女優だよりのAV時代に、一石を投じる演出勝負

芸能人がAVに転身するのが、まるで珍しくなくなった、昨今。
元芸能人でなくとも、AVギャルの質は上がっている。昔から美少女AV嬢はいたが、まともにセックスしていればまだいいほうで、疑似セックスであることも多かった。
ところが今は、かなりきれいなAV嬢でも、多人数プレイや野外ファックなど、過激な撮影にも応えなければ、やっていけない時代になった。

もはやAVは、女優だよりになってしまった感がある。
そんななかで、演出にこだわっているのが、『脅迫スイートルーム』(ドリーチケット)だ。受付嬢や女医、CA、教師などが、負い目を背負って軟禁されて、体で借りを返すという設定だ。

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水曜どうでしょう祭に見る、地方活性化のヒント

こんな祭が、今まであっただろうか?
ステージで喋るのは、4人のオヤジ。くるくると回るスポットライトが止まって、1人を照らす。ほくそ笑んで、男性は起ち上がってマイクの前に立つ。
「シカでした」
集まった2万人近い観客が、ドーンと笑う。

9月の6日から8日までの3日間、北海道・札幌の真駒内セキスイハイムスタジアムで開催された、「水曜どうでしょう祭」である。
3日間の参加者総数は、5万4千人に上った。

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ブラック企業と判っていても、辞められない理由

最近やたらブラック企業という言葉が多用されている。「定着しつつある言葉」なんて表現されていて、流行語大賞でも狙っているのかと思ってしまう。和民の事件が明るみに出て、元社長の渡邉氏が出馬するあたりからクローズアップされた感があるが、20代から30代の世代にはとっくに認知されていた言葉だ。働く30代は特に、ブラック企業のもっとも餌食にされている世代だからだ。

ブラック企業の明確な基準はないが、長時間にわたる残業、サービス残業、休日出勤が当たり前、給料が少なく昇給も望めない、上司や経営者側が威圧的であったりパワハラが多いなど、まともに働いていたら心身のどちらかが壊れてしまうような会社を指す。労働基準法に照らし合わせたら、違法行為が多々見つかるような職場だ。

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風刺画と原発・オリンピック、戯画化する民主党

15日に関西電力の大飯原発4号機が定期検査で停止し、再び国内の原発稼働はゼロになる。

一方、2020年のオリンピックが、東京に決まった。
国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれたブエノスアイレスでの、9月4日の記者会見では、海外メディアから、福島第一原発の汚染水の問題への質問が相次いでいた。
「福島とは250キロ離れている。皆さんが懸念するようなことはまったくない」と竹田恒和理事長は説明したが、質問した記者の1人は「証拠としてデータを示すべきだ。何かを隠しているように感じる」と会見後に語った。

そもそも、250キロ離れているから安全とは、福島の人々のことを忘れ去った発言だ。
福島では、いまだ仮設住宅で暮らしている避難者も多い。7年後に東京でオリンピックのニュースを聞いて、「2年経っても、福島は止まったまま」「同じ日本でも国が違うみたい」と嘆く避難者もいる。

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検事の「民族差別発言」を最高検に告発した在日韓国人男性が怒りのコメント

東京法務局訟務部付けの保木本正樹検事が山口地検の三席検事だった2011年5月、殺人などの容疑で逮捕された在日韓国人の男性・湖山(本名・許)忠志氏(29)に対する取り調べ中に「韓国人・朝鮮人は下等な人種」などの民族差別発言をしたという疑惑について、筆者は先日、当欄でレポートした(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=2983)。筆者が保木本検事本人に事実関係の確認をすべく、電話で取材依頼をしたところ、保木本検事は疑惑を何ら否定せず、一方的に電話を切るという対応をしたことまでは前回報告したが、この保木本検事の態度について、湖山氏本人の意見を聞くことができた。

前回お伝えしたように湖山氏は一貫して無実を訴えながら、昨年7月、山口地裁の裁判員裁判で懲役30年の判決を受け、現在は広島高裁に控訴中。勾留先の広島拘置所の面会室で、保木本検事の上記の態度を報告したところ、湖山氏は心底呆れたようにこう述べた。
「怒りを通り越して、なんと言っていいか……許せないですね。あそこまで言っておいて……(保木本検事の発言は)誰彼に向かって、『アホ』とか『バカ』と言ったというレベルじゃなく、民族差別発言です。内容的にも常軌を逸していました。僕らの民族性からしても、許せないですね」

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シリア人元妻を持ち出し『週刊朝日』で戦争を煽る軍事ジャーナリスト

『ニューズウイーク』は、その雑誌の特色のとおり、シリアにアメリカが軍事介入するよう露払い役をしてみせたが、後に、軍事介入の口実に対し疑問を投げかける記事も掲載し、バランスをとろうとした。

ところが、一方的にシリアを悪役と決め付け、軍事介入を煽ってばかりいるのが『週刊朝日』だ。それは、「軍事ジャーナリスト」の黒井文太郎による、記事と称したアジビラであり、「自分のシリア人の元妻」をネタにして、根拠ある他の報道に対し否定を試み、持論を断定する滑稽なものである。

「化学兵器攻撃は政府軍によるものであることは間違いないといっていいだろう。子どもを含む一般住民を化学兵器で殺害するなど、世界でも過去最悪の極悪非道な政権というしかない。しかし筆者は当初から、アサド政権は独裁体制を守るためなら、どんな非道なことでも躊躇しない政権だと確信していた。それには個人的な理由があった。私事になるが、じつは筆者の元妻はダマスカス出身のシリア人である」

まず「シリア人元妻」が如何わしい感じだが、その存在はともかく、そんなことを言ったら、例えば英会話のアントン・ウイッキーさんだって、外交官のオスマーン・サンコンさんだって、日本人と結婚して長年居住もしている外人だが、それが日本の政治についてとやかく言ったら、他の見解を否定するほど優越するだろうか。
それに、軍事介入で反乱を助けるべきという黒井の主張は国際法違反だ。そんなことも解からないのだろうか。

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電子書籍による個人出版はどうなんだ!? 企業と揉めたライター奮戦記 15

榛野氏と会っても多くが実りなく無駄な結果に終わる。大半がメールでも済むような気もする。それでも打ち合わせに呼ばれれば行かなくてはならない。それは、仕事を請け負う側だから仕方が無いとこの頃は思っていた。
打ち合わせに行くと早速、原稿が返ってくる。驚く程、真っ赤なのだ。しかし、前回の榛野氏の校正のように誤字に黄色い蛍光マーカーがひいてあるよりはまともな気がする。もちろん校正記号などは使っていないのでプロではないというのはすぐにわかるのだが。

榛野氏は原稿を渡すと同時に「校正というよりも彼女達の個人的な意見が入っている気もするんですよね」と言った。嫌な予感がする。とりあえずと一番上にあった原稿を2~3枚その場で読む。比喩表現であったり、五感をずらして書いていたりと小説だからこそ行っていることに矢印をひき「日本語が間違っている」と書いてあった。もしかしたら理解してもらえないような表現もあるかもしれないが、間違っているつもりもない。最初の2~3枚はそういった指摘がほとんどであった。

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Yesterdayからみる一般常識

ネットの質問サイトでこんな投稿があった。
「『Yesterday』という曲は、多くの有名ミュージシャンが歌っているのに、どうしてポール・マッカートニーが歌うものがポピュラーなのですか?」
人によっては「そんなことも知らないのか、常識だろう」とあざ笑うような質問だ。真面目に答えればポールが作曲し、ポールが歌ったものがオリジナルだから、という簡単な答えだ。しかし私は、どうしてこのような疑問が出るのか、考えてみた。

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有給休暇はすべて消化するという、出版社社員の決意

朝の8時半頃、朝食を採っていると、携帯電話が鳴った。
何冊か一緒に本を作ったことのある、元編集者だった。
「今日は何か予定入ってます」と言う。「夕方に打ち合わせがあるよ」と答えると、「ああ、打ち合わせ……。それじゃあ、午前11時に会いませんか」と言う。
水曜日だが、彼は有給休暇を使って、毎週水曜日を休みにしているという。
彼は休みなわけだし、もう編集者ではない。だから、仕事の話ではない。誰にでも稀にやってくる、無性に誰かと話したい、という気分なのだろう。
かつて世話になった仲であり、応じてあげようと思ったが、少しでも進めておかなければならない仕事もある。
「11時は早すぎる。午後1時にしてくれ」と言って話は決まった。

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映画『へルター・スケルター』を井筒監督が罵倒した訳

ちょうど昨年の7月に沢尻エリカが5年ぶりに主演した『へルター・スケルター』が公開されたが、沢尻エリカの育ての親ともいえる井筒監督が「沢尻はなんであんな作品に出たんやろか。乳を見せることでしか勝負できへんかったのやろうか」「美術として背景は美しいが、内面はまったく描かれていない」と酷評したために、まったく見る気にはなれなかった。もしも近所のビデオ屋で「夏休み、旧作80円でレンタル」キャンペーンをやっていなければ、まず見る機会はなかっただろう。
それでも、蜷川実花監督が作り出す、摩訶不思議なインテリアは、映画美術的には、一見の価値があるような気がする。

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