リングに登場するとムードが変わる梅野源治の存在感は格別

9月14日のKNOCK OUT記者会見で、試合を3日後に控えたキツい減量中の中、公開ミット蹴りを行なった梅野源治が9月17日、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座防衛戦を行ないました。これを前哨戦として10月23日(日)にREBELS興行でタイ・ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座挑戦が決定しており、更に12月5日のKNOCK OUT設立興行へ、予想されるビッグマッチが続きます。

過去、梅野のムエタイ最高峰王座挑戦は、2015年4月19日にREBELS興行でルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王座に挑戦し、チャンピオン.ペットモラコット・ウォー・サンプラパイ(タイ)に逆転の判定負けでした。今度の最高峰王座はこれに続く2度目の挑戦となります。

WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座は2014年11月15日にNJKF興行でジョムピチット・チューワタナ(タイ)との王座決定戦で判定勝利し、王座奪取しています。

◎NJKF 2016.6th / 9月17日(土)後楽園ホール17:00~21:15
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ・タイ国実行本部、NJKF

ローキックの鋭さだけで技量の差が現れた初回

◆WBCムエタイ世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.梅野源治(PHOENIX/58.97kg)
.VS
キース・マクラクマン(イギリス/59.6→58.42kg)
勝者:梅野源治 / TKO 2R 0:36
カウント中のレフェリーストップ / 主審 篠原弘樹

挑戦者キース・マクラクマンはWBCムエタイ・インターナショナル同級チャンピオンで、前日計量で630グラムのオーバーから落として再計量でパス。梅野はこの階級で減量がかなり苦しくなってきたと言われるもリミット一杯のパス。梅野は、楽勝と予想されたとおり、1Rの様子見でキース・マクラクマンの技量を見極めると攻撃力で差を付け、ロープ際でのパンチ、ヒザ蹴り、ヒジ打ちなど連打しスタンディングダウンを奪い、カウント中そのままストップされ、防衛に成功。

ロープ際で滅多打ち、ダメージを与え、戦意も喪失させた梅野源治

マッチョな勝利ポーズは毎度のアピール

◆66.5kg契約 5回戦

WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.健太(ESG/66.45kg)
.VS
アローン・ゴンザレス(カンボジア/66.05kg)
勝者:健太 / 判定3-0
(主審 山根正美 / 副審 小林 30-28. 篠原 30-28. 和田 29-28)

梅野源治以上に試合頻度が高い健太は、昨年9月27日から10戦9勝(2KO)1分と引分けを挟んで9連勝中。WBCムエタイを頂点に活動が続くニュージャパンキックボクシング連盟の中で、11月27日(日)にインターナショナル・ウェルター級王座挑戦を予定しています。来年にはWBCムエタイ世界王座を視野に入れている様子の健太が、その前哨戦で攻撃力だけはゴンザレスの派手さが目立つも、ヒジ打ちと乱打戦の強さを見せアローン・ゴンザレスに判定勝利。

健太はベテランの落ち着いた攻めで勝機を見出す

傷だらけになっても攻め返して勝利に導いた鈴木翔也

◆60.0kg契約5回戦

NJKFスーパーフェザー級チャンピオン.鈴木翔也(OGUNI/60.0kg)
,VS
J-NETWORK同級チャンピオン.鷲尾亮次(レグルス池袋/60.0kg)
勝者:鈴木翔也 / 判定2-1
(主審 宮本和俊 / 副審 小林 49-48. 篠原 49-48. 山根 48-49)

WBCムエタイ日本スーパーフェザー級挑戦者決定戦と謳われた契約ウェイトの5回戦。チャンピオン.悠矢(大和)にノンタイトルで対戦予定が、悠矢の負傷欠場により、鈴木翔也との挑戦者決定戦となりました。2月に互いが各団体の同級チャンピオンになり、5月に互いが対戦し、ヒジによるTKOで鷲尾亮次が勝利していますが、今回は僅差で鈴木翔也が勝利、挑戦権を掴みました。

大和侑也が最初のダウンを奪った相打ち気味の左フック

◆67.0kg契約3回戦

大和侑也(大和/66.82kg)vs山崎遼太(OGUNI/67.7kg)
勝者:大和侑也 / TKO 3R 0:42
カウント中のレフェリーストップ / 主審 和田良覚

700グラムオーバーの山崎でしたが、第2Rに大和侑也が相打ち気味の左フックを当てダウンを奪った後、前蹴り気味の蹴りがボディにヒットし2度のダウンを奪い、第3Rにはボディへ左フックを決めウェイト差に問題なく悶絶のノックアウト。

◆NJKF女子(MINERVA)スーパーバンタム級王座決定戦3回戦

小田巻洋子(WSR池袋/55.13kg)vs杉貴美子(Ten clover/55.23kg)
勝者:杉貴美子 / 判定0-3
(主審 篠原弘樹 / 副審 宮本 28-30. 小林 28-30. 和田 28-30)

杉貴美子が接近戦でパンチをコツコツ当てペースを掴み、小田巻の蹴りの距離を潰し判定勝利して王座奪取。階級をひとつ下げ、バンタム級も狙いたいとアピール。
※他、6試合(割愛します)

接近戦でパンチをヒットさせ小田リズムを狂わせた杉貴美子

◆梅野源治はキックボクシングを新たな進化に導く第一人者となる?

NJKF興行ながら、WBCムエタイ世界チャンピオンとして出場している梅野源治の存在が注目されるこの秋から来年にかけてのイベントです。梅野源治の強さの魅力は、所属ジムがフリー(特定の団体に加盟しない)であるが為、昔と違い、同様のフリーのジム・プロモーションも多く、日本のトップクラスやタイのランカーとも交流が盛んで実力が測れ、タイでのトップクラスにもマークされるなど、存在感が証明がされてます。

来月のラジャダムナン王座挑戦も、昨年12月現地でヨードレックペット・ソー・ピティサックにヒジによるKOで敗れている相手ですが、今度の勝算はやや高いように思います。ただ、二大殿堂タイトルが懸かると本気モードになるタイ選手の底力は、過去にもあるように、勝ちに徹するしぶとさが倍返しとなってくるので要注意でしょう。

梅野の昨年は7戦4勝(2KO)3敗、今年はこれで5戦3勝(2KO)2分。8月のヤスユキ戦では偶然のバッティングによる顔面の負傷をしつつ、驚異的回復で今回の試合をこなし、あと2戦は予定されるので、怪我やタイトルマッチがあってもかなり速いペースです。12月から始まるKNOCK OUT興行でのテレビ放映でも梅野源治がエース格として登場の可能性高く、昭和のキックのテレビ全盛期には及びませんが、マイナーイメージのキックボクシングから新たな進化に導く第一人者となりそうです。

NJKF次回興行は10月30日(日)、ディファ有明で、若手会長の若武者会主催のDUELが開催。NJKF 2016 7thは、11月27日(日)後楽園ホールで行なわれます。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」