8月8日(土)、秋田県秋田市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
10代~30代の若者で7月に立ち上げた「SPADA(Sprout Peace and Democracy Akita:平和と民主主義を広げる秋田青年の会/スパーダ)」が主催した。若者の呼びかけによるデモは秋田では初めてのことだという。


[動画]青年主催 安保法案反対のデモin秋田 – 2015.8.8 秋田市(3分23秒)

遂に若者デモの波が秋田まで押し寄せ、安保法案に反対するデモが若者によって行なわれることとなった。
過去に3度、秋田市でデモの撮影をしたことがあるが、若者がデモにいるのを見た事はなく、今回の秋田での動きには驚いている。同じ土地に3回行って1人も若い人がいなかったのは秋田ぐらいで、秋田はデモ参加者の年齢が圧倒的に高い土地だ。
失礼を承知で言えば、このデモに参加している若者は多少年齢が高いし人数も少なかった。とはいえ、今までの秋田のデモの光景を考慮すると非常に画期的で、素晴らしい動きだと私は感じている。

これまで「若者デモ」と漠然と言ってきたが、取材を通してその条件を導き出した。以下の3つの条件が満たされていれば「若者デモ」と呼んで差し支えないと私は思っている。
・主催が若者(10代~30代)である
・若者率が参加者の1割以上を占める
・ネットで積極的に告知をしている

これまでのデモの中心的存在である中年が行なうデモとの違いを考えるとこれでいいはずだ。
普段のデモに全く若者がいないような地域でも「若者デモ」と銘打ったデモには少なくとも1割は若者が占めていた。数値的には低いと言わざるを得ないのかもしれないが、この数でも実際の現場としては驚くべき変化があり、もはやビジュアル革命だ。一般的には分かり辛いし、伝わらないかもしれないが、地方のデモでもそれなりの変化が起こっているということだけは覚えておいて欲しい。

シュプレヒコールは秋田のデモとしては珍しいショートコールのみで、しかも楽器が使われていた。その楽器が変わっていて、軽トラの荷台に搭載した和太鼓を叩いてリズムを取っていたのだ。これは、いわばアコースティックサウンドカーだ。車のチョイスも渋いし、なかなか出来ないデモのやり方だと感心した。

今回、デモを撮影していて、赤信号を進もうとしたデモ先頭の横断幕の人に「信号が赤なので止まってくださーい!!」と叫んで私が止めた一幕があった。デモを主催したSPADAは、デモを行なうのが初めてということで色々と不慣れかつスタッフも少なくて、なかなか目が届いていなかったので私が注意した。警備の警察官の指示がない場合、赤信号で止まらなければいけない。
その他、デモ隊がバス停や横断歩道等を塞いでいたりすると市民生活に支障が出たり、デモへの印象が悪くなったりするので、私は撮影中であっても即座にデモ隊を誘導したり注意したりする。良い絵を撮る以上にすべきことがあるという考えだ。「お前は誰だ?」という顔をされるのだが「~だから、~してください」と丁寧に説明しながら誘導をするので、納得して動いてくれる。
本来はデモ参加者の一人一人が注意すべきことなのだが、アピールに夢中だと意識がそちらに行ってしまうのは仕方ないとも言える。

実は、秋田駅前を所管する秋田中央警察署のデモ警備は珍しい方式で、信号無視をしそうになったのはデモ側の問題だけでなく、警察にも問題があると私は思っている。
その警備方法なのだが、デモに直接同行して徒歩で警備・誘導する警察官はおらず、デモ隊の最後尾にパトカー1台だけが付いていく、あとはデモコースの主要な信号機そばに警察官をあらかじめ配置しておき、デモ隊が来たら信号を操作したり、車を誘導したりする、というものだ。デモが通り過ぎた「信号機要員」の警察官は、先回りして次の持ち場に就くか、役目を終え警察署に帰還する。
この方式は、同じ東北地方の山形警察署(※山形県山形市等を所管)でも採用されている。
しかし、秋田市のデモコースは秋田駅東口周辺を円を描くような形で進むので、最初の信号から次の信号までショートカットが可能なのだが、山形市のデモコースは直線なので、次の持ち場へ行く警察官は走ってデモ隊を追い越し次の信号機へ行く必要がある。山形市のデモは制服警察官が全力疾走している姿が見られる珍しいデモだ。
ちなみに、銀座等を所管する警視庁・築地警察署・警備課の「信号機要員」は自転車を使って次の信号機へ移動をしている。自転車移動は比較的ポピュラーなデモ警備の手段である。
山形のお巡りさんにも自転車を使わせてあげて欲しいと彼らの走る姿を見て思う。もしかしたら、冬は雪が積もる地域なので年間を通して使えない自転車は備品として認められないとか、そんなことがあるのかもしれない。
恐らく、警察署には何台かの自転車はあるだろうが、いくら考えても分からないので、次に山形に行ったら事情を聞き、更にはデモ警備での自転車使用を提案してみるつもりだ。

この秋田・山形方式の警備は、警察側からしたら少人数でスムーズにデモを進行させることができるので便利なのだろう。デモ側からしても直接警備する警官がいないのでデモ隊への圧迫感もなく自由に出来て良いはずだ。車道上に警察官がいないので写真も撮りやすい。
しかし、一部の警察官がいない信号では注意しなければならず、中途半端に警察官がいる分、油断してしまい信号無視をしそうになった。
もう自動車免許の講習のようであるが、デモ参加者には「車道を歩いている自覚」を持ってもらうしかないので、場合によってはデモ出発前に車道を歩く事についての注意をしたほうが良いかもしれない。警備スタッフが少ない場合は特に必要な気がする。

「何も言わなければ賛成するのと変わらない」そう叫ぶ、秋田の若者たちは和太鼓と共に立ち上がった。



[2015年8月8日(土)・秋田県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

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私は同志社の関係者ではないが、同志社が事件を起こし続けるので取り上げざるを得ない。過日こんなニュースを目にした。

「大学なら警察こないと…」同志社大図書館に大麻持ち込み容疑、卒業生を逮捕 (産経新聞2015年8月31日付)

同志社大学(京都市上京区)今出川キャンパスの図書館で大麻を所持していたとして、京都府警上京署は31日、大麻取締法違反の疑いで、奈良県橿原市内に住む無職の男(25)=窃盗未遂罪で起訴=を再逮捕した。同署によると「吸う目的で持っていた」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、8月6日午後6時10分ごろ、同キャンパスの図書館で大麻草1袋を所持していたとしている。
同署によると、男が他人のかばんを物色するなど不審な行動をしているのを持ち主の男子学生が見つけ、報告を受けた大学関係者が同署に通報。駆けつけた署員が、男のズボンから大麻を見つけたという。
男は同志社大の卒業生。「大学なら警察官が入ってこないと思った」と供述しているという。

◆「何も盗っていない」被疑者を大学職員はなぜ警察に通報したのか?

この記事は不可思議だ。8月6日に同志社大学図書館で「他人のかばんを物色するなど不審な行動をしている」男を学生が職員に通報し、「何も盗っていないのに」職員が警察に通報をしている。この程度の事で大学職員が警察に通報するものだろうか。この記事通りだとすれば同志社大学職員の感覚はもはや「警察国家」の構成員と言わねばならない。

さらに理解しがたいのは「不審な行動」で通報された男性は「窃盗未遂」で起訴されているが、「8月6日午後6時10分ごろ大麻草1袋」を所持していたことが確認されていることだ。8月6日逮捕時に男性は上京警察で詳細な身体検査を受けて「大麻草1袋所持」が確認されているのであれば、即「大麻取締法」違反でなぜ警察は送検しなかったのか。8月31日になっての再逮捕はいかにも不自然だ。「窃盗未遂」と「大麻取締法違反」では後者の方が明らかに量刑も重いにもかかわらず、逮捕直後には「大麻取締法」違反では起訴されていない。

◆あまりに不可解なので同志社大学広報課に問い合わせてみたら……

不明な点があまりにも多いので、9月4日午前、同志社大学広報課に問い合わせた。

「この事件は産経新聞のみで報じられており(上述の通り)不可思議な点が多いが承知しているか」と聞くと、広報課のハタブ氏は「事件があったことは承知しているが詳細は把握していないので内部で情報を収集する」と約束してくれた。後刻再度問い合わせると広報課の高阪氏が電話に出たので、私は再度「当該被疑者は他人の持ち物を『物色』している(つまり何も取っていない)だけで大学が警察に通報したということか」と質問すると「詳細が分からないので学生支援課に確認します」としばらく電話を保留にされた後、最終的に庶務係長秋田氏に電話が回された。秋田氏によると「自分の鞄から何かを抜き取ろうとした男を発見したので、学生がその男を捕まえて図書館のカウンターに連れてきた」そうだ。「そこで学生と連れてこられた男性に職員が聞き取りを行ったあとに、上京署(110番)へ通報した模様だ」ということだ。

つまり、被疑者はこの時点で「物色する」行為は認定されているものの「何も盗んではいない」のだ。それにもかかわらず図書館の職員は警察に通報をしている。

この取材の中で複数の同志社大学職員に尋ねた。「大学の中では意図的、あるいはそうでなくとも、置き引きや窃盗に該当する事案は多数起こる。図書館から本を無断で持ち帰る人間もいれば、大学の施設・設備に故意で損傷を負わす学生もいる。でも、そのような時に大学が『警察』に解決を求めるだろうか。しかも、今回のケースでは『被疑者』とされる人物は何も盗んでいない。大麻を所持していたのは、たまたま逮捕されたから発覚した付帯的な事実だ。こんな軽いトラブルで『警察』に通報するのは大学として妥当な行為だろうか、『大学の自治』を自ら放棄してはいまいか」

この問に関して名前は挙げないが、ある職員の方は「詳細はわからないが、新聞報道の通りだとすると大学が警察に軽々しく通報するのは『大学の自治』の放棄にあたると言われても仕方ない」と回答された。

◆「大学自治」の大原則が崩壊しつつある

「大学内で起きた問題は大学内で解決する」

これは私の苗字と同じ故人、同志社大学で学友会委員長と京都府学連委員長だった田所伴樹氏が同志社大学学内で、共産党系の学生たちから瀕死のリンチを受け生死の境をさまよった時、入院先の病院で口にした言葉だ。どれほど酷い仕打ちを受けても「大学内の問題は大学内で解決する」この極めて高い哲学を、被害者である田所氏は弱冠22歳にして「学生」として提起した。

かえりみて、今回の同志社大学当局の判断はどうであろうか。複数の職員の方々に取材したが皆さん「現場で何があったか詳細はわかりませんが」と口を濁す。

私は「分からなければ調べて教えて下さい」とお願いするけれども、彼らはその状況を外部に伝えることが禁じられているのか、あるいは調べる熱意がないのか、あいまいで実態が分からない。

◆被疑者以上におかしいのは同志社大学側ではないか?

いいか。こうやって破局への行進は、またしても歩を進めるのだ。誰も悪くない、誰も解らない、誰も責任を取らない。「疑わしい行動をした人間が悪いんじゃないか。それに彼は大麻も持っていたし・・・」との心中の言い訳が聞こえてきそうだ。

違う。断じて違う。学内で暴力事件が起り危機的な状況になっても、学生を守り通すのが大学職員の仕事だ。極端に言えば「学生を支援し守ること」以外に本質的な大学職員の仕事などない。経理も総務も学部事務室も全て学生を支援するために準備された部署だ。

「時代錯誤だ」という批判が既に頭の中で聞こえる。でも私は自分の考え方が間違っているとは全く思わない。

勘違いしているのはこの時代、そして「戦争推進法案」に賛成する学長を引きずりおろす気さえないこの大学のありさまだ。

いささか飛躍が過ぎると思われるかもしれないが、産経新聞の報道が正しければ、被疑者が語った「大学なら警察官が入ってこないと思った」との感覚が被疑者の行為・目的を度外視しても、よほど真っ当な原則に立脚しているように思える。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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8月2日(日)、東京都渋谷区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは、SNSやネットを通じて集まった高校生約30名が立ち上げた「T-nsSOWL(ティーンズソウル)」だ。日曜日の渋谷の街を練り歩き、安保法案の反対と選挙権の18歳以上への引き下げの二大テーマについて、同世代への関心を高めるために呼びかけた。
高校生に対しては制服での参加が推奨されたり、スピーチでは「テレビカメラやパソコンの前にいる高校生」に対しての言及もあり、主催者は街を歩く人はもちろんネットでの写真や映像の拡散を明確に意識していた。またSNSでの告知には「#制服デモ」のハッシュダグが用いられ、早い段階から主催と参加者の双方でどのようなデモのビジュアルを作るかが共有されていた。


当日参加した約5,000名の中には大人の姿も多く見られたが、彼らは主催側の意図を理解して多くは後ろの梯団に回って、「先頭を行く子供達、後方を支える大人達」という画作りに積極的に協力した。デモ隊のゴールシーンでは先に到着した高校生たちが大人達を迎えていた。
高校生の呼びかけで生まれた世代間の繋がりを是非とも映像で感じて欲しい。


[動画]戦争法案に反対する渋谷・高校生デモ – 2015.8.2(21分8秒)

このデモを呼びかけた男子高校生は、サウンドカー上からこう言った。

「僕は少し前まで高校生が政治や憲法に興味を持つ事はどこか違和感があると感じていました。
ですが、こうやって活動している中で、僕は思いました。
高校生に政治に関心を持たせないようにしているのは社会の空気だと。
だから今、学校では政治の話はタブーになりつつあります。
早ければ来年の夏、選挙権が18歳に引き下げられます。
今こそ高校生が政治について関心を持たなければならないんじゃないんでしょうか。
このままでは『まあ選挙権を取ったから、とりま選挙に行ってみるけど、
どこに入れていいか分からないし、大きいし自民党でいいや』と、
そういう票を伸ばす結果になってしまい、
そういう人が増えれば増えるほど、権力者が喜ぶのです。
何故かって、それは何も考えずにただ票を入れてくれるんだから知らぬ間に、
暮らしづらい社会になってしまうんじゃないかと、僕は思います。
だから、僕らは今回高校生に興味を持ってもらうため、
高校生が参加しやすいデモを企画し、実行しました。
このデモをきっかけに、今日来てくれている高校生や、
今渋谷の街を歩いている高校生や、今テレビカメラやパソコンの前にいる高校生に、
『僕らが有権者である』っていうことと、
僕らが今後、安倍みたいな独裁者を止め、歯止めする、
そういう人達になるんだという重要さとチャンスを少しでも感じてもらいたいなと思います」

このスピーチを聞けば、彼らがしっかり考えて行動を起こしたことが充分に分かると思う。
しかも、相当に勇気を出して、人前に立つことを決めたはずである。それは「最初の一歩を踏み出す不安」よりも「安倍政権が国民に抱かせる不安」の方が遥かに大きいから、全国各地で若者たちの反対の声が上がっているのだろう。

高校生から老人まで、ありとあらゆる世代がこの法案に反対の声を上げている。それが今の日本だ。政権は反対の声を聞け。


[2015年8月2日(日)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
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転落は減速を知らない。本コラムで既に取り上げてきた育鵬社の教科書を同志社大学の付属校である同志社香里中学が採択することを決めた。以下やや長いが内容が重要であるのでこのニュースを報じた『CHRISTIAN TODAY』(2015年9月3日)の全文を引用する。

同志社香里中学(大阪府寝屋川市)は、2016年度以降に使用する歴史と公民の教科書として、それぞれ育鵬社発行の教科書を採択した。大阪府が8月28日発表した。「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の元幹部らが執筆に加わっている育鵬社の教科書は、歴史に関する記述について議論もあり、一部の地域では採択やり直しを求める要請なども出ている。育鵬社によると、私立学校の16年度教科書採択状況はまだ全て出そろっていないが、キリスト教系の学校で同社の教科書採択が決まったのは、同志社香里中が初めてだという。

同志社香里中はこれまで、歴史と公民の教科書は帝国書院のものを使用してきた。16年度に、新たに育鵬社の教科書を使用する生徒は240人。滝英次教頭は、「教科書採択の年(である今年)に、教科、また学校として、文科省の検定教科書の中から、いろんな議論を踏まえた上で慎重に選定した」と話している。

育鵬社の教科書『新しい日本の歴史』と『新しいみんなの公民』は、元つくる会
のメンバーらによる日本教育再生機構が組織した「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会)の関係者らが執筆・監修している。育鵬社は、フジサンケイグループの出版社である扶桑社の教科書出版部門を独立させた出版社で、扶桑社時代を含め、中学校の歴史、公民の教科書が検定に合格し発行されるのは今回で4回目。一方、つくる会は自由社から独自に教科書を出している。

育鵬社の教科書については、日本国憲法が連合軍総司令部(GHQ)に強要されたものだとする、いわゆる「押し付け憲法論」に沿った内容になっていることや、太平洋戦争の沖縄戦における住民の集団自決について、日本軍の強制性についての記述を避けているなど、さまざまな指摘がある。

一方、育鵬社の教科書の編集会議座長である伊藤隆・東京大学名誉教授(歴史)、川上和久・明治学院大学教授(公民)は、広報誌『育鵬社通信 虹』(2015年4月号)での共同メッセージで、「戦後70年の間には、教育の世界にも不毛なイデオロギーが持ち込まれた時期がありました。こうした一面的な物の見方を排し、生徒が真に学ぶ意欲を高め、多面的・多角的思考ができる人材となり、自らの郷土に貢献し、ひいては世界で活躍できるようになることを願い編集しました」などと述べている。『CHRISTIAN TODAY』(2015年9月3日) (※文字強調は引用者)

学校法人同志社には系列の中学校として「同志社中学校」、「同志社女子中学校」、「同志社国際中学校」があるが、その中で今のところ「同志社香里中学」だけが育鵬社の教科書採択を決めたようだ。

◆「教科書が変わったら教育内容が変わると思っていらっしゃるんですか?」と開き直る滝教頭

そこで上記記事に登場する同志社香里中学の滝教頭に電話で実情を聞いてみた。私が育鵬社の教科書には多くの問題や史実の誤りがあり、キリスト教系の学校の教科書と皇国史観は相いれないのではないか」と問うと「教科書選定は学校内で適切に行われた。文科省の検定を通った教科書の内容を精査し決定した」という。

「この教科書採択にあたり校内の社会の先生などから反対はなかったのか」の質問には「それは学校内のことなのでお答えできません」とかなり強気で答える。

「昨年までは帝国出版の教科書を利用されていたが、育鵬社の教科書とは内容に大きな差がある。育鵬社の教科書がキリスト教系、しかも新島襄が開いた学校で採択されることを問題と思わないか」と聞くと、[太字→]「不適当とは思わない。教科書が変わったら教育内容が変わると思っていらっしゃるんですか?」[←太字]と逆に開き直られてしまった。滝教頭にはとりつくしまもない。問い合わせや講義の電話対応に手慣れている。この学校に民主的なプロセスなど無いだろうと想像させるに十分な「失礼」な応対だった。

◆幸福の科学学園と並んだ同志社香里──育鵬社教科書を採択した私立中の顔ぶれ

今年は4年に1度の次年以降使用する教科書を中学校が選定する年にあたる。大阪市をはじめ都立の中高一貫校など公立校でも育鵬社教科書の採択が進行している。じわじわと歴史修正主義の水位は上がってくるばかりだ。

それにしても、「あの」同志社系列中学での採択は驚嘆に値する。ちなみに前回(2011年)の採択時、私立中学で育鵬社の教科書を採択したのは以下の学校である。

《歴史》(12校)
国学院大学栃木、幸福の科学学園、樹徳、麗澤、福井工業大学附属福井、麗澤瑞浪、津田学園、皇學館、浪速、開星、岡山学芸館清秀、岡山理科大附属

《公民》 (11校)
国学院大学栃木、幸福の科学学園、麗澤、福井工業大学附属福井、麗澤瑞浪、津田学園、皇學館、浪速、清風、開星、岡山学芸館清秀

私立学校は各々の建学の精神に基づいて教育方針を決めればよい。だから「幸福の科学学園」が育鵬社の教科書を使うのは別に驚くに値しないし、独自の教育理念を持つ麗澤や、神道を建学の精神にしている皇学館といった学校が採択の中心であったのはむしろ自然である。しかし他の学校は(こういっては失礼だが)清風を除いてそれほど際立った存在の学校ではない。

このラインナップの中には、有名総合大学の付属中学の名前はない。国学院は多くの系列校を持っているが、採択したのは栃木だけだ。その中に今回「同志社香里」の名称が名誉にも加わるのだ。

◆同志社が「リベラリズム」を捨て「翼賛学校法人」へ独走する時代

学長村田晃嗣が衆議院特別委員会公聴会で「戦争推進法案」賛成を表明した大学を中心とするこの学校法人は、先人が築いてきた「リベラリズム」の歴史を完全に捨て去り、大手有名私学の中では「翼賛学校法人」として独走している。

系列中学の「同志社中学校」では村田の国会発言後、いち早く辞任を求める声明を出すなど良心的な教職員の方々が頑張っている。今日の電話取材に応じてくれた同志社中学の先生は「正直びっくりしました。同志社中学ではそのような動きはありませんし、考えられません。全く酷い時代ですね」とため息を漏らしていた。

「同志社香里中学校」の蛮行は、キリスト教系学校として「全国初」の最悪選択を行った恥ずべき学校として歴史に名を残すだろう。教育機関が「確信的」に犯した罪は金輪際消えることがない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる
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8月30日に国会議事堂前でおこなわれた、安全保障法案への大規模な抗議は、韓国でも報道されていました。7月に法案が衆議院で可決されて以降、これまでもニュース専門チャンネルのYTNが「戦争したくなくてふるえる。」デモの様子などを取りあげてきましたが(その時は「日本 軍事大国化 始動」という物騒なテロップが……)、普段あまり政治に対して声をあげない日本人が12万人も集まったこと、他の地域でも同時多発的に抗議がおこなわれたことなどが紹介されていました。ウナの友人も駆けつけたそうで、彼女からの画像を見るとひとめで、「あまりの人の多さにヤバい」ことはよくわかりました。

韓国で最近、多数の人が集まったイベントというと、やはり先月の光復説(解放記念日)につきます。8月15日は景福宮前の世宗大路は完全通行止め、歌あり、パフォーマンスありのイベントステージができていたり、大極旗がそこかしこに飾られ「私達は皆、大韓民国」なんて文字パネルも登場して、大変にぎやかな様子でした。

ケータイ店の前。「光復説特価割引イベント中」と、前回も紹介した「記念日割」があちこちで

大極旗パネルの前で、記念撮影に興じる人たち

そんななか目をひいていたのが、韓国政府の女性家族部が主催した「日本軍“慰安婦”問題に対する、学生・青少年作品 公募展 受賞作」と題した、従軍慰安婦についてのイラスト展でした。多くの家族連れが足をとめ、絵を目にして色々と話しています。世界中の人が集まる場所で慰安婦展をすることには、正直私は違和感を覚えました。しかし韓国の歴史からは、切り離すことのできない問題なのでしょう。根本的な解決がなされないまま時間だけが過ぎていくことが、本当に残念でなりません。

慰安婦展の会場。雨が降ってなかったのが幸いでした

景福宮のすぐ近くにある、日本大使館前にも足を運んでみました。というのもここには、慰安婦にされた少女を模した「平和の少女像」があり、かつ8月12日には自身に火を点けて抗議をした人が現れて、大騒ぎになったからです。

たどり着いてみると、警察のものものしい警備が……。「BOYCOTT JAPANESE GOODS」「日帝侵略戦犯! 安倍晋三総理! 謝罪賠償促求!」などと書き、さらに旭日旗にハーケンクロイツを組み合わせたプラカードを掲げた一団が少女像の横に集まり、「安倍晋三は謝罪しろー!」などと、気を吐いていました。ヒー! 恐い……。最初は遠巻きに見ていましたが、警備がゆるかったので近づいてみることにしました。日本人とわかると糾弾されるのではとビクビクしていましたが、彼らは私のことなど完全に無視。真隣にたっても気にも留めず、目は日本大使館にのみ向いていました。

日本大使館前。安倍晋三糾弾プラカは技巧に凝ってました

程なくして参加者が、安倍晋三に見立てた空気人形に火を点けた瞬間、警察が消火器をブシューっと撒いてあたりは騒然。私も消火器の粉を吸いまくり、むせまくってしまいました。次に彼らは道端に散乱した安倍プラカードにも火を放とうとしましたが、これまた瞬時に消火器で制圧。もうドロロン煙幕状態で、何も見えやしません。少女像も当然、消火器の粉にまみれていました。

「この拭き方はないでしょ!」と、苦言を呈したい

ひととおり抗議を終えたら参加者達は満足したのか、三々五々散っていきました。この消火器の粉、どうすんだよ! 一部の参加者が後片付けをしたり、少女像を布で拭くなどしていましたが、その拭き方は「もっと優しく扱え!」と言いたくなるほどのもので、とてもイライラさせられました。
違和感を覚えたり、イライラしたり。でもこれは日帝時代の植民地政策と戦争が生んだものなのだから、やはり戦争はいけない。過去の戦争の清算も済んでいないのに、新たに戦争ができる国を目指すなんて、愚の骨頂としか思えません。だから安全保障法案なんて、ダメに決まってます。でもそんなモヤっとした気分は、光復説70周年記念の花火大会に行ったら見事にリセットされました。きれいなものや美しいものは、心を穏やかにする力があるのですね!

世宗大路前のイベント会場は、大極旗のオンパレード

▼サ・ウナ
韓国の地方都市にある某大学に留学中の女子大生。世界中から来ている学生たちによる、ミックス言語で繰り広げられている「かわいい~」「○○さんかっこいい~」「○○が××のことを好きだって言ってたよ~」などの会話に、日夜イライラしながら学業に勤しむ25歳。

《韓国特派員・ウナの留学日記》
◎《05》メッコールの里・椒井薬水(チョジョンヤクス)は韓国版玉川温泉?
◎《04》日帝支配からの解放を祝う「独立記念館」へ
◎《03》日帝支配時代について、フツーに教えてます
◎《02》「ゆとり」は世界の共通語!?
◎《01》MERSアタック!? in ソウル

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』!

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先日、韓国に住んでいる友人の家に遊びにいきました。そこで飲んだ炭酸水がとてもおいしかったので、どこで売っているかを彼女に尋ねると、ニヤリとしながら「これ、メッコールの会社が作ってるんだけど、その辺のスーパーでフツーに売ってるよ」と言いました。

メッコール。皆さんも聞き覚えがあるかもしれません。麦味のコーラというか、気の抜けたビールというか、とにかく麦風味の韓国ではメジャーなお飲み物です。そして製造会社の一和(イルファ)は、あの統一教会との関係が深いことで知られています。私が飲んでいる「チョジョン炭酸水」なるお飲み物も、一和が製造しているとのこと。

「椒井薬水ってところから汲みあげてるんだけど、ここ、炭酸温泉があって水も飲み放題なんだって。でも炭酸温泉だから、つかると局部が痛くなるらしいよ」(友人談)

なんですって? 炭酸水飲み放題?

というのも私は極度の炭酸水好きの温泉好き。これは行くしかない。ということで週末を利用して、チョンジュという街の郊外にある「椒井薬水」を目指すことにしました。チョンジュといえばビビンバを想像する方もいらっしゃると思いますが、あれは全州でこっちは清州。音は似てますが全然違う場所で、ガイドブックもロクにありません。しかも某宗教と縁が深い場所に1人でノコノコ行くというのは、かなりの不安がつきまといます。行こうと決意したものの、前の晩、友人に「私が帰ってこなかったら捜索して」と、言い残しておきました……。

ソウルからバスで清州バスターミナルを目指し、そこから市内バスで1時間と少し。たどり着いた先で見たものは、巨大なメッコール工場と「世界三大鉱泉 椒井」と書かれた石碑。椒井薬水はアメリカのシャスタとイギリスのナポリタスとともに、世界三大鉱泉に選ばれたらしいですが、シャスタはともかくナポリタスはどこにあるのか、調べてもよくわかりません。そしてなんでもここには、ハングルを作った朝鮮時代の王様、世宗(セジョン)大王も眼病を癒すために訪れたそうです。彼の銅像もありましたが、残念ながら蜘蛛の巣が張っている有様でした……。

温泉地に建っている一里塚のような石碑

ひときわ目立つ、メッコールの工場

炭酸水を献上される、世宗(セジョン)大王

目指す温泉は、銅像のすぐ後ろにありました。駐車場は満車で、駐車待ちの車列ができていた程。人気スポットに7000ウォン(約800円)払って入ることにしました。裸になったところを羽交い締めされて、宗教施設に連れて行かれたらどうしよう……。一抹の不安を覚えながらも浴場の扉を開けると、そこはまさにマンガ『テルマエ・ロマエ』の世界! かつてはヴィーナスやアフロディーテだったであろうハルモニ(おばあちゃん)達が、肢体をあらわに温泉にサウナに水風呂で水泳にと、思い思いに過ごしていました。海外で盗撮犯にはなりたくないので温泉内の写真はありませんが、レジャーよりも湯治目的っぽい感じで、例えるなら秋田の玉川温泉といったところでしょうか。天井の照明は赤・黄色・青の三色旗状態のステンドグラスで、違う宗教の施設かと思いました。

某宗教の息がかかる「椒井元湯」。カギが閉まっていて中には入れません

老若男女が真っ昼間から集う、大人気の温泉施設「椒井薬手温湯」

ウワサの「局部が痛くなる」源泉は沸かしていない水風呂状態なので、少しずつ慣らしながら浸かりましたが、とくにそのようなことはありませんでした。しかし亀の口からピュピュッっと、なんだかイヤらしく源泉が出てくる蛇口で目を洗ってみると、確かに粘膜がピリピリきました。世宗(セジョン)大王ももしかしたら、このピリピリを求めていたのかもしれません。

どうやらこの地にはメッコールの工場があるというだけで、温泉地一帯を某宗教が仕切っているというわけではなさそう。私も安心して温泉を楽しみ、道端の水汲み場でたっぷりと源泉を頂いて帰りました。

寮に戻って冷やしてから飲んでみると、ちょっと泥臭いながらも友人の家で飲んだ、炭酸水と同じ味がしました。旅行者がわざわざ訪れるほどの場所ではないと思いますが、長期滞在者や私のような炭酸水マニアだったら、一度は行く価値があるかもしれません。

不思議な感じになっている、チョジョン炭酸水の顔はめパネルがありました

▼サ・ウナ
韓国の地方都市にある某大学に留学中の女子大生。世界中から来ている学生たちによる、ミックス言語で繰り広げられている「かわいい~」「○○さんかっこいい~」「○○が××のことを好きだって言ってたよ~」などの会話に、日夜イライラしながら学業に勤しむ25歳。

《韓国特派員・ウナの留学日記》
《04》 日帝支配からの解放を祝う「独立記念館」へ
《03》 日帝支配時代について、フツーに教えてます
《02》 「ゆとり」は世界の共通語!?
《01》 MERSアタック!? in ソウル

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『紙の爆弾』─タブーなきスキャンダルマガジン!

こんな言い方をすると、また叱られるのを承知であえて言う。

橋本聖子

「高いレベルで活躍したスポーツ選手は社会的発言を慎重に」と。自転車、スケートで五輪に出まくった橋本聖子は自民党から出て既に当選4回。日本スケート連盟の会長にもなり、もう古参政治家の風格だし、同じスケート出身では堀井学も知らない間にちゃっかり自民党議員に収まっている。元巨人投手の堀内恒夫も現役の自民党国会議員だとご存知の方はどれくらいいるだろうか。「やわらちゃん」こと谷亮子は小沢が天下を取ると見間違えたに違いない。「民主党」から当選したが、こんなことになるのが分かっていれば最初から自民党から出ていただろう。

与党政治家でなくとも、「語り部」となって恥ずかしくも恐ろしい発言を行う元スポーツ選手には毎度がっかりさせられる。スポーツ選手として一流を極めた人には頭脳明晰な人が少なくないことは知っている。だがその知名度や頭脳はほとんど「時の権力」に収斂されて行ってしまい利用される。ご本人たちもそれを問題とは感じない。

◆暗い本性がにじみ出る為末大

為末大

語り部として、最近その暗い本性をあからさまにし出して来た人間に為末大がいる。為末は元400mハードルの選手だった。世界選手権で2大会連続銅メダルを獲得し、日本人としては卓越した競技者だった。現役中から陸上選手としては口数の多い方だったが、最近為末のツイッターには下記のようなやり取りがある。

「左翼思想とは、自己中心的で自己陶酔して優越感に浸る幼稚な人間が陥る病気らしいですからねw「自分は凄くてお前らは駄目なんだ」という他者を蔑む意識があるから、馬鹿にし蔑む他者を「国家」「権力」に転化して反国家、反権力の左翼思想に傾倒するらしい」

これはある人物が為末に向けて投げかけた言葉だ。これに対して為末は以下のように答えている。

「確かにいい年をこいたおっさんが何かに傾倒して自己陶酔するのはみっともないかもしれないですね 」、「なるほど自分は凄くてお前らはダメなんだという他者を蔑む意識があるとだめですよね」とコメントしている。

また、「政治家と話をするとそんな悪代官みたいな人なんてそうそういないと気づくし、中国人と話をするとそんなに日本嫌いの人ばっかりでもないとわかるし、障害者と話をするといいやつもいればやなやつもいるということがわかる。友達の幅を持つことがバランスを保つ上で大事」と大所高所からご説を仰せられるが、個人で会って「悪代官」ズラをして話す政治家などよほどのアホであり、政治家の評価は彼らがどのような政策を実行したか、しようとしているかで判断されるべきだという基本的な評価基準を為末は理解していない。また自民党政治家の連中は次期選挙の比例区候補として為末の名を挙げていることだろう。これらのコメントから分かるのは、為末は多くの与党政治家と接触していることと、「左翼嫌い」であることだ。最近は目出度くも「バンキシャ」を始めとする低俗テレビ番組へ「コメンテーター」としての出演も多いらしい。

為末は正直な告白もしている。

「僕は未だに国と呼ばれるものが一体なんなのかがわからない。人なのか土地なのか組織のことなのか価値観のことなのか」と。これは本音だろう。だが大々的に社会的な発言を行うのならば、「国」の本質について回答が出なくとも、自分の中で考えに考え抜いてから言葉にすべきだ。「国」や「国家」をどう考えるかの参考書はいくらでもあるのだから。

また、「昔からわからないことを素直に聞く度に相手に鬱陶しいと言われて、それが辛くて小学校中学校ぐらいは黙っていたけれど、大人になって試しに言ってみたら今度は逆に褒められてあの時と何が違ったんだろうと考えている」とある。

「大人になって試しに」言ってみた為末は小中学校時代の無名な生徒ではなく、マスメディアにとって「商品価値」がある人間に変わったからだ、と言う簡単な理由もわかっていないようだ。為末ではなく一般の市民が同僚や先輩に同じ問を投げかけても、それは「鬱陶しがられる」ことだと言う洞察力が為末にはない。

◆外国人力士の台頭を「蒙古襲来」と語った舞の海

舞の海

為末ばかりを叩いたが、これは如何なものかと思われる元スポーツ選手の発言は枚挙にいとまがない。

例えば『週刊金曜日』によれば、舞の海が改憲推進団体主催の集会でこんな発言をしたという。
「元相撲取りの舞の海は4月29日の改憲を進める団体が開いた『昭和の日をお祝いする集い』で、『昭和天皇と大相撲』と題し“記念講演”をした舞の海秀平氏が『外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる』と語ると、参加者から拍手が湧いた。“日の丸”旗を手にした男性が『頑張れよ』と叫び、会場は排外主義的空気が顕著になった。さらに舞の海氏が『天覧相撲の再開が必要だ。日本に天皇がいたからこそ、大相撲は生き延びてこられた。天皇という大きな懐の中で生かされていると感じる。皇室の安泰を』と結ぶと、大拍手が起こっていた」。(週刊金曜日記事より)

おいおい舞の海、このセリフ横綱以下モンゴルを始めとする外国人力士の前でも発言できるのか?

スマートなアスリートは発言も慎重だ。為末や舞の海とは逆に。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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自粛しないスキャンダルマガジン『紙の爆弾』!

7月29日(水)、福岡県福岡市中央区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
安倍政権が7月15日に行なった強行採決に危機感を抱き、自ら動かなければと福岡の大学生らが「FUKUOKA YOUTH MOVEMENT」を結成した。デモを主催したことがないのと、大学のテスト期間が重なり準備は大変だったというが、初めてのデモを滞りなく行なっていた。


[動画]安保法案いけんくない!?パレードデモ@福岡 – 2015.7.29 福岡市(8分19秒)

ローカル感あふれる「方言シュプレヒコール」が天神の街に響いた。
今回のデモの為に学生たちが意見を出し合って決めたものだ。デモそのものが怖く、デモで叫ばれる強い言葉が怖かったから、柔らかめの言葉をチョイスしたという。

「安保法案はいけんばい!」
「集団的自衛権はいけん!」
「憲法守らん総理はいらん!」
「うちらで権力しばろうよ!」
「憲法9条がよかろうもん!」
「何よりいのちをまもろうよ!」
「憲法!」「守れ!」
「権力!」「縛ろう!」
「憲法!」「壊すな!」
「いのちを!」「守ろう!」

東京や関西で大学生が立ち上がり、遂に福岡でも大学生によるデモが行われ、他でもない福岡が感じられた。

彼らは言う、若い人達にもっと政治に関心を持って様々なことについて積極的に考えて欲しい、と。
そして、単に、法案に対してNO!と言うだけではなく、自分たちがデモをして人前に立つことによって、今日本で起っていることを、同世代の若い人たちに、ちゃんと自分のこととして考えてもらうきっかけになって欲しいとの願いも込めて、今回のデモを企画し実行したのだ。

デモ出発の前と後に行なわれた参加者スピーチは、事前に原稿が用意されていたものではなく、参加した若者たちの生の声が聞けた。
以下、少し長いがその一部を書き起したので読んでみて欲しい。

女性「安倍さん悪いと思うんですけど、今日本にいるみんなが関心を持っていないっていうのも一つあると思って、だから自由にされちゃうっていうのはあると思うんですよ。それでわたしは今関心のない人達の気持ちをちょっとでもかき立てて、今まで私達の先輩達が作り上げてきた、ずっと守ってきた平和、その平和を守ってきた憲法っていうのを守りたいと思って、その思いを今の世代の若い人達、次の世代を担う若い人達に知って欲しいと思って今活動しています。本来は憲法って言うのは権力者を縛る為のものであるのに、国民がそれによって不利益を被るようなことがあるのは絶対にいけないと思います。その思いを伝えるのはもちろんなんですけれども、やっぱり若い人達がたくさんいる天神で、関心の無い若い人達が自分の意見を持てるように、私は活動していきたいと思っています」

女性「初めてこのようなデモに参加してすごく緊張しました。それに先頭も歩いてしまって、こんな私が歩いていいのかなって思いましたけど、私達若い人が先頭に立って歩いて、声を上げて行かないと、全然安倍さんにも伝わりません。歩きながら何か言われたりもしましたけど、私達は私達の声を上げていきましょう」

女性「生活保護費の総支給額よりずっと高い、この5兆円を使って私たちの頭の上に戦闘機を飛ばし、きれいな海を埋め立て基地を作り、そして隣の国を恐れ、彼らを貶めるような言葉をぶつけ合うような、そんな中で守られる平和を私たちは平和と呼ぶんでしょうか。彼らの言う抑止力なんて、きっと嘘っぱちだと、私はそう思ってここに来ました。もう今日から私たち、若者は立ち上がります。この福岡という街は、アジアのリーダー都市だと、そういうようなスローガン掲げています。それならば、こんな小さな島を出て、私たちは、いろんな場所で、いろんな友達を作ります。いろんな人たちと、いろんな言葉で、互いの文化を交わし合って、歌を歌いながら、いつか軍事の、基地や戦闘機じゃなくて、私たち、ひとりひとりが、そんな戦争の抑止力なんだと、いつか言ってやりたいと思って、ここに集まりました」

女性「今日初めてデモっていうものに参加して、且つ主催者っていう立場で、何もわからなくて参加したんですけど、直前とかもどれだけの人達が来てくれるんだろうって思って、すごいドキドキしながら待ってたんですけど、こんなにたくさんの人が来て一緒に声を上げてくれて、すごく今心強い気持ちです。新聞とかを読んでいて集団的自衛権とかいろいろ出てきて、わかんないから自分なりにすごく勉強して、国会中継とかも見て、政府が出してるQ&Aも読んで、でもどれだけ見てもわからなくて、すごく不安な気持ちとか怖い気持ちになって、その不安な気持ちとか怖い気持ちっていうのを、解消してくれる答えが全然見つけられなくて、きっとそういう人がいっぱいいて、そういう気持ちでみんな集まってくれたのかなと思います」

男性「僕は今大学三年生です。今日初めてこのデモに参加しました。率直な感想としては、こういう風に声を上げるっていうのは、本当に勇気がいるなあっていう風に思いました。最初、ここに来た時、僕は震えていました。今も若干震えています。でも、こうやって声を上げるっていうことは非常に大事な事だと思います」「今この流れが全国各地に広がっています。この運動をこの先もずっと継続的に続けて行けたらと思っています。みなさん様々な考えを持って参加してるとは思うんですけど、今日こういう風にして自らの考えを示す事が出来たっていうのは、大きな一歩だと思っています」

男性「同じ大学生が何か声を上げてるっていう事で、気になって法案を調べてみたら、色々おかしなところがあるみたいで、それで何よりも僕が反対したいのは、自分、友達に自衛隊の子がいるんですけど、その子を戦地に派遣する法案を僕は絶対に通す事は出来ないと思いました。自分の一緒に部活とかをしてきた仲間が、まるでスプラッター映画のように戦地で殺されるような様は絶対に想像したくないし、それに反対するために何かしとかないと絶対に後から後悔すると思ってこの活動に参加させてもらいました。最初怖かったんですけど、本当に参加してよかったと思いました」

女性「今日も高校生も来てくれて、でも制服姿だからそんなに前には出れないけど、でも来てくれて、それって本当に草の根的にというか、本当に名も無い人達が声を上げてきてる、全然政治の話は意識高いやつがやってるとか、そういう問題ではなくて、自分たち一人一人の問題なんだっていうのを、今日デモをしてみて自分でも実感したし、またこれをいろんな人に広げていかないといけないなって思いました」

自らの行動に対し不安や恐怖と同時に希望を感じ、現状を一緒に変えようという気持ちが溢れ出ていた。
勇気を出して表に立った彼らの後ろには、まだ見ぬ多くの若者たちが見えたような気がした。



[2015年7月29日(水)・福岡県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび

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〈学生ハンスト実行委員会9月1日付Facebookより〉

8月27日14時から「安保関連法案を阻止し、安倍政権打倒」を訴えてハンストに決起した学生達の闘いが開始から121時間(9月1日15時現在)を経過してもまだ続いている。8月中旬までの猛暑がうそのように東京は朝晩「寒い」と感じるほど温度が下がることがある。あいにく雨天も多く寒暖の差が激しい条件の中、学生達はまだ闘い続けている。災害時など行方不明者の生死を分けるのは事故後72時間といわれている。120時間超のハンストが如何に激烈な行動か想像いただけるだろう。

寒さは普通に生活していても体力を奪うが、水分とスポーツドリンク、わずかの塩以外、一切固形物を口にしないという方針での「ハンガーストライキ」。学生達の体力消耗と疲労はすでに「限界状態」(学生達の健康状態を管理している医師)に達している。学生達はただ黙して、座っているのではない。毎日何度も集会を開き彼らの訴えを語っている。


◎[参考動画]「安保法案阻止」学生ハンスト6日目・二人の思い(2015年9月1日レイバーネットTV公開)

◆ハンスト続行の最中に井田敬さんが極限状態で語ってくれたこと

8月30日国会に12万人が集結した際には、ハンストの場所を国会議事堂前に移し、そこで彼らも集会に参加した。内外多くのメディアからの取材があり、彼らが配布するビラはほとんどの人が快く受け取ってくれるという。特に中国のテレビ局は現場からの生中継も行ったそうだ。

しかし、体力には限界がある。彼らは大丈夫だろうか。そこで、1日午前ハンスト参加学生の井田敬さんに電話で取材した。井田さんによると彼らが本当に極限状態であることが伝わって来る。

「ハンスト参加学生のうち1名が昨日医師から『生命の危険がある』と警告されたために、開始から101時間で本人の希望に反する形になりましたが終了させました。また、もう1名も昨夜から体調不良を訴えていましたが、今朝医師から『きわめて危険』と判断され、開始から113時間で終了させました」

「私も数日前から医師には『いつ何が起きても不思議ではない』状態と言われていますが、何とか頑張っています。反応が鈍くなったり、疲労もありますが、それにもまして、私達の訴えを一人でも多くの人々に伝えたいとの気持ちがあります。30日には本当にものすごい数の人たちが国会を包囲しました。私は7月15日委員会で強行採決された日にも国会に来ていたのですが、比較にならない熱気でした。とても意義深かったと思います」

「でも、大切なことは国会を包囲した、あの『熱気』を家庭や職場、学校に持ち帰って、そこで広めていくことだと思います。そのために残った二人で頑張ってさらに訴えを広めたいと思います」

◆なぜ安保法案に反対し、ハンストを行っているのか?─いま一度、彼らの宣言を読んでほしい

そう語ってくれた井田さんからは彼らの訴えを「是非読んでほしいです」との要望があったので、以下に全文引用する。

私たちはなぜ安保法案に反対し、ハンストを行うか (学生ハンスト実行委員会)

私たちの安保関連法案に対する考えと、ハンスト戦術の持つ政治的な意義について以下のように述べておきたいと思います。是非ご一読ください。

安保体制への私たちの評価

まず安保法案の是非を論じるにあたって、その不可欠な前提をなす戦後安保体制に対する評価は避けて通ることができません。

植民地争奪戦としての第二次世界大戦終結後、朝鮮戦争を始めとした米ソ冷戦構造において日本は東アジアでの「防共の砦」の一員となり、1951年、日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)を締結しました。かかる条約はアメリカとの実質的な軍事同盟として、日本の緩やかな武装化をともないつつ軍事的牽制を基軸とした東・東南アジアの「秩序」を形成してきたと言えます。しかし、この条約に基づく「秩序」は、アメリカ主導の侵略戦争に日本が加担することで成立した欺瞞的な平和であったと言わざるを得ない、と私たちは考えます。

例えば朝鮮戦争においては、日本はGHQ公認の下で兵器製造・輸出を媒介とした「朝鮮特需」といわれる利潤を一方的に享受し、経済発展を遂げました。また他方で1960年代には、ベトナム戦争において、主に沖縄に米軍出撃拠点としての役割を強制するなど積極的な兵站支援を行ってきました。もちろん上記代理戦争の相手方たるソ連を支持できるものではありませんが、日米安保体制下の「平和」や「豊かさ」は他地域の民衆に犠牲を強いることで成り立ってきたことは否定しえない事実です。

そして冷戦終焉後、21世紀に入った現在も、イラク戦争に見られるような「対テロ戦争」を名目とした非対称戦争を主導する根拠として安保体制が機能していますし、国内でも、沖縄に在日米軍基地の74パーセントが押し付けられていることから考えると、日米安保体制の本質は変化していないといえるのではないでしょうか。私たちはそのような戦後体制を変革する必要があると考えています。

安保法案と安倍政権

しかし、安倍政権が押し進める安保法案は、この戦後体制を改善するどころか悪質に転換し、日本の軍事大国化を志向するものです。独力で覇権を維持できなくなってきたアメリカは、日本にさらなる軍事的貢献を要請してきており、日本は今回の法案によって自衛隊の海外派兵を含む直接的な戦争支援を可能にしようとしています。

アメリカが遂行している「対テロ戦争」や他国への軍事介入は、集団安全保障を名目に多国籍企業の利益を擁護するものとして、米ソ冷戦終結以前の「集団的自衛権」に基づいた戦争と比しても、その本質に変わりありません。

例えば中東「イスラム国」への掃討戦は、有志連合の集団的自衛権の発露として行われていますが、20世紀に行われた帝国主義国による中東の人工的分割の生んだ矛盾を温存し、クルド人をはじめ抑圧された民族の抵抗を圧殺する役割を果たしています。「イスラム国」が悪辣な体質を有しているとはいえ、現状の「集団的自衛権」がさらなる戦争の火種を生んでいる側面は否定できません。今回の安保法案はそうした戦争に日本が直接に参加することで支配的な地位を獲得しようとするものであり、上記のような戦争の性質に鑑みれば非難せざるを得ません。

また対内的には閣議決定による集団的自衛権の合憲化と軌を一にして、日米合同の戦争のために、沖縄へさらに米軍基地・自衛隊基地を押し付けようとしています。2014年の沖縄県内の各種選挙において辺野古新基地反対派が軒並み勝利したにも関わらず、政府が新基地建設工事を強行しようとしている現状は、最低限の議会制民主主義のルールすらも否定するものと言わざるを得ません。

さらに安保法案の制定を目指して行われた安倍政権下での数々の立法と「解釈改憲」(特定秘密保護法の制定・集団的自衛権の閣議決定に基づく合憲化)は、おおよそ立憲主義を無視しており、安保法案はまさにそうした立憲主義破壊の集大成と言わざるを得ません。安倍政権がこういった違憲立法を行うことは、アメリカなどが主導する侵略戦争に一主体として参加していこうとする意志の表れであると私たちは考えます。

上記の理由から、私たちは安保法案の制定に反対し、これを阻止するために行動します。

ハンスト戦術について

安保法案に反対する私たちがなぜハンガーストライキという戦術を採用し、これからいかなる戦略をもって安倍政権に反対していくのか、以下に述べたいと思います。

現在、衆参両院の議席の過半数は自民党と公明党に保有されています。政府与党は選挙の結果を以て彼らの安保政策は「民主的に」支持されていると主張していますが、はたしてこれは正しいのでしょうか。選挙による選任は、政策の白紙委任を意味しません。選挙で多数派の得票を得たからと言って、自由に政治的決定を行っていいわけはありません。

しかし、政府与党は多数派の威力によって強行的に安保法案を通そうとしています。この局面において、ただ間接的な手法で抗議するだけでは法案成立を阻止できないと、私たちは考えます。

そもそも民主主義とは全員参加の意思を決定するプロセスで、多数派の専制を防ぎ、少数派を見捨てることがあってはなりません。議会の多数決だけで物事を決めることは民主主義の否定と言うべきでしょう。そして、現在、反対派の意見は見捨てられ、強行的に法案が成立されようとしています。すなわち、民主主義が機能していないからこそ私たちは直接的に民意を反映させようと試みる必要に迫られています。

代議制だけでは、民主主義を機能させるには不十分です。直接行動は民主主義を機能させるうえで絶対に不可欠なのです。

私たちは今回、こういった危機的局面においてハンガーストライキという手法を使って安倍政権に抗議します。私たちは無駄に身体を傷つけ命を粗末にしたいわけではありません。ハンスト中は医師についてもらい、体調管理をしていただきます。確かに行動に伴うリスクは低くはありません。しかし、私たちはこういったリスクを冒してでも訴えたいことがあります。戦争とは、自分が命を落とすと同時に他者を殺すことです。戦争に反対するとは単に自分が命を落としたくないという表現であるだけでなく、他者を殺すことを拒否するという宣言でもあります。今現在、この瞬間にも世界中で武力紛争は続いており、犠牲者は増え続けています。数えきれないほどの難民が日々命を脅かされながら生きています。このような世界で、いま私たちはこういった戦争への加担を準備するのか、それとも戦争を止めるために行動するかの選択を迫られています。ハンスト実行委員会は殺すことの拒否、人殺しによる繁栄の拒否をハンガーストライキという形で明確に示していきます。

私たちはかかる見解に基づいて、8月27日よりハンガーストライキに突入します。

学生ハンスト実行委員会
ブログ ? ? ? ? http://blogs.yahoo.co.jp/hansutojitsu
Facebook ?https://www.facebook.com/Hungst.co.jp

もう十分に闘った。学生達のハンスト闘争は「勝利」だった。もう何時終結しても胸を張れる。彼らの体を賭した行動に再度最大級の賞賛と敬意を伝え、そして、無力な私は頭を下げたい。


◎[参考動画]「安保法案成立阻止 安倍政権打倒」学生の無期限ハンスト(2015年8月27日レイバーネットTV公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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7月26日(日)、福島県福島市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
福島からも「戦争法案」反対の声をあげるべく結成された「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」が主催し、福島駅東口周辺を約200名で行進した。盆地の福島市は非常に蒸し暑かった。


[動画]戦争法案に反対するデモ@福島 – 2015.7.26 福島市(12分14秒)

福島県庁前を出発したデモ隊は、ふくしま自民党(自由民主党福島県支部連合会)が入る中町ビル前で、「なんか自民党感じ悪いよね!」「内閣支持率何%?内閣支持率35%!」「未来のために今声あげよう!」等のシュプレヒコールを上げた。
そして、街宣車に乗り込んだ若者たちは次々に「戦争法案」に反対するスピーチをしていった。

「僕のおじいちゃんは戦争経験者です。
小さい頃から戦争の話を聞いて育ちました。
小さい頃、おじいちゃんに『人を撃った事あるの?』って聞いたことがあります。
しかし、その質問にはきちんと答えてくれませんでした。
今ではもう聞くことができないけど、絶対に大変な経験をしたんだろうなあと思います。
『戦争ほど酷いものはない』と何度も言っていたおじいちゃん。
戦争ほど何も生み出さないものはないと思います。
その戦争を今安倍首相はやろうとしています。
僕たち若者の未来を、一政権の勝手な独断で決めてほしくありません。
僕たちは、自分の未来は自分で決めます。
その為に、今こうして全国の仲間たちと一緒になって声を上げています。
今集まっている人、今聞いている一人一人、様々な想い、
確かな決意があって来ていると思います。
僕は、今回の戦争法案で若者が政治に対して声を上げること、
政治に関心を持つことのきっかけになったと思います。
もう安倍政権は僕たちの声は無視できない」

「安倍首相は、この間テレビで、『この法案はいわば隣の家の火事を消すことだ』
と言ったそうですが、はっきり言って全然説明になってません。
戦争は消火活動なんかじゃないんですよ。人殺しですよ。
消すのは火じゃなくて人の命です。
それに手を貸す、それがどうして日本の安全に繋がるというのでしょうか。
そんな犠牲を負ってまで、強硬な軍事同盟による抑止力なんてものが必要なんでしょうか。
バカの説明には納得されず、自分で思考し、自分で行動していきましょう」

「4年前、福島の原発事故が起きた時、
たくさんの人が、先の見えないままに避難を余儀なくされました。
私はボランティアを通じて、いろんな人に出会いました。
家をなくした人、仕事をなくした人、仲の良かった友人と離ればなれになった人、
生き甲斐にしていた畑を原発事故によって奪われてしまい、
あの日から時間が止まったままだという人もいました。
それを知って私は、どこか罪悪感を感じ、今まで原発に対して、
まるで無知で無関心だった自分にすごい腹が立ちました。
どうしてこんなことになる前に、原発に反対しなかったんだろう、
もっと早い段階で気付いて行動を起こしていたらどれだけの被害者を出さずに済んだんだろう。
今回、無理やり成立させようとしている戦争法案も、決して他人事じゃないです」

それぞれが思い思いの言葉を街に響かせた。
安倍首相をバカ呼ばわりしているが、バカはきちんとバカとして扱わないといけないと思うので、必要に応じて今後も罵倒すれば良い。
全国各地で多くの人々が立ち上がっているのだから、自分たちの属している自治体で行動を起こした時は、よりパーソナルなレベルの話をするのは戦略的に間違っていないだろう。
地元の構成員たる自分が、自らの言葉を使い、当たり前のことを堂々と発言していくべきだ。そのようなことが全国各地で行なわれれば、本当に大きな力となるだろう。この福島市での行動は小さなものかもしれないが、大きな力の中のひとつだと感じた。

今回のデモでは、立派な大型街宣車を借りてきていたのだが、備え付けられたスピーカーは使用せず、より音の良いスピーカーを別に用意して設置していた。
音は非常に良かったのだが、それをモニタリングするスタッフがおらず、BGMと話す声のバランスが悪かったり、商店街を通行する時に音量が大き過ぎたりしていた。
話す人によって声量が違うし、かける曲によって音量が違う。それだけでなく、立地によってスピーカーから出して良い音のレベルが違うので、それを車の外からチェックしオペレーターに音量変更の指示ができればベストだ。

デモは正当な権利であるのだけど、時と場合を考えないと逆効果になってしまうこともある。
例えば、学習塾や病院、冠婚葬祭を行なう施設、イベント会場のそば等では、楽器を鳴らすのをやめたり、スピーカーの音量を下げたりする配慮は、その街を大事に思っている人として当たり前ではないだろうか。
防音対策が施されている建物だろうと、その施設の休みの日であっても、そのことを知らない人がいないとも限らない。デモは「イメージ」でもあるので、配慮があってこそ効果を生むと思う。

若者たちの感性をストレートにぶつけ、それなりの配慮のデモをしていけば、こんなに強い武器はないだろう。

[2015年7月26日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社) にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび
◎《013》戦争法案に反対する若者たち VOL.8 福岡

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