人間の歴史は、海岸に打ち寄せる波のように、行きつ戻りつするしかないのでしょうか。科学技術は進歩一途如き様相を呈していますが、技術の進歩を産み出す人間の思想や行動が、進歩を遂げているようには到底思えません。むしろ私たちが目にしてきた二十世紀後半から二十一世紀前半の世界は、 総体ではないにせよ人間の「退行」を示してはいないでしょうか。

自然科学により、完全に解明された 「絶対的な毒性」が明らかな放射性物質に、人間は可能な限りそれらに近づかず、環境へ漏れ出たならば可能な限り局所に封じ込め、それでも制御できないのであれば避難をする。1986年ソ連ではチェルノブイリ原発事故が起きたあと、その原則は(完全ではないにせよ)履行されました。

他方2011年に日本で起きてしまった福島第一原発爆発事故の後、日本政府は被ばくから国民を守ることを放棄し、被ばくを強要する政策に終始した感があります。今日では「福島第一原発事故などなかったことにしよう」との隠蔽政策に全力を注いでいます。

「東京五輪」は、東北の復興を謳い文句に使い誘致されました。「五輪と復興に何の関係があるのか」本来招致活動が起こった時点で国民は疑問を強く持つべきでしたが、政府・マスコミ・経済界一丸となっての東京五輪はCovid-19の爆発的感染拡大により一年延期されたものの、ご記憶の通り強行開催されました。

そして 「汚染水」 はいつのまにか 「処理水」と呼び変えられています。異常以外のなにものでもありません。

福島第一原発事故後の「被ばく」強要は、明確な意図に起因しているのではないか、との疑問。その明確な証拠がついに明かされました。事故後「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に着任し、福島県民を欺く役割を果たした山下俊一を井戸謙一弁護士が法廷で証人として尋問したのです。その結果極めて重要かつ驚くべき数々の事実が明らかになりました。今号の井戸弁護士へのインタビューは必見です。日本の商業新聞・雑誌の中でこの事実を採り上げるのは本誌だけでしょう。

昨年のロシアによるウクライナ侵攻に続き今年はイスラエルによるパレスチナ侵略・大虐殺が進行しています。いずれも歴史の文脈を直視することなしには理解しえず、また分析のできない戦争です。そして戦争には常に偽りの扇動や報道が旗頭の役割を担います。

原発を基軸に時代や世界を凝視すると根源に巣食う文明の病があぶり出されます。2023年は益々文明の病が顕在化した年であったようです。世界も日本国内も相変わらず「脱炭素」との虚言に踊り、日本ではGX法(原発推進法)まで成立してしまいました。闇の深い時代に、本誌はあえて闇の深淵に足を踏み入れ、光明を発掘します。

2023年12月 季節編集委員会

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CPDMZSST/

このところ月刊『紙の爆弾』『季節』と発行がほぼ重なり、また来年のカレンダーの頒布とも重なり、それらの膨大な量に本社・東京編集室ともに一時は占拠され、発送が幾分遅れ気味になっていましたが、昨日でほぼ終了いたしました。

いましばらくお待ちください。週明け11日にはほぼ到着すると思います。

例年のように定期購読・会員の皆様方には書家・龍一郎揮毫の2024年鹿砦社カレンダーを一緒に送らせていただきました。

下は『季節』冬号の巻頭を飾っている龍一郎揮毫の書です。(松岡利康)

龍一郎揮毫

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CPDMZSST/

◆はじめに

岸田政権は今年2月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定したが、その中で二酸化炭素(CO2)を出さないエネルギー源として原発の活用が提唱されている。この背景にはCO2の人為排出が気候に危機をもたらしている、とするいわゆる気候危機論がある。そこで「気候危機」論とは何か、それはどのような意味を持つのか、発生以来の経過をたどりつつ検証してみたい。

◆「気候危機」論の概要

本稿において「気候危機」論という用語は、20世紀半ば以降の温暖化が人為起源のCO2などが主な原因で起き、それにより地球環境が危機に瀕しているとする考え方を指す。国際連合の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書は、20世紀半ば以降の「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と述べている。そして、世界の平均気温が上昇していくにつれて、北極海の海氷面積の縮小、海面水位の上昇、洪水の多発、食料生産力の低下、サンゴ礁の消失などが起こるとされる。

「気候危機」論の高まりを受けて、「脱炭素」に向けた取り組みが世界的に推進されている。脱炭素とは、代表的な温室効果ガスであるCO2の排出量をゼロにしようという取り組みである。日本では2020年10月に、当時の菅義偉首相が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と所信表明演説の中で述べた。これを受けて、環境省では「2050年までに年間で12億トンを超える温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること」を目標として、産業構造や経済社会の変革に取り組むこととした。

◆「気候危機」論の歴史

1896年、スウェーデンの物理学・化学者スヴァンテ・アレニウスが石炭などの大量消費によって今後大気中のCO2濃度が増加すること、CO2濃度が2倍になれば気温が5~6℃上昇する可能性があることを述べた。この説は、社会の一部には浸透していた。しかし1970年代頃までは、「地球寒冷化」の方が学会の主流を占めていた。

1979年、スリーマイル島原子力発電所事故の発生後、アメリカ合衆国大統領行政府科学技術政策局から「気候に対する人為起源CO2の影響」について諮問を受けた全米科学アカデミーがこれらの学術報告をまとめ、「21世紀半ばにCO2濃度は2倍になり、気温は3±1.5℃(1.5~4.5℃)上昇する」とするチャーニー報告を発表した。

1988年6月23日、アメリカ上院エネルギー委員会の公聴会において、NASA所属のジェームズ・ハンセンが「最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」と発言した。この後雑誌やTV放送等のメディアを通して、地球温暖化説が一般に広まり始めた。そして同年8月には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立された。

1992年6月にはリオ・デ・ジャネイロで環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)が開かれ、気候変動枠組条約(UNFCCC)を採択した。UNFCCCでは定期的な会合(気候変動枠組条約締約国会議、COP)の開催を規定した。

1997年のCOP3では、初めて具体的にCO2排出量の削減を義務づける内容を盛り込んだ京都議定書が議決された。

2006年5月、元米国副大統領アル・ゴア氏が出演するドキュメンタリー映画『不都合な真実』が公開された。翌2007年10月、人為的な気候変動問題の啓発に対してアル・ゴア氏がノーベル平和賞を受賞することが発表され、同年12月にIPCCと共に受賞した。

2015年12月12日、COP21においてパリ協定が採択された。この中で2020年以降の地球温暖化対策を定めている。産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑え、加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指すことが合意された。

2018年8月、15歳のスウェーデン人グレタ・トゥーンベリ氏が「気候のための学校ストライキ」という看板を掲げて、より強い気候変動対策をスウェーデン議会の前で呼びかけを始めた。他の学生も自分のコミュニティで同様の抗議活動に参加し、「未来のための金曜日(FridaysforFuture)」の名前で気候変動学校ストライキ運動が組織され、世界の若者の間に気候危機運動が大きな広がりを見せた。

◆「気候危機」論への疑問

「気候危機」論について筆者はいくつかの理由から疑問を持っている。以下にその要点をのべる。

① 『不都合な真実』における誇張

アル・ゴア氏は2006年の映画『不都合な真実』への出演を通じた「気候危機」問題の啓発によってノーベル平和賞を受賞した。しかしこの映画は2007年、イギリスで学校での上映に反対するグループによって上映差し止めを求める提訴を英国高等法院に起こされている。その結果裁判所は、上映差し止めの請求を退けたうえで、誇張がみられる9つの問題点を指摘し「注釈をつけて」上映するようにとの判決を下した。

例えば、映画ではグリーンランドの氷床が融解し海面上昇が「近い将来」20フィートに及ぶとしているが、科学者の合意では数千年かかり「近未来に海水面が上昇するというのは極端な主張で、人騒がせである」としている。

② ツバル水没の原因

京都議定書の採択と同時期、気候変動の影響による海面上昇でツバルという国が沈む、という報道が相次ぎ、ツバルは「温暖化で沈む国」として世界の注目を集めた。しかし、2021年に環境ジャーナリストの石弘之氏は、現地取材を踏まえてツバルは沈んでおらず陸地面積はむしろ拡大している、と伝えている。(『東洋経済ONLINE』2021年7月27日付 石弘之「『温暖化で沈む国』は本当か? ツバルの意外な内情」)

石氏のレポートによれば、1971年から2014年まで、少なくとも8つの環礁と、約4分の3の岩礁で面積が広くなっており、同国の総面積は73.5ヘクタールも拡大(国土面積約26平方キロメートルに対し2.9%の増加)していたという。これは波によって運ばれた砂が堆積して、浜が広がったことによる。ではなぜツバルで水没が起きていたのか。ツバルの首都の人口は、独立前の1973年には871人だったが、独立した5年後の1979年には2,620人に急増している。これが湿地や低地に多数の住居や行政施設の建設、井戸からの地下水汲み上げの増加と下水の垂れ流しを引き起こした。

同じ太平洋上の島でもハワイは水没していないことと考え合わせると、ツバル水没の原因は地球温暖化による海面上昇ではなく、人口増加と地下水利用に伴う地盤沈下と考えるのが妥当であろう。

③ 温室効果ガス以外の気候変動要因の捨象

地質学上「縄文海進」と呼ばれている事象がある。海岸沿いにあるはずの貝塚が、関東平野のかなり内奥部で多数発見されている事実から、縄文時代に属する6000年前には現在の関東平野の相当部分が海面下にあったことがわかった。気温も1~2度高かったことが判明している。

また、「マウンダー極小期」という事象もある。1645年~1715年の70年間は、それ以前にくらべて地球の平均気温が0.2度下がったことが判明しており、当時のロンドンではテムズ川が凍りつき、氷の上を人が歩いて渡っていた。またヨーロッパ全土で食糧生産が減少し、大規模な飢饉が発生した。この寒冷化の原因は太陽黒点の活動減少と考えられている。(『エコノミスト』2021年6月22日号、鎌田浩毅「太陽黒点の変化も気温に影響」)

「縄文海進」も「マウンダー極小期」も、人間活動の結果起きた事象ではない。したがって、気温上下や海面位の上下は過去数百年、数千年の時間軸では人間活動とは全く無関係に起きていたのであり、同様のことは今後も起こりうる。しかしIPCCは温室効果ガスの人為排出以外の気候変動要因を1切捨象して、温室効果ガスのみを問題視しそれへの対策を論じている。

CO2の人為排出が気候に影響を与えている可能性はないとは言い切れない。しかし、上記の諸事実から、CO2の人為排出が気候に甚大な悪影響を与えているという説には大きな疑問がある。したがって、CO2の排出を早急に削減すべきだという主張は合理的根拠を欠くと言わざるを得ない。(つづく)

本稿は『季節』2023年夏号(2023年6月11日発売号)掲載の「『気候危機』論についての一考察」を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ・こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

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日本共産党さん、とくにここ3~4年の貴党は加速度的におかしくなっていませんか?

筆者は、2001年参院選では、共産党が今は除名をしている日本共産党の松竹伸幸さんに全国区では投票しました。その後も、例えば、筆者の地盤である広島市安佐南区では、共産党の女性市議を、20年間、支援させていただきました。(その後、その女性市議と筆者は2023年の県議選で議席を争ことになります。)

筆者の現在の政治スタンスは、基本的に〈無所属庶民派〉です。経済政策面では、竹中平蔵さん、小泉純一郎さんに代表される30年間の労働者虐待政治ともいえる新自由主義にNO。そして、地方自治では、2025年11月執行予定の広島県知事選挙を前に、湯崎英彦県知事ら、暴走するエライ人から広島を広島県民の手に取りもどす「庶民革命」を提唱しています。

外交・安全保障では軍事よりも人間の安全保障重視です。例えば、イスラエル首相のネタニヤフ被告人のような国家の論理で個人を虐殺することに断固反対し、個人の命を重視するという意味でも庶民派です。

労働運動では現在は、共産党系とされる県労連系自治労連の役員をさせていただいています。これは、筆者が重視してきた非正規公務員やケア労働者の待遇改善にもっとも広島では有効と考えたからです。他方で、反核平和運動では一貫して〈広島県原水禁〉に参加。広島自治労連で〈原水協〉系の活動への参加の呼びかけをいただいた場合でもご遠慮させていただいています。これは、1960年代の広島の反核運動の分裂では日本共産党=原水協系の責任が重いと考えるからです。

筆者はジェンダー面では、女性差別撤廃推進の立場で、女性が多い非正規公務員やケア労働者の抜本的待遇改善には、古くから力を入れてきました。一方で、渋谷区の長谷部健区長(公園の女性トイレを廃止し、多目的トイレばかりにする)のような、急進的なLGBT政策には疑問を持つなど保守的な面もあると自覚しています。

国政では、筆者の結婚祝いの席に来られた唯一の現職国会議員ということもあり、「地方の庶民」に最も優しい経済政策を打ち出している山本太郎とれいわ新選組を推しています。また、そうしたご縁から広島県議選2003で筆者が安佐南区から立候補した際は、れいわ新選組から推薦をいただきました。

地方政治では上記のスタンス、とくに湯崎知事や松井市長の行政に厳しく切り込む、という方向性が合致する政治家と国政の与野党問わず連携するスタンスです。その一環で、日本共産党の政治家についても是々非々で支援させていただいた歴史があります。正直、県議選、市議選では、知事や市長に対して立憲民主党も含めて与党という状況があり、消極的にせよ、共産党候補を支援せざるを得ない事情がありました。

だが、最近の日本共産党はおかしい。その思いが積み重なってきたところに、決定的な事件が11月末、発生しました。まずは、その事件からご紹介します。

◆しんぶん赤旗が穀田さんの事実誤認のれいわ批判をタレ流し

11月30日、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は穀田・国会対策委員長のコメントを載せています。

政府案の問題を是認 れいわ修正案 穀田氏が指摘

日本共産党の穀田恵二国対委員長は11月29日、国会内で記者会見し、同日の参院予算委員会で2023年度補正予算案に対するれいわ新選組の修正案に反対したことについて「政府の補正予算案をそのまま是認しているところが最大の反対の理由だ」と述べました。


◎[参考動画]政府案の問題を是認 2023.11.29 日本共産党

しかし、この記者会見でのコメント自体が事実誤認です。

 

山本太郎のXでは以下のように反論しています

れいわ新選組(山本太郎・予算委員)が、11月29日に参議院予算委員会において提出した補正予算「修正案」について、日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日の記者会見で、れいわ修正案に「反対」したことにふれ、「政府の補正予算案をそのまま是認しているところが最大の反対の理由だ」と説明しました。また、11月30日に「しんぶん赤旗」がこの説明を報道しました。

これはれいわ新選組の「修正案」を180度逆に説明したものであり、残念に思います。

ポイントとなる経緯を以下にまとめました。

① れいわ新選組の今国会や過去の国会での主張から、政府の悪質な予算案を「そのまま是認」などしていないのは明らか。

② 形式的な意味でも、れいわ新選組の「修正案」は、まさに政府補正予算案を全否定するために提出したもの。一般会計予算は全てを上書き書き替え、特別会計予算は「補正を行わないものとする」と明記。これはつまり政府案の補正予算をゼロとすることを意味する。

③ 提出前日の28日、山本太郎が、日本共産党の予算委員のところに修正案を持参し、その趣旨を説明。

「そういうことが参議院でできるんですね」と、コメントをいただくやり取りをした。

百歩譲って、これらの経緯を「たまたま聞き逃した」としても、公党である日本共産党、及び報道機関である赤旗が、私たちに確認も行わず「政府案をそのまま是認した」と説明・報道するのは悪意以外のなにものでもない。

以上のように反論しています。筆者もびっくりしました。

【声明】2023(令和5)年度補正予算案に反対し、参議院で修正案を提出した(れいわ新選組 2023年11月29日)

上記の声明の通り、れいわ新選組は、政府案の問題点を是認するどころか数多く指摘しています。それを「政府案をそのまま是認した」とは何事か?!ここまでくると、悪意があると言わざるを得ません。

筆者はここ3、4年、日本共産党さんへの疑問が高まる一方でしたが、今回の「事実誤認垂れ流し」報道は酷すぎます。日本共産党員・支持者の皆様が、労働運動、平和運動、市民運動に熱心に取り組まれているのには頭が下がります。しかし、今回のことに現れた組織体質が党員・支持者の努力をスポイルしてしまっているのではないか? そして、そもそも、日本共産党への疑問は、筆者の中でもとくにこの3、4年、積み重なる一方でした。その積み重なった疑問という筆者の中の燃料に今回の事件は火をつけてしまったのです。以下はその疑問のほんの一部です。

◆日本共産党への疑問〈1〉「ゼレンスキー礼賛」への反省は?!

日本共産党に対する筆者の疑問の第一は、同党がロシアのウクライナ侵攻後にゼレンスキー大統領を礼賛したことを反省していないことです。日本共産党系の団体では広島でもウクライナ国旗カラーのTシャツを販売していました。日本共産党系と俗に言われる県労連傘下の労働組合の幹部をさせていただいている筆者にも購入依頼はいただきましたが、ご遠慮させていただきました。日本共産党員の中には、れいわ新選組がゼレンスキー大統領を礼賛しないからという理由で、れいわ新選組をボロカスに批判される方もおられました。

ドンバス戦争が背景にあったとはいえ、プーチンによるウクライナ侵攻は国際法違反であり非難されるのは当然です。だが、ゼレンスキーはいまや、ガザで大虐殺を行っているイスラエルを全面支持。「10・7」直後にはイスラエルを激励訪問しようとして、ロシアに忖度するネタニヤフに拒否されるという醜態まで晒しています。ゼレンスキーは自分自身で「侵略者への抵抗者」としての正統性を失墜させてしまいました。

「こんな人」が大統領の国旗をイメージしたTシャツを販売していて恥ずかしくないのですか?!

◆日本共産党への疑問〈2〉「サミット翼賛」体制に加担した二人の県議

そして、2023年の広島県議選において、日本共産党の県議候補(二人とも当選)のお二人は、広島サミット誘致を「評価する」、あるいはサミット開催に「期待する」という趣旨のご回答をマスコミや市民団体のアンケートにしておられました。大丈夫なのでしょうか?

筆者自身は、もちろんサミット誘致を「評価しない」、サミット開催に「期待しない」というスタンスです。

ちなみに、安佐南区の共産党市議候補は、きちんと「評価しない」「期待しない」と回答されていました。「広島ビジョン」を岸田総理が出してから「怒りを覚えます」などとSNSに書き込まれていた共産党県議。

筆者は彼女の市議時代の20年間、応援させていただいただけに、がっくり来ました。G7なんて、そもそもが、旧白人帝国主義国家首脳の集まりであり、超大金持ちの代弁者の集まりでもあるのですよ?!そんなものに、何を期待していたのですか?!それとともに、今回の県議選で、筆者自身が立候補して彼女と争うことになったのは正しいと確信しました。もう、二度と、定数が複数ある県議選ではあなた方には投票しない(衆院の小選挙区や首長選挙で共闘が合意された場合は別として)でしょう。

◆日本共産党への疑問〈3〉大人数で威圧し「降伏勧告」

2023年2月23日、筆者は、原爆ドーム前で開催されたある集会に参加

「れいわ新選組」はシニア世代の比率が高い立憲民主党や日本共産党に比べても現役世代の若者が支持者には多く、多忙でこうしたデモには参加できない方が多かったことや、筆者の支持者の方も、地元での支持固めに奔走されていたので、筆者は一人でこの集会に参加していたのです。そして、筆者は力士のような体格の共産党員とみられる数人の女性に取り囲まれました。

彼女たちは、筆者に対して「県議選安佐南区での立候補を取りやめて、東区から出ろ」というのです。そんなことは、他人に指図される話ではありません。こういうのを、古めかしい言葉で言えば、スターリン主義というのではないでしょうか?こんなことだから、絶対に一定以上は伸びないし、若手には反感を買うばかりなのではないか?筆者も、この方々には、無礼な方々だという印象しか受けません。もちろん、筆者は即座に断りました。

いくら相手が女性とはいえ、複数人に包囲されれば怖い。筆者は、隙を見て、後ずさりした後、横へ全速力で逃げ出し、広島県庁職員だった時代の「自治労」(今では立憲が主導している組合ですので反主流派になりますが)の先輩がいる「社民党」の隊列に紛れ込んで難を逃れました。

その後、日本共産党の一部支持者の方が、筆者の悪口を触れ回っているという情報が入ってきました。

穀田さんの事実誤認を確認もせずに垂れ流した「しんぶん赤旗」。自分たちの言うことを聞かないやつは、こそこそ足を引っ張るというそのスタンスは、このとき、筆者に対しても向けられていたのです。

選挙後も、今度は、別の男性の年配日本共産党員がにやにやしながら「お主、票が思ったほど伸びなかったのう。うちから市議に出ればいいのに」と「降伏勧告」をしてこられました。

広島では、筆者は日本共産党さんに先行して非正規公務員やケア労働者の問題に取り組んできたという自負はあります。筆者はどうやら、共産党さんにとっては、目の上のたん瘤なのでしょう。それにしても、無礼な方々です。

また、これとは別に、他都道府県の日本共産党支持者であることを公言していた人物による筆者へのネット上での誹謗中傷について、東京地裁は情報開示請求を認めています。このような状況で、日本共産党に「降伏」などできるわけがありません。

◆日本共産党への疑問〈4〉筆者が投票した人物を次々除名・除籍

筆者は2001年参院選全国区で松竹伸幸さんに投票。その松竹さんが、党首公選の導入を訴える本を出版。その後除名されるという事件が発生しました。松竹さんは、除名処分の再審査を2024年の党大会に求めているそうですが、またまた、党幹部がしんぶん赤旗で松竹さん批判の「論文」を出しました。あきれるばかりです。
https://ameblo.jp/matutake-nobuyuki/entry-12830793484.html

また、中島束さんという人にも、筆者は衆院選1996の東京2区で投票した記憶があります。その中島束さんが、除籍されていたとうかがい、びっくりしました。
https://tsukanenakajima.hatenablog.com/entry/2021/02/10/101841

こういう情報に筆者はがっくり来ています。まあ、筆者が「いいな」と思って投票した人を除籍するような政党が日本共産党だったということなのでしょう。

◆日本共産党への疑問〈5〉筆者の保守との連携を批判する一方で過剰な立憲忖度

日本共産党の一部支持者・党員の中には筆者が保守系議員とも懇意にさせていただいていることをあげつらう方がおられます。しかし、広島は超保守王国です。その上で、立憲民主党が、自民党以上に、湯崎知事や松井市長に傾倒しているのです。こうした状況下で一定程度、保守系の方ともパイプがなければどうやって県民のための政策を実現するというのでしょうか?独善的に共産党だけで議案を出しても玉砕するだけです。

例えば、広島県北部のある自治体議会では政府の防衛増税に反対する意見書が採択されています。この例では、社民党議員が間に入って、保守の議員にも賛同を取り付けています。

一方で、日本共産党の方々は過剰に立憲民主党に忖度しているようにも見受けられます。

筆者が、2021年の参院選広島再選挙に立候補した際、共産党は立憲民主党系の宮口候補を支援しました。さて、その参院選再選挙2021の際、一部地方議員も含む一部共産党員の方が筆者に対して立憲民主党員の方以上に、筆者に対して高圧的な態度を取られたのも忘れません。

筆者は、「伊方原発廃炉を含む原発ゼロ」を呑むなら筆者が下りると持ち掛けたのに対して、「宮口候補は具体的な政策が分かる人ではない」と宮口陣営の立憲民主党地方議員が回答されたため、立候補を最終的に決定しました。ともかく、立憲民主党は「宮口候補が政治家として無能だ」と認識していたわけです。それなのに彼女を擁立するとは、彼女に対してもずいぶん失礼な話です。立憲広島は、湯崎知事や松井市長べったりでもあります。立憲広島は一部には知事や市長に批判的な議員もおられる自民党以上に反県民的な「労働貴族」※党のそしりはまぬかれますまい。日本共産党はあまりにも〈こんな〉立憲広島に忖度しすぎではないですか?

 

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版。政府与党への鋭い追及など素晴らしいものがあるが、今回の「事実誤認のれいわ批判タレ流し」はいただけない

そして、〈そんな〉日本共産党の方々に、筆者が保守系の方と懇意にしていることを批判されるのは心外です。

※鹿砦社刊『労働貴族』(深笛義也)に「労働貴族」は詳しく取り上げられており、彼らと暗闘してきた筆者も登場しています。 

◆共同できるところは共同するがあなた方の指図は受けぬ

筆者の所属する労働組合の幹部には日本共産党員・支持者の方も多い。別に労働者のために頑張ることについては、異存はないので、それはそれで今後も一緒に頑張っていきます。また、様々な市民運動でもご一緒できるところはご一緒します。他方で、ウクライナ国旗Tシャツの購入など、ゼレンスキーによるイスラエル支持表明後の今はなおさらご協力できません。

また、筆者の「広島県知事・湯崎英彦さんを打倒し、湯崎さんから広島を県民の手に取りもどす」という「庶民革命」に賛同してくださる方については日本共産党の党員・支持者の方についても個人としては大歓迎です。

ただ、上から目線で筆者や筆者の支持者に対して、無理な行動を強要するなどのことはご遠慮いただきたい。それだけのことです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

パレスチナ・ガザで続くイスラエルの暴虐。11月下旬に一時停戦するも、12月1日にはイスラエル軍の攻撃が再開し、死傷者を増やし続けています。前号(12月号)では「中東戦争」と1993年のオスロ合意、およびイスラエルによる合意無視の経緯を振り返った上で、これが宗教紛争ではないことを指摘しました。そして1月号では、なぜか報じられない、ガザに眠る「利権」の存在を明かしました。これを狙うのはイスラエルだけでなく、大国や多国籍企業も、裏側で争奪戦に関与しています。

こうして“真相”に具体的に迫っていくことこそ、反戦を求めるにあたり重要だと考えています。一刻も早い停戦が求められるロシア・ウクライナ戦争においても、2022年10月にトルコで両国間の停戦に向けた非公開協議が行なわれていたものの、米国の横槍が入り進展を阻止されたこと、また同年9月のロシアの海底パイプライン「ノルドストリーム」爆破事件にウクライナ軍幹部が関与していた可能性など、裏側の事実が次々と明らかになっています。23年2月には、マイダン革命の仕掛人のひとり、ビクトリア・ヌーランド国務次官が「戦争目的はクリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジ」と発言。ロ・ウの戦争が米国主導であることを堂々と述べました。ほかにもさまざまな“真実”を、本誌今月号で詳述しています。

12月号で札幌五輪について解説した本間龍氏は、札幌五輪招致断念の背景に東京五輪の失敗を指摘。一方で本間氏は、ジャーナリスト・今井一氏とのユーチューブ「一月万冊」で、大阪・関西万博の開催費用爆上がりの背景に、東京五輪の成功体験があると喝破しています。正しい判断をした札幌五輪と、誤った道を驀進する万博。東京五輪は市民にとって失敗、政治家にとって成功だったということでしょう。万博とカジノが、維新の化けの皮と次々とはがしています。11月27日には、政府が350億円の「大屋根」を含めた2350億円の会場整備費とは別に「日本館」など837億円を国費負担することが明らかに。3度めの上振れで総額3187億円は、まるで金を使わないと損だと言わんばかりです。際限なく予算が増額されるのは、やはり東京五輪の成功体験からです。

11月18日にその死が発表された、池田大作・創価学会名誉会長。実際に死去したのは3日前の15日。創価学会第2代会長・戸田城聖氏のときには12万人の学会員を集めた通夜・告別式後に火葬したのに対し、今回は「家族葬」で、死から3日後の火葬。池田氏の死はかねてから“Xデー”といわれ、死亡説も流れてきただけに、大きな違和感を持たれています。その背景と、池田氏の“罪過”にも、今月号でレポートしています。

2022年の旧統一教会、2023年のジャニーズ・宝塚と、これまで見過ごされてきた重大な問題に焦点が当たることは良いことでも、報道がそれ一色になることへの危惧も、同時に感じています。その裏で、やはり議論がされない重要問題も多数あります。今月号のWHO(世界保健機構)が狙う「パンデミック条約」や日本版DBSの危険性がまさにそれで、本誌として今後も問題提起を続けていきたいと思います。今月号も、ご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

12月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

『紙の爆弾』2024年1月号
ガザはなぜ狙われるのか イスラエル暴虐の隠された“真相”
【条文解説】国家の主権を奪うWHOの医療独裁「パンデミック条約」「IHR改定」の危険な中身
なぜ「ただちに火葬」されたのか 創価学会・池田大作という「虚像」を暴く
「大阪・関西万博」予算倍増でも強行 万博・カジノで維新は自滅する
本誌に届いた“告発” ジャニーズとフジテレビの「主従関係」
5派閥に政治資金規正法違反の疑いも “ドミノ崩壊”する岸田政権と自民党
新藤義孝大臣の“買収”疑惑で注目 政界に横行する公金「コンパニオン宴会」
米欧の国際プロパガンダを超克する「クリミア友人会議」
これが「敵基地攻撃能力」の現実だ 米国が迫る「核共有」と自衛隊“核”武装化
ウクライナ戦争を仕掛けたネオコン勢力の正体
“子どもへの性犯罪者”の情報公開「日本版DBS」が暗示する未来
政権と最高裁が圧殺した「もの言う裁判官」岡口基一判事を罷免訴追した「弾劾裁判」の異常
イスラエルという「ナチオニズム国家」
静岡県沼津市「駐車場」「タケノコ」問題の真実を明かす
シリーズ 日本の冤罪45 波崎事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

12月に入り、何かとバタバタしていらっしゃるかと思います。そんな中、しかもクリスマスイブの12月24日、以下のような「集い」を開催致します。なるべく早い時間に終わるような予定になっています。短い時間でも構いません。ご参集頂けると有り難いです。

集いは、死刑反対を訴え、自身のお店「MapCafe」で和歌山カレー事件の冤罪犠牲者である死刑囚林眞須美さんの長男さんのお話会をやっているSwing MASAさんとの共同企画のような形になります。

オープニングでMASAさんらに「Don’t Kill Action」と題した演奏を行っていただきます。その後、拙著『日本の冤罪』に身に余る推薦文を寄せて頂いた井戸謙一弁護士から特別講演を行って頂きます。井戸弁護士は現在、拙著に掲載している鈴鹿殺人事件(三重県)の再審と「湖東記念病院事件」(滋賀県)の国賠訴訟の弁護団長を務められております。

その後、恥ずかしながら、私がインタビューを受ける形でお話しさせていただきます。聞き手は、『日本の冤罪』を月刊『紙の爆弾』でシリーズ化された当時から、一緒に執筆陣に加わり、記事の細かな書き方などを教えて頂き、さらに本書の編集時にも大変お世話になった著述業の鹿野健一さんです。本書で、何を伝えたかったか、本書が出来るまでの裏話などをお話したいと考えております。この間、Amazonのレビューも少しづつ増えて大変ありがたく思っていますが、私としては会場の来られた皆様からぜひ、本書を読んだ感想を聞かせて頂きたいと考えております。

最後に冤罪犠牲者、ご家族、関係者の皆様のお話をお聞きします。ここ一番大事です。

滋賀県の日野町事件の冤罪犠牲者阪原弘さん死亡後に、再審請求人となっている長男阪原弘次さんが来て下さる予定です。「日野町事件」はそれまであまり知られてなく、私は、8月逝去された桜井昌司さんにお聞きして、初めて知った事件でした。本書に掲載しておりますが、弁護団長伊賀弁護士にお話を伺った際、開口一番「この事件は、いつ、どこで殺されたかわからない事件です」と話されたことを覚えています。酒店の女性店主がある日から行方不明になったのですが、確かにいつ、どこで、どう殺されたのかわからないまま、酒店の常連客だった阪原さんが逮捕されました。再審請求審で明らかになった、滋賀県警の悪質極まりない行為の数々……再審請求中、獄中で病気になったまま亡くなってしまった阪原さんの代わり、ご家族が懸命に再審を準備し、ようやく一審に続き、二審でも再審開始決定が決まりましたが、高検が不当な上訴を続けています。3人の貴重な報告、アピールをぜひ多くの皆さんに聞いて頂きたいです。

和歌山カレー事件の冤罪犠牲者林眞須美さんの長男さんも来てくれる予定です。和歌山カレー事件については、本書には入っておりませんが、『紙の爆弾』では夫・健治さん、長男さんにお話をお聞きして記事にさせていただきました。下の写真にありますように、都島の大阪拘置所で、月1回中の眞須美さんへの激励行動を続けている仲間がおりますが、MASAさんもこの行動に3年前から参加しております。なお、24日当日も、午前中に激励行動があり、活動を中心で行っている松尾和子さんがそのあと会場にかけつけ、司会進行を務めて下さります。

第二日曜日の11時から11時半まで、都島の大阪拘置所正門前で、和歌山カレー事件の冤罪犠牲者・林眞須美さんへの激励行動を行っている仲間に、3年前から参加しているSwing MASAさん

姫路の花田郵便局強盗事件の冤罪犠牲者ジュリアスさんも来てくれる予定です。ナイジェリア人のジュリアスさんは有罪判決を受け服役してますが、再審で無罪を勝ち取らなくては国外退去となります。長年日本に住み、日本人のパートナーとの間には子どもたちもいるのに、家族がバラバラにされてしまいます。今現在、就労も許されない中、更に地元から移動する際にはいちいち入管の許可をとらなくてはならない中、自身の冤罪事件を知って貰おうと来てくれます。冤罪犠牲者の死刑囚林眞須美さんの長男さんのアピールとともに貴重なアピールとなります。ぜひ、多くの皆さんに聞いて頂きたいです。

ご参集を宜しくお願い致します。

12月24日大阪「冤罪と司法を考える集い」

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

11月29日は国連が定めたパレスチナ人民連帯デーです。 

 

1947年11月29日、国際連盟によるイギリスの委任統治領だったパレスチナをユダヤ人国家とアラブ人国家に分割し、エルサレムは特別な都市とする決議が採択されました。ところが、アラブ人国家パレスチナはつくられず、ユダヤ人を中心とするイスラエルのみが1948年に成立しました。そして、イスラエルは数度の中東戦争でアラブ人地域とされた地域への侵略を繰り返して今日に至っています。

1993年には米国クリントン政権の仲介により、PLOアラファト議長とイスラエルのラビン首相がオスロ合意を締結し、二国家併存を定めました。しかし、イスラエルの政治はラビン首相が95年に極右青年に暗殺されたことを契機に、混迷・右傾化を加速。それでも労働党のバラク首相が和平へ努力していたのですが、2000年に右派リクードのシャロン元首相がエルサレムの聖地訪問を強行。日本に喩えれば、伊勢神宮や法隆寺に外国の首相が「ここは俺のものだ」と乱入してきたような話です。

当然、アラブ側の反発も強まり、交渉は暗礁に乗り上げました。そして、バラクが2001首相選でシャロンに敗れました。勝ったシャロンも一時はイラクやアフガンでの「対テロ戦争」に専念したい米欧の圧力もあって中道政党・カディーマを結党するなど一時柔軟化も、2006年1月に病に倒れて日本の田中角栄がそうだったように影響力を喪失。パレスチナ側では総選挙でハマスが圧勝(ファタハ側のクーデターで政権交代ができなかったが、ご承知の通り、ガザでは現在まで政府を形成している。)。

イスラエル側では右派権威主義的なネタニヤフ被告人が長期政権を築きました。ネタニヤフはオスロ合意に違反してパレスチナが治めるべき土地にユダヤ人入植という侵略を実施。ガザへも何度も武力攻撃を行い、多くのパレスチナ人を虐殺したり罪名もなしに不当逮捕・投獄したりしました。

そうしたなかでハマスが2023年10月7日に行った大規模な「反撃」を契機に、ネタニヤフはガザに侵攻し、14843人とも言われるガザの人々が殺戮されました。当初は総団結してイスラエルを擁護していた米国など日本以外の西側も、ついにネタニヤフをかばいきれなくなりました。

11月24日には戦闘休止が合意され、ハマスはイスラエル人やタイ人の人質を解放し、イスラエルはパレスチナ人の不当逮捕被害者を解放するという作業が行われている中、11月29日を迎えました。

◆パレスチナの若者からのメッセージ=モノローグを交代で読み上げる

広島では、11月26日に翌日からスタートした核兵器禁止条約締約国会議に合わせて、「NO GENOCIDE IN GAZA NO WAR NO NUKES」のキャンドルナイトが行われました。

こちらは「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」が呼びかけて行われたもので、主には被爆者団体の方が中心となって原爆ドーム前に集まりました。(筆者のXより

そしてこの11月29日は、TEARS FOR PALESTINE が開催されました。原爆ドーム前ではジェノサイドが終わるその日まで、広島市立大学の田浪亜央江准教授など、どなたかが17時半くらいからかならず待機し、スタンディングを行うそうです。この29日は12~19時という長時間でどの時間帯でもいいから参加できるよ、という趣旨でも行われたそうです。

筆者は、自分自身が原告である伊方原発広島裁判の第42回の口頭弁論がこの日のメインの活動であり、法廷が昼休みの時間帯に原爆ドーム前まで自転車を飛ばしてかけつけました。

この日は、広島市立大学の学生(留学生含む)らが、12時過ぎに原爆ドーム前に現れ、横断幕や受付、ハンドマイクの準備を開始されました。

そして、ガザ地区の若者が今回の戦争で体験したことをまとめたメッセージ(モノローグ)を、学生らが代読しました。

「世界でもっとも美しい都市になるのに必要なのは安全だけ」

という悲痛な訴え。モスクが爆撃されたり、街が破壊されたり自分たちの身近な友人が遺体となったり。生々しい、ガザの若者の悲痛なメッセージが原爆ドーム前に響きました。

◆岸田文雄様 イスラエルとの防衛協力を停止し、ジェノサイドを止めさせてください!

筆者は主催者に「何かできることはないか?」と声をかけさせていただきました。「はがきを出してほしい」と主催者がおっしゃるので、それではということでハガキを受け取り、「岸田文雄様」宛に、「イスラエルとの防衛協力を停止し、ジェノサイドを止めさせてください!」というメッセージを書き込み、原爆ドームから見て電車通りをはさんで斜め向かい(真向いは旧広島市民球場)の広島中郵便局の窓口に差し出しました。

窓口の局員の年配男性が「63円です」とちょっと緊張した面持ちでおっしゃっていたのが記憶に残っています。

やはり、広島といえば、岸田総理の選挙区です。総理に地元有権者の一人として物申す。当たり前のことです。

日本とイスラエルは残念ながら、安倍政権下で防衛協力を進めています。そのこと自体は憲法違反の疑いが濃厚であり、嘆かわしいのですが、この局面では「ジェノサイドを止めないと防衛協力を止める」ということは外交カードにはなります。日本はかつてときの福田赳夫総理が「人の命は地球より重い」と言った国です。今は、とりあえず、何でもいいからカードを使って虐殺を止めさせる。G7広島サミットでは「ヒロシマ」の名前を西側の核正当化に利用されてしまった岸田総理ですが、ここはひとつ、汚名を返上していただきたいものです。

◆犠牲者一人一人の年齢と名前を読み上げ、赤い涙を模造紙に描く

 

犠牲者の名前を呼びあげるのに合わせて赤い涙を模造紙に描いていく若者ら。門田佳子市議のXより

筆者が原爆ドーム前を去った後、地元・中区の無党派の門田佳子市議らが入れ替わりに来られました。門田市議は2003年のイラク戦争反対運動に筆者とともに無党派の若者として参加。2023年の広島市議選では市長に批判的な保守系会派の所属で5期つとめられた無所属女性市議の後継として見事当選されました。IT化社会における高齢者の生活支援などの課題に取り組まれているほか、松井現広島市長の市政を厳しくチェックする質問もされています。

犠牲者おひとりおひとりのお名前を読み上げ、そのたびに赤い涙を模造紙に描くという作業が行われました。(写真=門田佳子市議のXより) 
 

お名前が判明している方のみですが、とにかく、殺されたひとりひとりに名前があるのだ、ということを改めて確認していきたいものです。

ハマスのせん滅には市民の犠牲はやむを得ない!と暴走するネタニヤフ被告人の論理に対抗するにはひとりひとりの命の重みを大事にしていくしかありません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年12月号

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本稿は『季節』2023年夏秋号(2023年9月11日発売号)掲載の「老朽化原発の安全確保の理屈が成り立たない理由」を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

◆設計の古さを問題としているが具体性はない

老朽原発を廃炉に導くはずだった新規制基準の運転年数制限が事実上撤廃されてしまい、これにともない古い原発の70年を超える運転がこれから可能になろうとしている。

設計が古いと建設時の知見も乏しく、地震や津波想定は甘く、さらに材料も悪い。良いことなど一つもない。複雑な構造物である原発では、いくら部品を交換し、耐震補強や防潮堤で繕ってみても土台の悪さを解決することはできない。例えば基礎杭を打ち直すことなどできないし、塩害で損傷している建屋を建て直すわけにもいかない。

規制委の長期管理施設計画では、交換可能な設備、装置を交換するためにサプライチェーンの維持を確保するとしている。それ以外に設計の古さを具体的に対策する方法は書かれていない。規制委は、現在でも「バックフィット」(遡って規制基準を適用すること)により安全性を維持する取り組みをしていることで、新知見に照らして安全上重要な対策を施していない原発は40年超運転を許可していないことから、設計の古さに起因する問題については現在でも規制しているとし、新たな規制基準を設ける必要はないと考えている。

結局、本当は重要だった運転期間の制限が撤廃された結果、老朽化した原発を一定の期限で確実に廃炉にする仕組みがなくなってしまった。

改訂法では、長期管理施設計画が認可されなければ次の10年は動かせなくなる。規制は厳しくなっていると規制委はいう。しかし運転は止まるかもしれないが廃炉にはならず、審査は延々と続けられてしまう。現在の敦賀2のように、見通しがなくても、書類を偽装しても、審査を受けたいと書類を出し続ければ廃炉にできないのだ。こんなところに巨額の電気料金(敦賀2の場合は原電の原発なので、関西、中部、北陸、中国電力の消費者がそれぞれの電気料金から負担している)が湯水のごとく使われているのである。

◆規制する側とされる側で検討する規制案とは何か

新・新規制基準の具体的な審査方法(規則等)を検討する「高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チーム」という会議体のメンバーに「ATENA」(原子力エネルギー協議会)が入っている。この団体は、電力会社とメーカーの協議体で、いわば原子力ムラそのものである。

規制側と机を並べて検討しているのは原発の安全審査の根幹に関わる「規則」だ。つまり法規制される側とする側が、どんな規制が良いですかと話し合っている。これで厳格な審査体制が作れると本気で思っている人がいるのならば愚かすぎよう。

ATENAは、BWRやABWRは冷却水投入(ECCSの作動など)でも加圧熱衝撃は発生しないので「評価不要」であると主張している。この主張に基づき、すでに試験片を使い果たして本来は圧力容器の健全性を評価できなくなった東海第二の運転継続ができるようになってしまうのである。

震災後に設置された国会事故調の報告書で黒川清委員長が指摘した「規制の虜」。これを打破しない限り、原発再開はあり得ないと指摘した黒川氏。ところが今起きているのは、規制される側が規制する側を取り込み、都合の悪い基準を作らせない目論見だ。

「規制の虜」とは、規制当局が国民の利益を守るために行う規制が、逆に企業など規制される側のものに転換されてしまう現象をいう(黒川清「原発事故から学ばない日本……『規制の虜』を許す社会構造とマインドセット」2021年3月8日付け読売新聞)。

GX法で定められた「新・新規制基準」は、法律が制定されても、それだけでは何もできない。規制の方法や基準を決めなければ実務ができない。新規制基準から、どう繋げていくのかが課題だが、その一つが現在議論されている「長期管理施設計画」だ。これを検討する会議で規制する側が規制される側と詰めの議論をしている。この場に第三者の専門家や、高い知見を持ち批判的な立場の科学者がいるというのならばまだしも(過去の耐震基準を決める会議ではあったし利活用を巡る原子力小委員会にもそういうメンバーは存在した)、この会議体は規制庁と、電力会社やメーカーなどのATENAしかいないのだ。

しかも、知見はほとんどATENA側にあり、規制庁が独自に検証し、実験するなど不可能。せいぜい文献調査くらいしか能力のない規制側が、大勢の技術者と実機を持ち、圧倒的な資金力を有するメーカー側に太刀打ちできるわけがない。対等な議論さえ望めないのである。

このような悲劇的な規制側の現実を国民の多くは知るよしもなく、一方的に決められた規則で事実上無期限に老朽原発が動き出す。それを止める力があるのは、市民だけである。(完)

◎老朽化原発の安全確保の理屈が成り立たない理由[全4回]
〈1〉脆性遷移温度が危険域に達した関電高浜1号
〈2〉運転実績や想定を超えている原発の「60年超運転」
〈3〉試験片が枯渇し、中性子照射脆化を評価できなくなった原発は直ちに廃炉にすべきである
〈4〉一方的に決められた規則で無期限に動き出す老朽原発を止める力があるのは、市民だけである

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。1959年富山県生まれ。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。反原発運動のひろば「たんぽぽ舎」設立時からのメンバー。湾岸戦争時、米英軍が使った劣化ウラン弾による健康被害や劣化ウラン廃絶の運動に参加。福島第一原発事故に対し、全原発の停止と廃炉、原子力からの撤退を求める活動に参加。著書に『隠して核武装する日本』(影書房 2007年/増補新版 2013年)、『福島原発多重人災 東電の責任を問う』(日本評論社 2012年)、『原発を再稼働させてはいけない4つの理由』(合同出版 2012年)、『核時代の神話と虚像 ―― 原子力の平和利用と軍事利用をめぐる戦後史』(共著/木村朗、高橋博子編/明石書店 2015年)等多数。

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龍一郎揮毫

ビクトリージムの主役、永澤サムエル聖光は薄氷の引分け。
瀧澤博人は元・世界覇者の牙城崩せず。
睦雅はベテラン健太をヒジ打ちで破る殊勲。

◎KICK Insist 17 / 11月26日(日) 後楽園ホール17:15~21:00
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA) 

◆第13試合 52.5㎏契約 5回戦

名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/2001.1.8生/ 52.5kg)58戦52勝(34KO)5敗1分
        VS
ルンサックノーイ・シットニワット(タイ/ 51.7kg)大凡120戦超

名高は現・ラジャダムナンスタジアム・フライ級チャンピオン
ルンサックノーイは元・ムエサヤーム・スーパーフライ級チャンピオン

勝者:名高エイワスポーツジム / TKO 2R 0:25
主審:椎名利一

名高がどんな高度な技を見せるか注目の初回、蹴りの駆引きでのスピーディーな攻防は、名高がやや攻勢を維持。第2ラウンドには互いの左の蹴りが交錯。名高のハイキックがルンサックノーイのアゴにヒットすると、両者がダブルノックダウンのように倒れ込むが、名高はバランスを崩したスリップ。ルンサックノーイは失神状態で後方へ倒れ、マットに後頭部を打ち付け、ノーカウントのレフェリーストップとなった。ほぼ1分程、意識回復まで身体を起こせないダメージだった。

左の蹴り合い、しっかり狙っていた吉成名高のハイキックがヒットする

スリップした名高はすぐ立ち上がり勝利確信。ルンサックノーイは大の字

◆第12試合 61.4㎏契約 3回戦

永澤サムエル聖光(ビクトリー/ 61.4kg) 42戦28勝(12KO)10敗4分
       VS
ボム・ピンサヤーム(タイ/ 61.3kg)34戦27勝(10KO)4敗3分

永澤サムエル聖光は現・WBCムエタイ日本ライト級チャンピオン
ボム・ピンサヤームは元・ルンピニー系スーパーバンタム級チャンピオン

引分け 0-1
主審:少白竜
副審:椎名28-29. 仲29-29. 中山29-29

ローキック中心にパンチを繰り出す永澤サムエル聖光が主導権を奪いつつある中、ベテランのボムは永澤のローキックで効いた様子を見せながらも、BOMスポーツジムでトレーナーを務めるボムは簡単に勝負を捨てるボクサーではなかった。

永澤サムエル聖光の左ストレートがボムの胸元にヒット、いつもの勢いはあった

しぶとくパンチでジワジワ反撃に出て来るボム。第3ラウンドにはボムの右ストレートで永澤は腰砕け的尻餅ダウンしてしまう。プッシュ気味のパンチでダメージは無く、すぐ立ち上がったことでノックダウン裁定とはならず続行。残り時間は少ない中、パンチの交錯で終了。スリップ裁定のダウンはノックダウンとされても仕方無い流れで、レフェリーに救われた感もあった。

ボムの右ストレートで尻餅ついた永澤サムエル聖光、際どいダウン

◆第11試合 57.5㎏契約 3回戦

瀧澤博人(ビクトリー/ 57.4kg) 38戦25勝(13KO)9敗4分
VS
ペットタイランド・モー・ラチャパットスリン(タイ/ 56.9kg)大凡100戦超

瀧澤博人はWMOインターナショナル・フェザー級チャンピオン
ペットタイランドは元・WBC・IBFムエタイ世界スーパーフライ級チャンピオン

勝者:ペットタイランド / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:椎名29-30. 仲29-29. 少白竜29-30

初回、瀧澤博人はローキック中心にミドルキックとパンチの牽制で様子見。第2ラウンドには蹴りの攻防からペットタイランドの蹴りの勢いが増し、ハイキックが瀧澤を襲う。瀧澤はローキック中心に巻き返していくも、ペットタイランドの圧力に突破口が見い出せない。試合終了時の会場内は、瀧澤の勝利は難しい空気が漂っていた。結果、ペットタイランドの勢いを止められず、ポイント的には僅差判定負け。

負けられない瀧澤博人の右ストレートとペットタイランドの右ミドルキック交錯

◆第10試合 64.0㎏契約 3回戦

JKAライト級チャンピオン.睦雅(ビクトリー/ 63.8kg)19戦13勝(7KO)4敗2分
           VS
健太(元・WBCムエタイ日本ウェルター級Champ/E.S.G/1987.6.26群馬県出身/ 63.8kg)
114戦65勝(21KO)42敗7分
勝者:睦雅 / TKO 2R 1:55
主審:中山宏美

パンチとローキック中心の睦雅。健太の出方を落ち着いて見て、睦雅の左ジャブで健太の前進を止め主導権を譲らず、睦雅の成長と強さが感じられた。

第2ラウンドにはパンチからヒジ打ちで健太の眉間辺りをカットし、飛びヒザ蹴りで圧力を掛ける睦雅。流血激しくなった健太にドクターチェックが入り、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。

いきなり飛ぶからフレームから外れてしまったが、睦雅の飛びヒザ蹴りヒット

◆第9試合 52.0㎏契約 3回戦

JKAフライ級1位.細田昇吾(ビクトリー/ 51.9kg)19戦11勝(1KO)6敗2分
        VS
同級2位.西原茉生(治政館/ 52.0kg)12戦7勝(2KO)4敗1分  
勝者:西原茉生 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:勝本29-30. 中山29-30. 仲29-30

新鋭・西原茉生は先手を打つ蹴りで細田昇吾に主導権を与えず、互角以上の展開で成長を見せた。

西原茉生の左ハイキックで細田昇吾に圧力を掛ける

◆第8試合 67.0㎏契約 3回戦

JKAウェルター級1位.正哉(誠真/ 66.65kg)9戦6勝(2KO)3敗
        VS
NKBウェルター級5位.Hiromi(拳心館/ 66.75kg)8戦4勝(4KO)4敗 
勝者:正哉 / TKO 1R 0:31 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

正哉は蹴りから打ち合いに入ったところで左フックがヒット、この速攻の攻防でHiromiはノックダウンし、ダメージ深く、カウント中のレフェリーストップ。

これもいきなりのノックダウン。KOの気配はあったが速かった

◆第7試合 ウェルター級 3回戦

JKAウェルター級2位.政斗(治政館/ 66.68kg)31戦17勝(4KO)11敗3分
        VS
同級4位.我謝真人(E.D.O/ 66.6kg)13戦3勝(1KO)9敗1分 
勝者:政斗 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-27. 少白竜30-27. 仲30-27

序盤、我謝真人のパンチ、ヒザ蹴り、ミドルキックでの攻めがあったが、政斗は慌てず手数とヒット数で攻勢を維持した経験値が優った展開でジャッジ三者ともフルマークでの大差判定勝利。

政斗がベテラン技で我謝真人を圧して行った

◆第6試合 ライト級 3回戦

JKAライト級4位.古河拓実(KICK BOX/ 61.05kg)5戦5勝(2KO)
        VS
同級5位.林瑞紀(治政館/ 61.23kg)13戦6勝(1KO)6敗1分
勝者:古河拓実 / KO 2R 2:57
主審:中山宏美

第2ラウンド古河拓実が右ハイキックで林瑞紀からノックダウンを奪い、更にハイキックからパンチ連打で2度目のダウン、パンチ連打で3ノックダウンとなってノックアウト勝利。

古河拓実の前蹴りが林瑞紀にヒット

◆第5試合 56.5㎏契約 3回戦

JKAフェザー級4位.勇成(Formed/ 56.4kg)5戦4勝(3KO)1敗
       VS
石川智崇(KICK BOX/ 56.25kg)4戦2勝1敗1分
勝者:勇成 / TKO 2R 2:20
主審:椎名利一

初回に勇成が左フックで石川智崇からノックダウンを奪い、第2ラウンドにも左フックでダウンを奪い、右ヒジ打ちで頭部にヒットさせると、ダメージを見たレフェリーがノーカウントでストップをかけた。

◆第4試合 フライ級3回戦

花澤一成(市原/ 50.7 kg)6戦1勝(1KO)3敗2分
     VS
阿部温羽(チームタイガーホーク/50.9→50.85→50.8kg)6戦2勝3敗1分
勝者:阿部温羽 / 判定0-3 (29-30. 29-30. 28-30)

◆第3試合 ライト級 3回戦

岡田彬宏(ラジャサクレック/ 61.05kg)7戦4勝(1KO)3敗
     VS
勇(OU-BU/ 61.1kg)8戦3勝(1KO)5敗
勝者:岡田彬宏 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

◆第2試合 ライト級 3回戦

菊地拓人(市原/ 60.9kg)2戦2敗
     VS
隼也JSK(治政館/ 61.1kg)5戦1勝3敗1分
勝者:隼也JSK / 判定0-2 (28-29. 29-30. 29-29)

◆第1試合 ミドル級 3回戦

白井大也(市原/ 72.3kg)2戦1分1NC
     VS
久保英輝(MIYABI/ 71.8kg)2戦1敗1分
引分け 三者三様 (29-29. 29-30. 30-29)

《取材戦記》

吉成名高が1年ぶり2度目のジャパンキックボクシング協会KICK Insist出場。2018年のミニフライ級に続き、今年7月9日にラジャダムナンスタジアム・フライ級王座奪取し、二階級制覇。8月12日には本場スタジアムでKO初防衛。昨年同様に本来の主役、ビクトリージム勢とは違った会場の雰囲気変わるメインイベンターだった。

エイワスポーツジムの中川夏生会長は名高の今後について「三階級制覇は当然なんですけど、名高が行きたい方向へ行かせてやりたいですね。仮に一部で噂されるプロボクシングに行くとしたら、ムエタイに戻って来れなくなると思います。でも名高はあくまでムエタイを突き詰める方向を目指しています。名高が日本でムエタイをメジャーに出来なかったら、日本でムエタイがメジャーになることは100パーセント無いと思います。その名高がムエタイを日本で広める最後のチャンスだと思います。」

元々キックボクシングはヒジ打ち有りだったことを強調され、その原点に戻ってメジャーを目指さねばならないという信念があるでしょう。今後は階級を上げて行く予定という。

本場でムエタイ王座目指す、永澤サムエル聖光と瀧澤博人は主導権奪えず不完全燃焼。

7月16日のKICK Insist.16で「今年は勝負に向けた準備の年」と語っていた瀧澤博人は来年への足掛かりとなる試合だったが、攻めの攻防は互角も、圧倒に至る為の突破口を見い出せず、僅差判定でも負けは負けで出直しの来年となる。

永澤サムエル聖光も7月興行で「ラジャダムナンチャンピオンを倒さないと満足出来ない!」と語っていたが、今回は辛うじて引分け現状維持。来年初戦は仕切り直しのスタートになる。

スリップ裁定のダウンはノックダウンとされても仕方無い流れで、レフェリーに救われた感もあった。仮に、定期的にレフェリーを務める日本人レフェリーの判断だったら8割以上はノックダウン裁定としただろう。しかしタイ人レフェリーだったら逆に8割ぐらいはスリップ裁定としたかもしれない。「昔のリー・チャンゴン氏だったら確実にノックダウン裁定だな」とは思うが、「当たって倒れればノックダウン」と「クリーンヒットしててもダメージが無いなら瞬時に立ち上がればフラッシュダウン。ノックダウンとはしない」という裁定はレフェリーとして瞬時の判断は難しいでしょうね。プロボクシングの場合、いずれも最高権限者のレフェリーが判断したら、その場はその裁定に従うしかありませんが、ラウンド終了後、ジャッジによって審議に入ることは可能です。

睦雅はベテラン114戦目の健太にヒジ打ちでTKO勝利。3月に王座決定戦で内田雅之を破りチャンピオンとなって勢い付いて健太を破った今回。来年も注目株となりそうです。

2024年最初のジャパンキックボクシング協会興行は、3月24日(日)に後楽園ホールに於いてKICK Insist.18が開催予定となっています。今年度は武田幸三氏が抜けたことで、次の新春興行が無いのはやや痛いところか。

5月には日時未定ながら市原臨海体育館での市原ジム興行。

7月28日(日)に後楽園ホール、9月29日(日)に新宿フェイス、11月17日(日)に後楽園ホールで開催。現在のところ年5回の興行が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年12月号

◆不祥事でボロボロも教育長に居座る劣化ウラン面皮

平川理恵・広島県教育長は、数々の不祥事にもかかわらず、教育長に居座ったまま年を越しそうです。

2022年夏に県教委が平川教育長のご親友のNPO法人パンゲアに発注した事業(合計金額2600万円)を巡る官製談合疑惑が『文春砲』で暴かれました。弁護士による外部調査でも地方自治法違反、官製談合防止法違反が指摘されました。さらに、その弁護士への依頼費用約3000万円は全て県民のお金で賄われています。また、2021年度には100万円、2018年度からの4年では700万円のタクシー代を使っていたことが明らかになりました。

これとは別に、大阪の企業で、平川教育長の別のご親友が社長の『キャリアリンク』との取引は『教育長案件』と職員に認識されていたことが、中国新聞の情報公開で明らかになりました。平川教育長自身は、キャリアリンクに発注したのは『自分の指示ではない』と否定していますが、そんな弁解は誰も信用していないような状況です。

また、平川教育長はさらに別のご親友の児童文学評論家の赤木かん子さんに学校図書館のリニューアルを委託し、旅費など646万円を支払いました。おまけに、図書を入れ替える際に、大量に赤木さんの著書を購入させていました。内部調査では法令違反ではないとされました。しかし、頭ごなしのリニューアルは、図書館の自由に関する宣言に反するものです。

2023年2月21日、平川教育長は一連の『事件』当時課長級だった職員一人を戒告処分としたうえで、自分自身は給料の自主返納という「処分にもならない」幕引きを図ろうとしました。

そして、横浜で民間出身校長だった当時の平川教育長を「一本釣り」してきた湯崎知事も教育長を罷免しようとはしていません。

最近では、赤木かん子さんが図書館のリニューアルから外されるなど、平川教育長の権力低下は著しいものがあるそうです。とはいえ、依然として県教育のトップに居座っておられるのは事実です。

鉄面皮、いや、劣化ウラン面皮とでもいうべき平川教育長に、怒りを通り越して、うっかり尊敬の念さえ抱いてしまいそうになるほどです。劣化ウランは鉄よりも硬いので戦車の装甲や砲弾に使われていますが、平川教育長は、その劣化ウラン並みに打たれ強いと言えます。

◆議会の追及は口先だけ⁈

一方、県議会でも追及は続いています。11月24日の広島県議会決算特別委員会では、日本共産党や保守系で湯崎知事に批判的な会派の議員だけでなく、湯崎知事に近い自民党会派出身の議員からも『中途半端な調査報告のために反省もない対応を、議会として認めることはあってはならないと考えています』との批判が噴出する有様です。

他方で、この決算特別委員会では結局、昨年度の県の決算を賛成多数で認定してしまっています。決算というのは認定されなくても実際には混乱は生じないのですから、平川教育長に対してノーを突き付ける意味で、決算認定をしないという手もあったはずです。しかし、それを県議会の多くの議員が選択しなかったということは、やはり、口先だけと言われても仕方がありません。

他の自治体では教育長に対する辞職勧告決議案も出ています。兵庫県太子町では2022年にセクハラ疑惑を起こした教育長に対して辞職勧告決議を町議会が検討。町議会が始まる1週間前の8月22日にこの教育長は辞任を表明しました。議会がその気になれば教育長を打倒することはたやすいことです。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202208/0015576441.shtml

◆不祥事で懲戒免職の教員も「平川教育長名」で処分の笑止

さて県内では一連の『事件』発覚後も、教員による不祥事が相次いでいます。広島市を除き、公立学校の教員の処分は県教委、すなわち平川教育長の名前で行われることになります。

2022年12月21日、県立高校の教諭二人が18歳未満の女性にわいせつな行為をしたとして懲戒免職になりました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/513384.pdf

当時の広島県教育委員会の松下大海教職員課長は「教育の信頼を損なう事態が発生したことについておわび申し上げます。再発防止に取り組んでいきたい」と話したそうですが、「あなたの上司である教育長が一番教育への信頼を損なっているのでは?」とニュースを報じるテレビ画面に突っ込みを入れてしまったのを覚えています。

2023年3月24日には、コロナ休暇を不正に取得したとして県立学校の主事が停職2か月となりました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/524711.pdf

直近では10月13日、18歳未満の女性への買春などの被疑事実で逮捕され、70万円の罰金が確定した廿日市市市立中学校教諭の宮本竜太被疑者(当時35)が懲戒免職になっています。

「教育公務員としての職の信用を著しく損なう重大な非違行為であり、信用失墜行為の禁止を定めた地方公務員法第 33 条の規定に違反する。」というのが処分理由です。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/552231.pdf

未成年者とのわいせつ行為や買春はとんでもないことです。それはそれとしても、これらの処分を受けた先生方も平川教育長の名前で処分されたくはないでしょう。平川教育長が居座れば居座るほど、教職員のモラルは崩壊していくのは間違いありません。

◆県外のお友達優遇止め、県内にお金を回すべき

平川教育長は県外のご親友ばかりを優遇してきました。そもそも教員の研修など、県教委に指導主事がいるわけです。その人たちを差し置いて県外に発注するのは、県費の無駄遣いではないでしょうか?

それよりも、例えば、『ホーユー事件』で明らかになったような低すぎる給食の単価を引き上げる。そのために入札制度を改革する。非正規の先生だらけの状況を正規への登用で是正していく。

そうしたことが今、必要なことではないでしょうか?

大阪の企業を振興したいなら、それこそ、広島県教育長などさっさとお辞めになって、今春の大阪府知事選挙にでも立候補されれば良かったのです。

◆地方衰退への危機感の勢い余って食い荒らす自称『新しい血』……平川問題の教訓

平川教育長については、マスコミが天まで持ち上げていたことは忘れてはなりません。もともと、広島は保守的な土地柄で、『年配男性中心』の意思決定が根強くありました。そうした中で、全国と比べても様々な面での遅れが目立っていたのは事実で、広島県庁在職中の筆者もそのことは痛感していました。

そうした中で、文科省官僚や教員上がりといった『既存型人材』、あるいは年配男性を中心とした地元の旧来型政治家への不信感、不安感も広がった。そこに、平川教育長は巧妙につけ込んだとも言えます。

そして『旧来型政治家』が多数を占める議会も、結局、平川教育長へのチェック機能は十分に果たしていません。

今後も、衰退する地方ほど、これまでの古臭さへの「焦り」から『女性』とか『若い』というだけで、平川教育長のような人に権力を与えてしまい、却ってドカ貧を招く、という恐れは十分にあります。
 
「年配男性」「天下り官僚」「地元旧来型政治家」といった『旧来型権力者』に対してだけでなく、平川教育長的な「外部の新しい血」を標榜する権力者に対しても、市民・県民が舐められないよう、きちんとチェックしていくべき。このことは大きな教訓です。

筆者と広島瀬戸内新聞では『湯崎知事や平川教育長らから広島を取り戻し、広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命』『総理や知事や教育長になめられない広島県民をつくるヒロシマ庶民革命』を呼び掛けています。

2025年11月の広島県知事選挙へ向け、湯崎英彦現知事の打倒と庶民派知事・庶民派県議の誕生を目指しています。

◆住民訴訟、本格化

こうした中、平川教育長による疑惑幕引きを是としない頼もしい県民がおられます。8月29日、平川教育長に対して、県にパンゲアとの取引で生じた2645万円、弁護士費用3000万円、2021年度分のタクシー代100万円の計5745万円を返すようもとめる住民訴訟が広島地裁に提起されました。

第二回口頭弁論は以下の予定です。

県教委「官製談合」をただす住民訴訟
第2回口頭弁論は12月5日(火)13:30~
弁護団は県教委の「答弁書」に反論、詳述する書面を提出予定

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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