前回までにお伝えした吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問でたびたび登場するマット・テイラーという人物について説明をしたい。

◆「川田亜子さんの死の謎を知るアメリカ人」として紹介されたテイラー氏

吉松育美写真集「Hollywood Debut」(2013年IY GLOBAL, LLC)

そもそも、テイラー氏が日本のマスコミで注目されたのは、2008年5月に元TBSアナウンサー、川田亜子さんが練炭自殺した事件だった。テイラー氏は、川田さんの「最後の恋人」とされ、川田さんの死の謎を知るアメリカ人として紹介された。

報道志望だった川田さんは2007年11月ごろ、世界核兵器解体基金という財団の代表を務め、核兵器廃絶を訴える平和活動家だったテイラー氏と知り合い、意気投合したという。当時、テイラー氏は核廃絶を祈る日本人僧侶らを追ったドキュメンタリー映画『GATE』の監督として製作を進めていたが、川田さんもこれにボランティアスタッフとして関わり、試写会の司会を務めたいと希望していたが、それが叶うことはなかった。

◆谷口氏に約1億円の損害賠償を請求する裁判を起こしたテイラー氏

川田さんは、2007年3月にTBSを退職し、大手芸能事務所ケイダッシュ所属のフリーアナウンサーとなったが、筆者がテイラー氏に取材したところ、そのきっかけとなったのが谷口氏との関係だったという。

川田さんを見初めた谷口氏はケイダッシュへの移籍を求め、川田さんもこれを受け入れた。交際を始めた2人はやがて婚約し、パリに旅行に行った。この時の旅行で谷口氏は自分の秘密を打ち明けた。これを聞いた川田さんは、谷口氏に強い不信感を持ち、婚約を破棄し、別れようとしていたという。

その後、川田さんはテイラー氏と知り合い、深い関係になっていった。だが、谷口氏は2人を許さなかった。

雑誌に川田さんのスキャンダル記事が掲載され、テイラー氏が製作を進めていた映画にも妨害があったという。

そして、2008年5月25日、川田さんは港区海岸の路上に駐車してあった車の中で倒れているところを発見され、死亡が確認された。

川田さんの死後、テイラー氏は、「川田さんの自殺事件の真相を明らかにする」として谷口氏に約1億円の損害賠償を請求する裁判を起こした。

テイラー氏は、谷口氏が「テイラーは詐欺師だ」と触れ回った結果、公開が中止に至ったと主張していたが、谷口氏は逆に「テイラー氏は、ロシアの核兵器解体現場を撮影させると約束し、1000万円を受け取ったのに、撮影は実現しなかった」として反訴した。テイラー氏は、谷口氏か返還を求めた1000万円について「NGOの趣旨に賛同した谷口からの贈与である」と主張したが、結局、この裁判でテイラー氏は敗訴し、1000万円の支払いが命じられた。

◆吉松さんのトラブルの背景に見え隠れする谷口氏とテイラー氏の対立

その後、吉松さんと谷口氏の間にトラブルが発生すると、谷口氏は吉松さんと近いテイラー氏に対してプレッシャーをかけようとしたのだろうか、先述した裁判で生じた債権が回収できていないとしてテイラー氏に対して破産を申し立てたのだった。

この時、テイラー氏は谷口氏に分割での支払いを申し出て、話はまとまりかけたが、2013年3月、谷口氏は土壇場になって1000万円の返還に加え「吉松育美の個人保証と権利」を条件とすることを提案した。テイラー氏は「吉松さんはこの件と関係がない」として、谷口氏からの提案を拒否して破産を受け入れると主張。すると、谷口氏は一転して破産申立自体を取り下げたのだった。

以上述べたように、吉松さんと谷口氏のトラブルの背景には、自殺した川田亜子さんをめぐる谷口氏とテイラー氏の対立があったのである。

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◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能42》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(2)
◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)
◎《脱法芸能44》吉松育美VS谷口元一裁判(4)マット・テイラー氏とは何者か?

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

2015年を振りかえってみようと思う。マスコミが毎年年末に年中行事として行う「今年の10大ニュース」のような凡庸な行為だが、自分の愚かさを振り返りつつこの1年を回顧する。


◎[参考動画]Charlie Hebdo: Paris terror attack kills 12? BBC News 2015/01/07 に公開

1月7日フランスの「シャルリー・エブド」が襲撃され、12名が死亡し20名以上が負傷する事件が起きた。あの事件は今年に起こっていたの?と錯覚を起こすほどはるか昔の出来事のように感じるのは11月13日に同じくフランス、パリで130人の犠牲者を出すことになる同時襲撃事件を目の当たりにして間がないからかもしれない。

「シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)」HPより

◆「表現の自由」がどこまで許されるのか?

「シャルリー・エブド」襲撃事件は年始にあって2015年、世界の注目がどこに注がれるのかを示唆するに充分過ぎる衝撃であった。報道機関への襲撃は「言論の自由への攻撃」と非難を浴びたし、「表現の自由」がどこまで許されるのかといった長年にわたる議論をさらに喚起する要因にもなった。

襲撃事件に国際社会が足並みをそろえて非難を表明し、「Je suis Charlie」(私はシャルリー)を公言する著名人が世界に溢れた。私は本コラム1月16日「『シャルリー・エブドと『反テロ』デモは真の弱者か』の中で、

「フランスのオランド大統領から『テロとの戦争』という言葉を聞くと彼が被害者には思えなくなる。この事件のそもそもの原因は『シャルリー・エブド』紙がイスラム教を揶揄するような風刺漫画を掲載したことだった。そして、同紙がイスラム教を揶揄する風刺漫画を掲載したのは、今回が初めてではない。2006年から断続的に同紙はイスラム教を挑発する内容の風刺漫画を掲載しており、その度に、フランス在住のイスラム教徒からデモなどの抗議行動を受けていた。フランス政府も『あまりイスラム教徒を刺激し過ぎないように』と2012年には自粛要請を行っている。

イスラム教風刺にかけて『シャルリー・エブド』は『確信犯』だったわけだ。その証拠に1月14日発売の事件後初の誌面にもまたもや『ムハマンド』の風刺が掲載されている。(中略)『シャルリー・エブド』は国際社会から『承認』されている。決して弱者ではない。私の杞憂であればよい。でも、そうでなければ同様の『テロ』事件は続発するだろう。」

と私見を述べた。「シャルリー・エブド」襲撃事件の被疑者とパリ、同時襲撃事件の被疑者はともにイスラム教徒ではあるが、後者は「IS」が組織的に計画、実行した事件であると見られているのに対し、「シャルリー・エブド」襲撃事件の被疑者は「IS」との関係を否定している者がいる。

◆被抑圧者と世界を支配する力学の軋みが惨事を引き起こした

この際、事件を起こしたグループが同一かそうでないかはあまり重要ではない。明確なことは抑圧者と被抑圧者の歴史、宗教観と世界を支配する力学の軋みがこの惨事を引き起こしたという点だ。そしてそのような視点に被害者及び被害者に与する世界の洞察が及んだかどうかではないだろうか。私はそうすることなしに同種の襲撃事件の再来を防ぐことは出来ないだろうと考えた。

「世界」や「正義」、「歴史」さらには「人間の命」は徹底的に不平等なものであることを2015年の年頭、我々に突き付けたのが「シャルリー・エブド」襲撃事件だった。人間は進歩するのか、理性は進化するのか、「正義」や「大義」といった言葉に対して新しく説得力溢れた意味付けがなされうるのか、が問われたがいずれも回答は無残なものだったと結論づけるしかない。

私たちが事件を知り、その背景に思いを巡らすとき、事件はマスメディアや強者によって予めバイアスのかかった誘導が行われる。だから「意味」の闘いに備えるには常時弱者や庶民が「徹底的に不平等な社会」を認識し考慮に入れておかないと混迷に陥る。

「世界中(もちろん日本でも)でキナ臭いことが起こるよ」との警鐘を鳴らしたのが1月7日の事件だった。そしてこの島国で、私たちはまた大きな後退を迫られた1年となったのはご承知の通りだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎大阪ダブル選挙──「安倍と橋下どっちを選ぶ?」の選択肢しかなかった不幸
◎隣のクルド人──「国を持たぬ民」が日本社会で暮らすということ
◎パリ襲撃事件報道の違和感──言葉の収奪、意味の無化を進める不平等な世界

7日発売『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

迫力ある悪役を演じる北野武が加わったことで、好調に観客動員数を伸ばしている劇場版「MOZU」。主人公の西島秀俊がヘビースモーカーで「嫌悪感が走る」と嫌煙家たちの間で話題にのぼるも、これに反論した。

劇場版 MOZU

俳優の伊勢谷友介が、「タバコが嫌いなのを映画に当てつけてる」「無視していくべきだと思う」とコメントし、さらに「本当にどうでも良いと思ってる。そういう所やーやー言われても、無視していくべきだと思う」とまっこうから嫌煙の議論に反抗した。これに「よくやってくれた」とばかりに、愛煙家としては久しぶりに溜飲を下げている。とくに「喫煙派の演出家」が喫煙シーンを増やしそうだ。

「いやいや、伊勢谷は、映画とタバコをからめて『喫煙が悪い』とされる風潮に反論したので、別に喫煙を是認したわけではありません。それなのに、現場のディレクターたちは、これでタバコが似合う俳優たちがイキイキとできる。とくに悪役で食っている連中たちは、うれしがっていて、脚本上、タバコのシーンがじわじわ増えているのです」(ベテランの脚本家)

今や、刑事ドラマでも刑事たちは喫煙しない。かわりに楊枝をくわえていたり、ガムを噛んでいるのが通例だ。
「よくよく考えれば、本物の刑事たちも、警察が禁煙なのでそのほうが自然なのですが、遠藤憲一やオダギリジョーなどは、タバコを手にしたほうが絶対に絵になると演出家たちは考えていますよ。女性でも、何も指示しなくとも、小泉今日子や室井滋などは、アクが強い役をやると喫煙したがる。要するに喫煙する、しないは表現の自由だと思いいますよ」(都内のテレビ制作会社スタッフ)

かつて、宮崎駿の引退作のアニメ「風立ちぬ」の喫煙シーンが多いことにクレームがついたのが記憶が新しいが、そのときのクレームは、「病人の前で喫煙している」「学生にタバコを勧めている」の2点が問題となった。

「確かに、テレビシリーズでも映画でも、西島はよく喫煙している。だがこのシリーズに限っては、喫煙シーンは不気味な犯人が得体のしれない目的のために動いている不気味さを描くのに不可欠だと見るのが正しい」(同)

制作したTBSに「タバコのクレームは何件来ていますか」と聞くと「喫煙シーンが多くて不愉快だという意見はいただいていますが、件数は掌握してません」とのこと。

確かに、喫煙するしない、は映画の本質ではない。制作したTBSもそんな枝葉末節なことは「煙にまきたい」というところだろう。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。
◎愛国的な韓国人や日本のネトウヨが卒倒しそうな韓国艦「テ・ジョヨン」の姿
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化
◎国勢調査の裏で跋扈する名簿屋ビジネス──芸能人の個人情報を高値で売買?

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前回に引き続き、吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の模様をレポートする。

吉松育美さん記者会見動画より(日本外国特派員協会公式チャンネル2013年12月16日公開)

◆久光製薬との広告契約が合意直前で流れた原因

西川紀男弁護士 育美さんと久光製薬との広告契約についてのお話をお聞きしたいです。久光製薬とのCM出演の話は、育美さんと久光製薬の本社が同郷だということで出てきたんでしょうが、いつごろから?

吉松育美 私が世界一になったわりとすぐ後、2012年年末に、地元でパーティーがあったんですが、その時、久光製薬の中冨(博隆)会長から直々に「CMの話を考えているからね、よろしくね。こういう商品だから使ってみてね」と商品まで一緒に渡されて、CM出演を直接、依頼されました。

西川紀男弁護士 その話は結局だめになったんですよね? 原因は?

吉松育美 原因は谷口元一さんが妨害したからです。

西川紀男弁護士 どういう妨害ですか?

吉松育美 久光製薬や電通などに私の悪い噂を流しました。

西川紀男弁護士 甲第31号証を示します。ここに広告出演契約書とあります。それはいつごろ、渡されましたか?

吉松育美 これを渡されたのは、2013年の6月になります。

西川紀男弁護士 そういうドラフトが出てくるということは、交渉の進展というのはどの程度のものでしょうか?

吉松育美 このようなドラフトができあがっているというのは、つまり、ハンコ待ち、90%は交渉が成立していたということだと思います。

西川紀男弁護士 金額はいくらでしたか?

吉松育美 3000万から5000万円。

西川紀男弁護士 そういうことで、合意といってもいいですか?

吉松育美 はい。

西川紀男弁護士 久光製薬と電通、あなたたちとの話し合いがあって、2013年8月28日ごろ、だいたいダメなんだという結論が出ているんですよね。

吉松育美 私が知ったのは9月10日のミーティングです。久光製薬の方から、社内と電通で吉松育美さんのCMをやめようという意見が出てきたとのことでした。

西川紀男弁護士 久光としては何を一番恐れたのか?

吉松育美 それは谷口さんからの妨害を一番気にしていました。

西川紀男弁護士 妨害というのは?

吉松育美 私が久光さんと契約をした後、久光さんのイメージ、またはブランドイメージに影響するようなスキャンダルだったり、悪いことが起きるのではないかということを心配していました。

西川紀男弁護士 それはマットさんとあなたの関係を公にするということですね。別に何もないんでしょうが、そういう話が谷口さんからあった?

吉松育美 久光製薬の方からは直接そのような話は聞いていませんが、谷口さんはこれまで私の父親に対しても「(育美さんは)テイラーさんと同棲しています。探偵を雇ったので、写真もあります。ミス・インターナショナルを運営している国際文化協会の事務局にも育美さんとテイラーさんが同棲していることを示すスキャンダル記事があります。場合によっては、それを出すみたいな話が起きているんですよ」と国際文化協会の松永さんからも言われました。また、『週刊新潮』の記事の中にも私とテイラーさんが一緒に住んでいるかのような表現があったので、谷口さんの言う私のスキャンダルというのは、テイラー氏と同棲していることだと思います。

西川紀男弁護士 そういう同棲とかそういう事実はまったくないんですね?

吉松育美 まったくないです。

◆体調不良で辞退してくださいと国際文化協会の方から……

西川紀男弁護士 あなたは2012年のミス・インターナショナルだから、2013年の新しいミス・インターナショナルのクラウンプリンセスができれば、新しいミスに王冠やガウンを着せるという役目があなたにはあったわけですよね。それはあなたにとっては大変名誉なことなのに、それができなくなったということでよろしいですか?

吉松育美 (言葉に詰まって)ごめんなさい。悲しいことなので……。谷口さん本人からミス・インターナショナルのスポンサーであるミスパリの方にガンガン連絡が来ている。ケイダッシュの谷口さんが動いているとなると、今後、スキャンダルが2番手、3番手出るか分からない。だから、吉松さんは体調不良で辞退してくださいと国際文化協会の方から……。

西川紀男弁護士 体調不良を理由に休んでくれということを言われたということですね? あのヒラヤマさんとか、マツナガさんたちの陳述書の中には、育美さんの不誠実な対応があるとか、仕事をしなかったとかいうような文言が入っていますが、その点については?

吉松育美 そういう事実はまったくありません。

西川紀男弁護士 中国から帰ってくるのが遅れて仕事ができなかったというようなことがあったようですけど、それはどういう原因なんですか?

吉松育美 ミス・ジャパン時代なんですけど、中国から日本に帰ってくる前に台風の影響で乗り継ぎが遅れてしまって、日本に帰国することが遅れたために、仕事をまっとうすることができませんでした。

西川紀男弁護士 私が先ほど、「同棲とかそういうことはないですね」とお伺いしたら、「ありません」と、あなたはきっぱりと否定した。ところが、谷口さんの方で調査されている行動調査報告書、甲第33号証、甲34号証、これらを示します。これを見ると、「一緒に家に帰ってくる」「9時以降は全然外に出なかった」という報告書なんです。ということは、ずっと2人がそこにいたということにはなりませんか。

吉松育美 なりません。まず、8月25日、探偵の方が調査を行ったことですが、9時以降もテイラー氏と私が同じ部屋で出てこなかったという報告がありますが、それは事実と異なります。

西川紀男弁護士 テイラーさんは出て行ったのですか?

吉松育美 はい。その日は、テイラーはレンタカーを借りていました。なので、私も一緒に帰宅し、レンタカーで私を降ろしてそのままその足でレンタカーを返しに行っています。なので、レシートを見ていただければ分かると思いますが、

西川紀男弁護士 今、おっしゃったレシートというのは、甲第35号証ということですね。そのレンタカーの実着日というのが8月25日日曜日8時44分ですね。8時44分にはレンタカーを返しに行っている。逆算すると、家には確実に8時44分前に出なければいけないので、その報告書というのは、デタラメな報告書です。(続く)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
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◎[参考動画]吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能42》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(2)
◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買
◎《脱法芸能40》安室奈美恵「移籍劇」は芸能界決壊への「パンドラの箱」を開いたか?

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社2014年5月13日刊)

 

『2015ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)を逃したものの、トップテン入り。初の著書で、とにかく明るい安村が例の「全裸に見えそうな危険なポーズ」を撮った写真を集めた『安心してください、はいてますよ。』(とにかく明るい安村著・竹書房)に東京都の教育委員会から“イエローカード”が出そうだという情報が業界を駆け巡った。

とにかく明るい安村『安心してください、はいてますよ。 』(竹書房2015年11月30日)

「安心なんかできねーよ。小学生が全裸で公園でマネしてるって通報があったって話が都の教育委員会の間で出まわったんです。それであの安村が『教育界に睨まれていた』って情報が流行語大賞の直後に出まわりました」(芸能ジャーナリスト)
この本を巡って、小学生が学校でポーズをマネして脱ぎだしているというのは事実だ。都内の小学校教師は語る。

「授業にならない。体育の着替えなどで必ず『大丈夫です、はいてますよ』と脱ぎ出す生徒がいれば、クラスメイトの体操着を脱がせて『大丈夫ではありませんね。はいていません』などとちょっかいを出すいたずらが流行しています」

「安村の本が教育委員会に目をつけられているかも」という話の端緒はいくつかあるが、都市伝説かもしれない話として「ある父兄が東京都の教育委員会に安村の本を持ち込み、『これはちょっと子供の教育によろしくないのではないでしょうか』と、ほぼ全裸に見えるカットを教育委員会関係者に見せつつ語ったことがあげられる。

「安村の著書がお上、とりわけ教育関係者にうんぬんという話は、僕も知り合いの刑事から半信半疑で聞きました。こんなの、よくあるライバル出版社の揚げ足とりですよ。だれか、安村の本の利権を版元にとられておもしろくなかったか、あるいは安村がここまでブレイクしておもしろくないと思っている御仁か。いずれにせよひがみから始まった嫌がらせが、教育委員会への筋違いなタレコミになったにちがいありませんよ。よくある話です」(全国紙社会部記者)

バカバカしい噂がかけめぐっているが、とくに発売禁止の兆しはないと出版事情に詳しい猪野雅彦弁護士は言う。
「まあ、べつに全裸を奨励しているわけでもない。ネガキャンを展開するのはいいけど、逆効果だよね。でも売れれば勝ちじゃないのかな」

果たして、もっと売れて「安心してしまう」のは仕掛けた吉本興業と版元ばかり也となるや否か。(小林俊之)

小林俊之+影野臣直!強力タッグの短期連載ルポ[全8回]
新宿・歌舞伎町ぼったくり裏事情──キャッチ目線で見た「警察の対応変化」
《1》「ぼったくり店」はどうやって生まれるのか?
《2》なぜ銀座のクラブにはゴタがないのか?
《3》メニューに金額明示があれば違法性はない?
《4》東京五輪を前に警察が浄化作戦を始動?
《5》御一人様51万円「クラブ・セノーテ」事件の衝撃
《6》ベテランキャッチが語る「ぼったくり」の世界
《7》「ガールキャッチ」復活と増えるプチぼったくり
《8》警察の弾圧が盛り場の「食物連鎖」を増殖させる

「脱原発」×「反戦」の共同戦線総力誌『NO NUKES voice(ノーニュークスヴォイス)』第6号!

 

日本のキックボクサーがムエタイ選手の強さを追求し、追いつき追い越そうと、また日本人ライバルにも差を付けようとタイ本場のムエタイジムへ修行に向かい、厳しい環境の中で技術を学ぶ。その歴史はキックボクシング創生期から始まり、現在も続いています。

1980年以前は、海外へ渡航すること自体、困難な時代でした。海外を拠点とするビジネスマンでもなければ日本を離れることは無く、高額所得者でなければ航空券すら買えず、海外旅行は一般庶民には程遠く夢の時代。それでもチャンピオンクラスやその陣営の人たちは度々タイへ渡りました。

1988.9.21 ナ・ラーチャワットジム

◆80年代に始まった「強くなるためのタイ修行」

そんな時代も徐々に変化し、格安航空券なるものが当たり前に蔓延。更に円高が拍車を掛け、1980年代に入ると世間は海外旅行ブームに入っていきました。タイへ渡り試合を観てジムを見学する“ムエタイ観戦ツアー”なるものも増え、「タイへ修行に行こう」という志豊かな若者がドッと増えたのもこの頃でした。

そうなるとムエタイ業界にも影響が現れました。ムエタイ修行に向かう各国の選手。元々“お客様”を受入れる態勢など無かった奴隷のような男だけの汚いジムが、徐々に外国人受入れ態勢が出来ていったジムも相当数になると見られます。試合で稼いでくれるチャンピオンやランカーではない、練習費を払ってくださるお客様だけに、空港までの送迎、エアコンの効いた日本人(外国人)専用部屋、食事は不備の無い調理と冷蔵庫と浄水器のある設備、お湯の出るシャワー、女性練習生受入れ態勢も充実という練習以外の苦痛は無いと思える環境。

1988.9.21 ナ・ラーチャワットジム

◆2000年代からはオシャレでセレブなフィットネス系ムエタイジムが増加

2015.11 フィットネスジム

2000年代から観光化したムエタイジムに変貌していくジムも増えました。体験入門としての緩い練習内容の初心者コースもあり、今はほとんどプロ選手に限らず、一般学生やビジネスマンのタイ人も受入れ対応可能なジムが多くなりました。

タイの現在は、ある意味ムエタイブームで、ガラス張りの綺麗なフィットネスムエタイジムがたくさん出来て、ショッピングモールのテナントにヨガ&フィットネスジムと一緒にサンドバッグやリング設備があり、富裕層の女性が“ダイエットに最適”と通うことが流行っているようです。この辺はビジネス的に商売としてやっている傾向のジムで、選手の育成の概念が無いフィットネスムエタイジムと、稼げるチャンピオンを目指すプロムエタイジムは別物と考えなければいけません。

◆有力キックボクサーたちのムエタイ修行列伝

タイに渡ってキツイことは、ジムワークや南国特有の暑さだけではありません。外国人受入れ態勢の無い、はるか昔の汚いジムに単身乗り込んで行った日本人選手もたくさんいました。

1983年春、青山隆(元・日本フェザー級チャンピオン/小国=当時)氏は、バンコクに着いて、空港のタクシー運転手に、知人に書いてもらった英文字の住所の紙を見せ、英語のわからない者同士で片言の値段交渉。ジムに着いてもそのままタイ人選手の居る雑魚部屋へ通され、言葉が通じないことや、選手と輪を囲み、同じオカズに箸を進める食事も慣れるしかなく、練習も自分から皆の輪に入っていかないとミット蹴りも首相撲の相手もやってくれず、浄水器など無い濁った水道をタイ選手と一緒に生水をガブガブ飲んだり、それでも下痢は一度もしなかったという、普通の人では耐えられない環境。

1987年には、立嶋篤史(元・全日本フェザー級チャンピオン/習志野=当時)氏のデビュー前、彼はまだ中学を出たばかりの15歳の春、「タイは若いうちに行っておいた方がいい」という先輩の助言を信じ、両親にお願いしてタイ修行を決めたが、行くのは自分ひとり。彼にとっての苦難は練習よりも生活環境でした。潔癖症というほどではないが、生理的に受け入れ難い範囲ながら、雑魚部屋でゴキブリが出る、ヤモリが天井に這い、それが寝ていて視界に入る。床はコンクリート、茣蓙を敷いたり、薄いマットレスでは硬くて眠れるものではなかった状況。トイレは汚い便器で、排水の悪い水浴び場所と一緒。暑い部屋で、過去の日本人先輩方が置いて行った扇風機が一台あるのみ。更に悩ませられたのは食事。選手が輪を囲んで、市場で買ってきた何種類かの惣菜をそれぞれ器に入れ御飯を食べるが、みんなが一斉に同じ器にフォークやスプーンを運ぶ。辛かったり臭かったり、人によってはタイ料理やタイ米が美味しく、みんなでワイワイ言いながら食べる食事が楽しく感じるものが、彼には苦痛でした。タイ料理が口に合わず、日本から持っていったフリカケとインスタント味噌汁が毎日のオカズ。練習が休みとなる日曜日にはタクシーに乗ってバンコク中心街のセントラルデパートの日本料理店に駆け込んだという。更なる苦難は一人でマレーシアに行かねばならなかったこと。小学校卒業記念に貰った英和辞典を持って夜行列車に乗って24時間掛けての旅。当時の観光ビザは2週間以内がビザ無しで入国できる範囲。それ以上の滞在は一旦国外に出てビザを取り直す必要がありました。帰りはお金が無くてバンコク・ホアランポーン中央駅から20kmほどあるジムまで線路を歩いたという途方にくれる一人長旅となりました。

また立嶋選手が来る以前のこのジムでも日本人選手は幾人か修行に来ていましたが、手癖の悪いタイ選手が居て、平気で人の歯磨き粉を目の前で勝手に使ったり、身の回りの物は勝手に持ち出される。日本人から見れば相当頭に来る行為であり、喧嘩も絶えなかったと当時の日本人選手が語っていましたが、タイ選手の“盗った意識”の全く無い態度。これは育った環境の違いがあってのことでした。タイの田舎で育った者は、高床式で扉の無い家も多く、隣の家だろうが簡単に行き来し、家族のように互いに必要なものを使い合う、そんな習慣がバンコクのジムに来てもその癖が出る。タイ人同士でも、すべてが許される訳ではありませんが、そんなことも理解し妥協しなければならない面も多かったようでした。

◆練習以前の難題は劣悪な生活環境に打ち勝つこと

1990年に入って徐々にムエタイ修行の環境は変わっていきましたが、まだ古いジムもあり、かつてWBC世界ジュニアウェルター級チャンピオンだったセンサック・ムアンスリンが所属したムアンスリンジムにアポ無し入門したヤンガー秀樹(=当時/仙台青葉)氏は、ジム脇のトイレ横の窓もない倉庫のような部屋にタオルケット一枚で、コンクリート張りにシートを敷いた床に直接寝るので硬くて眠れないし疲れは取れない状況で、コンクリートのざらついた地面のジムでは足の裏の皮が60%も剥けて、寝てると蝿がガンガンタカる始末だったという。

2015.11 現在のプロのジム

このような体験談は、ムエタイの練習だけが修行ではない、あらゆる不便で不愉快な、不安な日々も忍耐力の修行の一部であったことの一例ですが、いずれの選手も図太い神経で乗り切った経験が後の人生でも活かされています。

今や外国人受入れ態勢の無い、昔ながらの環境劣悪なジムは、首都圏ではほとんど無く、あとは観光地とは無縁の田舎のジムに行かねばならないでしょう。強くなる、技術を習得するなら設備整ったムエタイジムでの修行が最適ですが、昔ながらの不便苦痛なムエタイジムの存在が懐かしく思える体験者との昔話です。

2015.11 現在のプロのジム

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎大塚隼人が引退し、ムエタイ王者がリングに上がった11.15「Kick Insist 5」
◎キック新時代を牽引するRIKIXジムの「NO KICK NO LIFE」
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル
◎新日本キック「MAGNUM39」──トップ選手のビッグマッチと若いチャンピオンたち

 

7日発売『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

菅直人元首相が名誉棄損で安倍晋三現首相を訴えた裁判が12月3日に行われ、東京地裁は菅元首相の請求を棄却した。この判決について毎日新聞はこう報じている。

東京地裁:菅元首相の請求棄却 「安倍首相が名誉毀損」(毎日新聞2015年12月03日付)

民主党の菅直人元首相が、東京電力福島第1原発事故の対応を巡る安倍晋三首相のメールマガジンの記載で名誉を毀損(きそん)されたとして、謝罪記事の掲載と1100万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、菅氏の請求を棄却した。永谷典雄裁判長は「メルマガの重要な部分は真実」と述べた。

安倍首相は自身の公式ホームページに2011年5月20日付で「菅総理の海水注入指示はでっち上げ」と題したメルマガを掲載。東日本大震災発生翌日の同年3月12日に実施された原子炉への海水注入について「やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だった」などと記した。実際は海水注入は停止されず継続された。
判決は「再臨界の可能性を質問した菅氏の気迫に押され、東電幹部や官邸のメンバーが海水注入を再検討した経緯があった。菅氏には海水注入を中断させかねない振る舞いがあった」と指摘した。

菅氏は判決後に記者会見し「重大な事実誤認があり承服できない。控訴する」と話した。安倍首相の事務所は「当方の主張が認められた」とのコメントを出した。【島田信幸】

これだけの記事では詳細が何のことやら一般の読者には充分な理解が出来ないのではないだろうか。

この問題を含めて、私たちは10月8日菅元首相に取材を行っている。そのインタビュー記事は先月25日発売されたばかりの脱原発雑誌『NO NUKES voice』第6号に掲載されている。簡単にまとめれば経緯は以下の通りだ。

◆安倍メルマガ掲載翌日の2011年5月21日、読売、産経の2紙が一面トップで報じた理由

安倍現首相は自身のメルマガに上記通り「菅総理の海水注入指示はでっち上げ」と題した文章を2011年5月20日に書いている。元首相といえども当時の安倍は野党の一議員に過ぎない。しかし翌日、読売新聞、産経新聞は1面トップでこの「恣意的誤報」を大々的に報じている。読売新聞の見出しは「首相意向で海水注入中断」だ。ご丁寧にも安倍の「首相が誤った判断で(海水注入)を止めてしまった。万死に値する判断ミスでただちに首相の職を辞すべきだ」とのコメントまでと掲載している。

菅元首相によると、この「海水注入中断造話」は東電社員が情報を大手メディア各社に配ったのだという。

このメルマガでの安倍の記述を大々的に報道したのは全国紙では読売、産経のみで朝日、毎日は掲載していない。そのことからも事実がどこにあったのかを推認することは難しくない。

2011年5月21日付読売新聞1面

◆その後、安倍側が2011年5月20日掲載記述を削除した理由

菅元首相は訴えの中で、1)メルマガ記載文章の削除、2)謝罪、3)名誉棄損の損害賠償を求めていると取材の中で明らかにした。安倍側は当初、全面的に争う姿勢を見せながら、ある時期こっそりと2011年5月20日の掲載内容を削除している!やましくないのであれば係争中の文章をこっそり削除する必要があるだろうか。

菅元首相は「傑作なのはこれから1週間経った時に吉田昌郎(当時福島第一原発所長・故人)がそんなことはなかったと言っていることです」と続けた。さらに「なんで新聞がこんなことを書くのか、私は海水注入を怒鳴って止めたことは一度もないですよ。海水注入で廃炉になるのだというのなら、それは東電が気にする事であって、私がそんなことを気にするはずもないですよ。海水に変えることを誰も反対していませんでした」と私たちの質問に明言した。

3月12日午後6時頃から官邸での打ち合わせで海水に切り替える相談をしていました。そこに東電から来ていた武黒一郎氏(当時副社長)は『切り替えに1時間半くらいかかる』というので、私は原子力安全委員会委員長の班目春樹氏に2つ質問をしました。
12日朝ヘリコプターで福島第一に向かう途中班目氏に『水素爆発は大丈夫ですか』と聞いたところ『圧力容器に水素が漏れても、格納容器内は窒素で満たされているので爆発はしません』との答えでした。でも午後3時ごろ1号機は爆発するわけです。私と班目さんは同じ場所にいて、その時も東電からの連絡は大幅に遅れました。民間のテレビ局が放送するまで連絡をしてこないのです。東電は。爆発から2時間後です。そこで班目氏が言ったのは『建屋まで水素が流れていくことまで気が回らなかった』でした。
そういうことがあったので(心配して)海水を注入した時、塩分の影響が出ると想像されるがそれはどうですかと、それが一つです。もう一つはメルトダウンしてメルトスルーすると再臨界の恐れはないか、それを非公式に外部の専門家にも意見を聞き、「懸念がないわけではない」と言われていたので『再臨界の恐れはないですか』と班目さんに聞きました。『可能性はゼロではありません』と彼は答えました。
このやり取りを誰かが「海水注入を止めた」と全く脈略の違う解釈をしたわけです。(『NO NUKES voice』6号特集インタビューより

つまり、菅元首相は一度も海水注入を止めていない。「塩分による影響」に対する質問が「海水注入停止」にすり替えられている。判決も「海水注入停止はなかった」と認定しながら安倍がメルマガで「やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だったのです」と安倍の事実誤認を問題にしていない。いかに時の最高権力者への司法判断とはいえ、全くの不当判決というほかない。

「安倍晋三議員の虚偽メルマガ」(菅直人氏公式ブログ2015年12月01日付「今日の一言」より )

「安倍晋三議員の虚偽メルマガ」(菅直人氏公式ブログ2015年12月01日付「今日の一言」より )

◎「安倍晋三議員の虚偽メルマガ」(菅直人氏公式ブログ2015年12月01日付「今日の一言」より )

◆菅元首相の「承服できない判決・控訴する」は当然だ!

菅元首相は12月4日、自身の公式ブログで「承服できない判決・控訴する」と強い決意を述べている。私が電話取材をお願いしたところ、ご本人が「係争中なので公式のコメント以上は述べにくいから理解してほしい」と話されたが、周辺事情を含め丁寧なご説明を頂いた。

この裁判の背景を含み菅元首相が語る3.11──。その直後から官邸内でなにが起こったのか、何が隠されたのか、知られざる多くの事実を菅元首相は『NO NUKES voice』第6号で語ってくれている。是非ご一読を。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎「難民受け入れ」表明前にこの国が顧みるべき「中国残留日本人」帰国政策
◎大阪ダブル選挙──「安倍と橋下どっちを選ぶ?」の選択肢しかなかった不幸
◎挙句の果ての「1億総活躍」──狂気、矛盾、悪意、恫喝づくしの安倍暴走政権
◎隣のクルド人──「国を持たぬ民」が日本社会で暮らすということ

「脱原発」×「反戦」の共同戦線誌『NO NUKES voice(ノーニュークスヴォイス)』第6号!

前回に引き続き、吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の模様をレポートする。
吉松さんの訴訟代理人である西川紀男弁護士が日本テレビ内での谷口氏と吉松さんのやりとりについて質問が続く。

理不尽に負けない生き方。(2015年10月13日付吉松育美FBより)

◆私は会いたくないと言いました

西川紀男弁護士 (谷口氏から)あなたに対する暴行はありませんでしたか?

吉松育美 ありました。生放送の番組が終わった後、スタッフの誘導により、私は控室に行きました。でも、そのすぐ後ろに本来ならば、付き添いであったテーラー氏が私のすぐ後ろにいなければならないのに、彼を無理やり押しのけて(谷口氏が)私の方に近づいてきて、控室まで追いかけてきました。そして私は控室に怖くなって入った瞬間に後ろから谷口さんが右腕をつかみ、私を控室から連れだそうとしました。

西川紀男弁護士 その前に確認したい。甲38号証を示します。これは星野陽平さんの『芸能人はなぜ干されるのか?』という本なんですが、最後の「あとがきにかえて――」というところで、石井さん、ご存じですか? (K-1の)石井館長。その石井さんが「われわれが日本の芸能界の掟を決めている。芸能の仕事をしたければ、バーニングプロダクションの周防郁雄社長の許しを得なければならないと諭した」とありますが、これは事実ですか?

吉松育美 はい。

西川紀男弁護士 で、その次に308ページ下の段落に自分と周防の親しい友人であるケイダッシュの幹部、谷口元一と面会することを求めたとありますが、これも事実ですか?

吉松育美 事実です。

西川紀男弁護士 で、面会するように求めたことに対してあなたは拒否されたということで、いいんですね。

吉松育美 私は会いたくないと言いました。(中略)

◆とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました

西川紀男弁護士 最初に初めて谷口さんと会われた時に、谷口さんがどういう方か、あなたは知っていた?

吉松育美 面識はありませんでしたが、噂は聞いていました。とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました。

西川紀男弁護士 腕を掴まれたとおっしゃいましたが、その後、どうされましたか?

吉松育美 何するのよと悲鳴を上げて振り払いました。

西川紀男弁護士 谷口さんは結局、どこまであなたのところに来たのですか?

吉松育美 細かく言うと、控室の中まで入ってきました。そして、谷口さんの後ろにいたテーラーさんがその状況を見て、危険と判断し、谷口を無理やり、押しのけて、すぐ控室のドアを閉めました。そのやり取りはほんの一瞬ですが、提出した録音記録の中にも残っています。

西川紀男弁護士 その時、谷口さんはあなたに対して、新しいマネージャーをつけるからねとか、そういった趣旨のことは言っていたんですか?

吉松育美 その後、テーラー氏が谷口さんを控室から追い出した後、関係者に事情を説明しているやりとりがありました。私はそのやり取りをドア越しに聞いていたのですが、その中で「本当のマネージャーじゃない、本当のマネージャーを用意した」とか、また日テレのとても力のあるような人の名前を出したり、自分の会社であるケイダッシュの名前を出したり、とても、自分には力があるということ言って周りに圧力をかけようとしていました。

西川紀男弁護士 「私の事務所を知ってるね」と谷口さんが言った言葉は聞きましたか? どういう趣旨でしょうか?

吉松育美 先程も言いましたように、インターネットには谷口さん、また関連する事務所は、反社会組織と深いつながりがあると言われていました。ですから、その名前を出すと、業界関係者であれば、誰でもが怖がってしまう状況が簡単に想像ができます。なので、彼はあえて自分の名前や名刺を差し出して、そういった名前を関係者に言ったのだと思います。

◆(日本のマスコミは記者会見に対して)ほとんどゼロに近い反応でした

西川紀男弁護士 そういった趣旨のことはあなたの陳述書や司法記者クラブでの記者会見とか全部入っているんですが、司法記者クラブでこういう会見をした、あなたの目的は何ですか?

吉松育美 私の目的はそのような自分自身の経験により、社会の中には泣き寝入りをしている多くの女性、また、ストーカーの被害者がたくさんいることを知りました。なので、私は日本人初の世界一のミス・インターナショナルとして、この自分に陥った状況を自分の使命だと感じて、私が立ち上がらなければならないと思い、記者会見を開きました。

西川紀男弁護士 記者会見、司法記者クラブでの記者会見、日本のマスコミでの反応は?

吉松育美 ほとんどゼロに近い反応でした。でも、私の記者会見には多くの、ほとんどといっていいほどのメディア関係者が取材に来ていました。質問も多くいただき、感覚としてはみなさん、興味を持たれている、これは報道されることなんだなという印象でした。

西川紀男弁護士 海外は?

吉松育美 海外の反応は日本の反応とは真逆で、私が記者会見をした数分後からアメリカを中心に世界中に私の言ったことが報道されました。

◆電話口で谷口氏は(母親に)「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました

西川紀男弁護士 あなたのご両親、ご両親に対して、谷口さんのいろんな行為があったと?

吉松育美 ありました。まず、父親の携帯番号を知るはずのない谷口さんから職場にいた父親へ連絡がありました。また、谷口さんは私の実家にまで私のスキャンダル記事やテーラー氏(と谷口氏)の裁判資料、そして、私が嘘をついているという主張をして、とても両親は怖い思いをしました。

西川紀男弁護士 実家の住所とか、電話番号をどうして知ったのでしょうか?

吉松育美 分かりません。父親の携帯番号も私の実家も、公に公表しているものではないので、どうしてどうやって調べたのかと、父親は怖い、気持ち悪いという思いでいっぱいでした。

西川紀男弁護士 谷口さんは、郁実さん、さらにその先の郁実さんのお父さんやお母さんと関係ないじゃないですか? つながりとか、心当たりは?

吉松育美 谷口さんの行為を正当化する理由というのは特に思い当たりません。

西川紀男弁護士 お母さんはこの裁判で陳述書をお書きになっている。もちろん、あなたも読んでいますね? 非常に心配されている。苦しんでいる。

吉松育美 そうですね。母親も情報ソースがインターネットしかないので、谷口さんのことを調べると、さっきも言いましたように川田亜子さんの自殺の件が出てくる。そして、電話口で谷口氏は「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました。なので、いくら言葉が丁寧でも、インターネットに書かれているようなに自殺に追い込まれてしまうとか、もしくは自殺と見せかけて誰かに殺されてしまうのではないか、娘の命までなくなってしまうんじゃないかという恐怖で眠れぬ夜を過ごしたと言いました。その気持は私も同じです。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)

シリアの政情不安長期化に伴い、膨大な数の難民が欧州に押し寄せている。あまりに急激な人口流入に戸惑い、国境を閉ざそうとする国もあるが、移民、難民受け入れ経験の豊富なドイツなどは(本音はともかく)「難民受け入れ」を表明している。


◎[参考動画]Germany’s winning refugee welcome formula(2015年09月07日にeuronewsが公開)

日本で行われる「反差別」を標榜する集会やデモなどで「Refugee Welcome」(難民歓迎)を掲げる人びとの姿も増えてきた。この国で市民が「難民受け入れ」に歓迎の意向を示したことは初めてではないだろうか。古くは朝鮮半島から日本に渡り工芸、芸術、文化などを伝えた「渡来人」、「帰化人」と名付けられた人々が「文化の伝道師」としての尊敬を集めたとの記録があるが、それ以降この島国では他国からの積極的な「定住意思」を持った人々を歓迎してきた歴史は見当たらない。

◆村長、町長や中学校校長らに選出ノルマが課せられた「満蒙開拓団」

私の気持ちは複雑である。

海に囲まれた島国だからだろうか、第二次大戦で敗北し経済成長を遂げた後もこの国は外へ門戸を開くことにことのほか後ろ向きであった。政策的にまとまった数の外国生活背景のある人々を受け入れたのは、おそらく「中国残留日本人」(「中国残留邦人」、「中国残留孤児」などと呼ばれることもある)の帰国活動が初めてだろう。

日本の傀儡国である「満州」を中心とする中国へ渡った人々の数は確定していないものの500万人を超えるとする説もある(彼らは一義的に『侵略者』であった)。自由意思で「一旗揚げよう」と移住した人の他に、「満蒙開拓団」と呼ばれる主として裕福ではない人々が全国の市町村長や中学校長などにより選出され、中国大陸に送り込まれた。

「五族協和」、「王道楽土」といった甘言をぶらさげた渡航者の選出にあたっては村長、町長や中学校の校長に「ノルマ」が課せられていたそうだ。「満蒙開拓団」に選出された方々はそれを拒否することなどできなかった。

敗戦と同時にいち早く敗走した関東軍と異なり、下級兵士や中国大陸でも貧しい生活を送っていた人々を中心に日本への帰国がかなわず、現地に留め置かれることとなる。帰国できず亡くなった方も多い。

その時期幼少で現地の中国人に身柄を預けられた人が、後に帰国することになる「中国残留日本人」だ。日本にやってきて服装も表情も当時の中国人と違わない人々が悲痛な思いで親族を探す姿は、当時多くの紙面や時間を割いてマスメディアで扱われた。幸い親族が見つかった方々が日本に帰国し定住した。その際に本人だけではなく配偶者や子供、場合によっては義理の兄弟などの親戚も入国、定住を認められたことから中国から定住した方々の総数は数十万人にのぼる。

帰国後は日本語のトレーニングや一定の生活支援、就業支援が行われたものの、日本の生活にはなじめず、家に引きこもりっぱなしの帰国者も少なくなかった。


◎[参考動画]アーカイブス中国残留孤児・残留婦人の証言 Eさんの場合①(2013年10月24日に藤沼敏子さんが公開)
※藤沼敏子さんのHP「アーカイブス中国残留孤児、残留婦人の証言」には中国残留孤児・残留婦人による貴重な証言インタビューが多数掲載されている。http://kikokusya.wix.com/kikokusya

90年代はじめに彼らが住んでいた公営の集合住宅を訪れたことがある。生活支援をしているボランティアの方の案内で数件を尋ねると、帰国者ご本人はほとんど日本語が話せなかった。そのお子さんは工場労働などに出ているというから社会生活が可能な程度には馴染まれていたのだろう。そしてお孫さんは地元の小学校に通っているとのことだった。お孫さんは言葉に不自由はないし不都合も感じていないようだった。

私が訪問した数件のご家族は、不幸せそうではなかったけれども「帰国」したことを心底喜んでいるようでもなかった。

「残留日本人」を除けば日本に「政治難民」として逃げてきたい、という人々に対して法務省や入国管理局は実に冷淡だった。私も10人以上の難民申請の支援に関わったことがあるが私の知る「政治難民」は全員が門前払いだった。

◆政府の「外国人受け入れ」に対する姿勢変化と「ユニクロ」柳井正のインタビュー

ところがここへきて政府の「外国人受け入れ」に対する姿勢は変化を見せはじめている。理由は簡単だ。人口減に歯止めがかからずこのままでは「労働力」の確保がままならない、と考えた奴らは突如善人ぶって「さあ、さあ日本は門を開いていますよ」とその実またしても「経済奴隷」としてのみ外国人を招き入れようとしているのだ。

その本音を代弁しているのがブラック企業「ユニクロ」で有名なファーストリテイリング会長兼社長柳井正のインタビューだ(2015年11月21日付産経新聞)。

柳井は「移民・難民を受け入れなければ国そのものが滅ぶ危機」と題したこのインタビューの中で、
--日本企業の問題点は
「完全な実力主義になっていないことだ。古い制度を根本から変えていく必要がある。国主導ではなく、民間が主体的に変えていくことも必要だ。政府に頼めば何とかなる、という発想をやめなくてはならない」
--人口減少問題も企業経営に影響する
「人口減少は非常に深刻な問題だ。このまま放っておくと、日本は労働人口が不足する社会になる。人口が減って栄えた国はない」
と「移民・難民」の受け入れの必要性が、あくまで「国」(=日本)の利益のためであることを正直に告白している。

このインタビューの中では「国際感覚を身につける」などといった美辞も見られるが、ならば今よりも日本の「集中豪雨的輸出」が世界で問題とされた70年代後半から80年代になぜこのような「移民・難民受け入れ歓迎」という主張が国や大企業からなされなかったのか。

理由は簡単、当時は日本人だけで労働力が充足していたからだ。ここへ来て政府もこのまま行けば2030年に労働人口が200万人不足する、などと言い出した。あったりまえだろう。これだけの貧困と格差社会で非正規雇用がさらに増加すれば出生率は低下し、人口は確実に減っていく。日本は既に人口激減期に入っている。

◆経済奴隷になり果てることを希望する難民がいるだろうか?

そこで冒頭の命題だ。難民受け入れ。移民受け入れに私は賛成の立場である。しかし、今それを政府や大企業が主張し出した狙いは単に「労働力」の充足を目的とするものである。「人道上」の配慮では断じてない。難民は母国を何らかの理由で追われ、仕方なく他国に安心を求め移動する人びとだ。

彼らの目的は一義的には「生きること」であり「金儲け」ではない。だから言語や生活習慣の全く異なる背景をもった難民をこの社会で生活してゆけるようにするためには、様々なトレーニングやサポートが必要とされる。当然お金もかかる(為政者が「社会的コスト」と呼ぶものだ)。

本当にそこまでの覚悟が総体としてあるのか。「難民を不足する労働力の補填へ」とのユニクロ柳井や政府の下心は経済的侵略者のそれと変わりない。そんな理由での難民受け入れなら私は反対する。経済奴隷になり果てることを希望する難民がいるだろうか。難民の立場で我々はこの島国のありようをもう一度見直す必要を感じる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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話題騒然!「脱原発」×「反戦」の共同戦線総力誌『NO NUKES voice』第6号発売中!

 

2015年8月6日、東京地方裁判所806号法廷において、ミス・インターナショナル2012年グランプリの吉松育美さんが大手芸能事務所、ケイダッシュ幹部の谷口元一氏を訴えた裁判の証人尋問が行われた。

2014年2月4日付吉松育美FBより

裁判に至るまでの経緯をざっと説明する。

吉松さんと谷口氏とのトラブルの発端は、2012年春、吉松さんがミス・インターナショナルのグランプリを獲得すると、元所属事務所顧問で総合格闘技団体、K-1の元プロデューサー、石井和義氏が現れ、吉松さんを「芸能界のドン」と呼ばれる周防郁雄社長が経営する芸能事務所、バーニングプロダクションに連れてゆき、「われわれが日本の芸能界の掟を決めている。芸能の仕事をしたければ、バーニングプロダクションの周防社長の許しを得なければならない」と諭し、バーニンググループに入るよう要請した。

吉松さんがミス・インターナショナルを獲得し、それまで所属していた芸能事務所から独立すると、石井が再び現れ、「独立は支援するが、われわれのグループに入ることが条件だ」と主張し、自分と周防社長の親しい友人であるケイダッシュの谷口氏と面会するよう求めた。

それからしばらくして、吉松さんが出演していた日本テレビの番組「真相報道 バンキシャ!」の撮影現場に谷口が現れ、控室まで吉松さんを追いかけ、腕をつかんで拉致しようとし、番組スタッフに吉松さんに新しいマネージャーをつけると主張した。以降、谷口氏は業界中に圧力を強め、様々な嫌がらせが続き、吉松さんは仕事を失ってしまった。

2013年12月16日、吉松さんは日本外国特派員協会で記者会見を行い、谷口氏から受けたストーカー被害の実態を明らかにし、その後、提訴に踏み切った。


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

一部報道では、2014年8月15日に吉松さんの訴えが却下されたと報じられているが、これは仮処分の申請についてのものであり、その後、吉松さんは東京地裁に提訴し、今回の証人尋問はそれに関わるものである。なお、谷口氏からも吉松さんに対し、名誉毀損があったとして反訴している模様だ。

以下、吉松育美さんの主尋問(吉松さんの訴訟代理人側からの質問)の模様をレポートする。

◆私は谷口元一氏という名前を聞いただけでも怖い、恐怖を感じていました

西川紀男弁護士 本件で被告になっている谷口さん、ご存じですか? お会いしたのは、2012年の12月30日が最初でしたね。日本テレビが最初。それ以前に噂とか、あるいは雑誌、新聞で話を聞いたことは?

吉松育美 あります。私が最初に谷口元一氏の名前を知ったのは、2008年の元アナウンサーであります川田亜子さんの自殺の件で知りました。

西川紀男弁護士 その時から怖い人とか、優しい人とか、どういう印象を持ちましたか?

吉松育美 その事件をきっかけに、川田亜子さんの自殺は、不明な点も多く、大きな波紋を呼んでいました。謎の死、謎の自殺に深く関わっていたのが谷口元一氏であり、また、谷口さんの所属している事務所、反社会的組織と深く繋がっていると噂されております。それはネットや週刊誌、新聞などからでも一般的に誰もが知っている知識です。そういうことから、私は谷口元一氏という名前を聞いただけでも怖い、恐怖を感じていました。

西川紀男弁護士 司法記者クラブでお話になったのがありますね。甲24号証に出ているんですけど、司法記者クラブで言ったのと間違いない? マットさん(※)からは谷口さんのことについて、何か聞いていますか?(※マットさん=吉松さんの海外エージェントであるマット・テイラー氏のこと。)

吉松育美 谷口さんとマット・テイラーさん、間に1000万円の債務関係があることを知っています。

西川紀男弁護士 それはいつごろの話ですか? 聞いたのは?

吉松育美 私が(マット氏から)コーチングを始めてわりと最初の方です。

西川紀男弁護士 日本テレビにおける、谷口さんとあなたが最初に会ったその時の出来事を、2012年の12月30日、『バンキシャ!』という番組でしたよね。その時に谷口さんが来た。谷口さんは、その番組の関係者だった?

吉松育美 当時、谷口さんは『バンキシャ!』の関係者としてまったく関係がない。でも、なぜ彼がその場にいたかというと、別の入館許可証を首からぶら下げていて、その番組にいました。

西川紀男弁護士 そうすると、谷口さんは番組と関係ない。いわば無断侵入のようなものですか?

吉松育美 はい。その後、谷口さんが現れたあと、スタッフさんからも、大変申し訳ありませんでしたと何度も言われました。

西川紀男弁護士 その時、谷口さんは、簡単に言うと、あなたに対して、どういうことを言ったんでしょうか?

吉松育美 まず、「吉松さんはこっちに来てください」と。それからマット・テイラー氏に対しては、「詐欺師だ」そして、「本物のマネージャーではない」と。私に向かっても「金返せ、金返せ」と心当たりのないことを、彼は私に向かって発言しました。(続く)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
○吉松育美さんFacebook=https://www.facebook.com/yoshimatsuikumi?ref=hl
○吉松育美さんYouTube=http://www.youtube.com/user/yoshimatsuikumi

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

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芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社2014年5月13日刊)

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