったという。

喝! それ以外に「道徳教科化」の目的があるのであれば教えてほしい。嘘、偽りばかり毎日述べている政治家や文科省の口から出る「道徳」など思想洗脳以外に何の目的があるというのだ

産経 しかしこうした特定の考え方を押しつけるような指導は、教科化を提言した中央教育審議会の答申で、道徳教育とは「対極にある」と明言されたことを知ってほしい。思いやりや正義、公正さなどを教えるのは押しつけではなく、戦後教育に欠けていたことだ。

喝! 中央教育審議会は文科省の意向に沿った答申しか出さない。文科省が隠れ蓑に使っている中教審「答申」が何を「明言」しようと、そんなものが信用できる道理がない。「思いやりや正義、公正さなどを教えるのは押しつけではなく」とある。それはそのとおりだ。根本法である憲法では「思いやり」という言葉自体は用いられていないが「公正と信義」という表現が前文にある。憲法の精神を教育現場で教えることはいわば義務教育の責務であり、それが欠けていたとすれば正されなければならない。但しこの文脈から読み取れるのはそのような批判ではないようだ。産経新聞にとっての「思いやりや正義」主語に「国に対して」がつく「思いやり」や「自己撞着的」な「正義」ではないのか。

産経 改正教育基本法で教育の目標として明示された「国と郷土を愛する態度」も、道徳教科化に伴い重視されているが、「愛国心の押しつけ」と反発がある。だが自国の伝統文化を知らず誇りを持てなければ、他国への尊敬の念も生まれず、国際社会で信頼も得られないだろう。

喝! 改正教育基本法自体が悪意に満ちた悪法だ。前回の安倍政権最大の負の遺産と言ってもいいだろう。またぞろ登場する「国と郷土を愛する態度」などどのような尺度で測るというのだ。「愛する態度がよろしい」、「愛する態度に問題あり」などという馬鹿げた議論や評価は義務教育の場で行われてよいものではない。「自国の伝統文化を知らず誇りを持てなければ」とはとんでもない論理破綻である。

◆日本文化に誇りを持つか否かはあくまで「個」の領域

喝! 産経新聞によると「自国の伝統文化を知れば全員が誇りを持つ」という前提で議論が進められている。勿論日本文化の中に優れた要素はたくさんある。また逆に恥ずべき歴史だってある。それらすべてを知った上で個人がどの程度この国に思いを寄せるかは完全に「内面」の問題であって、いかに親兄弟であっても立ち入ってはならない「個」の領域だ。

さらにその前提がないと「他国への尊敬の念も生まれず、国際社会で信頼も得られないだろう」などと勘違いも甚だしい暴論が展開される。そんなバカなことがあるか。当の産経新聞自体が「日本の歴史文化を充分に理解して他国を尊敬」しているのか。中国や韓国への剥き出しの差別と憎悪を日々誌面に刻んでいる自分の態度をどうやって正当化するのか。

よその国にだって「愛国心」を教育で扱い、あるいは「強制」している国もある。はっきりしていることは「愛国心」を強制しなければいけない国のほとんどは「独裁国家」やそれに近く「自由」の少ない国たちであることだ。民主化が実現され、多様性を認めている国では「愛国心」教育など行われていない。なぜならばそういった国では国家が教育機関で「愛国心」を教えなくとも、多くの国民が自然に自国に好意を抱くからだ。

産経 内閣府の世論調査をみても、「国民の間に『国を愛する』気持ちをもっと育てる必要がある」と考える人は75%と多い。

喝! 恣意的な質問項目によって誘導された数字ではないか、そうでなければ少なくとも調査名くらいは掲載するのが新聞のルールだ(産経新聞に期待しても無理かもしれないけれども)。

産経 これまで学校では、愛国心や公に尽くすことの大切さを教えることを避けてこなかったか。

喝! 「避けて」と表現すると、あたかも卑怯なことをしているかの如き響きだが義務教育の公立学校で、「愛国心や公に尽くすことの大切さを教える」ことなどは間違っても「やってはならない」ことである。この部分の産経新聞の本音を代弁してやろうか。「国のために死ねる国民精神の育成がなされていなかったのではないか」じゃないのか。

産経 先人の偉業だけでなく失敗も含め、社会のために苦闘した物語などを積極的に取り上げ、考えることを通し、育んでいきたい。

喝! こういったことは「道徳」でなく「社会」あるいは「生活」の中で教えればよいことであり、ことさら道徳を教科化する根拠には全くなりえない。

◆「平成男」の小渕でさえ「教育現場で国旗は義務付けられない」と公言していた

産経 意見公募では、道徳の授業を成績評価することについて「教師の求める発言をする子供が増える」など懸念する意見もあった。道徳は教師の資質、指導力が何よりも問われることを肝に銘じ取り組んでほしい。

喝! そんな些末な問題では済まないことはもう実例が証明しているじゃないか。「教師の求める発言をする子供が増える」以前に偏狭な「愛国心」教育を拒否する良心的教師が処罰され、職を追われてゆくだろう。

1999年に成立した国家国旗法審議に当り、当時の首相小渕は国会で以下のように述べていた。

「学校におきましては指導要領に基づき、国旗・国歌について児童生徒を指導すべき責務を負っており、学校におけるこのような国旗・国歌の指導は、国民として必要な基礎的、基本的な内容を身につけることを目的として行われておるものでありまして、子供たちの良心の自由を制約しようというものでないと考えております。」

「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。

この答弁によれば教育現場で国旗は義務付けられないはずだし、ましてや君が代を歌わない教師への処罰などないはずだが、現状はどうだ? 子供の教育云々の前に教師が校長から監視され処罰を受けているではないか。小渕の「空手形」は懸念通り完全に反故にされているではないか。

「道徳は教師の資質、指導力が何よりも問われることを肝に銘じ取り組んでほしい」という産経新聞はこの【主張】を小学校の教師に向けて書いているのか。だとしたら思い上がりも甚だしいと言わねばならない。「お前は何様なんだ」と。

部数は少なくともこういった極端な分子を利用しながら権力は更に教育の統制を進めようとしている。道徳教育教科化策動は正にそれを証明している。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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自粛しない、潰されない──創刊10周年『紙の爆弾』5月号本日発売!
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怒れ!消費者──「健康」より経済効果を優先する厚労省「食品行政」制度利権

2月10日の本コラムで4月1日から「健康な食事を普及するマーク」が導入されることを紹介した。この制度は販売者が「勝手に」自分の売る商品に「健康な食事マーク」を表示できるという、あまりにも無責任かつ無意味な制度で、消費者に誤解を与えることが必至であることを批判した。

ところが3月22日になって厚生労働省は「基準や認証に関する議論が不足している」との批判をが相次いだのを受け4月からの制度導入を先送りすることを決定した。

ほらみたことか。

しかし導入間近になっての「ドタキャン」だ。弁当会社やコンビニチェーンでは既に「マーク」の印刷などを終え準備してた業者もあろう。

「何やってんだ国は!」と無駄な業務に追いまくられた担当者の恨み節が聞こえてきそうだが、一般の消費者にとっては必ず誤解を生む迷惑以外の何ものでもない「健康マーク」導入が延期されたことは、当たり前とは言え歓迎すべきニュースだ。

◆4月1日実施の「機能性表示食品」は「特定保健用食品」となにが違うのか?

ところが、国が同時に導入を決めていて既に4月1日から実施された同様の制度がある。「機能性表示食品」がそれだ。現在、食品について効果や機能を表示することは原則として認められていない。「健康食品」と呼ばれる類で、国がそれを認めているのは、「特定保健用食品」(トクホ)と「栄養機能食品」だけだ。そこに「機能性表示食品」が加わった。これはいったいどんな代物だろう。

「特定保健用食品」(トクホ)は国の販売許可を得る必要がある。材料や栄養価などの資料を国に提出し、許可を得ないと「トクホ」を名乗ることは出来ない。時間もかかるしメーカーとしては費用もかさむ。一方の栄養機能食品は、国の基準さえ満たせば使えるが、成分ごとに使える文言が決まっている。そこに登場したのが「機能性表示食品」だ。届出制ではあるが、国による個別審査はなく、企業自身の責任で科学的根拠のある機能性を食品に表示できるのが最大の特長とされている。つまり「トクホ」よりも手続きが簡素で、「栄養機能食品」よりも表示の自由度が高い、これまた「あやふや」な制度である。

「○○をたくさん含んでいて、胃腸の働きを良くする効果があると言われています」

といった具合の表現で商品を宣伝することが可能になるらしい。だが、これはあくまで、「健康」に関してだけであり「病気」の治療や予防に効果があるといった表現は認められないようだ。

しかしこの制度も一見「健康」という隠れ蓑を被っていながら、やはり導入の動機は不純なものだ。「栄養機能食品」は安倍政権の成長戦略の一環と位置付けられているのだ。おいおいまた「経済かよ」とげんなりする。

◆成長市場の健康食品分野で許認可や届出制度を増やし、利権を漁る政官癒着

健康食品関連市場は年間売り上げが二兆円ともいわれる成長分野だ。農産物の海外展開も視野に入れたいとの腹黒い思惑で「機能表示制度」制度は、米国の例を参考に導入が決まったのだ。1990年代に同様の緩和を行った米国でサプリメントや健康食品市場が拡大したことを、安倍の取り巻きの誰かあざとい奴が耳打ちしたのだろう。

決して「健康」や「体にいい」ことを真剣に精査しようというのが制度導入の理念ではない。検討委員会の議事録にはあれこれ御託が並べられているけれども、あくまで「売上増加」のためのいわば「広報戦略援助」として同制度が導入されることを私たちは知っておいたほうがよい。

◆新自由主義者は何でも米国のまねをしたがる

新自由主義者は何でも米国のまねをしたがるし、すれば成功すると思っている。しかしそれは勘違いも甚だしい。これも以前、本コラム(粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」)で述べたが、米国には「アメリカ料理」と呼ばれるようなものはない。その代りにスーパーマーケットに行けば夥しい量の缶づめや冷凍食品が売られている。生鮮食品も売られてはいるがバランス良い料理を自分で上手に料理できる人は少ない。

だから肉食に偏りがちで、カロリーを摂取し過ぎ高血圧や肥満が横行するのだ。そこでバランスのとれた栄養を得ようとビタミンやミネラルのサプリメントが80年代前半から売り上げを伸ばし始めた。同時期に健康に良さそうな豆腐など日本食への興味も高まった。そして90年代の制度変更で更にサプリメントの売り上げが上昇した。背景にある食文化が日本とは全く異なるのだ。

「機能性表示食品」は、表示の科学的根拠を示す臨床研究結果や論文を、販売の60日前までに消費者庁に届け出るだけでいい。お手軽な制度だ。「食」に関してこの国は健康や「体に良い」ことよりも明らかに「経済効果」を中心に考えている。

政府の物差しを信じていると健康さえもどうされるかわからない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎制度は作るが責任は取らない厚労省「健康な食事を普及するマーク」の怪
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎就職難の弁護士を貸付金強要で飼い殺すボス弁事務所「悪のからくり」
◎関西大で小出裕章、浅野健一、松岡利康らによる特別講義が今春開講!
◎『噂の眞相』から『紙の爆弾』へと連なる反権力とスキャンダリズムの現在

『紙の爆弾』は自粛しない!潰れない!創刊10周年記念号明日7日発売!別刷の特別付録『「被ばく」を理解するための最低限の基礎知識』は必読です!

 

就職難の弁護士を貸付金強要で飼い殺すボス弁事務所「悪のからくり」

以前、本コラムで「ロースクール」の惨状 について言及したが、法曹の現場では司法改革に端を発する深刻な「事件」が既に起こっている。

新司法試験導入以降、合格者は激増し、昨年も約2000人が合格している。

裁判官、検事に就任するのはその中でも僅かであり、弁護士登録をする人がほとんどである。だから弁護士は毎年凄まじい勢いで増加している。日弁連によると、2000年時点で弁護士登録者は17,126名だったが、2014年には35,045名だ。15年間で倍増しているということだ。

◆人員過剰で就職もままならぬ弁護士たち

だからといって、日本が米国のような「訴訟社会」に急変したわけではないので、弁護士にとっては「仕事」を確保するのがますます困難を極める時代になっている。

特に、登録して日の浅い弁護士にとっては、まず「仕事」が見つけられる「所属事務所」に加わる(弁護士業界でも所属事務所探しを「就職活動」と呼ぶらしい)ところからスタートを切らなければならないが、前述の通り「人員過剰気味」の弁護士業界では「就職活動」自体もかなりの困難を伴うという。

◆基本給も交通費も支給せず弁護士に月12万円を貸し付ける「事務所内独立弁護士契約書」

「弁護士就職難」時代に付け込んで、「とんでもないやりくちを展開している悪徳事務所がある」と読者から情報提供があった。

大阪のP弁護士事務所(以後「P事務所」)は「ボス弁」と呼ばれる高齢弁護士(経営者)が実質的に取り仕切っているが、昨年までは20代から30代を中心に10余名の弁護士が所属していた。ところが現在P弁護士事務所所属の弁護士は5名に減っている。何故だろうか。

それを読み解くカギは、「ボス弁」Qと事務所所属の弁護士の間で交わされた「事務所内独立弁護士契約書」にある。弁護士事務所は一般の企業と異なり「雇用契約」を結ぶわけではない。弁護士は「個人事業主」との考えに基づいているため、「事務所内独立弁護士契約書」という名称になるのだそうだ。

P事務所所属弁護士には「基本給」はない。交通費も支給されない。社会保険も自分で加入しなければならない。そして事務所が受任した仕事を各弁護士に割り振り、そこから個々の弁護士が「着手金」や「成功報酬」を得る契約になっている。

だが、その割合は、「甲(ボス弁)は、乙(事務所所属弁護士)に対し、甲と乙の共同受任案件について、弁護料(着手金,報酬金)のうち原則30%を分配金として配分するものとし、その都度、具体的金額を合意する。」とされている。

50万円の事件を事務所で受けて所属弁護士が業務にあたっても、取り分は15万円にしかならない。勿論、事務所維持のためには固定費用(事務所賃貸料等)の他広告宣伝費用などもかかるだろうから事務所が幾ばくかを持っていくのは仕方ないにしても、固定給、交通費が一切支払われない中で受任事件の「3割」しか弁護士個人の収入にならないような体系で、果たしてP事務所に所属していて「生活」してゆくことが可能な収入を得ることが出来るであろうか。

出来はしない。だから10余名いた弁護士の半数以上がP弁護士事務所を去ったのだ。

◆貸付金は無利息だが返済条件はボス弁が勝手に決める

さらに、「事務所内独立弁護士契約書」内には驚くべき内容が含まれる。

「1 丙は乙に対し、平成00年0月から平成00年00月(契約書中00及び0は特定の月日が記入されている)末まで,毎月25日限り金12万円を貸付する。
2 前項の貸付金は無利息とし、その他の返済条件は丙が取り決める。」

「甲」、「乙」に続き新たに「丙」が登場する。ところが「甲」と「丙」は同一人物(ボス弁)である。実際には2者(ボス弁と個人弁護士)の間でしか交わされていないこの「契約書」にわざわざ同一人物を「甲」と「丙」に分けているあたりは法律の専門家として「犯罪逃れの」の意図があるのであろうか。

どちらにせよ仕事の有無や業績とは一切関係なく、「P事務所は所属弁護士に毎月12万円を一方的に貸し付ける」、「無利息だが返済条件はボス弁が勝手に決める」ということを臆面もなく書いている。

P弁護士事務所は名前の通り「弁護士事務所」であって「サラ金」や「街金」ではないはずだ。何故に弁護士事務所が所属弁護士に「無理矢理毎月貸付」を行うのか。行う必要があるのか。

P事務所の恐ろしさは「強引貸付」だけではない。「事務所内独立弁護士契約書」には「赤字貸付制度」も明文化されている。いわく、

「(赤字貸付金制度)1 前条の規定にかかわらず、乙は,甲の月次損益が赤字となったときには、月額金7万円(年額金84万円)を限度額として甲に対して赤字貸付金として貸付するものとし、赤字貸付金制度の適用の有無及びその具体的金額の算出を甲に委ねる。」

もう一度確認しよう。「甲」はボス弁で「乙」は所属する個人の弁護士だ。だから解り易く言い換えると、

「経営者が月次の赤字を出した時、所属弁護士は月額金7万円(年額金84万円)を限度額として(各弁護士の所得の如何にかかわらず)経営者に赤字分を貸さなければならない。その具体的な金額はボス弁が決める」

ということである。会社に例えれば「月次決算が赤字になった時はその赤字分を従業員の給与から会社へ自動的に天引き貸与させる」ということだ。

収入があろうがなかろうが、毎月12万円を貸し付けるわ、事務所の赤字が出れば「貸付」という名の「供出」を強要するわ、これは「カタギ」のすることではない。

◆弁護士がボス弁に騙されるのが悪いのか?

この情報提供者は「契約についての話をボス弁と交わした(面接)の際に「強引貸付」の話は一切出ず、いざ契約となったらこの文言が含まれていて驚いたが、仕事を確保しなければいけない事情もあり、仕方なく契約書にはサインした」と語っている。

読者の中には「弁護士さんなんだからそんな契約拒否すればいいのに」とお考えになる方もいるかもしれないが、現在の若手弁護士はそれくらい仕事にありつくにあたり弱い立場に置かれているという実情をこそご理解されるべきだろう。

P事務所の場合「騙された方が悪い」というのは間違いだ。相手の足元を見て「騙した奴」が悪なのだ。情報提供者以外にも少なくない若手弁護士がこのような「悪徳契約」を押し付けられ、仕事を得るために仕方なくサインはしたもののP事務所を去っている事実が何よりもこの悪行の本質を物語る。

弁護士は法律の専門家だけにその法知識を市民や正義の為に使ってくれる人は弱者の味方だが、逆もまた真なりで「ワル」はとことん「ワル」である。

◆このままでは「弁護士」という職への信頼自体が地に堕ちる

問題はこの手の詐欺師まがいの弁護士や弁護士事務所がP事務所に限った事ではないことだ。若手弁護士の将来を台無しにしようがお構いなし。「街金」でも驚くような悪徳経営事務所は増加の一途だ。

P事務所を取り仕切るQ弁護士(ボス弁)には正当な制裁が加えられるべきだが、呆れたことにP事務所は現在も懲りずに新人採用広告を出している。日弁連なり各地の弁護士会はこのような悪徳弁護士対策を急ぐべきではないか。そうでなければ「弁護士」という職への信頼自体が地に堕ちる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎不良と愛国──中曽根康弘さえ否定する三原じゅん子の「八紘一宇」
◎秘密保護法紛いの就業規則改定で社員に「言論封殺」を強いる岩波書店の錯乱
◎防衛省に公式見解を聞いてみた──「自衛隊は『軍隊』ではありません」
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

[お知らせ]月刊『紙の爆弾』創刊10周年記念の集いを4月7日東京で開催します!

防衛省に公式見解を聞いてみた──「自衛隊は『軍隊』ではありません」

暴走は止まらない。かつての政府見解も、閣議決定もこの男の前では意味がないようだ。ついに安倍は、自衛隊を「わが軍」と呼び本音を吐露した。

いつの間に「お前の軍隊になったのか」といった揶揄ではすますわけにはいかない。

◆防衛省に電話をかけて公式見解を聞いてみた

だから、当の「防衛省」に電話取材した(03-5366-3111)。

「自衛隊の法的位置づけについて教えていただきたいのですが」と代表番号に出た方に告げると、広報課に電話が回された。

「先日、国会で安倍首相が『わが軍』という表現で自衛隊を表現しましたが、防衛省のご見解はいかがでしょうか」

そう尋ねると至極全うな答えが返ってきた。

「憲法上最小限を超える実力を保持してはならない、という制約を政府から受けていますので自衛隊は『軍隊』ではありません」

と、電話応対してくださった方は語った。

私は、「国会で首相(自衛隊の最高指揮官)が『軍』という表現と意味を語ったことについてはどうお考えになりますか」と問うたが、「ここで個人的な意見を述べるのは差し控えさえていただきたい」との回答だった。担当者の氏名を聞いたが「申し訳ございません。お答えできません」との回答だった。

◆防衛省の回答と安倍「わが軍」発言の激しい齟齬

「わが軍」発言で私が確認したかったのは、防衛省の認識だけだ。安倍? あのドアホはどうでもいい(不幸にもこの国の最高権力者だから、本当はどうでもよくはないのだけれども)。

防衛省は明確に自衛隊が「軍隊」であることを否定した。安倍の暴言後、菅官房長官が「問題はない」といつも通りの「ボケ」をかましているけれども、防衛省の公式回答と安倍の発言の齟齬をどう説明するつもりだ。

急ぎ読者にご報告したく短文となったが、再度繰り返す。防衛省は自衛隊を「軍隊」と看做していないのに、安倍は自衛隊が「軍隊」であるかのように発言をした。

これは重大な行政知識不足と本人の思想が先行した暴言以外の何物でもない。
安倍は明日にでも防衛省に出向いて謝罪すべきである。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
◎恣意的に「危機」を煽る日本政府のご都合主義は在特会とよく似ている
◎福島原発事故忘れまじ──この国で続いている原子力「無法状態」下の日常
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

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私が出会った「身近な名医」高木俊介医師は精神科在宅治療のパイオニア

「精神分裂病」という病名が存在していたことをご記憶だろうか。2002年以降医学界で使われることはなくなり、世間話でも使う人はほとんどいなくなった。現在は「統合失調症」という名称で呼ばれる精神疾患だが、この疾病の名称変更を実現したのは高木俊介医師の尽力によるものである。

高木医師には大学職員時代から大変お世話になってきたが、恥ずべきことに高木医師が「統合失調症」の名づけ親だと知ったのは大学を辞めてからであった。身近に偉人はいるものである。

◆「患者が安心できる」プロフェッショナルな対応に感服

私が最初に高木医師に出会ったのは、それこそ「統合失調症」の学生が手におえないほどの状態に陥り、親御さんもあまり学生の状態に熱心に向かい合ってくれなかったので、保健所の無料相談窓口を訪ねた時だった。相談窓口に高木医師がいた。

偶然にもその学生は自身で高木先生の診察を受けており、高木先生は穏やかな表情で「僕からすると統合失調症の患者さんは可愛いいんですわ。彼はこの間診察中に私の机をひっくり返しましてね。『今度やったら警察呼ぶぞ』って言ってやったら、シュンとしてました。甘えてるんですわ、私にはそのくらい許されるだろうと」と当該学生の病状について解りやすく説明していただいた。穏やかな語り口なのでだいぶ「高齢のベテラン先生か」と思ったが、実は当時まだ40歳前後だった。

医師はその専門にかかわらず、「患者が安心する」対応が求められる。とりわけ精神科医には「心の病気」を扱うプロとして「優しい対応」が期待される。学生や知人、また私自身が不調な際に数々の精神科医にお会いしたが、医師としての能力もさることながら、「患者に寄り添う」姿勢がない医師はなかなか安心して本音を話しにくいし治療も進まない。

◆医師は名声で判断してはいけない

知人に精神科医の世界では「知らない人がいない」と言われる「大御所」のお世話になった人間がいる。事情があり私も同行することになった。私も書籍などでその医師のことは知っていたので、「大御所」がどのように知人の治療に当たってくれるか、失礼ながら興味があった。

知人が自覚症状を話すと「鬱病ですね。一番気をつけなければいけないことは自殺です。この状態の患者さんはしばしば自殺を頭に描きます」と語られた。そんなものなのかと思い、帰路車の中で知人に聞いてみた「俺から見たらお前はだいぶ疲れているのは確かだけど、自殺考えたことあるか?」と聞くと「腹立ってるんだ。自分は鬱病だとは思う。でも今まで自殺なんて考えたこともないし、あんな言葉聴かされてかえって気分悪くなったわ」さらに「会計でいくら払わされたと思う?」と逆に私に聞くので「わからない5000円くらいか?」と言うと「『初診は自費だから』って2万円だよ。俺、鬱病って言われたよな。何で保険使えないんだろう。あの医者自分が偉いからって殿様商売してるんじゃないか」ということがあった。

患者から「殿様商売してるんじゃないか」と思われた時点で医師と患者の信頼関係が成立するはずがない。それでも以降数回、知人の通院に同行した。ある時、知人は「セカンドオピニオン」を別の医師に求め、その医師からも同様に「鬱病」と診察されたが「自殺」への言及はなく、実際の生活で心がけるとよいことを具体的にアドバイスをもらい、たいそう喜んでいた。

「セカンドオピニオン」をもらって心が楽になったことを知人は「大御所」に診察の際話した。すると「そうですか。それではこれからその先生にかかられるということですね、よくわかりました」と診断が終わってしまった。

「大御所」は「セカンドオピニオン」を自分より若輩の医師に求めた知人が気に入らなかったのだろうか。傍で見ていても理解に苦しむ「診察中止(拒否)」だった。

長々と体験談を紹介したが、「医師は名声で判断してはいけない」と身にしみて感じた事例をお伝えしたかったからである。

◆「ACT-K(アクトケー)」という途方もない志とエネルギー

そんな「大御所」と対極の人格と能力さらには熱意を備えた「名医」が高木医師だ(もっとも既に高木医師は精神科医の世界で充分「著名人」ではあるが)。診たては間違いないし、必ず患者本位で診察を進めておられる。

そんな高木医師はかねてより「長期入院型」の精神病治療に疑問を抱いておられた。精神病で入院すると世間から隔離され、長期間病院に閉じ込められる。それがかえって回復を困難にさせているのではないか。長期間病院に閉じ込められている精神病患者の治療を自宅で行おうと言う思いを高木医師は長年抱いておられた。その構想を実現した在宅医療プロジェクト「ACT-K(アクトケー)」を2004年から高木医師は始められている。京都新聞に2011年掲載された記事によると、高木医師はACT-Kについて以下のように語っておられる。

「ACT(Assertive Community Treatment=包括型地域生活支援プログラム)は重症の精神障害で、密接な支援がないと生活しにくい人に、自分が住んでいる場所でそのまま暮らしてもらうための援助です。精神科医、看護師、介護福祉士、作業療法士など医療と福祉のいろいろな職種の人が生活の場に出かけていくのが特徴で、夜間休日を含め365日24時間ケアできる態勢をとります。1970年代にアメリカで始まり、日本では2003年に公文書に登場しました。これを京都でやっているからアクトKと名づけ、主として統合失調症の人を対象にしています。」

日本で初めての「重度統合失調症患者の在宅医療」の試みだ。そして同様の在宅型ケアープログラムの展開を模索し、各方面から注目されている。構想することは簡単だが、実現にはかなりの困難が予想されたが、同じ記事の中で、

「常勤15人で非常勤と学生ボランティアを合わせ、実際に援助に当たるのは20人近くなります。自宅を訪問して買い物など日常的な生活の手伝いやレクリエーションなど、多くの専門職が連携して必要な医療と福祉のすべてを担います。統合失調症の利用者は120人。認知症の人なども一部診ており全部で150人です」(2011年当時)

「診てほしいという要望は患者や家族、福祉事務所などからありますがスタッフ一人当たり10人が限界。住所も車で30分の範囲に限っています。緻密な支援ができないとアクトの特徴がなくなるので、やむを得ず待ってもらっています」

24時間356日のケアーが可能なのかとの質問に、

「不適切なケアで患者が錯乱した状態をイメージするから難しくみえるのでしょうね。実際には昼のケアが十分なら突然悪くなることはありません。精神障害の患者にとって大切なのは▽安心できること▽自由があること▽人との絆があること。アクトKでは電話を24時間受けられる態勢をとり、担当の患者でなくてもケアできるようにスタッフ間で情報交換を図っています」

と語っておられる。語るは簡単だがこれは途方もない「志」とエネルギーがなければ為しえない総合ケアーに違いない。

高木医師は著書に「ACT―Kの挑戦」(批評社)、「こころの医療宅配便」(文藝春秋)、「精神医療の光と影」(日本評論社)等がある。

名医だ!と賞賛しておきながら恐縮だが、現在、高木先生は大変にご多忙で、診察を受けようと希望される方は京都のあるクリニックに足を運ぶしかない。そこで水曜日の午前中だけ外来患者の診察を担当されている。検索エンジン等でお調べ頂ければ当該クリニックはお調べいただけるだろうが、何分限られた診察時間なのであえてここではクリニックの名前は伏せさせて頂くことをご了承いただきたい。

日頃、政治や社会をボロクソに罵倒している私が特定個人を賞賛するのは薄気味悪く感じられる読者もおられようが、高木医師は志の高い精神科在宅治療のパイオニアであると同時に「患者を安心させる」優れた医師としての能力と人格を備えた方だ。

口先だけ穏やかで、老人相手に不要なX線撮影や、検査でぼろ儲けするような開業医(実名を挙げたいが、まだ我慢しておこう)が蔓延るが、医師の皆さんには患者本位での治療を切にお願いしたいものだ。その際のお手本として高木医師を紹介しておく。

[動画]ACT-K 精神疾患 訪問型サービス

▼田所敏夫(たどころ としお)

兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎病院経営の闇──検査や注射の回数が多い開業医は「やぶ医者」と疑え!

◎イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?

◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

不良と愛国──中曽根康弘さえ否定する三原じゅん子の「八紘一宇」

三原じゅん子というタレント出身の国会議員がいる。こいつは元不良だった。

「不良から与党の国会議員になるやつなど論外だと」持論を展開したら、えらく怒られた経験がある。

だが私の暴論は残念ながら間違ってはいなかった。

事もあろうに、三原は参議院予算委員会で質問としての発言の際に 「八紘一宇」を持ち出し、答弁した麻生に「戦後生まれの人でもこんな言葉を使う人がいるのか」と呆れられていた。麻生は漫画には詳しいが日本語が苦手な政治家として有名だが、その麻生に呆れられるのだから三原は大したものである。

◆中曽根康弘でさえ「失敗のもと」だったと認めている「八紘一宇」

「八紘一宇」がどのように使われた言葉かご存じない読者もいるだろうから、簡単に説明しておこう。

日本書紀に登場した文言から生まれたとされるこの言葉を学術的に解説すると退屈になるだろうから、政治の場で過去、どのように理解されてきたかを見てみよう。

1975年9月、文部大臣の松永東は衆議院文教委員会で、「戦前は八紘一宇ということで、日本さえよければよい、よその国はどうなってもよい、よその国はつぶれた方がよいというくらいな考え方から出発しておったようであります」と発言した。

1983年1月の衆議院本会議では、総理大臣の中曽根康弘も「戦争前は八紘一宇ということで、日本は日本独自の地位を占めようという独善性を持った、日本だけが例外の国になり得ると思った、それが失敗のもとであった」と説明している。

要するに大東亜共栄圏を作るにあたって「日本は特別な国だ!」と日本帝国がアジア侵略のスローガンに使った言葉であることを過去、文部大臣や首相が認めている言葉だ。

◆とてつもない国がやらかす「八紘一宇」の無知

その言葉を2015年に三原は、「八紘一宇とは、世界が一家族のように睦(むつ)み合うこと。一宇、すなわち一家の秩序は一番強い家長が弱い家族を搾取するのではない。一番強い者が弱い者のために働いてやる制度が家である。これは国際秩序の根本原理をお示しになったものであろう。現在までの国際秩序は弱肉強食である。強い国が弱い国を搾取する。力によって無理を通す。強い国はびこって弱い民族を虐げている。世界中で一番強い国が、弱い国、弱い民族のために働いてやる制度が出来た時、初めて世界は平和になる

「これは戦前に書かれたものだが、八紘一宇という根本原理の中に、現在のグローバル資本主義の中で、日本がどう立ち振る舞うべきかというのが示されているのだと、私は思えてならない。麻生大臣! この考えに対して、いかがお考えになるか」

と発言した。これに答えて麻生は、「日本中から各県の石を集めましてね、その石を集めて『八紘一宇の塔』ってのが宮崎県に建っていると思いますが、これは戦前の中で出た歌の中でも、『往(い)け、八紘を宇(いえ)となし』とか、いろいろ歌もありますけれども、そういったものにあってひとつの、メインストリーム(主流)の考え方のひとつなんだと、私はそう思う。こういった考え方をお持ちの方が、三原先生みたいな世代におられるのに、ちょっと正直驚いたのが実感」と「八紘一宇」への直接評価は避けた。

日本は第二次大戦で「列強からのアジア解放」を唱えて諸国を侵略し「搾取」した。そこには「神国」である日本こそが「世界中で一番強い国(となり)が、弱い国、弱い民族のために働いてやる制度が出来た時、初めて世界は平和になる」との思い込み甚だしい思想があった。

三原に言わせると日本は「神武天皇」が即位した2675年前が「日本建国」の年らしいが、小学校や中学校の社会の時代で教わる2600年前は「縄文時代」である。稲作はおろか、文字すら持っていなかった時代にこの国が「建国」されたという妄動は、不幸にも三原だけではなく、国全体が未だに真実を見つめられていない。2月11日の「建国記念日」は別名「紀元節」とも呼ばれ、この日に「神武天皇」が即位した日とされている、歴史的にも全く誤った解釈に基づく休日であるのだ。

そういった国家的な歴史に対する意識的詐欺行為が根底にある問題を忘れてはならない。

が、その詐欺行為がまだ黙認されていることを良いことに、三原は「八紘一宇」を持ち出した。

有事関連法制=法律的な戦争の準備が全速力で進められる中、この元不良、否「不良国会議員」は精神的な戦争への誘導への為に一翼を担っている。

戦争をしたければ自民党と公明党の議員と党員だけでやってくれ!

不良というのはいつでもそんな奴らだった。最近の「反グレ」の連中はちょっと毛色が違うようだが、意味も分からず「特攻服」を着て日の丸を振り回すのが「暴走族」の標準的装備だった。やってる行為は一見「反社会的」に見えるけれども、本質的にその行為や考えは国家に収斂されていき、やがてその「防護隊」にさえなる。

三原を見ているとその筆頭であることがよく分かる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
◎秘密保護法紛いの就業規則改定で社員に「言論封殺」を強いる岩波書店の錯乱
◎恣意的に「危機」を煽る日本政府のご都合主義は在特会とよく似ている

[新刊]内田樹×鈴木邦男『慨世(がいせい)の遠吠え─強い国になりたい症候群』

 

 

ストーカーメールの正体を暴く!

そのメールは、記憶する限り、2012年の6月に最初来た。

僕が取材で追跡している女子アナの弟にスキャンダルについての攻撃だ。

「Aさん(女子アナの弟)についての記事は、詫び状を出しなさい。Aさんにはお世話になったんだ」というメールが突如として入ってきたのだ。

もう原稿としては誌面に掲載されていることで、文句があれば通常は版元に行くのだが、メールには名前も住所も電話番号も書いていない。

こうしたメールを「スパムメール」と呼ぶのだが、徹底的に無視をすることにした。ただ、Aさんはヤクザなので、身の危険は感じたが。

◆自分は名乗らないのに相手には返信を求める

それから、どうも僕の敵になりすましたり、味方になりすましたり、どこで調べたのか昔の彼女になりすましたり、版元の編集になりすましたりして、なんとかして返信させようと「送り手」はあの手この手でメールを送ってきた。そのメール攻撃は半年ほどノンストップで来た。

「ふたりきりで話あったほうがいい」というメールが来たときに初めて僕は反応し、「どちら様ですか? いくつか出版社の名が出ているようですが、用事があるなら、こちらからお伺いします」と返したら、まったく返事がなかった。

自分が名乗らない。それなのに相手に返信を求める。

こうした行為を「お里が知れる」という。僕は「失礼な相手には反応するな」という教育を受けて育った。それは教えたほうが正しいし、今もなおまちがっているとは思えない。いったい、メールの送り手はどのような教育を受けた連中なのだろうか。もしかして、まったく教育というものを受けていないのだろうか。親の顔が見てみたいものだ。

僕はすべての迷惑メールの履歴を、警視庁の友人と、警視庁に深いパイプを持つ弁護士に送った。つまり「法的に相手を追い込む」ためにだ。無視できないのは、「今、○○にいるだろう」と場所を特定するメールを送ってくることだ。これは、脅迫に値するだろう。訴訟すれば勝てる案件だ。メールで精神的に追い込まれた「診断書」も持っている。戦えば勝率100%だ、犯人よ! 明日にでも訴状を送ろうか。

そうブログで宣言すると「AKB48」のスキャンダルを追跡しているときに、「今、AKBに手を出すと、とんでもないことになるよ」とメールが来る。まさに、「四六時中、監視している」ことをアピールしているのだ。その癖、「ここに電話せよ」と電話番号を明記している割には、電話をかけるとまったく出ない。いったい何がしたいのか。あまりにもふざけている。

また、僕が「警視庁」にいるときには、まったくメールが来ない。打ち合わせなどで「鹿砦社」にいるときにも来ない。これはどういうわけか。臆病なのか。まあ、メールでしか人を攻撃できない時点で臆病といえば臆病だが。

◆「関東連合について書くなら、こちらの情報で書きませんか」

ストーカーメールに詳しい警視庁の知人に聞くと「ひとつは、どういうメールを送れば反応するか、という統計をとっている」ということだ。今ひとつ、これはヒントになったが、「オークション詐欺を糾弾したり、関東連合について取材を始めると、そうしたメールが大量に送られてくる」とも聞いた。僕もある雑誌で、関東連合を追跡していたタイミングで「関東連合について書くなら、こちらの情報で書きませんか」というメールが来たが、電話番号を調べると、実は「ワンクリック詐欺」として有名な会社だった。カルト団体になりすましてメールを送ってきたことも、食品会社を装い、送ってきたこともある。

こうしたメールの履歴は、すべて警視庁に提出してある。

「今は、ストーカーメールの情報をしゃかりきに集めています。近く、いたずらメールを送りつける業者がたくさん逮捕されることになります」と警察関係者。最近では、海外のサーバーを経由してごまかしても、発信元が特定できるそうだ。民間の技術者を警視庁のサイバー犯罪課が採用してきた成果が出ようとしている。

そんな中、興味深い記事を見た。

1月7日にパリにある風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の本社が、イスラム過激派と見られる男たちに襲撃され、漫画家や編集者など12人が殺害された。これを「表現の自由への侵害」として、謎のハッカー集団「アノニマス」のベルギー支部が、YouTube上に動画を投稿し、アルカイダやイスラム国に対して宣戦布告した。

おまえらには地球上で安全な場所はない

動画のタイトルは「#Op Charlie hebdo」となっており、画面にはおなじみのマスクをかぶり、フランス語で語る「アノニマス」のメンバーの姿が写っている。

そのスポークスマンは動画の中で、アルカイダやイスラム国に対し次のようなメッセージを送った。

「われわれはおまえたちを最後の1人まで追い詰めるだろう。そして貴様たちを殺すだろう。おまえらは無実の人々を殺すことを自ら許している。われわれは彼らの死に対する復讐を行うだろう」

「世界中のハッカーたちが、全てのジハーディスト(過激派)の活動をオンライン上で追うことになるだろう。そして全てのアカウントを閉鎖する、ツイッターやYouTube、そしてフェイスブックまで」

「地球上のどこにいてもおまえらは追跡されている。もはや安全な場所などない。われわれは『アノニマス』。そしてわれわれはレギオン(軍団、軍隊)である」

「私たちの民主主義にシャーリア法(イスラム法)を課すことはできない。貴様たちの愚かさのために、表現の自由を殺させはしない。警告する。おまえたちは破滅させられるだろう」

「われわれは決して忘れない。決して許さない。私たちを恐れろ!イスラム国や、アルカイダ、おまえらはわれわれの復讐を受け取ることになるだろう」

「言論の自由の重要さは、議論の余地のないことだ。貴様たちの取り組みは、民主主義への攻撃である」

「今後、直面する大規模な出来事に期待していろ。自由を守る戦いは、われわれの活動の根本にあたるからだ」

「アノニマス(anonymous)」は「匿名の」という意味の形容詞。彼らはインターネット上のオンラインコミュニティの利用者を中心に構成され、抗議行動やDDos(分散型サービス拒否)攻撃、クラッキングと言った行為を集団で行っていると考えられている。

実態は定かではないが、「アラブの春」では、エジプト情報省とムバラク前大統領のホームページをオフライン化させたり、チュニジアの「ジャスミン革命」でも政府側のウェブサイトにDos攻撃を仕掛け、内容を書き換えたりするなど、革命にも貢献したと言われている。

また麻薬組織へも対抗し、北朝鮮の弾道ミサイルの発射実験や、アメリカ政府の核実験に対する抗議も行い、関連するサイトを攻撃した。そしてサーバーをダウンさせたり、機密情報を公開させたりしたという。「IRORIO」より引用

僕自身は、いたずらのストーカーメールをもし送りつけて、そのリアクションを研究している集団がいるとしたら、それは「国際政治的な団体」、もしくはその端くれであるとにらんでいる。アノニマスなど「政治的ハッカー集団」の氷山の一角にすぎない。

一日中、人のメールを見ているなど、国家レベルの団体がやっているとしか思えない。そうでないとしたら、大金持ちが犯罪をするために「攻撃者」を排除しているのだ。

◆「どんなセキュリティも、3ヶ月後には破られる運命にある」

一時期、僕の携帯メールには「おまえが心を許している相手の取り巻きにも、お前の悪口を言っている相手がいるから気をつけろや」というメールが入ってきた。具体的な内容は伏せるが、ということは、僕がふだん会っている人のメールも覗いているということになる。また、自宅のメールには、やたら不正プログラムを送りつけてくるが、「送り手」よ! これも証拠は保全してある。

今、ハッキングの技術は、かなり上達していて、「どんなセキュリティも、3ヶ月後には破られる運命にある」のだそうだ。今後、セキュリティ会社、もし会えるならハッカーをとことん取材してみたいが、ストーカーメールの送り手たちよ! 僕としては、警察マターで縦横無尽に、君たちを割り出す手はずは整えてある。そして、どう接触してきても、迷惑メールなどは僕にとっては「ネタ」にしかならない。いつか「迷惑メール、その送り手の正体」という本を書いてやるからな。(伊東北斗)

◎迷惑メール詐欺を通報しても警察はまともに対応しないことが判明

◎大塚家具お家騒動まで機敏反映させるAVメーカー「妄想力」のクールジャパン

◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる

◎誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由

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