1月25日、東京地裁の631号法廷は緊張に包まれていた。
幸福の科学元副総裁の大川きょう子氏が、週刊新潮に大川隆法総裁と愛人の関係などを暴いた記事で、幸福の科学サイドが新潮社を訴えた裁判が佳境を迎えた。幸福の科学は、大川きょう子氏の告発記事が出たあとで、新潮社の社長や歴代編集長の「霊言」をDVDや本で出版するなど対抗措置をとるなど泥沼の様相を呈している。

この日、幸福の科学からは広報本部長の饗庭直道(あえばじきどう)氏が出廷、記事にあるように大川きょう子氏に(選挙で幸福の科学が大敗したことについて)「総裁の霊言はなぜ外れるのでしょうか」と語っていたとされているが、饗庭直道は「そのような事実はありません」と全面的に否定している。
これだけでなく、大川総裁が一夫多妻制をとっている、いやそうではないなどと法廷では、原告と被告がまっこうから対立している。

それにしても、週刊新潮が幸福の科学の広報に求めたコメントの「10行」という分量の意味について考えてみたい。
3ページに渡る記事の中で、10行でどれだけ反論できるだろうか。コメントを求める連絡から、答えまでが7時間という短さだ。どちらの肩を持つ気もないが、「結論ありき」の記事作りであったことがが明らだ。

大川きょう子氏は、大川総裁と離婚調停中であり、男女間の争いが教団や週刊誌を巻き込んでいるところに、裁判の複雑さがある。大川総裁の認識では、「信者は1100万人いる」という幸福の科学。であるならば、なぜこれだけ選挙で当選者が出ないのか摩訶不思議である。

新潮社は東京地裁に、大川総裁を証人として呼ぶように申請している。
幸福実現党の党首は、9回も変わり、報道陣も混乱の限りである。
50万部の週刊誌と「自称信者1100万人」教団の争いは、いったいどこへ向かっているのだろう。
摩訶不思議な裁判は、次回は3月15日、午後4時30分に開廷される。
「売らんかな」主義の週刊誌と、「摩訶不思議な」教団の竜虎の争いに今後も注目していきたい。

(千代田次郎)