「悪名は無名に勝る」は冤罪被害者も

「仕方ないですよね。私の事件は有名じゃないから……」
殺人事件に巻き込まれ、無実の罪で服役中の冤罪被害者I氏に先日、刑務所で面会した時のこと。彼はそう言って、苦笑した。自ら獄中でまとめた再審請求書を裁判所に提出し、その旨を地元の新聞社に手紙で伝えたが、いっこうにレスポンスがないのだという。このマスコミの冷たさは、自分の事件が有名ではないからだと彼は思っているのである。

マスコミの性質がよくわかっているな、と思った。
「悪名は無名に勝る」という言葉がある。冤罪事件を色々取材していて、この言葉は冤罪被害者にも言える場合があると思うようになった。そのことに気づくきっかけを与えてくれたのは、あの和歌山カレー事件の林眞須美さん(50)である。

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ミステリー小説界のダークホース、作家・若桜木虔氏の挑戦

当ブログは作家志望の人も多く見ているようだ。稀有な作家を紹介する。
若桜木 虔氏は、ミステリー界では異色の存在だ。業界屈指の早筆で知られる。
800冊を超える著作があり、「1日に150枚は書けますし、2週間に1冊のペースで本を出したこともあります」と読売新聞のインタビューで語っている。
「量産型の作家として知られています。もっとも忙しい時期で、戦記物を『霧島那智』名義で書いていたときは、週に1回は書籍をリリースしていました。業界には『若桜木氏は5人いるんじゃないか』という噂がたったほどです」(出版社の中堅社員)

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陰謀か、国会事故調サイトへのサイバー攻撃

膨大な経費を使った、やらせだらけの「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」が、報告書を衆参両議長に提出した。
「これで猿芝居がひと段落。とりあえず元首相の菅を悪者にしておけば、東電は堂々と値上げできる」(政治記者)

さて、この裏では何があったか。
6月4日夜、事故調査委員会のサイトが、一時アクセスできない状態となった。
国会事故調によると、サーバーを管理するGMOインターネット(東京)のネットワークに障害が起きたためという。GMOは障害について海外からのサイバー攻撃の可能性があるとしている。

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殺人裁判とSNS

今、西日本の某地方で開かれている、ある殺人事件の裁判員裁判。起訴状などによれば、被告人のA氏は恋愛関係のもつれなどから、元交際相手のB子さんに恨みを抱き、その6歳の娘C子ちゃんを殺害した――というのが検察官の主張の筋書きである。これに対し、A氏は捜査段階から一貫して無実を訴え、裁判でも有罪・無罪が争われている。

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日本でも 放射能 今すぐ 止めろ by クラフトワーク

「NO NUKES 2012」に参加しに、幕張メッセに行った。
坂本龍一教授が脱原発フェスを開催すると聞いて、素直にミーハーに「キターーー!」と叫んだ。
東電マネーにたぶらかされて「原発は安全」と言わされていたアーチストたちの格を遙かに超える、坂本教授が脱原発に乗り出したのである。
坂本教授はこの前日の官邸前抗議行動にも姿を現し、官邸に向かって脱原発を訴えた。

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軟禁で、AVを3本選べと言われたら

もしも、何らかの理由でホテルかどこかに軟禁されるとして「AVを3本だけもっていける」と言われたら、迷わずドリームチケットがリリースしている[脅迫スイートルーム]シリーズを選ぶだろう。[脅迫スイートルーム]のシリーズには、必ずといっていいほど男と女のやりとりがある。つまり、女はCAだったり教師だったりするのだが「なんらかの事情で男たちに借りがある」のだ。

それが「金」であるのか、「義理」であるのかは釈然としない。ストーリーは起承転結でいうと「転」でスタートし「なんらかの事情で借りを清算しにきた」女が抵抗を試みるも、徐々に悦楽に目覚めてしまい、また何度も清算しに男たちに傅く、というスタイルだ。

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美容外科死亡事件を巡る、警視庁捜査資料流出の「その後」

冤罪事件を色々取材していると、マスコミの犯罪報道はいかにいい加減かがよくわかる。とくに発生当初や被疑者の逮捕当初にマスコミが大騒ぎした事件はそうだ。過熱する報道合戦の中で事実関係のチェックが杜撰になるのか、誤報や飛ばし記事が多くなりがちなのである。

筆者が現在取材中の事件の中から、その実例を1つ紹介したい。
警視庁捜査一課の白鳥陽一警部(当時58)が逮捕されたのは昨年7月22日のことだった。容疑は地方公務員法(守秘義務)違反。警視庁が東京都豊島区の品川美容外科池袋院で起きた患者死亡事故について、担当医師らに業務上過失致死の疑いを抱いて捜査を進める中、白鳥警部は主任捜査官を務めていた。ところが、捜査対象である品川美容外科の渉外室に勤める元同僚の警視庁ОB・中道宜昭氏(当時53)らに捜査資料を渡し、職務上知り得た秘密を漏らしたという疑いをかけられ、逮捕されたのだ。

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『犯罪・事件を起こした芸能人 レコジャケ・厳選100 OTAKARAファイル』【ブックレビュー】

獄中で12年を過ごし、作家になり、2005年に死亡した見沢知廉は、千葉刑務所で服役していた時に、歌手の克美しげると会ったという。
刑務所では囚人のリクリエーションとして歌合戦があるのだが、プライドがあるためか、克美しげるは一度として歌ったことがなかったようだ。

克美しげるは、殺人を犯した歌手だ。妻子ある身で、愛人であるホステスにキャンペーンに着いていきたいとせがまれ、うっとうしくなって殺した、という。思い出すたびに、もう少しどうにかならなかったものか、と思わせる事件だ。

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情けは人のためならず、は本当か

東京の人は冷たいと言われるし、私自身もそう感じる。
子どもが転んだのを見た時に、手を伸ばすのをためらってしまう。
もしかしたらこの子の親は、「転んでも自分で起きなさい」としつけているかもしれず、助け起こすのはよけいな介入になってしまう、と考えてしまうからだ。

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乗っ取り屋Kからの電話

男は、初対面から見るからにギラついていた。漆黒のサングラスに蛇のような目。
仮にKとしよう。Kは90年に建築会社を興したが、うまくいかずに、身近な企業の「乗っ取り」を始める。
ささいなミスを見逃さず「納品が遅れた」「請求書の金額が約束とちがう」と難癖をつけては、取引先の株主を調べ上げ、とことん現ナマで株を買い叩いていく。やりかたはかなり強引で「ハゲタカ」も真っ青だ。

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