8月18日土曜日、杉並区立蚕糸の森公園にて、異彩を放つ脱原発盆踊りが開催された。

当日、セシオン杉並にて原発事故の過失責任を問うため福島県民1324人で東電や政府関係者を告訴した『福島原発告訴団』の団長である武藤類子さんを招いてのシンポジウムが行われた。

杉並区と福島県南相馬市の親交は古く、1974年からお盆の時期には少年野球チームの親善試合が行われるなどしてきた。両自治体は2005年から災害時相互援助協定を結んでいる友好都市でもある。

なんらかの形で福島原発告訴団を支援したいという思いで集まった脱原発杉並などの有志団体が「夏だし、盆踊りだ!」という提案から『踊る有象に見る無象 盆ダンスwith 福島 つまり盆踊り』と題して初の試みとなるユニークな盆踊りを企画し、杉並区も後援する自治体公認のどんちゃん騒ぎとなった。

アースデイ福島の竹内容堂さんのスピーチに始まり、会津伝統のかんしょ踊りやド定番の炭坑節や東京音頭、脱原発盆踊りならではの浜岡原発音頭やもんじゅくん音頭などが披露された。

後半戦は『怒りのドラム feat.小塚ルイコ&ジンタらムータ』のライブで、チンドン屋とドラムと管楽器のサウンドに乗せて「お~い野田!メルトダウンだぜ~!」とメルトダウンブルースが歌われた、最後はDJタイムで締めくくるという若者らしい祭になった。

バナナの叩き売りやヨーヨー釣り、かき氷などの屋台が出店し、デモグッズなども販売された。福島県で放射能汚染のため出荷制限を受けた酪農家が手放した家畜を引き取って世話をしている『希望の牧場ふくしま』ブースでは原発警戒区域内の荒廃した牧場の惨状や、国が推める牛の殺処分の粗雑さについて紹介していた。現在300頭の牛を保護飼育しているが、飼料費や施設維持のためには一人でも多くの人の助けが必要だとスタッフの女性は話す。

脱原発盆踊りには2~300人程が参加し、会場カンパや屋台売上の一部は福島支援のために寄付された。
TwitterなどのSNSでは「盆踊りという仏教行事に脱原発という政治発言を持ち込むのは政教分離の原則に反するし、死者への冒涜だ」というような批判も散見された。
日本の政教分離原則は国家権力が宗教法人を贔屓にすることを禁止しているだけであり、宗教者や信仰者が政治発言をするなとは憲法のどこにも書いていない。でなければ公明党や幸福実現等は成立し得ないだろう。

宗教は幸福追求のためにあるわけで、これからの未来の生き方を掴み取るための活動に対してお釈迦様はいちいち怒ったりしない。古き伝統と現在の問題点を結い合わせて未来を作り出すなんて素晴らしいことだと思う。昭和以来の日本の悪習にのっとって政府や電力会社を野放しにするようなことがあってはご先祖様や尊い犠牲者に申し訳が立たない。

現代人が切り拓いて繋げていくいのちこそが最高の先祖供養になり得よう。

(原田卓馬)