3・11から5年。正直あの災禍に見舞われながら、一体この島国の為政者は何を学んだのだろう、と無力感に打ちひしがれた5年間であった。なにが「花は咲く」だ。あんな空疎な歌詞とメロディーで被災者や原発事故の被害者の心が癒されるとでも皆さんは本気で思っているだろうか。私はあの歌は権力者による「震災」被害隠し以外の何物でもないように感じる。抗うことなしに「花」など咲きはしない。

高台への移住を前提とした東北の復興は予想を超える困難の前に、移住を諦め、他の地域への人口流出が進んでいる。津波被害地各地、とりわけ女川町ではその傾向が顕著である。

◆動かないはずのものが動き出した──高浜原発「仮処分決定」の福音

ああ、何もできずに、何も前に進まずに5年を迎えるのか、と明るい気分になれずに悶々としていたら、福音が飛び込んできた。3月9日大津地裁(山本善彦裁判長)は高浜原発3、4号機の運転停止を言い渡す仮処分の決定を言い渡した。稼働中原発の運転停止命令は史上初であるし、仮処分の中では「原子力規制委員会」が設けた「新規制基準」が合理的なものではないとする趣旨の言及もある。

福井地裁で同様の運転差し止め仮処分の判断を下した樋口裁判長の書いた差し止め理由は、我々を良い意味で大いに驚愕させてくれたが、大津地裁山本裁判長が指摘した、「新規制基準」への疑義、稼働中原発停止の判断、はこれまでの司法判断を大きく凌駕するものであり、極めて高い評価に値する。動かないはずのものが動き出した。

◆「諦めない」活動が地殻変動を起こす

私自身、現地に数回通い、目の前で(その時は知らされなかったけれども)事故が発生していた高浜原発(4号機)をこのまま運転し続ければ、高い確率で「破局的事故」が起こっていただろう。関西電力は懲りもせず、さらに古い1、2号機の40年超えの再稼働まで目論んでいるが、頼む。頼むから日本を終わらせないでくれ!

司法は所詮、国家の一機関だ。マスコミは所詮スポンサーの言いなりだ。でも意志を持った個人や集団は違う。「若狭の原発を考える会」(木原莊林会長)はこの2年間で70回以上高浜町へ関西から通って、地道なチラシ配りを中心とする様々な取り組みを行なってきた。京都から片道2時間弱を自らハンドルを握り(多くは70歳前後の方々)は、最初誰にも相手にされない中で、罵声を浴びせられながらも「アメーバデモ」と称した数人によるチラシ配布や、地元住民との対話を続けてきた。

開始から2年、高浜町では住民の反応は全く変わっている木原代表も「楽しくないとこういう運動は続きませんから」と笑顔で手ごたえを語る。

9日大津地裁の仮処分決定は、司法判断である。しかしそれを導く筋道を作ってきたのは、このような地道な活動を諦めずに続ける人たちの活動があったからではないだろうか。一見関係なさそうでその両者はどこかで確実に結びついているように感じられてならない。全国各地で様々な運動や原発立地で闘う人たち執念の賜物だ。

相次ぐ再稼働申請、原発輸出など愕然とするような事実の前にも、全く別な地殻変動は確実に起きている。私たちはまだ負けていない。

福島および周辺の被害者のみなさんに寄り添いながら、私たちは原発全機廃炉を勝ち取るまで、絶対に諦めない。ほらここに光明があるよと示してくれた大津地裁の判断とそれを導いた多くの方々の地道な活動に深い敬意の念を示したい。追悼と哀悼をささげるべき日に、私たちは同時に「脱原発闘争」を最後まで戦い抜く決意を新たにする。

私たちは負けはしない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7

いつからこの言葉が使われるようになったのだろうか。社会運動が総体として弱体化し、共有できる根本概念を失ったことの自白として「シングルイシュー」は登場してきたような印象がある。

私は偏屈だ。偏屈だから「共有できる根本概念」を有しない運動や団体とは共同行動することを好まない。「シングルイシュー」は私のような「偏屈者」の居場所を狭める効果があるように感じる。

私は天皇制や「日の丸」、「君が代」を絶対に拒否する。無理矢理「君が代」斉唱を強いられる場所に居なければならないことを強制された時には、敢えて起立し一人で「インターナショナル」を歌う。誰も仲間はいない。数百人の中で私一人が「インターナショナル」を歌う。滑稽といえば滑稽極まりない。

◆「ノリノリ」コールが「本気で止める」力になるのか?

『NO NUKES voice』は「脱(反)原発」を基軸に据えた一見「シングルイシュー」雑誌のように思われるかもしれないが、そうではない。「脱(反)原発」を目指す闘いには「反戦」の闘いや「反安保」、「改憲反対」、「反差別」等と必ず繋がる根本概念(思想)がある。私(たち)はそのことが重要だと考える。そして長く社会問題を闘ってきた人々の間では、いちいち確認をしなくてもそれは黙約として確実に成立する。だから誌面には時として一見「原発」とは直接関係ないのではないかと思われる記事も掲載される。

長く闘っていない若者の中にも、エッセンスを共有してくれる頼もしい人々がいることを私(たち)は知っている。ただし彼らはその世代にあって圧倒的に少数だ。だからよけいに貴重な存在であり連帯したいと思う。

他方、私個人はSEALDsあるいは彼らを取り巻く大人を嫌悪する。私は『NO NUKES voice』発行人の松岡氏と異なりSEALDsあるいは彼らを取り巻く大人を1ミリも評価しない。その理由はSEALDsが明確に「憲法9条改憲」を掲げているからだ。「安倍を倒せ」と言いながら「9条改憲」を主張するSEALDs。参加している学生諸君全員の総意ではもちろんないだろ。だが『民主主義ってなんだ?』の中で交わされている牛田悦正氏と高橋源一郎氏の会話でこの2名は明確に「9条改憲」主張している。いいのか? SEALDsの学生諸君?「戦争反対」を標榜するものが、戦争肯定を準備する改憲に賛同する。これは矛盾ではないのか?

また、彼らとしては真剣なんだろうけども、お祭りかコンサートのような動きが気持ち悪い。『NO NUKES voice』6号で女帝様は「市民運動に対する感覚が共産党の人の中でも変わってきているとは感じています(中略)例えばSEALDsがコールすると、共産党系の人たちは結構ノリノリで参加する」と語っている。この姿が気持ち悪く胸糞悪いのだ。やたら丁寧に作られた(なぜか必要以上に英語の多い)プラカードを掲げた若者たち。「赤旗祭り」にSEALDsが呼ばれて、舞台に上り余興でもやったのなら解らなくはないけども、現場は「安保法制」(戦争推進法案)反対の集会だろ。何が「ノリノリ」だ。怒(いか)りはないのか? 高揚感があればそれが「本気で止める」力にでもなると本気で思っているのか。

「ノリノリ」はコンサートやライブでやって下さい。命を懸けた(本当に戦地に連れて行かれるのは私たちのような年寄りじゃない。若者なんだ)闘いだと思ってその場に参加した人の中には底抜けの絶望を味わった人だっていただろう。実際実力で止めたいとの思いを抑え切れず行動を起こした若者がいたことも事実だ。

◆激しい論戦や議論が疎まれる世情に挑戦する『NO NUKES voice』という起爆剤

『NO NUKES voice』の役割は「脱(反)原発」実現のため、そして「戦争を阻止」し「憲法改正」をさせないために様々な方に登場頂き、何の制約もなく語って頂く。それにより更に広い議論を喚起することにある。換言すれば激しい論戦や議論が疎まれる世情に挑戦するのが役割だと心得ている。しかし、多彩な議論は「あらゆる意見を我々が肯定する」ことを意味するわけではない。

誌上には様々な方々にご登場頂くが、その方々の見解に異議があれば私(たち)は遠慮なく反論をぶつける。時には熾烈な批判だって紙面で展開するだろう。それに対する妥当な内容であれば「反論」の機会も設ける。それが議論の世界における最低限の約束だ。私たちはそう思う。

編集に関わる人間の意見だって統一されている訳ではない。私は当初より反原連の孕む問題に懸念を抱いてきたが、松岡前編集長は反原連に一時強い興味を表明し具体的に支援もしていたようだ。見解の相違は我々の内部にだって存在する。

だからと言って私たちは編集に関わるライターや写真家を「見解の相違」でご遠慮頂いたり、まして「排除」したことなど一度もない。しかし「見解の相違」とは全く次元の異なる「裏切り行為」を働いていた姑息な人間が存在し、自ら『NO NUKES voice』を去っていった事実はある。利己主義者との対話は成立しない。裏切り行為を私たちはことさら攻め立てはしないけれども、どこかで私たちに対する誹謗でも始めれば、私たちは言論において容赦ない総攻撃に出るであろうことを予告しておく。

『NO NUKES voice』7号は6号よりさらに精鋭化した議論満載だ。真面目に長年「脱(反)原発」運動に関わってきた人々を軽々に扱う「反原連」への徹底的な批判が展開される。だが、単視眼ではバランスを欠くので不当逮捕のご経験がある阪南大学下地真樹准教授に、社会運動への俯瞰的ご意見を伺っている。

どう贔屓目に見ても「脱(反)原発」運動は一時の勢いを失いかけている。私たちはだから起爆剤を投入する。闊達な議論と運動の持続、そして原発全廃のために。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!

福島原発事故5年の現実と社会運動の行方を総力特集『NO NUKES voice』Vol.7!

プロ野球界のみならず守旧メディアの要に長年にわたり居続けた「ナベツネ」こと渡辺恒雄=読売巨人球団最高顧問をも辞任に追い込んだ野球賭博──。その闇を探るべく作家・影野臣直氏が、かつて胴元をしていた男性のインタビューに成功した。タレントや有名人はなぜかくも野球賭博にはまるのか? その理由の一部始終を3回に分けて公開する。

プロ野球史上最大の汚点と揶揄される、昭和の『黒い霧』事件から46年。ペナントレースも終わり、CSファーストステージで賑わうプロ野球界に、突然の野球賭博問題が発覚し球界を震撼させた。しかも、その渦中の人物が、名門巨人軍の現役投手だったという。それに加え、メジャーリーガーのダルビッシュ有の弟までが野球賭博に関与した疑いで逮捕された。平成の『黒い霧』事件の勃発である。
だが、一般に競馬競輪は熟知していても、野球賭博をしる人は意外に少ない。いったい、野球賭博とはどのようなものなのか。
過去に胴元を務めていたという、元業界関係者に訊いてみた。

堂本勝和(どうもとかつとも)(仮名)52歳

16歳から関西の組織に稼業入りし、主に賭博を中心にシノギを行う。39歳で野球賭博で逮捕。出所後は堅気になり、現在は建築関係の会社を経営。

堂本 まぁ、野球賭博って、簡単にいえばプロ野球の対戦カードを、どちらのチームが勝つかを当てる博打ですね。丁半博打と同じで、引き分けはありません。

── だって、野球だったら引き分けもあるじゃないですか?

堂本  試合に引き分けはあっても、野球賭博に引き分けはありません。その時のチーム状況で、強い方から弱い方にハンディキャップを与えるんです。たとえば、巨人阪神戦に張るとしますよね。われわれの上にはハンデ師というのがいて、そこからハンディを報せてもらって始めて野球賭博が開帳されます。

ハンデ師はチーム事情を徹底的に調べ上げ、適切なハンディキャップを算出する。
チーム防御率や、チーム打率に打点。また先発選手の調子の好不調から、先発ピッチャーと相手打線の相性。選手の体調の良し悪しから、球場との相性までも加味するという。

堂本 現在のチーム事情で、ハンデ師が巨人から1、5を阪神に……とでたら、試合で巨人が2対1で勝ったとしても、賭博上では2対2・5で阪神の勝ちとなるわけです。逆に3対1で巨人が勝つと3対2・5で巨人の勝ちとなるわけです。

ハンデ師は、元プロ野球選手か野球関係者など、野球に精通した人だろうと噂されている。
また、ハンディキャップは多くても少なくてもいけない。野球賭博をおもしろくするのもツマらなくするのも、ハンデ師がつけるハンディのさじ加減一つで決まるのである。

── それで、試合にかける金額はどのぐらいになるのですか?

堂本 人によって違いますね。最低は1万円から、青天井(=上限なし)まで……でも、そこは賭けるお客さんの器量次第ですよ。

── 堂本さんの賭博で、一番大きく張られた試合はどのくらいですか。

堂本 1試合に200万円賭けた豪傑がいましたね。それに、ソープの経営者や自営業者などは1試合100万とか平気で張ってきますし、そういうダンべ(=旦那衆)が多いときは1試合合計で4500万円ぐらい張ってきたかな。

しかし、4500万円すべてが利益というわけではない。
野球賭博では、張ってきた金額をIN(イン)といい、支払うべき金額とOUT(アウト)と呼ぶ。野球賭博では、勝ったOUT側から10%のテラ銭(=場代)をとる。100万円勝って受けとるカネは90万円、負けて支払うカネは100万円。差額が胴元の利益である。
だから、この日の堂本氏は勝ち側に2250万円から1割の225万円を引いた金額2025万円を支払い、負け側から2250万円を集金し、225万円もの金額が残ったことになる。

── じゃあ、胴元は絶対に損をしないじゃないですか。

堂本 いや、そうでもないですよ。たとえば、負けてる人が取り返そうと思って賭け金が上がっていくと、ちょっとこれを張らせてやろうかな、とか慈悲の心を持つでしょ。でも、負け分の金額以上のカネを1試合だけ張られて、勝ったらやめてしまう。それじゃ、困るんですよ。最低、3試合は張ってもらわないと、こっちが一方的に負けてしまう。ウチも張らせてあげたんだから……。

勝ち負け2つの選択肢しかない野球賭博。負けた金額の倍の金額を張り続け、勝った時点でやめれば絶対に負けることはない。負けているだけに熱くなり、野球賭博の盲点を突いて張ってくる客もいる。

── タチの悪い客もいるわけですね。

堂本 だから野球賭博を開帳している人は、信頼関係がある人しか張らせませんよ。それに知らない人間に張らせると、負けがこむとチンコロ(=密告)するヤツもいますからね。だから、地元の社長や自営の人などの地位のある方が多い。あるいは、サラリーマンでも家などの資産を持ってる方。ヤクザ同士なら、代紋を保証にヤクザも客になるケースもあります。

賭博は、開帳した者も客となった者も罰せられる。

地元の社長や自営業者、資産家のサラリーマンにヤクザ。彼らにとって博打は、手慰(てなぐさ)みであり、密かな楽しみでもある。 賭場が摘発されると、一番困るのは客自身なのだ。

それだけに常連は、警察などにチンコロすることはない。

── そんな顧客を、一番多いときでどれくらい抱えていたのでしょう。

堂本 だいたい20人くらいかな。質の悪い客を多く持っていても仕方がない。どれくらい質のいい客を持っているかですよ。良質の客ばかりだと3日間の3連戦で、INが3000万ぐらいあったかな。

── すべて口頭でのやり取りですよね? 負けてても、オレは勝った方に張ったなどと居直られませんか。

堂本 だから、ミスがないように全部録音してありますよ。1日最高6試合開催される、野球賭博の事務所はあわただしい。だって、試合開始直前にハンデ師から、当日行われる全試合のハンディキャップが知らされるのですから。

聞き間違えたでは、すまされない博徒の世界。たった1つのミスが、信用を著しく傷つけることになる。信用がなくなれば、顧客は去っていく。賭博の世界は厳しい世界なのだ。(つづく)

[文]影野臣直+[プロデュース]小林俊之

◎元胴元が語る──野球賭博〈闇〉のからくり《1》
◎元胴元が語る──野球賭博〈闇〉のからくり《2》
◎元胴元が語る──野球賭博〈闇〉のからくり《3》

小林俊之+影野臣直!強力タッグの短期連載ルポ[全8回]
新宿・歌舞伎町ぼったくり裏事情──キャッチ目線で見た「警察の対応変化。
《1》「ぼったくり店。はどうやって生まれるのか?
《2》なぜ銀座のクラブにはゴタがないのか?
《3》メニューに金額明示があれば違法性はない?
《4》東京五輪を前に警察が浄化作戦を始動?
《5》御一人様51万円「クラブ・セノーテ」事件の衝撃
《6》ベテランキャッチが語る「ぼったくり」の世界
《7》「ガールキャッチ。復活と増えるプチぼったくり
《8》警察の弾圧が盛り場の「食物連鎖」を増殖させる

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福島原発事故5年の現実と社会運動の行方を総力特集『NO NUKES voice』Vol.7!

長崎県平戸市大久保町の、崎方公園。この公園の中に、平戸港が見渡せる小高い山の中腹にあるフランシスコ・ザビエル記念碑がたたずむ。近くには「平戸最初の教会堂跡」と記された碑や、ザビエルが滞在した木村氏の居跡とされる碑がある。このフランシスコ・ザビエル記念碑へと登る途中にある通称「御部屋坂」の周辺に、昨年の夏ごろからネコがやたらと集まってくるようになった。

「日中というか夕方までは、100匹以上のネコがゴロゴロ寝ていたり、ネコどうしが遊んでいたりしているのですが。夜になると数十匹も集団になって、フランシスコ・ザビエル記念碑の方面に登っていく。いったい、なんのために集まって『行進』を始めるのかわかりません」(地元の飲食店スタッフ)

そう、このあたりは隠れキリシタンが弾圧された傷痕がそこかしこに残る。ザビエルがネコ好きだったという記録は発見されていない。いったい、このエリアとネコがどう因縁づけられるのか。これには、1614年に、徳川家康が発布した「キリスト教禁止令」による迫害が関連している。

1550年8月、宣教師のフランシスコ・ザビエル一行は肥前平戸に入り、宣教活動を行った。これによりキリシタンが平戸に広まった。

しかし、1614年の1月、徳川家康はキリシタンの禁令を発布、長さ行きからも宣教師がすべて追放された。平戸においてキリシタンを敵視していた松浦藩の平戸藩主、松浦鎮信(法印)は5月に亡くなるものの、跡継ぎの藩主、松浦隆信は幕命によって長崎の教会堂を焼却し、キリシタン信者を捕らえています。

「このとき、地元の人が言うには、このザビエル祈念碑がある付近の家屋には「信者の隠れ廃墟」がたくさん立っていた。隠れキリシタンは、ごく小さな集落単位で秘密組織を作ってひそかに祈祷文「オラショ」を唱えて祈りを続け、慈母観音像を聖母マリアに見立てたりしていたとされる。

「1635年2月、幕府のキリシタン弾圧が進む中、通称『平戸の大殉教』で27名が殉教するのですが、隠れキリシタンを弾圧から守った、平戸の強信者の家のひとつに、未亡人が捨てネコを数十匹も飼っている通称『ネコ屋敷』がありました。記録はもうないそうですが、言い伝えによるとこの未亡人は弾圧を受けて御部屋坂を登って崎方公園に向かう道を走って逃げる途中で、殴る蹴るの拷問を受けて、ついでにネコも焼き払われたそうです。そのときの因縁でネコが集まっているのかもしれません」(同)

1587年7月24日(天正15年6月19日)に発令された「バテレン追放令」では、神父たちは平戸に集まり、対策を練ったという。隠れキリシタンとネコの異常な増殖と、深夜にザビエル祈念碑に向かう「ネコの行進」には、キリシタン弾圧の歴史が凝縮されている。

平戸観光協会のスタッフは言う。
「確かにネコはあのあたり、増えすぎて問題になっています。地元の人には『ネコを捨てないでください』と呼びかけているので、平戸市の人が捨てているとは考えにくい。夜の行進について、私は見たことはありません」

さて、この「ネコが行進する御部屋坂」が伝える教訓とはなんだろうか。

(伊東北斗)

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!

「紙の爆弾」(発行・株式会社エスエル出版会 発売・鹿砦社)について、お詫びと訂正

「紙の爆弾」2016年4月号の記事『音楽配信ダウンロード数偽装疑惑 「スペースシャワー」が起こされた「未払い訴訟」』におきまして、下記の通り訂正させていただきます。

◆91ページ 2段5行目
誤 二三〇〇万円
正 約二三〇〇万円

◆91ページ 2段見出し
誤 「廃盤商品」なのに配信・レンタルされた
正 全国販売契約したCDが突如廃盤に

◆93ページ 1段18行目
誤 代理人弁護士の野村晋明さん
正 代理人弁護士の野村晋右さん

以上、関係各位、および読者の皆様にお詫びいたします。

2016年3月8日
「紙の爆弾」編集部/株式会社エスエル出版会

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!

昨年11月、日本から「シティバンク銀行」が撤退した。日本では数少ない外資系都市銀行で、総資産2兆2000億ドル、アメリカ、ニューヨークに本店を置く世界最大の一般銀行である。銀行として初めて当座預金口座を開設し、複利預金、無担保ローンを商品化、クレジットカード「マスターカード」を提供し、いまではダイナースクラブもシティグループの傘下にある。ATMの24時間開放、支店数を絞って人件費を削り、穴埋めとしてATMを他行と供用するなど、現在では普通に行われている銀行の運営をはじめた先進的な銀行である。

シティバンクの日本上陸は1902(明治35)年、横浜に外貨取引銀行として支店を開設したのが最初で、実に百年の歴史がある。それが消えた。業務縮小や、旧顧客向けの窓口を残すこともない。顧客は日本の既存銀行、SMBCに託す形で跡形もない。

撤退の理由として「日本の市場には将来性がない」といささか腹立たしいと共に、捨て台詞とも取れる言葉を残している。

撤退に至るまで、確かにシティバンクはいくつもの「事件」を起こしている。2004年には、マネーロンダリングの幇助を指摘され、虎ノ門支店の認可が取り消されている。2009年、には大口顧客に対する利益誘導等があったとして続けて業務停止命令を受け、2011年に受けた「多数の法令違反」があるとして、業務停止命令が出された。何度も縮小や、関連グループとの合併、子会社化を行ったが、ついに2015年撤退ときた。

きわめて不自然な消え方だといえる。日本の証券会社や銀行でも一部顧客への利益誘導やマネーロンダリングによる不正はあったとしても、それが理由で廃業に追い込まれはしない。

ここで巷間、多くささやかれるのが「ユダヤ・イルミナティー」の策謀である。
ユダヤ・イルミナティ説の多くは眉に唾をするようなものから、真実味に富んだものまで挙げられているが、ここで注目したいのが「日本という地域性」だ。

古来、キリスト教が優勢になって以来ユダヤ人は被差別民であった。国土もなく、居住地、職業選択の自由もない。「ゲットー」と呼ばれる壁の中に暮らし、賤業に就いていた。この時代、アメリカはまだ存在せず、アラブ地域はオスマントルコ帝国の支配地である。ユダヤ人には、まだ、力もなく、影響力はヨーロッパに限られていた。ユダヤ人同士の繋がりがあるとしてもまだ細々としていた。

一方、貨幣経済が発達してくると卑しい職業とされていた「金貸し」が次第に力を得てくる。つまり銀行である。一部の富裕なユダヤ人が貴族に協力し「宮廷ユダヤ人」として力を得るようになる。

ユダヤ金融が一挙に勢力を拡大するのは1812年、ドイツ、フランクフルトのマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドがワーテルローの戦いでイギリスの国債が高騰したのを得てからである。その後、マイヤーの息子たちはパリ、ロンドン、ナポリ、ウィーンへと散らばり、金融業を展開する。ユダヤ系資本は国籍にとらわれない特性から瞬く間にヨーロッパを席巻する。

とはいうものの、やはり歴史の古いヨーロッパはユダヤ人に対する弾圧は強い。対して、移民を受け入れてきたアメリカでは比較的、差別は少ない。ユダヤ・イルミナティーはヨーロッパを拠点に次第にアメリカでも広がってくる。もちろん、アメリカでもユダヤ差別は皆無ではない。アメリカの大統領はほとんどがプロテスタントであり、カソリックは少数に留まる。ユダヤ教徒に関しては皆無である。この状況の中で拡大するシティが経営陣からユダヤを排除する可能性は高い。

他方、今回取り上げた「シティバンク」は「シティバンク・オブ・ニューヨーク」として1812年、はからずもロスチャイルド銀行が設立したのと同年開業し、1895年、アメリカ最大の規模に発展する。この段階でユダヤ・イルミナティーが介入する余地はない。

ロスチャイルドの発展からアメリカでも後発のユダヤ資本が食い込んで、企業体を資金面から浸蝕していく。企業体、ロックフェラーなどはそれ自体がユダヤ系であるとされる。

もちろん、アメリカが食い荒らされている間も、入ってこられない地域がある。アラブ、中国、日本である。日本は徳川時代「鎖国」を行っていた。中国(清国)も、1717年から1842年まで「海禁」と呼んで事実上の鎖国状態にあった。

しかし、日本は太平洋戦争の敗戦で「染まりきったアメリカの資金」が大量に導入されてくる。

10年ほど前、ある大手出版社の雑誌が廃刊になった。昨今、雑誌の廃刊など珍しくないが、退職した当時の編集者、A氏とのコンタクトに成功した。
「突如上の方から『その本は出すな』号令がかかった。記事の差し替えや、書き換えは珍しくないのでその類だろうと高をくくっていた。内容はユダヤ資本に関する批判でどこにでもあるような内容です。『あれよあれよ』と言う間に雑誌は休刊。編集部は解体。異動されるか、退職した者もいます。しばらくしてわかったのが、銀行から圧力がかかっていたんですよ。日本の銀行ですが、ユダヤ資本が入っていて、記事のうちどれかが本筋をついていたのでしょう」

日本の金融市場を狙うのはユダヤ資本ばかりではない。近年になって膨大な資金源が登場した。いわゆる「チャイナ・マネー」だ。

2010年「日本の総生産が中国に抜かれた」と報道された。その後も中国は毎年10%近い成長を続け、昨年度でGDPは日本の二倍を突破した。決済通貨としても「USドル」「ユーロ」「イギリスポンド」「中国元」「日本円」の並びになり、昨年「元」の流通量が「円」を越えた。

中国にとって日本は豊かな「餌場」なのだ。資金のやり取りも為替を使用するより、銀行を介した方が早い。となると、日本に居座る外資系銀行「シティ」は邪魔物となった。

日本ではあまり普及していないが、マスターカードが運営するCirrus(シーラス)という銀行決済システムがある。世界93ヶ国、100万か所のATMで利用できる。クレジットカードの多くは海外でも利用できように、クレジット払いのシステムを銀行決済に適用したのがCirrus。日本国内で預金した「円」を、海外に出向いて同じ銀行カードを使って外貨を引き出すことができる。ビジネスには圧倒的に有利な海外決済、送金方法だろう。

Cirrusを真っ先に日本に導入したのが、シティバンクであり、実に30年前である。他に日本では、シティと最初に提携した「ゆうちょ」、2007年から提携を開始した「セブン銀行」、シティから業務委託をうけた「SMBC」しかない。

一方、日本にも次々と中国系の資本が入ってきている。中国国営銀行である「中国銀行」、中国系クレジットカード「ユニオンペイ(中国銀聯)」などである。中国銀行は日本での支店数は少なく、「ユニオンペイ」こそ、日本とアメリカで提携を増やしているが、世界的に優勢なマスター系列のCirrusとも、ビザ系列のPLUSとも連携していない。一方、中国は銀聯に続いて、Alipay、Chinapay、快銭の導入を開始している。

Cirrusの大元であるシティを日本から追い出すのは、中国にとって欠かせない戦略だ。

中国の動きはシティの不祥事にも影を落としている。

「実はシティ撤退のきっかけとなったマネーロンダリング事件、これは日本の暴力団が覚せい剤で得た利益をシティバンク経由で香港で現金化したという内容です。マネーロンダリングには色々な方法があるが、多く使われる方法が投資を装うやり方だろうね」(経済ジャーナリスト)

不正に得た現金を損益が出ると判っていても第三者に貸し付ける。数年経って減額した資金をひきだす。引き出したカネは株なり、国債なりの売却資金として「洗われたカネ」になる。ところがシティの場合は虎ノ門の支店で預金した資金を単純に香港で下ろしただけだ。資金洗浄だとしたらあまりに稚拙に過ぎる。

状況証拠でしかないが、中国当局にはめられた、という見方もできる。

シティはユダヤ・イルミナティーに疎まれ、中国との交流もない。旧勢力と、新勢力の戦いによって日本という戦場からたたき出されたのである。

確かに日本の一般銀行にはイルミナティーの息がかかっているだろう。だが、例外も多い。農家の資金運用を一手に引き受けるJA。民営化された「ゆうちょ」。日本にはまだまだ手つかずの膨大な資金が眠っている。

これらを虎視眈々と狙っているのが、ユダヤと中国。

いま、日本という豊穣な市場をめぐって、新旧の大勢力が火花を散らしている。

(伊東北斗)

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!

NJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)やムエタイ・オープン大会でラウンドガールを務めてきた「キックボクシング界のアイドル」菜緒が人気急上昇中だ。

大坂出身の21歳でモデルばりのスレンダーな肢体と腰高のヒップに艶っぽい笑顔。TBS恋愛バラエティ番組「恋んトス」や、テレビ朝日「ロンドンハーツ」にも出演歴がある菜緒は、同じく格闘技のラウンドガールから売れっ子になった、一字ちがいの売れっ子モデル&女優の『菜々緒』が歩んだサクセスロードを踏襲しつつある。

「ほとんどキックボクシングの試合は、注目する一般マスコミがいない中、『キックボクシング』のラウンドガールを選んだ菜緒が昨年の夏あたりから注目され始めるのは、キックボクシングを研究してきて、選手に試合内容についてインタビューできるようになってから。格闘技関係のメディアにコメントを求められるようになってきて、露出が高まってきたのです」(格闘技雑誌記者)

2月21日に開催された「NEW JAPAN WARSⅡ」(ニュージャパンキックボクシング連盟)においても、菜緒は、ファイナルで右ストレート一閃でセイサック・エスジム(タイ/エスジム)に2R1分2秒で勝利したテヨン(キングジム/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者)に「相手はストレートに合わせてカウンターでヒジを出してきたのすが、すんでのところでよけていました。これは練習で培ったのでしょうか」と玄人っぽい質問を重ねていた。

「試合終了後に、ファンが握手を求めてきたりするときに、あまりにも人数が多いと途中でさえぎって『次がありますので』と撤収してしまうことが多いタレントの中で、彼女はファンがひとりもいなくなるまで握手や撮影に応じていた。このプロ根性がファンを拡大してきたのでしょう」(同)

今では、菜緒目当てのファンが増えているといっても言い過ぎではなく、リング上の菜緒に向けて「菜緒っ?! こっち向いて?」という男くさい声援に笑顔でこたえていた。昨年の今ごろは「字が一字足りないぞ、菜々緒を出せ?」などと野次が飛んでいたのとは雲泥の差だ。

もっとも菜緒はインタビューで理想の男性を聞かれて「筋肉がある男性が好きです」と答えているから、ちゃっかり選手と恋仲になる可能性もある。

「キックボクシングのラウンドガールはそんなに競争が激しくない。菜緒はいいポジションからスタートできたかも」という声もあるが、今後は実力しだいだろう。
この日に一番、輝いていたのはいずれにせよ、〝褐色のナルシスト〟と呼ばれる健太選手(元WBCムエタイ日本統一・ウェルター級王者 E.S.G)でもなく、KO勝ちしたテヨンでもなく、菜緒だった。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)が今年で満20周年を迎えました。NJKFは1996年7月、全日本キックボクシング連盟から脱退し、同年10月6日に東京ベイNKホールで初興行を開催。初代代表理事の藤田真氏が高齢により退任した2007年からは斉藤京二氏が第2代代表理事に就任。2009年には当時のMA日本キックボクシング連盟との統一的な王座として「WBCムエタイ日本王座」を創設しました。

2014年には国内初のWBCムエタイ世界戦を開催(梅野源治と大和哲也が奪取)に漕ぎ着け、昨年8月に15歳以下のWBCムエタイ・ジュニアリーグも開催、この団体の本道であるNJKF王座戦も従来のタイトル戦ではない、過去2回NEW JAPAN WARSとして挑戦者決定トーナメント戦として王座とランキングの充実が図られました。

◆やると言ったら諦めない──斉藤京二理事が実現した「WBCムエタイ日本王座」

2010年頃、斉藤京二理事が業界を指し、「過去、どれだけ統一を図りながら崩壊してきたことか、だがこのWBCムエタイは必ず成功させる」と語り、やると言ったら諦めない斉藤氏の姿勢はそのはるか昔の選手現役当時からでした。

WBCムエタイ(タイ・バンコク本部)はプロボクシングのWBC公認の傘下団体で、世界王座、インターナショナル王座の下、日本実行委員会目線で見れば、日本王座の下に2つの団体、NJKFとJKI(MA日本キック連盟から脱退し設立した日本キックボクシングイノベーション)を置き、構築したピラミッド型組織を作り上げてきました。

今後、選手層が充実し、世界王座と各傘下王座が活性化し、各メディアが注目すれば「メジャー化」と言える段階に立ちますが、現実的にはそう簡単なものではありません。この日の試合も観客席は満席には埋まらず、メインイベント(最終試合)に近付くにつれ観客の数が減り、正に身内・仲間内の試合が終われば帰ってしまう現象は毎度のこと。この競技が世間一般に浸透していない現状が伺える光景でした。そんな中でもメインイベントまで、プロボクシングの迫力に負けない高度な技術の展開が続き、元プロボクシング関係者重鎮もキックボクシングの可能性に注目し毎度立ち会う姿が見られます。手段は違えど縦の組織造りは他団体にもあり、乱立が生む悪循環の中でも興行の充実と観客動員を凌ぎあっている現状が続いています。

◆NJKF 2016 1st
2月21日(日)後楽園ホール17:00~20:35 主催:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

24戦目で初タイ人との対戦となったテヨンは破壊力増すパンチと蹴りで、一瞬即発の打ち合いに2度のダウンで失神状態のセイサックをレフェリーが止めるTKO勝利。セイサックの来日戦績はこれまで日本国内チャンピオンクラスに1勝1敗ながら、健太(ESG)にヒジで敗れるも攻勢の展開も見せた実力者で、テクニックで日本人の前に立ちはだかる壁となる存在。

セイサック・エスジムvsテヨン

破壊の激闘王、テヨン

テヨンは2011年8月デビューし、父親もチャンピオンになった血筋から、似たファイトスタイルで実力の片鱗は見えている中、期待通り2014年2月にNJKFスーパーライト級王座に就き、同年7月にWBCムエタイ日本スーパーライト級王座に就きました。現在は日本からインターナショナル王座へステップアップを図り、今、日本のトップクラスに立っている高度成長の経験値で今年の飛躍が期待されます。

健太は2年前に対戦して判定勝利している笹谷純と再戦。前回は挑戦者決定戦となる5回戦で、今回はノンタイトル3回戦ながらまたも圧倒する内容で判定勝利。2008年から2階級で王座獲得経験を積み、危険を回避せず、他団体チャンピオンとも対戦経験豊富なベテランの域に達している健太は3月21日(月・祝)ウィラサクレック興行で、先月NKBで大和知也(SQUARE-UP)を下したWPMF世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・フェアテックス(タイ/対日本人戦績10戦10勝6KO)との対戦が予定されています。

年間表彰式で最優秀選手賞獲得し、挨拶する悠矢(大和)


NJKF 2015年度 年間表彰式がリング上で行なわれました。

突き上げる右ヒジ打ちで攻める健太

最優秀選手賞:悠矢(大和)
殊勲賞:健太(ESG)
技能賞:MOMOTARO(OGUNI)
努力賞:浅瀬石真司(東京町田金子)
新人賞:大田拓真(新興ムエタイ)
最高試合:健太(ESG)vs大和侑也(大和)

▼64.5kg契約3回戦
WBCムエタイ日本スーパーライト級チャンピオン.テヨン(中川勝志/キング/22歳/64.16kg)
          VS
セイサック・エスジム (タイ/23歳/64.2kg)
勝者:テヨン / TKO 2R 1:26 / 右ストレート、ノーカウントノレフェリーストップ / 主審 多賀谷敏朗

▼67.0kg契約3回戦

健太(前WBC・M日本ウェルター級C/ESG/28歳/66.95kg)
          VS
笹谷淳(TANG TANG FIGHT CLUB/40歳/66.85kg)
勝者:健太 / 3-0 (主審 中山宏美 / 副審 多賀谷 30-28. 小林 30-28. 竹村 30-29)

▼NJKFバンタム級タイトルマッチ 5回戦

後ろ蹴りがボディにヒット、前田浩喜が守屋将をあっさりKO

チャンピオン.前田浩喜(CORE/34歳/53.5kg)
          VS
1位.守屋将(新興ムエタイ/24歳/53.45kg) 
勝者:前田浩喜が初防衛 / KO 1R 2:08 / 後ろ蹴り(バックスピンキック)がボディにヒットしテンカウント / 主審 山根正美

▼NJKFスーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.YETI達朗(キング/31歳/69.6kg)
          VS
1位. 白神武央(拳之会/27歳/69.8kg)
勝者:白神武央が第5代チャンピオン / KO 2R 1:29 / ヒジ打ち顔面連打でテンカウント / 主審 小林利典

▼WBCムエタイ ジュニアリーグ東西対抗戦50kg以下3回戦(1分30秒制)
東日本代表.大田一航(神奈川県厚木市立南毛利中学校2年生) 
          VS
西日本代表.林佑哉(広島県福山市立松永中学校3年生) 
勝者:大田一航 / 3-0 (30-29. 30-28. 29-28)

▼NJKFスーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

1位.鈴木翔也(OGUNI/28歳/58.9kg)
          VS
2位. 北野克樹(誠至会/19歳/60.8kg)
勝者:鈴木翔也が第5代チャンピオン / 2-1 (主審 多賀谷敏朗 / 副審 小林 49-48. 竹村 49-48. 山根 48-49)
北野克樹1.83kgオーバーで計量失格。

流血を伴なう激闘を制した鈴木翔也(OGUNI)

▼NJKFフェザー級王座決定戦 5回戦  

1位. 阿羅斗(ESG/27歳/57.1kg)
          VS
2位. 半田一覇(誠至会/19歳/56.9kg) 
勝者:半田一覇が第9代チャンピオン / TKO 2R 1:37 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 中山宏美

▼NJKFフライ級王座決定戦 5回戦

1位. 大槻直輝(OGUNI/33歳/50.45kg)
          VS
4位.山下Spankey博史(誠至会/30歳/50.7kg)    
引分け三者三様 (主審 山根正美 / 副審 中山 49-49. 竹村 49-48. 多賀谷 48-49 / 延長戦三者とも9-10で山下Spankey博史の勝利、第9代チャンピオン)

NJKF若武者会主催DUEL.4は3月6日(日)海老名市総合体育館にて。
PITジム主催「絆」は4月3日(日)埼玉ふれあいキューブにて。
NJKF 2016.2ndは4月10日(日)後楽園ホールにて開催されます。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎ムエタイ日本人の壁──活躍する在日タイ人選手と来日タイ人選手の裏事情
◎芽が出始めたムエタイ新時代──タイで通用する若手選手が続々出現!
◎強くなるためにタイへ行く!日本キックボクサー「ムエタイ修行」今昔物語
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!

昨年10月25日に行われた報告会「玄海原発再稼働をSTOP!させるには」(戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会)では、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の代表・原告団長である石丸初美さんがはつらつと活動報告した。前回に続いてその内容抜粋の後編を紹介する。なお石丸さんたちの闘いの詳細については2月25日発売の『NO NUKES voice』7号にインタビュー記事が掲載されたので一読していただけると幸いだ。

「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」代表・原告団長の石丸初美さん

◆裁判所にさえ「企業秘密」として情報を出さない九電

今日、お配りした真っ黒塗りの資料にありますが、九電は私たちが情報公開を求めても、「企業秘密」として裁判所にさえ情報を出しません。九電は川内原発再稼働に集中させていた社員を玄海シフトという言い方で230人を玄海によこしています。

3・11前から原爆も原発も同じだということを聞いておりましたが、事故が起きればどうなるだろうかという心配しかありませんでした。しかし原発事故は、3・11の被害は想像をはるかに超え、その被害の甚大さを知り、今も信じられないという思いです。二度と地球上に原発事故を繰り返してはならないと思います。

岸本町長は原発を早く動かしてほしい、早く早くと、本当に金の亡者のようにほかの言葉を知らないのかと思うような言葉しか発しません。田中俊一原子力規制委員長も自ら「安全とは言わない。原発事故は起きますよ」と何度も私たちは聞かされていると思います。

◆再稼働の説明会はこれからもするつもりはないと断言した九電瓜生社長

事故が起きる前提の川内原発再稼働は犯罪行為だと思っております。もし玄海原発で事故が起きたらどうするという避難計画こそ、被害を受ける私たち住民に事前に説明があるのが当然で、そのことは重要だと思っております。私たち佐賀県民も、福岡県民の皆さんも地震が起きて原発が暴発すれば、全部被害者になるわけです。
しかし「住民にはなるだけ知らせないでおこう」としているのが今の避難計画です。九電の瓜生道明社長は、住民への説明会について、「大上段に構えて説明するより、顔と顔をつき合わせて、フェイストゥフェイスで住民の方々を解きほぐしながら話すほうが理解が高まる」として玄海原発の再稼働の説明会はこれからもするつもりはないと断言しております。

九州電力の原発事業は国が保証人です。こんな会社はどこにもありません。企業が起こした事故ならその企業が全面的に責任をとるのが当然です。しかし電力会社だけは極めて特別扱いで、法律が守ってくれます。事故の賠償は国民が払ってくれます。マスコミはこのことを伝えません。この理不尽な政治状況を私たちが伝えるしかないと私は思っております。

◆原子力事業者の責任記述は70頁の災害対策指針の中でたった5行

70ページ近くの『原子力災害対策指針』というものがありまして、何度も何度も都合のいいように、私たちにとっては都合の悪いように改定されている原子力災害対策指針の2ページに『原子力災害及び原子力事業者の責任』ということがたった5行あります。5行の最後の2行を読みます。

「原子力事業者が、災害の原因である事故等の収束に一義的な責任を有すること及び原子力災害対策について大きな責務を有していることを認識する必要がある。」
認識するだけでいいと書いてあるのです。私たちは、避難計画は加害者である九電に対して、「あなたたちは加害者であるのにどうされるのですか?」聞きました。そうしたら「支援します」と。「当事者が支援ということじゃ間違っているじゃないですか」とと問いただすと「あっ、それはごめんなさい」と。じゃあほかの言葉で回答してくださいといったところ、回答はまだです。都合のいい言葉が見つからないようで、返ってきておりません。

◆事故時の食べ物の基準は2000ベクレル/Kg

私たちは2014年から、全国の皆さんと連携して原発災害の避難計画などを中心に国、県、市町村を回って「福島の事故を学び国民の生活を守ってほしい」と交渉をやってきました。現在、進められている今の原子力避難計画は、責任を国がとらない。地方自治体や学校や幼稚園、保育園、病院の管理者等々に押し付け、日常生活では考えられないような500マイクロシーベルト毎時いくつという、そういう過酷な環境の中に「屋内退避してください、国が命令するまでそこにおってください」という、国民を被ばくさせる計画となっております。原子力対策指針にはなんと書いてあるか。

「事故時の食べ物の基準は2000ベクレルパーキログラム」となっております。この世の中にないプルトニウムまで記載されております。私はこれをみてとてもひどいと思って、環境省の原子力規制庁に電話をしました。「これは本当ですか」と。そうしたら回答は「その通りです、書いてある通りです」と。

「じゃあ私たちにその2000ベクレルの根拠を教えてください」と言ったら、15分くらい保留されたまま「あと2時間待ってください。即答できませんから」とのことで2時間後に電話しました。そうしたら回答はないですよ。ここに書いてある通りですよ、「みなさんを被ばくさせますが、本当のことですから」ということでしょう。向こうは弁解ばかりです。「1日中食べているわけではないから、そんなに心配する必要はないと思います」という言い方です。「なるだけ外に出さないように頑張って、フィルタベントでしますから」と。

「なんでプルトニウム食わにゃならんのですか」というのにそういう回答にもならないことを繰り返す。国民は不在です。ぜひ皆さんも、そこに規制庁の番号が書いてありますので、電話をしてください。

玄海原発や川内原発が事故を起こしたとき、2000ベクレルを、そういうおにぎりを食べにゃいかんのですか、電気のためになんで私たちが被ばくしなければならないのですか。私は本当に腹立っているのです。マスコミは伝えない、政治も命を守ってくれない市民の私たちが広報するしかありません。

今、ご説明した主張を一人でも伝えられると思って200回くらい原発の悲惨さを伝える市民レベルの座談会をしてきました。非核三原則なんてまったくのウソです。世界一厳しい規制基準なんてとんでもない。議会制民主主義なんてまったく機能していない、三権分立など表向きだけで。私はまだまだ、一部しか、このひどい国のことをわかっていないと思います。自分で知ろうとすること、わからなければ聞く。そしてわかったら一人でも伝える、そういう運動を今からでもやっていこうと思っております。(了)

★玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会HP http://saga-genkai.jimdo.com/

(小林俊之)

『NO NUKES voice』第7号!総力特集3.11福島原発事故から5年─その現実と社会運動の行方

「安倍政権NO!0214大行進in渋谷、無事終了しました。約一万人の参加者でした。皆さまお疲れ様でした!安倍政権妥当の為に引き続き、力を合わせて頑張りましょう!」

これは2月14日に反原連Twitterに記されたメッセージだ。誤字脱字が日ごろから多い私は、このメッセージの中の「安倍政権妥当」の揚げ足とりなどするつもりはない。とんでもない変換ミスや打ち間違えを頻繁に繰り返す自分への反省から、「この部分は訂正されてはいかがですか」とご指摘申し上げておくだけだ。

◆原発避難や被曝問題を排除して再稼働反対だけを唱える違和感

しかしながら以下のインタビューで語られた反原連の「女帝」氏のコメントとの整合性はどのように理解すればよいのであろうか。

「参加者のなかには福島からの避難者のこととか、子供たちの被曝のこととか、自分たちのイシューをかぶせようとする人もいます。私も被曝の問題は重大だと思ってますけど、まず大飯の再稼働を止めることで、大きな風穴を開けたい。『野田政権打倒』を掲げる人たちもいるけど、私たちはそれが目的ではない。代替案として誰々を首相にしろと、そこまでいえるのなら具体性が出てくるけど、具体的なイシューがないと焦点がぼやけてきて、運動に酔うだけの人が増える気がする。だって内閣を打倒して運動が収束して、いざ他の内閣になったら、もっと原発が悪いことになる可能性だってあるじゃないですか」

このコメントは週刊ポスト2012年8月31日号に掲載されている上杉隆氏による女帝氏へのインタビューにおける発言である。社会問題を自分なりに考察した経験のある人間ではない、との吐露のようなこのコメントは前述の「安倍政権妥当(正しくは打倒)」とどのように整合性を保つのであろうか。女帝氏はここで「野田政権打倒」を掲げることが「私たちはそれが目的ではない」と断言し、その後は詳述するのも憚られるような理屈にもならない思い込みだけを語っている。「野田政権打倒」は「目的ではなく」、「安倍政権妥当(打倒)」なら整合性があるのか。

ここに私は痛烈な違和感を禁じ得なかった。「シングルイシュー」を看板に活動し始めたこの団体は女帝氏が述べている通り「福島からの避難者のこととか、子供たちの被曝のこととか、自分たちのイシューをかぶせようとする人もいます」と切り捨てていた。

私自身、2007年頃から反原発運動を始めたばかりの新参者だし、いまデモを主催する反原発連合に入っている13のグループのうち、11団体は3・11以降にデモを始めた人たちです。みな一般の感覚に近いので、とにかく普通の人たちが来やすい雰囲気を心がけました」(赤文字は田所)。

この時点で既に私は一見反対運動を纏った、「翼賛運動」あるいは「ガス抜き」が堂々と登場したことに大変不快だった。「一般の感覚」や「普通の人たち」の定義は何だ。自分を「新参者」と認識しておきながら、何十年も脱原発運動をして来た先輩の運動は「一般の感覚」や「普通の人たち」に受け入れられないとでも言わんばかりである。傲慢とはこのような態度を示す言葉だろう。

◆自由な公道で警察と協力して他者を排除する「市民運動」の矛盾

さらに「排除の論理」を確信していることは以下の発言から明らかである。

「(略)3・11以前も反原発の集会などをすると、革マルや中核っていうのが来るわけですよ。私はその頃からとにかくアンチセクトでやっているんですが、(参加しないでくれという)クレームをつけると面倒くさいので、来られても放置みたいな状況でした。
いま、私たちの反原発連合では、組織や反原発以外ののぼり旗を立てない、勧誘のビラを配らないといった(自主的な)ルールを設けています。それは反セクト的な意味だけじゃなくて、一般の人が入りやすいという理由もあるんですけど、それで裾野が広がった。だんだんシングルイシュー的な部分が理解されて、運動が成熟してきたわけですが、やはり最後はこの問題なんですよ。
 結局、デモが巨大化してから、(セクト系が)またドーッと来るようになった。でも、これに始末をつけなければ、本当の意味での市民運動にならないっていう思いが私の中で強い(略)」(赤文字は田所)。

これは完全な勘違いと思い上がりである。女帝氏たちは当初日の丸を掲げて抗議運動を行っていた。私は中継越しにその姿を見て「なんなんだ、こいつら」と強烈に不快感を覚えた。片方で「組織や反原発以外ののぼり旗を立てない」ように要請しておきながら、主催者の横には「日の丸」がある大矛盾。その方が「一般の人」が入りやすいと決めつける傲慢。そして極めつけは「(セクト系が)またドーッと来るようになった。でも、これに始末をつけなければ、本当の意味での市民運動にならないっていう思いが私の中で強い」という公安警察顔負けの弾圧思想である(赤文字は田所)。

誤解なきように付言しておくが、私はどのような政党や政治団体であれ集会に参加するのは自由であると考える。個人的に政党や党派への感度の差はもちろんある。自民党や創価学会の旗を持った参加者が居れば議論をしたいと感じるだろうし、嫌いな党派には近づくこともないだろう。しかし場所は路上集会である。誰が来ようと拒む筋合いはない(公安警察が市民を装い侵入していた場合は別だが)。

そして極めつけは、
「野田首相と面会するときもこの運動を一緒に作ってきた警備の警察官に同行してもらいたいってコアメンバーと話しているほどなんです。彼らが人事異動するのが一番怖いですね(笑い)」

(笑い)じゃないだろう。ここまで警察権力との合作、癒着を誇示している市民運動は世界にも例を見ない恥ずべき現象だ。社会を構成する力学や政治、国家や暴力に対するごく基本的な知識すら欠いていることに唖然としたものだ。

「皇室の存在を日本が世界に誇るものと」語る上杉隆氏を私は信用していない。自由報道協会は一定の成果を収めているが上杉信の「タヌキ」振りには要注意だとまだ気が付かない読者には警告しておく。その上杉氏が女帝氏に問う。

「これまでのデモは、『権力側は敵だ』という前提から入っていたけど、今回は政治とも話し合いの場を持とうとしている」と。女帝氏が答える。

「デモとか抗議って、それ自体は国策を変えるわけではない。やっぱりエネルギー政策の転換は国会で政策を練らないといけないことだと考えています。数で押すことによってようやく議員さんが反応を示すところまで来たな、と」

私の感想はもう述べない。述べる気にもならない。「安倍政権妥当(打倒)」に異議はないが。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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『NO NUKES voice』Vol.7!

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