「日本のサイバー捜査のレベルは、実は1990年くらいのレベルであり、とてもじゃないがなりすましメールの解析力などありません。今後は、それなりに知識がある人との連携が重要となってきます」(警視庁関係者)
パソコンの遠隔操作などで犯罪予告が書き込まれ、4人が誤認逮捕された問題を踏まえ、警察庁は1月24日、サイバー犯罪捜査の強化に向けた「緊急プログラム」をまとめている。官民連携の推進が主な柱で、専門的な企業や研究機関に属さず高度なコンピューター技術を持つ「ハッカー」とも協力関係の構築を目指すとしている。そう、「それなりに知識のある人」とは、ハッカーなのだ。

「警察はこれまでもインターネット関連企業などとの官民連携を進めてきて、それなりに追跡のためのプログラムを構築してきました。ところが、遠隔操作事件では情報通信技術の急速な進歩に捜査が追いついていけないのです」(IT関係者)
連携相手のハッカーについては、システムに不正侵入して情報を盗んだりする悪意の人物ではなく、あくまで「コンピューターの知識・技術にたけた人物」を想定。捜査員はハッカーが集うイベントやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に身分を明かして参加するなどして、人間関係を作る。

「まったく話のレベルがちがうが、中東でもテロリストたちのハッキング技術は、すでに日本が太刀打ちできるものではない。日本の防衛システムが狙われたらブロックは難しいでしょう」(システムエンジニア)
サイバー犯罪については、あまりにも警察は民間会社に頼りすぎた。
その結果、サイバー犯罪については専門捜査員が育っていない。

「地方の警察署では、『2ちゃんねる』と『ツイッター』との区別すらつかない捜査員もいる。警察をあげてのサイバー犯罪の研修が必要ではないだろうか」(警察庁詰め全国紙記者)
身に覚えがないのに、勝手になりすまして犯罪を行われたら、たまったものではない。ある日「あなた、企業の××を脅迫しましたね」と警官が来る。ログなど証拠をもたれて捜査に来られては、ぐうの音も出ないだろう。
サイバー犯罪捜査で世界に遅れをとる日本。そのテクニカルな遅れが冤罪の温床となっていくことだけは避けたいところだ。

(鹿砦丸)